二次創作小説(紙ほか)

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ポケモン二次創作 裏の陰謀
日時: 2022/09/29 16:23
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5VUvCs/q)
プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12800

ここはは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。

この世界には『表』『裏』があり、どちらを潰しても作っても、必ず表裏は現れてしまう。5年前それを無くそうとした哀れな小さき人は、結局世界に絶望し、失望し、仲間だけを助けようとしたが、仲間も、自分自身も失い、体を溶かした。これは、そんな世界で旅を始めた4人の少年少女達が『裏』に巻き込まれ、時には巻き込み牙を向け向かれる。そんな誰かを救おうとする哀れな人の物語。

※注意
〇これはポケモン二次創作です。原作とはなんの関係もございません。
〇微グロ注意です。
〇二次創作キャラもいます。殆どがオリキャラ、リクキャラです。
〇こんなのポケモンじゃねぇ!という方は閉じていただいて…
〇総合リクにて連載されているsidestory『最期の足掻き』も見てもらえれば更に楽しめると思います。

【目次】
〇第1部 ~イッシュ編~
始まりの始まり。いや、もう本当は始まっていた。その始まりを活発化させるレイナ、ヒュウ、トモバ、マオが四苦八苦しながら自分に向き合い、自分なりの答えを探す旅。

「登場人物紹介」

ホドモエシティ※ネタバレ注意
(トモバ~私~)時点の紹介 >>86

《プロローグ》 >>1-8
【第一章】レイナ 
〜旅に出る〜  >>10-21
【第二章】ヒュウ 
〜ジム戦と成し遂げないといけないこと〜 >>24-28
【第三章】トモバ 
〜逃げる責任感〜 >>29-34
【第四章】マオ  
~目的~ >>35-42
【第五章】レイナ 
~信じる~ >>43-51
《第5.5章》レイナ 
~進歩~ >>52
【第六章】ヒュウ 
〜強さ〜 >>57-73
《6.6章》ヒュウ 
〜俺のち俺〜 >>74
【第七章】トモバ 
〜私〜 >>75-90
【第八章】マオ  
〜PWT〜 >>92-102
【第九章】レイナ 
〜過去と仲間と霊 麗菜〜 >>104-111
【第十章】ヒュウ 
~海だ!春だ!夏じゃねぇのかよッ!〜 >>112-118
【第十一章】トモバ マオ 
〜1歩先へ踏み出すために〜 >>120-124
【第十二章】〜終わりの始まり〜
>>125-

ーーーーーーーーーー
【短編集】
イッシュ編
マオとレイナのバレンタインデー >>96

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.97 )
日時: 2022/02/24 17:28
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: so77plvG)

皆のバトル中にじゃまするゾ。僕の名前はゾロア。この黒髪のレイナとか言うやつのペットだ。この黒髪は僕達ポケモンを大事にする子のようで同じ手持ちのルカリオ先輩やイーブイ、ジャローダ等は黒髪に懐いている。
今も黒髪は微笑みながら僕達手持ちに触っている。けれど…僕は。

「…触れない」

そう黒髪は僕に触れないのだ。ご飯はくれるし寝床もモンスターボールがあるけれど、僕に触ってくれないし、バトルになんて出してくれない。こんなことなら施設にいた時の方が良かった。

「おいジャローダ!俺の食いもん取るな!」

「別に?取ったもの勝ちだ。」

そこで喧嘩してるルカリオ先輩。この人は僕の憧れでめちゃくちゃ強い!それにいつも黒髪の子に撫でられてて羨ましくもあるんだよな。

因みに今はバトル大会に出ている。黒髪は1回戦目突破し、2回戦の準備をしている。次は僕出られるかな?出られるといいな...
そんなことを考えていると

「次の対戦の手持ちを決めましょうか。」

レイナがそう口を開いた。ついに来た僕はワクワクしながらレイナのことを見る。

「ヒュウの手持ちはエンブオー、ケンホロウ、ゴルダック、ウィンディ。相手はエンブオーを必ず出してくるから同じタイプは出してこないはず。となると自然にエンブオー、ケンホロウ、ゴルダックの三体が出てくる。うちのエースルカリオと、ジャローダは炎が苦手なのよね。だから2人1緒は無理。そしてジャローダはゴルダックの弱点を付けるからイーブイ、ジャローダ、ケンホロウね。」

