BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」
日時: 2011/01/02 19:40
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

前作を見てくれた人はありがとうございます。
今作を見てくれる人は初めまして。

月女神です。

以下の注意を読んでください。

1…荒らしはご遠慮します。

2…中傷、パクリは止めてください。

3…これ、BL? はい、そうですよ。

4…リクエスト、コメント大募集。してくれた方はありがたいです。相談も受け付けます。

です。
・BLおっけー。
・微グロ、微エロおっけー。エロおっけー。
・駄文でも、読んでみます。

な人は Let's Party でお待ちください。


登場人物

猿影彼方『さるかげ かなた』
性格:気さくで飄々としていて、社交的。でも、恋愛の事になると疎い。
容姿:赤い髪に頬に一筋の傷。そして、茶色い瞳。
概要:佐助とラブラブな関係……。
好きなBASARAキャラ:猿飛佐助

その他の登場人物はこちら>>01

目次
プロローグ>>02
彼方の兄と妹! 編>>05 >>06 >>09
孤独編>>12 >>13 >>18 >>19 >>22 >>23
雪谷編>>29 >>30 >>31 >>32 >>33 次の章に続く!
風魔編>>34 >>36 >>37 >>41 >>42 >>43 >>44 NG>>53
瀬戸内でアゲハ蝶>>45 >>46 >>47 >>48 >>51 >>52
金色姫編>>56 >>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66
喧嘩上等編 >>69 >>72 >>73 >>74 >>80 >>81 >>85 >>87 >>88
銀猫編>>96 >>98 >>101 >>102 >>103 >>104 >>105
戦国死神編>>114 >>115 >>116 >>119 >>120 >>121 >>122 >>123
死神暴乱編>>124 >>125 >>126 >>127 >>129 >>130 >>131
最終話>>132

番外編
死神の名前を決めよう!>>14
リクエスト用紙>>24
アンソロジー企画>>35
インタビュー>>54 >>55 >>67 >>68
人気投票>>97
過去噺>>106 >>109 >>110 >>111
お知らせ>>128

リクエスト小説
帰ってこい(元喜×元千代:シリアス?)>>26

その他、募集中。

彼方生誕祭用小説
紅羽と昔の記憶>>89
ヒガンバナ>>90
The boy who was〜。>>91

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.44 )
日時: 2010/09/16 16:32
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

風魔編 第7話


「我、汝の力を解放す。我の手足よ、力よ、悪を喰らい、大きく育て!」


俺の中に眠る『俺』を解放する呪文。
手足に闇が纏われ、大きく揺らめいた。手に持つ苦無がやけに小さく感じる。

「守らなきゃ」

皆を止めさせなきゃ。止めなきゃ。
殺すんじゃない、守るんだ。

「止めろぉっ!!!!」

次の瞬間。


「楽しそうな事をしてるんじゃない、翔。うちも混ぜてよ」


空が落ちてきた。

じゃなくて、空色の少女が茶髪の青年を連れて落ちてきた。
寧ちゃんだ。連れているのは、前田慶次だった。

「はろはろ。風の死神、風浪寧、いざ死神参る!」
「何なに? 何やってるの、彼方争奪戦争?」
「「「んな訳、あるかっ!!!」」」

ハッ、思わずツッコんでしまった……。
あ、皆の視線が痛い。ものすごく痛い。とんでもなく痛い痛い痛い。
あぁ、誰か助けて。

「彼方、お前無事だったのか!」
「兄貴は来るなぁぁぁぁ!!!」

ちょ、今ヤバいよ。『自分』の力を解放してるんだもん。殺しちゃうよ。
あ、兄貴は良いか別に。風魔に兄貴をやってもらおう。

「そういう訳で、ハイ兄貴。死んで」
「え、ちょ、何? 俺死ぬの? 待って待って、まさか俺の先祖に兄を務めてもらうと…?」
「うん、じゃーねー」

すると、風魔が後ろから俺を押さえてきた。

——— 放せ。

俺の中で、何かが蠢く。


ザワザワ、ザワザワザワザワ


それでも、風魔は放さない。

「兄を、殺してはいけない」

それは、前にも聞いた台詞だった。
ハッ、こんな奴の為に手を汚すなって言ってんのかな。それはそれで良いや。
俺は静かに苦無を下ろし、ベルトに収める。いつの間にか、闇も消えていた。
風魔は俺を解放して、トンと背中を押した。

