二次創作小説(紙ほか)

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【ONE PIECE】とある世界に一般人
日時: 2017/11/12 21:20
名前: 楼蘭 (ID: 7xKe7JJD)


なんとなく再び迷い込んだ楼蘭です。

今回はこれ一本でやります

ドラえもん並の暖かい目出みていただけると嬉しいです。
(*Φ∀Φ)アタタカイメ……

Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.41 )
日時: 2021/10/24 19:16
名前: 楼蘭 (ID: 2tdB3h30)


【41】

あれから部屋から出てこなくなってしまった誠。

「で、話ってなんだ」
「アンタは誠がどこから来たか知ってんだろ?」

船長室でベックマンはタバコに火をつける。

「誠が、違う世界から来たのはみんな知ってる話だろう?知らねぇ言葉を話したり、島の名を言ったり、海の名前が違うこと、そして悪魔の実のような力が備わっている。それらは違う世界から来たものの特徴だ」
「だが、アンタは誠から少なからず何か聞いてるんだろ?」
「誠が何か言ったか?」
「ばす事故だ、1度死んだんだとな」
「1度死んだ?」
「あぁ」

シャンクスは顎に手を当てたまま考え込んでしまった。

「俺が聞いていたのは海賊とは縁もゆかりもない場所で働いていて、こっちに来る前に友人の所へ行こうとしてバスという鉄の塊に乗っていて、気がついたら傷だらけで白ひげ海賊団にいた。しかもマルコの部屋に突如として現れたらしいってことぐらいだ」
「……まさか記憶が無かったのか?」
「誠自身はそんなこと微塵も思ってなかったが、多分実際にはそうで、落ちたあの場所が消していた記憶の引き金になったんだろうな」
「頭ァァァ!!!」

勢いよく開いた扉、そこにはめちゃくちゃ焦りまくったクルーたち。

「どした?」
「誠が」
「誠?」
「誠がいません!!!」
「ナニィ!?!?」
「俺ら島探してきます!!」

バタバタと走っていったクルーたち。少し考え込んでいたベックはふと顔を上げた。

「ほんとにどこにも居ないのか?」
「確かにあいつは外がどういうものか理解しているな…レースの時も1人を嫌がったぐらいだ」
「でも、1人にはなりたいなら信用しているこの船の中じゃないか?」
「ニーナに赤髪海賊団の誰かに会うはずなんて信用してなきゃ言わねぇな」
「あぁ」

シャンクスはめちゃくちゃ楽しそうに部屋を出たがすぐに顔を扉からひょこっと出す。

「俺が先に見つけたら身を引いてもらうぜ、ベック」
「なっ!」

いい逃げでそのまま駆け出したシャンクス。ベックマンはとりあえず頭を掻きながら部屋を出ていった。

Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.42 )
日時: 2021/10/25 01:03
名前: 楼蘭 (ID: 2tdB3h30)

【42】

薄暗い部屋でのんびりと考える。時間はたっぷりある。
アレから目を閉じる度に思い出された記憶は自分の死を確証させるものばかり。

あの夜乗ったバスではなかなか眠れず音楽を聞きながら窓の外を眺めていた。
そんな時走行しているバスがかなりの揺れで停車する。今にも倒れそうな揺れ。
慌てふためく人、泣き出す人、乗客はパニック状態だった。ふと前の座席を見れば泣きわめく赤ちゃんをあやしている。
誠はシートベルトを外して席を立った。
そんな時爆発音のような大きな音が響いき浮遊感に包まれる。
宙に浮いてしまった赤ちゃんを掴みお母さんの腕に戻すと誠はその2人を庇うように頭から抱え込む。
そこからは真っ暗だけど赤ちゃんの泣く声とお母さんらしき人が必死に誠によびかける声が聞こえてきていた。

