ダーク・ファンタジー小説
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- アシナクシ。
- 日時: 2016/07/02 16:08
- 名前: 彩都 (ID: iXLvOGMO)
始めまして、彩都(サイト)と申します。
五作目です。
完全に、グロいです。
中身は、五分で思い付いた五分クオリティです。
読む時は背後に気を付けて下さい。
アシナクシさんが、襲うかもしれませんので……
それでは、どうぞ。
目次
第一部 『アシナクシ』襲来
序章 >>1
第一章 (CHAPTER 1) >>2-3
第二章 (CHAPTER 2) >>4
第三章 (CHAPTER 3) >>5
第四章 (CHAPTER 4) >>6
第五章 (CHAPTER 5) >>7
第六章 (CHAPTER 6) >>8-9
第七章 (CHAPTER 7) >>12 >>15-16 >>23-24
第八章 (CHAPTER 8) >>32-34
第九章 (CHAPTER 9) >>35-36
第十章 (CHAPTER 10) >>37
第二部 『アシナクシ』討伐
第一章 (CHAPTER 1) >>??
後書 第一部完 後書 >>38
- Re: アシナクシ。 ( No.60 )
- 日時: 2018/05/05 21:33
- 名前: 彩都 (ID: jFPmKbnp)
「ま、待って下さいッス! 流石にそれはダメッス! 先輩がするなら、他の人に代替──」
「いいんだよ、華憐、俺のキスでこうなるなら……別段好きな奴は居ないし」
そう言って、昴は墨名の『唇にキス、ではなく、頬にキス』をした、そして墨名が顔を赤らめ、叫ぶ。
「ひゃふぅぅぅ! に、妊娠しちゃうぅぅぅ!!」
「…………」
「これで……『妊娠する』んだろ? 妊娠するって事は、『エッチした』って事で良いよなぁ?」
口を歪ませる昴に対し、『あーあ、やっちゃった』と思う、そして墨名は顔を赤らめながら、『えへへ……そうだよぉ?』と言う。
「よっしゃぁ! これで全ての情報が……手に入る!」
昴はそう言って、右手でガッツポーズする、そんな昴、墨名を見て、華憐は静かに溜息を吐いた。
「はぁ……何だこの先輩共……呆れる……」
華憐はその場で頭を抱え、椅子に座った──そして昴は回復した墨名にA4サイズのプリント約百枚の『墨名の全ての情報』を貰い、にやにやとしていた。
「…………」
「なぁに、にやけてんスか?」
「んー? これで少しは雛乃の死因とか分かるかもしれないと思うと……嬉しくてさ? やっぱり死んだ雛乃を救いたいんだなぁって思ってる自分に驚いていたりする」
「……ふぅん? でも、その情報が『絶対載っている』とは限らないですよね? 載っていない可能性もありますし?」
「確かにそれもそうだ、でも、それじゃあ、俺に『雛乃の情報を言った』理由が分からない、だから少しは知っているんじゃないか?」
「成程、そう考えるんですね」
昴の発言に呆れる華憐、そして昴は一枚ずつ捲って、目次を確認する。
「まぁな? ……えーと何々? 『あ行』か……『相咲さんの家庭事情』ぉ? 何だこりゃ?」
昴がそう言うと、華憐が言う。
「あっ、それ、隣のクラスの相咲さんの事じゃないッスか? いやぁ、少し前から話題になっているんスよ、家庭事情がどうとかって? 教えてくれないッスか?」
「ダメだダメだ! 俺は華憐の知りたい情報じゃなくて、『雛乃の事件』の事が知りたいの! 俺が読み終わってから知れよ!」
「うぅっ……今日の先輩は怖いッスねぇ?」
華憐はそう言って、口の端を歪ませる、そして『ひなの』なので、昴は『は行』に一気に移動する。
「えーと……『這得(はいえ)の秘密』ぅ? 何だこりゃ? 華憐、知ってる?」
「い、いえ……流石に這得っていう人の名前は知りませんねぇ……二年以上ッスかねぇ? 流石に同学年で『這得』って名前の同級生は知らないので……」
「そ、そうか……それじゃあ綴喜や善子に話を聞いてみようっと……ってそうじゃなくて! 『雛乃の事を知る』って話だろうが! 話を逸らすなよ自分!」
