二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【ONE PIECE】とある世界に一般人
- 日時: 2017/11/12 21:20
- 名前: 楼蘭 (ID: 7xKe7JJD)
なんとなく再び迷い込んだ楼蘭です。
今回はこれ一本でやります
ドラえもん並の暖かい目出みていただけると嬉しいです。
(*Φ∀Φ)アタタカイメ……
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.51 )
- 日時: 2022/10/02 21:38
- 名前: 楼蘭 (ID: XTwzLzPc)
【51】
「どこいった!!」
頭上で声が聞こえて来る。走り回る足音も聞こえてくる。
懸命に探し回っているのは誠と勇が消えたから。
「………なんで下にいるんだ?」
めちゃくちゃ不思議そうに声のした上を向く。逃げるために上へ向かった。確かに階段を昇ったのだ。
悩むということを一切考えさせないパワフルすぎる方向音痴に誠は頭を抱える。
「………あれか、錯覚か」
「相変わらず方向音痴を認めないのね」
「方向音痴………だったのか?お前」
「私じゃないですけど、なんなら地面に足つけてませんけど」
「ここはどこだ」
「あのムカつく野郎の巣の中なのは確かだね」
「謎が深まるな」
「そうちゃんはいずこへー」
「そうちゃん?」
勇の双子の弟、総司は極端すぎる方向音痴を正しい道へ引率してきた苦労人。ちなみに誠の方向音痴も含まれるが、本人たちは自覚なし。
「とりあえずこの場所から出なきゃ」
「お前のそれ、抜いた方が良くないか?」
勇が指しているのは誠の左手に打ち付けられた鎹。抜いた瞬間血液が針のようにその相手に突き刺さるのでそのままでいたのだが、普段なら止まるはずの血は止まらず未だに流れている。
「大丈夫」
「いや、でも血が」
「抜いてもらうと確実に怪我しちゃうから、抜くなら敵に向かってじゃないと」
「は?」
「それより海軍なんだよね?応援とか呼べないの?」
「応援………ダメだ!」
突然の大きな声にびっくりした誠は目を大きく見開く。勇も我に返り「悪い」と頭を下げた。だが、その声で居場所がバレてしまう。
「そんなところにいたとはなぁ?」
上から見下ろす男の目に誠は勇の手を引いて走り出す。血が流れ続けている誠は前に倒れ込んでしまう。しっかりと受け止めた勇は背後からやってきた男立ちに向かって誠の腕と鎹に手を添えた。
「いいんだな」
「勢いよくで」
勇は思いっきり鎹を引き抜くと血が吹き出した。それは男たちに針のような形で突き刺さっていく。
自分の能力で止血された誠の姿を見て目を見開く。
「お前、能力者か」
「なんだ知らないのか」
「お前、ブローカー一味のアイラ」
「…こんないかついおっさんに全然似合わない名前だね」
「………確かに」
「そこはどうだっていいんだよ。どうせお前らは俺の金になるんだからな」
不敵な笑みと共に檻が降って来て周りを囲まれてしまう。
「ここはな、ショーの台座なんだ」
誠は慌てて檻を掴むが電流が流れていて弾かれてしまう。と、地面が上がり天井が空く。
「…あぁ、忘れていたがメインはお前だぞ。異世界人、香熏の覇者」
「なんで……それを」
「海軍には俺の情報屋がいるからな」
男の高笑いが聞こえてくるが勇は俯いたまま動かない。
「………また」
「え?」
「また………俺は殺されるのか」
呟いている内容の理解ができない。勇は確かに殺された。だが、それは見ず知らずの通り魔によってのはずだ。
だが、今の話の流れだと前にも同じ職の人に殺されたことになる。
「……どういう…こと?」
だが、誠の言葉は届かない。頭を抱え絶望に打ちひしがれる勇。
「嫌だ………俺は……俺は」
聞きたいことは山ほどあるが、今やるべきことは脱出だ。
「しっかりして!今は脱出方法が優先だから!」
勇の体を揺すりあげた顔を確認すると顔に刺青のような黒い線で模様がついていた。
「いさちゃん?」
顔を上げるも焦点があっていない。記憶が無いんじゃなかったのか。なぜそんなに思い詰めているのか。
名前をもう一度呼ぼうとした瞬間がたんっ!と大きく地面が揺れて明かりが眩しくなる。それと共に周りに煙が拡がっているのが視界に入る。最初はスモークかと思ったが、近くにいた男が突如倒れ込んだその瞬間から周りが阿鼻叫喚となる。
「何が…っ!?」