「あなたの…おかげよ……奇跡だわ…ありがとう。お願い、死なないで」

だが、寒く冷えていく体と周りの声が遠のいていく。

あー、これはダメだな

そう思いながら全ての感覚が闇に包まれた。

コンコンっ

ドアを叩くような音が聞こえ意識を戻し顔を上げる。

コンコンっ

再び聞こえるノック音にそっと扉を開くと夕日に照らされた室内。開けた入口の隣に座り込んだベックマンの姿があった。
ベックマンは何も言わないまま頭を撫でる。大きな温もりのある手。硝煙と煙草の匂い。こぼれ落ちる涙が全て真珠となり広がっていく。暫くして涙も止まり落ち着いた誠。

「…どうしてここが分かったんですか?」

誠がいたのはベックマンの部屋のシャワー室。現在誠しか使用していない専用シャワー室で、脱衣所も完備されている割と大きめの場所。

「お前が部屋にいないとちょっとした騒ぎになってな。書庫は残留しているライトとレオンが出入りする。食料庫や火薬庫等には買い出し組が戻ってくる可能性がある。ならあとはクルーたちの部屋だが、無断であまり入ることをしない誠が唯一出入りできるのはここのシャワー室ぐらいだ。わざわざ言わなくても勝手に好きな時に使えと言ったのは俺だからな」
「ベックマンさんにはかないませんね」

誠は笑うと部屋から出てきてベックマンの隣に座る。

「私の話、聞いてくれますか?」
「あぁ、聞かせてくれ」
「私は兄弟の中で1人だけ女で1人だけ親が居ないんです。母親が警察…海軍みたいなところで働いていた時、偶然上を向いたら白い固まりが降ってきて受け止めたら生まれたての私だったそうです」
「そんなことあんのか」
「母もビックリしたそうです。生みの両親は無理心中してしまっていて、親戚なんて居なかった私を引き取ったそうです。でも1人だけ違っても家族は家族で怒られもしましたし、褒められもしました。兄弟とも喧嘩をいっぱいしました」
「なんでも先手を討つのは兄弟喧嘩からか」

肩をすくめて笑う誠にベックマンも笑う。

「男運は壊滅ですが、その分様々な人生経験を手に入れました。こう見えてバリバリ働いていたんですよ。
そして友人の所へ遊びに行く途中で地震にあい、余震を含めた揺れで道が割れて転落して死んでしまいました。でも、最後に私は赤ちゃんとお母さんを助けることが出来て、お母さんには最後に感謝の言葉を貰えました。助…けてくれて……ありが…とうって…」

また出てきそうになった涙を堪える誠、横から腕が伸びてきてベックマンの胸の中に抱え込まれる。

「わた…わたしは、この……この世界からは…グスッ……もう戻れまぜん……み"……み"んなに"……グスッ………も"う"……会えない"………」

声を上げて泣きじゃくる誠をベックマンはただただ頭を撫でていた。

Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.43 )
日時: 2021/10/31 19:15
名前: 楼蘭 (ID: 2tdB3h30)


【43】

暖かい温もりに目を覚ます。最初に現れたのは黒い服。そして赤い髪。

「おっ、目が覚めたか?」
「シャン…クス…さん?」

掠れた声にシャンクスは笑いながら水を渡す。受け取ったグラス。だが、シャンクスは手を離そうとしない。不思議そうにシャンクスを見ると本人は誠のその様子に微笑む。

「口移しか俺が飲ますか、どっちがいい?」
「自分で」

誠は手を添えられたまま水を飲み干す。再び微笑みながら上半身が裸の状態で部屋を出ていった。

「あれ?」

自分の手足や視界に入った髪に異変を感じる。それは見慣れた茶色い自分の髪や日焼けした手足ではなく、真っ白の長い手足に金色の綺麗な髪。
その場を立ち上がりその場所が真っ白なベットであり鏡に映ったその姿は美女。

「………きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!」

突然の叫び声に風呂に入っていたシャンクスが出てきた。が書き上げられた濡れた髪に鍛え上げられた体。
男と認識した誠はシャンクスと目が合う。

「せ」
「せ?」
「セクハラですぅぅ!!シャンクスさんのバカー!!」
「ばっばか!?せくはら??」

叫び声を聞いてか勢いよく扉が開く。それも男で誠はパニックのままとりあえず「扉を開ける時はノックしてください!」と言いながら男の左手首と肩を持って勢いよく真下に押し気絶させた。

