二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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イナクロ〜なくしたくない物〜参照23,000突破感謝!!〜
日時: 2016/02/10 23:59
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: JuyJRz6j)

どうも。
イナGOの「なくしたくない物」がイナクロなるってことで、続編つくりました←
いちおう、>>1にキャラ紹介をのせときます。オリキャラも。


   ※注意事項※

・キャラ崩壊のおそれあり
・なんかいろいろ意味不
・更新おそい(中学生だもん、部活入ってるもん←)
・絶叫多しww
・荒し、パクリは厳禁
・ひとの目によって、駄作に見え……いや、駄作
・なんかシリアスでもコメディでもなし(←わかんねえよ、あいまいで)
・「駄作お断り!」のかたはさよならです(二度目)

注意事項はどんどん追加されていきます←
もしこれのうちひとつでも「守れるわけねえだろ!」という人は、そよかぜステップで退散!
「いいよ^^」という神様は、どうぞおとおりください!



オリキャラ募集のお知らせです
>>95

《更新再開の大号令》
>>342



〜もくじ〜

ストーリー説明〜第2章まで
>>230
第3章〜第5章まで
>>328
第6章まで
>>345



☆番外編☆     また会う日まで
第1話〜第10話まで
>>317
第11話〜第20話まで
>>329
第21話〜第30話まで
>>344
第31話
>>346
第32話
>>347
第33話
>>349

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Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.185 )
日時: 2012/12/06 15:19
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)

七話   「過去」



「つぎの力、だれだろうな?」
「さあ?」

つーか、こんどは幕末いってみたい。坂本龍馬とか。でも、俺はどちらかというと、西郷隆盛派なんだよなー。よくかわってるっていわれるww
あ、でも、ペリーも好きだぜ? あの日本人が描いた絵(←ぇ)。

「えっ、幕末だとぅっ!?」
「なに、幕末じゃと!? もういっぺん、いうてみよ、友撫!」
「兄者よ、たいへんじゃ! 幕末にむかうとのことじゃぞ!」

キセキ! パーフェクトゥ! 俺のねがいが通じだぜ!
つか、俺と友撫、なにやってんだよ。それ以前に、友撫、俺のこと「兄者」ってww よびかた、おびかたww
と、なんやらかんやらで、友撫が俺の元から脱走。あわててジイさん(クロノストーン現象で石になっちゃった大介さんだよ!)の元にかけていった。ジイさん……友撫を俺から奪うとはっ。なんたるくせ者! おぼえておけよ★
さわがしい部室。なのに、いきなり手のあたりがスースーした。

(ま、まさかの……?)

俺は、ちょっととまどいながら、ゆっくりと両手のひらを見た。
案の定、その両手は、ユラユラとゆらいでいた。そして、すこししてから、スゥ……ッと、もとにもどる。

『《半個半幽》とはちがう、もうひとつのダメージか?』
「まあ、そんなところだろうな。そもそも、もうきっと、消えてもよかったはずなのにな……。」
『おそらく、そのことについては、友撫ちゃんも気づいてないだろうし……。』
「ああ。そうだ……な……。」
『なっ……お、おい!』

ドサッ

「風花!?」

耳元でふたつの音がきこえた。
でも、「風花」とよばれる声は、どんどん遠くなっていって、最後には、きこえなくなっていた——……。

     ☆

「ねえ、ママ、パパ。ここでいいの?」
「そうよ。それより、ここで待ってなきゃだめよ。風花は、友撫のおねえちゃんでしょ? 友撫のおてて、はなしちゃだめよ。」
「はーい。風花、待ってる。」

風花は、友撫の手をしっかりにぎって、両親を見送った。ふたりのほほえむすがたを見送るのは、風花が大好きなことのひとつだった。
ふたりの笑顔が遠くなっていくのは、すこし悲しいけれど、でも、わらってくれているのは、うれしい。風花は、ふたりの笑顔が大好きだったのだ。

「パパとママ、たのしそうだな……。」

風花は近くにあったイスに、友撫をつれてすわった。冬なので、ひんやりとつめたい、プラスチックのイスの感触が、おしりを冷やす。
両親が見えなくなったとたん、風花はハッとした。
ふたりが見えなくなって、きゅうに、知らない国に来たという自覚とともに、不安がいっきにおしよせてきたのだ。

(パパとママ……かえってくる、よ、ね……?)