驚いていた誠だったがそのスモークが鼻を掠めた瞬間に周りの反応が正常だったのだと理解し手を鼻と口に当てる。
「いさちゃん!!やめて!!死んじゃう!!これは青酸カリ!」
勇が警察になった時に教えてくれた。「誠!漫画とかでよくあるアーモンド臭ってものは本当にあるんだぞ!」と。
あの笑顔は今どこにもない。溢れ出る絶望。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.52 )
- 日時: 2022/10/10 09:58
- 名前: 楼蘭 (ID: qNIh9ax1)
【52】
「ボス!!貴石の女神が死んじまう!」
「しかたねぇなぁ」
アイラは頭を書きながら逃げ惑う観客達の隙間をすり抜けながら勢いをつけると檻に向かって刀を振り下ろした。
檻は勢いよく吹き飛ぶ。
「ちょっと予想外だわ」
スモークが土煙に変わりそれが引くと壊れた檻の中で両手を広げて辛うじて息をする誠の姿があった。血は止まっているが身体に出来た赤い鉱石が斬られたことを物語る。
「な……の…つ………もり」
「助けてやろうと思ったんだよ。まぁ結果オーライで毒で死なずにすんだろ?」
「ゴフッ……たす…けてなんて………たのんで…ない」
誠が吐いた血の塊は大きな鉱物へと変わる。
「貴石の女神!本物だ!」
「本物がでるとは!」
その様子を見た観客達が目の色を変える。だが誠は立っていられなくなり地面に座り込んでしまった。息は荒い。出血は無いとはいえ斬られたダメージは残る。イサミは気を失ったようで誠の背後から動かない。
「香熏の覇者が目玉だったんだがなぁ。まぁ結果オーライ。おい、香熏を殺せ」
そういうと舞台の脇にいつの間にかいた男が銃口をイサミに向ける。
人を人と思わない言動。人の気も知らずにただ物のように人を見るコイツらはなんなのだろうか。あんなに会いたかったイサミは誠のことなんて覚えていない。イサミも誠自身も好き好んでこんな能力を手にした訳では無い。
誠が前を向いた瞬間瞳はラピスラズリの色を灯す。
「……そんなに………欲しいなら………あげるわよ」
「何言ってっ!?」
その場の至る所から突如として鉱石が生み出される。だが前に船で起きたものなんかじゃなく氷山のように鋭利に尖ったもの。会場にいた客達の悲鳴が再び上がる。
そうだ、このまま全員居なくなればいい。こんなヤツらがいなくなったところで何も変わらないのだ。
誠の中の黒いものが巻き上がる。
「大丈夫、落ち着け」
心地よい声と暖かな安心出来る手が誠の視界を遮る。
あぁ、そうだ。自分は今も人に恵まれている。こんな自分を気にかけてくれる人がいる。
手が離れ誠の目の前に赤い髪と黒いマントをなびかせたシャクンスの姿がある。
「よく頑張った」
振り返ったシャンクスの笑顔に誠も笑顔で返す。
「………はい」
「イサミ大佐!」
その声に振り返るとライアとドレストの姿があった。優しく抱き起こされるイサミだが、頭からの出血と折れた檻の破片が右脇に刺さっていた。
「赤髪が海軍となぜ一緒に?」
「貴様がわしの部下を連れてったからじゃ!ジェーコフ!」
その大きな声に驚けばあの扉を吹き飛ばしたルーカス中将が入口を塞ぎ仁王立ちでたっていた。
「中将、あれはジェーコフではありません。ブローカー一味の殺戮のアイラです」
「ん?そうなのか?まぁなんでもいいさ。捕まえればな!!」
緊張感のなさだがそのアイラに向かって先陣切って向かっていくルーカス。勢い激しく鉱石が破壊される。
「あの爺さん、俺らのこと視界に入ってないな」
「とりあえずそいつ連れ出すか」
「誠?」
誠の異変に最初に気がついたのは背後にいたベックマン。呼吸が荒くなり始めたのだ。
「ライト!レオン!」
イサミの治療当たっていた二人を呼ぶ。
「ゲホゲホっ!ッゴフッ」
抑えていた手から溢れ出す程の血を吐いた誠はそのまま気を失った。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.53 )
- 日時: 2022/10/10 21:44
- 名前: 楼蘭 (ID: yyWFfh9m)
【53】
だめよ、思い出させちゃ
リンとした声が頭に響く。見渡す限り真っ白な場所。
イサミは過去を思い出させちゃダメなの。
ただ誠は昔のように名前を呼んで欲しかった。頭を撫でて欲しかった。ただそれだけなのだ。なのに声はダメだという。
もうあなたの知っているイサミじゃないのよ?それにあの紋様は命を削るの
命を削る?
