複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

黒白円舞曲  力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
日時: 2012/04/08 15:14
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520

初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★


〜作者状況〜

執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。

$$$来賓のお客様$$$

弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)


以上35名のお客様です

私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。


皆様から頂いたオリキャラ


アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T)  >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195 


◆◆◆Story◆◆◆

>>11  1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14  2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18  3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29  4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39  5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44  6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53  7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81  8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新

此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207


★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★

>>63  キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64  オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!



###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!

以上です。


〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】

作者用です






_____//基本用語集

ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。

ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。

ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。


ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。

ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







黒白円舞曲 第1章 プロローグ


この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。

この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————





空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。


空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————


そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…


「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————


脳内に過去がフラッシュバックする。

幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。


酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。



——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた


イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。


銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……


————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ


人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。

「そこ……生存者が居るな」


抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
 怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。


 俺は  俺は   此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ……  一瞬さ,痛くない……


 大粒の涙が頬伝う。
 一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。


「人間……私が憎いか?」

——え?

「憎いか?」


————憎い  憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!


「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」


 何故、生かされたのかは、理解できない。
 然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
 生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。




「うおぉぉぉ!」


 空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
 ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。


悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———



今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。



————村が見えてきた。



夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。



「迷い猫みぃ〜っけ」

そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。




Fin


Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ

Re: イースレイ〜第一章〜 第四話執筆中 ( No.22 )
日時: 2011/04/08 08:39
名前: かりん ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

わたしの小説にコメしてくださってありがとうございます。
読んでいるうちにとてもはまってしまいました。
これからもちょくちょく見に来ますんでヨロシクお願い致します。

Re: イースレイ〜第一章〜 第四話更新 コメ求む!! ( No.25 )
日時: 2011/04/08 14:05
名前: 霊夢 ◆EcCgOA7Vw6 (ID: dPcov1U5)

こんにちは!
私の小説にコメントありがとうございました!

世界観がすごいですねっ!
まだ、物語は読んでいませんがゆっくり読ませてもらいます!
更新頑張ってください!
応援してます!

Re: イースレイ〜第一章〜 第四話更新 コメ求む!! ( No.27 )
日時: 2011/04/08 20:49
名前: 葵 (ID: 7jw4zwan)

個人的にハンナハンナ兄妹が好き…♪

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 4曲目更新 コメ求む!! ( No.29 )
日時: 2011/04/13 09:54
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)
参照: 猫は……最高です!!生まれ変ったら猫に成りたい★

コメントして下さった方々本当に有難う御座います。

アビス様へ
設定を細かくしすぎて窒息しそうな予感がします♪

メフィストフェレス様へ
いえいえ♪
私も天使とか悪魔好物ですよvv理想郷を好きとは…何と言うシンクロ!?
そう言って貰えると嬉しいです^^
好きなキャラとか居たら教えて欲しいな?

かりん様へ
ご来店有賀が問う御座います♪
はまっただなんてそんな……
ちょくちょくと言わず更新する毎に……いや,ちょくちょく来て貰えるだけで十分すぎるほどですけどね^^

霊夢様へ
ようこそおいでませ♪
ゆっくりじっくり自分のペースで読んで下さいなvv
此方こそ頑張って下さいね!

葵へ
葵って二次小説のアリスだよね??トリップ外したの??
ハンナハンナ兄妹は分り易くて僕も好きです!!
特に苦労性のアンリが♪




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

身を委ねろ————
委ねるしか無いのだ……違う,其れは唯楽なだけな事だ!!
私は私なのだ,私の目で真実を見ねばならないのだ……

真実?
私は今まで真実を見てきたのか?
悪魔は闇 天使は光,その決め付けは私の視野の狭さから来たのか?
何故,分らない!!
世界は赤を綺麗な色で塗りつぶしている……塗りつぶしている。
ならば,この赤を全面に押し出した“魔”と言う存在が本質なのだろうか……

何もかも……何も分らないんだ!!




