二次創作小説(紙ほか)
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- 探偵チームkz事件ノート * 第一話 *
- 日時: 2018/03/03 11:35
- 名前: ミカン (ID: 98AXyywb)
皆さん、みさです!
初めましての方、あぁあいつかと思ってる方、ッチこいつかよと思ってる方、え?誰?と思ってる方、この小説違った?と思ってる方。
みさですよ?
こちらは、『探偵チームkz事件ノート』の小説です!!
何人かの目線から話は展開されていきます。
でも、読む前に、気持ちよく読んでほしいので↓↓を読んで、嫌そうな人はやめておいてね!
*諸注意*
・更新ペースは不定期ですが、Twitter始めたのでそこで宣言してます
・一話は当初の5人のメンバーしか出ないですが、話数を増やすごとに増やしていきたいと思ってます
・キャラ崩壊しています
・こちらは『探偵チームkz事件ノート』の小説ですが、こちらにはミステリーの内容、事件性は含まれません
・恋愛もので、みんなは『アーヤが好き』という設定です
・一話は上杉はアーヤのことを「立花」ではなく「アーヤ」と呼びますが、次からは「立花」に治します
これが許せる方は、ぜひ読んでください。
でも、「kzはミステリーを解くから面白いんだ!!」という方はやめたほうがよろしいかと…。
気づいた点、アドバイス、感想は一人でもいいからほしいです…。
それではよろしくお願いします(o^—^o)ニコ
< 目次 >
【本編】
・第一話 『海は知っている』
【特別編】
・ハロウィン編 >>38-43 (>>38 >>40 >>43)
・ポッキー編 >>49
・クリスマス編 >>76-83 (>>76 >>78 >>81 >>83)
- Re: 探偵チームkz事件ノート * 第一話 * ( No.102 )
- 日時: 2017/11/12 18:46
- 名前: みさ ◆vcEFZb20jc (ID: 98AXyywb)
参照6600行きました!
ごめんなさい!
本編書きます!
きっと更新します!
だから、見捨てないでください—!(´;ω;`)
* * * * * * * * * * * * * * *
【立花side】
ふぅー、スイカ重かったな。
上杉君kzだしやっぱ軽々持ってる…。
あ、でもちょっとふらついてる。
でも、大通り以外の道があったんだね、私の努力は…トホホ。
「アーヤ、あのさ俺たち今からバレーの試合やるんだけど、お前どうする?」
あ、そっか。
私一人か、どうしようかな…。
「わ、若武!あのさ…」
「なんだ、小塚」
小塚君はキョロキョロすると、上杉君が戻ってくる前に二人で離れた場所に行ってしまった。
何話してるんだろう…ちょっとなら。
私も少し近づこうとすると、黒木君が笑って「だめだよ」って阻止してきた。
「で、でも…」
「きっと、男の話なんだ。アーヤを取り残してるわけじゃないよ、ほら戻ってきた」
あ、本当だ。
小塚君なんだかうれしそう。
反対に、若武なんか顔嬉しくなさそう…。すっごい複雑そうな感じ。
若武は戻ってくると、みんなが揃ってきたか確認した。
「今回、小塚は参加しないらしい。だから、俺、黒木、上杉で総当たりだ」
「小塚君参加しないの?」
「うん。僕があんなところに入ったら一瞬で負けちゃうし。それにね…」
こっちを少し凝視する。
な、なんだろう。なんか顔についてる??
「う、ううん。なんでもない」
若武は、何かもの言いたげにこっちを見ている。
もしかして、すねてるのかな?
両手を前で合わせて「ごめんね」と訴えかけると、ポッと顔が赤くなりそ歩を向いた。
お、怒っちゃった?
「大丈夫アーヤ。若武は怒ってないよ」
「本当?」
心配で聞いてみると、「ああ」と黒木君は笑って言った。
ってか、私話聞いてなかったから何すればいいのかわからない!!
「若武、さっきはごめん。もう一回話して?」
「一ゲーム九点。それを二セット取ったやつが勝ち。で、総当たりをするから一人残るだろ?そいつが審判」
「私は何してればいいの?」
若武は考えると、私の腕をつかんでいった。
「いいか。離れるなよ。女の一人の行動は危険だからな」
いつもは、女扱いされるのは嫌!!
