社会問題小説・評論板
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- 昨日の毎日、明日の……
- 日時： 2013/04/02 12:07
- 名前： ルゥ （ID: ZMbBEmTn）
『怖いよ。助けて、助けて、助けて。お願いです、神様。どうか助けて。帰りたい、帰りたい、帰りたい。助けて、助けて、助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて。死ねない、死ねない。何で死ねない？怖い、助けて。神様、神様。
死にたい。死にたい。死にたい、死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。』
昨日、僕が聞いた声。
鉄臭い部屋の中で聞いた声。
何で僕はこんなところにいるのかな…？
ここは、僕の家じゃないのに。
ここには、僕の父さんも、母さんも、二人の妹達も、四人の兄さん達も、近所のおじさんもおばさんも、僕のたくさんの友達もいないのに。
ここは、僕が、僕達が住んでいた、明るくて、気持ちが良くて、草や花の匂いに満ちて、住みやすくて、心地が良くて、大好きだったあの森じゃないのに。
どうして僕は、僕達は、こんなところにいるのかな…。
僕達は、何か悪いことをしたのかな？
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初めて小説を書かせてもらいます。
度々オリキャラ募集中の小説に出没する妄想バカな暇人、ルゥです。
さて今回の小説、主人公となるのは“動物”です
一話ごとに主人公は変わっていくので、明確な、全部の話に出る主人公はいません。
動物の目線で書くので、時々わからなくなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
《目次》
第一章『銀ぎつねの森』>>1〜>>70
ending〜ハナバタケニテ、サキホコル〜 >>71
第二章『飼い犬ハルの夢』>>80〜現在更新中
間章
１，『川を上る鮭の話』>>76
２，『狩りをする熊の話』>>79
《お知らせ》
>>63
>>69
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.12 )
- 日時： 2012/10/16 20:28
- 名前： ルゥ （ID: tlN/f6gH）
優音さん、コメありがとうございます！
妹達、どうなるんでしょうねぇ…？うーん………
……頑張ります…←何を頑張るつもりや？
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3日。
暗い鉄の部屋で目が覚めてから3日が経った。
じいちゃんは僕にいろいろなことを教えてくれた。
あの“ヘンテコ”は“ニンゲン”と言うらしい。
ニンゲンの言葉も少しずつ教えてもらった。
『小僧は基本飲み込みは早いが、お前は格別だな。教えるこっちの気持ちが良いくらいにものを覚えていく。』
じいちゃんは笑いながらそう言った。
『なんでじいちゃんはニンゲンの言葉が解るの？』
僕がそう聞いた時、じいちゃんは生えたばかりの若草を噛んだ時みたいな苦い笑いをして答えてくれた。
『昔……まだ若い時になぁ…。わしは動物園にいた。そこで生まれたもんだから、外の世界に憧れてなぁ。二度脱走したことがあった。一度目はすぐに捕まったが、二度目で成功した。そのまま山に住むようになって、お前がここに来る3日前に捕まった。』
笑いながら、
『ま、バカなことはバカなうちにやっとくもんだ。』
そう言ったじいちゃんは、何だか楽しそうだった。
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.13 )
- 日時： 2012/10/16 20:34
- 名前： ルゥ （ID: tlN/f6gH）
『…小僧。お前は、家族を探すのか？』
ここに来て4日目、一番最初にじいちゃんが言ったのはそんな事で、その問いの中に在る意味に僕は気付かなかった。
『もちろん。…妹達は僕が守らなきゃだったんだ。見つけなきゃ。』
『お前の家族はそれだけか？他には？』
『…父さんと母さんと兄さんが四人。あと、妹が二人。……本当は、僕の上に姉さんが二人いたんだけど、昔、敵から逃げて住処を変えた時に僕を新しい住処に移して、戻ったらどっちもいなくなってたんだって。僕は姉さん達のこと、あんまり覚えてないんだけど…。』
『そうか。……なら、お前はここを早く出ねばな。』
『うん…。』
じいちゃんは、鉄の部屋の天井を仰ぎ見ると、静かに言った。
『……小僧なら、大丈夫だろう。お前はもうここにはいないかもなぁ』
じいちゃんの声が小さくて 不安になった。
『じいちゃん？僕はここにいるよ？』
不安感はまだ消えていなくて、でも、じいちゃんは僕の方を見て笑ってくれた。
母さんの微笑みみたいに、心を落ち着かせる様に笑った。
