複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
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黒白円舞曲  力及ばず閉鎖 申し訳ありません!
日時: 2012/04/08 15:14
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: r3A.OAyS)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=11520

初めまして,風猫と申します。
この他にファジーで一作、シリアス・ダークで二作執筆しています。
題名変更しました……
参照に掲載されているURLの作品も是非★


〜作者状況〜

執筆中【】
申し訳ありませんが執筆中に〇が付いている時は書き込まないで下さい。

$$$来賓のお客様$$$

弥生様(初のお客様です)
みう様(二次小説の方の小説も読んでくださった良いお方ですvv)
白哉様(勘違いを申し訳有りません)
右左様(あだるとちるどれんと言う天才的小説の執筆者です★)
ゆn様(私を尊敬してくれる数少ない人です♪)
逆憑 緑茶様(ねこうさぎだと分らなくてすみません!)
アビス様(隠れた名作家さんです^^)
メフィントフェレス様(何と言うシンクロ率……こんな方が!?)
かりん様(紙文作者じゃなくて神文作者なので自分を卑下しないで!!)
霊夢様(凄く儚い綺麗な小説をお書きになる方です)
葵様(二次小説のほうで凄くお世話になってます!!)
帽子屋様(才能は分けるほど持っていないので御免なさい!名前間違えすいません!)
朔様(えっと,凄い人です!絵も小説も書ける凄い人!!)
リオン様(妖怪物書いてる子です♪テンション高い子?)
琴葉様(小説宣伝書いてくれました^^)
ひふみん様(シリダクの方では,凄い良いセンスのオリキャラを造ってくれました!)
ヴィオラ様(オリキャラ投稿の第一人者です!)
玖龍様(マブ達の一人! マセガキでもある!!)
コーダ様(コアなお方なんでしょうか? 男性だったり??)
琴月様(妖艶な日本風作品が素敵なお人です)
一人称様(名前のセンスが素敵だぜ!)
水瀬 うらら 様(可愛らしい名前ですね^^そして、真面目な感じがします♪)
朱雀様(コメディ・ライトのホープです^^)
よもぎ餅様(オリキャラありがとう!)
狒牙様(BLEACHの件でいつもお世話になってます!)
暮来月 夜道様(Neon様です! カキコでは、高名ですね♪)
陽様(久々の常連になってくださりそうなお客様です^^)
チキン様(オリキャラ有難うございました!)
羽風様(キリカの方も着て下さって有り難いです!)
来良様(えっと、沢山勉強しましょうね^^)
ゆぅ様(ゴールデンタイムラバーと言う小説を執筆してるお方です!)
小林様(ヴァンパイアって響きから素敵ですよね?)
如々様(素敵小説の執筆者様です! マジ素敵小説ナウ!)
桜板様(私などとは違う女性らしい綺麗な小説を書くお方です!)


以上35名のお客様です

私の小説を覗いて天津さえ書き込んで頂き真にありがとう御座います。
又のお越しをお待ちしております。


皆様から頂いたオリキャラ


アビス様より アルベルト・スターク(人間A) >>65
葵様より アリス・クイーン(悪魔) >>70
ヴィオラ様より フィリクス・グリモワル(人間T)  >>72
リオン様より リオ・グレイシャ(霊族) >>75
コーダ様より ルテ・ルージュ(悪魔) >>102
逆憑 緑茶様より レノ・C・ラグルスI悪魔) >>113
朔様より ノルド・スティレイン(人間N) >>117
よもぎ餅様より ルロイセン・ル・ルー(人間X) >>118
狒牙様より メリー(霊族) >>128
暮来月 夜道様より オウィス・ナイトメア(人間M) >>137
チキン様より ファウスト=ギラ(悪魔) >>170
白月様より ディルス・ロンレッド(人間B)>>194
ゆぅ様より エギン・ナローズ(悪魔)>>195 