いきなりおそってきた不安は、友撫の手をにぎっていないほうの手を、ぶるぶるとふるわせた。
しばらくしても、ふたりは帰ってこない。ふと、柱にそなえつけてある時計を見ると、もう一時間はたっていた。

(すぐくるって、いってたのに……。)

とん……

きゅうに、左の肩が重たくなった。見やると、友撫がすやすやと寝息をたてて、ねている。

「友撫……。」

風花は、友撫をだきしめた。

     ☆

「んっ……?」

俺は、そっと目をあけた。でも、すこしあけただけで光が一気に入ってきて、再びギュッと目をとじる。

「あっ、目がさめました?」
「速水先輩? あれ? ここって……保健室?」
「そうだよ。」
「浜野先輩……。」
「いきなりたおれるから、びっくりしましたよ。」

速水先輩が、半分あきれたような顔でいう。

「ちゅーか、なんかうなされてたけど、どんな夢見てたんだよ?」
「やっぱり悪夢ですか?」
「悪夢……。」

悪夢とよべないこともない、自分のほんとうの「過去」。でも、あの映像が実際、夢のなかででてきたことは、はじめてだ。過去としては二番目にいやな記憶ではあるけど……。

「すみません。ちょっと、ひとりにさせてくれませんか?」
「えっ、でも……。」
「速水、そういうときもあるって。ひとりにさせてあげようぜ?」
「は、はい。べつの世界にタイムジャンプとか、しないでくださいね。」

ふたりはそういい残し、保健室のとびらをしめた。
俺は上半身起き上がり、右手のひらをのぞきこんだ。なんだか、まえよりもうすくなりはじめている気がしていたんだ。ユラユラと、すぐかすんでしまいそうな……それくらいの、うすさに。でも、ほんとうだったみたいだ。
もう、そうとうからだは、こたえてきていたんだな。精神的についてこれていても、肉体的には……。

『なにしんみりしてる、バカ。』

いきなりとなりから声をかけられ、俺はハッとした。その声は、鼓膜ではなく、直接あたまに流れ込んでくる声。
アクアの声だった。

『おまえ、けっきょく《半個半幽》の《幽》がすすんできるじゃないか。』
「しかたないよ。……おまけに、時間的矛盾タイムパラドックスの影響もあるしな……。」
『同時に、おまえは時間的矛盾のおかげで、いまいられるともいえるがな。』
「ふたつの現象が、いっきにおそいかかってきる、って言う認識で、いいのかな……。」
『そうとるのが、打倒だろうな。』
「……うん。」
『もう、限界か? それとも、みんなに自分のほんとうのすがたを知られるのが、こわくなったか?』
「そんなことない。……でも……。」
『ったく! ひとつだけ、率直にいおう。おまえは、雷門の役に立ちたくてきたかもしれないけれど、いまのおまえは、はっきりいって、ただの足手まといだ! いちばん、おまえが足手まといになるのは、ひとりでウジウジかかえこんで、それが爆発したとき。
 なやみは、だれかに相談すればいい。だれでも、いいから……。』

アクアはそういったあと、俺のからだのなかに入っていった。

「でも……。」

アクアのいったことはズボシ。けれど、相談する相手なんて……。
とてもじゃないけれど、だれにすればいいのか、わからなかった——。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.186 )
日時: 2013/01/07 11:52
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ysgYTWxo)

八話   「すてられ……」



「恐竜時代って、おもしろいんだねっ。」
「友撫ちゃんもわかってくれた? 恐竜のすごさとか!」
「そりゃ、もちろん! 一日中いれば、すごいことくらい、わかりますよ〜♪」

むこうで、友撫と信介が、キャッキャッとはしゃぎながら、しゃべっていた。ふたりは火に照らされ、顔がほんのり、赤く見える。
空をあおげば、キラキラと輝く星々が、たくさん光っていた。やっぱり、星は、こっちのほうが、きれいに見えるんだよな……。明かりがないし。

「風花?」
「あっ、フェイ……。って、いまは『ユエ』なんですが。」
「ご、ごめん。つい……。」
「どうしたんだよ? それはそうと。」
「……となり、いいかな?」
「いいぜ。」

