二次創作小説(紙ほか)
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- ポケモン二次創作 裏の陰謀
- 日時: 2022/09/29 16:23
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: 5VUvCs/q)
- プロフ: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12800
ここはは地球。
この星の不思議な不思議な生き物、ポケットモンスター
ちぢめて「ポケモン」
彼らは、海に大地に空に森に、至るところに生息している。
この世界には『表』『裏』があり、どちらを潰しても作っても、必ず表裏は現れてしまう。5年前それを無くそうとした哀れな小さき人は、結局世界に絶望し、失望し、仲間だけを助けようとしたが、仲間も、自分自身も失い、体を溶かした。これは、そんな世界で旅を始めた4人の少年少女達が『裏』に巻き込まれ、時には巻き込み牙を向け向かれる。そんな誰かを救おうとする哀れな人の物語。
※注意
〇これはポケモン二次創作です。原作とはなんの関係もございません。
〇微グロ注意です。
〇二次創作キャラもいます。殆どがオリキャラ、リクキャラです。
〇こんなのポケモンじゃねぇ!という方は閉じていただいて…
〇総合リクにて連載されているsidestory『最期の足掻き』も見てもらえれば更に楽しめると思います。
【目次】
〇第1部 ~イッシュ編~
始まりの始まり。いや、もう本当は始まっていた。その始まりを活発化させるレイナ、ヒュウ、トモバ、マオが四苦八苦しながら自分に向き合い、自分なりの答えを探す旅。
「登場人物紹介」
ホドモエシティ※ネタバレ注意
(トモバ~私~)時点の紹介 >>86
《プロローグ》 >>1-8
【第一章】レイナ
〜旅に出る〜 >>10-21
【第二章】ヒュウ
〜ジム戦と成し遂げないといけないこと〜 >>24-28
【第三章】トモバ
〜逃げる責任感〜 >>29-34
【第四章】マオ
~目的~ >>35-42
【第五章】レイナ
~信じる~ >>43-51
《第5.5章》レイナ
~進歩~ >>52
【第六章】ヒュウ
〜強さ〜 >>57-73
《6.6章》ヒュウ
〜俺のち俺〜 >>74
【第七章】トモバ
〜私〜 >>75-90
【第八章】マオ
〜PWT〜 >>92-102
【第九章】レイナ
〜過去と仲間と霊 麗菜〜 >>104-111
【第十章】ヒュウ
~海だ!春だ!夏じゃねぇのかよッ!〜 >>112-118
【第十一章】トモバ マオ
〜1歩先へ踏み出すために〜 >>120-124
【第十二章】〜終わりの始まり〜
>>125-
ーーーーーーーーーー
【短編集】
イッシュ編
マオとレイナのバレンタインデー >>96
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.87 )
- 日時: 2021/12/29 21:28
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: UxRM.rFT)
階段を降りると明らかにハイテクな廊下が続いていた。
こんなにも上の階と違うものなのか……
「上の階は囮でここが本拠点…」
レイナが呟く。はっきり言わない無口な所がやっぱりレイナの美しい所だよなと、急に違うことを思っていた。
「そのようですね。床パネルの下に階段がありましたし」
ミツキさんがレイナの考えに同意する。
「てことは、本拠点をパスワードやら地面の扉やら床パネルやらで隠していたのにレイナがあっさり発見したってことか。」
セブンが嫌味を含めながら言う。
「感謝しなさい」
レイナは珍しく高圧的な態度でセブンに接する。セブンとレイナのやり取りを見ていると珍しいレイナが見れて飽きないし楽しい。
「ここは敵の基地ですよ。夫婦漫才は控えてください」
ミツキさんは緊張感を持たずに牽制しあっていた所終止符を打つ。
しかし夫婦漫才はなぁ...ほら、レイナとセブンが凄い顔でミツキさんのことを睨みつけてる。
「夫婦漫才はともかく、油断は禁物だな。行こうぜ 」
俺は2人の怒りを紛らわすために先陣を切って先に進んだ。レイナもセブンもそうだと思ったのか俺に黙ってついてくる。ミツキさんは俺に関心してついてくる。まあレイナの扱いは長いからな。セブンもレイナと似たような沸点だし。俺は少し心の中で自画自賛しながら通路を歩いていた。
ーーーーーーーーーーーーー
地下二階は1階とは規模も構成も全く違っていた。まず地下二階は地下一階と違い各部屋にちゃんと役割があった。仕事場が複数に何かの研究室、何かの監禁室など。そして次の通路へ行くためには特別な扉をを探さないと行けないこと。それは隠し扉であったり、かなり高度のパスワードや、プラズマ団が持ってるカードキーを持っていかないと行けなかったこと。
俺らは3回ほどその特別な扉を開いて先へ進んでいた。
「これ先へ進んで意味あるのか?」
セブンが今更なことを言う。確かにこれ進んで最奥に何があるのだろうか。何も無かったら行き損。時間の無駄だ。
「電気、金を盗むことが目的ならその機会とか戦力を削った方が良いだろ。」
セブンがもっともらしいことを並べる。いや、事実その通りなんだが...