「行け。お前の、大切な人だろう」
「風魔?」

仮面の下で、風魔が笑ったように見えた。


「俺の子孫が、何かしでかしたら小田原に来い。話ぐらいは、聞いてやる」


そう、風魔は言った。

「ありがとう、風魔」


*****

甲斐

「おぉ、彼方よ。よくぞ帰還した」
「いでででで、お館様。鎧、鎧が痛いっす」

首がもげそうになる程の熱い抱擁を受けた俺。苦しいし、息が出来ない。
それに引き続き、政宗が頭をぐしゃぐしゃにしてきた。いつの間に生き返りやがった。
幸村の旦那も、

「彼方殿が、無事でよかったでござる♪」

なんて言って、笑ってくれた。
紅羽ちゃんも

「まったく、私に心配かけさせないでよねっ! 仕様がない子なんだからっ!」

母性本能たっぷりに言った。

「彼方、お帰り。風魔になんかされた?」
「佐助、忍びは皆オカンなの?」

佐助は苦笑しながら「それはないよ」と言ってくれた。
まぁ、俺もオカンだけどね。そこは言えないけどね。

「よう彼方。久々だな」
「慶次ー、おっす」

慶次も相変わらず元気そうで。……ん? 何か、やつれてない?

「あぁ、寧と空から飛んできたから……」
「うん、そう☆」

寧ちゃん、その笑顔は果てしなく怖いです。何されるか分からない。
佐助の後ろからは、翔がひょっこり顔を出した。

「お帰り、彼方」
「ただいま、翔。元気だったか?」
「うん」

翔は勢いよくうなずいた。
うん、皆元気そうだ。

「そう言えば、旦那は?」
「え、幸音君? 知らないな、部屋じゃないかな」

あの時、旦那も元気そうだったし…。それに、目の前から消えちゃったし…。
謝らなきゃな。
そう思い、俺は旦那の部屋に向かった。

「旦那? っとぉ?!!」
「彼方のバカ!」

いきなり枕が飛んできた。投げたのはもちろん、旦那。
ちょ、おい。紙一重でかわしたけどね? 危ないよ。

「旦那、危ないよ。俺、吹っ飛ぶよ?」
「知るか。主が怪我したくらいで、どこかに消える忍びがどこにいる。お前だけだぞ、彼方」

うぐ、おっしゃる通りです……。
旦那は拗ねたように俺に背を向けた。
俺は、そんな旦那に片膝をつき、言葉を紡ぐ。

「すみません、幸音様。俺はダメな忍びでした。今改めて、ここに忠誠を誓います」

旦那は、俺の方を向いた。


「下僕を所望するならば、どうぞお使いください。俺は、あなたにこの身を捧げる忍びとなりましょうぞ」


すると、旦那は答えてくれた。


「堅苦しい事を言うな。……彼方よ、命令だ。また、某の隣にいろ。そして、もう離れるな」


「御意」


「うむ、分かれば良い!」


*****【風魔視点】

彼方は甲斐へ帰って行った。

俺は、彼方の大切なものになれない。幾度も人を殺してきた、忍びだから。
でも、これだけは言わせてほしい。
誰も聞いていなかったとしても、本人がそう思っていなくても、俺の思いは変わらない。

猿影彼方

あんたは、俺が惚れた、最初で最後の人だ。


*****

次回予告!
次回は、風魔編のもう1つの話で、元喜と元千代がメインのシリアスな話です。

テーマソングは、ポルノグラフティ『アゲハ蝶』
予習をしておこう!