昴はそう言って、自身の太股を叩く、そして何枚かページを進ませていると、『比内(ひない)の恋愛事情』という項目が出てくる。
「……比内さん」
「……気になるな」
「やっぱりッスか? じゃあ見ましょうよぉ?」
「だ、ダメだダメだ! そう言うのは、見ちゃダメだって! 流石に『ひなの』に近づいているから、もうすぐ『ひなの』の項だな!」
「あっ、ちょっと!?」
そう言って、昴はページを捲って行く、そして『雛乃の事件』という項目が現れ、お互い唾を飲み込む。
「……華憐、今引き返すなら、セーフだ、でも、俺はこの先を見たい、お前はどうする?」
「……そんなの、決まっているじゃないですか! 先輩の幼馴染みなんスよ!? 可哀想じゃないですか! それなら俺達が解読し、犯人を見つけましょうよ!?」
「……そ、そうだよなぁ? それじゃあ、捲るぜ……!」
昴はそう言って、プリントを掴んで、ゆっくりと捲った──そこに現れたのは、『大量の文字』だった、な、何だこれは……!? 読むのに時間が掛かるぞ!? 昴はそう思いながら、右端からゆっくりと読む。
『この事件は数日前に起きた『雛乃』という同学年の事件を纏めた物である』と書かれてある、成程、そう思いながら、もう少し詳しい内容が書かれているかも? と思い、読む続ける。
『この事件ははっきり言って、『アシナクシ』という約十年前に起きた下半身消滅事件によく似ている、まさか十年前の犯人がこの街に戻ってきた、と言う事かもしれない。では、一体何故此処に戻ってきているのだろうか? それは勿論『Mの手記』、これが鍵を握っている。この『Mの手記』というのは、『アシナクシ』の犯人が使っていた手記らしい、だけれど、今は存在しない。それはどうしてか? 簡単だ、『警察が応酬したにも拘らず、手に触れた、もしくは所持した存在は全て『アシナクシ』と同じ犯行を行われている』からだ、もしもこの『Mの手記』を持っている人は、急いで破棄した方が良い、もしくは、『アシナクシ』の犯人に勝つか、どちらかだろう』と書かれてある、続けて、『そして失った原因はその話を聞き、『Mの手記』を手に入れた警察の人間が何処かに捨てたから』と書かれてあった、証拠紛失とか、結構悪い事じゃないか? そう考える昴、すると『Mの手記』ってどっかで見た、聞いた事があるなぁ、と思う、そして昴は思い出す。
『Mの手記』は『伊賀先新兵が手に入れていた』という事を! や、ヤバい! 新兵が……死ぬ! 昴はそう思いながら、『早く新兵に会いたい……!』と思っていた──今はまだ一時間目、放課後迄まだまだ時間がある──
- Re: アシナクシ。 ( No.61 )
- 日時: 2018/06/02 22:43
- 名前: 彩都 (ID: xJyEGrK2)
『Mの手記』、まさか新兵が拾ったのは、そんなにも危険な道具だったのか! 昴はそう思いながら、顎に手を当てて、時間を確認する、時間はまだ朝の九時、まだまだ放課後、いや、一時間目の終了さえ時間がある。
「…………」
ヤバい、急いで新兵に会いたい! これが、恋する乙女の気持ち!? と、昴は内心巫山戯た事を思いながら、『雛乃』の項目を確認する、もう少し何かヒントは無いだろうか? もしも『Mの手記』を持っていても、惨劇を回避する方法とか! 昴はそう考えて、『今、自分が見ている紙の束』の事を考える。
そういえば、この紙は……『墨名の全ての情報を書いたプリントの束!』だから、『『Mの手記』の事も書いている筈』だ! 昴はそう考え、『M』、または『え』で再度調べる。
「えーと、えーと……」
そう呟きながら、探す昴に、『何やってんスか?』と、呟く華憐、お前には分からないだろうけど、こっちは大忙し! 大変ヤバい状況に飲み込まれてんだよ! 昴はそう思いながら、必死に調べる、すると、最初の方の『アルファベット順』の目次に『M』の項目があった。
……何気に『M』で始まる事を、始まる何かがあるのだろう、『Mの手記』以外に有るかは分からないけれど、昴はそう思いながら、『M』の項目に、静かに、ゆっくりと、息を飲み込みながら、確認する。