黒白円舞曲 第1章 4曲目「ニャンニャン冒険紀」

ウルブスに案内されて到着した部屋は幹部寝室A室と言うらしい。
Aと言う事は幹部の寝室の中では古いと言う事なのかそれとも階級の高低による部屋区分なのか
そんな事を考えながら改めてこの屋敷の広さと複雑な造りに驚嘆する。
暫くの間は確実に案内が居なければ此処に辿り着けないだろう。

ドアを開けた先,月明かりが差し込み部屋の輪郭が見える。
広さは3人で暮らすには少し狭いが2人で暮らすには丁度良い位だ。
ベッドの数も2つどう数えても2つしかなかった。イースレイは訝り何度も数を数え直す。
本気で自分を勧誘する積りで自らの世界に来たのなら何でその自分の寝室となる場所にベッドが2つなのだ……既にベッドの1つにはタピスが居る。
詰りは床で何も掛けずに寝ろと言う事かそれともウルブスかタピスのどちらかのベッドで一緒に寝ろという事か。

「おい,是はどう言う事だ?」
「見ての通りだろ?俺かタピスかどちらか選べって事だ!床で寝る方が良いなら別だけどな」

『く……同性同士で肌を寄せ合い眠るだと??否,まだ殆ど面識もない若い女と肌を寄せ合い寝る方が問題か?』

愕然とした悲鳴の様な声でウルブスに質問するイースレイ。
しかし,ウルブスは予想通りイースレイの聞きたくない言葉を淡々と述べた。
どんな罰ゲームだ地獄に無理矢理連れ去られる事自体余程の事だと言うのに……イースレイは心の中で嗚咽する。
流石に今後の事を考えると床で寒さも凌がず眠り体調を壊す事は避けたい。
先ず,是は却下される。しかし,どちらを選ぶ。逡巡する。其の様をウルブスは楽しそうに見詰める。
撲ってやりたいとすら思える嫌らしい笑みに苛立ちを覚えイースレイはタピスの方にする事に決めた。
ウルブスに理由を聞かれるとイースレイは彼女のベッドの方が面積的な余裕が有って窮屈じゃ無さそうだと言った。
其れに対してウルブスは言う。

「そうかい……だが,気をつけろ……タピスは抱き付き癖が有る」
『最悪だ——』

ウルブスの忠告に頭を抱えながらイースレイはタピスのベッドに入る。
予想よりかなり寝相が良いなと思っていると突然,彼女はイースレイに抱きついて来た。
腕の力が強い。柔らかい胸が体に密着する。
イースレイは余りに突然の出来事に小さな悲鳴を上げる。
先程,ウルブスの忠告を受けたばかりだがまさか是ほど速く抱きついて来るとは……
責めて眠りについてからにしてくれとイースレイは懇願したい気分になった。

「ニャァ〜,お兄にゃんがおっきくなったニャァ♪」
『お兄ちゃんじゃねぇ……』

「仲が良い事で♪」
「冗談でも止めろ!!」

抱きついたとうのタピスは夢の中で兄であるアンリと戯れている夢でも見ているのかイースレイを兄と勘違いする。
イースレイは其れに対し至極全うな事を思うが声を荒げて起したりするのは握手と考え我慢する。
其れに対してウルブスがチョッカイを出す。
ウルブスの言葉に小さく怒気の言葉で応答しイースレイは一拍置いて「おやすみ」と言う。
ウルブスもそれに応じるようにお休みと言った。

その後は務めて沈黙を貫きタピスの胸の感触を必死で否定しながら眠りに付いた。
多くの事が頭の中を巡る。当然だ。多くの事が起こった。
是が全て真実なら彼が信じていた物の多くは瓦解するだろう。

____イースレイが眠りについて8時間が過ぎていた。
時間は,12時だ。
何時間眠れただろうか……眠りに付いたのは深夜の4時位,早朝と言っても良い時間だろう。
今は何時だ?そんな事を思いながらノロノロとイースレイは目を開ける。
そして,直ぐに時計に目を見遣る。


