複雑・ファジー小説
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- また明日.
- 日時: 2012/02/18 22:53
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
「じゃあね」
笑顔で手を振る君の姿を、俺は視界から見えなくなるまで目で追い続けた。
丈の短いあのスカートが、やっぱり君らしい。
やっぱり、君らしくて可愛い。
やっぱり、君らしくて、俺は好きだ。
——ずっと、君と、歩いていきたい。
**
こんにちは。cocoです。
小説カキコにも、何回も投稿した事ありますが、挫折が多いですm(_ _)m
また、複雑・ファジー小説に投稿するのは、初めてです。
そして、男性目線で小説を進めるのは、またまた初めてです。
趣味程度に書いているので、
まだまだ書き方は未熟です。
頑張って更新していきますので、
よろしくお願いします。
- Re: また明日. ( No.20 )
- 日時: 2012/03/06 22:09
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十七話【十字架】
「何やってんの? もしかして、陽斗の好きな人って、飯室なの?」
「……」
先輩は彼女から唇を離し、うつむいた。
彼女も、陽斗と同じように黙ってうつむいた。
「……そうなの? 陽斗、そいつやめなよ。そいつね、クラスみんなに嫌われてるんだよ。いじめられてるんだよ」
「……は?」
「は、遥さん!」
先輩は、頭を上げて、一回彼女を見てから、遥の方を見直した。
「は?! いじめ、られてたって……?」
「あれ? 聞いてないの? 無視されてたんだよ? 前からー」
前のめりになって、先輩は、遥の話に見入る。
(……先輩に、バレた。きられるかな……、いじめられてるなんてっ……!)
思わず、彼女は泣きそうになる。
先輩は彼女の方を振り返って、彼女の方にずかずかと歩いてきた。
(えっ?)
「旭!! お前、なんで言わなかったんだよ。俺、なんにも知らずに……」
「だ、って……きら、われるかと思ったから……」
それが彼女の本心だった。
いつも、思っていたんだ、彼女は。
いじめられてるって知ったら、先輩は引くだろう。
自分を嫌いになってしまうだろう。
もう二度と会ってくれなくなるだろう。
心のどこかで、そう決め付けていた。
すると先輩は、涙目の彼女の肩を揺さぶった。
「ばか! 嫌うわけねぇだろ?! 俺は、旭が好きなんだよ!」
「……っ」
ふいに、先輩は彼女の震える肩を抱きしめた。
思わぬ展開に、先輩と彼女意外は悲鳴を上げる。
もちろん、彼女自身もびっくりしていたが、すぐに涙をいっぱいためて、泣き出した。
「ちょ、ちょっと遥?!」
遥は、抱きしめあっている二人に、何も言わずに近づいた。
「飯室……ッ!」
先輩の腕で泣いている彼女を、遥は自分の方を向かせた。
「ちょ、は、遥! 何やってんの?!」
いきなり、遥は彼女の首をつかみしめ始めた。
先輩は驚きのあまり、何も言えず息を飲み込んだ。
「……ぅは、遥さ」
「うるさい! なんで飯室なの……? あたしが、あたしがずっと片想いしてきたのにっ……、なんで、飯室なの……?」
「遥! やめろ!」
彼女は、遥が目に涙を浮かべているのに気づいた。
ああ……遥は本当に……。
自分は、本当に盗(ト)ってしまったんだ。遥の一番大事な人を。
「……め、なさ……ごめ……」
ふいに、手からスルリと首が抜ける。
よほどしめる力が強かったのか、彼女は地面に倒れた。
「遥! お前……何やってんだよ?!」
「っるさい! なんでうちが悪いことしたみたいになってんの!! 悪いのは、飯室じゃん!」
彼女はピクピクと痙攣(ケイレン)したまま、立ち上がれない。
そんな彼女を見て、先輩はさらに歯を食いしばった。
彼女の事でムキになる先輩を見て、遥はさらに腹が立った。
「……こんなやつ」
ぽつりとつぶやく。
一粒、遥の黒くにごった瞳に、涙が流れた。
乱闘はおさまったかと思うと、遥は仲間に「あれ貸して」と手を出した。
仲間はあわてて遥に"あれ"を差し出すと、勢い良く彼女に振りかざした。
「あ……——!」
先輩は止めにはいる。
"あれ"とは、金属バットだったのだ。
彼女は痙攣したままで、気づいていなかった。
**
ガンッ……!