僕は少しがっかりする。分かってたはずなんだけどやっぱり直接戦力外扱いされるのはキツかった。

「あんた。それでいいの。」

いつも無口でクールなイーブイが僕に問いかけてくる。

「別にいいよ。イーブイはいいよね。種族値低いくせに」

僕は職員さんから聞いた種族値とやらの話を出す。するとイーブイは耳をピクっとさせた。

「ふっ。お互い様ね。」

鼻で笑われた。なんか悔しい。なんでこんなに変な性格してるんだろうこのイーブイは。よし、レイナ本人に講義してみよう。

「ねぇ、僕も出たい!出たい出たい出たい!」

僕は大声で抗議する。人間には「キャンキャン」言ってるようにしか聞こえてないかもしれないけど... レイナは顔を顰め手を顎に当てる。

「わがまま言わないの。」

するとケンホロウ姉さんが僕の頭を撫でる。だって... 言い訳をする前にケンホロウ姉さんに黙らされてしまった。うぅ、今回も出番なしか。

「そうね...じゃあジャローダ、ゾロア、イーブイにするわ。」

レイナは僕たちの会話がわかってるのだろうか?いや、そんなわけない、僕たちの声は聞こえてないはずだ。しかし、僕が手持ちに入ってる。僕は嬉しすぎてそこら辺をジャンプしながら走っしまった。

『次はレイナVSヒユウでございます。おふた方は会場へ...』

レイナとヒュウの名前が呼ばれる。レイナは立ち上がると掲示板の方を見る。そして黙って僕たちをモンスターボールに入れた。相変わらずレイナは何も言わないし無表情。何考えてるんだろ。それよりも僕が手持ちに入れて貰えた!僕は嬉しさで溢れかえりそうになった。

この後あんなことになるとは知らずにー

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.98 )
日時: 2022/03/13 20:02
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 1CRawldg)

どうもレイナのポケモンゾロアだゾ。今はご主人様であるレイナと、その幼馴染のツンツン頭のヒユウと言うやつが戦っている。正直戦状は最悪だ。相手はレイナの読み通りエンブオー、ケンホロウ、ゴルダックを出してきた。
最初、ヒユウはケンホロウを繰り出し、レイナはイーブイを繰り出した。そしてイーブイがケンホロウを勝ち取ると次はヒユウはゴルダックを繰り出す。イーブイはゴルダックに負けるが、ジャローダがゴルダックを勝ち取った。しかし、ここでエンブオーが出てくる。エンブオーはヒユウの切り札のようで、他のポケモンとは別格だった。ジャローダは勿論負け、あとは僕しか残っていない状況になった。

僕はあくタイプ。相手はほのお、かくとうタイプそして、別格に強い。今回の優勝はヒユウになるだろう。そして今、レイナは僕を出すか迷っている。
正直これは負け戦である。僕はレイナの手持ちの中でも別格に弱い。相性も悪い上に相手は格上。そして僕の技構成。カウンター、バークアウト、いあいぎり、瞑想。確実に秘伝要員と言うやつだ。負けは確定。
けど、レイナが、僕を出さない理由は、僕に嫌な思いをさせない為…だと思う。なら降参するか?それはレイナのプライドが許さないんじゃ無いんだろうか。

僕は負け戦であろうが出たい。負けてしまっても、最後まで足掻いてやりたい。

「レイナ!僕出るよ!出して!出して!」

僕は一生懸命レイナに呼びかける。モンスターボール越しに聞こえるか分からないけど、それでも叫んだ。叫び続けた。

「で…も…」

『レイナ選手迷っている!このまま降参をしてしまうのだろうか!』

レイナが何か言ってたようだけどナレーターによってかき消されてしまった。
おいナレーター!邪魔なんだゾ!

「もう降参しちまえよ。」

ツンツン頭がふざけたことをレイナに提案する。
ダメだゾ!最後まで足掻いてよ!
そう言っても、僕の声はレイナには届かない。

「俺とレイナの実力は火を見るより明らかだ。」

レイナはその通り過ぎて唇を噛んでいる。悔しいんだろう。ヒユウに実力が届かなくて。僕も悔しい。
僕を選出していなかったら、もしかしたらレイナは勝てたかもしれない。そう思うと僕は胸がキユッゥと引き締まるような感覚を覚える。

「ねぇゾロア。こんなトレーナーで…ごめん。」

レイナが僕のモンスターボールをとる。僕を出すのだろう。

『いいゾ!僕はレイナのトレーナーで幸せだゾ!』

僕は自分でも驚く程の幸せそうな笑顔を出す。驚いた。僕はレイナには嫌悪感しかなかった筈なのに。レイナを見ていると、何かを必死で抑えている風に見える。そんな切羽詰まった中で僕たちのことを考えてくれていることを今までの少ない時間でひしひしと感じた。

