複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 黒白円舞曲 力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
- 日時: 2012/04/08 15:14
- 名前: 風(元;秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520
初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★
〜作者状況〜
執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。
$$$来賓のお客様$$$
弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)
以上35名のお客様です
私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。
皆様から頂いたオリキャラ
アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T) >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195
◆◆◆Story◆◆◆
>>11 1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14 2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18 3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29 4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39 5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44 6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53 7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81 8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新
此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207
★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★
>>63 キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64 オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!
###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!
以上です。
〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】
作者用です
_____//基本用語集
ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。
ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。
ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。
ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。
ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
黒白円舞曲 第1章 プロローグ
この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。
この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————
空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。
空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————
そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…
「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————
脳内に過去がフラッシュバックする。
幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。
酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。
——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた
イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。
銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……
————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ
人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。
「そこ……生存者が居るな」
抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。
俺は 俺は 此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ…… 一瞬さ,痛くない……
大粒の涙が頬伝う。
一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。
「人間……私が憎いか?」
——え?
「憎いか?」
————憎い 憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!
「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」
何故、生かされたのかは、理解できない。
然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。
「うおぉぉぉ!」
空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。
悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———
今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。
————村が見えてきた。
夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。
「迷い猫みぃ〜っけ」
そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。
Fin
Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No4更新 12/1 9コメ求む! ( No.157 )
- 日時: 2011/12/28 11:19
- 名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: ZEuRnT3o)
二次の更新だとwww
よし、今すぐ更新しろwww←無茶やめれww
私がいる事が救い?
よく分からんが、風猫の役に立ててるなら何より。
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No4更新 12/1 9コメ求む! ( No.158 )
- 日時: 2011/12/28 23:36
- 名前: 風(元:秋空 ◆Z1iQc90X/A (ID: G9VjDVfn)
葵へ
分った。
無理だが、分った(分って無いじゃん?
だから、見捨てないで下さい(オイ
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No4更新 12/1 9コメ求む! ( No.159 )
- 日時: 2011/12/29 21:56
- 名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: 6MOWHKAk)
無理なのに分かってくれたんだ?www
見捨てないよ!
多分ここ卒業する時がいつか来るかも知れないけど、その時はちゃんと風猫に報告してから去るよ!
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No4更新 12/1 9コメ求む! ( No.160 )
- 日時: 2011/12/30 01:18
- 名前: 陽 ◆Gx1HAvNNAE (ID: ixlh4Enr)
はじめまして!
陽と申します!!
タイトルに惹かれてやってきて、プロローグでうおおおっ!! となって、興奮のあまりまだ全部読めていないのにコメしてしまいました……
世界観も私の好みだし、文章超上手いし、勉強になります!
とにかく全力で読み進めようと思っています!!
全部読ませて頂いたらまた勝手にコメするかと思います……なんかグダグダでごめんなさい(д)
更新頑張ってください♪
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No5更新 12/30 コメ求む! ( No.162 )
- 日時: 2011/12/31 16:53
- 名前: 風(元:秋空 ◆Z1iQc90X/A (ID: Me0ud1Kf)
黒白円舞曲 第1章 10曲目「天使進撃 Part6(援軍)」No5
「いっ行きますわよアリス! ノロノロしないでキビキビ前進ですわ!」
「出たよぉ、仕切りやモードぉー」
顔を赤らめながら進むべき道を指差しながら上擦った声でルテは、アリスに指示を下す。
そんなルテの指示に物言いたげな表情を浮かべながら、文句言ったら言ったで面倒だなとローテンションで従う。
そんな彼女に対しルテが、渋面を造り説教する。
「アリス! 何ですの、その張りの無い声と顔は!? 私を馬鹿にしていらっしゃいますの!?」
結局、何かしら指摘してくるのかと溜息を吐きアリスは、表情を改め足を速く動かす。
