二次創作小説(紙ほか)
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- ポケモン二次創作 裏の陰謀
- 日時: 2022/09/29 16:23
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5VUvCs/q)
- プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12800
ここはは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。
この世界には『表』『裏』があり、どちらを潰しても作っても、必ず表裏は現れてしまう。5年前それを無くそうとした哀れな小さき人は、結局世界に絶望し、失望し、仲間だけを助けようとしたが、仲間も、自分自身も失い、体を溶かした。これは、そんな世界で旅を始めた4人の少年少女達が『裏』に巻き込まれ、時には巻き込み牙を向け向かれる。そんな誰かを救おうとする哀れな人の物語。
※注意
〇これはポケモン二次創作です。原作とはなんの関係もございません。
〇微グロ注意です。
〇二次創作キャラもいます。殆どがオリキャラ、リクキャラです。
〇こんなのポケモンじゃねぇ!という方は閉じていただいて…
〇総合リクにて連載されているsidestory『最期の足掻き』も見てもらえれば更に楽しめると思います。
【目次】
〇第1部 ~イッシュ編~
始まりの始まり。いや、もう本当は始まっていた。その始まりを活発化させるレイナ、ヒュウ、トモバ、マオが四苦八苦しながら自分に向き合い、自分なりの答えを探す旅。
「登場人物紹介」
ホドモエシティ※ネタバレ注意
(トモバ~私~)時点の紹介 >>86
《プロローグ》 >>1-8
【第一章】レイナ
〜旅に出る〜 >>10-21
【第二章】ヒュウ
〜ジム戦と成し遂げないといけないこと〜 >>24-28
【第三章】トモバ
〜逃げる責任感〜 >>29-34
【第四章】マオ
~目的~ >>35-42
【第五章】レイナ
~信じる~ >>43-51
《第5.5章》レイナ
~進歩~ >>52
【第六章】ヒュウ
〜強さ〜 >>57-73
《6.6章》ヒュウ
〜俺のち俺〜 >>74
【第七章】トモバ
〜私〜 >>75-90
【第八章】マオ
〜PWT〜 >>92-102
【第九章】レイナ
〜過去と仲間と霊 麗菜〜 >>104-111
【第十章】ヒュウ
~海だ!春だ!夏じゃねぇのかよッ!〜 >>112-118
【第十一章】トモバ マオ
〜1歩先へ踏み出すために〜 >>120-124
【第十二章】〜終わりの始まり〜
>>125-
ーーーーーーーーーー
【短編集】
イッシュ編
マオとレイナのバレンタインデー >>96
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.67 )
- 日時: 2021/03/18 17:42
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DTjsowAk)
白服のプラズマ団が言った通り小高い場所に家があった。
「あ、ロット様ほら来ましたよ。皆さん!こっちです!」
そこには茶色の服を着た老人と、さっきの白服のプラズマ団が立っていた。
「こんにちは。プラズマ団の話を聞きに来ました。」
「え、えっと僕ツバキと言います。この黒髪の子はレイナ。赤髪の子がマオ。黒髪ハリセーンの子がヒユウです。そこの方に言われて話を聞きに来ました。」
レイナが前置きを飛ばして本題に入ったため、ツバキが慌てて前置きする。しかし、俺の紹介の時だけ悪意があった気がするが気のせいか?