こんな不器用なトレーナーの支えにならなくて何になるのだろうか。

「キャンっ!」

僕はボールから出ると雄叫びに近い叫び声をあげた。

「…ありがとう。」

レイナが呟く。それはいつもの感情を抑えて、無になってるレイナとは、また違う風貌をした何かだった。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.99 )
日時: 2022/03/25 21:14
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: te9LMWl4)

どうしようか…
相手はエンブオー。そして見た限りレベルが僕と雲泥の差だ。レイナも同じことを考えていたのか僕に中々指示を出せてない。

「エンブオーかえんほうしゃ!」

さっきからかえんほうしゃばかり打ってきて近づけすらしない。僕にはワンチャンの秘密兵器がある。けど、それを発動するためには一撃でもダメージを受けたら終わりだ。そのため僕は避けることを重点的に鍛えられている。避ける精度はそんじょそこらのポケモンとは比にならない…はずなのだが。このエンブオー攻撃の精度が伊達じゃない。

レベル差がありすぎる…

これは勝てるか?否、勝つ可能性はかなり低い。だけれど針の穴に糸を通すような動作を数秒ごとに繰り返してるため中々いい案が浮かばない。なにか、どうすれば、どうしたら…

「っ?!ゾロア!下がって!」

なんだよ!人が考え事をしている時に…
その瞬間僕に何か悪寒が走った。本能的に、ここに居てはならないと。僕はすぐさまバックステップする。僕の前にはエンブオーがローキックを地面に食らわしていた。
危ない…野生の勘と言ったようなものだろうか?そのお陰で助かった。
レイナが僕より先にエンブオーの攻撃を察知したのが気に食わないが…
何としてでも攻撃は受けてはならない。

「ちっ。ちょこまかと…エンブオー、ビルドアップだ。」

相手に僅かな隙生まれる。今だ…!僕は走り、エンブオーの懐にいあいぎりを食らわした。
決まった…
流石にこれで倒しきれないとは思ってはいるが、3分の1位はダメージを与えられたのでは無いだろうか?僕は自慢げにエンブオーから距離をとる。

「バカっ!ゾロア!」

レイナが珍しく焦っている。
確かにレイナの指示を聞かなかったのは僕が悪いが、これだけダメージを…与えられれ…ば…

僕は目の前の状況に恐怖した。ビルドアップで強化された僕の数十倍大きいエンブオーが僕の前に立ってることに。しかも、いあいぎりは全く効いていない。

「キュッキュゥ…キュウ…」

僕は恐怖しすぎで変な声を出してしまった。
勝てない。これは勝てない。
弱肉強食という言葉を僕は思い出す。まさに今がその通りだ。

「ゾロア…私の指示を聞いて」

レイナが冷静に僕に声かける。
ぼっ僕はちゃんと指示を聞いてたゾ!
僕は何故僕が責められるかが全く分からなかった。

「ゾロアの特訓は全くやってないんだな。肩透かしだ。エンブオー。ローキックだ。」

来るっ、エンブオーが回りながら足を振り回してくる。いつもより早い!これ、僕も避けられないよ!万事休す…か

「ゾロア!バークアウトを目の前に打って!」

は?何言ってるんだレイナは。いやこの小娘は。バークアウトを目の前に打っても変わらないだろう?
僕はこのピンチな状況で変なことを言うレイナに呆れを通り越して腹を立てて居た。しかし、もうそれ以外にやることが無いためやるしかない。
僕は目の前にバークアウトを打った。その瞬間。エンブオーが目の前に居た。僕のバークアウトはエンブオーに当たるが、エンブオーは片手で振り払う。その振り払いの衝撃で僕は後ろに飛んでいく。 そのお陰でエンブオーの攻撃を避けられた上に一撃与えられたことになる。
もしかして、レイナはこれが狙いだった…?
僕はレイナの方を向く。しかし、レイナは無表情である。
なんだよ。僕より頭いいじゃないか。仕方ない。言うことは聞いてやるか。別に、レイナを頼ってる訳じゃないんだゾ!

