複雑・ファジー小説

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××異能探偵社××   完結。
日時: 2014/12/11 19:32
名前: るみね (ID: kzWZEwhS)

____おやぁ、ここらでは見ない顔だね。



  ___昼間の事件?あぁ、”異能探偵社”の連中が片付けてたね



_______え、”異能探偵社”ってなんだってだって?








    _____あんたおのぼりさんかい。

          じゃあ、教えてあげるよ。この地区の”はぐれ者”たちの話をさ






              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞



 いらっしゃいませ♪
 不定期更新、長期逃亡の常習犯のるみねです。

 【GRIM】執筆中のくせに性懲りもなくまた立ち上げました。
 もう一つの【鬼語】の方向性に完璧につまって、おそらく【鬼語】よりもこっちを【GRIM】と同時進行にやっていく事になりそうです。


   ×××注意事項×××
■更新不定期。今度こそ続けるつもりですが保証出来ません。
■自己満足の塊。
■登場人物はかなり多い(予定)です。
■【鬼語】からキャラを流用してます。
■荒らし禁止!
■とある漫画の設定から触発されてやってます。
■こんな感じです。わかる人は元ネタ分かると思いますが、日本を舞台にした能力ファンタジー物を目指します!


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

■オリキャラ募集用紙 


■用語&登場人物 >>005 ←更新しました!

   ×異能探偵社×
篝火創平   >>008   根岸太一   >>009
暮葉紅魅   >>015   能登潤    >>018
赤嶺徹    >>019

     ×軍警×
白縫喜八郎  >>007   八千草雨季  >>010
零蝉路ヱン  >>026   相沢詩音   >>027

   ×亡霊レムレース×
伊田隈路佑  >>035   姫路彩    >>036
陣刀焔    >>039   瀬良悠真   >>044
輪状斑    >>053   水無月小夜  >>060


第壱話 [出会い]  >>002.>>004
第弐話 [異能探偵社] >>014
第参話 [初仕事]  >>023.>>029.>>031
第肆話 ["大鴉"]   >>033.>>042
第伍話 [真実]   >>048.>>051.>>055.>>057
第陸話 [櫻]    >>058.>>062
第七話 [___]  >>066
第釟話 [墓地]   >>070.>>073
第玖話 [セイギノミカタ] >>077
第拾話 [桃矢と櫻] >>081.>>082.>>083
+後日談     >>084

 エピローグ   >>085


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Re: ××異能探偵社×× 【11/9up!】 ( No.83 )
日時: 2014/11/15 18:23
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)
参照: 長いです。矛盾点なくしたい……


第拾話_参



 渾身の一撃。

 禅十郎の頭を確実に捉えたその一撃は彼を軽々と吹き飛ばし壁に叩き付けた。
「ッ!!!!」
 崩れ落ちる禅十郎に花が言葉にならない悲鳴を上げ、駆け寄る。
 桃矢が取り出した端末から明かりが漏れて空間を照らした。花が降らせていた雨ももうやんでいる。

「…………」

 禅十郎に近づく桃矢に気づき、しがみつくように座っていた花が憎悪の目を向けた。

「花ちゃ……」
「触らないでッ!!!」
 花の泣きそうな叫び声に桃矢は伸ばした手を引っ込めた。花の周囲で空気が揺れるが桃矢は静かに言う。
「……無駄だよ。花ちゃんの”異能”は人を殺すものじゃない」

「だって……、だってぇ……」

 震える声で言う花の頭にそっと手がそえられた。
「は、な……」
「!!」
 目を開けた禅十郎に探偵社の面々が身構えるが、桃矢の攻撃のダメージは想定以上に大きいらしい。

「ぜんじゅうろう!!」
 悲鳴のように名前を呼ぶ花に禅十郎は弱々しく微笑んだ。

「はは、花ちゃんに…心配してもらえる、なんて、ね」
「バカぁ……」
「あはは……」
 そういって笑うと一瞬禅十郎の目に強さが戻った。
「!!?」
 不意に禅十郎自身の”影”が蠢き、桃矢に向かって槍のように伸びた。が、その影は桃矢に届く前に煙のように消えた。
 驚いて振り返ると背後で紅魅に支えられた鷹人がニヤッと笑っていた。