◆◆◆Story◆◆◆

>>11  1曲目「神々の起した嵐」更新
>>14  2曲目「悪魔は闇?天使は光?」更新
>>18  3曲目「魔界ラヴァーズ」更新
>>29  4曲目「ニャンニャン冒険記」更新
>>39  5曲目「宵闇に紛れて踊れ…………」更新
>>44  6曲目「天使進撃 Part1」更新
>>53  7曲目「天使進撃 Part2(弱き者よ)」更新
>>81  8曲目「天使進撃 Part3(リガルドVSアンリ)」更新
>>101 9曲目「天使進撃 Part4(激震)」更新

此処から、記載の仕方を変更します。
第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」
No1 >>121 No2 >>135 No3 >>142 No4 >>149 No5 >>162 The end
第一章 十一曲目「天使進撃 Part5(終幕)」
Part1 >>175 Part2 >>185 Part3 >>201 Part4 >>207


★★★キャラクタプロフィールや追加設定資料★★★

>>63  キャラクタプロフィール 掲載欄 S.24 3月2日更新
>>64  オリキャラ募集要項設置
>>148 朔様作 アンリ絵掲載!
>>164 長月様作 タピス絵掲載!
>>199 アンケート用紙掲載!
>>223 朔様作 セリス絵掲載!



###注意事項###
1.グロ要素やキャラクタの死亡等が多く入ると思います。苦手なお方は…
2.荒しや他者・私等への嫌がらせチェーンメールや宣伝等の小説と関係の無いレスは遠慮願います。
3.五つの小説を同時にこなしています。現実も社会人ですので何かと大変です。
更新が遅くなることはご了承下さい。
4.シリアス70% ライト30%位の割り合いにしようと思っています。
シリアス苦手な方は注意!
5.最後に作者状況の欄が執筆中の時は書き込まないで下さい。
決して感想を書いて貰うのが嫌だと言う事では無いですよ!!私寂しがりやです!!

以上です。


〜キャラクタ設定要項〜
名前【】
年齢【】
性別【】
種族【】
身長・体重【・】
容姿【】
性格【】
得意魔法属性【】
気術を有しているか【Yes/No】
気術名【】(有している場合)
気術の能力【】(有している場合)
詳細【】(過去や趣味など)
仮想CV【】

作者用です






_____//基本用語集

ⅰ.五大世界
天使と天神が支配する「天界」
悪魔と悪神が支配する「魔界」
他と隔絶した圧倒的な戦闘力を持つ生物「竜族」が住まう「竜獄」
肉体有る者達,世界と呼ばれる場所の者達が死んだ時逝く世界「霊界」
普通の人間や生物が住まう「世界」または「現世」
この五つを纏めて五界と呼ぶ。

ⅱ.バスターズ
主に生きた人間達が住まう世界で現世に現れた悪魔や迷い霊を調伏する魔法力及び気術を行使する戦士達。
彼等バスター達を束ねる組織を「アルティマニア」と呼称する。
アルティマニアの教主「ルーダー」は天界の神々と交信出来るとされる。
上位の存在として「十二星座」や「四天王」、「五亡星」と呼ばれる集団が居る。

ⅲ.魔法
天界では天力・魔界では魔力・人間界では自然力・霊界では霊力・竜獄では獄力を使う事により発動する。
詰り,世界に伝わる魔法により力の源泉が違う為使える魔法の性質等も多種多様である。
同じ炎の魔法などでも全く違う。
だが,全ての世界の魔法には基礎となる
「炎」「氷」「雷」「水」「風」「土」「光」「闇」と言う八大元素が有り
その元素と世界の者達個々の魔法力(霊力や自然力等)をそれに同調させて使うと言う
基本概念は同じ。


ⅳ.気術
魔法とは違う力。
武器や自らの体,他の生物や機械などに作用させる力だが魔法と違い決まった轍が無いのが特徴。
言わば戦士として力を得た者達が有する個々の特殊能力といえる。