「金も電気もどうでもいい」
レイナが唐突に暴露する。俺は知ってたけどな。レイナは元々そんなことに興味無いって。ただ...
「私はトモバを誘拐しようとしてる幹部を叩きのめすのとバトルがしたいだけ。」
やっぱりな。アイツがプラズマ団に興味を示してるのはポケモンバトルができるのと、過去ヒュウのチョロネコ事件に関わってたからだな。要するにレイナは俺達幼なじみとポケモンバトル以外は興味が無い。変なやつだとは思うけどな。それより、俺がピンチになったらレイナは助けてくれるのだろうか。多分助けてくれるだろう。そう思うと何故かこしょばい気持ちになる。
「お前...倫理って知ってるか?」
セブンが呆れたようにレイナに問いかける。するとレイナは言い返しもせずに俯く。
「知ってるわよ...そんなの。」
そうボソッと呟いた。レイナらしくない小さな抵抗だった。俺は瞬時にその言葉に深すぎる意味が込められていると分かった。しかし、あまりにも深すぎるため俺は言及出来なかったのだ。
たまにレイナはこうやって謎めいたことを言う。それが何を意味しているか。俺はまだ分からないままだった。
「それにしてもあっさりだったよなぁ」
誰かの声が聞こえる。プラズマ団!俺達は瞬時に理解すると角の壁にひっつきなるべく見つからないようにした。
「なんのことだ?」
「しっ!」
セブンが呟くとミツキさんが口に指を当てて静かにしろと圧を送る。少しの音ですらもたててはいけない。さすがミツキさん。母さんの友達であり国際警察の名は伊達ではないようだ。
「あー、統治グループのお嬢様だっけか?夜中1人でそこら辺うろついてるわ、ポケモンの電気ショックを当てたらすぐ気絶するわ。あいつ世界有数のお嬢様であること自覚してんのか?甘すぎだろ。」
...その通り過ぎて兄である俺もぐうの音が出ねぇ。俺は正直学校と旅に出る時以外はほとんど家にいた引きこもりだから誘拐とかされずに済んでたが、トモバは昔から好奇心旺盛天真爛漫だったからレイナとヒュウ連れてよく外に遊びに行ってたんだよな。
「まあ俺らには都合が、いいけどな」
「だな」
プラズマ団2人の会話が終わる。俺はトモバが誘拐された事実と統治グループをバカにする奴らに俺は怒りが隠せなかった。それはレイナも同じなようで、レイナは何を思ったかプラズマ団達に突っ込んで行った。
「ちょ、レイナ!」
「トモバ...」
レイナがモンスターボールを投げ、ジャローダとケンホロウが出てくる。
「何だこのガキ!」
「ここはガキンチョが、来るところじゃねぇぞー、始末するか」
そう言うとプラズマ団の2人はレパルダスとゴルバットを繰り出す。
「ジャローダ。ケンホロウ。」
レイナは只只無表情だった。かすみすぎて逆に綺麗な瞳をかっぴらきにし、口を一の字のように綺麗に結び、プラズマ団達をハッキリとみている。見れば見るほど美少女が際立つ。しかし昔から一緒にいる俺には分かる。怒ってる。これ以上ないほどレイナは怒っているのだ。こんなに感情を露わにするのは珍しい。
「調子に乗るなよガキが!レパルダスだましうち!」
「ゴルバット毒のキバ!」
珍しい。レイナのポケモンは大体努力値を素早さと攻撃に降ってるため、大体のポケモンは早いはずだ。しかし、プラズマ団に上を取られてる。いや...これは
