複雑・ファジー小説
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- また明日.
- 日時: 2012/02/18 22:53
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
「じゃあね」
笑顔で手を振る君の姿を、俺は視界から見えなくなるまで目で追い続けた。
丈の短いあのスカートが、やっぱり君らしい。
やっぱり、君らしくて可愛い。
やっぱり、君らしくて、俺は好きだ。
——ずっと、君と、歩いていきたい。
**
こんにちは。cocoです。
小説カキコにも、何回も投稿した事ありますが、挫折が多いですm(_ _)m
また、複雑・ファジー小説に投稿するのは、初めてです。
そして、男性目線で小説を進めるのは、またまた初めてです。
趣味程度に書いているので、
まだまだ書き方は未熟です。
頑張って更新していきますので、
よろしくお願いします。
- Re: また明日. ( No.15 )
- 日時: 2012/03/03 19:29
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十二話【遥の話】
もう、屋上には行かない。
——行かないんじゃない。行けない。
そう思いながら涙をぬぐった。
ちょうどその時間の国語は自習で先生がいなかった。
ドアの前で、彼女は目をこすり涙の跡を消した。
ドアの音がして、クラスにいる誰もが彼女の方を見る。
「……」
「あっれェ?! なんで、飯室がいんの?」
「あいつ、いつもサボってんじゃん? 何かあったんかな?」
ひそひそと、友達同士顔を見合わせ、話し始める。
彼女は気にせず、うつむきがちで席についた。
「あ、そうだ。遥ね、陽斗先輩に告りに行ったんだって!」
彼女の肩は、ビクリと反応した。
「まじで?! でもさ、遥と陽斗先輩って、近所で親達も仲良しだし、幼馴染なんだよね? OKかもね!」
「うらやまし〜、あんなイケメンと〜」
「出たよ、あんたの男好き」
彼女の話題はほんの一瞬しか触れられず、先輩の話になった。
(そっか……うちのクラスの人だったんだ)
名前すら、うろ覚えだった。
いじめられた当時は、名前すら忘れるほど、必死だったから。
すると、小さく扉が開いて、ツインテールに結んだ、遥が教室に入る。
遥の友達と思われる女子、……いや、男子もが遥へ視線が注がれる。
「遥ぁ〜! どうだったあ? 告ってきたんでしょ?」
「うん、告ってきたよ」
遥は、彼女の顔を一瞬見て、視線をそらし友達へ笑顔を向けた。
彼女は、遥の方を向けなかった。
「結果ね……ダメ、だった」
彼女は、驚いて長い髪を揺らし、思わず「えっ」と遥の方を向く。
遥は笑顔をだんだん無くし、そのままうずくまって泣き出す。
「何見てんのよ、飯室」
「大丈夫?! 遥ぁ……」
友達達が一生懸命遥をなだめる。
彼女は、自分をいじめてきた今の遥の姿を、素直に「かわいそう」と思う事ができた。
数分後、やっと落ち着いた遥は、友達にかこまれながら、机に突っ伏していた。
男子も、遥の方を見て、話をしている。
「なんで?! 仲良かったんじゃないの? 陽斗先輩と」
「……うん…………」
遥は机に突っ伏したまま、つぶやくように返事をした。
「理由は? 聞いたの?」
「……うん……」
「なんて?」
「好きな人が……いるんだって」
エェーッと友達達が頬に手にあてる。
彼女は、ますます驚く。先輩に好きな人がいたなんて。
「それがね……」
「? うん? どした、遥」
「それがね」と言った後、遥の鼻をすする音が、聞こえた。
クラス全体が、遥の言葉の続きを待ち遠しく思っている。
「好きな人がね、この、クラスの中だって……」
そう聞いた瞬間、彼女は何の考えもなしに、走り出していた。
もちろん……、屋上へ。
- Re: また明日. ( No.16 )
- 日時: 2012/03/03 21:07
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十三話【先輩から】※キス描写注意(あんまり上手くありません)
階段を駆け上る彼女。
(先輩、先輩)
何をするかも分からず、彼女は走るのをやめない。
「はっ、はぁっ……」
教室を通っていくと、それぞれの教室の先生に見られている。
今はそんなの関係ない、と思った。
進入禁止のさくを、いつもよりすばやく超えて、屋上の扉を開けた。
「陽斗先輩!」
「ん? ……あ、旭ー。今日は授業参加したのか。暇だったよ」
「……なんで遥ちゃんと付き合わないんですか……?」
「えっ?」
先輩は、目を丸くして黙ってしまった。
「さっき……、告白してるの聞いちゃって」
「あぁー……、なんだ、そうなんだ」
「どうしてですか?」
「え……えーっと、好きな人が、いるから?」
なぜか疑問系で言う先輩。
彼女は身を乗りだして聞いた。
「誰ですか?」
この気持ちを、知ってしまった彼女。
(先輩、好きです。誰よりも)
たとえ、この恋が報われない結果になっても。
(先輩が好きな人を言ったら、告白しよう)
そう、一人で心の中で思っていた。
すると。
先輩は彼女の頭の後ろ側を片手で抑えた。
「え、」
思わず声が漏れる。
どんどん、二人の顔の距離が近くなっていく。
「せ、せんぱ」
彼女と先輩のやわらかい唇が触れる。
驚いて彼女は先輩を見る。
先輩は薄目を開けて、彼女の目を真っ直ぐと見ていた。
三秒くらいで、唇はあっさりと離れた。
「……んっ」
思わず声が漏れて、手で口を押さえる。
「これで、分かった? 俺の好きな人」
「……へ」
(……?)