「ゾロア。突っ込め!」

切り札を発動させる様だ。僕はレイナの言う通りそのまま突っ込んだ。

「良いだろ。受けて立つ。エンブオーローキック!」

相手は落ち着いてる?!まさか僕達の切り札が悟られた?!
いや、そんなことはないはずだ。
落ち着いて…ただ一点に集中しろ。

その瞬間。下からエンブオーの蹴りが来た。
ここでぶっ飛ばされたら終わりだ。しかし、ダメージをなるべく多く与えられなければならない。僕はちょうどエンブオーの足が自分の腹に来るようにジャンプした。

ズドォン

かはっ…!
思った以上の威力だ。エンブオーのローキックの衝撃が辺りに広がる。
僕の目の前は霞だし…手に力が入らない状況になってしまった。

「ゾロア!足を掴み取って!」

けど、負けてられない!
僕は意識が朦朧とする中、エンブオーを標的にした。あとは指示が出るまで意識を保つことだ。

「エンブオーのタイプ一致効果抜群ビルドアップ積みのローキックを受け止められたのは認めよう。けれどここまでだ。振りほどけ、エンブオー」

ツンツン頭が何か言ってる。けれど、朦朧とした意識の中、そのツンツン頭の言葉は聞き取れなかった。僕は今、ただひとつの技に集中している。

「ゾロア!カウンター!」

僕はその指示を聞き逃さなかった。重い体に鞭を叩き、エンブオーの足を土台にしてジャンプした。エンブオーは予想外の動きだったのか一瞬怯む。
その怯み、利用させて貰うゾ!
僕は精一杯のカウンターをエンブオーに決めた。

カウンター。相手の物理攻撃のダメージの2倍をその相手に与える技。しかし、レベル差が大きく、タイプ一致で、効果抜群。その上ビルドアップを積まれたローキックは僕では受け止めきれない。そこで、持ち物だ。僕の持ち物はきあいのタスキ。一撃を食らうとHP1まで残してくれる持ち物だ。と言ってもプラシーボ効果に近く僕にとっては精神力で何とかしてるようなものだが。
そのお陰でバケモノのようなエンブオーの技を2倍にして返せたということだ。

やった。格上に勝った…僕は空から落ち際に倒れているエンブオーを見つめる。
すると、エンブオーが僕の方を振り返った。


    え?


「エンブオー。ローキック」

その声はレイナの指示より、クリアで綺麗に僕の耳に届いた。次の瞬間。効果音が全て消えた。消えたと思ったら…空中でエンブオーのローキックを受けていた。
僕は痛みで何も言えない状態になり、素直に吹き飛ばされ、壁に激突する。その痛みも尋常でなく、僕は思わず口から無いはずの物を出した。
そのまま僕は。意識を失ってしまったんだ。

ーーーーーーーーーーー

目を覚ますとそこは、大会のロビーだった。
僕は一体…あぁ、そうだ!あの時エンブオーのローキックを受けて…それから…
僕はすぐ様上のモニターにあるトーナメント表を見た。

レイナは2回戦敗退だった。レイナはヒユウに負け、ヒユウは準決勝へ。そこでセブンとかいう金髪と戦い勝ち、見事優勝はヒユウに授けられた。
納得行かないゾ…なんであのカウンターを耐えれることが出来たのだろう…確実にオーバーキル並だったはずなのに…

あぁ、バトルの結果気になるよね。
1回戦
Aブロック
レイナ対カシワ レイナ勝利
ヒユウ対ツバキ ヒユウ勝利
Bブロック
マオ対トモバ マオ勝利
サツキ対マツリ サツキ勝利
Cブロック
エイト対セブン セブン勝利
シイナ対リンドウ リンドウ勝利

2回戦
Aブロック
レイナ対ヒユウ ヒユウ勝利
さっきの通りだゾ。
Bブロック
マオ対サツキ サツキ勝利
サツキがエースのハッサムで3タテしたようだゾ。
セブン対リンドウ セブン勝利
セブンが土俵際で耐え続けて勝ったそうだゾ。

準決勝
サツキ対セブン セブン勝利
サツキが奇想天外な発想でセブンを撹乱させたらしいがセブンが軽々とかったゾ。霊家の血筋はポケモンバトルでの奇想天外な発想が得意なのか?

決勝
ヒユウ対セブン
ヒユウのケンホロウが3タテ圧勝だったそうだゾ。当たり前だ。ヒユウの手持ちはそこら辺のエリートトレーナーよりもかなり高い実力を誇っている。負けて当たり前だと思うゾ。そんなヒユウを切り札のエンブオーまで追い込んだレイナ達は中々凄いってことだゾ!