「…………」
ドキドキドキドキ、心臓が高鳴る音が耳に響く、人間って、本当に心臓を高鳴らせると、耳に迄音が届くのか、昴はそんなアホな事を考えながら、『M』の項目を確認した。
まず、最初に『モーニング(MORNING)の使い方について』と、書いてあった、いや、その情報要らないし、逆にこれ、『Mの手記』みたいにカテゴリであるのかよ!? 昴は内心驚愕しながら、『いや、今はこれにかまけている場合では無いな』と、考え、他の『M』の項目を探す、すると、『Mの手記』の項目を見付けた、だが、その近くにこんな文字が掛かれてあった。
『この項目は危険、読む時は背後に注意を』と、書かれてあった。
「…………?」
『この項目は危険、読む時は背後に注意を』……? 意味が分からない、いや、意味が分からないんじゃなくて、『これは一体どう言う意味なのだろうか?』と、思った。
普通、『この項目は危険』だけ、書けば良いのに、どうして、『読む時は背後に注意を』、何て書かれているのだろうか? とても不思議、とても不思議過ぎる文字の羅列に昴は静かに唾を飲み込んで、見ようとする。
「あ、あの……昴先輩?」
不思議そうに、とても不思議そうに言う華憐に昴は静かに顔を上げて、首を傾げながら言う。
「な、何だ……? 俺は今から集中して文字を読もうとしているのに……?」
「え、えと……あの……何を、読もうとしていているんですか……?」
何時になく、敬語の華憐に昴は静かに呟く。
「え、えーと、この『Mの手記』って部分を読もうとしているんだ、だから、もしも危険に包まれたくなかったら、俺から離れていてくれ」
そう言う昴に華憐は首を傾げ、『どうして離れる必要が……?』と、言った。
「え、えーと……今から読む『Mの手記』って言うのは、『危険な物』なんだ、だから、読む時は気をつけて欲しいってだけで」
「はぁ、成程……そんなの『オカルト研究部』の部員としては、とても楽しみな奴ッスよ!」
「……そ、そうか」
自分は内心呆れながら、『オカルト研究部って罪作りな部活だなぁ』と、思った。
そして、昴、華憐の二人は『Mの手記』のカテゴリを読む──
『Mの手記』、それは『アシナクシ』、軽く十年前にこの街で起きた事件の犯人が使用していたとされる手記、言わば手帳のような物である。
サイズは普通一般の胸ポケットに入るレベルの手帳であり、最初のページから最後のページ迄、色々な事が書かれている、特に特筆すべき所は無いただの手帳である。
だが、だが! そんな手帳でさえ、今では価値がある、それは何故か? それは、十年前の『アシナクシ』の事件の犯人が使っていた手帳、だからである! もしもこの手帳を手に入れ、中身を確認し、十年前の大事件の犯人を知る事が出来たのなら……これは歴史を、警察の無能さを示す道具と足りえるだろう! だが、生憎、私、墨名はそんな話を聞いただけなので、そんな手帳を見て見たい、としか思わない、だが、見てしまったら見てしまったで、『アシナクシ』に追いかけられて死んでしまう、という噂もある、だから、私は見たくても、死にたくないので、見れないのである。
これにて、『Mの手記』の情報を終了する──
「……何だこれは?」
「な、何なんスかこれは……!?」
お互いがお互い恐怖する、何だって? 『見てしまったら、『アシナクシ』に追いかけられて、死んでしまう』ぅ? 何だその嘘まやかしは? 完全に執筆者の墨名も巫山戯て書いているに違いない、自分はそう思いながら、額の汗を拭う、全くもって、巫山戯ているのか、墨名は? こんなの、いや、『たかが手帳を見ただけで殺される』なんて、有り得ない、逆に有り得た所で、警察の力を借りれば大丈夫だろう? 何を恐れているんだ墨名は? 自分はそんな事を思いながら、『何だか呆気ない内容に見えてきた』と、思い、その場で凭れた──そして静かに一時間目終了のチャイムが鳴った──
- Re: アシナクシ。 ( No.62 )
- 日時: 2018/07/07 22:53
- 名前: 彩都 (ID: ???)
