二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- レッドレイヴン 〜Cat End〜
- 日時: 2012/03/29 16:53
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
初めまして!黒簾香菜と申します。
ちゃんと書けるかは分かりませんが、頑張ってみます。
注意
・荒らしはしないでください。
・キャラ崩壊するかもしれません。
・もしも気に入ってくれましたら、感想を貰えると有難いです
以上です!
この他にも、「小説家になろう」という所で小説を書いています。そちらも見ていただけると嬉しいです。
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- Re: レッドレイヴン 〜Cat End〜 ( No.177 )
- 日時: 2012/11/06 03:55
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
謝罪がしたいと言って、男は家にあたしを誘った。部下達がついて来ようとしたが、断り、結局二人っきりだ。
特に気があったわけでも無い。だが、何だかあの純粋な笑みが忘れられなかった。
こんなにとろいのだから、安全だろう。
簡単にそう判断してはいたが、護身用に武器は持っていた。
それに気が付いていないのか、ニコニコと優しい笑みを浮かべる彼。
色黒の肌に癖のついた古い血色の髪と赤い瞳。その外見は、やはり物珍しい。
「へ〜、ヴィーナさんって言うんですか。俺は、シグマって言います。独り暮らしで狭い家だけど、お詫びに夕食位は食べていってくださいね」
「ああ・・・」
「何か嫌いな物ってあります?」
「ピーマンが・・・・・否、何でもない」
正直あの野菜は嫌いだ。苦くて、青臭くて焼くとふにゃふにゃする。
「ははっ!意外ですね。ヴィーナさんってもっと大人っぽい人だと思ってました」
「何でもないって言っただろう!」
「そうでしたね。俺は何も聞きませんでしたよ」
楽しそうに笑う。あんな素直そうに笑う者など、子供位しかいないと思っていた。
でも案外、悪くは無いかもしれない。
「ふふっ・・・嘘をつくな。嘘を」
思わず笑みがこぼれた。
「やっぱりバレましたか」
苦笑いをしながら荷物を抱え直して、そっとあたしの顔を覗き込んでくる。
「ヴィーナさんは」
「えっ?」
聖人を思わせる清らかな微笑。
「笑ってる方が、良いですよ」
本当に急に、初めてそんなことを言われて
顔が火照ったように思えたのは、きっと気のせいだ。
- Re: レッドレイヴン 〜Cat End〜 ( No.178 )
- 日時: 2012/11/10 16:01
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
その後、夕食をご馳走されて。
仲間達に冷やかされながらも帰宅。
何故だか知らないがシグマもあたしを気に入ったようで、よく会いに来た。
そのたびに惹かれて。
でも、それもきっとこういうあたしの運命なんだとそう思っていた。
部下達も彼に慣れてきた頃。
「えっ・・・・・とさ・・・・」
「何だ?言いたいことがあるならはっきり言え」
「俺と・・・・その・・・・」
顔を真っ赤にしてうじうじする彼。
こういう所は嫌いじゃないが、ちょっとイライラする。
「ハッキリしろ!」
「俺と結婚してください!」
「・・・・は?」
一瞬、時が止まった気がした。
「否、俺・・・・・ヴィーナのこと好きだから」
彼はちょっと常識が無い。
「待て・・・・・あたしは、お前と付き合った覚えがないぞ?」
「えっ?付き合うって?」
軽く予想はしていたが、まさかな。
「知らない・・・のか?」
「うん」
「結婚は知ってるのに?」
「結婚は好きな人とずっと一緒にいることだよね?」
「まぁ、そうなんだが」
「ヴィーナは、俺のこと実は嫌い・・・だったとか?そうなの?」
「否、お前の事は・・・・」
周りにいた部下からの視線が痛い。あたしは今、どんな顔をしている事だろう。
「好き・・・・だけどさ」
その声を聴いた途端、周りから歓声が上がった。
部下達がシグマを取り囲む。
「やったじゃん!言った通りだろ」「オレは成功すると思ってたぞ!」「羨ましいぞ!この野郎!」
気が付けば乱痴気騒ぎ。殴り合う者もいれば、いつの間にか酒を取り出して飲み始めた者もいる。
「てめぇら!謀ったな!こいつに余計なこと教えて!」
「「顔が赤いですよ!ボス!」」
これも運命だ。そう思っていたけれど、奇妙なほどの嬉しさと安堵感。そして・・・
「ヴィーナ!」
初めて会った時と同じ純粋な笑みを浮かべて彼が来る。そんな彼を、こんなに愛しいと感じるのは
本当に、ただの偶然?