俺がこたえると、フェイは、ゆっくり俺のとなりに、腰をおろした。そして、さっきの俺とおなじように、空をあおぐ。

「きれいだよね……。」
「ああ。……むかし、これとおなじくらい、きれいな星空を、見たことがあるんだ。フェイたちの時代から、ざっと二百年前のことなんだけどな。」
「そっか。月とかも、でてたの?」
「月がでてた。たしか、満月で、銀色のやつ。星がキラキラまたたいてて、青い色をした鳥が、空を飛んでたんだ。いま思いかえせば、ほんとうにきれいで……。でも、あの星空を見たときは、星にあざ笑われているようにしか、思えなかった。」
「きれいってわけじゃなくて……あざわらわれている? どうして?」
「うーん……。そのときは、友撫とふたりきりで見上げていたんだ。…………両親に捨てられたと、思いながら。」
「えっ……?」

フェイの顔が、きゅうにくもった。いやなことをいってしまったと思い、あわててあたまを下げた。

「ご、ごめんっ。こんな話して……。こたえよう、ないよな……。」
「あっ、う、ううん。ただ、ちょっとね……。」

フェイはふいと顔をそむけ、天馬たちのほうを見た。俺も、しぜんとその先を見る。そこには友撫もいて、トーブがピョンピョンとびまわる度、友撫も楽しそうにわらい声をあげていた。みんな笑顔で、ついついこちらも、ほおがゆるんでしまうような光景。なんだか、あの日のできごとが、ほんとうに遠くに感じられる……。
でも、現実は現実。逃げられない、くるしいもの。
いまの自分の存在からも、逃げることはできない。
たとえそれは、生きていても、死んでいても——。

     ☆

キラキラの星たちが、俺たちを見守りながら、かがやいていた。たきぎが消され、あたりはほんとうに、月光以外、なにもたよれる光のない状態となっていた。
大きなあなのなかに、ねむっていた俺は、ふと目がさめた。なんだか、だれかが話しているような感じがしたから……。
その予想はあたっていた。フェイと、ワンダバだ。どうやら、トーブのことについて話しているらしい。

(トーブか……。いいよな、ああいうやつは。俺も、あんなふうに、しばられない人間でありたかったかもしれない……。でも、なんで原始時代のまえだというのに、人間がいるんだろう? もしかして、エルドラドからのスパイとか……? いちおう、母さんたちにきいておくか。)

ひとりで、地面にしかれた草を見つめながら、かんがえた。フェイたちの会話はおわったらしく、ワンダバはいっきにねこみ、うるさくいびきをかきはじめる。ま、まじめにうるさいぞ、このいびきは……! まさか、フェイ……ねむれているのか……ッ!?

がさっ……

あ、フェイが起き上がった。しかも、かなりうんざりそうな顔してるよー……。まあ、それもそうか。

「……風花、起きてる?」
「お、バレた? いやあ、フェイの直感には、負けるわー。」

俺は、そんなことをいってみる。でも、フェイは、

「直感じゃなくて……なんか、ゴニョゴニョいってるから。」

といい、俺のほうをふりかえった。その顔は、逆光になって見えない。わらっているのか、あきれ顔なのか……。いや、地味に知りたいww

「俺もちょっくら、ブラブラしてくるわー。」
「えっ、ちょっ……。」

フェイはとめようとしていたようだけど、俺はそれをむしして、穴から飛び出た。


「俺もブラブラしてくる、なーんて、すげえウソww ……つか、フェイもわかっててとめようとしたのかな。」

俺がきてたのは、切り立ったガケの上。はっきりいって、すげえ高いから、こわいです←
……あ、でも、俺何したくて、ここにきたんだろう……?

『とうとう、記憶までうすれるようになってきたのか?』
「うわっ。……なーんだ、アクアかよ。ビビッたー……。」
「ひと……いや、化身がきいていえるだろう? こたえろ。』
「ひとじゃなから化身っていったんだろうけど……ぎゃくにわらえるぞ、アクア。
 ……っつっても、記憶までうすれる、かあ……。わっかんね。」
『まったく……。この際、おまえ、いうっそのこと天界にいってしまえばどうだ? そうすれば、両親ともにいられるし、幸せだろうに。どうして、こんなに雷門に執着する?』

アクアさん、じみにお顔がこわいですよ?

