複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

黒白円舞曲  力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
日時: 2012/04/08 15:14
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520

初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★


〜作者状況〜

執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。

$$$来賓のお客様$$$

弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)


以上35名のお客様です

私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。


皆様から頂いたオリキャラ


アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T)  >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195 


◆◆◆Story◆◆◆

>>11  1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14  2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18  3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29  4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39  5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44  6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53  7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81  8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新

此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207


★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★

>>63  キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64  オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!



###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!

以上です。


〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】

作者用です






_____//基本用語集

ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。

ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。

ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。


ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。

ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







黒白円舞曲 第1章 プロローグ


この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。

この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————





空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。


空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————


そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…


「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————


脳内に過去がフラッシュバックする。

幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。


酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。



——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた


イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。


銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……


————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ


人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。

「そこ……生存者が居るな」


抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
 怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。


 俺は  俺は   此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ……  一瞬さ,痛くない……


 大粒の涙が頬伝う。
 一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。


「人間……私が憎いか?」

——え?

「憎いか?」


————憎い  憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!


「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」


 何故、生かされたのかは、理解できない。
 然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
 生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。




「うおぉぉぉ!」


 空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
 ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。


悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———



今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。



————村が見えてきた。



夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。



「迷い猫みぃ〜っけ」

そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。




Fin


Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ

Re: 黒白円舞曲  二千突破です! ( No.170 )
日時: 2012/01/08 11:09
名前: チキン (ID: 5i2DFlGU)

ちわっす、ふぉんまおさんオリキャラ投稿させてもらいます。

〜キャラクタ設定要項〜
名前【ファウスト=ギラ】
年齢【25歳】
性別【男】
種族【悪魔】
身長・体重【178cm・50,3k】
容姿【薄紫の肌、藍色の目(暗くなると光る)、濃い青色の髪の毛、服装はタンクトップに、ジーパン】
性格【普段は無口、先頭になると、ドSとにかくドS、かなりの猫好き】
得意魔法属性【風、氷、水】
気術を有しているか【Yes】
気術名【フリーズコントロール】(有している場合)
気術の能力【氷属性の技を自由自在に動かせる】(有している場合)
詳細【野良猫に餌をやる、猫と戯れる】(過去や趣味など)
仮想CV【無し】

没OKです。

Re: 黒白円舞曲  二千突破です! ( No.171 )
日時: 2012/01/08 15:45
名前: 羽風 ◆8s3miHfWbs (ID: 1Nlxg6y3)



こんにちは!!


まだ全部読めてないですが、
すごくカッコイイですね!
なんだかこの世界に惹きこまれるような感じになりました^^


がんばってください!

Re: 黒白円舞曲  二千突破です! ( No.173 )
日時: 2012/01/09 19:55
名前: 来良 ◆kkbDTm9UYw (ID: maEUf.FW)

こんばんわ。
『神出鬼没の棺』を見て下さってありがとうございます。
今日は、ちょっとしか読んでいませんが後日、ちゃんと読みたいと思っています。
失礼かと思いますが、私は、初心者なのでいろいろ教えて下さい。
できればでいいです。
できればでいいので、『神出鬼没の棺』を最後まで見ていただけないでしょうか?
とても、無理なお願いをしてすいません。

長文失敬

Re: 黒白円舞曲  二千突破です! ( No.174 )
日時: 2012/01/09 23:30
名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: SqbaeWwr)

葵へ



うーん、エロいポーズ??

新キャラ造るのは別にあれなんだけど……そもそも黒白や無限じゃ頭の中に有るだけでまだ出してないまっさらなオリキャラも居るし?
何と言うか長い間お付き合いして無いと感情移入できないって言うか……
あぁ、葵にとっては……いや、テッサイアじゃないか?
実際は、テッサイアやレイジアよりノーヴァとかワルキューレとかは古いですがね(苦笑

ファンベルン好きなん? 初耳です!



チキン様へ



お初にお目にかかります。
オリキャラ有難うございます。
出番は、かなり先になると思いますが絶対出します♪
宜しくです!



羽風様へ



陰陽呪黎のほうにも感想をお書き下さり真にありがとうございます^^
宜しくお願いしますね!



来良様へ



着てくださって有難うございます!
来神組の臨也兄さんと門田さんが好きさ^^ あぁ、他には赤林さんとか九瑠璃とか黒沼君とか美香ちゃんとか好き(マイナー路線乙!

分りました! 出来うる限り教えますね^^ 厳しいとか言わないでね?
えっと、基本の書き方から次のコメントのときに査定するね♪ 
では!