元千代)次回からは、俺が登場するぜ!
元喜)フン、我がメインなのだからな。
元親)野郎ども! 出航の準備だ!
手下)兄貴ぃぃぃぃぃぃ!!!!!
元就)うるさい、黙れ。日輪に焼かれて死ね。

瀬戸内コンビでお贈りします。
風魔編裏話。 『アゲハ蝶』

お楽しみに!

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.45 )
日時: 2010/09/17 17:28
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

瀬戸内コンビ 『アゲハ蝶』 第1話

※全体的に元千代視点だが、1話だけ視点なし。

彼方が風魔に連れさらわれた時の、瀬戸内。
その日、四国には前田慶次とその仕えている死神、風浪寧が遊びに来ていた。

「何スカ何スカ何スカァ。いきなり遊びに来るとかマジ勘弁ッ!」

元千代は愛用の双剣の手入れをしながら言った。後から黙っていたが。
だって、寧が怖いんだっ!
その後ろから、元親の護衛である潤がへらへらと笑いながら来た。

「あら、寧。遊びに来たん? 何か言ってくれればよかったのにさぁ。プンプン」
「全然可愛くないよ、潤兄ぃ☆」
「笑顔で言われると、傷つくよ?」

潤は苦笑いを浮かべながら言った。
すると、元親が「何事だ?」と、言いながらやってきたのだ。
元千代は、元親に慶次が来た事を知らせる。

「何だ前田の風来坊。この俺に何か用か?」
「用って訳じゃないけどね。そこの死神君、大丈夫かなって思ってさ」
「? どういう意味だそりゃ。潤がどうかしたか?」

元気なら良いや、と慶次は笑って見せた。
元千代は舌打ちをすると、青い海に視線を投げた。
キラキラ光る海は、まさに夏色。これは大物が釣れそうだ。
元千代は双剣を槍に変え、釣り糸を垂らした。

「お、子孫君は釣りかい?」
「ん? おぉ、元千代。どうしたんだよ、一体」
「別にぃ」

ただ暇なだけ、と返事を返すとまた海に戻る元千代。拗ねているのか、ただ釣りをしたいだけなのか分からない。
元親は首を傾げて、潤に手招きをする。

「こいつは役に立ってくれてるぜ。津波が来た時とかは、津波を吹っ飛ばしてくれたしな」
「うん。俺頑張った方じゃない?」

けらけらと笑うのが聞こえてきた。
元千代はさらに舌打ちをすると、海の底に目を向けた。
すると、一瞬だがキランッと何かが光った。

「ハァ?」

元千代は目をこすり、もう1度海の底を見た。
釣り針だろうか。いや、違う。

財宝か何かだ。

「こりゃ、俺の手柄だなっ!」

元千代はそう言い、釣り糸を引き上げた。
釣れたのは、


銀色のペンダント。


それは、誰かの物にそっくりだった。
あ、と元千代は思い出し、そいつの名前をつぶやいた。

「元喜だ」

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.46 )
日時: 2010/09/18 14:42
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

瀬戸内コンビ 『アゲハ蝶』 第2話

あいつのペンダントが見つかった。しかも、海の底から。
何があった、まさか……沈んだ?
いやいやいや、あいつに限ってそんな———

あるかも…。

「ち、チカさん! 安芸に行かしてください!」
「お、おぉ? どうした急に。元喜の所かい?」
「頼みます、一大事なんです!」

チカさんは何が何だかさっぱり、という顔をしていたが舵を取っている仲間に声をかけて、安芸に向かってくれた。
どうしよう、元喜がいなくなったら……。

喧嘩できる相手がいなくなる!

凜音は遠いし、彼方は強すぎる(本物の忍びだし)かといって、竹中は女だし…(いくら何でも女に攻撃出来ない)
だから、俺に合う奴は元喜だけだ。


*****

安芸

「元喜、元喜ぃ! 返事をしろ!」

毛利の陣地なのに、単身でずかずか入り込んでくる俺はバカだな。
あ、赤い鳥居がなんか綺麗だなぁ…、じゃなくて!
元喜を探せ、俺!