「んー……なんだろ。兄さんの出身校だから……とかかな。あんまり、自分でも、よくわかんねえ。」
『まあ、こんなことだろうとは思っていた。でも、無理はするなよ? わたしの身に負担がかかるのだからな。』
「自分のことだけかよ。やっぱりな。」
『お、おまえのことも、いちおう心配してる……ぞ?//』
「へー。そりゃあ、どうも。」

つか、アクア顔赤ッ。水鳥なのに、だいじょうぶかよ。
……アクアならだいじょうぶだな←

「…………! なんの用だよ、母さん。」

いきなり亡霊のようにあらわれるでないわ。

「フェイくんと話していたことが、どうしても気になってしまって……。」
「きいてたんかい。ぬすみぎきー。」
「失礼ね。きこえちゃったのよ。……その子が、実体化したアクアね?」
『ええ。はじめまして、風花のお母さん。』
「はじめまして。」

ふたりとも、なんか、リアルだよ。会話が。そして、俺をはさんで話すな。

「で、気になったって、なにが?」
「捨てられたって……あれは、誤解なのよ。」
「わかってるって。だって、俺が死んだとき、わかったもん。最後までききとれなかったけど、なんとなく意味は通じたし。」
「……なら、いいんだけど。」
「母さんも父さんも、たいへんだったことはわかってるよ。でも、友撫と待っていたとき……つらかった。」
「友撫にも、深い傷を負わせてしまったのよね……。」
「ああ。……それだけ?」
「それだけよ。必要以上に長くはいないわ。じゃあね。」
「うん、ばいばい。」

母さんは、にこっと笑うと、その場を去った。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.187 )
日時: 2012/12/13 18:52
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)

九話   「無力」



「ん? あれは……。」

べつのガケのほうを見ると、フェイとビッグが、ふたりで話しているようだった。アクアが、ぽそっとつぶやく。

『やっぱり、彼は……。』
「えっ、なにさ、アクア?」
『……きいていれば、わかる。』

アクアはいうと、俺のからだのなかにすうっと入っていった。きいていればわかるって……ぬすみぎきしろてことだよ……ね?
なんかいやだなあ。でも、アクアのいっていたこと、気になるし……。まあ、いいっ。それを悪用するわけではないのだ☆((←
と、いうわけで、ふたりの会話に耳をかたむける。

「ぼくの両親は、ぼくをおいて、家をでていったんだ。」
(えっ……?)

俺は耳をうたがい、フェイの方向を見やる。フェイの顔は、つらそうな、でも、どこかへいきという、複雑とはいえない……そんな、むずかしい表情だった。

「でも、きみはちがう。だから、きみはメゲちゃだめだよ。」
「クゥー……?」
(フェイ……。)
「フェイ……。」

俺の心の声と、岩陰からの天馬の声がかさなった。

「! 天馬……。」
「ご、ごめん。つい、きこえちゃって……。」

天馬はそういうが、フェイはフイと顔をそむけた。つまり、天馬くんもぬすみぎきしておった、ということですな。
というわけで、ひとつ情報収集したな。でも……。

(フェイは、俺とはちがうよ……。)

俺は、フェイとはちがう。でも、ビッグともちがう。フェイの両親はなにをかんがえてか、よくわからないけど、ビッグの母さん……ロックスターは、ビッグを愛していて、たまらなかっただろう。なのに、りっぱに育てきれず死んでしまったなんて。どれだけの心残りだろう。まだまだ子どもの俺には、想像すらできない。
フェイと両親の事情がわかるまで、ぜったい消えたくないな。
……いや、消えない。だれが消えるもんか。
サッカーをとりもどす。それまで、ぜったいに消えてやらねえ。たとえ、天界のむかえがきたって、アクアとファイアリの合体技で、ブッ潰してやるぜ! ……ブッ潰しはしないけど。

     ☆

翌日。
天馬たちは特訓をすることになった。もちろん、チームメイトである俺たちも、ついていく。

「っつっても、特訓ってなにするんだろうな? あのスピード。」
「うーん……恐竜さんも参加するのかなあ。」

といって友撫が見たのは、トーブの「父」らしい、ケツァルコアトルス。

「いや、あいつは指示くらいだろー……;; さすがにプレイはできんって、あの足では;;」

飛ぶのに長けてるからだなんだから。

「でも、なんかやっちゃいそう((キラキラ」
「友撫、むりやりやらせるのは、俺は断固として反対だぞ。」
「えーっ。」「う、うわあっ。」

友撫の声と、速水先輩らしき声がかさなった。
ハッとすると、なんと、まわりはトロオドンでいっぱい! っつーか、かこまれてる!? ねらわれてる!?