「そ、れは」
「だからっ……、旭なのっ!」
ぷい、と横を向きながら先輩。
「え……」
「へ、返事いつでも待ってるから」
そう言って、先輩は彼女の横を通り過ぎようとした。
「ま……待ってくださいっ!!」
反射的に彼女は先輩の腕をつかむ。
先輩は、ゆっくりと振り向く。
「あ、あたしも」
「え」
「陽斗先輩が好きです」
——こうして二人は付き合うことになったのだ。
——これから起こる、悪夢も知らずに。
——
なにやら可笑しな方向に進んですいません。
過去編早く終わるように頑張ります。
- Re: また明日. ( No.17 )
- 日時: 2012/03/03 22:08
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十四話【陽斗】
晴れて、付き合うことに。
——これから起こる悪夢すら知らずに。
「陽斗先輩」
「陽斗でいいよ、付き合ってるんだから」
ニッといつもの笑顔で言う先輩。
ぽっと顔が赤くなる。
「じゃ……あ、陽斗……」
「よくできました」
ぽんっ、と頭をなでる、先輩。
「ていうかさ、俺ー、半年も話してきて、旭の笑顔見たことないんだけど」
「笑うの、ちょうど半年前嫌いになったんで」
前までは、笑顔がとても似合う女の子だった。
でも今は……。
「ね、ちょっと笑ってみて」
「面白かったら、笑ってやりますよ」
「えー、つまんねぇ!」
気づけば、お昼休みまで二人は話していた。
「あ、もう昼休みですね」
「旭、午後の授業サボんの?」
「うーん……、陽斗は? どうしますか?」
「俺は、午後は出ようかな」
「じゃあ、あたしも出ますね」
午後の授業に出ることを約束して、その日、先輩と話すことはなかった。
——
すいません。
とめます!
- Re: また明日. ( No.18 )
- 日時: 2012/03/04 21:26
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十五話【デート】
(今日は色々あったなー……)
ふぅ、と彼女は一息つく。
殺風景な部屋の中のベッドに、バフッと乗っかる。
「……初めてだったな……」
キス。
(あたしの、ファーストキス)
先輩が初めてで良かったな、と顔を赤くしながら思う。
明日こそ、笑顔でいよう。
先輩が、望んでいるあたしの笑顔で。
ベッドから降りて、鏡のそばへ寄る。
指で自分の口を無理やり笑わせてみる。
頬が痛くなって、じんわりと彼女の目から涙が出そうになる。
「……ダメ……笑えないの……」
上手く、笑えない。
前に笑ったのは、いつだろう。
それすらも忘れてしまいそうだった。
**
「な、今週の日曜、二人で出かけねぇ?」
「えっ」
(そ、それって)
デート?
(嬉しい)
彼女の頬がピンク色に染まる。
先輩は少し微笑んでから、
「どこ行きたい?」
と問いかけた。
先輩と行きたいところ……。
(映画かな? それとも動物園? 水族館とかも、いいのかな?)
