複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 黒白円舞曲 力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
- 日時: 2012/04/08 15:14
- 名前: 風(元;秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520
初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★
〜作者状況〜
執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。
$$$来賓のお客様$$$
弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)
以上35名のお客様です
私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。
皆様から頂いたオリキャラ
アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T) >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195
◆◆◆Story◆◆◆
>>11 1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14 2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18 3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29 4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39 5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44 6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53 7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81 8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新
此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207
★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★
>>63 キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64 オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!
###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!
以上です。
〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】
作者用です
_____//基本用語集
ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。
ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。
ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。
ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。
ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
黒白円舞曲 第1章 プロローグ
この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。
この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————
空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。
空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————
そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…
「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————
脳内に過去がフラッシュバックする。
幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。
酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。
——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた
イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。
銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……
————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ
人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。
「そこ……生存者が居るな」
抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。
俺は 俺は 此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ…… 一瞬さ,痛くない……
大粒の涙が頬伝う。
一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。
「人間……私が憎いか?」
——え?
「憎いか?」
————憎い 憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!
「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」
何故、生かされたのかは、理解できない。
然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。
「うおぉぉぉ!」
空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。
悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———
今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。
————村が見えてきた。
夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。
「迷い猫みぃ〜っけ」
そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。
Fin
Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ
- Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No3更新 12/6 コメ求む! ( No.146 )
- 日時: 2011/12/14 23:41
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: rR8PsEnv)
葵へ
ほぉ、君は私と同じことを考えていたのですね^^
何ということでしょう(笑
ヒステリア美人ですよね!
そうですねぇ。アリスは、今の所餓鬼っぽいよね★
グハッ! 殺されましたvv
- Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No3更新 12/6 コメ求む! ( No.147 )
- 日時: 2011/12/15 21:31
- 名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: 6MOWHKAk)
いや、私はスクエアをDグレ読む為に買ってるからね。
そしたらクレイモアも入ってたから若干読んでる←
個人的に、覚醒した三人の中じゃヒステリアさんが一番好きwww
アリスに少しでも失礼な事を言えば即刻殺されるからねw
地獄送りだからねw
アリス「そういうお前が一番失礼だよこの野郎っ!」
- Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No3更新 12/6 コメ求む! ( No.148 )
- 日時: 2011/12/19 23:20
- 名前: 風(元:秋空 ◆Z1iQc90X/A (ID: rR8PsEnv)
- 参照: http://west7496.blog25.fc2.com/blog-entry-366.html#more
参照に朔様(カキコトップの書き手さんだと思う♪)に書いてもらったアンリの絵の在り処添付!
時間を掛けて下さったゆえあって素晴らしい絵ですよ!!
葵へ
D灰、青エク、Craymoreがスクウェアの主翼だと思う!(突然何!?
と言う話を昨日、弟と語り合っていた風猫です。
まぁ、あの三人の中ではヒステリアさんですよう。まぁ、ミリアさんとかの方が良いですが(ミリア姉さんカッケェ!
注意しますね。
餓鬼のお守りは大変だぜ
アリス「あ゛?」
- Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No3更新 12/6 コメ求む! ( No.149 )
- 日時: 2011/12/26 23:13
- 名前: 風(元:秋空 ◆Z1iQc90X/A (ID: G9VjDVfn)
黒白円舞曲 第1章 10曲目「天使進撃 Part6(援軍)」No4
「ふむ、昔より尚、腕前が上がったなオフィーリア。 しかし、まだまだ! 軽いぞ!」
大地を砕くほどの踏み込みで草食のない巨大な無骨な剣を振り翳すオフィーリア。
その大剣の一撃を手投げ斧で容易く壮年の男、現天使軍最強の戦士ハリーは受け止めてみせる。
鋭く速く正確に練磨されたその剣筋を褒め称える姿は、昔を懐かしむようだ。
そんな彼の余裕綽々とした態度に苛立ちオフィーリアは舌を打つ。
「あーぁー! 何その目! 全然、闘いに身が入ってないぃじゃぁないのおぉぉ!?