一時間目のチャイムが鳴った、今から十分の休憩と十分の教科準備が行われる、昴はこの時間に安堵し、華憐に『今から新兵の所に行くぞ!』と、叫び、走る。
華憐は『は、はい!』と、返答し、走る、お互い走って、新兵の所、新兵の教室へと向かう、華憐も新兵と同じ一年なので、出会う事は多い、だから、新兵の教室の事を知っていた、逆に昴も新兵と仲が良いので、新兵の教室に向かい、呼びに行ったりもしていた、だから、お互い新兵の教室は知っていた、だから、あっさりと、新兵の教室に到着出来た。
「新兵! 大丈夫か!?」
「新兵! 生きてるッスか!?」
昴と華憐は新兵の教室に入る、当の本人である新兵は綺麗な姿勢で椅子に座って、次の授業の教科書、ノートを持って、昴、華憐の方向を見て、『何やっているんだろう?』という眼差しをしていた。
「えっ? どうしたの二人共? 生きてるとか大丈夫とか……?」
驚く二人に対し、昴が言う。
「お前! 『Mの手記』には気をつけろ!」
「そうッス! すっげぇ危険ッスからっ! 明日から気をつけるッス!」
「えっ? ど、どういう事なの……? 『Mの手記』がどうかしたの……?」
不思議がる新兵にイライラした昴は墨名から手に入れた紙を新兵に押し付ける。
「ほら! この『M』の部分から調べてくれ! それが答だ!」
「そうッス!」
「え、えぇっ……?」
困惑する新兵は仕方なく、昴から紙を受け取り、『Mの手記』の欄を確認する、『ふむ、ふむふむ……』と、頷いて、冷や汗をだらり、と、垂らした。
「せ、先輩……さ、流石にこれは嘘ですよね……?」
「嘘じゃねぇよ、あの墨名が言っているんだからな?」
「と、墨名……? 墨名って、あの『情報屋墨名』の事ですか?」
「あ、あぁ……本当に有名なんだな、墨名って……三年間通っているけど、知らなかった俺は問題児じゃないか……」
昴は一人ごちて、頭を掻く、すると、華憐が口を出した。
「だから『Mの手記』は危険なんッス! だから今日から気をつけて下さいッス! 『アシナクシ』のようにはなりたくないでしょう!?」
「え、えぇ、確かにそうだけど……自分、霊と戦う方法を今習ってるし、大丈夫かと?」
「え、えぇっ……忍者って、霊と戦う方法とかも覚えるのかよ……?」
祐介はそう言って、溜息を吐く、でも、新兵が生きていて良かった、祐介はその場で安堵した、そして新兵から紙を受け取り、『それじゃあ、今日から気を付けろよ?』と、釘を打つ、華憐も『そうッスよ!』と、強く釘を打った。
「アハハ……分かりましたよ、二人共? あっ、そういえば先輩? 今日部活は休みですか?」
「えっ? あぁー……どうだろ? 休みなんじゃないか?」
「そうですか、分かりました、実は今日の夕方は忙しいんで部活を休みたかったんですよ」
「へぇ、今日は忙しいのか……でも、決して一人になるなよ? 何時何処で『アシナクシ』が襲うか、分からないからな?」
「アハハ、分かりましたよ? それでは、次の授業があるので、お別れです」
「あ、あぁ……」
「お別れッス!」
昴と華憐はそう言って、新兵から離れる、それにしても、生きていて良かった、昴はそう思いながら、華憐と共に自身の教室に戻る──
「大丈夫なのか?」
そう言う紬に対して、昴が淡々と返答する。
「あぁっ? 大丈夫だよ? この通り、元気だぜ?」
「そ、そうか? もしもこのまま今日一日保健室暮らしなら、俺のエロ本を渡そうと思ったんだがなぁ?」
そう言って、メガネをくいっと、上げる紬に対し、『バカかおめぇは?』と、要が紬の頭を叩く。
「あいだっ!? 痛いな!? どうするんだ!? 今さっきの叩(はた)きで、脳内エロスコレクションにバグが起きたら!?」
「起きたら、俺達生徒が安心するんだよ、特に女子生徒がな?」
「ふむ? どういう事だ? 私はちゃんと了承を得て、パンチラ画像を撮ったりしているだけだが?」