「12時……当然か,寝る時間が遅かった」

「お早う♪ってまぁ,俺も今起きたばかりだけどな」
「あぁ,タピスは?」

「食事中だ……お前の後でな」

思ったよりは時間が過ぎていない事に安堵の溜息を吐く。
人間にとって通常夜は活動時間ではない。そんな人間が長時間夜を過ごせば日の当る時に労働するより遥かに疲れが溜る。
故に,通常の睡眠時間より時間を要すると思っていたのだ。
ベッドの室が良かったのかそれともイースレイ自身の体が睡眠時間を強くインプットしているのか?
少し思い瞼を無理矢理開き周りを見回す。視界に入ったウルブスが挨拶をしてくる。

其れに対してイースレイは会釈してこの部屋のもう1人の住人の事を聞く。
ウルブスは愛想の悪い奴だと伐の悪そうな表情をして食事中だと言う。
そう言えば先程から妙な音がする様な気がすると思い後を振り向く。


「あっ,おっはようイースレイ♪朝起きたらお兄にゃんじゃなくてビックリしたにゃ♪」

ムシャムシャと血肉を貪りながら円らな瞳でタピスはイースレイを見詰める。
兄なら驚かないのか……其れを問答する余裕も無くイースレイはタピスが食べている物に目が行く。
それは骨格構造から紛れも無く人間だと判断できた。



                ————矢張り所詮は悪魔か?


そう,憤怒の焔が込み上げて来る。
怒りで拳を振り上げそうになるがウルブスに制され止める。
何故止めた!とイースレイはウルブスに反論するとウルブスは言う。
彼女は元々,堕天使から生じた悪魔とは違い魔物から派生した存在だ……
魔物には自分以外の存在の肉を“特に人間の肉を愛する"傾向が有るのだと……
例え人型になって理性や我慢を覚えても根本を直すには時間が掛かるのだと……
庇う様に。

「ニャッ……ご免ニャ!人間を食べないと死んじゃうって訳でもニャいのにイースレイの事も考えないで……」

その2人の剣呑な雰囲気が自分が原因で出来た物だと理解したタピスは愕然として目に涙を浮かべながら部屋を飛び出していった。
“制御できない本能″多少の哀れみを感じながらもイースレイは許す事は出来なかった。
当然だ。悪魔を今は信じなければならないと思っていた矢先だ。
元々は悪魔から人間を護る職業に就いていた者だ。
だが,涙を流し部屋から飛び出す彼女は強く反省していて……
イースレイが深々と嘆息するのと重なるように扉が開く。
其処にはハァハァと息を荒げるタピスの兄が居た。
普段は無表情な彼が剣呑な顔をしている。

「どういう事だ!何故,タピスは泣いていた!?」

捲し立てる様にアンリは声を荒げる。
イースレイはこの兄妹は本当に愛し合っているのだなとその絆に少し浸っていた。
他人事だからだろうか……違う。今迄1人の様な者だった。
悪魔を倒しても誰も感謝はしてくれなかった。悪魔とか天使とか言う垣根を関係なくこう言う純粋な関係に飢えているのだろう。
アンリの剣幕の手前表情には出せない。

イースレイは短時間黙考し手を挙げ自分の愚だと事の経緯を言う。
其れに対しアンリは成程と口に手を当て思案する。思ったほど激怒はしてこない。
何故だろうと思っているとアンリは冷然とそれは彼女に責が有るなと言う。
一頻り謝り矢張りタピスが心配なのだろうアンリは頭を抱える。
其れに対してウルブスが捜索を手伝おうと手を差し伸べる。

イースレイは彼女が泣き出した原因は自分に有ると言う事で断る理由がないと引き受ける。
其の瞬間,アンリは体中の力を発散し自らの気術メルトンニャンニャンを発動する。
アンリの爪がイースレイ達の体に減り込む。一瞬痛みが有ったが痛みは本の一瞬だった。
突然すまないと詫びながらアンリは自らの気術についての説明をする。

