複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 黒白円舞曲 力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
- 日時: 2012/04/08 15:14
- 名前: 風(元;秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520
初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★
〜作者状況〜
執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。
$$$来賓のお客様$$$
弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)
以上35名のお客様です
私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。
皆様から頂いたオリキャラ
アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T) >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195
◆◆◆Story◆◆◆
>>11 1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14 2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18 3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29 4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39 5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44 6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53 7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81 8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新
此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207
★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★
>>63 キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64 オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!
###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!
以上です。
〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】
作者用です
_____//基本用語集
ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。
ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。
ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。
ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。
ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
黒白円舞曲 第1章 プロローグ
この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。
この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————
空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。
空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————
そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…
「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————
脳内に過去がフラッシュバックする。
幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。
酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。
——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた
イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。
銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……
————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ
人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。
「そこ……生存者が居るな」
抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。
俺は 俺は 此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ…… 一瞬さ,痛くない……
大粒の涙が頬伝う。
一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。
「人間……私が憎いか?」
——え?
「憎いか?」
————憎い 憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!
「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」
何故、生かされたのかは、理解できない。
然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。
「うおぉぉぉ!」
空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。
悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———
今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。
————村が見えてきた。
夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。
「迷い猫みぃ〜っけ」
そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。
Fin
Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ
- Re: 黒白円舞曲 Ep1 11-3 2月6日更新 アンケ実施中! ( No.204 )
- 日時: 2012/02/13 21:43
- 名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: 6MOWHKAk)
なるほどねwww
どした、愛ちゃんのがうつったか?w
でも、愛ちゃんの喋り方は本当に独特だと思うぜ?www
オフィーリアの喋り方は独特過ぎて本当もう……どうしろとって感じ←訳分からん
え、ブルスマンが言い負かされるの?w
逆かとwwwww
そりゃあ一応別人だしねw
- Re: 黒白円舞曲 Ep1 11-3 2月6日更新 アンケ実施中! ( No.205 )
- 日時: 2012/02/16 01:21
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: g2Ez2oFh)
葵へ
どうやら私は病気のようです……うん、変態的な病気だね(笑
カキコ内であぁ言う喋り方するのは彼女だけかと。
てっきりお嬢様学校出身かなどと非現実的な事を(苦笑
オフィーリア「どおぉぉぉーもおぉぉ、しなくて良いぃーんじゃぁないのおぉぉ?」
はぁ、タイピングがめんどい(汗
ブルスマンは正論で責めますがアリスは手数で責めます★
ですね^^
- Re: 黒白円舞曲 Ep1 11-3 2月6日更新 アンケ実施中! ( No.206 )
- 日時: 2012/02/16 21:26
- 名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: 6MOWHKAk)
変態的な病気なんて、凄く素敵よ♪←
そりゃあ……
今までに愛ちゃん以外に見た事無いしね?
お嬢様学校……でも、なんか女子高イメージが強いかな……
タイピングがめんどいって……リアルな話をwww
言葉攻めって奴ですね?www
- Re: 黒白円舞曲 Ep1 11-4 執筆中 ( No.207 )
- 日時: 2012/04/01 00:48
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: r3A.OAyS)
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」Part4
「どうした? ネコ番長……貴方の強さはこの程度か!?」
荒廃したシャングリ・ラを疾駆する二つの影。普通の戦士たちからすればその二人は、一瞬で輝き全てを照らす閃光に見えるだろう。ネコ番長そしてセリス・ハーレイ。彼等の戦いは苛烈だった。轟音より速く地面は捲れ上がり建物が砕け散る。
しかし、それでも戦闘は互角ではない。この世に本当の互角など無いと言うがそう言う意味ではなく彼と彼女では少なからず実力差が有った。結論から言うと圧されているのはネコ番長の方だ。証拠にセリスは涼しげに攻撃をかわしているが彼は必死である。
「言ってくれるニャ……ソーンボルティック(紫電磁場)」
だが、ネコ番長も圧倒的な差を理解した上で好機を待つ。彼等は十分で回復すると言ったブルスマンと言う男の強さを知っている。無論、目の前の女には劣るが二人係で前衛を行いハンナハンナ兄妹が援助をすれば光明も見えるだろう。
彼は心に念じブルスマンの様子を見て後二分程度で回復すると目測し強力な魔法を放つ。ソーンボルティックは悪魔の使う魔法には珍しい拡散型で威力も強力な上位雷魔法だ。その歯牙がアギトを描く。しかしセリスは喜々とした表情でそれを掌で相殺してみせる。
「温いな……セフィロト(光神の樹)」