「こいつらも、特訓に協力するっていってるぞ。」
「へ、へえ……;;」
「あっ、でも、そういえばトロオドンって、肉食だよね?」
「ヒイィッ。肉食!?」
「こわがっちゃダメだぞ。ますますねらってるぞ。」
「ヒイッ。いやですよぉっ。」
「しかたないだ。これが、万物のおきてだ。」
「なんだよ、それ;;」

水鳥先輩、ナイスツッコミです。俺も思いましたもん。

「そういえば、最近風花、プレイしないな。」
「ああ、そういえば。」
「なんだ? おまえもやるのか、ふーら?」
「風花だっつーの。ああ、やるぜ。雷門のみんなより、レベルは低いけどな。」
「そんなことないよ!」

天馬、両手をひろげて飛び出してくるのはやめようか。

「トーブ、すごいんだよ。風花はね、化身を二体同時にだせるんだよ!」
「おおっ、なんかわかんねえけど、すごそうだぞ!」

わかんないんかい!
っと、ツッコミはさておき。おどろくことに、トロオドンがポンポン足でボールを蹴って、サッカースタートしとりますがな。

「こいつら、このまえの試合見てたみたいだぞ。」
「へえ。でも、見てただけでこれはすごすぎだろっ。」

狩屋、ナイス。俺も思った。

「トロオドンはかしこいからね。からだに対して、脳がおおきいんだよ。」

信介、解説ありがとう。俺、知りたかったから。

「わるい、みんな。俺、むこうで練習してくるわ。」
「えっ、やらないの?」
「ああ。こんどの試合で、俺の出番はなさそうだし。それに、これ以上ポジションを奪うようなことは、できないよ。とちゅうから加わったしな、俺。」
「で、でも……。」
「じゃ。」

俺は、まだなにかいいたげな天馬をおいて、サッカーボールをひとつ持つと、むこうの岩にむかって、全力疾走。風を切るくらいのはやさで走り、ほおや腕、からだ全体にあたる風が気持ちいい。
岩のまえまでくると、思いきりジャンプ。すたっと岩の上に着地し、すこしだけあたりをながめる。特訓をしている天馬たち、一緒に植物を食べているブラキオサウルスの群、トリケラトプスの大群の一匹をいま仕留めた、ティr……うえっ。なんじゃ、あの光景は。見てしまった、俺は、ティラノがそのするどい牙で、トリケラトプスの○を引きちぎり、うまそうにその○を食べている光景を……。
俺、不幸なヤツだな(←自分で見たんだろ)。

「き、気をとりなおしていくか。」

そうつぶやくと、ボールを高々と蹴り上げた。天に届くんじゃないかと思うくらい蹴り上げた直後、化身を発動した。

「『夢の水鳥 アクア』!」

召喚した、その瞬間。

「ううっ!」

激しい頭痛がおそい、思わずしゃがみこむ。発動されたアクアは体内にもどり、俺は近くの壁に手をついて、ようやく態勢をとりなおす。頭痛のせいか、目のまえがクラクラしてきて、だんだん息もあらくなってくる。

「あ……はあ……は、はあ……ッ。」
(くそっ、なんで! なんで! なんで、こんなに無力に……!)

俺は、壁についている手をこぶしにして、壁をたたいた。しかし、さすがに壁とはいえ、岩の壁。俺はいたみで、思わず手をもうひとつの手でおおう。たたいた手を見ると、人さし指の第一関節のあたりから、つぅ……と血がたれ、地面にポタッとおちた。

「……バッカじゃねえの。」

なに、こんなからだで「雷門の役に立ちたい」なんて……。よくいえたもんだよ。アクアに「バカ」とかいわれても、しかたないよ。
ほんっと……無力。

「なんで、こんなんで役に立ちたいとか、いえたんだろう……。」

軽はずみすぎるよ、俺。

「……化身をつかわずに……。」

いけるかもしれない。
化身の能力をいかすんじゃなく、自分自身の力を高めたり……。
それか、イチかバチかの方法で……!