彼の気術,それは相手の喋る能力を奪い其の変り魔界では情報通で知られる猫型の魔物達の事場を理解出来るようにするという能力である。
更に,自らの爪を媒介にした術だからか相手と思考をリンクする事が出来るのだ。
詰まる所是は敵に使う能力と言うよりは仲間を使っての情報収集の為の能力と言える。

「じゃぁ,行きましょう……イースレイ,貴方は魔界を歩くのは初めてですね?」
「当然だろう?」

「色々,参考になることが多いと思いますよ?通常の悪魔とは話を出来なくなると思いますが」

妹が心配だと言うのにアンリは勤めて冷静にイースレイを慮る。
イースレイとアンリの会話が成立しているのはアンリが猫の言葉を理解出来る故である。
アンリは悪魔が襲ってきたりする事は無いので是を機にシャングリ・ラがどんな場所か理解するのも良いでしょうとお節介気味に言う。
ウルブスは口を尖らせてお節介野郎がと嘯く。

嘯くと粗同時に歩みだし東地区を調べると言ってウルブスは走り出す。
其れに対してアンリはイースレイを手招きして付いて来いと促す。
そして,本部の外に出ると言葉で説明しても分らないだろうと考え指を指しこの通りを頼みますと優しい口調で言う。
そうして,アンリはイースレイに任せた通りとは逆の方へと跳躍した。

「あれ?あれって魔族じゃ無いよニャ?雰囲気が違うって言うか」
「うんうん,あれもしかしてガデッサさん達がスカートした人間じゃないかニャ」

通りを歩き始めて直ぐ声が鮮明に脳内に響き渡る。
どうやら猫達の声が直接脳内に入り込むようになっているらしい。
猫が喋っている錯覚に陥りながらもイースレイは猫達に話しかける。

「タピス・ハンナハンナを知っているか?」
「勿論ニャ♪所でアンタイースレイって人間かニャ?」

先ずはタピスの事を知って居なければ話にならないと思い猫達に彼女の事を知っているかを問う。
情報通と言うのだから自らの生息する場所にある組織の幹部の事を知らぬなど無いだろうが一応だ。
猫は当然知っていると言い逆にイースレイに質問をしてくる。
隠す必要も無いと思いイースレイは肯定する。

「————そうだが……」

「やっぱりニャ♪アルファベットZニャ!サインくれニャ♪」

肯定すると2匹の猫達はサインを申し出てきた。
サインを書くまでは質問に応えてくれる気はなさそうなのでイースレイはサインを書く。
サインを渡した瞬間,悪筆だと猫に酷い評価を受けるがイースレイ自身字が下手なのは自覚しているので余り気にはしなかった。
一頻り,騒ぐ彼等を見て会話が収まるのを見計らって彼等にタピスが何処に行ったかを問う。

猫達は申し訳ないが分らないと言う。
だが,この周辺で彼女が拠り易い場所なら知っていると其の場所を教えてくれた。

「感謝する」
「僕達は暇だから話し掛けられるのは嬉しい限りなのニャ♪」

イースレイは感謝の念を述べ颯爽と歩き出す。
猫達は気軽そうに此方が感謝したいと言う風情でイースレイに手を振っていた。
魔界の猫は手を振れるのかと瞑目し,然し彼等もまた所詮は人を食う口を持っているのだと心を許す気は無かった。
上位の位階に属するタピスですら我慢が出来ないのだ。
下位であろう彼等が幾らこのシャングリ・ラの雰囲気のお陰で温和だとしても本性は人を食う魔物に違いは無い筈なのだ。

其の後,イースレイは街路に居る猫と言う猫に話しかけ居そうな場所を具に確認する。
然し,全く見付る気配は無い。シャングリ・ラの町並みは存外に入り組んでいて何より広い。
夕方の茜色が雲と合いまり素晴らしいグラデーションを造るが其れを見る余裕も無い。