「今。ケンホロウ エアカッター。ジャローダ リーフストーム」
それは水のようになだらかで炎のように激しく感じる言葉だった。レイナが支持した瞬間。その怒りに答えたのかジャローダとケンホロウの動きがより洗礼され、まるで風のように一瞬で敵を仕留める。これはレイナとポケモンの絆が固いという証拠なのだろう。
「な、なにっお子ちゃまの分際で!」
プラズマ団が下っ端らしいセリフを吐いたところでレイナがプラズマ団の首を掴む。
「トモバ。どこ。」
それはシンプルで分かりやすい質問だった。しかし、シンプルであるが故に、怒りが分かりやすい結果となり、プラズマ団を、怯えさせた。
「しっ、知らない...!統治グループのお嬢なんて知らないぞっ!」
プラズマ団の片方が冷や汗をかきながらレイナに必死で訴える。
「地下3階にクリーム色のフードしたガキと一緒に居るはずだ...!それ以外は知らないっ!」
もう片方のプラズマ団が慌てて言う。
「地下3階への階段は」
レイナがプラズマ団からの答えを聞く度レイナは即また質問をする。
「こ、この廊下の先にあります!このカードキーを使えばっ」
このプラズマ団達に大人のプライドというものは無いのだろうか。レイナの質問に答えてゆく度小物感が増していく。
「そう。ならもう用無しよ」
レイナが冷たく言い放つ。
「どういうことっ...」
プラズマ団達はレイナ頭を殴られそのまま気絶してしまう。トモバの居場所が聞けたのはいい事だ。しかし...
「早く行くよ。」
レイナが声をかける。それに俺は反抗し、レイナの手を掴む。といってもレイナの手を掴めるほど握力は強くないため、レイナが気を使って掴ませてくれたのだが。今はそんなことどうでもいい。
「とりあえず落ち着け。トモバが誘拐されたのは今に始まったことじゃねぇだろ。今回も大丈夫だって。」
俺は励ましの言葉をかける。トモバだって、誘拐なんて慣れたものだろう。慣れるもんじゃないけどな誘拐って。
「今まで、トモバが誘拐された際の敵の強さは俺達には分からないが、今回はそうは言えない状況だ。」
セブンが淡々と俺に告げる。レイナもそれに肯定するように頷く。
「クリーム色のガキ...あれはきっとトゥエルブスの事でしょう。」
ミツキさんもセブンとレイナと、同じことを思っていたのか理由を教えてくれる。トゥエルブスってここに来るまでに小耳に挟んでいたが結局なんなんだ?
「ピラミッドの1人。はかいこうせんを反動無しで打つような奴だ。で、ピラミッドの1人って言うのは聞いてないな。」
セブンが説明する。なんだそれそんな常識破りの戦い方をする奴がいるのか...?!それよりも、セブンは"ピラミッド"とやらも知らなかったようだ。
「うーん...説明すると難しいですね...」
ミツキさんがうーんとうなる。俺は一生懸命考えても砂漠で石が積み重なった三角形の建物しか思いつかない。
「裏の世界のお手軽派遣組織。金さえあればどんな仕事も受け付ける。」
レイナはどんどん冷静さを取り戻してきたのか淡々と言う。なんかプラズマ団の裏に潜んでいる大きい組織とかなんとか壮大なことを考えていた俺には拍子抜けした回答だった。お手軽派遣組織...?そんなヤツらがプラズマ団に手を貸してんのか?あ、金さえ積めば何でもするんだっけか。それにしても限度があるだろう...