「元喜、どこ行った!」
「何を騒いでいるバカ千代が」

すると、俺の前に姿を現した元喜。何故か、オクラハットをかぶっている。
何故か、俺の中に安堵感が駆けた。

「ほらよ、海で釣れた」
「? これは、我の……? 何故貴様が?」
「だから釣れたんだって」

元喜は銀色のペンダントを受けとり、俺に背を向けた。
ありがとうの一言も無しかよ。冷たい野郎だな。まぁ、そこに期待はしちゃいねぇが。
すると、元喜はそのペンダントを突き付けて言ってきた。

「つけろ」
「ハァ? 何言ってんだお前」
「後ろまで手が届かん。これの付け方を知っている奴は貴様しかいないのだからな」

ハイハイ、仕方ないですねと俺はつぶやいて、銀色の鎖に手を伸ばす。
茶色の髪の毛がやけにさらさらしていて、気持ちが良い。って、何を思っているんだ俺は。おかしいだろ。
チェーンを金具にひっかけて、これで良し。

「ほら、つけ終わったぞ。ったく、とんだワガママ坊ちゃんだな」

少しからかってやろうと思い、俺はそう言ってみた。
ここで、元喜なら

『貴様をこき使って当然だ。我は日輪の申し子なのだから』

と、言って笑ってくるだろう。
そんな事を期待していた……、あれ、何も言ってこない。
すると、元喜は俺の事を睨んでいた。しかも、すごい怒っている。
怒ってる? やばくね、俺。殺されないよな…。一応、双剣構えとこ。

「何だよその目。戦んのか?」

挑発するように俺は言った。
すると、元喜は


「もう2度と、我の前に姿を現すな! この、バカ千代が!」


ついでに、傍を通った死神、夜闇五月ちゃんにこう言っていた。


「あのバカを痛めつけてこい。殺さぬ程度にな!」
「イエス、マイマスター」


五月ちゃんが、夜色の鎌を俺に向けた。
あ、れ? やばくねぇか? 本格的に、やばく———

「月泉(ゲッセン)」

霧が俺を包み込んだ。


*****

「お、どうした元千代。ボロボロじゃねぇか」

チカさんが面白そうに訊いてきた。
そう、俺はボロボロだった。霧で前が見えなくなるし、転びまくるし、最悪だった。

「チッ、誰があいつなんかに会いに行くかっつーの! こっちから願い下げだ!」
「何があったお前」

誰が行くかバーカ。
お前が頼んできてももう会いになんか行かないからな! バカオクラ!

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.47 )
日時: 2010/09/19 16:34
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

瀬戸内コンビ 『アゲハ蝶』 第3話【元喜視点】

昔聞いた歌で、こんな歌詞があったような気がする。


『あなたに会えてそれだけで良かった。世界に光が満ちた。
 夢で会えるだけでよかったのに。
 愛されたいと願ってしまった。世界が表情を変えた。
 世の果てでは空と海が混じる』


我は興味はないが、あいつに会えた時に頭の中にこの歌詞が浮かんだのだ。
あいつに会えて良かった? そんな事を、我は思っていたのか?
いや、それはないな。我はあいつが大嫌いなのだから。

「元喜よ、何をしている。呆けたように海なんぞ見おって」
「放っておけ。日輪を振り回すぞ」

元就の言葉に、乱暴な口調で言い返す。
流石の元就も、我がおかしい事に気付いた。

「やけに怒っているではないか。何があった」
「長富が来た」

その言葉を聞いて、元就は鼻で笑う。そして、我にこう言ったのだ。

「長富が来たから、そんなに怒っているのか? 貴様、おかしいのではないのか?」

確かに、最近の我はおかしい。
あのバカの言葉にだって、冷静に返す事が出来ただろう。しかし、それが出来なかった。
それだけじゃない。もう2度と、我の前に姿を現すなとまで言ってしまった。
何なのだ、あいつは我をドンドンおかしくしていく。