「ふぅむ…なるほど。プラズマ団に興味があるのか。私はロットだ。宜しく。」
ロット。聞いたことがある。プラズマ団の幹部『七賢人』の一人であると。
プラズマ団の…"幹部"
「ヒユウ。目が怖い。」
隣に居るツバキが俺に聞こえるぐらいの声で呟く。反対側の、マオの向こうに居るレイナも「そうだ」というように俺に視線を上げる。
それより、なんでこの距離でレイナはツバキの呟きが聞こえたんだよ。耳が良いにも程があるぞ。
そう物怖じしつつ。もう一度ロットさんに向きなおす。
「俺はプラズマ団のことについて聞きに来た。早くそこを通せ。」
俺は無理やりにでも中に入ろうとするとレイナが俺の体の前に手を差し出し制する。レイナの力には敵わないためすんなりと諦める。
「ロット様。私たちの話を聞いていただければ理解していただけるかもしれません。」
白服のプラズマ団がロットに耳打ちする。ロットは目の間にシワを増やしながらウーンと唸る。
「お客様。悪いがここに入るならあなたというトレーナーがどんな人物か見せてもらいたい。
そう、そこのハリセーンの少年とのポケモン勝負でな。よろしいか?」
「ああ。うけてたってやる。それと、俺はヒユウ。セキシロ ヒユウだ。ハリセーンなんて二度と言うな。」
そういうと俺はボールを構える。
今更ながら俺はザングース並みにロットのことを睨み付けていることを自覚した。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.68 )
- 日時: 2021/05/02 02:09
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: AQILp0xC)
「ハーデリア」
ロットはハーデリアを繰り出す。そのハーデリアはロットと似た冷静な雰囲気をまとっている。
「いけっ!エンブオー!」
俺はエンブオーを繰り出す。
タイプ相性はこっちの方が有利。
しかし、ロットは「ほぅ」とこちらを観察するが動じてはないようだ。
「それでは審判は私が勤めさせて頂きます。」
そうプラズマ団の男が前へでる。
「使用ポケモンは両者一体。どちらかのポケモンが戦闘不能になった方が勝利とします!それでは始め!」
「先手必勝ニトロチャージ!」
俺が早速エンブオーに指示を出すと炎がエンブオーにまといつきそのままとっしんする。
「受け流しなさい」
ロットは避けれないと判断したのか受け流す指示をだす。
ハーデリアは額でエンブオーを受け流すが少しダメージは入る。
しかし、受け流されるのは予想外だ。このような指示ができることから考えればロットは玄人者なのだろう。
でも俺も負けてないッ!
「もう一回ニトロチャージ!」
エンブオーは急ブレーキをするとまたハーデリアにニトロチャージする。さっきよりスピードは上がっており、砂ぼこりが舞う。
「ハーデリア下がって受け流しなさい。」
ハーデリアは一歩下がりまた受け流す。ロットの指示そのまんまの行動をする。ダメージもあまり入ってない。
思いどおりにダメージが入らなく俺はイライラしてきた。エンブオーもそれは同じのようで体の炎が強く燃えている。
「少年。まだまだであるのぉ。」
ロットとハーデリアがふぉっふぉっふぉと笑う。
俺の頭はお湯が沸かせるほど暑くなり、エンブオーの周りも真夏のように暑くなる。
すると…
「ブォッ!」
いきなりエンブオーが暴れだした!
エンブオーはかえんほうしゃをハーデリアに向けて放つ。
「なにっ」
ロットも予想外で対応できなかったのかハーデリアが大ダメージを受ける。
「ハーデリア!」
「く、くぅん」
ハーデリアは仰向けに倒れ目を回している。少し予想外だったが、スッキリしたし、結果オーライだ。俺は満足してエンブオーをボールに戻そうとする…と
「ブァー!」
エンブオーがボールに入るための光線を凪払った。そのまま気絶したハーデリアに向かうと…
「ブゥンッ。ブゥ!!」
なんと、ニトロチャージを放ちだしたのだ!
このままではハーデリアがただではすまない!そんな中、俺は起こっていることに唖然としていて、動くことができなかった。
「エ、エンブオー!止まれ!」
その一言だけ俺は叫んだ。しかし、エンブオーに俺の声は届かない…いや、聞こうとしてないのだ。
「ハーデリア!」
ロットはハーデリアを抱いて守ろうとする。ボールに入れる時間が惜しいからであろう。しかし、こうなったらロットさんも只ではすまない。
「ジャノビー!イーブイ!ルカリオ!ハトーボ!」
その時、動いたのはやっぱりあの少女だ。
「レイナ…!」
思わず声が漏れる。
レイナのポケモン達はエンブオーのニトロチャージを押し返している。そして、レイナ自身も押し返している。しかも、わざわざエンブオーの炎が出ている部分を。それを見て、マオ、ツバキも動き出す。
「フタチマルみずのはどう! ハーデリア!いくぞ!」
マオはフタチマルのみずのはどうでレイナが接触している炎の部分の負担を減らそうとして、ハーデリアとマオはエンブオーを押さえるのに参加する。
「ズガイドス!ワルビル!いくよ!」
ツバキも六つあるボールの中から二つ繰り出す。
しかし、それでもエンブオーの勢いは止まらず、エンブオー自身も我を失っているようだ。
「エンブオー!止まれ!」
叫んでも声は届かない。
「あぅっ…」
レイナがこぼしたように声をだす。両手で押さえているエンブオーの炎の部分。そこがジュウジュウと大きな音をだしていく。エンブオーの炎が強まっていってるのだろう。
「れ、レイナ!」
ここで俺はようやく動きだそうとするが足が動かない。
きっと…きっとこわいんだろ。暑いんだろ。苦しいんだろ。
余計なことが脳内に溢れ帰ってく。
きえろ…きえろきえてくれ!