「それがアウトなんだよなぁ? 皆お前の顔に騙されているだけで?」
「ん? 俺の顔に騙されている? どういう事だ? 俺は騙していないぞ?」
「そう言う無自覚なのは、少々褒めてやりたいな……」
要がそう言って、溜息を吐く、すると、チャイムが鳴り、二時間目の合図が始まった。
「おっ? もう二時間目か? さて、今日も勉強を頑張らねばな?」
「そうだな? あぁ、昴、お前一時間目欠席したろ? 今日の放課後、生徒会が始まる迄、ノートを見せてやるよ、喜べ」
「ほう? そいつぁ嬉しいや」
「俺もノートを見せてやる、二重効率だな」
「お前の場合、エロい事しか書いていないから、ノーセンキューだ」
「知ってる」
「えぇっ……?」
紬の発言に衝撃を受ける昴、そして昴のクラスに二時間目の担任が現れ、『それじゃあ、授業を開始しますぅ』と、言う。
「……はぁ、やっと、正しい学生生活が始まる……今日の昼飯、どうしようかなぁ?」
昴は教科書を準備するたった数秒でそんな事を呟き、静かに息を漏らした、それにしても、新兵が生きていて良かった、昴はそう思いながら、二時間目の授業に臨んだ──
- Re: アシナクシ。 ( No.63 )
- 日時: 2018/08/04 22:28
- 名前: 彩都 (ID: ???)
二時間目が始まった、一時間目の授業内容を分からない昴は二時間目の間に一時間目の授業内容が書かれたノートの文字をノートに模写していた、流石要だ、とても綺麗な字で書かれており、とても分かりやすい構成だ、そして、急いで模写を続ける、すると、隣の席の女子、徒空 未空(とから みくう)から、折られた小さな紙を投げられる、一体何の紙だ? 昴はそう思いながら、折られた小さな紙を開かせる、すると、其処には『一時間目、大丈夫?』と、可愛い字で書かれていた、こういうのが青春、恋愛的な事だよなぁ? 昴はそう思いながら、少しドキドキし、ノートの一番後ろのページを少し破いて、『大丈夫だよ、心配有難う』と、書いて、未空の机に投げる。
「……へぇ」
小声でそう言い、納得する未空、良かった、安心してくれた、心配有難う、同級生の女子、昴はそう思いながら、ページを元に戻し、要のノートの模写を続けた──
「ふぅ、有る程度は模写ったな?」
昴はそう言って、要のノートの模写半分程度を書き終わらせる、そして、残りを書ききる為に深呼吸して、ノートに字を模写し続ける、すると、近くの紬から、折り畳まれた、小さな紙を投げられる、……コイツのは、見なくても、いいよなぁ? 昴はそう思いながら、机に収納し、模写をし続ける、すると、紬が悲しい表情をする、な、何で悲しい表情なんか……!? 分かったよ、見ればいいんだろう? 昴はそう判断して、机の中の折り畳まれた紙を手にして、開く、すると其処には『バーカ! ちゃんと集中しろ!』と、書かれていた、その紙を見た後、紬を見ると、赤面しながら笑いを堪える紬が目に入った。
「…………」
「ぷぷぷ……」
笑う紬に対し、内心激怒して、『ふっざけんじゃねぇ!』と、思い、急いで、要のノートの模写を開始する、まぁ、半分書き終わっていたので、労力も半分だ、募った労力を除けば、の話だが。
「あぁっ……終わって、しまったぁ!」
模写を続けていたが、流石に疲れが溜まってか、あまり模写を続けなかった昴、だが、模写を終わらせたと同時に二時間目のチャイムが鳴り、二時間目の授業内容を一つもノートに収める事が出来なかったのは悲しい事実だった。
「はぁい、昴くぅん? 模写の結果はどうでしたぁ!?」
ほくそ笑みながら発言する紬を見て、『てめぇ! よくもまぁ、授業中あんな紙を渡したなぁ!?』と、叫ぶ、だが、要が『お前等落ち着けって? 喧嘩したら進路に響くぞ? 特に紬』と、言う。
「はぁ!? 何で俺だけぇ!?」
「お前は変態だからだ」
「変態!? 俺の何処が!? なぁ、女子よ!? 俺の何処が変態だ!?」