あなたも能力の使い方をもう少し考えなさい。悪魔の実のように海に嫌われることは無いけど世界に嫌われているのよ
その言葉がいまいちピンと来ない。世界に嫌われるとはどういうことなのか。
あなたたちは当たり前に生きていることを、存在していることを自覚できてない。生きる決心ができてないからすぐに世界に消されてしまう。紋様はそのカウントダウン。イサミは過去を消すことでその心配が無くなったけれど、思い出せばすぐさま紋様が浮かび上がる。その紋様が全身を覆えば……死んでしまうのよ
突然の発言に言葉を無くす誠に声の主はため息をこぼす。
だからもう思い出させちゃダメ
ほら、もう起きる時間よ
まだ聞きたいことがいっぱいある。イサミは、兄はなぜ裏切られたのか。通り魔じゃなかったのか。
あなたはあなたの人生を生きなさい
イサミはイサミの人生を生きているの
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.54 )
- 日時: 2022/10/15 11:25
- 名前: 楼蘭 (ID: Cnpfq3rr)
【54】
ふと目を開けると木目の天井が視界に入る。その近くの窓からは青空が見えている。
「……あれ?ゆてない……」
誠は慌てて起き上がり窓の外を見た。そこはいつからか見慣れた海ではなく建物が立ち並ぶ街。遠くに見える船が赤髪海賊団の船で出航しようと動き始めた。
「……ぇ…………なんで?」
窓を開けそこから飛び降りようと足をかける。
「……やだ…………まって」
目の前のことに自分の状況など把握していない誠はそこが5階であることなどつゆ知らず。そのまま足を話してようやく自分の置かれた状況を把握する。だが、誠は落下することはなくがっしりと腹部を抱えられて止まった。
「おいおい、お前はいつから自殺願望者になったんだ?」
その声に慌てて顔を上げると呆れた顔のシャンクスがいた。部屋に引き戻されシャンクスの腕が誠から離れるとすぐさま誠はシャンクスに抱きついた。
「ふぇぇぇぇ!!!」
「えぇ……なんなんだよ」
大泣きする誠の声はどうやら響いたようで心配して入ってきたクルー達にシャンクスが疑われることとなった。
「なんだ、置いていかれたと勘違いしただけか」
「だって!船出航しちゃったじゃないですか……」
「海賊船だから裏に回したんだよ」
呆れたシャンクスは誠が泣いたために生まれてしまった大量の真珠に目をやった。
「まだ本調子じゃなさそうだな」
「え?」
「真珠が赤みがかっている。イサミの毒が抜け切れてない証拠だ」
「……イサミってだれですか?」
「は?」
シャンクスは冗談かと誠を見るも本気でなんの話しだという顔をする。と、そこへベックマンが入ってきた。
「起きたのか」
「ベックマンさん………」
何故か誠はベックマンの顔を見るなりあのベックマンの部屋で大泣きしたことを思い出し顔を赤らめる。その瞬間、部屋の至る所に鉱物出できた花が咲いていく。
目を見開く二人に誠は再び窓から飛び降りようとして止められる事態となった。
「落ち着け」
「……はい」
「危機は脱したみたいだな」
「危機?」
「お前が鉱物に毒を吸い込ませた結果全て自分の身に帰ってきて危うく死ぬところだったんだぞ」
「そんなことが可能なんですか?」
「………当の本人は無自覚か」
「その時何思ってた?」
「えっと………煙が危ないから何とかしなきゃ?」
「聞くな」
「えぇ、覚えてませんよ」
「まぁとりあえず無事でよかった」
頭を優しく撫でるベックマンに誠も顔を赤らめながらも微笑む。そんな様子に椅子を逆向きにして座っていたシャンクスは頬を膨らませながら不満満載の顔をする。
「…新しい傷は追加されたけどな」
「どうしてそう意地悪なこと言うんですか」
「俺のそばにいながら姿を消したのはどこのどいつだ?」
「それは……シャンクスさんが目を離
な
のが悪いと思います」
「まぁ、一理あるな」
「なぬ!?俺が悪いのかそれ!あ」
日常的な会話にようやく安堵した誠はふと考え込んだ。その様子に膨れてたシャンクスは顔をのぞき込ませる
「どうした?」
「私って毒を取り込んだんでよね?」
「多分な。レオンの話じゃ吸い込んだにしては量が多いし反応が遅すぎるって言ってたから」
「出すことは出来ないですかね?」
「「なるほど」」
声の揃った2人に思わず吹き出してしまった誠。
「そんなに面白いか?」
「まぁ、面白いんだろうな」