「兄ちゃん,あれ……」

嘆息していると小さな猫が煉瓦造りの古い家の屋根を指差す。
その仔猫は恐らくイースレイが猫達にタピスの行方を聞いて回っている事を既に情報として得ていたのだろう。
イースレイの姿形も……
そんな猫の指差す方向をイースレイは力無く振り向く。
其処にはタピス・ハンナハンナの姿が有った。
このエリアは諦めて違うエリアに移るかと考えて居た頃だった。

「感謝する!!」
「感謝されたニャ♪」

イースレイは水を得た魚の様に立ち上がり其の猫に感謝する。
仔猫はキラキラと瞳を輝かせながらイースレイに敬礼するのだった。
然し,人間のみであるイースレイにはあの屋根の上に行く手段が無い。
どうする……逡巡する。あの家の二階に行き屋根に飛びついて攀じ登る事なら何とか出来そうだが不法侵入が許されるのか
否,断りを入れて入ろうとしても全く知らない顔の筈だ。
イースレイと言う情報通の猫だからこそ知っている情報だと猫達は言っていた。

逡巡するイースレイの横に突然,何かが飛来した。
白髪の色白……モスグリーンの瞳,アンリ・ハンナハンナだ。
情報を統制出来ると言う事は当然,イースレイの見る情景も知る事が出来るという事だ。
急いで此処に来たのだろう。相当に息が切れている。
横に居るイースレイの事など一瞥もせずタピスの元へと跳躍する。

「アンリお兄ニャん?」
「頭は冷えたかニャ?凄く心配したんですよ……」

タピスの前へと降り立ったアンリは涙目のタピスを見詰める。
目が腫れている。随分長い間泣き続けたのだろう。
タピスはノロノロとアンリを見回し涙声で彼の名を呼ぶ。
アンリは近付き涙を拭い心配したんだと声を震わせた。

「タピス……イースレイの事怒らせちゃった」
「大丈夫,大丈夫だニャ……タピスは少しずつ人間の血を我慢出来るようになってるじゃないか?」

タピスは昼間の事を鮮明に思い出して倒れ込む。
アンリはそんなタピスを抱き抱え優しい声でタピスに言う。
昔と比べてずっと我慢を覚えたと……だから,きっと本能に勝てるようになると。
タピスは俯いた顔を上げてアンリを見詰める。

「タピスは人間と一緒に笑って過ごせるようになりたいのに」

切なる願いが慟哭の様にアンリには聴こえる。
意気揚々と理想郷があると聞いて此処に来た時を思い出す。
悪魔だから魔族だからどうせ人間と共存は出来ない。
幾ら,天使を妄信している人間を見ても諦められ無かった過去の夢。
今も諦めていない。いや,強く前へ前へと疾駆している。

「分ってる……分ってるニャ,僕達はだからシャングリ・ラに入国した」
「お兄ニャん」

アンリの頬を涙が伝う。
タピスの前では務めて涙を流さなかったアンリの涙。
タピスはこんなにも心配してくれる身内が居る事にまた盛大に泣き出した。

「行こう,冷えるから……今回の行動は是からの行動で払拭しよう!だから泣かないで?
タピスは————」

                


              ____笑っている方が綺麗だ……


タピスの肩に手を当て真摯な声でアンリは言う。
悪い事自覚が有るのなら是から払拭すれば良いのだからと……それが人生なのだと言う様に。
卑屈にならないプラス思考で満面の笑顔を浮かべるタピスが好きなのだ彼は————
だから,妹として女として女神の様に笑い続けてくれと願うのだ。

「有難うお兄ニャん♪」

「当然だろう?僕はお前の兄貴ニャ♪」


純粋な感謝をタピスはアンリに伝える。
アンリは少し照れ臭そうに目を細めて当然の事をしたまでだと胸を張る。
何時の間にかタピスの顔には笑顔が少しずつ戻ってきていた。
目が腫れていて涙で目が潤んでいてそんな状況で笑うと何だか普段とは違う美しさを感じる。
そう思ったアンリは思わず口にする。