嘗めてんのかあぁぁぁぁぁ! ロートル相手だからって手厚く優しく母性溢れる慈愛の天使演じてくれるなんてえぇぇ……くっ!」
「失敬。命のやりあいで手を抜くなど侮辱以外の何でもないな。手加減はせぬ。
然らば小娘。お前も全力を掛けねばなるまい? ディアスリグリオ(千辺乱鋭風)!」
更に、男の慈愛すら感じる瞳を見て歯軋りし声を張上げる。
気に食わない。本気で殺しに掛かっているのにもう、同胞でもないのに何をこの男は!
オフィーリアは、怒りを顕にしながら怒鳴る。昔馴染だからと手加減してくれるとでも思っているのかと。
無論、目の前の男が、今の地位につくには厳しい経験や良識を捨てて駆け上がってきたと言う事実を知った上で。
だからこそ、気に食わないのだ。ハリーは、唯、強き戦士に賛辞を述べているだけなのだが。
気の短い彼女の神経は、逆立てされるばかりだ。
それを理解した彼は、苦虫を噛んだような表情を一瞬して当然かと小さく呟く。
そして、会話の最中の彼女に容赦なく攻撃を浴びせる。会話中に攻撃とかデリカシー無いわねなどと彼女は毒づく。
しかし、彼は、そのような言葉は無視して本気で戦うことを宣言した。
圧縮された苛烈な力の本流が天を貫く。それを見てオフィーリアは、愉悦に頬を歪めてみせる。
その瞬間、呪文と共に尋常ではない量の針のように先端の細い圧縮された竜巻が出現した。
それらは、彼の右手の一振りにより全て彼女へと向かっていく。
「何よおぉぉ!? この馬鹿げた数はあぁぁ……逃場……ないじゃないのおぉぉぉぉ!
ったく、ちまちまとした攻撃いぃぃぃ、しやがってんじゃねぇわよおぉぉぉ!
薙ぎ払いなさいシン・フェリアアァァ(火神の焔鎚)!」
ディアスリグリオは、強大な力の持ち主ほど大量に発生されることができる。
目の前には、見たことも無いほどの膨大な量のそれが存在していた。改めてオフィーリアは、彼に敬意を評す。
だが、派手好きな彼女としては、数で押すこの魔法は好きではない。
すぐにざっくばらんで身勝手な性分が呼び戻され強烈な怒りとなって爆発する。
彼女は、握り拳を大地へと打ち据えて甚大な威力を誇る天使族の使う炎属性魔法最高位の一つを発動させた。
巨大な炎の柱が全てを薙ぎ払う。彼女へと接近していた全ての暴風が一瞬にしてかき消され……
うねり大気すら焼き千切るのではないかと思える光景。それが過ぎ去った空間は、何一つ存在していなかった。
二人の甚大な神気に充てられ行動不能となり退避できなくなった天使数名が、無情にもそれに飲み込まれ消失する。
大地が削げ巨大なクレーターがそこにはできた。
「相変わらず派手好きだな。ふむ、我が部下も何人か飲み込まれたか。許せカイゼル。息子が逝ってしまったよ」
「部下の心配なんてえぇぇぇぇ! 戦場でするもんじゃねぇだろおぉぉぉがあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
シン・グリオランスウゥゥゥゥ(火神の宝槍)!」
それを微動だにせず黙視していたハリーは冷厳と口を開く。
そして、昔のままだと感慨深そうにしながら、実力は高くなったが性格的にはかわらないのなら戦い易いと思索する。
その傍ら、自分の指揮能力の埒外で死んだ部下達に哀悼の意を口にし悼む。
その中の一人は、彼の同期の数少ない生き残りの息子だった。
そんな彼に忌々しげに瞠目しながらオフィーリアは、最強の炎魔法の一つを惜しげもなく発す。
しかし、戦場は、仲間の死を嘆く暇など無い。
シン・グリオランス。シン・フェリアの横バージョンと言った所だ。
その伝家の宝刀は、大地を焦土へと変えながら凄まじい速度でハリーへと飛来する。
彼は、それを鋭い目で睨みつけ強大な神気を巨木のような手に集中させ、強引に炎の槍を握り拳で殴りつけた。
炎の槍は、彼の拳に当った瞬間に歪む。そして、拡散しハリーの前の大地を深く抉り消滅した。
強力、相手の魔力以上の魔力で魔法の力の進撃を防ぐオフィーリアと比べても、なお巨大な力。
彼女は、澄ました顔をしているが内心この化物にどう勝つか逡巡している。額から汗が滲む。対峙して未だ数分なのに。
『うむ、妙だ。如何にこの千年でオフィーリアが強くなったとは言え……
思えば昔から感じていた。ガデッサが弱くなったのだ! 本来なら小生すら奴を止める事など不能!