なんだけど、今回はあまりの迫力に頷くことしかできなかった。
「おーい若武。ちょっと練習してる」
「俺も行くから」
声がした方を向くと、黒木君と上杉君が立っていた。
でも、私は違う方に気を取られていた。
さっきまでは上に服着てたんだけど…その、今は海パンしかない状態。
き、筋肉がすごい。
さすがkzだよね。
若武も、すぐ上を脱ぎ、ボールを持って練習しに行った。
そういえば小塚君は?
さっきから見当たらないけど…見回すと、海の近くでしゃがんでいる小塚君が見えた。
何か見てるのかな?こっそりと近づいてみた。
- Re: 探偵チームkz事件ノート * 第一話 * ( No.103 )
- 日時: 2017/12/17 19:24
- 名前: みさ ◆vcEFZb20jc (ID: 98AXyywb)
参照7300行きました!
返信記念すべき100らしいです!
そしてすいませんでした!
いや、もうあれですね、更新ペースがある意味固まってきましたね。あ、はいすいません。
書きますよ、ええもちろんね!
* * * * * * * * * * * * * * *
【ビーチ】
若武、黒木、上杉はその辺にあった棒でコートをかいていた。
小塚は、海の近くに行って何やらしゃがんでいる。
そこにアーヤが近づいていった。
「な、お前らアーヤどんな水着だと思う?」
その様子を見て、若武が練習している手を止めて二人に聞いた。
同じコート内にいた黒木は顔を上げ、反対のコートにいた上杉は近づいてきた。
「…まず着てるのか?」
「確かに…」
ま、着てるならあのワンピースの下だよな。
何を着てるんだ?!
てか、まず着てるのか?!と二人は珍しく同じ考えを持っていた。
その思いをまるで読み取ったかのように黒木が言った。
「アーヤは着てるんじゃないかな?でもほらさ…」
こっちを見てため息をつく。
それに、若武と上杉が少しイラっとする。
その様子を見て、お前ら似てるのにな…と思いながら説明をした。
「もともとアーヤは俺たちが待ってたりするのを嫌がるぐらいだ。今男子対女子の比率が、四対一だぜ?お前たちはアーヤが脱ぐと思うか?」
「た、確かに…」
三人は海の光の反射で光ってシルエットで見えるアーヤに思いをはせる。
「みてーな…」
「若武聞いて来いよ」
「だめだ。こいつはデリカシーがない」
そして、三人でまたため息をついた。
すると急に近くで「どうしたの?」という声が聞こえる。
「ア、アーヤ?!」
「そんなことより、早く始めないの?」
「えっと…」といいまどろむ若武に変わって黒木が答えた。
「今決めようとしてたんだけど、ルールをもう一度話してたんだよ」
「そうなんだね。私ルール知らないから役に立てないけど…」
さっきまでしどろもどろだったのに、この様子を見て、さっと若武が入ってくる。
黒木は、本当にアーヤのことだと…と感じる。
そして、「俺もか…」とつぶやいた。
「いいか、まず一試合目は、上杉vs黒木!次に、俺vs黒木。最後に俺vs上杉な」
「マジか、連ちゃんかよ…」
黒木は肩を落とした。
上杉は、荷物に入っていたホイッスルを取り出し何回かならし、音が出ることを確認して若武に渡した。
二人がコートに入ると、アーヤが若武に寄った。
「若武」
「なんだ?」
「なんかやることある?」
若武は、「特には…」といってうなる。
でもすぐに何かを思い出したように言った。
「じゃあ、俺が持ってきたリュックの中から飲み物出して、テントの中のクーラーボックスに入れといて。あとタオル三人分も」
アーヤは「わかった」と言って、サンダルを脱いでテントの中に入って行った。
今若武の頭の中ではバレーのことよりも、アーヤの水着しか考えていなかった。
「おい若武ボール貸せ」と言われて、ようやくこっちに意識が戻ってくる。
そして、試合は始まろうとしていた。
- Re: 探偵チームkz事件ノート * 第一話 * ( No.104 )
- 日時: 2018/01/11 23:18
- 名前: みさ ◆vcEFZb20jc (ID: 98AXyywb)
参照8000行きました!
すいませんでした!
いえ、忘れたから誤ったのではなく、いやそもそも忘れてもいないけど…。
なんか、謝りたかったんですよね。
あれ、なんか、目が潤ってきた……
* * * * * * * * * * * * * * *
【黒木side】
まず、俺対上杉でやったんだけど…。
あいつ、全然これに集中できてないから、一セット目は余裕でとれたんだ。
ま、問題はそのあと。
あいつは、なんだ?冷たさが売りだろ?