「一杯泣いて笑うとタピスはもっと綺麗になるんだニャ?」

「お兄ニャン!!」


そんなアンリにタピスは恥かしがる様に怒った。
千変万化————表情の抜け落ちたアンリにとって是以上見ていて飽きない者は無い。

一方,イースレイはと言うと彼等の会話を結局は家の外で見詰め割って入るのは少し野暮だと思い留まって居た。
其れを見詰めていた仔猫はイースレイの背中に飛び乗り偉い偉いと言う風情でイースレイの頭を撫でていた。
煩わしそうにして猫を引き剥がそうとするが仔猫はそのイースレイの手を華麗に回避するのだった。
猫とイースレイの壮絶な戦いが始まる。





「それにしても何か忘れてるニャ」
「なになにぃ?」

「…………忘れてるから思い出せないんだ」

猫と乱闘を繰り広げるイースレイを傍目に2人は帰路に付く。
そんな中,完全に媒介からの情報を遮断したアンリは何かを忘れている事に気付く。
タピスが何を忘れているのか問うがアンリはどうしても思いだせず首を傾げる。


そんな忘れ去られた男,ウルブスは状況の進展など理解出来るはずもなくタピスを探し続けていた。
ウルブスが諦めて帰ってきたのは夜の9時以降だった。
タピスと顔を見合わせて実はとうに帰って着ていた事を聞かされた時ウルブスは唖然とするばかりだった。

「俺は何だ?」
「間抜けだろ?」

ウルブスは涙ながらに道化を演じた自分は何なんだろうとイースレイに問う。
するとイースレイは目を細めて冗談交じりに罵倒する。
昨日の仕返しだとでも言わんばかりに……
其処に風呂から上がってきたアンリが入ってくる。

「オイ,馬鹿狼!」
「あ?」

「今日は,このアンリがタピスと一緒に寝る!ガデッサからも彼からも許可は得た
お前は此処から出ろ!」
「な…………」


タピスとの禁断の空間に何存在感の異常にあるデカブツが突然入っているんだと言う風情でアンリは目を細めて怒る。
其れに対し探し疲れて目が少し垂れ下がっているウルブスは負けじと声を荒ける。
そんなウルブスにガデッサ達からも許可を得たのでお前の居場所は此処にはないとアンリは言う。
ウルブスは唖然として倒れ込む。

「全力で探したのに……不当だ……扱いが不当すぎるだろうが!!」
「不当な位が狼さんには丁度良いと思いまして」

「この野郎———」

今回の件でタピスの心のケアが必要だと思ったアンリはタピスと今夜中は一緒に居る事を約束したのだ。
其れに対してガデッサは適当にどうでも良いと言う風情で
イースレイはこの兄妹なら間違いなく二人一緒に同じベッドで寝るだろうと想定し
未だに自分の布団もベッドも支給されていないのだから好機と考えて了承したのだ。

何せ,ベッドは2つ,1つはタピスとアンリでもう1つは自分……
先刻とは違い1人で1つのベッドを楽しめるのだから……
そんな中,至極ご尤もな事を口にしながら地面に当るウルブスはアンリに鬱陶しいと罵倒され塵でも見るような目で睥睨されていた。
数分後,ウルブスは諦めアンリを一瞥し逃げ出した。

今日は速めに寝ようかと思ったがタピス達が五月蝿いのと目が覚めた時間が遅かった故か寝付けない。

眠れないので今日の出来事を具に思い出してみる。
今日,初めて魔界を走り回った。
普通の生活風景だった。
泣き止まない子供をあやす母親,店で食材を楽しそうに物色しながら今日の料理は何にしようかと悩む人々,全く人間と変らないように見えた。



本当に魔界に対する認識を改めなくては行けないと思えるほどに————
そして,それは正解であると今後そう遠くない内に彼は自覚する事になる。



Fin

Next⇒第1章 5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」

Re: イースレイ〜第一章〜 第四話更新 コメ求む!! ( No.30 )
日時: 2011/04/09 19:07
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

タピス。人肉を食うとは。まあそいう種族ですもんね。
イースレイの怒りも分かりますけどね。


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