「…………残念でした」

 その言葉に禅十郎もハッと笑った。



「ったく………面倒な”異能”だよ……」

 その言葉を最後に禅十郎は気を失った。
 戦意を喪失した花と桃矢たち一向を不意に明るい光が照らし出した。

「終わったの?」

 見れば入り口に明かりを持った牡丹が立っている。
 あの烏の羽根は消え失せ、いつも通りの姿だ。
「あぁ……」


「た、鷹人さん。大丈夫なんですか」
 紅魅に支えられている鷹人に桃矢は不安そうに声をかけた。
「生きてるよ。肋骨は何本か逝ってるかもしれないけど」
 軽く言ったが紅魅に脇腹を小突かれるとさすがに呻き声を上げた。
「っ……。紅魅ちゃん、もっと優しく扱ってもいいと思うよ……?」
「生きてるだけありがたいと思いなさい」
「……」
 力なく頷く。やはり骨にひびが入ったか折れたらしく歩こうとして激痛に思わず顔をしかめた。

「あの、他の人は————!」
 牡丹に聞いたがその背後から見慣れた顔が現れた。





「なんだぁ、戦闘なしなんですかぁ」
「ないにこした事ないっすよ、俺なんてずっと追いかけっこですよ?」

「創平!潤さん!」
 嬉しそうに言うと潤の顔が若干膨れた。

「なに、 そのよくご無事で、みたいな声。簡単に死ぬと思ってたぁ?」
 桃矢の頬にそえられた手に危険を感じて桃矢はブンブン首を振った。

「まぁ、二人とも陽動お疲れさん。上手く掻き回せたみたいだな」
「楽しかったですよ」
 修兵の言葉に潤は満足そうに笑った。
「俺も褒めてくださいよ。俺のおかげでより楽にやれたんすから!」
「牡丹さんの手伝いもあったからでしょ」
「そっれはっ!」
 しどろもどろになる創平に思わず皆の顔に笑みがこぼれた。




______


 聞こえてくる”声”に徹は微笑んだ。
「どうにかなったみたいですよ」
「そうか……、ならよかった」
 そばにいた大地と太一も笑う。

 が、その平穏は屋根から降ってきた影によって中断された。
 軽い衝撃とともに目の前に着地した人物を見て大地は顔をしかめた。

「盗み聞きか、悪趣味だな」
「…………」
 徹が言葉を投げた相手、路佑は”牛頭馬頭”で強化された身体を伸ばしながら大地達を見据えた。
「よくもやってくれたな……」
 言葉少なだが路佑から発せられる殺気には彼の怒りが込められている。
 大地達がいたのは連絡地として設定した路地裏。路佑は屋根を伝い退路を断つ事で大地達に逃げ場をなくしていた。
「終わりだ……」
 しかし、体格で一回り以上も劣る徹は路佑の言葉に全く臆しなかった。それどころか薄い笑みを浮かべている。


「確かに、終わりだな」
「あ………?」

 聞き返すのと同時に路佑の左足と右脇腹に激痛が走った。











「あの野郎……姑息な真似して消えやがって……」

 赤髪を乱しながら焔は動く事も出来ず廊下に立っていた。
 周囲の壁には焔の放った刃が突き刺さり確かにそれも十分危険なのだが、焔が動けないのはそれではなく、自分の周囲に仕掛けられた罠のせいだ。
 潤の異能によって仕掛たトラップで、この周囲には無数の見えない刃が浮かんでいる。下手に動いて動脈を切断しようものなら死ぬ。 
 自分の刀で砕こうにも標的が見えないのでは当てずっぽうにしかならない。いくつかは砕いたがそれですべてなのかもわからない。

「あのアマ……」
 沸々と体内で怒りと殺気が渦巻く焔。そんな焔に一人の女が近づいた。
「無様ですねぇ、伊田隈さん。痛ッ!」
 動くたびに悲鳴を上げながら近づく斑に路佑は眉をひそめた。
「斑ぁ。なんのようだぁ」
「いや、痛ッ。迷子の人がいたんで、イッタ!ちょっと道案内を……」
「道案内だぁ?」
 妙に落ち着いている同僚に焔は聞き返した。
 とにかく斑にトラップを全て取り除かせようと口を開いたが斑の背後から現れた一団を見て停止した。