そして飽きた玩具を処理するときの子供のような表情を浮べ膨大な量の天力を発動させ放つ。天使族最強の攻撃力を持つ魔法の一つとされる光属性最強魔法だ。その閃光はその新交通路上にある全てを薙ぎ払い目にも止まらぬ速さでネコ番長に迫り行く。
「デスパライズクロ……ウッ!」
通常の上位魔法など何の役にも立たないほどの巨砲をネコ番長は全力で迎え撃つ。彼の奥義が煌く。空間が振動し筆舌に尽くしがたい轟音が世界を包み込む。そして世界が光に飲み込まれた。そんな中でもセリスは迷い無く動く。
ダメージを受け流しきれず大きな体力の磨耗を強いられたネコ番長に止めとばかりに手刀を放つ。そんな彼女の行動に彼は、待っていたとばかりに双眸を見開く。そして気術を開放する。
「気術発動……ワールドエンド」
ネコ番長の胴体から放たれた気力の波がセリスを包み込む。それに包まれた彼女は動きを完全に止めた。時間を止めること、それが彼の気術の能力だ。その強大な力と引き換えに発動中は自分も動きを止めてしまうのだが。
「かたじけないネコ番長。感謝する!」
回復を済ませたブルスマンがセリスの後ろを取り切掛った。仲間の援護があってこそ彼の気術は最強なのだ。それをブルスマンは理解している。勿論他の仲間たちも。傷付いて体に負担の掛かる動作の出来ないアンリは兎も角としてタピスも攻撃に参加していた。
「終りにするニャ! カルクォルドー(台地の刃)!」
詠唱と共に大地が光だし至る所から巨石が刃が顕現されていく。後、コンマ一秒も掛からず攻撃が命中するだろう。しかし、セリスの表情は余裕に溢れていた。それどころかその綺麗な唇からは哄笑が漏れ出す。血迷ったか。皆がそう思った。
「気術……ファントムソードライン」
抑揚に欠けた声でセリスはそう呟く。すると突然ブルスマンとタピスが大量の血を噴出させ体勢を崩し堕ちていった。一体、何が起こったのか理解できずネコ番長が目を見開く。しかし、その優れた洞察力ですぐに彼女の気術の能力を看破する。
各所に設置された見えない鋭い切れ味を有する糸……良く太陽光を利用して見れば視認は不可能ではない。だが、常に彼女の指揮により流動しているため戦いながらそれを視認していくのは至難の技だろう。
彼女がその力でタピス達を迎撃しなかったのは彼の気術によって身動きを封じられていたからに他ならない。詰り遠距離から魔法で攻撃していれば決着はついていたはずだ。確実に止めを刺すために接近して攻撃を喰わそうとしたのだが見事に裏目に出たらしい。
ネコ番長は嘆く。
「お勤めご苦労……少しは楽しめたぞ?」
相手の力量によってワールドエンドの効果継続時間は違うがこれほど速く効力が消えるのは始めてだ。セリスほどの実力者に使ったことがないので当然と言えば当然なのだが。ネコ番長は、突然の能力の断裂に苦悶する。
既にセリスは目の前に移動して居た。そして、空間を湾曲させ自らの武器を召還する。それは彼も良く知る有名な武器だった。聖剣エクスかリバー。世界最強の剣として名高い神の想像せし武器の一つだ。神に愛された女で有ることをネコ番長は改めて知る。
「愛されていることで……羨ましいニャ」
「お前の最後の言葉……詰まらないな」
セリスは涼やかな表情でまるで子供が羽蟻を潰すかのような気軽さでネコ番長にエクスかリバーを振り下ろす。彼は目を背けない。回避は不可能。命中すれば即死だろう。しかし、戦いの瞬間最後の最後まで相手から目を背けることは許されないと考えている。刃先が目の前へと迫り死への圧迫感が増す。死神が鎌を持ち冥府の横で断頭の準備をしている姿が脳裏に映される。あぁ、死ぬのだ。そう、思った時だった。
膨大な爆発が起こりその爆風がセリスとネコ番長の二人の位置を僅かにずらす。その僅かなズレが明暗を別けた。頭の中央から真っ二つになっていたであろう彼は左腕を失うだけで済んだのだ。激痛を耐えて振り返れば壮絶な光景。
「嘘だろ……何だあの焔は? あそこには仲間が何人も……」
「あっ、ヴァネッサ? あそこにはヴァネッサが!」
街並みは見事に崩壊し廃材すら残っていない。陽炎が立ち込め遥かに離れているのに温度が伝わってくる。ネコ番長は涙した。自分達の愛した町が残骸すら残らず無残に消去されたのだ。
対してセリスもまた興奮していた。いつも冷淡で詰まらなそうな表情を浮かべていた彼女が今は必死の形相をしている。戦いを放棄し全力ではばたく。冷淡な付き合いに見えたヴァネッサと彼女だが、実は強い絆で結ばれていたのだろう。
ネコ番長もすぐに現場に向おうとするが腕を失った苦痛に耐えかね地べたに転がり込む。
「畜生……」
忌々しげにそう言って彼は舌打ちした。その目前に足にガタが来たらしく足が砕け倒伏しているアンリが映る。
「アンリ……」
「どうやらやばいみたいですね……」
ネコ番長は何も言い返すことが出来ず唯タピスの姿を探す。彼女がこれを見たら何と言うだろうか。考えるだけで嫌だった。
「…………」
『ヴァネッサ……くそっ! 戦いに夢中で思いの他離れてしまった! 彼女は無事だろうか?』
羽が風との抵抗で引き千切れるのではないかと言うほどの全力で飛行するセリス。彼女は自分の短慮さに忌々しげに舌打ちをする。思いの他距離は遠い。それで余波があれほどなのだから心配は一層増長されるだろう。
能面と言うに相応しい彼女の表情は今正に普通の人間の表情だ。額に脂汗を浮べ、唯々同士の無事を祈る。だが、眼下に広がる光景はその希望を打ち砕くには充分だった。ヴァネッサは、首だけしか残っていなかったのだ。
「あっ……うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「セリス・ハーレイ?」
確定した。詰りはセリス・ハーレイの短慮が生んだ悲劇。彼女は絶叫する。彼女の強烈な霊力の宿った咆哮により大気が震撼した。その声を聞き巨漢が振り向く。天使軍総司令官ハリーだ。相手のオフィーリアも健在らしい。
