複雑・ファジー小説
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- たか☆たか★パニック〜ひと塾の経験〜【少し更新・まだ保留…】
- 日時: 2012/09/03 15:22
- 名前: ゆかむらさき (ID: AfHZgVrd)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10497
みなさん こんにちは^^ ゆかむらさき といいます。
ここには投稿するのは初めてです。どうもヨロシクです。
私は趣味で ヘタクソではありますが、漫画を描いています。
その漫画がなんとか完成しましたので 小説にしてみました。
たくさんのひとに読んでもらえると嬉しいです^^
では……秋原かざや様に作っていただいた 素敵な宣伝文から始めさせていただきまス♪
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私の名は、武藤なみこ。中学二年生。
学力は、ガッカリするほど落ちこぼれ。
恋愛経験、まるっきしナシ。
親友、ナシ。
そんな彼女がひょんなことから向かうことになったのは……。
「えっ!? 塾ぅ〜!!」
バス(ワゴン車)で30分揺られてきたのは、『真剣ゼミナール』。
そこで、新たな出会いが待っていた……。
「……可愛い…………」
隣の席になった、そばかすの可愛い男の子。
「高樹純平。よろしく」
「いい気になってんじゃねーよ、ブスが」
外面優等生の、いじめっ子。
松浦鷹史。
「た〜かしクン♪」
香水の香り漂うオトナな、徳永静香。
「ねェ……今日、鷹史クンと一緒にバスにのってきたコって、ナニ?」
夕暮れ時のムード溢れる公園のベンチでの告白!?
旅館で浴衣で、枕投げ?
かすかに触れた、あの子の唇……。
イマドキの中学生が体験する、ドキドキの塾ライフ!
【たか☆たか★パニック〜ひと塾の経験〜】
「きっと……松浦くんも僕と……同じなんだな……」
「こいつと寝ると、赤ちゃん並みによだれ垂らしまくるから、気をつけたほうがいいぞ」
「痛い! ダメッ! そんなコトしないで! 松浦くんッ!」
「よかったァ〜。恋人じゃなかったのネ〜♪ じゃあ静香、まだ脈アリだね♪」
「僕のいうこと……きかなきゃ、だめだよ…………」
果たして、彼女の運命は!?
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☆ドキドキ塾日記★
はじめに
>>1
イメージ・ソング
>>299
塾一日目(武藤なみこちゃん 主人公)
>>2-14
塾一日目(松浦鷹史くん 主人公)
>>15-23
塾二日目(武藤なみこちゃん 主人公)
>>24-27 >>32-40 >>44 >>46-49
塾三日目(武藤なみこちゃん 主人公)
>>50-55 >>57 >>61 >>65-68 >>71-72 >>75-76
塾三日目(高樹純平くん 主人公)
>>77 >>80 >>82-84 >>87 >>91 >>94-96 >>99-100 >>109 >>114 >>117
塾三日目(武藤なみこちゃん 主人公)
>>119-121 >>123 >>127 >>136 >>141
キャラクター紹介
>>148 >>155-156 >>161
キャラクターイラスト(ゆかむらさき・作)
>>306-308 >>313
キャラクターイラスト(ステ虎さん・作)
>>323 >>348
日曜日(武藤なみこちゃん 主人公)
>>162-163 >>165 >>169 >>173 >>176 >>182
日曜日(武藤なみこちゃん 主人公)・裏ストーリー(第一話)
>>187
裏ストーリー(第二話〜第十二話)
>>188 >>190-192 >>200 >>206-208 >>219 >>221 >>225
日曜日(本編・復活!!)
>>230 >>232 >>241 >>254 >>260 >>268 >>276 >>281 >>288 >>290 >>292 >>296 >>300 >>309 >>314 >>321 >>324 >>335 >>341 >>347
裏ストーリー(高樹純平くん 主人公・第一話〜第三話)
>>353-355
インタビュー(松浦鷹史くん・高樹純平くん・武藤なみこちゃん・蒲池五郎先生・黒岩大作先輩)
>>193 >>231 >>291 >>311
お客様(モンブランさん)による登場人物紹介欄
>>216
トレモロさんによる松浦鷹史くんのCV
>>303
- 塾になんかに行きたくない! ( No.4 )
- 日時: 2012/10/07 23:03
- 名前: ゆかむらさき (ID: ZD9/Y1q1)
4>
それにしても“優しくて、いい子”、って————
あたしはお母さんの言った言葉に全く納得いかず、ブツブツ一人ごとで文句を言いながら自分の部屋がある2階へ上がった。
『毎日通う、ってわけじゃないんだから、そんなに構えなくても大丈夫よう! ちょっとばかし遠いけれど、いい評判の塾らしいわよ』
塾、って聞いたら構えるに決まってるでしょ……。だって! 塾っていう響きから“猛勉強”を連想するんだから。何を言ってるんだ、このお母さんは……。
いくら週に2回だけだからって、せっかく学校帰ってきてからもまた勉強しに行かなくちゃイケナイだなんて……。
(————やってらんないよぉ、もおっ!)