「あら目を覚ましたの?」

横ではレイナの手持ち全てがボールから出ていて何かを話していた。
話しかけてくれたのはケンホロウ姉さんだ。ケンホロウ姉さんは僕によく頑張ったとなでなでしてくれた。少し照れくさいんだゾ…

「おう、新入り。目が覚めたか」

僕の憧れ、ルカリオ先輩が僕に声をかけ、よくやったと笑顔で言ってくれた。僕は嬉しさが頂点に達し、そこら辺をピョンピョン跳ねてしまった。

「うるさいわね。新人食べるわよ。」

「…うるさい。」

興ざめするような事を言ってくるのはジャローダとイーブイだった。良いじゃないか!あのエンブオーをあそこまで追い込めたんだゾ!

「まあまあ、そう言ってやるなよ」

ルカリオ先輩はどこまでも優しい。ジャローダとイーブイをなだめてくれる。

「しょうがないわね。」

イーブイがしっぽをブルンと振るう。なんかイラつくゾ。なんでイーブイなんぞがそんな偉そうなんだゾ?ルカリオ先輩の方が余程強いのに!
ジャローダは初期のポケモンだから一歩譲って許せるゾ…僕新参だし…

「イーブイちゃんはね、このメンバー中で1番強いのよ。」

ケンホロウ姉さんが羽で周りに声が聞こえないように覆って喋る。イーブイが?!嘘だ…

「何でも、レイナと産まれた時から居るらしいわよ。良いわよね…レイナは私達に平等に接してくれてるけど…特別感があって…」

ケンホロウ姉さんの横顔はどこか寂しそうだった。それにしても1番強いからってイーブイは図々しすぎないか?僕はプクッと頬を膨らましてみる。

「あ、ゾロア、目が覚めたんだ。」

今までぼーっとしていたレイナが僕に声をかける。僕はレイナの方を振り返ると、いきなり華奢で小さい手が迫ってきた。

「ありがとう」

レイナはそう一言言って僕の頭を撫でてくれた。
あ…

「「触れた…」」

僕とレイナの声が重なる。僕は思わず笑ってしまった。レイナは、無表情だったけど、きっと笑ってた。そんな感じがしたんだゾ。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.100 )
日時: 2022/03/28 03:55
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5TWPLANd)

《マオ》

大会が終わった夜。俺達はまたPWTに併設されているホテルに泊まっていた。しかし、俺は外に出ていた。目的地はPWT地下に作られたプラズマ団の施設だ。今やもの抜けのからだろうが、何か少しでも情報が欲しい。ヒュウのようにプラズマ団に執着してる訳では無いが、幼なじみが苦しめられてる原因を放っておくほど俺もクズじゃない。
PWTの裏。確かここら辺に地下への入口があったはずだ…
俺は屈んで芝生をかき分けながら探す。

「辞めた方がいいぜ。」

すると後ろから声をかけられた。「〜ぜ」と語尾に着いているが、声が華奢で可愛らしかったため、女だろう。しかし、この声はよく聞き覚えがある。俺は振り返る。

「レイナ。何だお前も来てたのか」

珍しく髪を下ろした普段着のレイナが立っていた。しかし、なんというか、雰囲気がレイナっぽくないというか?
違和感を感じた。立ち方、言い方、目付き、髪型。それらが明らかにレイナでなかった。

「あぁ。マオ。俺がその施設を先に調べたがもの抜けの空の上に証拠は全て消してやがる。」

なるほど。無駄足って訳か。それよりも聞きたいことがある。

「お前。誰だ?」

「ハハッ。釣れねーぜマオさんよ。せっかく俺がレイナのフリをしてやってるのに。」

「お前はレイナとは似ても似つかねぇよ。」

するとレイナ(?)がキョトンとした顔をする。その後フッと笑い、困ったような顔をした。こんなに表情豊かなレイナ(?)は珍しい中身は違えど写真を撮りたかった。
…いや、これはトモバとヒュウに見せるためであって俺が決して見たいとか…そういう訳じゃねぇからな!多分…

「で、俺は誰かって?」

「あ、あぁ。そうだ。」

思考が全く違う方に向いていたなんて言えない。しかし、本当にコイツは何者だ?身長も体格も顔もレイナそっくり…いや、レイナその物だ。別人とは思えない。双子?いや、レイナに双子は居ないはずだ。