「………シャンクスさん、これ誰ですか」
「……とりあえず服着て落ち着け」

自分も何も来てないことによくやく気がつき真っ赤にした顔を手で覆いしゃがみ込んだ。
とりあえず服を着て落ち着きを取り戻した誠はシャンクスと向き合う。

「シャンクスさん」
「なんだ」
「とりあえずこの体の人の名前はなんですか?」
「…お前の名前は?」
「私は誠ですけど」
「…………誠!?」
「五体満足で絶世の美女の体はさぞモテ放題だろうとは思いますが、中身は5年目で彼氏の二股現場を目撃し、ケーキと鍵を投げつけて家を飛び出したら、何故かいきなり海賊船へ落ち、送ってもらった島が海賊に襲われ、何故か荷物同然に連れ込まれ、その後助けられたシャンクさんたちの船に乗ることになり、目と耳と手が片方しか役立たずになってしまった2億の手配書をもつ貴石の女神こと荻野誠ですね」
「誠だ」
「シャンクスさんがこのお姉さんと楽しいことをしてたことはわかりました」
「………お前そういや、そんな見た目で24なんだっけか」
「大体は、もうすぐ誕生日だった記憶はあるんで25になったかもしれませんけど」
「お前は…とことん自分に頓着がねぇな」
「シャンクスさん、普通に話してますが、見た目全く違うんですけどよく信じられますね」
「お前が嘘つく理由がねぇし、その体はランという女で俺のことは赤髪さんって言ってたぜ」

起きた時点から少し疑いがあったシャンクス。さすがだと改めてシャンクスが船長だと思い知った。

Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.44 )
日時: 2022/03/29 22:49
名前: 楼蘭 (ID: n6vtxjnq)


【44】

「疑問なんですけど」
「ん?」
「私の体、どこいったんでしょうね」
「その体と同じように肉体は動かないんじゃないか」
「ということは最後に記憶がある場所ということですか」

とりあえずその場にいる訳にも行かず街に出た二人。キョロキョロと見回しながら不思議そうに街中を歩く。

「記憶…あっ!あれ可愛い〜!」
「お前…満喫してんな」
「だって美女になったんですよ?こんな体験滅多にないじゃないですか」
「性格悪けりゃ悪女だけどな」
「それだと女なら誰でも含まれますね」

楽しげにアクセサリーを物色する誠。そんな様子に呆れながらも笑うシャンクス。

「あっ」
「ん?」

ひとつのものに手を伸ばす。それは金色に輝くネックレス。

「それがどうかしたのか?」
「いえ、自分で初めて働いて買ったものと似てるなぁって思ったんです」
「無くしたのか?」
「…元カレに取られて売られちゃいました」
「二股野郎か…」
「いえ、結婚詐欺師に」
「……お前、ほかどんなヤツいたんだよ」
「二股野郎に三股野郎、結婚詐欺師にストーカーですね…」
「…そこまでないのか……男運」
「母親と上の兄ふたりには仕事が捗ると言われましたね」
「そんだけホイホイ引っ掛けられるのも才能だな」
「別に選んでるわけじゃありません」

呆れるシャンクスにプイッと頬をふくらませて顔をそむける。

「シャンクスさんシャンクスさん」
「なんだ?なにか見つけたか?」
「思い出しましたよ、最後の記憶」
「船内だろ?」
「はい、ベックマンさんの部屋のシャワー室で号泣してましたね……この美女の姿ならともかく…見れたもんじゃないあんな顔………」
「ちょっと待て!」
「はい?」