だから、二セット目は物凄い鋭い目をしてやってた。
「おい上杉、目—こえーぞ」
「おい若武、こっちは試合してんだよ、集中かき乱しやがって」
って、途中で言えたぐらいだから余裕が出てきたって感じかな。
だけど、意識が時々あいつは違うところに行ってる。
だから、ハッとした時にはもう俺が二セット目もとってるってわけ。
ちなみにこの時ルール変えたから、一人三セット取ったら勝ちってなってた。
それであいつも少しは危機感覚えたんだろーな。
二セット目が終わって休憩中に話しかけてきた。
「おい黒木、少しは抜いてくんねーと俺ストレート負けなんだけど」
「上杉、もう負けるって前提か?」
「ここまでくると、気持ちの問題だってあるだろ?」
「……もし悩んでるんだったらこれで吹き飛ばせよ」
そういって肩をたたいてコートに戻った。
あいつは何も言わなかったけど、何か感じ取ったんだと思う。
あいつ自身も気づいてたんだろうけどま、これぐらいの年の男子に、どうすることもできないんじゃないかなって思ってさ。
「おい上杉、さっさとコート戻れよ」
「黙れ審判!さっき俺の集中をかき乱しやがって!」
「んだとぉ!!どーせな、お前は…」
ま、このやり取りを聞いて一番うのは安心だよ。
それと同時に、やっぱ悩んでたんだな、って思ったけど。
ただ、本当にさっきとは打って変わってちがう動きするから最後の最後まで気を抜けられなかった。
ま、俺がぎりぎりストレート勝利だったけど。
そのあともアーヤと笑顔で話せてたし、これでいいんじゃないか?
で、問題はこの後。若武なんだ。
上杉だけでも消耗が激しいのに、この後若武先生だ。
しかも、ちょうどあいつ波に乗ってたから、俺は一セット取ったけど、そのあと三セット取られた。
やっぱり、波に乗ってると無理だ…。
で、最後に上杉と若武。
二連ちゃんはすっげーきつかった。
「黒木君大丈夫?」
「大丈夫とは言えないな。あいつらを立て続けに相手したわけだし」
「そっか、審判頑張ってね!」
頑張るしかないよな。
ま、とにかく犬猿の仲って言葉をまるで絵にしたような二人だろ?
あとは水と油とかね?
若武がとったら上杉が、上杉がとったら若武が、って。
両方二セットずつ取った最後のゲーム。
上杉が最後によろけたんだ。
そこを若武が見逃すわけがないんだ。
で、よろけたところの反対側に一気にね。
ま、あいつのタフさは身長をハンデとした分いいのかもな。
でも実際俺たちが悲しかったのは、別に負けたことが直接的には関係しないんだ。
アーヤと同じ部屋で寝れない、ってやつね。
- Re: 探偵チームkz事件ノート * 第一話 * ( No.105 )
- 日時: 2018/03/03 11:27
- 名前: みさ ◆vcEFZb20jc (ID: 98AXyywb)
参照9400行きました
お礼とお詫びは紙一重…
はい、すいませんでした。
一万行くか、そろそろしたら、まだ本編全然進めてないくせに特別版書きます。
でも下はまだ本編
* * * * * * * * * * * * * * *
【小塚side】
本当は、僕もアーヤと同じ部屋になりたいけど…。
僕がバレーなんてやったら逆にアーヤに恥を見させることになっちゃうしね…。
若武と黒木を見ながら思っていた。
「どうして若武は僕より背が低いのに運動ができるんだろう…」
僕もあんな風に動けるようになりたいけど…。
こっちでいろいろなものを見てる方が楽しいんだよね。
貝殻を拾って、自分の虫眼鏡で観察していた。
「小塚君、何してるの?」
「アーヤ?試合は見なくていいの?」
アーヤと一緒の部屋になるの誰なんだろう…?