重い音と、そこに倒れているのは……
「……え……」
遥は放心したように、その場に立ち尽くした。
「陽斗……」
頭から、ドクドクと血が流れる。
先輩は歯を食いしばり、痛みをこらえている。
「……ってぇ……」
「陽斗!! 陽斗!! ごめんね!!」
遥は涙をボロボロをこぼしながら、謝った。
遥の仲間は、半分以上が恐怖を感じて逃げ出していた。
「謝んなよー……。遥、泣き虫だなあ……」
先輩は、遥の頬に手を触れた。
その途端、先輩の目は、完全に閉じてしまった。
「はると……?」
ヒックヒックと涙を抑えながら、子供みたいに先輩の名前を呼ぶ。
「やだ……陽斗……っ飯室! 起きて! 陽斗がっ……」
遥はパニックになった。
遥の親友が一人残っていて、携帯で救急車を呼んだ。
「遥、落ち着いて。陽斗先輩助かるから、ね」
「うちのせいだ……うちの……」
救急車の中に乗って病院に着くまで、遥はずっとそう言っていた。
病院に着くと、二人は同じ病室になった。
彼女が目を覚ました時、先輩は彼女よりひどい状況だった。
退院したのは、彼女が先だった。
けれど、彼女は毎日先輩のお見舞いに行った。
「陽斗、大丈夫?」
「あーうん。今日は体調いいよ」
「じゃ、毎日体調いいじゃん」
あはは、と笑いあう。
「遥さんは、来るんですか?」
「ん、いーや? もう来ないよー、最初は来てたけど!」
にかっと先輩は笑う。
他愛もない話をして、家へ帰る。
「ただいま」
家へ帰ると、彼女の母と父が、机へ座っていた。
「? どうしたの? 二人そろってるなんて」
ふふふ、と彼女は微笑む。
だが、すぐに二人は深刻な顔をしているのだと気づいた。
「あのね……旭、また転校しなくちゃいけないの」
「へっ?」
「学校に慣れてきたばかりでかわいそうなのだが……また、お父さんの仕事の都合で、中学の時通っていた、静岡に帰る事になったんだ」
——また、転校……。
——先輩と、離れるの……?
- Re: また明日. ( No.21 )
- 日時: 2012/03/07 22:39
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十八話【遥】
転校……。
先輩と、このまま離れるの?
"あたしだけここに残りたい"。
でも、そんなのワガママだよね。
「……いつ?」
「——……ずっと言おうと思ってたのだけど……。明後日なの。学校の手続きはもう終わってるわ」
ふいっと彼女の母は顔を背ける。
彼女の瞳に、思わず涙が潤む。
(明後日? そんなの早すぎる)
「なんで、もっと早く言ってくれなかったの?」
「だって、嫌がると思ったもの。何か最近はいつも笑っているから……」
はぁ、と母はため息をついた。
(ため息をつきたいのは、こっちの方)
こぶしを、ぎゅっと握る。
「これからは、学校帰り、遅くならないでほしいんだけど」
「……」
彼女は黙ったままだった。
母は、そんな彼女にすがるような目つきだ。
困った彼女は、
「……分かった」
こう答えるしかなかった。
自分の部屋で、ベッドに寝転びながら彼女は考えていた。
先輩に、何でもして伝えなければ。
お見舞いに、いけない事。
明後日には、東京(ココ)を離れること。
——と言っても、二人はメールアドレスも、電話番号も何も知らない。
(どうしよう)
彼女は自分の手のひらを、額にくっつけて悩んだ。
**
「——という事で、飯室さんは明日にはこの学校をさよならします」
彼女は教壇の前に立っていた。
先生は、軽く目を合わせて「挨拶を」と言っているように見えた。
「……短い時間でしたが、ありがとうございました」
小さな声で、かすれるような声で言った後、少しだけ笑顔を作った。
「えっ?」
教室の声がひとつになる。
隣にいる先生までもが、口に手を当てて驚いている。
(? 何驚いてるの……?)
彼女は少しだけ首の角度をかたむけると、前の席のヒソヒソ声が聞こえた。
「ねえ、飯室ってあんなに可愛かったっけ?」
「さあ。あんだけ可愛かったら、うちのグループいれたのに」
(可愛い?)
クラスメイト達が言っていることの意味が、彼女にはよく理解できなかった。
そのまま、何事もなかったかのように彼女は席についた。
**
つまらない授業が終わり、帰り道。
はぁ、と一人ため息をつく。
先輩の事、どうしようか。
どうやって伝えようか。自分はもういけないのだから。
地面に転がっている小石をじゃり、と少し蹴る。小石は大きくカーブして池の中に入ってしまった。
「あ、旭ちゃん」
「?」
"旭ちゃん"?