爆弾発言に対して慌てるシャンクス。だが当の本人はなにか?とでも言いたげに顔を傾ける。

「部屋のシャワー室だと?」
「はい、前に風呂場で皆さんと鉢合わせした際に打開案を頂いたので有難く使わさせていただいております」
「……鉢合わせ?」
「あっ、大丈夫ですよ。湯けむりで顔しか見えてませんから」
「何そのハッピーアクシデント」

船長なのに何も聞いていないシャンクス。因みに男側の方からは誠の湯船から浮かぶ胸がガッツリ見えていた。因みに見たのはヤソップとレオン、若手達で船唯一の既婚者であるヤソップが慌てて全員を追い出しベックマンに懇願した裏側がある。

「しかし、何故体が入れ替わっちゃったんでしょうね」
「肉体じゃなく精神の入れ替わりだな。体は動いてないわけだから」
「まぁ……一時でもこんな美女になれて幸せハッピーですけどね」

満面な笑みで言うもんだからシャンクスもため息を着く他なくなってしまった。
きっと誠の肉体を誘拐してしまい、この能力を解くことで赤髪海賊団から引き剥がしてしまえという魂胆が見え見えなのに、当の本人は能天気に鏡を見て髪を整えているのだから。

Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.45 )
日時: 2022/06/09 18:28
名前: 楼蘭 (ID: 1/l/Iy6H)



【45】

目を覚ますと見知らぬ男の顔が顔面スレスレの位置にあった。とりあえず色んなことがありすぎた誠は驚きもせず瞬きをする。

「ライア、ほんとにかわれたのか?」
「ランさんではないのですね」
「………ライアじゃねぇ!」

驚いて男が顔をあげた瞬間に右足を思いっきりコメカミに叩きつけた。
とりあえず動かなくなった男を無視して立ち上がる。どうやらベットで寝ていたようだ。

「あれ?」

自分の骨折していたはずの左足を確認する。普通に動けるし普通に立てる、なんならジャンプ出来る。

「治った?…まだ3日ぐらいな気がするけど」
「治ってねぇよ、戻したんだよ」

背後を振り返ればコメカミに一撃を入れた男が頭を抑えながら起き上がっていた。

「いてて、ったく容赦ねぇなぁ」
「ここどこですか?」
「謝りもなしかよ」
「あなたどこの誰ですか?」
「強烈なのかましといて」
「どうやったら帰れます?」
「会話のキャッチボールって知ってる?」

男を無視して窓の方へ向かうとそこに映っていたのは一面の海。

「無視かーい」
「船?」
「俺らは海軍」
「海軍さんがなんの用で私を捕まえたのでしょうか?」
「2億の賞金首。貴石の女神だから」
「手違いで発行されたか弱い一般人です」
「か弱い一般人は無表情で起き抜けに一撃かまさねぇよ」

勢いよく扉が開き入ってきたのはあの美女でよく見れば海軍の服を着ていた。が慌てた様子で扉を閉めたあと扉に耳を潜めている。そんな様子を見た男はその美女の背後に行くといい笑顔で叫んだ。

「わっ!!!」
「ふぎゃぁぁ!!」
「あはは!!!」

そういえばよく兄達も弟達もしてたなぁと思いながら見ていると扉が誠の隣まで吹っ飛んできた。もう一度言おう。吹っ飛ぶ勢いじゃない吹っ飛んできたのだ。
騒がしかった声が消えその扉の方を見るとレオンのような人相の悪い男がめちゃくちゃ怒っていた。顔面凶器とはまさにこの事。

「ライア!ドレスト!」
「るっルーカス中将、ちっ違うんです」
「何が違うか!!」
「「ひっ!!!」」

とりあえず誠は夢中になっている3人はこちらを気にすることがないようなので窓からするりとすり抜けて逃げ出した。

「だいたいあんな痛いけな娘……ん?」
「「ん?」」

固まってしまったルーカスの視線の先を見ると誠の姿は既になかった。

「「どこいったァァ!?」」
「ふむ、意外と行動的なのか」

ゆらゆらと外れた窓が揺れていてそこから出たことはすぐ推察され急いでライアとドレストは部屋を飛び出して行った。


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