ⅴ.特殊体
又の名をイレギュラー。
悪魔と人間のハーフ等本来交わらぬ地平に居るべき存在同志が交配して生まれる存在。
天使と悪魔のハーフはイレギュラーには含まれないのは本来天使と悪魔は同じだかららしい。
人間界「世界」には26人の特別指定イレギュラーが存在する。
それらのイレギュラーを悪魔達は「アルファベット」と呼んでいる。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜黒白円舞曲〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







黒白円舞曲 第1章 プロローグ


この世界は、五つの世界に大別されている。
人間の住まう世界と呼ばれる世界。
そして、人間が崇拝する天神達の住処、天界。
天使達と日夜地獄絵図に出てくるような残虐な殺戮劇を繰り広げているとされる悪魔達の住処、魔界。
そして、死した世界の霊達が集う霊界……
最後に,世界に住むべき住人でありながら、世界に住まうには圧倒的に強過ぎて、隔絶された竜族達の住まう竜獄。

この物語は人間達が闊歩する世界から始まる————





空は透き通る青、世界を飛び越え宇宙までも手で掴めそうなほどに晴れ渡っている。
そんな空を見下ろしたある草原、丈の低い草達が群生する野原。
ある男が、長大な剣を枕にして眠っている。
男は、黒のロングコートを着用していて黒の縮れた長髪で、顎は太めのガッシリとした感じだが、端整な目鼻立ちをしている。
男の名はイースレイ・ファルニカ。 アルティマニアに所属するバスターだ。
右と左の夫々の瞳の色が右は青…左は赤、その所謂オッドアイ故に、バスターになった当初は良く、周りから摘発されたらしい。 そんな事を無視して、前へ進んで此処まで来たと十年以上戦い続けて自負している。


空は青く澄み渡っていて宇宙まで届く様な気がした————


そよそよと頬を伝う冷たい風が気持ち良い。
男は左半眼を薄らと開く…その瞬間だった。
空の全てが深紅の赤となり彼の瞳に映る…


「やめろ」
イースレイは寝起き様に懇願するように必死に言う。
そしてまた目を瞑り嘘だと心の中で叫びながら再び目を開ける。
赤……赤…………——真っ赤!
大切な人の血の色————


脳内に過去がフラッシュバックする。

幸せだった過去,
祖父・祖母・両親・弟そして,あの日は多くの親戚が来ていて立食パーティを行っていた。
料理好きの母が元一流バスターだった父が狩りに出て魔法で仕留めた馬や猪の肉を捌き腕によりを掛けた料理を振舞う。
歌うのが好きな牧師の小太りの親戚の男の近くでイースレイは男の牧師の歌とは思えない歌声に酔う。
幸せな時間が……続くと思っていた。


酒が振舞われ皆が酔い痴れ大騒ぎになってきた頃だった。
突然,イースレイの目の前に居た老婆の首が吹き飛んだ。
それからだった。高速で移動しながら正体不明の存在は情け容赦なく親戚を家族を葬って行く。
美しい緑の草達が踊る外での立食パーティは一瞬にして血の朱に染まる地獄と化した。



——————俺はあの時、怖くて机の下に隠れていた


イースレイの大切な人々を全て切り刻み、惨殺した存在は生きた人間が視界に存在しないことを確認すると立ち止まった。


銀色の腰まで届く、長い髪、左目が白で右目が黒の左右不対象な瞳の色。
それにアシンメトリーするように、右が白で左が黒の双翼……


————天使なのか? 悪魔なのか……俺の存在に気づかないでくれ


人間ではない。
天使か悪魔であることはその姿から一目瞭然だった。
震える手を脈動する体を必死で押さえながら早鐘を鳴らす胸部を強く掴みながら念じた。
頼むから気付かないでくれ…大切な人全てを奪ったんだから自分だけは殺さないでくれ。
思えば唯,怖かったのだろう……唯、生き延びたのだろう。
誰だって、死にたくはない。大切な誰かが死んだって自分だけは生き延びたい。