「まぁ、それも良いのではないか? 人には人の好き好きって物がある」
「我はあやつになんぞ、恋はしたりせん」

少なくともな、と付け足してまた海を見る。
元就はため息をつき、我に蹴りを入れた。とてつもなく痛い。

「何をする!」
「客だ」

そうして、見えたのは……鳶色の髪をした青年だった。どこかで、見た事がある。

彼方の兄、海琉だ。


「あんたに、少し訊きたい事があってね。毛利元喜君」


Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.48 )
日時: 2010/09/20 10:36
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

瀬戸内コンビ 『アゲハ蝶』 第4話

「おーい、元千代。客だぞ」
「うーい」

俺はチカさんに呼ばれたので、下に降りて甲板に出る。そこにいたのは、

鳶色の髪をした、青年。海琉兄さん。

海琉兄さんは真剣な表情だった。しかも、かなり苦しそうな顔だった。
彼方に何かあったか?

「どうしたんスか、海琉兄さん」
「あぁ、彼方こっちに来てないよな?」
「? 行方不明なんスか?」

海琉兄さんがうなずくのが見えた。
あの野郎、また行方不明になりやがって……。また俺に迷惑をかけようと言う魂胆か?!!
上等だ、やってやろうじゃないの!

「探しすか?」
「いや、良い。いないなら大丈夫だ。あぁ、あとそれとな…」

海琉兄さんが出してきたのは、1通の手紙。きちんと折りたたんであって、綺麗だ。
その手紙を、俺に投げよこす海琉兄さん。そして、こう告げた。

「元喜君からだよ」

ハァ? あのオクラが俺に手紙を?!! 何でだよ。
まさか、決闘の申し込み——— だよなぁ…。
一応読んでみるか。

『バカ千代へ』
「バカじゃねぇ!」

冒頭からツッコムって俺…。

『バカ千代へ。
 貴様が我の前に姿を現わしてから、我が変になった。どうしてくれるのだ。
 貴様のせいだぞ。覚えておけ。

 あと、貴様が安芸に来た時に言ってしまった言葉だが、前言撤回だ。
 来たいなら来ても構わん。元就もそう申して居る。そこの、姫若子にも伝えておけ。
 フン、せいぜい生き残っていろ。貴様を倒すのはこの我なのだ
 毛利元喜』

もうカオスだ。何なんだよ、こいつ。何が言いたいの?
えーと、待て待て待て。安芸で言われた言葉…。


『もう2度と、我の前に姿を現すな!』


あれか。
別に、気にしてないから良いんだけどよ。
それと、姫若子って誰だ?

「あ、あいつ俺の事を書きやがって…!!!」
「へ? チカさん、姫だったんスか!」

海が似合う海賊が、何で姫…。プッ。
あ、ヤベ、睨まれた。

「少なからず、相手も悪いと思っているだろうよ。じゃーな、俺は彼方を探しに行かないと」
「悪いな、彼方の兄貴さんよ」

チカさんが海琉兄さんにそう言ってた。
ハハッ、何だこれ。笑えてくるじゃねぇか。最後の晩餐みたいな手紙の書き方だし。
元喜、お前殺されるのか?

—— 心配なんだろ?

黙れ。誰が心配なもんか。
あいつに心配をかけるなら、凜音にかけるわ。

—— 戻る事は、もう出来ない。

何でだよ。俺は道を踏み外したのか?

—— 戯曲の上に、お前はいる。

戯曲? 何それ、食えるの?

—— 導いてやろう。答えの所まで。


俺の目の前を、アゲハ蝶が通り過ぎた。
こんな海にまでいるんだな、蝶って。

いつの間にか、俺はアゲハ蝶を追いかけていた。


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