「俺はレイナだ。」

「嘘つけ。」

「いや、マジ何だって!」

俺は疑いの目をレイナ(?)に突き刺す。レイナ(?)は「困ったなー」と言いながら首を傾げている。

「そうだな。じゃあ俺はレイだ。」

じゃあって何だよじゃあって…それより、レイって言うのか…苗字がレイだからその名前の変え方意味あるのか?そう思ったが口に出さないことにした。

「で、レイ。なんで、レイナとそっくりなんだ?」

「そりゃァこの体レイナのだもん。くりそつで当たり前だろ。」

レイは当たり前のように言うが、全然当たり前じゃないからな。むしろ『レイナの体』って言ってるあたりからスピリチュアルの香りがプンプンするぞ。

「じゃ、俺は久しぶりに外に出れたしそこら辺歩いてくるわ。」

「まっ、待てよ!」

こんな危険そうなやつそこら辺にほっぽれる訳が無い。と言っても、こちらも引き止められるような言葉は見つからなかった。なんせ旅に出るまで部屋に引きこもってたからな。コミュニュケーション能力は著しく低い。

「お、お前は…男…なのか?」

俺は一体何を聞いているんだ?確かにレイナを引き止めたいと思った。しかし、こんな質問をするなんて…俺のボキャブラリーの無さに絶望する。

「あー、俺?男だぜ。」

俺はその瞬間もっと絶望した。あのレイナの体に薄汚い男が入っている…?
そう考えるだけでも怒りでまぶたがピクピクした。

「そうカッカすんなよ。俺は生まれた時からこうだったんだから。」

「…」

それで許されるとでも思ってるのだろうか。俺はお馴染みの不良並の鋭い目でそいつを睨みつけた。しかし、レイは怯むことは無かった。

「あー。じゃあ、俺もう行くぜ。」

「あ、ま、待てよ…!」

怒りで当初の目的を忘れていた。コイツを引き止めなければ…

「あ、最後に1つ。忠告だ。」

止めようとした俺はその言葉に首を傾げる。レイとかいう得体の知れない物に忠告されるほど俺はコイツを信頼してない。忠告なんて聞くつもりは無かった。けれど、体、声はレイナであるため、体が勝手に黙ってしまった。

「レイナにプラズマ団を近づかせるな。」

「は?それってどういう…」

「じゃあな。俺粘着質な奴嫌いなんだよ。」

するとレイはジャンプしたと思うと俺の目の前から消えていた。おいおいどんなマジックだ?!俺は確かに見てたぞ!レイを、消える瞬間を…

正体不明な奴を目の前にした時から。俺は幼馴染を見る目が変わるなんて思っても見なかった。

「マオ。来なさい。話があるわ。」

後ろから聞きなれた声が聞こえる。凛として声を聞くだけで涼しくなるような声。クーフ。俺の母親だ。

「あなたは将来探偵になるのでしょう。なら心して聞きなさい。
レイナちゃんは────」

その瞬間。俺達幼馴染の形は崩れてしまったのだ。

Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.101 )
日時: 2022/03/30 00:55
名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: /dHAoPqW)

ー昔ー

「いつもお世話になってるわね。」

私の母親が相手の母親にそういう。タメ口の為仲がいいのだろうか。そう思いながら蚊帳の外でその様子を見ていた。

「あの二人は。芸能人とマネージャーの関係でね。家族ぐるみで仲がいいんだ。」

私の数倍大きいワセイ?さんが教えてくれた。芸能人は分かるがまねーじゃーとはなんだろう?多分芸能人と深く関係がある職業なのだろうけど...よく分からない。まねーじゃーなんて殺したこと無いのだから。

「あ、その子が新しい子?」

相手の母親。紺色のかみにてっぺんで大きいお団子を作った髪で優しそうな赤目。この人は悪いことをしなさそう。殺るなら静かに苦しまずに殺してあげようか。当時の私はそれぐらいのことしか考えられなかった。今でも我ながら酷いと思う。

「そうそう。家の新しい子。ほら、挨拶して。」

何故こんなくだらない茶番をしなければならないのだろうか。と、めんどくさく感じながらも世渡りのためにはあいさつが大事なのも分かっていたため渋々家族の前に出た。

「レイ...レイ 麗菜レイナです。よろしくお願いします。」

私はそこでぺこりと挨拶とした。相手の様子を見るとニコニコしており悪評では無いようだ。好評は好評でめんどくさいが。私のこの顔。一般人には好評のようで、1つ愛想笑いしたら悩殺してしまう程だ。そのため、挨拶には無表情で貫き通した。まあ、私は『あそこ』を出てから無表情を貫き通してるが。まず表情を作る余裕でさえすら今はない。