でも、その前にアーヤの気持ちも大事だよね。
「黒木君と若武が今やってるんだけど、すごい白熱してる」
「やっぱり…。あ、そういえばアーヤこれ見て」
やっぱり僕は自分の専門分野でいいところを作る方がいいかも。
それに、アーヤに見せたいものもあったし。
ポケットから小さなビンを出す。
「これがどうかしたの?」
「これ砂浜のなんだけど、よく見てみて」
アーヤはビンを手に取り、いろんな方向にかざす。
「これ、星の形してる!」
「そうなんだよ」
ちゃんとアーヤみたいに説明できるかな。
アーヤは難しい言葉を瞬時に分かりやすく説明してくれるけど…。
「とがってるのが星の砂。で、丸っこいのは太陽の砂っていうんだ」
「星の砂は聞いたことあるけど、太陽の砂は聞いたことないな」
「うん、知ってる人も少ないと思うんだ。でもこれ砂っていうけど砂じゃないんだ。なんだと思う?」
アーヤが考えてるところ可愛いなー。
やばい、どうしよう。僕間違った答え言われても正解って言っちゃいそう。
「サンゴ、とかかな?」
「ううん。これ、有孔虫っていうう生物が死んで残した石灰質の殻。だから星の砂は海草とかに付着して生活している有孔虫の骨格が、波などで砂浜にうちあげられたものなんだ。」
「うう、やっぱり小塚君詳しいね」
うぅ!
最後に向けられた笑顔に僕は勝てるかな?
でも、実はこの有孔虫はそれだけじゃないんだ!!
「でもね…」
「おーい!二人とも戻ってこい!!」
僕の声は若武の声でかき消された。
というか、アーヤと二人きりだったのばれた?!
アーヤが「いこ!」と言って、砂の上を走りだした。
ぼくは動けなかった。
だって、みんなはアーヤを笑顔で迎え入れてるけど、僕への目線が本当に怖い!!
僕、ここで生き残れるかな?
ちょっと心配になってきた…。
戻ったときには、みんな僕を待っててくれたっぽくて、すぐに手を振ってくれた。
すぐに腰を下ろすと、若武が待っていたかのように立ち上がった。
「それでは、成績発表をする!」
若武はやっぱり目立ちたがり屋だなぁ。
僕はさっきのことで、みんなに睨まれながらそんなことを考えていた。
- Re: 探偵チームkz事件ノート * 第一話 * ( No.106 )
- 日時: 2018/03/03 15:11
- 名前: みさ ◆vcEFZb20jc (ID: 98AXyywb)
一日に二回登校なんて、めったにしない私ですが、今だからこそしておきます。
てか、自分でも何かいてんのかわからなかった。
でも、読んでほしかったし、書きたかったので頑張りました。
今、忘れないうちにしておきます。
今年、卒業を迎える皆さんへ
* * * * * * * * * * * * * * *
「ありがとう」、ただこの言葉を伝える
「急がなきゃ…」
秀明の廊下を走る。私の始まりの場所へと。
最初に出会った私たち五人。
不安しかなかったけど、いろんなことを体験して、乗り越えることによってきっと絆も深まった。
喧嘩もたくさんして、回りも巻き込んだ。
解散、なんてこともあった。
でも、結局私たちはまた、再び同じ道へとつながれたよね。
教室のドアをそっと開ける。
皆はいるかな。
また、私を誘ってくれるかな?
若武の目立ちたがりな言葉も、黒木君の大人の発言も、上杉君の皮肉な言葉も、小塚君の優しい言葉も、今は宝物だよ。
そっとドアを開ける。
柔らかな日差しをからだ中に浴びながら、光まばゆく教室で目を開く。
…何もない。誰も見えない
もう終わり?
私たちは、卒業したあの時で終わったの?
うずくまり、膝を抱える。
目頭が熱くなり、胸が、息が苦しくなる。
何かがむせあがるような感覚のとき、誰かに呼ばれた。
反射的に、走っりだしていた。
気づいたら風景は、変わっていた。
七夕の日に見た、あの景色。
私はそこへと向かっていた。
ねぇ、私を呼んだのは、砂原…なの?
全力で走り、あの景色へと向かう。
いろんな思い出が体中に流れてきて、涙があふれてきそうで視界がぼやける。
砂原、私初めは怖かったんだ。
きっと、表面しか見てなかったから。
でも、砂原と話していくうちに、大切なのは中身なんだって気付かされたよ。
砂原の強さに何度だって救われた。
本当は、一番つらいのは砂原だって知ってるのに。
それでも、私のことを好きって言ってくれた。
あなたに今必要な言葉は何?