さっきお母さんに反論できなかった悔しさを120%込めてベッドの上に向かって脱いだ制服を投げ捨てて薄ピンク色のタンクトップとパンティ姿になった。
そういえば“裸になると開放的な気分になれる”ってテレビかなんかで聞いた事がある。
コレは……うん、言われてみれば確かに気持ちがいい、かも。
このイライラした気持ちを少しだけでも落ち着かせようと、ついでに「うー……ん」と伸びをした。
「ぎゃ!」
最悪……。窓越しに松浦くんと目が合ってしまった。
実は、隣の家に住んでいる松浦くんの部屋のベランダにある大きな窓とあたしの部屋のベランダにある大きな窓が向かい合わせになっていて、着替える時にきちんとカーテンをしないと、お互い丸見え状態……という厄介な家の作りになっている。
————解放しすぎた!!
あたしは慌てて隠そうとした。上か下か、どっちを隠したらいいのか分からなくって戸惑っていたら、向こうから“あっかんべー”をされ、シャッ、とカーテンを閉められた。
よりにもよって、あんな嫌な人と一緒に嫌な塾に……。
結局イライラはさらに募る一方。あたしはさっきお母さんに言われた『仲良くネ』の言葉を思い出した。さらに『優しくていい子だから』の言葉まで思い出してしまった。
どこが……。松浦くんは外ヅラがいいだけで、本当の性格はめっちゃいじわるなんだよ————
- 塾になんかに行きたくない! ( No.5 )
- 日時: 2012/10/07 23:04
- 名前: ゆかむらさき (ID: ZD9/Y1q1)
5>
いつもなら夕ご飯の時間になるまでベッドの上でゴロゴロとくつろいでいられた身分だったのに、
「初日がカンジンよ!」
と、あたしの部屋にノックもしないでズカズカと入ってきたお母さんに、読んでいた途中の漫画を強引に本棚の中に片付けられ、ベッドから引きずり下ろされた。
まだ心の準備が整っていない、ってダダをこねても、やっぱり通用しなかった。
「へりくつばっかり言ってんじゃないの!」
バスが来る10分も前なのに、こんな寒空の下の玄関の外に追い出され、ドアを閉められた。
「……へりくつだって。だっせ」
あげくの果てに、あたしの家の前の道路でサッカーボールを蹴って遊んでいる近所の小学生の男の子に思いっ切りバカにされた。
(恥ずかしい……。もうやだ……)
余計に塾に行く気が失せたあたしは、歯ぎしりをしながら足元に転がっていた小石を力を込めて踏ん付けた。
6:30になり、バス(……って言っていいのかワゴン?)が来た。バスが来たと同時に、松浦くんも相変わらず無愛想な顔で家から出てきた。一応これから(しばらく?)お世話になる身なのだし、何か一言、挨拶みたいな事を言っておいた方がいいのかな……と思って、『今日から、よろしくね』と言おうとしたら、後ろから彼に背中を押され、「さっさと乗れ」と急かされた。
モタモタしてるとまた松浦くんに何か言われそう……。
パッと乗り込んでバスの中を軽く見渡してみた。どうやら10人くらい乗れる程の小さなバス。あたしと松浦くん以外の生徒はまだ乗っていない。多分これから塾に向かうまでに何人か乗せていくのかもしれない。
そういえばさっきお母さんが『塾までは遠い』だとか何とか言っていた。到着するまで一体何分くらいかかるのか分からないけれど、遠い塾までバスの中で松浦くんだけを相手に過ごすのはとても気まずい。とにかく1人だけ、男の子でも女の子でも誰でもいいから生徒を乗せていって欲しい、と願いながら運転手さんに頭を下げた。
「お……おねがいします……」
運転手さんはあたしの顔を見て優しい笑顔でニッコリと微笑んでくれた。
(しょうがない……。頑張る、しかないもんね……)
とりあえず今日第一にわたしに優しく接してくれた、この運転手さんの真後ろの席に座った。
ひんやりとした、まるであたしの今の心境と同じような座席の硬いシートがお尻と一緒に背中を包み込む。
(それにしても松浦くん……どうして頭いいのに塾になんかに通ってるんだろう)
あたしの後からバスに乗り込んできた松浦くんをチラッと見た。
「!」
(えッ!! なんで!?)