「いやん!可愛い!さすがユカの子ね!さあ、2人共。挨拶して。」

血は繋がって居ないため顔の良さは関係ないと思う。
すると、母の遺伝子を受け継いでるとすぐ分かる2人が出てきた。私よりも背の高い男子1人。小さい子1人。見たところ少し歳が離れているようだ。まあ、今の私の容姿だと同い年に見えるだろうけど。
相手はやはり紺髪に赤目だ。父もいるのだろうのか。温室でぬくぬくと育ってきたのだろうな。

赤白セキシロ 萌維メイです!よろしくおねがいします!」

幼さが気を立つ女の子が自己紹介しに来た。こういう無知な子は星の数ほど殺してきた。その子自体に罪はなかったが家族ぐるみの問題で死ぬ事が多かったな。あと生け捕りにして変態に売ったりしてた。この子もそういうのに巻き込まれるのだろうな。
そう思って当時私は名前なんて覚えずに居た。
次はこのツンツン頭か。そう思っていた。ツンツン頭は寝癖が度重なって作られた物だと瞬時に分かった。直そうと思ったら直せるけどかなりの時間がかかる。哀れなもので。そう思って鼻で笑っていた。その男の子はまだ無表情で何も言わない。いつになったら挨拶するのだろうか。私は少しイライラしていた。それを見かねた母親は先に自己紹介を始めた。

「私は赤白セキシロ カナエよ。よろしくねレイナちゃん。」

「よろしくお願いします。」

みっともない長男だ事で。痺れを切らした母親が挨拶したじゃないか。この人は芸能人である母親の仲がいいようだから芸能界に関わりがあるのだろう。下手したらこの家族は丸々滅びるだろうな。そう思っていた。

「あ、あぁ。俺は赤白セキシロ 陽佑ヒユウ同い年って聞いたぜ!よろしくな!」

その瞬間の彼の笑顔を私は忘れたことがない。今まで見たことがないぐらいキラキラしてて、後光が差してた。頬は少し赤らんでおり更に笑顔を引き立たせた。幼児の笑顔は美しい。それは知っていたけれど、さっきのロリよりも笑顔が綺麗だ。

「れ、レイナ...?」

「ヒュゥッ。」

ビックリして喉から変な音が出てたでは無いか。このような失態を表すなんて10年以来だ。

「ヒュウって...俺の事?」

「え、あ。」

意外な所に話が発展して焦ってしまった私。これが戦場なら今私は死んでいただろう。こんな隙を相手に示してしまうなんて飛んだ失態である。

「ヒュウか...嬉しいよ。ありがとうなレイナ。」

その瞬間。私には追い風が吹いてきた。さっきよりも更に美しく可愛い笑顔だった。作り笑顔では無い。本当のくしゃくしゃっとした笑顔。やはりそこには幼児の笑顔であるが、そこに少し大人びた雰囲気が纏っていた。
この人は背後に色んな事情がある。
勘で分かってしまった。なのにこんな綺麗な笑顔をして居るだなんて。

その瞬間。自分が惨めに感じた。そして、手を汚してまで大切な人を守って必死に生きてきた私を見下しているようにも感じた。でも、そんなことは気にならなかった。十分分かってたはずだ。分かっていたつもりだった。こんな笑顔をその人の未来を、周りの人を絶望に突き落としていたのだ。そんなこと10の承知だった。筈だったのに。この笑顔を見ると全て間違っていたことを知ってしまった。全て勘違いだと知ってしまった。平和のためには犠牲は問わない。その犠牲がどれほど尊いものか。
それを知ってしまうと心が壊れてしまいそうだった。手を汚してでも守ってきた仲間、自分、相棒が黒く染まってしまい、ただ、もう、なにも、考えられなくなった。
ー私はなんてことをしていたのだー
そして、心が壊れた。

「お、おい。大丈夫...か?」

ヒユウ...いや、ヒュウだっけ。が、私に声をかける。私はこう言った。

「大丈夫」

それから私は感情を外に出さなくなった。否、『出せなくなった』のだ。

ーーーーーーーーーーーーー

ーイナ...レイナ...レイナ!

ハッ。その時、私は意識を外に向ける。そこには心配そうに私を見るトモバとマオが居た。ヒュウも遠目で私のことを見ている。

「ごめん。ちょっとフラッシュバックしてた。」

私はジンジンと痛む頭を抑えた。トモバは「大丈夫?」と言いながら私の頭をさすってくれる。それに対しマオとヒュウは黙って私のことを見ている。そこに違和感を感じた。ヒュウはチョロネコ事件以来この調子だが、マオが、やけに。思春期だろうか?