「やぁ、やぁ。随分お困りのようですね」

 黒い制服を纏った男__軍警察の男を見た焔はその服装に気づくと殺気を強めた。

「てめぇ!!斑!裏切りやがったのか!?」
「え!?え?」
 焔の怒号に混乱する斑を見て、 茶髪の”若い”軍警の男はヘラッとした笑みを見せると焔に触れた。

「おい……」

「怒らないでくださいよ。彼女ちょっと記憶が混乱してるみたいでしてね、こちらから案内をお願いしたんです。…………本当に助かりました」











 激痛に動きが鈍る路佑の額に冷たい銃口が押し当てられた。

「”異能”の使い過ぎで鈍った脳じゃ、なにが起きたかわかんないだろうけどさぁ」
 徹はフッと笑った。

「こんな狭い路地で上から軍の優秀な狙撃手に狙われたんじゃ避け用がないと思わない?」
 挑発的な言葉に路佑は徹に殴り掛かろうとするがその攻撃はあっさり避けられた。

「思考が隠せないようじゃ俺には攻撃出来ないよ」









 雪崩をうってはいってきた軍警に桃矢は驚いて修兵の影に隠れた。


「軍警!?なんで」
「なんでって通報したんだよ。裏組織の取り締まりは軍警のお仕事だからなぁ」
 なんだか棒読み口調の修兵の前に他の警官を引き連れて大貫と詩音が近寄ってきた。
「ちょっと、君ら……」
 桃矢達を見つけ、明らかに機嫌が悪い詩音が何か言おうと口を開いたがそのまえに大貫側って入った。
「ったく、ものの見事にやってくれたな。お前ら」
 怒ったような呆れたような声に一同は小さく笑った。
「ちょっと大貫さん?」
 暢気な上司に詩音が何か言おうとしたが大貫に無言で圧力をかけられ黙った。

「俺が散々釘を刺したにもかかわらず、アジト急襲して、裏街で爆破騒動だぁ?」
 爆破騒動の原因である牡丹に皆の視線が集中したが当の本人はどこ吹く風だ。
 察した大貫はため息をつく。

「まぁ、無事【亡霊】は検挙出来たし、上も上機嫌だ。今回はなにも見なかった事にしてやるよ」
「偉そうに……」
「うっさいぞ、創平!」

 そう言って煙草をふかすとさっさと行けというように手を振った。

 詩音が桃矢たちを表まで案内する事になり不機嫌ながらも皆を先導した。
 すでにアジト内には多数の軍警が入り乱れ、多くの構成員は拘束されていた。
 その中に自分を睨みつける小夜を見つけて桃矢の心がざわついたが頭を振って忘れる。
 そんなことをしたから角を曲がってきた男とぶつかった。

「あぁ、すいません」

 そう言ったのは茶髪の若い軍警の男だった。
 しかし、桃矢や他の探偵社の面々に気づくと一瞬不快な表情を見せたがすぐにそんな気配すらなくなった。
「白縫さん。表の方片付きました」
「えぇ、誰かさんのせいで余計な手間がかかりましたが」
 チラッと潤を見たがすぐに男、喜八郎はなんでもないように詩音を見た。
「おかげで楽に出来ました。まぁ、あいにく生きては捕まえられませんでしたけど」
「あ?」
「そう簡単に捕まえさせてくれませんでした。御愁傷様。……でも犯罪者なんだからどうでもいいですよね」
 その言葉になにか感じ取った詩音の顔が曇った。

 しかし、会話を聞いていた牡丹がわざとらしくため息をついた。
「まぁた、いつもの”癖”ですか、”お巡りさん”」
 皮肉めいた口調に喜八郎は薄ら笑いで答える。
「何の事でしょうね。では、あとは下っ端が片付けますので」

「とんだ危険人物だね」
 牡丹はそう言うと桃矢を引っ張るように歩いていった。



 その後ろ姿を影から見ながら喜八郎は作り笑いを消し去るとイライラと唇を噛んだ。
「……異能探偵社、鬱陶しいなぁ」
 そうしてサッときびすを返すと獲物を探すように喧噪の中に消えていった。










「よぉ、いい眺めだな」

 連行されていた禅十郎はアジトから出るとそんな言葉で迎えられた。
 見れば軍警に混じって白衣姿の無精髭の男がニヤッと笑って禅十郎を見ていた。

「とうとう捕まったか」

「黙れ……、一ノ瀬軍刀」
「今は当麻軍刀って名前のただの町医者だよ」
 【亡霊】の母体組織であった【影】で禅十郎と同じく幹部だった男__当麻軍刀はその言葉にヘラッと笑った。
「そう怒るなよ。昔は可愛かったのになぁ」
 からかうような言葉に禅十郎の殺気が増すが軍警たちに突きつけられている拳銃でなにもしなかった。当麻は探偵社と関係もあるため軍警ともなじみなので特になにも言わない。