- Re: レッドレイヴン 〜Cat End〜 ( No.179 )
- 日時: 2012/11/13 05:02
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
距離が縮まるなんて、あっという間だった。
結婚して、最初はどうしたらいいか分からなくて、照れて、シグマの事を殴ったりもしてた。それでも、彼はそんなあたしの傍に居てくれて。
そして、妊娠していると知った時、その知らせが入ったのだ。
「子供を、売ってくれ・・・?」
シグマと結婚してから、彼のつてで何かと交流の増えたスキャッグスファミリー。彼らから、そう言われたのだ。
今あたしの腹の中にいる子が欲しい、と。
「うん。勿論断ったんだけどね」
不安そうなあたしを心配してか、彼はそう言った。そして、大分大きくなったあたしのお腹に手を添える。
「大丈夫、俺が頑張るから、スキャッグスに隙は見せないよ」
売ってくれ、と言っているのだ。こちらに金が無く、鬼気迫っていたらそうならざるをえないかもしれない。経済面で隙を見せたら、この子が売りに出されると考えていいだろう。
シグマは荒事が苦手なため、経済面を任せていた。彼が優秀なおかげで、クレギターファミリーは豊かになってきている。
経済面で衰えるなんてこと、そうは無い。
「そう言えば、何でこの子が欲しいなんて言ってるんだ?まだ生まれてもいないのに」
「ああ、それは・・・」
そこで、彼は言葉を濁した。何か言い難い事らしい。
「俺の子供、だからかな?」
「はぁ?」
それでは、あまりにも抽象的すぎる。何かもっとちゃんとした理由があるはずだ。
それが何か聞きたいが、シグマはどうしても言いたくないようだ。
しょうがないので、この話はここで打ち切った。
後にあたしは、このことを後悔することになる。
- Re: レッドレイヴン 〜Cat End〜 ( No.180 )
- 日時: 2012/11/16 17:06
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
シグマがあまりにも優秀だったため、すっかり見落としていたことがあった。
それは、経済面で活躍してくれていた者達の消失だ。色々と不満が出てきた者達。特に、経済面を支えてくれていた者達がボスの夫との仕事ということでストレスを抱え、次々にファミリーを脱退していった。それからはシグマが全て仕事を一人で回しているようなものだ。
すなわち、彼一人が死ねばクレギターは経済面で衰える。
どうにかして新しい人材を確保しないと。と、そう思っていた時だった。
- Re: レッドレイヴン 〜Cat End〜 ( No.181 )
- 日時: 2012/11/16 17:07
- 名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)
「まぁま?」
「・・・ん?何だ?」
生まれてきた娘は、一歳になった。
まだあまり立つことが出来ずにハイハイしながらあたしの足元までやって来る。言葉の発達が目覚ましく、とても将来が楽しみだ。
柔らかい頬をつつくと、楽しそうにきゃはきゃはと笑う。
その目は赤く、髪に癖がついている所はシグマそっくりだ。しかし、髪は黒く、肌は白い所はあたしに似ていた。
「ぱぁぱ?」
「ん?シグマなら出掛けたぞ」
そう言うと、言葉がきちんと理解できているのだろうか、少ししょぼんと寂しげな顔をする。
「何だ、あたしじゃ不満か?」
抱き上げて、軽く振り回す。すると、さっきまでの表情とはうって変わって実に楽しげな表情になった。
愛しい、と心から思う。
こんな小さな命が、あたしとシグマの血を受け継いでいるのだ。嫌いになるはずがない。
二人でじゃれていると、書類を渡しにやって来た部下の一人が話しかけてきた。
「ボス、俺にも抱かせてくださいよ」「あ、ズルいぞ!」「親子の中裂くなよ、二人共!」
部下達は子供好きが多い。この前言葉を話し始めた時など、誰の名前をあたしとシグマの次に覚えさせるかで殴り合いの喧嘩になっていた。(本気で怒鳴って止めたが)
まあ、それほどに子供が好きなのだ。
「そういえば、ボス」
「何だ?」
ティアラ争奪戦が繰り広げられている中、部下の一人が話しかけてきた。少し硬直した表情をしていて、すぐに真面目な話だと分かる。
「実は、庭の花園でシグマさんが何か怪しげな事をしていまして・・・私は正直あの方を好きにはなれません。飄々としていて何を考えているか分からないし、何よりもスキャッグスファミリーの部下をやっていたというのはいただけません。ボスが気に入ったのなら私が何か言うことではないと分かってはいますが・・・」
「そうか・・・あいつは、まだその場所にいるか?」
「はい。恐らく」
「報告有難う。見に行ってくる。ティアラの世話は任せたぞ」
「了解しました」
彼の顔に安堵の表情が戻る。
シグマをあまり良く思っていない者が多いのは分かっていた。常に笑顔を振りまき、本性を見せない所。スキャッグスファミリーでの事や彼自身の事をあまり語りたがらない所。
確かに色々と怪しくは思う。それでも、あたしは——————・・・・
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