二次創作小説(紙ほか)
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- 【ONE PIECE】とある世界に一般人
- 日時: 2017/11/12 21:20
- 名前: 楼蘭 (ID: 7xKe7JJD)
なんとなく再び迷い込んだ楼蘭です。
今回はこれ一本でやります
ドラえもん並の暖かい目出みていただけると嬉しいです。
(*Φ∀Φ)アタタカイメ……
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.46 )
- 日時: 2022/06/10 16:17
- 名前: 楼蘭 (ID: hamvuQpq)
【46】
「いたか!?」
「全然!!ってかなんで拘束しておかないのよ!!」
「戦争を知らない平和な世界からやってきた異世界人らしい、可哀想だろ」
「でも手配書出てるじゃない、2億」
「天竜人が関わってるからな」
バタバタと騒がしい。どうやら誠が逃げ出したことで騒ぎまくっていた。
誠はと言うとひっそり物陰に息を潜めていた。その手には過保護な海賊団から渡された紙の入ったペンダント。原理は分からないがこれを持っていれば誠の居場所はすぐにわかるとのこと。普段は身ぐるみを剥がされても問題ないように下着につけていた。
「だいたいあんな動きづらい体でよく動いてるわよ、あの子」
「そういや、変わった時からそんなこと言ってたな」
「左目に右腕、左耳が使えなかったのよ。おまけに顔には大きな傷があるし、すぐに治療していればそこまで傷ははっきりと残らなかったかもしれないのに」
「とりあえずそんな体だとそんな遠く行ってねぇんじゃね?」
近寄ってくる男にどうすべきか悩んだ末とりあえず飛び出すことにした。
「ギャァァァァ!!!」
まさか本当に近くにいるとは思っていなかったらしい。誠はチャンスと言わんばかりにドレストの襟首を飛び出した勢いそのままに掴むと地面に着地する。襟首を掴まれたまま後ろに引かれたドレストはバランスを取れず頭から地面に沈む。
「よくもそんな平衡感覚わかんない体でそんな動きができるわね…」
「ありがとうございます」
「褒めてないのよ!」
刀を抜いて走ってくるライアにドレストが持っていた銃を奪うと銃口の方を手に持って刀を受け流す。
「無抵抗の一般人に刀を向けるなんて、一体どういう教育を受けているんでしょう」
「無抵抗の意味知ってる?」
「相手の攻撃・圧力に手向かいしないことです」
「そこで寝てるドレストはなに?」
「飛び出した先にこの方がいらっしゃって避けたら襟首がちょうど引っかかってしまいました。不可抗力です」
「んなわけあるか!!!」
我を忘れ怒り任せに振り下ろされた刀の刃を横からさっき奪い取った銃を投げて当てる。その瞬間刀はヒビが入って割れてしまった。
「へ?」
「あなたのような両刀は横からの力には弱いんです。こっちの小銃は重たいですからね、遠心力で全体重を乗せて当てれば折れちゃうんですよ」
「一般人じゃないじゃない!!」
「いえいえ、最近の一般人は身を守れる方法を知ってる人もいるんです。物騒ですからね」
笑顔で答えると誠はその場所から走って立ち去る。慌てて後を追うように走るも曲がり角を曲がったところで見失ってしまった。
「信じらんない!あれが戦争を知らない平和な世界から来た異世界人!?ほとんど海賊団みたいなもんじゃない!!しかもあんな体で下手な海兵より強いって、五体満足ならどんだけなのよ!」
元の世界でも兄2人と弟2人に絡まれて育ち、年頃になれば世間は怖いからと警官の母親に護身術を叩き込まれ、そしてシャンクスから命令が下り体の動かし方を船員たちから仕込まれたのだ。
因みに極めつけは誠本人は気がついていないが重力がこっちの世界は元の世界と比べて軽くなっているため五体満足出なくても身軽に動けるのである。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.47 )
- 日時: 2022/06/28 22:21
- 名前: 楼蘭 (ID: 1/l/Iy6H)
【47】
「能力の発動条件?」
「この体になる前の記憶はどんなに考えてもベックマンさんと一緒にいたんです。同じかどうかはわかりませんがこの体のお姉さんはシャンクスさんとイチャついてたんですよね?」
「お前に恥じらいはねえのか」