「そこ……生存者が居るな」


抑揚に欠ける天使とも悪魔とも付かぬ白と黒を貴重にしたローブを着た声から察するに男。
察知された……そもそも、一流のバスターである父が反応も出来ない様な化物が気付かぬ筈がない。
 怖い! 怖い……怖い怖い怖い! 心臓が更に強く限界近くの強さで鼓動する。


 俺は  俺は   此処で死ぬ……いや,死んでも良いだろ……  一瞬さ,痛くない……


 大粒の涙が頬伝う。
 一瞬で死ねるんだから痛くなんてないって、心に言い聞かせても生きたいと言う本能が、生きろと未練は無いのかと喚くのだ。


「人間……私が憎いか?」

——え?

「憎いか?」


————憎い  憎いに決まってる! 殺してやる……殺して!!!


「ならば、強くなって、私を殺して見せろ!」


 何故、生かされたのかは、理解できない。
 然し、イースレイは天使とも悪魔とも付かぬその存在の気紛れか……それとも気紛れに見えるだけで大いなる目的があるのかどちらにしろ生き延びた。
 生かされた。 今もイースレイの胸の中に残る故郷の光景はあの血の海だけ。




「うおぉぉぉ!」


 空すら引き裂くような雄叫びを上げ大地を割るほどの全力で長剣を振るい過去の赤き記憶を切裂く。
 ハァハァと呼吸を荒げさせ深呼吸して心を落ち着かせ一頻り目を閉じ目を開く。
あの赤い空は消えている。 ホッと安堵の溜息を吐き荷物を背負い目的地へと歩き出す。


悪魔祓いとして……舞い込んだ依頼の場所へと———



今日中には依頼をくれた村に付く。
男は足早に悪鬼達に苦しむ者達を救いたいが故に歩く。
今は日の傾きから朝の十時位か。
今日の夕方には村に到着し明日には悪魔の根城に攻め込み調伏する。
刻一刻と被害は増える筈だ。



————村が見えてきた。



夕方,予定通り村へと到着する。
悪魔がそれも資料の上では上級悪魔が居る筈なのに村に行き着くまでに
使い魔一匹にも遭遇しないとは妙だと思いながらイースレイは村へと足を踏み入れた。



「迷い猫みぃ〜っけ」

そんなイースレイを遠く人間の視力では
存在を認識出来ないような場所から監視する何者かが居た。




Fin


Next⇒第1章 1曲目「神々の起した嵐」へ

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No2更新 キャラ&コメ求む! ( No.139 )
日時: 2011/12/01 13:02
名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: ZEuRnT3o)

リガルド死なないでぇええええぇ

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No2更新 キャラ&コメ求む! ( No.140 )
日時: 2011/12/01 22:00
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: rR8PsEnv)

コメント及びオリキャラ有難う御座いました!

狒牙様へ

テンション上がるとか♪
私もテンションが上がってしまいますよ(笑

イースレイのあれは本位じゃなくて場の空気を読んだ発現ですね。 
まぁ、奴は主人公らしい熱血漢な一面もありますが速くそれを書きたいです♪
そうですねぇ^^ リガルドはくじ運が悪いという設定が有ったりvv

 
暮来月 夜道様へ

Neon氏! こちらでもよろしくです^^
いやぁ、使い易そうなキャラを有難う御座います!
気術の能力が純然とした身体能力の強化とは……素敵です!!
ありがとうございました!


葵へ

私は、キャラを殺す人に見えますか?