「くっ。ワルビル!ズガイドス!がんせきふうじ!」
ツバキが指示をだすと二匹はエンブオーに向かってがんせきふうじを繰り出す。
するとエンブオーはノックバックする。
「レイナちゃん!大丈夫!」
ツバキは腰のウエストポーチから保冷剤を取り出すとレイナに握らせる。レイナの手はジュゥーという音が鳴る。
肝心のエンブオーは戦闘不能になっており、フタチマルのみずのはどうと、ズガイドスとワルビルのがんせきふうじがこたえたようだ。
「フタチマル。レイナにみずのはどう。」
マオもレイナの手を冷やそうとする。俺はレイナにかけよりしゃがんで、手の状態を見る。
レイナの手は真っ赤で所々はれており、とても痛々しい。しかし、レイナは平気な顔をしている。かなりの火傷だが、エンブオーの炎をまともにさわってこの火傷ですんだのは不幸中の幸いだ。
「…ヒュウ。大丈夫?」
レイナは俺の頭に手をおき撫でる。
その時俺は初めて気づいた。
あぁ。レイナはいつからこんな遠い所にいたのだろう。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.69 )
- 日時: 2021/06/10 11:07
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)
「ロットさん…」
俺は罰の悪そうにロットの方を向く。いや、こいつらはプラズマ団かもしれない奴らだ。罰の悪そうにしなくても良いのではないだろうか。俺の声が聞こえたのか聞こえなかったのかはわからないが、ロットはハーデリアを抱え俺にむく。
「いやはや。これほどの実力とはね。」
俺は何も言わずにロットをただ見つめる。ロットは髭を触る。
「ポケモンをよく育てている。しかしね、足りない所はあるようだね。」
──足りない所
思い当たる節はない。これだけポケモンを強くして、まだ足りないと言われるとかなり堪える。
「それと、その三人方の団結力。目を見張るものだったよ。」
「えっと。あ、ありがとうございます。」
ツバキは顔を赤らめながら言う。
マオとレイナはロットさんに対して軽く会釈をする。
「これなら大丈夫そうだね。いや、試すような真似をして悪かったね。元プラズマ団ということもあって…色々とあるんだよ…。それじゃあ。中へ。」
ロットさんはそう言うとすぐに背を向いてあるきだした。
『元プラズマ団?』
どういうことだろう…。
───────────
中へ入るとそこには沢山のポケモンと、プラズマ団の格好をした人達がいる。外と同じレンガが中でも使われており、何処か暖かみを感じる。
右には大きな四角いカーペットがいきてあり、左には長椅子が縦に二つ並べられている。ロットは中央でとまると、俺たちにむきなおる。
「改めて名乗りましょう。私の名前はロット」
「で、あんたらもプラズマ団だろ。さっきの黒服のプラズマ団となにが違うんだよ。」
俺は半ばロットの言葉をさえずり、早口で言う。
「正確に言うと、"元"プラズマ団だ。二年前の事件を出来事に罪滅ぼしとして私達が奪ってしまったポケモンの保護とトレーナー探しをしている。」
「二年前の出来事ってなんですか?」
ツバキがロットに聞く。そんなことどうでも良い。早く、早く早く…
「二年前、プラズマ団は、人々からポケモンを解放するために様々な行動をとっていた。時には実力行使にも出ていてね。しかし、私達はそれが幸せに繋がると信じていた。でもね、二年前。あるトレーナー達が目覚めさせてくれたんだ。そして、私達はその罪滅ぼしとしてこの活動をしているんだ。」
「二年前に…そんなことが…」
ツバキはそう言うと、ポケモン達をみる。
その瞳はこのプラズマ団達をどうとらえるべきかなやんでる目だ。
「そして、ヒユウ。お前は?」
ロットは俺に問う。ロットはなにがとは言わなかったが、俺はその"何"の部分はすぐにわかった。
「俺はヒユウ。ヒウオギシティの赤白 ヒユウだ。三年前。お前らプラズマ団に大事な妹のポケモンを奪われた情けないトレーナーだよ。」
俺はたっぷり皮肉を込めてロットを睨み付ける。ロットはやはりとも、悲しいという感情とも読み取れる複雑な顔をして俺をみる。
マオもツバキも驚いた顔で俺の事をみる。ただ、レイナは何も反応せず下を見ている。
その様子をみて、俺は何かが切れた。
「なにが…なにが離ればなれだよ…。
そうしたのはお前らだろッ!」
「やはり…そうであったか。誠に…申し訳…ない」
ロットの声はもうカラカラで辛うじて絞り出せたかのような声だ。
「謝るだけなのかよっ!それで終わりなのかよッ!」