妙だ。年か? 否、有り得ぬ。ならば、病か……? 否、それも有り得ぬ。 一体、何が? そもそも奴は……』
一方、ハリーはオフィーリアを目の前にして全く違うことを思案して居た。
それは、魔界開闢以来続く堕天使と天使の終る事ない闘争の歴史の中で幾度と無く感じていた違和感。
天使族の歴史上最強と謳われたガデッサの実力。今でも充分強いと言って良いが可笑しいのだ。
本来ならハリーですら勝負にならない強さを持っていたのに今や目の前の彼に劣る女性にすら力負けしているのだ。
強者両方の神気を充分に感じ測定できる恵まれた状況だからこそ、疑念が湧く。
一体、何故。拭いきれない違和感。
一方、その頃、オフィーリアにハリーの件の全てを任せシャングリ・ラ本営内に突入したブルスマン達は。
敵と遭遇し各々の戦いを繰り広げていた。天使の残党を常に背負う戦斧で薙ぎ払うブルスマン。
敵軍指揮官の一角を二人掛りで手玉に取るアリス達。
その他、指南役を務めるブルスマンが、手塩に掛けて育てた精鋭達による蹂躙。
戦況は、一気に傾き均衡。或いは、僅かながらガデッサ側に傾いていた。
「死にたく無くば退くが良い! 雑魚の命など興味は無い!」
「はっ! モヒカン野郎! 愉快な髪型で薬でも決まってン……ガッ!?」
旋風の如く疾駆するブルスマン。その通過した後には、無残な屍が累々と積み重なっていく。
そんな別次元の相手に並みの戦士達は、恐怖と無力感で体を竦ませ逃走を図っていた。
ブルスマンとしてもこの様な将軍格の居ない僻地は、できれば速く通過したい。有り難いことだ。
しかし、どのような場でも愚か者は居る。青い髪の粗野な雰囲気の若者だった。
彼は、彼我の実力差も理解できず大仰な手振りでブルスマンを挑発する。
瞬間、何事も無かったようにブルスマンは彼の横を駆け抜けた。鮮血が盛大に舞い散りタイルで舗装された道路に花が咲く。
「戦場では、弱く愚かなことは罪だ。一つならばまだ良い。しかし、両方揃っていると手に負えぬ。
強者の愚かな強攻は、時に敵を驚愕させ弱者の賢き逃走は、危険への道標となる。
しかし、両方揃っていては文字通り何も有るまい」
誰に言うでもなく疾駆しながらブルスマンは呟く。
長年の戦役の中、経験と現実を直視し手にした思想だ。
だからこそ彼は嫌悪する。弱く愚かな者を。だからこそ彼は、部下にも厳しい。それは、モチベーションが高いと言うこと。
彼は、手を抜かない。何時何時も思索し部下を愚かと弱さの両方を持った詰らぬ者に育てまいと手を尽くす。
常に部下達の心情や抱えている悩みに耳を貸す男なのだ。
しかし、敵対者、こと愚かで弱き敵対者に関しては容赦は無い。
彼は、戦場では、悪鬼と化し所属する組織では、実に賢き指導者となる。
「凄い! 何と言う戦士だ!」
「やっと、増援が来たぞ!」
「あの人に続けえぇぇぇ!」
「俺達、助かるのか!?」
「ブルスマン将軍だ!」
そんな頼れる男の到来に、多くのシルヴィア所属の者達は歓喜した。
彼らを発見した戦士達は、殆どがブルスマンの近くへと移動する。彼の実力を知っているから。
彼の傍にいるのが一番、安全だと知っているから。一方、ブルスマンはそんな彼らの行為を弱いと斬ることはしない。
彼らの行動は正しいからだ。すなわち愚かではないからである。
「ひゃあぁぁぁ、ブルスマンの奴、野郎に囲まれまくってるけど嬉しいのかねぇ?」
一方、瞬く間に大集団と化した同胞を一瞥し憎たらしげにアリスは言う。
戦闘中だが、元々実力の拮抗する程度の奴を相手に二人掛りで挑んでいるので余裕のようだ。
ブルスマンが見ていれば愚かなことをと水を差すだろう。そんなことを考えながらルテは、嘆息しアリスを諌める。
ちなみに彼女の口から出たのは、そんなことを言ったら男性戦士は皆ホモになってしまうのでは?