「なんのようだ」
「俺は医者だぜ?愛しのハニーに頼まれて馬鹿共のために出張だよ。ついでに昔の部下の治療」
「……いいのかそんなことして」
「軍警の上の方は、お前を生きたまま尋問したいらしいからな」
「…………」

「ったく、餓鬼の頃からあの人の信奉者だったもんな、お前。それであの人がいなくなったあとの居場所探すうちに自分が【亡霊】になってた訳か。その割には随分裏で好き勝手やってたな」
「……。なんで……軍刀…さんはあの人を奪われて平然としてられる」
 睨まれながら聞かれた言葉に当麻は肩をすくめただけだった。
「元々俺はそこまであの人に執着出来なかった。あんな壊れた組織いられない。【影】は光が当たった時点で消える運命だったんだよ」

 ふっきったような言葉に禅十郎はしばし黙り込んだ。

「……あんた変わったな」

「今は愛に生きてるからな♪」
 当然のようにかえされた言葉に殺意が湧いたが当麻に強く肩を叩かれ抑えた。
 あまり痛みがないのは当麻がある程度の傷を治療したからだろう。

「まぁ、俺も軍警の言いなりになるのは癪だ。だから……」














 連れて行かれる禅十郎を見送ると当麻は丁度やってきた桃矢たちを捕まえた。
「ほら、そこに座れ馬鹿共」
「馬鹿はないっすよ!」
 創平の抗議の声も当麻の拳骨で黙らされた。

「ったく、てめぇらもともと頑丈なんだから俺の”異能”使ってやる価値もねぇ」
 乱暴に言いつつも鷹人らの重傷部分は的確な処置を施す。
「そういえば、禅十郎さんと知り合いなんですか」
「ん?……ちょっとした顔見知りだ」
 はぐらかす当麻に首を傾げたが大地らが到着したのでその考えは中断する。

「よぉ、生きてるか?」
「徹」
「バカヒトがちょっとした怪我したぐらい」
「紅魅ちゃん。肋骨骨折はちょっとした怪我じゃないからね」
「そのまま背骨折って永遠に入院したがどうですか?先輩」
「サラッと死んでるよね」
「修兵先輩も桃矢くん帰ってくるから人手は大丈夫ですよ?」
「潤、それはあまりにも……」
 太一が諌めるがその言葉は牡丹の声で消された。
「とにかく。非番なのに働いて疲れた!帰りに【猫の目】でご飯食べましょ」
「いいですね」
「迷惑かけたんだから桃矢のおごりね」
「え、あの……」
「だったら【猫の目】よりも高いお店にしましょうよ」
「ば、【猫の目】でいいじゃないっすか!」
「あらぁ、何焦ってるの創平」
「露人が好きだからだろ」
「し、修兵さん!!!」
 サラッと言われ創平の顔が赤く染まった。
「え、そうなの!」
 嬉しそうに言う紅魅に太一がため息をついた
「わざとらしいよ、紅魅。知ってたくせに」

「まぁ、そう言うわけなら行くしかないね」
 牡丹はそう言うと嬉しそうに桃矢の背中を叩いた。
 まだ完治してない傷に響いて思わずうめき声を上げるが、歩き出す探偵社の面々についていけずに立ち止まった。
 その様子に気づいて皆が振り返る。


「どうした桃矢」

「あ、あの俺、探偵社で働いて……」



「なにごちゃごちゃいってんの?さっさと帰るよ」

 鷹人の声に桃矢は少し沈黙してから満面の笑みを浮かべて皆の後を追った。


「はいっ!!!!」

Re: ××異能探偵社×× 【11/15up!】 ( No.84 )
日時: 2014/11/15 19:07
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)
参照: ちょっとした後日談。




「ごゆっくり」

 いつも通りご飯を運び終えた清子はクールにカウンターに戻っていた。
 桃矢や創平は思わずそんな彼女を追ってしまう。
「ったく、見とれ過ぎ。馬鹿二人」
 ウインナーをつまみながら紅魅が呆れた。
「いいじゃないですか!」
 桃矢は誤摩化すように言うとロールパンを口に突っ込んで入りきらずにむせた。