どんどんヒートアップしていって…
「妹の…メイのポケモンはッ?!チョロネコだよ!チョロネコ!」
俺の爆音波並の怒声は建物に響き渡り、楽しく遊んでいたポケモンやプラズマ団は一気に静まり返った。
ツバキ、マオ、レイナも、俺を止めようとするが、躊躇う。
「ヒユウの言うポケモンはここには居ない…。
恐らく、今でもプラズマ団にこき使われている のだろう…
そして、ヒユウの言う通り、謝っても何も解決しない。
だが、罪を認めて謝らねば我々は前へ進めないのだ…」
「このッ!」
俺は感じるもの全てが白紙のよりも白くなり、いつの間にかロットの胸ぐらをつかんでいた。
ダメだ。いけないことだと分かっている。この人達は反省しているんだ。
そう言い聞かせても俺が理解してくれない。
分かってる。分かってるんだ。この人達を攻めるのは違う。しかし、理性で分かっていても感情が分かっていない。
「本当…に…すま…な…」
ロットの苦しそうな声が聞こえる。それを聞いて俺は更に力をいれる。
すると、不意に俺の手のひらは空気を掴んだ。そして、今度は逆に手首を掴まれている。
「ヒュウ」
レイナが俺を止めてた。
レイナの濁りきった、生気のないような瞳に見つめられる。なにもない。無の瞳。どこか、諦めているようないつもの瞳。しかし、どこかしら寂しさを感じる。
俺はおもむろにレイナの手を引き剥がす。
「もういいッ!謝られても妹のポケモンはここには居ないんだろッ!」
そう言って俺は走り出した。走ってはしって、走りまくった。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.70 )
- 日時: 2021/06/10 11:08
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)
~マオ~
「もういいッ!謝られても妹のポケモンはここには居ないんだろッ!」
ヒュウがそう怒鳴ると走って家を出ていった。
「ヒ、ヒユウ!」
椿が慌ててヒュウを追う。
そして、その場はルギアが去った後のように静かになる。
ロットさんは下を向いてただ黙っている。
あのヒュウがあんな荒々しくなるなんて…
いや、“昔のヒュウ”ならありえるが…
あのヒュウが…
一体何があったんだ。なにかあるはずだ。俺らの知らないなにかが…
「レイナ。」
レイナの体がビクッと震える。
この反応はやはり心当たりがあるのだろう。
「レイナ。ヒュウに何があったんだ。」
レイナが俺を濁った瞳で見つめる。俺はその瞳をしっかりと見つめ返す。数秒見つめあった所でレイナはロットさんをチラ見する。
きっとプラズマ団のことを話すため、ロットさんを気にしているのだろう。
ロットさんはそれを察してか首をわずかに縦に降る。
「三年前─」
───────────────────
「やぁ。元気かい?」
噴水がある小さい島の公園から本土にかかっている橋。そこで俺は黄昏れていると。ムシケラが一匹。
「なんだ。椿。」
「別に。なんとなく来ただけだよ。」
そういって、椿はしれっと俺の隣に立つ。
「ねえ。ヒユウ。何があったんだ?」
椿が単刀直入に俺に聞く。
「お前には関係無いだろ。」
「関係あるね」
しつこい。俺は椿をこれでもかと睨む。
当本人は方をすくめ呆れ顔をする。俺は更に不快感を椿に覚える。
「良いから立ち去れ。」
「無理だね。」
「なら俺が去る。」
俺はケンホロウのボールを手に取り、その場を去ろうとする。
「レイ レイナ」
椿が不意に口を開く。
俺は立ち止まり椿の方を振り向く。
「この子。関係あるんでしょ。」
「だからなんなんだ。」
「凄く不安そうにしてた。」
「俺の知ったこっちゃない。」
俺は椿の挑発に極力乗らずに突き飛ばすように返事をする。
「それレイナちゃん聞いたらどう思うのかな?」
「…お前。」
椿が勝ち誇ったように俺の額に指を指す。
最初からここまでの流れは計算済みだったってことか。
「チェックメイトだよ。ヒユウ。」
「本当にお前。いい性格してるよな。」
皮肉をこれでもかと詰め込んで椿に投げる。
「それはどーも」
椿はニヤリと笑って俺の皮肉を綺麗に返す。
「さあ。話してもらうよ?」
「はあ…三年前─」
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.71 )
- 日時: 2021/06/10 11:51
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: apTS.Dj.)