「そうですね。金さえ積めば世界を滅すことにも、救う事にも協力する。」
ミツキさんがレイナの説明に補足する。そんなの...そんなのって
「狂ってる。依頼によっては...例えば世界を滅ぼす依頼だったら自分で自分の首しめてないか」
セブンが的確な突っ込みをする。その通りだ。そんなの狂ってる奴しかしない。
「狂ってるよ。全員。」
ミツキさんが遠くを見つめて呟く。全員...狂ってる... ピラミッドって言うのはどんな組織なんだ。
「話は終わり。行くよ」
そうだな。トゥエルブスとかいう強いヤツと一緒に居るなら早く救わないと。俺らは基地の廊下を静かに歩いていった。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.88 )
- 日時: 2022/01/04 21:00
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: nEqByxTs)
こんにちはベリーです。設定の噛み違いがあったため修正を致しました。
ヒュウ〜強さ〜を主に修正致しました。他にも設定の噛み違いが多々ありますが、修正が出来ないため、この話が後半になった時にリメイク版を出そうと思います。既にポケモンスクエアというサイトにてリメイク版を出していますが、そのリメイクをまた総合掲示板に出そうと思います。これからも裏の陰謀をよろしくお願いします。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.89 )
- 日時: 2022/01/05 19:24
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: nEqByxTs)
《トモバ》
ここ...は...?確かホテルから外に出た時に気絶して...
私はぼーっとする頭を必死に叩き上げ、体を起こした。私の周りは鉄格子で囲まれていて、両手は縛られている。そして下の方にクリーム色のフードコートを来た誰かが居る。性別も年齢も顔も分からない不気味な人だ。
この状況から言えることは1つ。
私...誘拐されたなっ!
いやー、旅してる内にあと何回かは誘拐されるだろうなぁと思ったけどそれがPWT大会前夜とは...明日ちゃんとバトル出来るかなぁ。早めに助けてきてねーレイナ達ー。
と、私は呑気なことを考えて鉄格子にもたれかかっていた。
「随分と呑気っすね」
おっふイケボ。
低く、冷たく、それでも凛とした声が響き渡る。レイナが声をはった時に似てるな。
いやーこの声だったらやっぱ顔はイケメンなのかな?いやいや、イケボでも顔は普通の人とかもいるしあまり期待しない方が...
「おい。聞いてるんすか」
私が無駄なことを考えて、クリーム色の人に返事をするのを忘れていた。
「あっ、はい。」
私は相手の張り詰めた声に怖気づき、声が小さくなってしまった。
怖いなぁ。怖いけど、レイナ達がぶっ飛ばしてくれるはずよ...!我慢我慢。
「随分と余裕だが、お前怖くないんっすか?」
それは私を少し心配してるような声色だった...気がする。確かに誘拐慣れしてる私を見て驚かない人は居ないわよね。
「ええ。怖くないわ。私の幼馴染があんた達諸々ぶっ飛ばしてやるもの!覚悟してなさい!」
私は自信満々にたんかをきった。クリーム色の人はポカーンとするようにその場で硬直した。そして
「はっ、立派に肝据えた完全に人任せじゃないっすか」
クリーム色のやつは私を馬鹿にするように言った。おうおうおう!私の幼馴染をバカにするようなやつは許さないわよ!私の幼馴染が貴方をボッコボコにするんだから!...結局私他人だよりじゃない。
私はクリーム色の人に言い返せずに俯いてしまった。
「言い返せないっすか。まぁ、今回はお嬢の思う通りにはならないと思うっすけどね。」
クリーム色の人が意味深に呟く。どういうこと...?確かにマオやレイナは強さはそこそこかもしれない。けれどプラズマ団の下っ端相手なら同格か、それ以上の強さは持ってるしヒュウに関してはプラズマ団の幹部をプチッと潰せるほどの強さを誇っている。それにいつも私が誘拐された瞬間この3人の誰かが来てくれてたし、今回も直ぐに駆けつけてくれるはずだ。
「まさか今回も直ぐに駆けつけてるとか思ってるんじゃないんっすかね?」
くつくつと笑いながらクリーム色の人は言う。なんで笑うのよ。そんなおかしい事かしら?
するとクリーム色の人は大型のモニターに何かを写した。そこには...血まみれのレイナが居た。廊下に倒れていて、プラズマ団に監視されていた。
金髪の子...確かセブンだっけ?は、血まみれではないけれど、モンスターボールを取られ、小さな部屋で縄で縛られていた。
黒髪に赤メッシュのお兄さん...?ミツキさんだったよね。は、セブンと同じ状況になっている。
セブンとミツキさんがなんでここに...?助けに来てくれたってこと?マオは?ヒュウは?2人は助けに来てくれてなかったの?