何故か彼は他にもいっぱい席が空いているのに、わざわざあたしの隣にドカッと座ってきた。
実はさっきモロに下着姿を見られているからめちゃくちゃ気まずかったりする。
まるで時代劇に登場する悪代官の様に隣のシートでのけ反り返って長い足を組んでいる松浦くん。何も言葉を発してこないところが余計に気まずい。
(あ、あっちに座ればいいのに……)
彼から逸らした視線をガラガラに空いている周りの席を指すように見渡している時、ハッと気付いた。
(いやがらせか————!)
次第にムカついてきた。
- 塾になんかに行きたくない! ( No.6 )
- 日時: 2012/10/07 23:05
- 名前: ゆかむらさき (ID: ZD9/Y1q1)
6>
バスが動き出した。バスのスピードが上がると共に、あたしの鼓動のスピードも上がっていく————
(何か……話した方がいいのかなぁ)
しかし、こんな人に何を話したらいいのか分からないし、タイミングも掴めない。
すると隣に座っている松浦くんは、あたしの目も見ずに自分の前髪を指先で触りながらボソボソと話し出した。
「ああ、言っとくけどこの塾、原黒中(あたしと松浦くんの通ってる学校)俺とおまえしかいないから。ちなみに、このバスに乗る生徒も2人だけだ」
そう言って、やっとあたしの方を見たかと思ったら、
「————ってゆーか、おまえ友達いねぇから関係ねーよなァ、ハハ」
と、小バカにした目をして笑い出した。
「——っ!」
本当の事だから言い返す事ができなくて、あたしはくちびるを噛んで我慢した。
悔しいけれど……こんな事はよくある事。彼に会う度毎日の様に言われている事だけど、よりにもよって初日からこんな目に遭うとは……。ただでさえ塾に通う事になっただけで憂鬱なのに————
あたしはムシャクシャしながら運転手のびみょうにハゲた後頭部を見ていた。
- いざ!出陣! ( No.7 )
- 日時: 2012/10/12 22:12
- 名前: ゆかむらさき (ID: ZD9/Y1q1)
7>
☆ ★ ☆
「はい、着きました。では松浦くん、武藤さんの事お願いしますね」
「……分かりました」
そう返した松浦くんの顔には明らかに『めんどくせぇなぁ……』と書いてあった。
30分もかけて、やっと到着した塾。
“真剣ゼミナール”と縦書きに書かれた小さな緑色の看板が塾の入り口の横にひっそりと立て掛けてあるコンクリート打ちっ放しの質素な3階建てのビルだ。
「あっ……ありがとうござい、ました」
あたしは運転手さんに深く頭を下げて、バスを降りた。
松浦くんは彼に軽く会釈をして降りてから、あたしをジロッと睨み、舌打ちをした。
(松浦くんが塾になんか通ってなかったら、こんな目に遭わなくて済んだかもしれなかったのに……)
————舌打ちしたいのはこっちの方だ。
「————ふぅ」
疲れた……。
塾の中に入る前から松浦くんのせいで、かなりの精神的ダメージを負った。
お母さんの言っていた通り、長い……とても長く感じた道のりだった。
ただし、これだけは……“松浦くんが一緒だから安心”は大間違いだ。だって、想像を超える程、心地が悪かったから。
(ここまで遠くに来ちゃったら、全く学区違うなぁ……)
塾の入り口の脇にある自転車置き場が騒がしい。
どうやらここに通うあたしと松浦くん以外の生徒達の殆どは、自転車で来ている様だ。 自転車で通う人が多過ぎて、自転車置き場の中に収まらなかった自転車は駐車場のスペースを利用して停めている。バス1台……あとは先生達の車が3、4台しかないわりにはとても広い駐車場。そして狭過ぎる自転車置き場。
(へんなの……)
思わず塾の3階辺りをふっと見上げた時、気が付いた。
(え? パブ? ……ヤード? な、なんだコレ?)