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No2更新 キャラ&コメ求む! ( No.141 )
日時: 2011/12/02 14:16
名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: ZEuRnT3o)

いんや?
けど、死フラが見えたら案外あっさり殺しちゃうからさ……
いや、死フラが見えた者こそ逆に殺されないのか……?←

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No2更新 キャラ&コメ求む! ( No.142 )
日時: 2011/12/19 20:58
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: rR8PsEnv)

黒白円舞曲 第1章 10曲目「天使進撃 Part5(援軍)」No3

    「見えましたわよお姉様! シャングリ・ラです!」

     
  東端。 北東の地。
  尋常ではない数の悪魔の集団があった。 それらは、先陣を切る幹部と思しき四人に追従する。 唯、声一つ上げずに。 
  そんな中、四人は、賑やかに言葉を交わす。
  派手な装飾の赤い衣装を身に纏った黒みかかった赤髪と朱色の釣り眼が特徴的な女性が、遠く彼方を指差し声を上げる。
  彼女は、ルテ・ルージュ。 この女は、吸血鬼と言う特殊なカテゴリーに類され面子の中でも特別に眼が良い。
  常に逸早く、遠くにあるものに気付き危険等を知らせる役割も担っているのだ。
  そんな、彼女の言葉を聞き一歩先を走るリーダーと思しき女が、急ぐように命じる。
  その女の命令どおり集団は、自分の足である馬達の走行速度を上げた。
  
    「やーっと見えてきたわねぇ! やっばぁぁいみたいーだから、全力で行くわよおぉ!」


  ルテの言葉を聞き、指揮官らしき女は言う。 昔の同胞、ガデッサの事を思い出して。
  女は、美しかった。 丁寧に手入れされた赤紫色のツインテールからのぞく白いうなじ。
  シャープかつ端正な同性にも好かれそうな顔立ち。 翡翠色と琥珀色の美しい切れ長のオッドアイ。
  そして、魅惑的な唇とスタイルの良さを隠さない軽微な鎧は、限界まで女らしさを引き立てている。
  魔界の北端に居を構える流麗の女王と称される最強クラスの悪魔。
  彼女の名をオフィーリア・デルシオン。 
  ガデッサとの交渉を飲み危険が迫っていることをウルブスの打電により察知し援軍を送ったのだ。
  要請から五時間近くが過ぎ、ようやく彼女達はシャングリ・ラの目前まで迫ってきた。
  先ほどまでは馬の体力に気を使い少しペースをダウンさせていたがすでに距離はほとんどない。
  馬の体力を時間を優先させる。 砂煙を撒き散らしながら万を越える大軍勢が不毛の大地を激震させた。

「行くぞおぉ! 貴様等! これは、憎悪すべき天使どもとの聖戦である! 
愚かしく脆弱な奴等だ! 我等ならば容易く蹴散らせよう! 蹂躙せよ! 圧砕せよ! 我等は圧倒的な神の刃なり!」

  一分が過ぎ二分が過ぎ見る見る間にシャングリ・ラと軍勢の距離は確実に狭まっていく。
  そんな中、先駆する四人の面子のうち、唯一の男性が叫ぶ。 
  追随する部下達の様子を一瞥にして戦闘が徐々に近付いていることに戦慄している者達が居ることを確認したのだ。
  背中に背負う巨大な戦斧。 それを背負うにはあまりにも細身の褐色肌の大人しそうな紫の瞳と青のモヒカンが特徴的な男だ。
  オフィーリアが全幅の信頼をよせる智勇に優れた北端最強の男性戦士。 ブルスマン・ハードウェイ。
  オフィーリアの治める地、カントールにこの人ありと称される攻守の要である。
  その圧倒的強者の貫禄を十分に感じさせる深く力強い恫喝は、戦士達に力を与えた。
  死の恐怖すらこの男が居れば吹き飛ばしてくれる。 彼の細い背中はそれ程に大きく見えるのだ。
  
「ブルスマン、やっぱアンタは良い男よねえぇぇ!」
「私は、唯、私の役目を果たすだけであります」

  常に、オフィーリアの右腕として右側を走るブルスマン。 その背中を彼女は、音が出るほどの強さで何度か叩く。
  そして、鼻高々に彼を褒め称える。
  彼は、それに対して別段、勝ち誇ったわけでも何でもなく唯、憮然とつぶやく。
  唯、自分の信念と立場を弁えた行動するのみ。 彼の瞳は強い意志が滲んでいた。  
  
