複雑・ファジー小説
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- 『あ』から始まる物語
- 日時: 2013/02/24 22:19
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: 49KdC02.)
一年ぶりの\復活/
どうも、結城柵あらため結城柵です(変わってない)。
とりあえず完結させます。はい。
[あばうと]
この小説は五十音を頭文字に使ったタイトルを使用したSSを書いていきます。
つまり、短編集になります。
また、微エロ、微グロ、シリアス、コメディ、反道徳的描写等がごった煮になっています。
まだまだつたないところは多々ありますが。暖かく見守ってください。
[こんてんつ]
目次前半(『あ』〜『の』) >>3
目次後半(『は』〜『ん』) >>46
一年ぶりに見たら参照900突破してて鼻水吹いた。嬉しすぎて。
ゆったり更新ではありますが、引き続きまたーり読んでいただけたら嬉しいです。
では、ごゆるりと。
- Re: 『あ』から始まる ( No.33 )
- 日時: 2012/01/05 16:42
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: 無理矢理。
【月の音】
しゃらん、しゃらん。
どこかから聞こえる鈴の音。
覚醒しきらない意識の中、黄金の光と鈴の音、それから人の気配に、ぼんやりと目を開けた。
「もう、泣かないで…」
鈴の音が、止んだ。それと同時に聞こえた声に、目を見開く。
懐かしい声。ずっとずっと、聞きたかった声。
顔をあげようと、手を伸ばそうとするのに、体が自由に動かない。
「お月様に、呼ばれたから、私はいかなきゃいけないの」
泣きそうな、君の声に、僕の視界も揺れる。
ああ、待って、行かないで。
叫びたいのに、僕の声帯は、叫び方を忘れたかのように掠れた声しかでない。
「でもね、ずっと見守ってるから」
しゃらん、しゃらん。
その言葉と共に、遠ざかる鈴の音。
ああ、それはきっと、月の音。
『つ』きのね
2012.01.05
- Re: 『あ』から始まる物語 ( No.34 )
- 日時: 2012/01/06 15:59
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 0a987INq)
- 参照: こっちもタメでいかせて頂きます。
いや、全然無理矢理なことはなかったよ!
私は好きだよ、こういうのー
かぐや姫みたいな感じ?
たしかに結構切ないよね、かぐや姫って(´・ω・`)
次の更新も楽しみに待ってるよ!
- Re: 『あ』から始まる ( No.35 )
- 日時: 2012/01/06 21:11
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: コメ返しはまた後で。
【手を繋いで】
夢、なんだろう。
去っていく、大きな黒い背中を、私は必死に追いかけていた。
行かないで、と泣き叫んでも、背中は去っていく歩みを止めようとはしない。
現実の私は誰の背中なのかは、曖昧なまま。夢の中の私は、どうして、なんで、と混乱したまま、泣き叫んで必死で追いかけた。
大きくて冷たい、だけど優しい、その手を握ろうとしても、届かず、べしゃりと転んだ。
「っ…て…、手を、繋いでよっ…!前みたいに…、一緒に、遊ぼうよっ……」
現実の私は、相手が誰なのか曖昧なまま。夢の中の私は、しゃくりをあげながらも叫ぶ。
私の叫びに、振り向いた顔は今にも泣きそうに歪んでいて。あぁ、追いかけてはいけないのだ、と悟った。
現実の私は、そこでやっと、これが夢なのではなく、幼い日の思い出なのだ、と理解する。
夢…もとい記憶の中の私は、ぼんやりと去っていく背中を見つめる。
あの時、無理矢理にでも手を繋いでいたら、何か変わっていたのだろうか?
以前はよく考えていた疑問を、再び頭の隅に押しやり、なかったことにした。
『て』をつないで
2012.01.06
- Re: 『あ』から始まる ( No.36 )
- 日時: 2012/01/07 08:02
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: コメ返しはまた後で。&雑談コメはお控えください。
【扉】(紅蓮の流星様提供)
風が吹いて、自然と体がふるえた。都会の夜は寒い。田舎の夜も寒いけれど。
あまりの寒さに、くしゃみをひとつ。その拍子に、鍵が音をたてて落ちた。
あれ、そういや、玄関の扉閉めてきたっけ?鍵以前に、扉すら閉めてない気がする。
悩んでも、答えは出てこない。まぁいい。盗られて困る物もないし、俺にはもう必要ないし。
風が吹く。足元を過ぎていく高級車を、夜遊びかな、羨ましいね、と僻んでみる。
まぁ、いいんだ。俺には関係ない。高級車に乗っているから、幸せな金持ちってわけでもないだろう。
風が、吹いた。空で光る月は青白く、どこか不気味に思えるほど美しかった。
どこかで、扉を閉める音がした。夜勤かな?夜遊びかな?どちらにしても、ご苦労なことです。
風が強く吹いた。さて、俺もいかなくちゃいけないかな。一歩だけ前に踏み出せば、もうアンバランス。
俺も扉を閉めにいかなくちゃいけない。ただ、俺が閉めるのは、家の扉じゃない。
もう一歩踏み出せば、世界は反転して。青白い月が足元に、頭上にさっきのとは別の高級車。眼前では若い男が、扉を閉めていた。
今、人生の扉を閉める時。
『と』びら
- Re: 『あ』から始まる ( No.37 )
- 日時: 2012/01/08 21:46
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
- 参照: コメ返しはまた後で。&雑談コメはお控えください。
【名前を呼んで】(揶揄菟唖様提供)
目の前で、へらへら笑うお前を、思い切り睨みつける。腫れた目で、鼻水すすりながら睨みつけたって、怖くはないだろうけど。
俺はまだ、微塵も納得していないのに、お前は一人、満足そうに笑っているから、余計に腹がたった。
何度も何度もお前を呼ぶのに、お前は返事一つせず、へらへら笑ってるだけだ。あぁ、もう。俺ばかりがお前を想ってるみたいで、馬鹿みたいじゃないか。
何度俺が、お前を求めて、お前を呼んだと思ってるんだよ。声帯は悲鳴をあげてるのに、現実には掠れ声しか出ない俺がいるってのに。
「…馬鹿野郎っ……」
涙を流したって、お前は笑ったままだ。押さえきれなくなって、お前を殴りつければ、ガラスは割れて、指に突き刺さる。
当たり前だ、俺が殴りつけたのは人間じゃなくて、写真立てなんだから。割れたガラスの下でも、変わらず笑顔のお前に、なんともいえない感情がこみ上げてくる。
「ユカ……、ユカ…、頼むよ」
何度も、お前の名前を呼ぶ。掠れた声じゃ届くか不安だけど、聞こえてるんだろ?
なぁ、ユカ。もう一度、その優しい声で、俺の名前を呼んでくれよ。
『な』まえをよんで
2012.01.08
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