「フゥ。で、だすってどうするんですか?」
「そこからかよ」
「参考になるかはわからないが、誠が能力を使用する際、青い目は鉱物を生み出し、オレンジの目は鉱物を溶かした」
「青い目になれば出せるんじゃないか?」
「青い目……」
誠は目を閉じる。何かせりあがってくる感覚があり目を開く。その瞬間、部屋中に咲いていた鉱物の花の色が一斉に紫色一色に染った。それと同時に体の中の重さが軽くなるのを感じた。
「なるほど、これが能力の使い方なんですね」
目をゆっくりと開きながら状況を確認する。自分の目がどうなっているのか確認することは出来ないがさっき咲かせた花の色が変化していた。どうやら上手くいったらしい。
ら
「あーあ、使えるようになっちまった」
「え?ダメでした?」
「別にダメじゃねぇけど、自由に使えるようになったって分かれば懸賞金も上がりそうだよな」
「えぇ!そんなことは早く行ってくださいよ!」
落ち込む誠に対しベックマンとシャンクスは顔を見合せて笑った。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.55 )
- 日時: 2022/11/01 22:31
- 名前: 楼蘭 (ID: qNIh9ax1)
【55】
「………」
1人船内の自室にて目の前の服を険しい顔で見つめる誠。破けたドレスに血塗れでズタボロの服達。繕っても無駄なのは一目瞭然。ただ、誠は最低限の枚数以上買って貰っていない。否、誠が頑なに嫌がったからである。だが、現在ほとんどの服を失ってしまった事実を目の当たりにしてどうしたものかと頭を悩ませていた。
「今着てる服ぐらいしかない」
今着ている服もめちゃくちゃ丈の短いワンピースで7分袖。とりあえず出航してしまった以上はこの現状を受け入れるしかなく、誠は溜息をつきながらその破けた服たちを箱にしまいこんで仕事へと向かった。
「……なぁ、頭」
「んー?」
船内を動き回っていた誠は現在食堂の貯蔵室。その様子を見ていたヤソップが遅い昼ごはんを食べるシャンクスに声をかけた。
「今気温って冬島の気候に入り始めたから10℃切ってるよな」
「船内も肌寒くなってきたしそれぐらいだろうな」
「……誠は寒くねぇのかな?」
質問の意味がわからず顔を上げたシャンクスの目の前を誠が通り過ぎた。
「誠」
「はい?どうかしましたか?」
突然の声に部屋を出た誠はひょこっと顔をのぞかせる。
「寒くねぇのか?」
「大丈夫ですよ」
誠は笑顔でそう答えるとそのまま廊下へ消えていく。
暫くして誠は心底後悔した。何故なら
「うぅぅ……ヘックシュ!!」
倉庫の中で震え上がっていたから。
「うぅぅ……さぶい………いやいや、女は気合い……気合い」
ブツブツと謎の呪文を唱えながら在庫を数え終えて書類に目を通しながら部屋を後にする。
「前見てあるけ」
「はーい」
無意識に返答を返したが後ろは倉庫しかない。恐る恐る振り返ればなにか硬いものにぶつかる。
「ふぎゅっ」
「お前はついこの前死にかけたのを忘れたのか?」
鼻を擦りながら顔をあげれば少し不機嫌なベックマンの姿があった。
「もうすぐ島に着きます?」
「…聞いてたか?」
「ふえっっくしょん」
ベックマンはため息を着くと片手で抱えて歩き出す。
「えっ、あの」
聞く耳を持たず無言のまま連れていかれたのは船長室。シャンクスも予測していなかったようで目を見開いたまま誠を見る。
「えぇっと……一応在庫確認終わりました?」
「…お、おぉ」
とりあえず床に降ろされたのでシャンクスに書類を渡す。
「……なんなんだ?」
「ちょっと分かりかねません」
ヒソヒソと会話をするシャンクスと誠。
「ヘックシュ」
「誠、やっぱ寒いんじゃないか」
「誰か噂してますね」
「いや、その格好で甲板なんて出た日にゃ凍死するぞ?」
「なんでですか?」
無言で窓を指さした方を見れば雪が積もっているのが確認できた。
「………わぁぁぁ」
「「ん?」」
変な奇声にシャンクスとベックマンは誠の方を見れば、まるで子供のように目をキラキラさせているではないか。
「……まこと?」
「甲板行ってきます!」
制するまもなく部屋を飛び出した誠に暫く呆気になっていたが、しばらくして聞こえてきた「誠を止めろ!そんな格好で自殺行為か!!」の声にとりあえずため息をついた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12