そう言う紬に対し、未空が『そりゃ……人のスカートの中を覗く、その癖ですよ……』と、言う。
「うん、合ってるな? ほら、他の女子も同意したら手を上げても良いんだぞ?」
要がそう言うと、クラスの全ての女子が手を上げる、右手左手、様々な手を上げて。
「うーわ、これはアウェイですねぇ? どうしますぅ? 紬くぅうん?」
そう言う昴に対し、紬は静かに額の汗を拭い、息を漏らす。
「……辱めプレイ、案外嫌いじゃないぜ?」
「きゃぁあ!」
紬の発言を受け、何人かの女子は発狂し、恍惚な表情になる、『紬親衛隊』という輩だ。
「……はぁ、ダメだこりゃ?」
要はそう呟いて、溜息を吐く、そして、続けて言う。
「それで? 昴よ、何とか書き終わったか?」
「あ、あぁ、一応は……」
「一応二時間目の授業内容も書いているけど、書き写すか?」
「有難うカナえもん!」
「誰がカナえもんだ!? 人を便利道具みたいに言いやがって!?」
「実際仕方無いだろ!?」
「うむ正論!」
昴の発言を受け、静かに受け入れる要、すると、要が部活の事を切り出す。
「あっ、そうそう、今日、部活無いから」
「えっ? マジで?」
「うん、ちょっと俺にも用事があるし、紬も家庭での問題があるから、おまけに顧問も用事があるみたいだしさぁ?」
「成程、分かったよ」
「よし、一応は伝えたから、後は他の部活メンバーにも言っておかないとなぁ?」
「まぁ、確かにそうだなぁ? 綴喜にも言わねばならんな?」
「うぅむ……アイツの場合、演劇部に篭っているからなぁ? 此処に顔を出すのは珍しいしな? 多分来ないだろ?」
「でも、数日前来たじゃん?」
「昴、それは逃避で俺の、いや、部室を使われただけだろうが? だから、正式に来た訳じゃあない」
「まぁ、確かにな……?」
要の発言を受けて、昴はしゅんとなる、そして紬が言う。
「まぁ、部活出来ねぇのは少し悲しいな? あの場所だと、結構自由に振舞えるからな? あーあ、面倒だ」
「仕方無いだろ? もうすぐ受験の時期が近づいているし、さぁ?」
「まぁ、それもそうか……これからどうしようか? 部長、副部長問題?」
紬がそう言うと、要が『うぐっ!?』と、心臓を押さえる。
「そ、それは……まだまだ検討中ですぅ……」
「そうか、でも、さっさと決めろよ? 時間が無いんだ、俺達は三年生だから……」
「……分かってるよ」
要がそう言うと、二時間目の休み時間終了のチャイムが鳴る、もう三時間目か、昴はそう思いながら、『それじゃっ!』と、言って、自分の席に戻る要、紬を見た──
- Re: アシナクシ。 ( No.64 )
- 日時: 2018/09/01 22:32
- 名前: 彩都 (ID: bOxz4n6K)
三時間目、授業が始まった、昴は『昼休みに他の教科を書き写そう』と、思い、三時間目は三時間目の授業内容を書き留める、ふむ、やっぱり受験生だから、授業スピードは早いんだなぁ、そんな事を思いながら、三時間目の授業を進める──そして三時間目が終了した、ノートのページ数で言えば、軽く2ページは使用した、そんな事を思いながら、紬、要が昴の机に来る。
「へいへーい、昴ちゃぁん? 三時間目、どうだったぁ? 寝てたぁ?」
「寝る訳無いだろ? 一応受験をしようとしているんだぞ?」
「おっ? それは偉いな? まぁ、親御さんを助けたいなら、そりゃ、上の学校に行った方が良いよなぁ?」
紬はそう言って、要が『他人の家の事情に首を突っ込むなよ?』と、咎める。
「いいよ、俺の家庭はそんなんだしさぁ?」
昴はそう言って、静かに俯く、昴の家庭は『母子家庭』だ、父がもう死んでいるので、母の稼ぎだけで母、昴の二人は生活していた、だが、父親が死んでいるというネタはもう聞き飽きたので、もう慣れっこだった。
「それで? 今日はどうするの? 昼飯? 俺は購買だけど、お前等は?」
「そうだなぁ? 今日はどうしようかなぁ? 一応金は持ってきているからなぁ……」