そんな名前で呼ばれている覚えはないが……。
彼女は振り返って息を吸い込んだ。
「は、遥さん」
「遥でいいよ。あのね、旭ちゃんもう病院へ行けないでしょ。準備とかで」
「あ、ああ、はい」
動揺しているのが、まる分かりだ。
(でも、これでも隠してるつもりよ)
「でね、うちが陽斗に伝えてあげる。ちょうど、あまり病院に行ってなかったの。怖くって」
「え、そうなの?」
「だから、ついでに謝ろうと思うんだ。もう一回」
ぎこちない笑顔だったが、遥は確かに彼女に向けて笑顔を作った。
それが、彼女にとって何故かすごく嬉しくて、頬が赤くなった。
「そう、じゃ、頼んでいいかな」
「うん」
お互いに、微笑み合う。
「この前いた、お友達は?」と聞こうとしたけど、空気が悪くなるのは少し怖いので、やめておいた。
あたりには、ランドセルをしょった子供達が、追いかけっこをしながら走っていく。
「あたしね、陽斗の事好きでいるよ」
「えっ?」
「ううん、彼女は旭でいいと思うよ。好きでいるだけ」
遥は、今度は彼女の事を呼び捨てにして呼んだ。
「……けどね、うちねぇ。陽斗の事が、世界で一番好き」
空を見上げて、遥は言った。彼女は、空を見上げるフリをして、本当は涙を隠していることを、知っていた。
「あたしは……あたしも、陽斗の事が、誰よりも、一番好きかな」
彼女は真っ直ぐに前を見てから言った。
「やっぱり?」と笑いながら遥が彼女を見る。
「なんか、うち等、趣味似てるよね」
「うん」
その後、さんざんガールズトークをし終えた彼女達は、急いで家に帰った。
「じゃあ、あたしの家ここだから」
「あ、そうなの? じゃ、ばいばい」
彼女の家が先だったので、彼女は玄関のカギを開けながら手を振った。
「あ! ねえ、旭!」
「? なーに?」
カギを開け、中に入ろうとした瞬間。
「うち、もっと前に旭と仲良くしとけばよかったなぁ」
「……え」
くやしそうに、遥が微笑んだ。
彼女は嬉しくて、くやしそうにする遥を見て、もっと微笑んだ。
「あたしもだよ!」
それを聞いた遥は、頬を赤らめて、ばいばいと手を振った。
- Re: また明日. ( No.22 )
- 日時: 2012/03/08 22:04
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十九話【先輩の言葉】
「遥ちゃんて、あんなコだったんだぁ……ふふっ」
彼女の両親は、彼女には「早く帰ってこい」と言ったクセに自分達は仕事。
彼女は一人料理をしながら、独り言をつぶやいた。
何より、遥と仲良くなれたこと。
遥が、先輩の所に言って報告してくれること。
(よかったぁ)
でも、明後日には、この町を離れるんだ。
そんなの、今更。
安心したとたん、次の不安が彼女の真ん中に押し寄せてきた。
一人の晩ご飯を済ませ、彼女は自分の部屋を片付け始めた。
一回集中すると、他のものにはとらわれない彼女だけあって、片付けは案外、早く終わってしまった。
あとは、ダンボールにうつすだけになった。
**
とうとう、今日だ。
「……」
「旭いいいいー!」
「あっ、遥ちゃん!」
「とうとう、今日だねぇ。寂しいな〜っ」
ふふっと二人、笑いあった。
今日は、彼女がこの町を離れる日。
両親が車にありったけの荷物を詰め込む。
突然、遥ははっと何かを思い出したかのように手をたたいた。
「あ、そうだ。陽斗から、伝言があるよ」
にやにやしながら、遥は手を口にあてる。
「え? 伝言?! そんなのあるの?!」
「うん。なんかね、……」
遥は、彼女の耳元に口を近づけた。
彼女は遥の行動がすぐに分かり、耳を、遥の口元に近づけた。
「……っ!」
「あはは、真っ赤だよお」
彼女は思わずその場で泣きそうになった。
先輩の言葉が、嬉しすぎて。
「じゃあね、遥ちゃん!!」
「旭、ばいばい」
「また、会おうね」
「うん、絶対だよ!!」
遥も彼女も、最終的には泣いてしまったが、笑顔だった。
頭の中で、先輩の言葉を、何回も繰り返した。
『えっとね、……
「俺の事は、全部忘れていいから。違う学校でもいつもの通りの旭でいけよ」
って、言ってたよ!」
何故、忘れていいのかよく分からなかったけど、彼女の目には、涙があふれそうになったのは確かだ。
だから、笑顔を失わずに、絶対にいつもの通りの自分で行こう、と彼女は心に決めた。
——
- Re: また明日. ( No.23 )
- 日時: 2012/03/08 22:13
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
作者のcocoです。
旭の過去編、長くなってしまってすいません。
書いていたら、(物語を)作るのがものすごく楽しくなってしまい……。
でも、なんとか終わりましたよ!
なんか、最後、やけくそになり自分でもよく分からない方向へ……。
最後の文章とか、色々考えてたら、ホラ! あんなに変な文章に!