『あぁ、しっかりと聴こえているぞ。お前の声は凛としていて、聴いているととても落ち着く。……わしはもう…
目は視えん。』
じいちゃんの声が、小さく呟く声が響いた。
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.14 )
- 日時： 2012/10/20 16:17
- 名前： ルゥ （ID: yci5og17）
『わしはもう…目は視えん。』
『目が…視えない…？……じいちゃんは、体調が悪かっただけじゃないの？』
『ハハハハハッ！気にすることじゃぁない！どうせ老いぼれの目なんぞすぐ枯れる。』
ギィィイィィイイー…。
じいちゃんの笑い声をかき消すように、耳の奥に響く嫌な音が響いた。
またいろんな動物達が騒ぎ出す。
ただ、昨日までと違うのは入って来たニンゲンが何人かいて、僕達と同じ、獣も一匹入って来たことだった。
『小僧。ワシの代わりに、お前がその目で広い世界を知れ。ここから出て、家族を探せ。』
じいちゃんが力強い声で言った。
『えっ？…でも……出れないよ。鉄の部屋は硬くて歯が立たない…。』
僕がじいちゃんに言ったとき、鉄の部屋の外側から声がかかった。
澄んだ綺麗な声がした。
『お久しぶりですね、ワビサビ。一体、こんな所で何をしているのですか？』
いつの間にか、僕とじいちゃんのいる鉄の部屋の外に、薄茶色の少し大きい犬がいた。
『ワビ、サビ？』
『わしの名前だ。…お前には教えてなかったか…。』
じいちゃんは視えない目をその犬に向けると、話しかけた。
『その声…イナホか。』
『あら、目が視えないのですか？残念です。しかし、貴方がこんな所にいるとは思いませんでしたわ。そちらの小さいお方は？』
『え？えっと…』
僕が答える前にじいちゃんの声が僕の声を遮った。
『イナホ、お前ならこの小僧一人ぐらいここから出せるだろう？出してやってはくれんか。』
『構いませんが…何故ですか？その行為は私に利点がお有りで？』
『利点など知らん。わしが、こいつをここから出したいと言っただけだ。…まぁ、小僧がどうするかによる。』
じいちゃんがそう言うと、イナホさんは僕に向いた。
イナホさんの藍色の瞳が僕を見つめる。
『出すこと自体はかまいません。貴方、ここから出たいのですか？』
『……出たい、です。』
『何故出たいのですか？理由は何ですの？』
『…家族を、探さなきゃだから…。僕が、探さなきゃ。』
イナホさんの瞳が、冷たい視線が鋭く僕に突き刺さる。
そしてー。
『貴方ぐらいなら、良いでしょう。』
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.15 )
- 日時： 2012/10/21 17:32
- 名前： ルゥ （ID: yci5og17）
『貴方ぐらいなら、良いでしょう。』
そう言ってイナホさんは微かに笑うと、一緒に入って来たニンゲンの方を向いて吠えた。
「ワンッ！」
イナホさんが吠えて、入って来た何人かのニンゲンの中で一番若いニンゲンが近づいて来た。
太陽が沈んだ後の空みたいに深い紺色の、じいちゃんが教えてくれた、カミと言う毛の生えた灰色の瞳のニンゲンが来た。
「どうしたの、イナホ。」
驚いた。
僕にニンゲンの言葉が、まるで自分達の言葉みたいにハッキリと解った。
『じいちゃん！僕、ニンゲンの言葉が解る！』
『当たり前だ、わしが教えたのだからなぁ。』
じいちゃんが笑いながら言った。
イナホさんは、ニンゲンに何回か吠えると僕の方に視線を向けて尻尾を振った。
「あぁ、銀ぎつねだね。」
ニンゲンが僕を鉄の部屋越しに見つめる。
じいちゃんが小声で、
『進藤の坊主の匂いだ…。小僧、動くなよ。吠えるのもだめだ。ただ静かに相手の目を見て、逸らすなよ。』
そう言ったので、僕はその通りにただ目を見つめた。
「へぇ…。」
シンドウとじいちゃんが呼んだニンゲンは、僕にグッと近付いて優しい声で、
「おとなしいね。君、綺麗な琥珀色の瞳をしてる。」
と言った。
それだけ言うと、シンドウはニンゲンの集団の方へ少し大きい声で言った。
「晴史朗伯父さん！このきつね、俺が貰って良いかな？」
更に大きな声で、
「飼うのか？野生だろう、大丈夫なのか？」
と言う答えが帰ってきた。
「平気。伯父さんのトラックに乗せて良い？」
「あぁ、良いぞ。気をつけろ、噛み付くかもしれん。眠らせるか？」
「大丈夫。このままで行けると思う。」
シンドウは、お前なら噛み付かないよなと言って鉄の部屋に手をかけた。
ずっと座ってそれを見ていたイナホさんが、
『ワビサビ、お別れの言葉は良いのですか？もう会えませんよ？』
と言った。
- Re: 昨日の毎日、明日の…… ( No.16 )
- 日時： 2012/10/21 19:21
- 名前： 優音 ◆XuYU1tsir. （ID: AKehFwYl）
おぉ、急展開←
噛み付かないよな！？
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