ヴァネッサの首を持ったハリーにセリスは襲い掛かる。それを見て計画通りだとオフィーリアはほくそ笑む。最初から自分がハリーに勝てないのを分っていてセリスの力を理解して居たからこその策だろう。彼女は特別に力の持ち主の把握と識別が得意なのだ。
ゆえに重傷を負ったヴァネッサとそれに近付いたセリスを利用することを即座にその状況をさっちして思いつく。防御に全てを回しハリーの攻撃をいなしながら目的地へと至りそこで全力でぶつかり合いヴァネッサをセリスの張った結界ごと吹飛ばす。
「こおぉんなに上手くいくなあぁぁぁぁぁんてねえぇぇぇぇぇぇ!」
端正な面持ちを無様な表情に歪めて同士に切りかかるセリスを見詰めながらオフィーリアは微笑む。ハリーにはヴァネッサを殺す動機もある。実際やりかねない男だ。それを知っているセリスは臆面も無く彼に全力で攻撃をし続ける。
「これはどういうことだ?」
最早オフィーリアの声など二人に聞く余裕はない。そんな所にゾッドとエルターニャが現れる。ゾッドが怪訝そうに緒フィーリアに問う。彼女は、人の悪い笑みを浮かべて一言。「二人の関係を理解した上で同士討ちを仕向けた」と簡潔に述べた。
「そんなことよりさいっこおぉおぉぉぉおおぉぉぉぉっのショーでしょおぉぉぉ!? 楽しみなさいよ?」
「勝敗は決したな……」
詰まらないことを聞かないで欲しいと嘆息しながらオフィーリアは手を広げる。彼女はこの血みどろの仲間同士の戦いを見て心の底から喜んでいるのだ。悪魔をしたと見下す者達がどの程度なのか? 大して変わらないではないか? 否応無く興奮するのだろう。
そんな彼女の奇声を聞きながらゾッドも満更でもなさげだ。本来なら高潔な彼のこと。否定しそうなものだが彼も天使には似た感想を持っているのだろう。客観的に状況を分析した上で勝利を確信して息を吐く。
「待てセリス! 周りを見ろ……このままでは共倒れだ。お前の怒りなら幾らでも受け止めてやる。引くぞ……」
セリスの常軌を逸した強烈な一撃を全て済ました表情でいなしながらハリーは冷静に状況を確認する。そして、忌々しげに息を吐き負け戦で有ることを認識しセリスに忠告する。彼女もその程度のことは分ったらしく二人は撤退していった。
「結局、止めはさせなかったな……」
「何言ってんのよおぉぉぉ!? 護りきっただけで大殊勲じゃないのよおぉぉ!?」
撤退する二人を倒すことが出来ず気落ちするエルターニャ。そんな彼女をオフィーリアは諭す。あれほどの軍勢相手に持ち堪えただけで事実奇跡と言えた。だが、素直に彼女はそれを認めることは出来ないのだろう。
「そう、思いたいのだが……な」
エルターニャはなおも嘆く。組織の副官としてこの惨状は看過しがたいものなのだろう。これから間違えなく起るであろう大きな戦いを前に既に自ら達の設立した組織は壊滅状態なのだから。
Fin
NEXT⇒第一章 最終曲「虚空」Part1
- Re: 黒白円舞曲 Ep1 11-4更新 2/22 コメ求む!!! ( No.209 )
- 日時: 2012/02/23 18:19
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: PJWa8O3u)
△▼∴▼△∵▲△▼∴▼△∵▲アンケート用紙△▼∴▼△∵▲△▼∴▼△∵▲
A.貴方のお名前と読み方を教えてください(平仮名とか簡単な漢字なら読み方は無しでOKです)
『狒牙(ひが)』
B.貴方の書いている作品は何ですか?(複数OKです! 出来れば最初の方に力を入れている作品を書いてください^^)
『DARK GAME、Magician'S War、最近BLEACH二次が一番書いてるかもです。』
C.私の作品で他に読んでいる作品がありますか?(複数OKです! 読んでいるのなら面白いと思った順に!)
『Cheap、∞エンジン、復讐のインフェルノ』
D.この作品を好きですか?(YesかNoかで)
『Yes』
E.この作品の良い所はどこでしょうか?(複数OKです!)
『戦闘シーンのクオリティが本当に凄い』
F.この作品の悪い所は何処でしょうか?(遠慮などせずに答えてくださいね? 真摯に作者は受け止めます!)
『思いつかないので割愛』
G.この小説で好きなキャラクタは誰ですか?(複数OKです! 出来れば好きな順に書いてください!)
『ガデッサ、アンリ、猫番長、リガルド、イースレイ』
Gで答えたキャラが好きな理由は?(複数答えてくださった場合全員の理由を書いてもらえると嬉しいです)
『ガデッサ……強い人格好良いから
アンリ……色々と良い言葉がございます
猫番長……こういう性格のキャラクター好きです
リガルド……悪く言ったらストーカーですけどカナリア大事にしてましたので
イースレイ……言わずと知れた主人公』
I.この小説で特に好きな話は何でしょうか?(複数OKです。出来れば好きな順に書いてもらえると嬉しいです)
『十曲目、十一曲目』
J.Iで答えた話が好きな理由は?(複数ある場合全話の理由を教えてもらえると嬉しいです)
『色んなキャラクターが大活躍しているから』
K.好きな台詞とか有ったら教えてください(複数OKです!)
『戦闘中のアンリのセリフ大半』
L.これから何か書いて欲しい話しとか有りますか?(例えばネコ番長の過去を書いて欲しい! とかって感じでお願いします)
『続き……という答えはありでしょうか?』
M.番外編を書くとしたらどんな話を書いて欲しいでしょうか?
『コメディ系統』
N.番外編を書くなら誰が主人公が嬉しいですか?(複数OKです!)
『普段脇役の方』
O.お疲れ様でした。最後に何か一言お願いします!
『これからも更新頑張ってください』
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