 あれから一週間。
 探偵社はいつもの日常を取り戻していた。

 あの後、軍警は禅十郎を取り逃がした。
 どうやったのか手錠から抜け出し、追跡する軍警をまき逃げ果せたそうだ。
 大貫は上司に絞られ、修兵は愚痴を聞くのにつき合わされたらしい。

 しかし、【亡霊】の多くの構成員は牢に入れられた。
 幹部も焔と悠真は死亡が確認され、花や路佑、彩らは【帝都】の監獄の厳重な牢に入れられた。

 そして、元は【亡霊】で殺し屋まがいの事をしていた肝心の桃矢(正確には”櫻”だが)は__


「よかったな、社長に救われて」
 大地の言葉に桃矢はうなずきつつも唸る。
 『過去の事は関係なく、まっとうに生きていきたいなら”探偵社”でその分人を助けろ』
 大地伝いに言われた社長の言葉だが、

「あの、俺の件までもみ消せるってココの社長っていったい何者なんですか」
 出張らしいという事実だけは聞いていて、いまだに桃矢はあった事がない。

「基本的に社長ほとんどいないからな」
「俺も会ったの採用の時ぐらいだしな……」
 創平の言葉に思わず「えっ!」と叫んでしまう。

「まぁ、知らない方が良いんじゃない?」
「いつかは帰ってくるだろ」
 潤と修兵に 流された。

「じゃあ、清子ちゃんに聞きなよ」
 鷹人がカウンターに立っている清子を指差した。

「え、なんで……」
「清子ちゃん。数ヶ月前まで探偵社員だったんだよ、しかも社長付きの」

 突然の事実に桃矢は驚いた。
「そうなんですか!?」
「だいたい、創平が探偵社入ったのだって露人目的だろ」
「違いますよ!」
 修兵の言葉を否定しつつも顔が赤い。

「え、なんで辞めちゃったんですか?」

「なんでだっけ」
「それも社長にしか言ってないよな」
 他の面々も知らないようだ。
「唐突だったからなぁ」
「創平に引いたんじゃないか」
「なんでっすか!」
 すると訳知り顔の牡丹が 面白そうに笑った。

「え、姐さん。知ってるの」
 徹の言葉に牡丹は少しためらうように間を取ってから口を開いた。





「寿退社」

 予想していなかった単語に桃矢、創平をはじめ軽い衝撃がはしる。

「!?」
「だ、なにそれ!」
「なんで!」
「は、え!?」

「相手は?」

 その時カウンター裏から軽快な電話のベル音が鳴った。
 すると清子がスッとカウンター裏に消えていく。

 その様子にどこか見覚えがあって、桃矢の脳内である映像が再生された。

「まさか……」

「当麻医院の当麻先生」






「「「ええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーー!!!!?」」」




 一拍置いた後、店内に驚きの悲鳴が響き渡った。

Re: ××異能探偵社×× 【11/15up!】 ( No.85 )
日時: 2014/11/15 20:01
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)



__嘘でしょ




____本当になんでこんな目に会ってるの!?






「動くんじゃねぇ……」
 目の前に突きつけられる黒光りする銃に少女は心臓をわしづかみにされたような恐怖を味わっていた。


 今日はなんでもない一日のはずだった。
 いつも通りに、友達と遊んで、ショッピングを楽しんで。
 調子に乗って、彼女達と別れた後にお洒落なカフェに立ち寄ったのがそもそもの間違いだった。
 煉瓦作りの外観と猫の瞳をデザインした看板に惹かれ、のんびりしていたのも束の間、慌ただしく入ってきた2人組が店員を人質に取り、少女らに拳銃を向けたのだ。

 強盗らしいというのはすぐに分かった。
 が、こんなタイミングでかち合ってしまう自分の運のなさを呪うしかない。

「軍警に通報なんかしたら殺すからな!?」

 まるでドラマの中のような台詞にいっそ現実感さえ感じなくなっていた少女だが、すぐ横に座っていた男性客が震える少女の肩を軽く叩いた。

「!?」
 驚いて振り返ると、叩いた方もその勢いに驚いて一瞬のけぞった。が、すぐにその表情は落ち着いた物に変わった。
「大丈夫」
 それだけ言って笑う青年を見て少女は呆気にとられた。
 青年は筋骨隆々と言うわけでも大男というわけでもない。下手をしたら少女とあまり年も変わらないようないたって普通の青年に見えたからだ。