レイナは?血まみれで倒れて縄も縛られてないレイナは...もしかして死んでる...?
嘘?嘘...嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘...嘘だ!
「嘘だ!嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だあ!」
私は自分でも目を疑うぐらい叫んだ。私が私でないような感覚に包まれ、ただ叫ぶしかなかった。
「だから言っただろう。お前は無責任だと」
聞き覚えがある声。あれから1度も忘れてない出来事。ルカリオを連れていて、顔に大きな白い傷があり凛々しい顔つき。
髪型は薄紫色のオールバックでデコがでている。
服は白色の軍服を着ていて、上に黒いコートをきている。
忘れもしないあの日。サンギ牧場で出会った...ガエリオだ。
「ガエ...リオ...」
私はただそうつぶやくしかなかった。
「お嬢様だからか知らないが、温室でぬくぬくと育ったからか自分が危ない目から会うことがないと過信している。そして周りを巻き込み危険な目に合わせる。」
そうだ。当たり前だった。皆が必ず助けてくれること。誘拐されること。何度危ない目にあっても。レイナが、ヒュウが、マオが助けてくれた。私は無傷で、皆は生傷を作って。それは...それは...
「無責任だな。」
その通りだ。今まで私はなんて無責任な事をやってきたのだろう。ヒュウは昔チョロネコの件でレイナに助けられたと聞いた。その時、レイナは大きな傷を負った。それ以降ヒュウは責任を感じ私のように明るく周りを引っ掻き回す性格だったのが冷静沈着、冷たい人になってしまった。それに比べて私は何回レイナ達を傷つけても懲りることなく誘拐され続けた。私のバカ...
「残念だが後悔するのが遅い。統治のお嬢には用事が済んだら死んでもらう。安心しろ。助けに来てくれた奴らも一緒に死んでもらうから寂しくない。」
私は声が出なかった。出せなかった。え?死ぬ?私が? 「死ぬ」それに実感が中々湧かずにただ呆然としてしまう。その後じわじわと恐怖が襲ってきて...
「い、いや、いやぁーーー!」
恐怖と絶望で叫んだ。叫ぶしか無かった。死という非日常の言葉が私に突き刺さり染み渡る。その恐ろしい感情に自分が温室でぬくぬくと育ってきたことが身に染みてわかる。
「助けて...助けて...!誰か助けてぇ!イヤァァーーー!!!!」
泣き叫ぶ。ただ泣き叫んだ。現実逃避するためにただ喚いて思考を放棄する。それしか出来なかった。それしか恐怖を紛らわせなかった。
「そうだよ。その顔が見たかったんだよ」
後ろから誰かがくる。これまた不気味で背筋が凍るような人物だ。
その人物は茶髪で、プラズマ団の格好にマントを羽織っている。下っぱとは違う格好だからプラズマ団の幹部...?
それにしても、私の喚き声で喜ぶなんて性格の悪い... それでも恐怖が薄れず、私はグシャグシャの顔でその人物を見ているのだろう。
「ジュウニ。侵入者は?」
茶髪のプラズマ団の格好をした人が聞く。
「12(トゥエルブス)っすよ。まあジュウニでもいいっすけど。侵入者3人は確保済み。電気と、身代金を回収しだい関わった人物を始末して撤退っす。今のところ順調っすね。」
クリーム色の人...たしかトゥエルブスだっけ?は、何も見ずに作戦をペラペラと言っていく。もしかして優秀...?それにしても、関わった人物を始末って...やっぱり殺されるんだ...嫌だ...嫌だ嫌だ嫌だ...!