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.188 )
日時: 2012/12/16 21:22
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)

十話   「長い髪」



イチかバチかで……。

「アクアかファイアリと、ミキシマックスするか……。」
『むだに体力をつかうことは、かんがえないことですよ、風花さん。』
「! ファ、ファイアリ……。」

ふりかえると、実体化したファイアリが、不安そうな笑みをたたえ、立っていた。その短い紅色の髪が、ユラユラと風になびく。

「ファイアリが実体化したのは、はじめただな。」
『ええ。やっぱり、アクアさんにいわれて、すこし気になったもので。』
「気になった?」

俺がききかえすと、ファイアリはこくっとうなずいた。

『アクアさん、とても心配していらっしゃいましたよ、風花さんのこと。』
「どうだかなー。宿主(やどぬし)がいなくなるのが、やっかいなだけのような気も、しないでもないんだけどなー。」
『なんてこというんです、風花さん。アクアさんは心底、風花さんがムチャなさるんじゃないかと、ずうっといっていらっしゃるんですよ。』
「ふぅん……。」

アクア、大まじめに心配することもあるんだ……。

「……俺、髪切ろっかな。」
『えっ!?』
「だって、この髪は、友撫のためにのばしてたんだ。母さんに似せるために。……でも、もうその必要も、なくなった。」
『で、でも、ずっと大切にしてたじゃないですか、その長い髪。風花さんは、それでいいんですかっ?』
「べつに。…………どうせいちど、切ったことあるし。」
『そ、それは、自分の意志ではなかったではなかったではないですか。』
「経験があるから、べつにいいっていってんの。ファイアリ、はさみ出して。」

俺がたのむと、ファイアリはいつにもなく、真剣なまなざしで、俺を見た。

『い、いやです。』
「なっ。なんで!」
「だ、だって、風花さんの髪を切ることなんて、できませんもの。』
「そ……か。」

ファイアリって、意志の強いヤツだったんだな。しょうじき、ちょっとナメてたや。

「なら、自分でやるさ。」
『!』

俺は、ポケットからはさみをとりだし、ゆっくり、髪に近づけていく。もうすぐ髪にとどく——という、その瞬間。

『させませんよっ。』

ファイアリが力を発動させ、俺の両方のほおスレスレに、つくりだした炎をあてる。でも、それ以上は近づかせないことに、俺はフッとほほえんだ。

「それ以上は近づけられないよな? だって、むだだって知ってるし。」
『それは……ッ。』
「ま、俺がもし仮に、この炎で死んだとしたら、おまえが消えるだけだもんな?」
『わ、わかっているなら、切らないでください。』
「……ごめん、やっぱり、むり。」
『! やめ……っ!』

ザクッ

耳元でにぶく、切れる音がした。パサパサと音をたてて、たくさんの髪がおちていき——……。
髪を切っていた。

『あっ……。』
「よかった……やっと、これくらいの決断力がついてて。」
『よかったじゃありません! なんで、こんなっ……。』
「だって……むだなんだもん。もう、友撫もこの長い髪、求めなくなったし。」
『風花さんっ。』
「わるい。俺、みんなのところ、もどるわ。」

ファイアリがまだいいたげではあったが、ひと息もらすと、俺のからだのなかに、すうっととけていった。

「ごめんね、アクア、ファイアリ……。」

ぽつりと、そんなことばをもらした。
ほんとうは、ファイアリもアクアも、俺を心配してくれてることは、とっくのむかしから知っていた。俺が《半個半幽》になり、不安そうにしていたとき、ちょうどアクアが俺を宿主として選んだんだ。でも、そのとき、俺はフィフスでのとらわれの身……。アクアを抜群につかいこなせるまでの能力があるかは、自分でもわからなかった。
その日から数週間後に、化身を実体化させることができるようになったんだ。理由は、たぶん、新しくアクアが、俺を宿主に選んでくれて、ちょっとがんばろうと思ったからだったと思う。いつもより、特訓……っていうより、修行に近かったけど。まあ、その修行をがんばってみたからだった。
でも、そっからアクアのおせっかいさや、いやらしさを知ったんだけどな……。半分、実体化させられるほどの実力を、つけないほうがよかったって後悔したときもあったよ。
けど……おせっかいじゃなくって、心配して、世話を焼いてくれているだけだったみたいだ。……いやらしい理由は、なんなんだろう。ちょっと気になるかも。
こんなに尽くしてくれているのに、俺はけっきょく、ふたりをふりまわして、迷惑しかかけられないんだなー……。