―三年前―
「ポカっ!ポカポカ!」
「ポカブ。美味しい?」
「ポカポカっ!」
ある春の昼下がり。俺はいつものようにポカブにお菓子を上げていた。
当時の俺は小学1年生。父親は居ない。母親は人気女優 霊 結香のマネージャーをしていて、いつも深夜に帰ってくる。だから日常生活は俺とメイで生活してる。と言っても、小学1年生と幼稚園児で生活なんて流石に危ないため、隣の家の、レイナの兄である羽静兄さんが時々世話をしてれる。
家事全般は俺がやっていて大変だが、去年隣に引っ越してきた霊家の三人目の養子の霊麗菜という同級生のお陰で毎日は楽しくなっている。
「ねぇ!ヒュウ!遊ぼ!」
底抜けに明るい声が響く。後ろを向くと俺と同じツインテールの黒髪に少し赤みがかったぱっちりとした瞳の幼女が。
赤白 萌維俺の妹と、その胸には今は居ないおじいちゃんがくれたチョロネコがいる。
「おう。いいぞ。なにして遊ぶ?」
俺は自然と上がろうとする口角に身を委ねメイに返事する。メイはぱあっと顔を輝かせ片手で俺のてをとる。
「うん!れーねぇとポケモンバトルしたいっ!」
れーねぇ…レイナのことだ。
レイナはポケモンバトルがここら辺の大人顔負けにに強く、毎日この時間にポケモンバトルをして遊んでいる。
「あぁ。俺もレイナとバトルしたいっ!」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「イーブイ!そのままアイアンテール!」
「あぁっ!チョロネコー!」
ここは近くの公園。
俺達は家にいたレイナを誘いポケモンバトルをしている。相変わらずレイナは容赦なく、ポケモンを飼いたてのメイにも本気でバトルしている。
「ぶぅ…れーねぇー強いよぉ…」
メイはほっぺをホシガリスのように膨らます。
レイナは少し目を細める。
レイナは出会ったときは生きているか死んでいるかわからない人形のように無表情で、生気のない人形のようだったが、今は笑ったり、瞳にハイライトがあったりして、人間らしくなってきている。
「次はヒュウ?」
レイナが挑発的な目で俺を見る。俺はモンスターボールを構えるとレイナの元へすぐいく。
「ああ!今日こそは勝ってやる!」
そうタンカを切った瞬間。
「いやぁぁぁぁ!」
頭が割れるような高い音の叫びが辺りに響き渡る。
そこに見えたのは、倒れているメイと…
「よし、こっち、チョロネコを捕獲。」
「あぁ、よくやった。そろそろ引くぞ!」
水色のフードに白色の上着を着て、黒の帯で腰で止めている。胸には白黒で、p、Zが重なったマークが書かれているファッションをしてる大人の男の人達。
その人達がメイのチョロネコを編みに入れてトラックの荷台に積もうとしている。その荷台には数10匹という大量のチョロネコが捕まっていて、一匹一匹何かを訴えるように叫んでいた。
「お、お前ら!何してるんだよ!」
俺はたまらず声をかけた。ポケモンを奪うなんて泥棒だし、おじいちゃんの形見であるチョロネコを奪われるわけにはいかない。
「あ?なんだ?ガキか。」
1人の男が呆れ顔で俺を見る。
「黙らせとくか?」
「そうだな。少年すまない。これはポケモンが幸せになるために仕方の無いことなんだ。だから、眠ってくれ。」
嫌な予感が身体中を電流のように駆け回る。しかしハブネークに睨まれたコラッタのように指1本動かすことができなかった。
「ミルホッグ!けたぐり!」
男がミルホッグに指示を出し、ミルホッグが飛んで足を俺につきだし襲ってくる。
あぁ…怖い。
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