「何だよ要は食わないのか? 俺は食うぞ? 昴とな? だって、昴は今日発狂して倒れた、と言う事は、再度発狂して倒れるかもしれない! そして女子が膝を曲げて、コイツを看病! そんな女子のパンツを確認出来るまたとないチャンスだ!」
「よし、昴、今日は新兵と一緒に飯を食え、もしくは綴喜とか、後輩の善子とか」
「だな」
「よぉーし、今迄のは冗談だ、気にするな、流石に男友達よりも女子のパンツを優先する男がいるか」
「居るんだよ、お前が」
「せぇーかい」
「おっと? とんでもない偏見を見られ、されているようだなぁ? 流石に俺だって男だ、友情を取捨選択するだろう」
「捨ててそう」
「焼却炉に入れそう」
昴と要の発言を受けて、紬が『嘘だろ!?』と、驚愕した。
「何だよ何だよ? お前ら、そんなに俺を信用出来ないとでも言うのか? いや、信用しろよ、男なんだからさぁ?」
「男だから、女子のパンツ一直線に向かうんだろうがぁ!?」
「そーだそーだ! 紬! 貴様はそう言う男だ! スケベ! 変態! パンツフェチ!」
「待て! パンツフェチではない! 女性の体フェチと言ってもらいたい!」
「うるせぇ!! 変態な事には変わりゃあせんじゃろう!?」
「た、確かに……!」
そう言って、紬は近くの椅子に座る、すると、静かにチャイムの音が鳴った、チャイムの音が鳴り、二人は『急げ! 早く座るぞ!』と言い、急いで椅子に座る。
これで四時間目の開始のチャイムが鳴った、後少しで昼休み、昼飯だ、昴はそう思いながら、深呼吸し、机の中から、教科書、ノートを取り出した──
授業という者は案外簡単で、『時間』という制限が無いと強いが、『時間』という制限がある為弱い。
なので、『時間を潰す行為』をすれば、案外簡単に攻略出来るのだ、そんな事を当の昔から知っている昴は静かに黒板を見ながら、右手に持った消しゴムで机を磨いていた、否、『消しカス』を生み出していた。
消しカスというのは、小学生時代、少年少女、誰もが通る道だ、消しゴムを机やノート、教科書に擦り付けて、消しゴムが折れても、消しゴムで擦り付けて、そして出来上がる消しカスの山、消しカスというのは、出来たては粘土のように粘度が高く、何個も何個も合わせていく内に、段々とでかくなり、最終的には白い玉、灰色の玉、黒い玉の三つの種類が出来る──だが、色物の消しゴムの場合、色が付いているので、三つの種類の玉ではない場合もある──消しカスで最初出来、遊ぶのはいいが、六時間目には飽きている、おまけにこの消しカス、『消しゴムの使用残量を削る』ので、消しゴムが無くなった場合、『間違った所を消す事が出来ない』というデメリットが有る、更に消しゴムが無くなったのが、朝の間ならどうだろう? 『昼の授業で間違った部分を消す事が出来ない』のだ! もしも無くなった場合、隣の人から借りなければならないという少し恥ずかしい行為をしてしまう事になるので、消しカスを作る事は一長一短の効果が有る、だが、昴は違った、昴の場合、『数日前に消しゴムを新しくした』ので、まだまだ消しカスを作る事が出来るのだ!なので、昴は呑気に消しゴムを使用し、消しカスを作り、更に消しカスを集め、出来た物体、『練り消し』を作っていた。
だが、作っている途中でチャイムが鳴り、四時間目は終了、昼休みとなる。
昴は『まだ途中だったんだがなぁ?』と、思いながら、筆箱に鉛筆や消しゴム、練り消しを収納させる。
一応黒板に書かれた文字は全て書き終わっているので、授業終了後、急いで書き留める心配は無い。
「……よし、収納も完璧だ、後は購買へ向かおう」
昴はそう発言して、財布を持ち、椅子から立ち上がり、教室を出る──さぁ、今日はどんな購買のパンを買おうか? そんな事を思いながら、静かにのんびり歩く──
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