「えぇ。大丈夫。大丈夫。」

私はトモバの手を話周りを見た。ここはPWTの受け付け会場。そこにはお客さんはもちろん。最初の大会に出場したメンバーと『手伝い』3人、トモバ、マオの父、カゲロウさんがいた。

「君たちが集まってもらったのは他でもない。これからグループで旅をしてもらおうと思ってね。」

唐突になんだこの人。グループで旅?人によっては嫌な人も居るだろうしここで決めるのは違うだろう。

「もちろん君たちの意思は尊重する。けどね、最近プラズマ団が増えてきて君達は危ない目に会う確率は高い。そのため、優秀なトレーナーである『手伝い』の3人を中心に4グループにわけて旅をしてもらおうと思ってる。」

私は反対だ。1人で旅をやるのが1番疲れないし楽だし特訓にもうってつけだ。それに、半強制的に自由を奪われるなんて溜まったものじゃない。と、不満が私に溜まっている。
私と同じ意見の人はゴロゴロいるだろうと思い周りを見てみる。

「「「「「レイナと一緒に旅ができる...?」」」」」

実際に声を聞いた訳では無い。しかし、マオ、ヒュウ、トモバ、サツキ、ツバキその他諸々の心の声が勘で分かってしまった。鋭い所もここでは困ってしまう。

「僕は反対だね。」

今まで空気が薄かった女か男かわからないやつ...シイナが大声を上げて抗議する。

「私も反対。」

私はそれに乗っかって反対する。1人で反対するより2人で反対した方が効くだろう。効果あるかどうかは分からないが...なんせ相手はあのカゲロウさんだからな...

「反対もいるようだね。じゃあ多数決をしよう。旅をしてもいいって人。」

すると私とシイナ、セブン以外全員が手を挙げた。多数決で負けるだろうとは思ってたがここまでとは...
それよりカゲロウさんの言い方がいやらしい。「旅をしてもいい人」でなく、「旅してもいい人」のため、どっちでもいい人や興味ない人も手を上げる確率が高くなる。さすが大手グループの会長...

「君たち以外は良いんだって。さて、どうする?」

そんなこと言われたら下がるしかないじゃない。どうしよう...何か手はないかな。そう考えてると...

「...もういいよ。僕は。こんだけ居るんだ。」

シイナはガックリと肩を提げて白旗を振る。私はセブンの方を見る。セブンはフンッと鼻を鳴らす。

「なんで俺が人と戯れなければ行けないんだ。」

セブンはカゲロウを睨みつけながらいつものような棘のある言葉を食らわせる。カゲロウさんはダメージを受けた様子もなく涼しい顔でその言葉を受ける。

「そうだね。『誰とも絡まない俺カッコイイ』と思っているのかな?それならそれでいいけどね。」

否、まあまあ怒らせていた。カゲロウさんがこんなにチクチクした言葉を言う時はあんまり無いのだ。セブンは顔を真っ赤にして狼狽えている。...図星か... セブンの新たな一面をみて嘲笑う私と驚いた私が居た。

「...仕方ない...」

セブンも堕ちたか。まあ話術でカゲロウさんに勝る人は見たことないからな。次は私にカゲロウさんが近づいてくる。何をする気なのだろうか。私は軽く身構えてしまう。すると私の耳元に顔を近づけると

「今度君にトモバと付き合って欲しいんだけど...」

その瞬間。舌で舐められたような嫌悪感が広がった。
ートモバとつきあうー
『付き合う』というのは行動を共にするという付き合うでは無く『恋愛』として付き合うということだ。私とトモバは同性だ。恋愛をする仲では無いが、トモバは私の事を若干恋愛対象と見てる節がある。そこら辺はよく分からない、所謂鈍感だそうで、直接トモバに告白されたことがある。そこからトモバの行為を知った。
トモバと付き合うということはトモバの好き勝手にされる上に引っ掻き回される上に統治グループの問題にも引っ掻き回される。絶対ゴメンだ。しかし、カゲロウさんがやれば出来ないということがない。
というか何故それをカゲロウさんが知ってるんだ、マジで怖いぞ会長。

「…分かりました。」

これはもう脅しだろう。私は致し方なく頷く。すると皆が『わぁっ』と盛り上がる。反対派が居たとしても脅しとか使って結局こうならせたんじゃないのか。私は呆れてカゲロウさんを見た。カゲロウさんはフッと笑った。

...悔しい。


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