「少しは自分の力で何とかするとは考えないのか。」
ガエリオが私に悪態をつく。それはイラついてるような、呆れているような。
自分で何とかする...?出来るわけないじゃない。レイナも敵わなかった相手よ。無理。絶対無理。無謀すぎるもの。
「はぁ。温室育ちはこれだから。そんで身代金はどうなんだ一兵卒。」
ガエリオがトゥエルブスに聞く。
「なんで二人共俺の扱いが雑なんっすかね。今のところ統治 陽炎はこちらの指示に従ってないっすね。考えさせてくれの一点張りっす。」
茶髪の人はふむと手を顎に当てて考える素振りを見せる。
「これは長期戦になりそうだな。」
ガエリオも呟く。長期戦って、私はずっとこのままってこと?嫌だ...死にたくない。
「見つけたっ!」
すると誰かが上から降ってくる。赤髪に髪先が黄色。母譲りの不良のようなつり目にカラフルなパーカーを来ている。
「マオ...!」
私の兄。トウチ マオだ!助けに来てくれたんだ!これでもう安心だ...私はほっと胸を撫で下ろしたと同時に死の恐怖から解放されへにゃと倒れ込んだ。
「トモバ...大丈夫か!」
「だ、大丈夫...」
私は安心しすぎて頼りない声が漏れだしてしまった。
「ジュウニ!侵入者は確保済みと言ってたじゃねぇか!」
茶髪の人がトゥエルブスに怒鳴り散らかす。
「俺は侵入者全員確保済みなんて行ってないっすよ。」
トゥエルブスはそっぽ向いて屁理屈をこねる。茶髪の人は苛立ちが顔に出てトゥエルブスをぶった。しかし、トゥエルブスは微動だにせずただぶられただけだった。
「取り敢えず侵入者を捕まえるのが先だろう。トゥエルブス。始末しろ。」
ガエリオがトゥエルブスに指示をする。トゥエルブスはげんなりとした様子で「へい」と答えるとポリゴンZを繰り出す。
「負けねぇぜ。ムーランド!」
マオはムーランドを繰り出す。マオは強い。私より遥かに。これは勝ったも同然だろうと私は余裕でその様子を見ていた。しかし、その余裕は一瞬で崩れ去ることになった。
マオのポケモンは残りダイケンキ一体となっていた。なぜこんな一瞬でマオが追い詰められたかと言うと。
「ポリゴンZ。はかいこうせんだ。」
「ダイケンキ!よけろ!」
マオの指示に従いダイケンキは、はかいこうせんを避ける。しかし...
「ちょこまかとウザイっすね。ポリゴンZ!はかいこうせん乱発だ!」
通常は、はかいこうせんを打つと反動で動けなくなるが、このトゥエルブスは反動なんてもろともせずそれを連発するのだ。しかも早い。これはマオのポケモンでもかわせなかった。
「ダイケンキ!」
マオが叫ぶ。ダイケンキ戦闘不能だ。そんな...マオが負けるだなんて。いや、この人達が規格外すぎるのだ。こんなのマオでもレイナでも、ましてやヒュウでも倒すことなんて出来ない。もう終わりだ...私...死ぬんだ。
「お遊びは終わりっす。手間がかかるんでここで消えてもらうっすよ。」
トゥエルブスはポリゴンZにはかいこうせんを指示する。あんな威力の技人間が食らったら生きてるわけないわ!マオが...死ぬ?いや、辞めてやめてやめてやめてやめて
「やめてぇーーー!!」
私は泣き叫んだ。喉が破裂するかと思ったけどそんなの気にならないわ。大事なのは私の兄が、目の前で殺されるってことよ。
「無駄死になんてしてたまるかっ!」
マオは茶髪のプラズマ団の人にタックルをする。するとマオら茶髪の人の腰に手を当て私に何かを投げる。
「トモバ!逃げろっ!」
私の檻の中にそれが入ってくる。それは...檻の鍵だ。これで逃げられる!けれど...このままだとマオが死んでしまう。このまま逃げたら見殺しにしてしまうんじゃ... 誰か...助けてっ!