  一方、二人のやり取りに右端の方を走っていたもう一人の幹部は、妬ましい目を向ける。
  かなりの童顔の茶髪のロングストレートと茶色い快活そうな大き目の瞳が特徴的な女だ。 
  名をアリス・クイーン。 
  ルテとどちらがオフィーリアに相応しいかという名目で常に喧嘩を売るほどにオフィーリアに強い憧憬を抱いた女性だ。
  オフィーリアはその美貌と圧倒的な戦闘力、気さくさから女性人気も高い。 
  アリスとルテは、そんな信者達の中でも熱烈な信者だ。
  実は、彼女達と同程度の戦士は多少ながらいる。 
  少なからず居るそんな強者から彼女等が側近に抜擢され最大の理由は、忠誠心なのだ。
  最も、精神年齢が上であり冷静さのあるルテは、アリスの勝手な嫉妬や敵意など意にも介さないのだが。
  彼女は叫ぶ。 もし、地面に足が付くようなら地団太を踏んでいることだろう。

「があぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 何様!? ブルスマンってばマジ何様なのよ!?」
「…………うるさい女だ。 ギャーギャー喚くと舌かむぞ? お前、下手なんだから」

  彼女の嫉妬丸出しの悪態をブルスマンは、いつもいつも飽きないなと嘆息しながら冷淡な返事で軽くいなす。
  その態度が気に入らなかったのかアリスは益々苛立ち罵倒を繰り返す。
  いつまで構っていてもおなじだと嘆息し彼は、彼女をそれ以上相手にはしなかった。

「何なのよ!? 無視!? こんな可愛い女の子を無視すんのかリア充かてめぇ!?」
「お姉様、シャングリ・ラの北門に天使の小隊を発見しましたわ。 どうやら、恐ろしく強そうなお方がお一人」

  ルテ以外の面子でもシャングリ・ラの全容が完全に把握できるほどの距離に到達するまでの十分間。
  アリスは、捲し立て続けた。 
  そして、ついには、鬱陶しくて無視されているということにようやく気付き、無視されたことにすら彼女は腹を立てた。
  流石に唖然としてブルスマンは小さく、お前は子供かと心の中で漏らす。

  一方、そのとき、ルテの声が響き渡る。 どうやら、新たなる情報を察知したようだ。
  控えの天使の軍勢の中に尋常ではない戦闘力を備えた戦士がいることを認識したのだ。
  それは、歴代の戦士、現天使軍最強の男、ハリー・ディロードに他ならない。
  幹部勢、しいては戦士全体の中でハリーと面識があるのは、元天使であるブルスマンとオフィーリアの二人だけだった。
  そのオーラの強さと感覚を感じて二人の全身が泡立つ。 ハリーの存在を悟ったのだ。
  更に、距離を詰めると彼らの目でも鮮明にハリーの姿を確認できるようになる。
  
  壮年の深みのある顔立ち。 浅黒い肌。 恰幅の良い体つき。 そして、山のような巨体。 間違えようもなかった。

「あららぁ、あらあらあらあらっっ! 本気ってことみたいねえぇぇ」
「お二人はあの男のことを知っているのでございますね?」

  冷や汗を流しながらオフィーリアは、うそぶく。 
  表情に余裕はなく今の自分で勝てるかどうか。 そんな値踏みをしているようだ。
  彼女の表情を敏感に察知し少しでもリラックスさせたいと思い会話をしようとルテが言葉を投げかける。
  そんな彼女の言葉にオフィーリアは、一瞬硬直し口を濁す。
  しかし、何れ知ることだと考え直し彼に対して知っていることを全て話す。
  現天使軍の指揮官であり最強の男だということ。 
  それだけでは無く、騎士道に溢れながらも狡猾さも持ち合わせた陰陽併せ持った厄介な人物であることも。
  彼の実力の一端を言葉という形で聞き彼のことを知らない彼女達は、瞠目する。
  唯の言葉だから実感が湧かないなどと言うことは、実物が直ぐ近くに居るのでありえなかった。