それを見てルテは、満足そうに指を立て「それで良いのです」と、偉そうだ。
『ハァ、説教大好き真面目委員長は扱い易くて良いなぁ』
そんなある種単純な彼女を見て、脳内で一人アリスは呟く。
口に出したら面倒なことに成りそうだから。
一方、ゆっくりと進撃して居た彼女達の遥か先を走るブルスマンは、強大な力の奔流に遭遇する。
その力は、どちらも上等で拮抗しているように感じてしまう。
つまり、濃度が濃すぎて彼の感知限界を超えていると言うことだ。
この先で激闘を繰り広げる者達の実力を冷静に測り彼は、後進に手信号を送る。
全員東側へ迂回して戦力が集中する地点へと進め。彼の手信号を良く理解する部下達がそれに気付き動き出す。
彼の勇猛果敢な活躍ぶりに魅せられ安心を求め付いてきたガデッサ側の戦士達。
彼らは、数歩遅れてブルスマンの指揮の意図に気付き彼の部下達を追う。
「それで良い。この先に居る者達は、並の戦士の手に負える者達では無い」
務めて悠然と部下達の行動をブルスマンを見送る。
そして、目の前の駆逐すべき敵に全集中力を注ぐ。部下を気遣っていては、相手に出来ない様な強者の威圧感。
久方ぶりに感じるものだ。彼は、魔界に彷徨いこんで一人で居た頃、何よりも孤独を愛する無頼漢だった自分。
会う者達は皆、自分より弱く自らの力も分らぬ愚か者ばかり。
そして、彼に好意を寄せて歩み寄る者達も全て弱く。自らより上の存在を妬む風潮のある魔界では、彼に降掛る災難は多く。
多くは、彼と腕に覚えのある他者との戦いで捲き込まれるか人質にされて死ぬかのどちらかだった。
正直、彼は、腐っていたのだ。今の主であるオフィーリアに会うまでは。
頼れる者は自分だけ。他者との関わりは、心の重荷と行動の重荷の両方を持つ。
心を鎖す。関わりを持つまいと逃げる。何時しか、他人を威圧し近づけないために髪型を奇抜にして。
常に自らの武器である巨大な斧を見せびらかすようにした。
それが、変わったのは自らより強いオフィーリアに会ってからだ。彼女は、自分と居ても壊れない。
否、それどころか自分を鎮圧することすら出来る剛の者。魅入られた。そして、彼女の強い意志に引き寄せられる。
何時しか彼女は、神格化され彼女の仲間は意地でも守ると言う信念が、冷めた彼の心にある感情を去来させた。
何が何でも護れる者は、護ると言う意思。
ガデッサ側の戦士は仲間だ。天使は必ず倒す。
しかし、彼の行動にはそう言った彼の信念に根ざしたものだけではなく。
この苛烈な神気のぶつかり合いに彼自身が、強者との戦いを渇望して居たことを思い出す。
それ故に、彼は、その粗暴な性質を嫌われ神に堕天させられたのだから。
弱者を護り倒すべき強者を倒す。その二つの彼の中に在る渇望は、見事に消化されていた。
「甘いなリガルド。魔法を目晦ましに武器を伏兵とした積りだろうが、丸見えだ」
全力でぶつかるためには馬は邪魔と感じたブルスマンが、馬を止めるとほぼ同時。
ドッと言う空間を震撼させるほどの大音響が響き渡り家屋が吹き飛ぶ。
その先には、茶色の短髪の筋肉質で長身の男が居る。羽の色から察するに援助対象だ。
続いて、冷然とした女性の声。どうやら、神気に聖なる波動を感じる。此方が、敵方のようだ。
姿を現したのは絶世の美女。
焔のような真紅と深海のような青の深めの色をしたオッドアイと整えられた黒の長髪。
そして、表情の抜けた色白の相貌は、精緻で美しく異性はおろか同性すら魅了するほどと言って差支えが無い。
ブルスマンは、彼女の要望を見て息を飲む。この美貌で更には、強さすら持ち合わせるとは神は、選り好みするらしい。
喉でクックと笑い不公平だなと当然のことを改めて実感し彼は、戦斧の柄に手を添える。
詰る所臨戦対戦だ。
「甘いぜセリス姉さん。伏兵の伏兵さ」
「……それも気付いて居たさ」
セリスと呼ばれた美女とブルスマンの距離は約三十メートル。彼の移動能力をすれば一秒と掛かるまい。
しかし、そんな中でもリガルドと呼ばれた男は最後まで援助を嫌うように立向かう。
家屋と家屋の間の細道から巨大な手裏剣が飛び掛る。
しかし、彼女はそれを悠然と回避し剣を通し回転力を殺し男に投げ返す。
男は、その攻撃を上半身を逸らし回避する。瞬間、セリスが大地を蹴り自らの剣で男を全力で突く。
しかし、その刃は届かない。それどころか澄んだ綺麗な金属音を鳴らし、真っ二つに折れ宙に吹き飛ばされた。
限界まで気配を殺していたブルスマンの接近に彼女は気付いていなかったのだ。
否、目の前のリガルドと言う男が、彼女をそれほどに本気にさせる相手だったのが幸いしたといえよう。
彼女は、飛び退り新手を睥睨する。
「助太刀に来た!」
「……有り難いね。恥かしながら正直、追い詰められてたんで」
少々芝居掛かった口調の男を一瞥しリガルドは、心の底から援軍を有難がる。
二人の刹那の切りあいに入り込み天津さえ彼女の剣を折ったのだ。目の前の斧使いの実力は、信頼に足るだろう。
冷静に分析し豪気な笑みを浮べリガルドは、メインの武器である太刀を出出す。
その二人の強者の姿を見てセリスは、麻薬の極まった中毒者のような狂人的な笑みを浮かべる。
あれほど作り物染みた顔の造りをしているのに、一体どうしたらあんな表情を出来るのか。
それ程に破顔して……
「良いわ。今日は、最高の日ね。御機嫌よう素晴らしく強いお方。お会い出来て光栄だ」
両手を広げ凄絶な笑みを浮べケタケタと笑う。その声は、澄んだ綺麗な声質なのにおぞましく。
その笑みは精緻なのに狂気が膨大で。この女の魔性は、最早堕天した当時のブルスマンなどより遥かに悪魔的だ。