と、さり気なく酷い言葉だ。
無論、組織にはルテにもアリスにもオフィーリアにもファンクラブが存在するし生粋の同性愛者など指で数えられる程度なのだが。
「馬鹿なことを仰っていないでさっさと殺しますわよ。速くこの殿方の血を味わいたいですの」
「ひっ! なっ、何を言っている!? このリベンサイス家の第四王子である私に!」
話の合わないアリスを諌めルテは、気軽な口調で残忍な事を口にする。
全て本音だ。彼女は、吸血鬼の血を受け継いでいて気術すら血に関連する生粋の血液愛好者。
対戦相手全ての血に興味を示す。不味い血も美味い血も直接飲んで見なければ分らないのだ。
涎を流しながら目の前の長身の銀髪オールバックの高貴そうな男性を見詰める。
その様を見てもっと、相手を弄びたかったのにとアリスは毒づく。
そして、溜息をつきながら気術を発動し男の心臓に強く触る。相手の胸が圧迫され声が出るほどに強く。
「ポイズンリースト……貴方は、苦しんで死ぬのがお好み? それとも断末魔も上げないで一瞬で死ぬのがお好み?」
「どっどちらも……嫌いだ! 当たり前だろう!? 死にたく……」
ポインズンリースト。自分の掌に強く触れた物に様々な種類の毒を浴びせる事ができる能力。
毒の精製や性質は彼女の気分次第だ。
無論、酸で溶かすように皮膚を焼くこともできれば出血熱の類のように血を噴出させて殺すこともできる。
今回は、体が徐々に冷たくなっていく毒だ。相手が、一瞬で死にたいと言わなければ彼女は、常に残酷な殺し方をするのだ。
子供が、虫を潰すように。残酷に。純粋に楽しんで————
「嫌だ。私は……死にだく……な゛……ヒィ」
「おい、ボンボン。情けねぇ声出すなよ? 末代までの恥だぞ?」
寒さに体が耐えられなくなり徐々に青白くなっていくリベンサイス。
それをルテは、内心苛々しながら見ていた。
こんな奴に時間を掛けていられないと言うのと冷たい血は、余り美味しくないのが原因だ。
しかし、力関係では多少アリスが上なため安易に口答えはできない。
それに、冷たい血は冷たい血で味わいがあると彼女は諦めることを知っている。
サティズム全開なアリスを見ながら速く終れと念波を飛ばす。
念じ始めて数分、ついに男は呼吸を停止させ絶命した。
「終ったよぉルテ!」
満面の笑みでアリスが言う。
ルテは「遅いですわ!」と、毒づきながら男の死骸を抱き起こし血を啜る。
「うっくっ……はぁ」
「ど、だった?」
そして、お嬢様のような上品な容姿に似合わぬ豪快な音を立てて一気に血を吸飲する。
一気に、一リットルは飲んだだろう。
口内に残る濃い血の味を確かめながらルテは、目を瞑る。何時だってこの瞬間は極上の喜びだ。
ドロリとした口触りと僅かに酸味の利いた血液。喉越しも重厚。それなりの味だと評価する。
しかし、アリスに声を掛けられて快楽の世界から呼び戻され不快な顔をして彼女は答えた。
「いっ今一でしたわね!」
「嘘吐き」
本来なら上質な地にありつけた高揚感で小さなことなど気にすることも無いのだが。
何だか今日はアリスが自棄に腹立たしいと思うルテだった。
>>No5へ
- Re: 黒白円舞曲 第1章 10曲No4更新 12/1 9コメ求む! ( No.150 )
- 日時: 2011/12/20 06:55
- 名前: コーダ ◆ZLWwICzw7g (ID: geRA7/jA)
おお……ルテさんが出ていらっしゃる……私のテンションが高くなりました。
私の想像通りのキャラになっていて嬉しいです。ルテさんが喋ると私の心が高まって大変なことになります(笑)
血ぞ啜るルテさん……お嬢様の中にどこか不気味な感じが漂っています……
さて、これから一体どうなるのでしょうか?気になりますね!
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