「……いくか。」

俺がみんなの元にもどると、フェイがど派手に転んだ瞬間だった。

「うわっ;; フェイ、だいじょうぶかよ!?」

俺は気持ちを切りかえ、フェイにかけよった。こうでもしないと、暗く接して、……転校初日の体育の授業中に輝にいったようなことを、いってしまいそうだったから。

「う、ん……? えっと、え……?」
「どうしたんだよ、フェイ?」

フェイは、「このひとだれ?」っていう顔。
あっ。ま、まさかっ。

「もしかして、髪切っちゃってわかんなかった? 俺だよ、ふ……ユエ。」
「えっ!? ユ、ユエ!?」
「うっそ!」
「髪切ると別人って感じだねっ。むしろ、そっちのほうが似合うかも! 女子っぽいしっ。」

ううっ。信介、ほめてんの? けなしてんの?

「……。」

あれ? フェイ、ノーリアクション? てか、一ミリたりとも動かないけど!?

「フェイ!?;;」
「ハッ。あ、ご、ごめん;;」
「そーいや、プエは、サッカーやんねえのか?」

トーブくん、プエって、俺のことかな?^言^

「そういえば、最近やらないよね。」
「うん、そうだよね。どうしたの?」
「出番がないだけだしー。やろうと思えばやれるしー。……っていっても、みんなよりレベルは、ドドンと低いけどな。」
『うそつけ。このバカ。』
「だから! バカっていうの、いいかげんやめろよ! ……って、あ?」
「だ、だれ!?」

俺は思わず、人さし指をたてた状態でぽかーん、天馬たちは、敵かと思い、身構える。

「びっっくりしたー……。なんだ、おまえかよ。」
「ユエ、知り合い?」
『知り合いもなにも、ふ……ユエの化身だよ。』
「へー、ユエの化身……って、風花の化身ん!?」

信介、おどろきすぎ。

「ふ、ユエの……!?」

あり? 意外とフェイさん、びっくり仰天って感じ。

「どしたの、フェイ?」
「もしかして、彼女は実体化した……?」
「ん? ああ。まあ、そうだけど。」
「す、すごい……。そうとうの実力者じゃないと、できないはずなのに……。」
「へー、そうだったんだ。」
『やっとうぬぼれなくなったという証拠だ。やあっと進歩したな。長年、まったく進歩がなかったが。』
「おまっ! いま、一瞬鼻でわらっただろ!」

俺とアクアが、ふたりでコントのようなものをくりひろげていると、

「ねえっ、ユエ!」

と、いきなり信介が、俺に声をかけた。

「ん? なんだよ、信介。」
「ユエもさ、一緒に特訓しようよ!」
「……は!? いやいやいや。トロオドンさんたちと!? むりだっつーの!」
『やれ。これは命令だ。やらないと、おまえのあたまに、氷がつきささる。』
「え……;; や、やります、はいっ。」

というわけで、強制的にやることになりました。もちろん、アクアがいつ、氷を俺のあたまにつきさすかわかんねえから、とりあえず引っ込んでもらった。

「お兄……。」
「ん、どうした、友撫?」

俺のとなりに歩みよってきた友撫の表情は、不安げだった。

「なんで、髪切ったの? それじゃあ、まるでむかしのi 「友撫、その話は、またあとで……な?^^」え……う、うん。」

友撫は、納得がいっていない顔だった。

Re: イナクロ〜なくしたくない物〜キャラ人気投票&2000越え ( No.189 )
日時: 2012/12/16 21:24
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: ftamISp/)

きょう、「もちもちきなこもち」を、食べてきました。

風花「・・・・・。」

すいません;;


えっと、イナダンの映画を観てきたんですよ! いろいろわらいました←
去年は、まわりは大きい女のお友だちが多かったですが、今年はちっちゃい子も多くて、いやあ、安心、安心。
……って、わたしも大きいお友だちの種類なんだっけ;;






最近、小説一話一話が長くなってきて、けっこう書いててたいへんなんですよねー……。

と、いうことで、(どういうことで?)更新はおそくなるおそれがあります! あんまり関係ありませんが。

冬休みは、みっちり勉強かなーという感じです;;


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