考えても考えてもわからない。でも、私は砂原にあって、「ありがとう」、って伝えなくちゃ。
ふと、視界が開ける。見覚えがある、あの七夕の場所。
でも、どこにも砂原の影は見当たらない。
ただ、突っ立っていた。そんな私に、心の友の声がした。
気づけば見覚えのある廊下。
窓からは、優しい夕焼けが廊下にこぼれる。
自分の胸元に、手を当てる。
そしてまた走り出す。
翼、いる?心の友よ、私を、置いていかないで。
体育館で、ボールの落ちる、音がした。
急に、私の中が静かになる。
さっきまで、悲しみで、渦を巻いていた私の中は、嵐が過ぎ去った海のようにしんと、穏やかになっていた。
心の友なら、私は一人じゃないよね。
心がつながっているのだから。
翼からは努力を教わった。
今までの功績だって、すべて翼の努力の結晶。
すべて、血のにじみような努力をしたんだよね。
私には、翼みたいな、何でも話せる人が必要だった。
心でつながっているような、友達が。
勢いよく扉を開ける。
たとえ、何もなくたって迷いはしない。
案の定、空っぽの教室。震える脚をよそに、最後の場所へ向かう。
七鬼という、表札の家の門を開ける。
初めは、この門はとても高くて、重くて、硬くて開けられなかった。
でも、ここに通ううちに、高く見えた門は本当は、花で高く見えるだけで、重く見えた装飾には、これを手掛けた一人一人の思いが詰められてて、硬かった門は、こんなにすんなり開けられるようになったよ。
これは、忍が、私たちといる間に心を開いたから?
あなたの城へと足を踏み入れる。
今はもう、外へ出れた忍にとってはここだけが忍の場所じゃないんだよ。
忍は大切な人に騙されて、一時は人間不信になったかもしれない。
それでも、心を開いて話せる仲間ができてよかった。
忍は、驚きが詰まっていて、一緒にいるとワクワクした。
それに、私にはできないことができるから、とても頼りになってたよ。
学校に来てくれてありがとう。
私に心を開いてくれてありがとう。
一歩一歩踏み出す脚は、着実にあなたの部屋へとたどり着く。
もうわかっていた。
扉を開けても…誰もいない。
気づいていた、もうみんなは遠くて会えない。
「ありがとう」を言うのが遅すぎた。
あまりにも、距離が近すぎて、みんなの大切さを見失っていた。
もう一度、もう一度伝えなくちゃって思ったのに。
本当の気持ちを言わなくちゃって…でも遅かった?
今度こそ泣き崩れる。
もう、おさえられない涙はとめどなく溢れてくる。
声にならない声をおさえながら、肩を震わせる。
「何泣いてんだよ」
「え…?」
振り向くけど、逆光で何も見えない。
そして、また迷う私の手を影がとる。
そして、一気に走り出す。
「ほら来い、みんな待ってんだよ」
「…みんなはもう、いなかったよ」
すると、影は立ち止まってこっちを振り返る。
「何言ってんだよ、俺たちはいつでもそばにいるじゃねーか」
その言葉は私の胸にしみ込んでく。
やっぱり私の手を引くのは、いつもあなたなんだ。
「行くぞ」という言葉に、大きくうなずいて走り出す。
サクラがひらひらと舞う。
その桜は、私たちの卒業を祝い、そして祝福する。
それに伴って、私たちの集合の目印となる。
「アーヤ、おめでとう」
影たちは、私を見つけると一斉に周りに集まって言った。
私も言わなきゃ。
ここで、言うんだ。
「ありがとう…!」
その瞬間に、霧が晴れたように遠くまでの景色が見渡せた。
今なら、みんなの顔もわかる。
ここまで引っ張て来てくれてありがとう若武。
皆ありがとう。
恥ずかしくて言えなかった言葉や、いつか言おうと思って言い忘れた言葉。
あまりにも近くなりすぎて忘れいていた言葉を思い出す。
まだ遅くない。遅いなんてことはないんだ。
まだ、私たちの声を伝えられる距離にいる。
画面越しでも、機械越しでも、文面越しでもなくて、直接面と面を向き合わせて言える距離にいるんだ。
卒業したら言葉も簡単に言えなくなってしまうんだ。
そう思うと、また胸が張り裂けそうな気持になる。
翼が手を伸ばす。
「アーヤ、俺たちは心の友だ。俺たちほどじゃないけどんなみんなもだ。だから、泣かないで。立つんだ。これはおわりじゃないよ。一時のサヨナラだ」
そういって、みんなをみわたすと、みんなも同様に頷く。
言いたい言葉を言えたから、心の友になれて、離れてもまた会える。
だから私は後悔をしないように、「ありがとう」、と感謝をみんなに。
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