「トモバ!泣くな!とにかく逃げろ!早く!」
マオが必死で私に訴えてくる。
「嫌だ!マオを見殺しに出来ない!嫌だ...嫌だ!」
私も必死でマオに訴える。マオはその不良顔を更に険しくする。その顔は極悪不良...いや、プラズマ団のような悪の組織の幹部のような顔をする。
「我儘を言うなっ!」
その剣幕に私は思わずヒッと体をビクつかせてしまう。
マオが1番怖い。我儘...私は我儘なのかな。さっきからずっと怖い。助けて。嫌だばっかり。確かに我儘で無責任でダメダメすぎる。
『少しは自分の力で何とかするとは考えないのか』
さっきのガエリオの言葉が心に染み渡る。
ずっと思ってた。私も自分の身を守りたい。レイナ達を守りたい。でも無理だったんだ。私は弱すぎる。だから諦めていた。けれど、私が弱いのは何故?強くなれないのは何故?理由は単純明快。マオが一日中PCとにらめっこしていたように、ヒュウが自分の感情を抑えてまで特訓するように、レイナが自分の身をていしてまで。努力をしないから。楽な楽な方に自分を流してるから。
いざその現実を目の当たりにすると心にヒビが入る。けど。向き合うんだ。私の弱さに。
マオを守りたい。目の前の人をこれ以上傷つけたくない!
私はそう決意した瞬間。鍵を開ける。
あれ、鍵を開けたのはいいもののポケモンも奪われてるしどうしたら良いの?!
取り敢えず足止めしなきゃ!
「おりゃぁぁぁぁー!」
私は大きな掛け声とともにトゥエルブスの足を引っ捕まえた。
「なっ」
トゥエルブスは一瞬驚くがすぐ冷静になり、私を足ごと投げる。そしてマオがクッションになってくれる。
「余計なことしやがって。でもこれで何も出来ないっすよ。」
トゥエルブスがポリゴンZと一緒に近づいてくる。
「ジュウニ。身代金回収成功だそうだ。」
茶髪の人が言う。ってことはお父様はプラズマ団に大金を渡してしまったってこと?てことは、私たちは用無し...
こんなことなら。こんなことなら。お母様に甘えないでポケモンバトルを磨けば良かった。レイナ達に頼らずに自分で自分を守るべきだった。後悔先に立たずだわ。ここで私死ぬのか...ハハッ本当に...惨めな私。
「トモバ。諦めるな。最後まで前を睨めつけろ。」
マオがトゥエルブスを鬼の形相で睨みつけながら私に言う。そうだね。最期まで惨めな姿でいるつもりなんてない。私も母譲りの自慢の悪い目付きで相手を睨みつける。しかしトゥエルブスはたじろくことなく堂々と立っている。
「ポリゴンZ。やれ」
はかいこうせんが飛んでくる。お父様。お母様。マオ、レイナ、ヒュウ、マツリ...ごめんね。弱くて。私死ぬんだって。でも、もし、もし見逃してくれるなら。私は...私は...
「ルカリオおおおおぉぉっ!」
深海のように深く暗く済んだ高音が響き渡る。この声は...レイナ?
はかいこうせんが私たちに向かってくる、そこへレイナのルカリオが立ちはだかり私たちの盾となってくれた。しかし、レイナのルカリオはそこで戦闘不能になってしまった。
「よくやった。ルカリオ」
モンスターボールの光線がルカリオに当たる。その先には...血だらけで倒れかけているレイナとヒュウ、ミツキさん、セブン、そして...
「やぁやぁプラズマ団の諸君。よくも俺の愛しい息子と娘をいたぶってくれたね。」
金髪に黄色の目。ギラギラと光った八重歯にヒュウより高い背丈の。お父様が居た。
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.90 )
- 日時: 2022/01/12 22:35
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DMJX5uWW)
「カゲロウが来ちまった…」
茶髪の人が舌打ちをする。
それにしてもお父様…なんでこんな所に?それに統治グループのトップが敵の基地になんてきたら危ないじゃないの!
「アラシ…?」
レイナがボソッと呟く。アラシ?誰のことだろう。
「なんだ。霊家の余所者じゃねぇか。」
あれれ?あれぇ?この茶髪のプラズマ団とレイナって知り合い?!
「知り合いか?」
ガエリオが茶髪の…アラシに聞く。アラシは苦い顔をすると手で顔を覆う。
「家の従兄弟だ。」
えっ、ええええええええええええっ?!
と心の中で驚きながらも、さっきまで死と隣り合わせだった私は口をパクパクさせるしか無かった。
レイナの従兄弟が…プラズマ団?!でもレイナの事余所者って言ってたけれど。あ、そっか。レイナは霊家の養子だもんね。その一族からは余所者って言われるのも仕方ないのかな?
