複雑・ファジー小説
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- また明日.
- 日時: 2012/02/18 22:53
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
「じゃあね」
笑顔で手を振る君の姿を、俺は視界から見えなくなるまで目で追い続けた。
丈の短いあのスカートが、やっぱり君らしい。
やっぱり、君らしくて可愛い。
やっぱり、君らしくて、俺は好きだ。
——ずっと、君と、歩いていきたい。
**
こんにちは。cocoです。
小説カキコにも、何回も投稿した事ありますが、挫折が多いですm(_ _)m
また、複雑・ファジー小説に投稿するのは、初めてです。
そして、男性目線で小説を進めるのは、またまた初めてです。
趣味程度に書いているので、
まだまだ書き方は未熟です。
頑張って更新していきますので、
よろしくお願いします。
- Re: また明日. ( No.3 )
- 日時: 2012/02/22 21:35
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第二話『やきもち』
「あ、あの、あたし渡辺さんの事覚えてます」
「え」
な、なんでだ?
もう、数年前の話なのに、覚えてくれたんだ。
顔は良くないし、悪くもない、女子の話題になんか出たことないようなやつを?
ともかく、覚えてくれてたのには、驚きだな。
「そ、そっか!」
「……渡辺さんと目が合ったとき、絶対覚えてないだろうなって思ったんです。だから、覚えててくれてびっくりです」
いや、いやいやいやいや。
びっくりなのはこっちなんだけど。てか、忘れるワケないだろ。
俺はふっと微笑む。飯室も、少し頬を赤くして、微笑んだ。
あぁ、やっぱり可愛い。
それはともかく、さっきから森が俺達の事をまじまじと見ている。
「やっぱり付き合ってるんでしょ?」
「……付き合ってねーよ」
別に、この関係を変えたいとは思わない。
付き合いたいとも思ってない。進展なんて望んでない。
このままでいい。
飯室は飯室で、他に好きな人とかいるんだろうな。
そう考えたら、告白して気まずくなるより、再会してこのまんまの関係がいいんだ。
俺は片思いでいいんだ。
俺は、……こういうのでいいんだ。
その後授業中に雑談していたのを先生に思い切り怒られ、授業の合間の十分休憩。
「ねえ、飯室さん。旭ちゃんて呼んでもいいかな」
「ええ……どうぞ」
と、話しかけているのは女子と思いきや、ほとんどが男子。
なんだよ、「旭ちゃん」って。
中一の時知り合いだった俺ですら、「飯室」なのに。
「旭ちゃん」とか。
こう思う俺は絶対やきもちを焼いてるんだ。
他のクラスメイトも美人が多いけど、多分俺の予想だと飯室が転校してきて、ほとんどが飯室狙いになったな。
十分休憩が終わり、男子が自分らの席に戻ったとたん、森が大きなため息をついた。
「あ〜あ。休み時間終わっちゃった。旭ちゃんと恋バナしたかったのになあ」
飯室の頬は、真っ赤になっている。
「……」
とたんに、ばちんと目が合った。
……どうしよう。
「あーっ! また見つめあってるう!」
「いや、違う。違うから」
森の助け舟に乗って、俺はなんとか目を離すことができた。
先生が教室に入ってきて、授業が始まる。
「……ねえ、正直さ、日向って旭ちゃんの事好きでしょ」
「はっ?」
隣を見ると、森はつまんなそうにシャーペンをかちかちしていた。
は? なんでいきなりそうなるんだ?
他の男子ならともかく、俺は森に勘違いさせるような行動は……。
「旭ちゃんて、可愛いよねえ」
「……」
そう言う間にも、森はシャーペンをいじっていた。
俺も、持っていたシャーペンを、くるくると回す。意外に、ペン回しは得意だ。
可愛いよ。
女子に興味なんてなかった俺が、初めて可愛いって素直に思えたやつだからなー。
「さあね」
心とは裏腹に、微妙な答えだった。
「ふぅん」とつぶやいて、森はノートをうつしはじめた。
- Re: また明日. ( No.4 )
- 日時: 2012/02/23 22:09
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第三話『校舎案内』
それから授業が終わるまで、森が俺に話しかけることはなく、少し得意な数学は、あまり面白くなかった。
授業が終わり、昼休み。俺は一人で食堂へ向かおうと、席を立つ。
前は弁当を作ってたけど、色々と面倒くさくなり、今は食堂でおにぎりで済ませるようになった。
「ちょーっと待った! 日向、あなた……どこへ行くの?!」
叫ぶように森が俺をキッと睨んだ。
「いや、どこって食堂だけど」
「旭ちゃんに校舎案内してあげよ!」
「んなの、お前がやればいーじゃん」
「うるさい! ホラ、早く行くよ」
森が俺の手を思い切り引っ張った。
痛い、痛いわ阿呆。
案内してもらうのは飯室なのに、当本人は俺と森のあとをついてきてるだけ。
「おい、離せ! それと、腹減った!」
「今日はご飯なしですぅ」
「あ? ざけてんのかお前」
本当、ふざけてんのか。
俺がふてぶてしくため息をついたら、飯室が寂しそうに笑うのが分かった。
「……飯室?」
「ご、ごめんなさい。お二人は仲良しなんですね」
はあ?