Re: 黒白円舞曲  二千突破です! ( No.175 )
日時: 2012/01/12 13:23
名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: SqbaeWwr)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  オフィーリア達の援軍の甲斐あって戦況は、徐々に拮抗しつつある。
  天使群の主翼は、以前余裕を保っているが彼らは、カナリア奪還という目的に賛同した数少ない者達。
  形成が大幅に傾いた今では、撤退を選ぶ可能性が高い。
  最も事の首謀者であるサイアーは、狡猾な反面ハーレイ一族の中でも最も家族を第一に考える男だ。
  形勢が圧倒的に悪くならなければ逃走は図らないだろう。

  シャングリ・ラに光が射し世界が輝く。周りは、天使悪魔関係なく死骸の山。
  常人が見れば反吐を吐いて倒れこむほどの光景が広がっている。
  しかし、戦いは続く。
  主軸である上位の力を有する者達の戦いは熾烈を極め、最早シャングリ・ラの外観はほとんど失われていた。
  ファンペルと戦うガデッサは、自らが設計し全力を懸けて構造した城砦が壊滅していくさまを無感動に眺めている。

「のぉ、ガデッサ? 何とも思わんのか?」
「思ってどうするんですか? 所詮壊れることを前提に造ったものですよ?」

  その様子を一瞥して武器をまじ合わせながら禿頭の老兵は問う。
  少しでも揺らいで隙ができればという魂胆だが、ガデッサには通用しない。
  彼は、怜悧さの漂う無感情な目で感情の伴い声で答える。
  これほど精緻でこれほど近代的な造りの都市が、壊滅を前提に作られた物なのか。
  老兵は、瞠目し一瞬逡巡した。その隙をガデッサは逃さない。

「ラグ・ロー(雷槍)」

  一瞬、ガデッサの掌が光を発したと思ったら槍のような形状の雷撃が発される。
  咄嗟にファンペルはこれを防ぎ体重を逸らし受け流す。老練された動きだ。が、しかし遅かった。
  行動が、一瞬遅れた事により大きな損傷を負う。これ以上の戦闘は不可能なほどの。
  だが、倒れこむ彼は思う。頭を過るのは疑念だ。手合わせした瞬間から思っていたこと。
  否、手合わせする前から部下が一瞬で惨殺された光景を目にした時から。
  目の前の男が、あの程度のはずが無い。この男は、老兵ファンペルの知る限り会うごとに弱まっている。
  精神状況や体調などを加味しそれでいて最弱の値を算出しても、彼がこれほど弱いはずが無い。

  何しろ天界に居たころは、神掛かっていた。
  総数四つの強力な気術を有し八属性中実に七つの魔法を使いこなす。
  怪物と呼ぶに相応しい。神々の寵愛を一身に受けた天才。それは、武器や素手の戦闘にも恐ろしく秀でていて……
  ファンペルの全盛期、旋風などと異名されていたころの彼を物ともしなかった。
  そればかりか現在、天使軍全軍を統率する強者ハリーと二人掛りで戦いを挑んでも何も出来なかったのだ。
  そんな目の前の男が、今回は老衰し力おとろえた自らと互角に立ち回る。

  無論、まだまだ、年齢で力が落ちるような域ではない。
  訝しむファンペルは、しかし考えるだけ無駄だと頭を振るう。
 此処が戦場である限り、自分は止めを刺されるであろうことは明白だからだ。
  彼は、瞑目し今までの記憶に思いを馳せる。
  家族との思い出。仲間と馬鹿騒ぎした思い出。数々の武功。走馬灯のように駆け抜ける。
  しかし、止めの一撃は来ない。
  幾ら何でもまだ痛みを感じる程度の体力は残っているはずだ。
  再度、彼は訝しがった。そして、恐る恐る目を開く。

「ファンペルさん……アンタには生きて欲しいんだよ。
老人は老人らしく家の中で余生を暮らせよ?俺からのアドバイスだ」

  老人の目に映ったのは花束を投げるような仕草をしているガデッサ。
  恐らくは、別れの挨拶だ。止めを刺す気は無いらしい。
  それとも動くことが出来ない状態になった相手に攻撃するのもエネルギーの消費だと算段したのかもしれない。
  何故、生きて欲しいのか。ファンペルは呆然として彼の後姿を見送るしか出来なかった。
  老人扱いされた怒りが途端に湧き上がりファンペルは舌打ちする。
  地面を殴りつけてやりたかったが生憎と手も動かないから。

「くうぅ、あんの小僧がぁ! まだまだ、某は現役じゃあぁぁ!」

  罰の悪い表情を浮べファンペルは喉を鳴らしながら小さく毒づく。
  そして、直ぐに周りを見回す。此処は敵地だ。
  幾ら的に見逃されたからと言って他の者にも見逃してもらえるなどという保障は全くない。
  彼は、感覚を研ぎ澄まし五感と神気察知の両方で敵兵の有無を確認する。
  周りに敵兵の気配は無い。既に激戦区に皆が集合しているのだろう。
  兎に角、彼は目を瞑り気配を消し死んだフリをする。
  敵対者が着て攻撃されたらどうしようもないからなるべく攻撃されない状態をつくらなければいけないのだ。
  最も、仮死状態は長く行っていては本当に生命活動が止ってしまうので老人は冷や冷やである。
  一刻も早くどちらの勝利でも良いから……なるべく天使軍の勝利に終ってほしいが。戦いが終結する事を願う。



第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」Part1



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