「俺は、旭の行きたいところならどこでもいいよ」
「……じゃあ——……」
デート当日。
(何、着てくかまだ決まってない……)
タンスの中の服を全部ひっくり返した彼女の部屋は、まさに初デートをする一般の女子の部屋のよう。
「ああっ、時間が……」
彼女が時計を見ると、もう八時半はまわっていた。
待ち合わせは十時なのに……。
待ち合わせ場所までは、約十五分。
(一応三十分は余裕を残して陽斗を待っていたいから……っと)
頭の中ですばやく計算をする。
今から最低でも四十分で支度しないと。
彼女はすばやくリビングへ向かう。
両親は、今日も仕事みたいで、家の中には彼女だけだった。
「服……どうしたら可愛く思われるのかな」
(あたし、何着ても似合わない)
でも……、初デートだからって、そんなにおしゃれしていかなくてもいいよね。
案外先輩も気にしないかもしれないし。
彼女は、直感で普通に選び、九時前に家を出た。
- Re: また明日. ( No.19 )
- 日時: 2012/03/05 22:26
- 名前: coco*. (ID: /u41yojS)
第十六話【復讐】※キス描写有
「はぁっ、はぁっ……」
彼女は九時十五分に待ち合わせ場所についた。
こんな格好でよかっただろうか。
今更になりながらも、自分の服装をレストランの窓を鏡代わりに見る。
薄い水色の、水玉模様の服と、白いフリルのスカート。ブーツ。
(やっぱり、センスないし、可愛くないだろうか)
服装を見て二十分は経った。
まだ彼女は不満げにスカートをヒラヒラとさせている。
「ねー、かーのじょ! 俺らと遊びに行こうよ」
「……え」
静かに振り向くと、彼女のまわりに数人の男性が。
彼女よりはるかに年上だと分かる。
「……あ、たしっ……今から待ち合わせしてるんで……」
「いい女には、男がいて当たり前! 彼氏よりいい男でしょ? 俺」
「……(こいつのどこが陽斗よりかっこいいって?)」
すごい形相で睨むと、男性達は少々引き気味だが、それでもつっかかってくる。
レストランの窓に攻めよれられて、彼女は身動きすらとれなくなった。
(陽斗……!)
しかしあと待ち合わせまで約三十分ほどある。
「何、やってんだよ」
「あぁん?」
男性達が、いっせいに後ろを向く。
そっと目を開けてみると。
「は、ると……」
「俺の女に手ェ出すんじゃねぇ」
先輩はずかずかと男性の方へ歩み寄り、胸倉を思いっきりつかんだ。
男性は冷や汗を掻き、「わ、わかったよ」とそそくさ逃げていった。
「ったく、なんだあいつら。大丈夫か、旭……」
「は、はぁ……なんとか」
そう答えたものの、先輩は動きを止めたままだ。
「あ、あの陽斗……?」
「あ——〜〜……」
先輩は何故かそこにうずくまってしまった。
彼女は、ワケが分からず、「陽斗?」と聞くと、顔を真っ赤にさせて言うのだ。
「旭、私服可愛すぎ」
「?!」
「可愛いんだから、警戒心持って……クダサイ」
「え、け、警戒……?」
急にほめられ、どうしたらいいのか分からずおろおろする彼女。
そんな彼女に先輩はふっと声をもらして笑った。
「さ、行こっか」
そういって先輩は彼女の肩を自分の体に寄せた。
初デートが始まった。
**
「うわああああああ! やば、あうああぁ!」
「陽斗、隣で騒がないでください!」
先輩はジェットコースターが苦手だ。
今、また「旭助けてええぇ」と叫んだ。
それに比べて彼女はジェットコースターなど屁のようだ。
叫びひとつしない。
「はー……あ、さひ……」
「面白かったですね、陽斗」
息切れしている先輩には目もくれず、彼女はスタスタと歩き出す。
先輩は、そんな彼女を見て、もっと好きになったみたい。
にこっと笑って「ちょっと待てよー」と彼女の後を追いかけた。
「旭、俺の事呼び捨てなのに、敬語っておかしくないか?」
「へ? そうですか?」
「いっそ、敬語やめてよー」
彼女はしばらくうーんと上を向き、「じゃあ、分かった」とタメ口に変えた。
**
「何、飯室も今日来てるの? 遊園地」
「……違う……一人じゃない」
「えっ? じゃあ誰と?」
「……あれっ……陽斗?!」
「え、うっそお! ほんとだ!!」
「——遥……脅してやらない?」
「……うん」
**
一日遊園地で遊んだ二人は、歩いて帰った。
「……クスクス」
「な、何笑ってんの? 旭」
「だって、陽斗ジェットコースターに怖がってばっかりなんだもん」
「仕方ないだろ! 嫌いなんだから!」
あはははは、と彼女は笑う。
嬉しそうな彼女に、先輩はもっと嬉しそうな顔をした。
「良かった、旭が笑ってくれて」
「え?」
「ずーっと話してきてさ、一度も笑った顔見たことないんだぜ。見たかったから」
それも……そうかな……。
そういえば、一度も笑顔を見せたことない。
「直に言われると、なんか照れます」
「あはは、超かわい——……」
また、顔の距離が近くなる。
今度は、「え」という暇もなく、二人の唇が触れた。
三秒だけじゃなくて、何秒も、何秒も。
「……っ」
一回、唇を離して、もう一回キスをした。
(先輩の唇、前よりも少し熱い……かも)
「んっ……」
また、声が漏れる。
幸い、辺りには人はいなく、見られた人はいないように見えた。
——が。
「ずいぶん仲が良さそうですね。飯室、さんッ!」
勢い良く飛び出してきたのは、
——遥だった。
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