そう思うと同時に、俺と森がほぼ同時に言った。
「ふざけんな!」
若干、ずれていたが。
——そんな事があり、全部の階を回れずに、教室に戻った。
でも、飯室は少し嬉しそうに笑っていたので、良しとしよう。
- Re: また明日. ( No.5 )
- 日時: 2012/02/24 22:39
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第四話『森の事』
結局、昼を食べる時間は休み時間には取れなくなり、授業中に三人、食べるという最悪な事態になった。
あれもこれも、全部森が悪いんだ!
「だってだって、旭ちゃんに早く案内したかったからあ〜。そんでもって、昼休みには男子がまた集まりそうだったからさあ」
あぁ、なんだそっか。
授業中だっていうのに森は恥ずかしげもなく、大声でしゃべる。
だから、先生に睨まれる。森本人は気づいていないのが、ヒヤヒヤする。
「おい。森……男子が睨んでるぞ」
「うっさいなぁ。旭ちゃんに近づくからいけないのお」
どう考えてもうるさいのは、森の方だ。
森は手を前に、格闘するみたいな格好で、睨む男子を睨み返した。
なんつーか……天然?
こいつ見てるの、あきないんだよな。
ちなみに森も、意外と美人で、この明るい性格からか、先輩、後輩と仲の良い友達がたくさんいる。
森と同じ陸上部の先輩達のほとんどが、森狙いだって事、俺は知ってる。
その気持ちも、分からなくはないが……。
俺は、森から目を離し、黒板に書かれたわけの分からない文字式をノートにうつしはじめた。
写してから数分後、森はじっとしていられないのか、俺のノートを見てきた。
「……なんだよ」
「いやあね、あたしじっとしてんの苦手でさぁ、口を五分間閉じるのも苦なんだよね」
ああああ、先生がすごく見てる。森、おい、気づけよおい。
森は全くと言っていいほど気づかず、話し始めた。
「やっぱさ、あたしみたいのが勉強とかって向いてないって思うんだよね、こういう口うるさい性格だし」
「あう、あうあ」
何言ってるんだよ、森!
確かにお前は口うるさいけども!
もうクラスの半分が俺らを見ている。飯室は、少しこっちを向いて、くすくすと笑っている。
これだけやられて、気づかれない森もすごいんだよなぁ、感心するよ。
「勉強に向き不向きはないぞ」
「あるんだよねー、それが。あんたはさ、落ち着きがある! 理解力ある! で、勉強に向いてるよ、うんうん」
急にほめられ、どうしていいか分からずきょどっていると背中をぱんぱんとたたかれる。
「……」
理 解 不 能
- Re: また明日. ( No.6 )
- 日時: 2012/02/25 22:00
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第五話『happy birthbay』
キーンコーン……。
放課後になる。
バタバタと、廊下から足音が聞こえる。
俺も、カバンを持って席を立つ。
森は、もう女友達とぎゃーぎゃー騒ぎながら帰っていった。
「……あれ、飯室帰んないの?」
「あ、あたしはもう少し教室にいます」
控えめに飯室が答えた。
こんな時間に何をするんだろう。
「そう、じゃあまたな」
「あ、……はい。今日は一日楽しかったです、ありがとうございます」
「あー、いやいや。森に言ったらそれ泣いて喜ぶよ、あいつ」
二人で微笑み合う。
「またな」と言えるのが、なんだかとても嬉しくなった。
また、会っていいんだ。そう解釈できる気がして。実際そうなんだけど。
玄関で靴を履き替えて、外に一歩。
「……ああああ!」
やっべー、数学のノート忘れてきた! もうすぐテストじゃねえか!
面倒くさいけど、教室取りに行くか……。
俺はダッシュで教室に戻った。
……あれ、そういえば飯室まだ教室にいるのかな……?
教室に入ろうと瞬間俺は耳を疑った。
飯室……?
窓際の席で、外を眺めながらバースデーソングを歌っていた。
「happy birthbay...to you..」
その歌声が、あまりにも綺麗で、あまりにも真っ直ぐだったから——。
俺はその場から離れられなくなった。
飯室を歌い終わった所で、俺はわれに返った。
ノートの事なんてすっかり忘れて俺は飯室に話しかけようとした瞬間、
「いいむ」
「陽斗……——」
見てしまった。
「陽斗」とつぶやきながら、飯室が涙を流している所を。
- Re: また明日. ( No.8 )
- 日時: 2012/02/26 19:45
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第六話【気持ち】
「……?」
陽斗って……誰だ?
俺は忘れ物の事なんか頭のすみっこにすらなく、ただ呆然と飯室を見つめた。
俺は走った。
もう、テストなんか。
もう、勉強なんか。
分からない。
何故、飯室が涙を流していたのか。
ただ、ひとつ。
俺の恋は、絶対報われない——。
ベッドに寝転びながら、かけていたイヤホンをはずした。
どう、見ても……泣いてたよな?
光の反射で少し光った飯室の頬の涙の筋が頭の中で、スローモーションで流れる。
大体っ、陽斗なんてやつ、中学ん時いたか?
いなかったような気がする。
なんだよ、転校先での彼氏とか?
飯室は可愛いから、すぐ彼氏とか作れんだよなぁ……。
「あー……」
わけ、わかんねぇよ。
再会して、わずか一日。
完全に……、気持ちが戻っちまった。
俺、飯室の事まだ好き……なのかな。
うん……きっと、好きだ。
中学よりも、ずっと。
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