「……恥じらうようなことしたんですか」
「………発動条件な」
これ以上突っ込まれたくないシャンクスは顎に手を当てて考えた。確かに接触していたならその一瞬で変わるはずだ。だがシャンクスとベックマンが近くにいたのだ。
「その体の女にあった記憶は?」
「こんな美女に会ったなら迷わずみんなに自慢しますよ」
「オヤジか」
「男も女も美人に弱いんですよ」
「そんな威張られてもな」
「これって悪魔の実?の能力なのか、私みたいな能力なのか、わかったりするんですか?」
「お前、時々勘がいいよな」
シャンクスもその可能性を考えていた。悪魔の実は大きく3種類に別れている。
能力者の体を、自然現象そのものに変化させる自然系。
人間離れした多種多様な能力を発揮する超人系。
体を動物に姿を変えられる動物系。
これらはその実を口にすることで持つことが出来る。その代わりに海に嫌われ一生カナヅチとなる。
だが誠のような異世界から来た人間に備わっている悪魔の実のような力の共通点はない。過去の事例でも記憶を読めたり、空を自在に飛べたり、一番目を引いたのは命を分け与えることだった。誠自身も希少価値の高い鉱物を体内から生成されるという意味では同等の価値があるのだろう。
「もしかして寝ることかな」
「お前、まさかベックと」
「合意がない上でしません。と言うかベックマンさんに失礼ですよ」
誠は盛大にため息を着く。もう恋愛なんかしたくない誠にとってそんなことはどうでもいい。
「何かしらマーキングがされた上で2人同時に寝てしまう、もしくはそれ同等の気を失えば能力が発動する、とすれば可能だと思いません?」
「だとしたら一度船に戻ってみるか」
「でも私だったら3角トレードします」
「さんかく?」
「シャンクスさんと入れ替わってもこの体の人が犯人なのは一目瞭然。この体を抑えられた時点で戻れなくなってしまいます。ハイリスクすぎませんか?」
「なるほど、つまり経由地は多い方が術者が見つけにくいってことか。ってことはお前の体の行方を見張ってるしかないな」
「そういうことです」
その後突如姿を消してしまい、次に気がついた誠はあの船の中だった。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.48 )
- 日時: 2022/07/26 06:36
- 名前: 楼蘭 (ID: g/om0k0Y)
【48】
「まんまとはめられたってことか」
「あぁ」
誠の体は部屋に戻ると言い残して姿を消した。
「ビブルカードは持ってるのでとりあえず向かいましょうか」
「取られてる可能性だってあるだろ」
「誠は男でも女でも触らないところに隠してるんですよ」
「誰も触らないところ?」
「捉えた相手なら武器隠してるかもしれないから身ぐるみ剥がされるだろ」
「僕もそう思ってましたよ」
「で、そんな秘策の場所は何処だ?」
「………下着です」
控えめに答えるライトに全員顔を伏せる。誠は男兄弟で育ったからなのか、恥じらいがかけている部分がある。しかもライトに対しては弟だと思っている節があり、堂々と見せてくるのだ。別に好意を寄せている訳では無いし、女に不自由な訳でもないが、男だということを理解してもらいたい。そんなライトの思惑は襲う行動をしたこともあったが、誠の無駄にそんな時だけ早い手足により巴投げを食らわされた。
「そりゃ……大丈夫だろうな」
「……とりあえず」
「そういえばなんで、船長とはぐれたんでしたっけ?」
「いつの間にか姿を消してた」
誠とシャンクスは船に向かうべく歩いていた。シャンクスは少し人混みだったので前を歩いただけ。誠はふと目線を逸らしただけ。その一瞬で誠は姿を消した。
「24なのに迷子」
「そういや、25になったかもって言ってたな」
「自分の誕生日ですらそんな適当なのか」
「まぁらしいですけどね」
「船長」
若いクルーに呼ばれ顔をそちらに向ける。
「ん?どうした」
「船の下にニーナが来てますけど」
「ニーナ?」
ベックマンと顔を見合わせ下を覗き込むとニーナの姿があった。
「ニーナ、どうかしたか?」
「これ!!」
2人に気が付き慌てた様子で手に持っていた紙を指さす。遠すぎで分からないのでとりあえず船内に時間が無いのもあり、上がったニーナ。
その手に丸められた紙を広げたそこにはヒューマンショップ目玉商品として『渡航者』と書かれていた。そしてもうひとつの紙は誠の手配書で大きくバツ印が刻まれていた。