目を凝らして見てみると、壁に1部(2部?)消えかけたピンク色で書かれた文字が残っている。それこそ塾にはとても似合わない、赤いハイヒールとキスマークのデザインが添えられて。どうやらこの塾は、塾になる前にオトナの通う怪しげなお店? だった様だ。これで駐車場がやけに広い意味がやっと分かった。でも————
(やっぱり、へんなの……)
あたしは余計にそう思った。
バカにして笑っただけで、この塾に通う事が今日初めてのあたしの案内をしてくれる気配りなんて、これっぽっちもない松浦くん。案の定、彼はサッサと一人で歩いて塾の中に入って行ってしまった。
(こんな人と毎回バスで行き帰り合計1時間も一緒だなんて……)
あたしは、これまで腹の底に溜まり続けた彼へのいかりを絞り出す様にため息をついた。
- いざ! 出陣! ( No.8 )
- 日時: 2012/10/08 09:15
- 名前: ゆかむらさき (ID: ZD9/Y1q1)
8>
自動ドアをおそるおそる抜け、あたしは塾の中に入った。
しかし入ったはいいものの、自分の教室がどこなのか分からない。
自動ドアから続々と塾の生徒が入ってきて、あたしを通り過ぎていく。“みんな学校が違うから”、ということもあって、なかなか思い切って声を掛けることができない。
(えっと、だれか……女の子で……親切そうで……ひとりのひと————)
目だけをキョロキョロとさせながら通り過ぎていく人たちの中から選んでいた。まるでクローゼットの中から自分に合った“地味な服”を一着ずつ手に取って探しているかの様に————
「ねぇ、君」
たぶん男の子の声だ! 突然、後ろから声を掛けられビックリしたあたしは、反射的に振り返りもしないで逃げてしまった。男の子だけは勘弁して欲し————
……だなんて文句なんて言ってる場合じゃないのに。せっかく教室の場所を聞けるチャンスだったのに、結局あっさりと逃してしまったあたし。
しかし幸運な事に、廊下を走って逃げた所に偶然にも職員室を見付けることができた。できた……とはいえ、いくら職員室だって入るのはもちろん緊張……なのだけれども、こんな所でずっと一人で立ち止まっていたって何も始まらない。うかうかしてる間に講習が始まる時間がきてしまう。あたしは思い切ってドアを開け中に入り、たまたま近くにいた先生に背後から尋ねた。
「あのっ! 今日からこの塾に入った二年生の武藤なみこっ、でっす!
えっと、その……あたし……教室が分かりません、くて……」
あたしのヘンな日本語に振り向き、笑いを堪えながら対応する先生。そして恥ずかしさを堪えるあたし。いけない……ちゃんと聞いておかないと……。
「しつれいしました……」
ホント失礼極まりない態度だ。これじゃあ第一印象最悪だよ……。
ため息をつきながらドアを閉めたあたしは先生の教えてもらった通りに廊下を渡り、階段を昇った。
あたしたち2年生クラスと1年生クラスの教室は2階になっていて、AクラスとBクラスの2クラスに分かれている。
あたしはBクラスになった。
聞いたところによると松浦くんはAクラスらしく、彼と違うクラスになれたことは幸いといえば幸いなのだが、知らない人達ばっかりの中にいきなり飛び込むのには、かなりの勇気が要る。
教室のドアを開けると、学校の教室よりも少し狭く感じるくらいの部屋の中に20人くらいの人達がいた。多分学校が同じ子同士なのだろう。何グループかに分かれた“仲良しグループ”が、机の周りや壁にもたれて楽しそうにおしゃべりをしている。中には静かに一人で本を読んでいる子もいるけれど、バッチリと“わたしに話し掛けないでくださいオーラ”を出している。
手の平に指でなぞった“人”という字を何回も口に入れながらドアの前で立ち止まっていたら、さっきあたし達が乗ってきたバスを運転していた、びみょうにハゲの先生が入ってきた。
彼があたしの肩にそっと手を置き、
「始めるぞー」
講習がいきなり始まり出した。
あたしは慌ててぐるりと教室の中を見回して、たまたま目に入った空いた席に着いた。
講習が始まると、さっきまで賑やかだったはずの教室の中がまるで空気が変わったように静かになった。
居眠りなんかしたら絶対バレるなぁ……。
————なんて、みんな真剣な顔をして先生の話を聞いている中、あたしは一人でくだらない事を考えていた。
「はい、テキスト58ページ開いてくださーい」
講習の大切な時間をムダな時間をとって費やさないためなのか、新入生の紹介はなく授業が進まれていく。
面倒臭い事をしなくて良かったはずなのに、あたしはドキドキしていた。
なぜかというと————
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