ほんとに、すいません。
これからは、視点が変わり、日向視線になります。
あ、日向って、覚えてますか? 一応、主人公ですよb←
男のコが恋するのって、おかしいですかね?
あたしは全然可笑しくないと思います。
だって、人間ですもの! 女のコみたいな男のコもいるし、男のコみたいな女のコもいて、全然大丈夫ですもんね。
さて、本題がどっか行きましたが、(
過去編、終わりました。
報告、以上です。
これからも、「また明日.」よろしくお願いします。
- Re: また明日. ( No.24 )
- 日時: 2012/03/09 20:20
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第二十話【切ない】
「……」
俺は放心して、メールを返信する力もなかった。
旭の笑顔の裏には、あの先輩がいたんだ。
別れたわけじゃない。お互いまだ愛し合っているんだ。
失恋決定だ、俺。
カッコ悪ぃな……。
俺、一人で勝手に勘違いして。
再会できたからって。
覚えてくれてたからって。
名前を呼び捨てにしたからって。
全部全部、イコールが恋になるわけじゃない。
ピルル..
メールを受信。もちろんこんな時間に来るのは、森だ。
-------------------------------------------
from:森 藍子
ちょっと!
大丈夫?
-------------------------------------------
「……っあー」
俺は額に手を当てた。
くそ、痛ぇ。
「おはようございます、日向」
「……はよ」
俺は旭の目を見た。
旭はニコッと可愛らしい笑顔を俺に見せて、席に戻っていった。
「日向!!」
はぁはぁと息を切らせて森が俺の方へずかずか歩いてくる。
旭も、ビックリして森の方を見る。
「ちょっと来て!」
「ちょ、え、な」
俺は口答えすることもできず、森に引きずられながら廊下へ出た。
「何だよ、森」
「あんた、旭ちゃんに言ってないでしょうね、あたしが言ったこと、昨日!」
「言ってねーよ。言ってどうなるんだよ……」
それを聞いて森はほぅ、と胸をなでおろした。
「良かった。言わないでね、口止めされてて、日向は信用して言ったんだから」
人差し指をたてて、俺を睨む、森。
はぁ……言うわけ、ないだろ。
言ったところで空気が悪くなるだけだし……。
「ああ。分かったよ」
「えへへっ」
森は笑って、スキップしながら教室に入っていった。
席に着くと、不思議そうな顔をして旭が首をかたむけている。
「……っなんでも、ないよ」
無理に笑顔を作り、旭に見せた。
「そうですか?」
そう言いながら、旭は前を向いた。
隣にすました顔で座っている森に、こそっと耳元でつぶやく。
「じゃ、それっぽいことは聞いていいんだな?」
「え、ひな……」
「なあ、旭、旭」
「? なんですか?」
「旭って彼氏いるの?」
ブーッと思わず森がふきだす。
旭は困った顔になり、森はぐにゅっと俺の足を強く踏んだ。
「や、やだなぁなんか俺疲れてるわ。旭なら彼氏なんて簡単に……」
「えっ」
踏まれる強さはますます強くなっていく。
「あ、ああああ。いっ……嘘、だよ。気にしないで」
「……」
真っ赤になっている旭を見て、流石にやりすぎたか、と反省する。
隣を見ると、案の定森がすごい形相でにらんでくる。
「ご、ごめんごめん」
「ごめんじゃねーーー!! 殺すよ、マジで!」
笑ってるのか、怒ってるのかよく分からない顔で、ふんっと横を向く。
そんな森に俺は思わず苦笑い。
次の授業は、移動教室だ。
俺はふわぁ、とあくびをしながら教室に向かっていた。
森は、他の女友達と一緒に行き、特に友達も作らない俺は一人で廊下の端っこを歩いていた。
すると、
「日向!」
振り向くと俺を見てるのは教科書を抱えた旭。
走ってきて、俺のそでを引っ張った。
「この後の授業は、二人でサボりませんか?」
「えっ」
「イヤじゃ……なかったら……ですけど」
ぎゅっと旭が目をつむっている。
「……いいよ」
ふっと笑う。
「じゃあ! 話したいことがあるので、屋上へ行きましょう」
「ああ」
そういえば、屋上は旭が好きな場所だっけ。
ここの屋上は普通に出入りできるので、ここで授業をサボる生徒も多々。
屋上についてから、一言。
「朝、聞いたでしょ。日向が、「彼氏いるの?」って……」
「ん……ああ」
やっぱり、その話か。
「実はですね……——」
俺は、メールで聞いたことをもう一回言われた。
だんだん、話していくにつれて、旭の目は潤んでいき、最後の方は、涙で何も聞き取れなかった。
俺は思わず、その小さな、小さな旭の肩を、抱きしめた。
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