なぜ、この女は堕天していない。ブルスマンは怪訝に眉を潜めた。 しかし、そんな彼にとっては虚を突かれた様な光景の中でも青年は、迅速に動く。
彼女の本性を知っていると言うのも強いだろうがそれ以上に既に、高揚状態なのだろう。
頭が、完全に戦いだけに向いている。
彼女が、馬鹿笑いしている最中が好機と容赦ない斬り下ろしを彼女に見舞う。
セリスは、この攻撃に大仰なジェスチャーをして居たため反応が少々遅れる。
リガルドの攻撃は、彼女の顎を霞めた。少量の血が彼女の顎から零れ落ちる。
「おい、オッサン!」
飛び退り久し振りに流した血に彼女は、多少驚く。
その間にリガルドは、ブルスマンに話し掛ける。
彼の呼び方にブルスマンは、気分を害したらしく少々眉根を潜め「オッサンではない」と、否定するが。
彼は、それを無視して告げる。
「いつまで呆けてんだよ! 力が強ぇだけの木偶の坊かよ!?」
そう怒鳴って一瞬、セリスから目を逸らすリガルド。
だが、そんな大きな隙を彼女は見逃すはずがない。
仕返しとばかりに、集中の途切れた彼に新たに召還したダガーで切りかかる。
そんな彼女の腕を横からブルスマンが、握り動きを止めた。
セリスは、ブスルマンの怪力に驚く。強く握られ神経が圧迫され感覚が無くなりダガーを落とす。
彼女は、このままではこの二人を相手にするのは無理だと悟り中空へと逃れる。
「成程なブルスマン・ハードウェイ。噂に違わぬ勇士だ。貴君とその愚弟を相手にするには私も相応の力を発さねばならぬようだな」
手で顔を隠し右目だけを覗かす。彼女の癖だ。本気を出すときの合図。
武勇に秀でた戦士が揃うハーレイ家にあって無双とされる圧倒的な戦闘力を誇る彼女の気術が発動されようとしている。
その大質量のエネルギーは、龍となり造られた青の世界を貫き天を焦がし朱々と染め抜く。
甚大な力が、土中から湧き上がり大地が浮ぶ。ビシビシ大音量を上げて。
想像を絶する光景だ。確かに気術は、上位の者達の切り札である。
しかし、だからと言って気術を発するだけで是ほど鳴動が起こるのは常識的ではない。寧ろ逸脱しているだろう。
彼女の力は、ブルスマンが今まで長い性の中で見てきた戦士の中でも一、二を争うレベルだ。
憧憬の念を感じる主君を超える格。
対抗馬となりうるのはハリーやガデッサと言った最強の名を冠する資格のある者達だけだろう。
息を飲む。果たしてこれほどの化物に二人掛りとは言え勝てるのか。
「化物か!?」
「化物さ——第二のガデッサとか言われるほどのな。
だが、気術は、発動の派手さこそあれ戦闘タイプじゃぁ無ぇはずだ……」
神気が、放出されバチバチと電気のように迸る。圧倒的な力の嵐で今にもリガルド達は吹き飛ばされそうだ。
第二のガデッサと言うリガルドの言葉にブルスマンは当惑する。其れは詰り、力だけでは無いと言うことではないか。
ガデッサは、戦士としてだけでも圧倒的だった。しかし、彼にはもう一つ圧倒的なものがあった。
誰一人としてなしえなかった多重気術の顕現。
不可能とされた事を彼は、遣って退けたのだ。戦闘タイプじゃ無い能力をこの局面で出す意味が有るのか。
もしかしたら彼に知らせていない第二の気術を有している可能性もある。
そう、思わせるに充分な化物だ。
ガデッサ以来、彼の体験談と修行の仕方を聞き真似した者は沢山居た。
しかし、それらは皆失敗し命を落としている。
「なぁ、リガルド。私の気術は、戦闘には向かないよな?」
『冷静な分析だ。始めて追い詰められて気がふれて形振り構ってられなくなったってわけじゃないのか? なら何で……まさか?』
セリスの周りをうねる竜巻が晴れ、彼女の美貌が覗く。
気術の開放が終了したのだ。それと同時に、リガルドの疑念をそっくりそのまま彼女は口にする。
彼は、目を見開く。意識が混濁し制御できなくなったのか。
そこまで取り乱す要素は無い局面のはずだが、そうで無ければ戦闘タイプじゃ無い能力を解放する理由が無い。
そこで彼は、大きな思い違いをしていると思い付く。
ガデッサは、長い天使の歴史の中で唯一二つ以上の気術を手に入れた。
彼女が第二のガデッサと呼ばれるなら——
しかし、その考えに思いが及んだ瞬間彼は、何かに貫かれ倒れ込む。
「ガハッ——!? 何……だこれ……は!?」
「私は、複数の気術を使える。唯それだけさ——」
貫かれた腹部から大量の血が流れ続ける。圧倒的な神気を纏った回復困難の一撃。
想像を遥かに上回る実力の同門の女をリガルドは一瞥する。
体中が暑さと寒さを連続で訴えた。鉄臭い匂いが鼻孔を支配する。心臓が早鐘を打つ。
意識が朦朧としてきた。
そんなリガルドを抱かかえブルスマンは宣言する。
「若僧よ。お前は充分頑張った。もう、休んで良い頃合だ。此処からは私が、引き受ける!
倒すとは言わずとも彼らが撤退するまでは持たせるのが私の義務だ!」
ブルスマンは、手刀を造り小さく結界の術式を唱えリガルドを護る結界を張った。
そして、強い意志に満ちた瞳をセリスに向けて戦斧をかざす。
セリスは、口角を吊上げ臨戦態勢に入る。
「殺し合いの始まりだよ。望んでいたぞ。力と力のぶつかりあうこの世界を!」
セリスの言葉が終るか終らない位の時に、二人の武器は重なり合う。
周りにあった建造物を全てその二人の剣戟は薙ぎ払った——
Fin
NEXT⇒第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」Part1
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