「これはどういう意味だ?」
「誠は海軍に捕まった」
「……海軍!?」
「なぜ知ってるの?」
「このバツ印はこの手配書の不要を意味する。大体の手配書はDEAT OR ALIVE、生死問わず。だが誠の手配書はALIVE ONLY、生け捕りだ。海軍に捕まったからこの手配書は用済みってことだ」
「んで、いいタイミングでのヒューマンショップの予告チラシ。誠は人気者だ」
「目的は誠のビブルカード。出航するぞ」
「「「了解!」」」
シャンクスの一声で出航準備に取り掛かる船員。
「私も連れてって!」
「ダメだ」
「どうして!あの子は乗ってたんでしょ?」
「誠は」
「あの子より私は戦える」
「ニーナ」
「ベック…」
「この船の船長が乗せないって決めたんだ」
「どうして……どうしてあの子は乗せるの?」
「アイツは居場所を持たないと消えてしまうからだ」
「…え?」
「驚かないところを見るとお前も気がついていたみたいだな」
「あぁ」
「消えるって……そんな幽霊じゃないんだから」
「誠は異世界から来た人間だ」
「え…あの悪魔の実の能力のようなものを宿している…?」
「あぁ、俺らは言うのを辞めたが、異世界から来た人間は海に嫌われない変わりに世界に嫌われている」
「どういうこと?」
「居場所を持たないと存在が消えてしまう」
「そんな…」
「当たり前に生きていることを、存在していることを自覚できているならそんな簡単に消えることは無い。だがあいつは生きる決心ができてない。だからすぐに世界に消される」
シャンクスの通る声と真剣な眼差しにニーナは何も言うことなく船を降りた。程なくしてレッドフォークス号は島から姿を消した。目指すはビブルカードの示す場所。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.49 )
- 日時: 2022/08/16 15:46
- 名前: 楼蘭 (ID: fLPAPacp)
【49】
海軍の船で身を潜めて疲れ果てたのかいつの間にか目を閉じていた。そこまでは記憶がある。だが目を覚ましたあと鉄格子の中とはどういうことだ。
「なぜ?」
「目が覚めたか?女神さんよぉ」
挑発的な顔に苛立ちを覚える。どうやら顔に出ていたようで男は楽しげに誠の顔を掴む。
「前のオークションで確認した能力。アレを出せ」
「出せって言われたところで出る代物じゃない下調べはできてないのでしょうか?」
「……立場がわかってねぇのか?あぁ!?」
「海軍はどうされましたか?」
「軍艦なら今頃海底だ」
どうやら寝ている間に軍艦が襲われ連れ出されたらしい。
「お前がやる気がねぇってんなら仕方ねぇなぁ」
周りにいた男に指示を出して格子の鍵が開いた。その瞬間を見逃さず誠は思いっきり蹴り開けると外へ飛び出す。が、男は笑いながら誠の左腕を掴むと壁に押し当てる。
その時に手のひらと腕に激痛が走り見ると鎹のようなものが突き刺さっていた。滴り落ちる血はダイヤとなって床に広がる。
「いい顔だ。叫ばなかったことは褒めてやるよ」
「ほんとにダイヤになってる」
「純度がめちゃくちゃ高ぇ」
「情報通り利き手は左。……なぁ血液でこんなになるなら、切り落とした体は鉱物へと変わるのか?」
その顔で一気に恐怖心が背筋を覆う。本能的に叫んでいる。こいつに関われば死ぬ。
「いやいや!いきなりからだ本体はダメですって!!」
「冗談だ」
「……その目はいつかって思ってますよ」
誠は目線がそれた瞬間を見逃さず右足を男のコメカミに蹴り入れた。
「「ボスぅぅぅ!!??」」
上手く当たったようで吹っ飛んだすきに鎹のようなものを後ろの壁から引き抜き走り出す。腕に刺さったままの鎹から滴り落ちる血液が追跡を容易にしてしまう。
何故か止血も遅い。かと言って自分でこの鎹を抜く力はない。
「あんなの殺人鬼じゃない」
誠は足を止めることなく闇雲に走り続ける。次捕まればそれこそなにか失うかもしれない。
その時視界になにかが入って足を止めた。
ありえない。それは絶対ないはずなのだ。
恐る恐る近寄っていく檻の中に海軍の軍服を着た男がいた。
「……いさちゃん?」
声をかけると顔を上げた男。その顔は忘れもしない兄の勇とそっくりだった。
「お前…どうやって檻から出たんだ」