「そこの奴!なに笑ってやがる!」
 青年に気づいた強盗犯の一人がそう喚きながら拳銃を向ける。
 思わずのけぞる少女と対照的に青年は拳銃など見えていないように立ち上がった。
 そして平然と男が構えている銃を掴んだ。
 あまりに堂々とした動きに相手の男も動く事が出来なかった。
「ったく、うちらの常連の店で銃振り回すとか。馬鹿なのか」
「……」
「大地さんに殺されるよ?」
「あ、何が————
 青年の手を払おうとした強盗は次の瞬間背中を下にして倒されていた。
 背中を強打し咳き込む男の首筋に的確な攻撃を入れ昏倒させる。
 その鮮やかな動きに思わず少女は見とれていた。

「てめぇ!!!」
 相方が気を失ったところで我に返ったもう一人の男が青年に銃を撃つが、それよりも早く青年の身体は銃の軌道からそれて男の懐に潜り込んでいた。

「強盗は他でやりましょうねっ!」
「グボッ」
 妙な声とともに男は腹を抑えて倒れ込んだ。

 強盗の制圧に他にいた客から拍手が起こった。
「だれか、軍警に通報お願いします」
 ウエイター達がばたばた動く中で腰を抜かしたいた少女に気づいて青年が手を差し出した。

「あ、ありがとうございました……」

「いや。たまたまいただけなんで」
 青年は少し照れくさそうに笑った。
「軍警さんなんですか?」
 少女の問いかけに青年は首を振った。
「ううん。軍警じゃないんだ。……あ、これ、よかったら」
 そう言うとなにかを探すようにコートをわさわさしていたがやがて小さなケースを見つけ、少女に生成り色のカードを差し出した。

「なにか依頼があれば是非」

 そう言って恥ずかしくなったのか青年ははにかむと手を振って勘定を済ませ喫茶店を出て行った。
 去っていった青年の後ろ姿を見送って少女は改めて渡されたカードに目を落とした。








 【”異能探偵社”  冬月桃矢】



 そこには深緑色のインクの洒落た文字でこう書かれていた。































   + + + + + + + +




 これにて”異能探偵社”【冬月桃矢編】を完結させて頂きます。

 いやぁ、夏休み中に終わらせると言っといてこんなにかかってしまいました。
 自分でもいろいろ破綻してるなという部分が多々あるんで
 完璧に納得はできてませんけど
 完結出来たのでとりあえず満足です。



 謝らなきゃいけないこと。
 散々募集しといてろくに登場させられなかったオリキャラの皆様←
 モブになるかもとか言っといても扱いが酷過ぎました……
 本当に申し訳ありませんでした!!!



 さて、
 【冬月桃矢編 】とか言ってる通り、このシリーズまだ続きます。
 というか、多分これは序章で次がメインになる(はず)です。
 まぁ、グリムを無理矢理終わらせてから始めるか、
 また調子に乗ってこのまま続けるか、
 現実もいろいろ忙しいのでそっちのかねあいでまた更新は亀並みになると思いますが……

 今度は【異能者の日常と襲撃(仮題)】でお世話になります。





 最後に作者の自己満足小説にやってきて頂いた方々に感謝をこめて。







     + +special thanks+ +

入道雲様、通俺様、ダンボ様、瑠璃子様、コンラート様
あるねーる様、パーセンター様、ララシュ様、風死様
夏希様、篠鷹青空様、スミレ様、サニ。様、雨様
リグル様、95様、秋雨様、ぽーら様、八朔様

Re: ××異能探偵社×× 【11/15up!】完結。 ( No.86 )
日時: 2014/12/11 19:32
名前: るみね (ID: kzWZEwhS)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=17415

気分で上げてみました←

現在、この二年後に当たる小説を執筆中(上URL)です。
よろしければそちらもお願いします。

Re: ××異能探偵社××   完結。 ( No.87 )
日時: 2015/03/15 20:52
名前: るみね (ID: L1jL6eOs)

このたびこの話を再編集したものを別サイトにて投稿させていただく事になりました。
完全に同じで再投稿というわけではありませんが、オリキャラを下さった方とかこちらで改変、もしかしたら登場場面も削ってしまうかもしれませんがご了承の程をよろしく御願いします。


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