「なるほど……つまり、つまる所、あいつが天使軍で最強ってことでしょ?
あれで五番手とか六番手とか言うんだったら本当の絶望だけど……まだまだ何とかなるって逆に思えてきたな!」
「そうですわね! 天使というのはどんな化物共かと実は、過大評価していましたの。 大したことなくて安心ですわ!」

  だが、二人は、今、戦うというのに戦慄を覚えていてどうすると己を叱咤する。
  十分に背伸びして強がってみせるその姿に、オフィーリアは「馬鹿ねえぇ」と小さくつぶやく。
  そして、馬を全力疾駆させ一気に跳躍しハリーの元へと巨大な槍を叩き込んだ。
  
「久し振りねえぇぇ? ハリー司令官様!」
「…………なるほど、貴様も我等に反旗を翻すか!?」

  数人の兵士たちが吹き飛び肉片と化している中。 狙い撃ちされたはずのハリーは、ほぼ無傷だった。  
  彼は、光の防御呪文“シルアラド『封滅光壁』”を咄嗟に発動させ難を逃れていたのだ。
  手傷を負わせれればと多少なりと期待していたオフィーリアは、小さく舌打ちして新たな槍を召還する。
  そして、槍の先端を彼に向けて宣言する。

「あーったりまえでしょー——————!? これは、悪魔全体と天使の戦争なのよおぉぉぉ!」
「なるほどな。 だが、理解すべきだ。 お前等など天使から見ればまだ、成熟していない赤子に等しいということを」

  眉を少し吊上げ怪訝そうな顔でハリーは、オフィーリアの言葉に答えた。
  それは、ある種、傲慢に見えるが現実的な戦力差と長い年月により培われてきた技術の差を加味すれば当たり前のことだ。
  しかし、そんな至極全うな意見に彼女は、沈黙するほど馬鹿でもお人よしでもない。
  彼女は、更に続けて叫ぶ。

「だーっからあぁぁぁ! 何だってんだよぉぉぉ!? 世界がてめぇら中心にまわってると思ってんじゃねぇよおぉぉぉ!」

  彼女が、力強くそう、叫んだ瞬間、ハリーは、話し合いでの解決は不可能と判断し巨大な剣を顕現させる。
  その横を、ようやく追い付いたブルスマンたちが駆け抜けていく。
  瞬間、二人の目が交錯し無言の会話がかわされる。
  ブルスマンは、理解した。 彼女は、ここは私に任せろと言っているのだと——————

「ご武運を」
「そっちは、頼んだわよおぉぉぉん」

  ハリーの戦闘スタイルと気術の能力を考えると数を増やすのは得策ではない。  
  それを理解しているブルスマンは、一緒に戦うとオフィーリアの一見無謀な特攻を見逃せないルテたちを制しながら疾駆する。
  痛みを歯噛みして。 絶対、彼女が生きて帰ってくることを祈って。

「良いのか? 死ぬぞ?」
「ばっかじゃないのおぉぉぉ!? 最初っから殺し合いでしょうがあぁぁぁぁぁぁ!」

  冷淡な声でかつての同士を慮るハリー。
  そんな彼の行為が果てしなく腹立たしくてオフィーリアは苛烈なる力を爆発させた。
  唯、それだけで数人の天使が吹き飛ぶほどの力を…………
  


   戦いは、最終局面へと移行する。


⇒No4へ
  
   

Re: 黒白円舞曲〜第1章〜 10曲No3更新 12/6 コメ求む! ( No.145 )
日時: 2011/12/12 19:06
名前: 葵 ◆m75LyNJ4TQ (ID: ZEuRnT3o)

流麗の、の下りで流麗のヒステリアを思い出したのは私だけ……?←


というか……アリスが出てちょいと高ぶってますw
アリスねぇ……やはり彼女は精神年齢が低「黙れ!」

……という訳で怒られました←


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