こうしている間も地面にダイヤが生成されていく。声もそっくりで驚きを隠せない誠はとりあえず檻から出すべく近くにあったバールを格子に押し当てると蹴り入れた。その勢いで檻は破壊されそのバールを渡すと自力でといてしまった。
「っ!怪我をしているのか!」
「平気、とりあえず逃げよう」
誠は腕を引いて走り出す。がどうやら遅かったようで抱えられた。温もりを感じその男が生きていることを確認する。
「いさちゃん、おぼえてない?」
「その……いさちゃんと言うのは俺の事か?」
「え?」
「俺は記憶がなく気がついた時には海軍に拾われていたんだ。名前は何故か刻まれていた指輪の刻印からとったんだ。イサミと」
「……覚えてない?」
「すまないがなんにも。とりあえずここから出るのが優先だな」
暖かな優しい温もりは誠を覚えていない。
だが、他人の空似ではなく勇本人であることは確認できた。勇の名前が入った指輪は誠と下の弟たちでお金を出して買ったもので入らなくてピンキーリングになっていた。
誠の中で落ち着いていた何かが崩れ始める。
- Re: 【ONE PIECE】とある世界に一般人 ( No.50 )
- 日時: 2022/08/16 15:48
- 名前: 楼蘭 (ID: fLPAPacp)
【50】
「………誠、こんなガタイのいい男だったか?」
赤髪海賊団はキョトンとしていた。誠を探しにビブルカードを頼りにやってきたその場所はカーライク島。その浜辺にペンダントを握りしめて倒れていた。
「こいつは中将、ルーカス」
「「中将!?」」
「なんでそんなもんが誠のペンダント握りしめてんだよ」
「っ!マウンテン!!」
「どわっ!!」
突然叫びおきたルーカスに近くにいたヤソップはびっくりして離れる。
「……なんだ、ゆめか」
「………どんな夢だ」
「っ!赤髪のシャンクス!!?何故ここに!」
「俺の仲間を取り戻しに」
「……仲間?」
「そのペンダントの持ち主、貴石の女神と言えばわかるな」
「………あっ!あの女の子か!え?赤髪のクルーだと!?」
「……ベック、ほんとに中将なんだよな?」
「あぁ」
「イサミの記憶喪失の手助けになればと思ったんだが」
「イサミだと?!」
「お頭?」
「何をそんな驚いて?」
「イサミと誠の関係は?」
「貴石の女神がイサミの妹だったのか……」
ふむ、と何やら納得していたルーカスだが思ってもみなかった爆弾発言に赤髪のクルーは驚きを隠せない。
「「「「「誠にキョウダイ!?」」」」」
「そいつは今どこにいる」
「ヒューマンショップだろうな」
「これが指していたのはイサミのことか」
そう言って広げたチラシ。ニーナか持っていたモノでそれをルーカスは横から奪う。
「なっ………どこで漏れたんだ………」
「ちょっと待て、誠の兄貴だとどうして確認したんだ?」
「イサミが着けていた指輪だ。特別高価なものでは無いがそれがイサミという名前を刻んでいて、イサミを慕っていた部下が能力を使って連れてきた。まぁ、貴石の女神ということはその後に知ったみたいだがな」
「ルーカス中将〜っ!?げっ!!赤髪!」
「うそ!あれ赤髪?!」
誠が入れ替わった女が驚いた顔をする。どうやら気がついてなかったようで、深読みしすぎたシャンクスはため息をこぼす。
「ライア、ドレスト。どうだった?」
「いやいや、まず赤髪となんで平気でいるんですか!」
「貴石の女神とイサミは兄妹だったからな、目的は同じだ。手は組まんが情報の共有は大事だろう」
「いや、それは知ってたけどなんで赤髪と貴石の女神が?」
「仲間を取り戻し来た」
「仲間!?!?」
「とりあえずルーカス中将、イサミ大佐を連れていった場所を把握出来ました。しかも厄介なことに売人ジェーコフのところです」
その名前に息を飲む。売人ジェーコフは元々殺し屋として有名で金のためなら何でもする売人。
「ベック、行こう」
「あぁ」
「赤髪」
ルーカスの声に振り返ればネックレスが飛んできた。誠のビブルカードが入ったペンダントである。
「イサミの別名は薫香の覇者。海軍に入る前、付近一帯の海賊を一網打尽にした。気をつけろ。イサミはまだ能力の安定に至っていない」
「そっちこそ誠、貴石の女神に気をつけた方がいい。基本的に捨て身覚悟で襲ってくる」
「……もっと早く欲しかった忠告だわ」
「………最もだ」
既に被害を受けたふたりの言葉に赤髪海賊団は苦笑する他ない。
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