「ガエリオもいるのかよ…」
ヒュウが顔をしかめる。そう言えばサンギ牧場でヒュウもガエリオに会ってたね。
「トゥエルブスもいますね。なんですかこのプラズマ団トップオールスターズ…」
ミツキさんも顔をしかめる。流石にプラズマ団の幹部レベルの人達が集合してたら勝てるか分からないもんね。実際私もマオもピンチだったわけだし。
「トゥエルブス。電力の方は?」
ガエリオが聞く。そうだ、プラズマ団はお金と電力が目的で来てるんだったわ。確かお金はもうプラズマ団は受け取っちゃったみたいだし、あとは電力?
目的が達成したら引き返してくれるのかな。いや、ダメよ!プラズマ団の思い通りなんてさせたくないもの!
「電力の方はもう達成してるっす。もう引き上げても大丈夫っすね。」
トゥエルブスが何かのパットを見ながら言う。てことは、プラズマ団の思い通りにさせちゃったってこと?わ、私のせいだ…
「…引き上げる前にこの2人は消した方が良さそうだな。」
ガエリオが言う。え、その2人って…私とマオのこと?消すって、殺される?嘘、嫌だ!
トゥエルブスは頷くと私たちにゆっくりと歩いてくる。
またさっきと同じ恐怖が心にポトッと滲んで広がっていく。
辞めて…辞めて!
「辞めて。」
すると私達の前にレイナと、ルカリオ、イーブイが立ちはだかる。
その小さい小さい背中が、今は大きく見え、頼りがいがある背中にみえた。
その背中に頼りたい。全体重を持たれかけ、安心したい。けど、
「レイナ。私のことはいいから!危ない!」
私は叫んだ。私のせいでレイナが危ない目に会うなんて嫌だ。許せない。自分が許せないんだ。
レイナとトゥエルブスは数秒…いや、数十秒かもしれない。かなりの時間見つめあっていた。しかし、私目線から見るとトゥエルブスの顔は陰に隠れて見えない。きっとレイナもトゥエルブスの顔は見えないはず。なのに何故見つめあってるのだろう。
すると…
「い"っだ。」
トゥエルブスがレイナの脳天にチョップをかました。レイナには珍しくかなりの大声で反応をする。
「……退くぞ」
トゥエルブスはそう呟く。え、それだけ?レイナに軽いチョップ食らわしただけ?
「は?なんで」
「うるさい。いくぞ。」
アラシが言いかけるが、トゥエルブスがそれを制する。それには強い威圧感があり、誰にも逆らうことは許されないような空気になった。
「レイナ…だったか。」
去り際トゥエルブスは振り向きレイナに問う。
「お前は…どうしても憎めない。」
その瞬間。ガエリオが何かを地面に投げる。すると白い煙が辺りに爆発的に広がり始める。
煙玉だ!逃がしたくない…!けれど私の今の力じゃ追うことも出来ない。仕方なく私はただぼーっとする事しか出来なかった。
「憎めない…か……」
レイナがボソリと俯いて呟く。レイナとトゥエルブスってどういう関係があるの?
いや、そんなことよりも助かった。誰も死ななかった。
よかった…と安堵する私。他の人も同じように安堵したのかほっとした雰囲気が漂う。
「良かったぁ……!」
私は大きく息を吸い吐いた。
今回で分かった。私は弱い。バトルでも精神的にも。周りに甘えすぎている。考えたらダメなところがポンポンと湧き出てくる。
私は誓う。強くなる。強くなって、自分で自分を守れるように。みんなを守れるようになりたい。
私はその強い意志を確かに覚えた。
第七章〜完〜
- Re: ポケモン二次創作 裏の陰謀 ( No.91 )
- 日時: 2022/01/13 08:08
- 名前: ベリー ◆mSY4O00yDc (ID: DMJX5uWW)
おはようございますベリーです。
今回このポケモン二次創作 裏の陰謀が管理人、副管理人賞を頂きました!
正直大会のことについては興味が無く、ルールとか賞の意味とかよく分からないんですが、ありがとうございます。
そして、投票して下さった方もありがとうございました!
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