複雑・ファジー小説

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××異能探偵社××   完結。
日時: 2014/12/11 19:32
名前: るみね (ID: kzWZEwhS)

____おやぁ、ここらでは見ない顔だね。



  ___昼間の事件?あぁ、”異能探偵社”の連中が片付けてたね



_______え、”異能探偵社”ってなんだってだって?








    _____あんたおのぼりさんかい。

          じゃあ、教えてあげるよ。この地区の”はぐれ者”たちの話をさ






              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞



 いらっしゃいませ♪
 不定期更新、長期逃亡の常習犯のるみねです。

 【GRIM】執筆中のくせに性懲りもなくまた立ち上げました。
 もう一つの【鬼語】の方向性に完璧につまって、おそらく【鬼語】よりもこっちを【GRIM】と同時進行にやっていく事になりそうです。


   ×××注意事項×××
■更新不定期。今度こそ続けるつもりですが保証出来ません。
■自己満足の塊。
■登場人物はかなり多い(予定)です。
■【鬼語】からキャラを流用してます。
■荒らし禁止!
■とある漫画の設定から触発されてやってます。
■こんな感じです。わかる人は元ネタ分かると思いますが、日本を舞台にした能力ファンタジー物を目指します!


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

■オリキャラ募集用紙 


■用語&登場人物 >>005 ←更新しました!

   ×異能探偵社×
篝火創平   >>008   根岸太一   >>009
暮葉紅魅   >>015   能登潤    >>018
赤嶺徹    >>019

     ×軍警×
白縫喜八郎  >>007   八千草雨季  >>010
零蝉路ヱン  >>026   相沢詩音   >>027

   ×亡霊レムレース×
伊田隈路佑  >>035   姫路彩    >>036
陣刀焔    >>039   瀬良悠真   >>044
輪状斑    >>053   水無月小夜  >>060


第壱話 [出会い]  >>002.>>004
第弐話 [異能探偵社] >>014
第参話 [初仕事]  >>023.>>029.>>031
第肆話 ["大鴉"]   >>033.>>042
第伍話 [真実]   >>048.>>051.>>055.>>057
第陸話 [櫻]    >>058.>>062
第七話 [___]  >>066
第釟話 [墓地]   >>070.>>073
第玖話 [セイギノミカタ] >>077
第拾話 [桃矢と櫻] >>081.>>082.>>083
+後日談     >>084

 エピローグ   >>085


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Re: ××異能探偵社×× 【8/14up】オリキャラ募集! ( No.54 )
日時: 2014/08/16 09:23
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)

>>通俺さん

いらっしゃいませ。
路佑くん、すいません。
ろくに能力もいかせず申し訳ないです……m_ _m



>>秋雨さん

いらっしゃいませ♪
釣られてくれてありがとうございます。
戦闘要因というよりなんか巻き込まれた人って感じですね←
こういう子嫌いじゃないです。

Re: ××異能探偵社×× 【8/14up】オリキャラ募集! ( No.55 )
日時: 2014/08/16 14:08
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)


  第伍話_参



「だ、大地さん!」

 首筋を強打し意識を奪った路佑の両腕を拘束する大地に桃矢が駆け寄った。
「こいつは軍警に引き渡すぞ。ホントは殺したいとこだけど。聞きたい事もあるからな」
 サラッと怖い事を言う。しかしそれより、

「あの、だ、大丈夫なんですか」
 みるみるうちに治っていく傷を横目で見ながら桃矢は聞いた。
 七瀬の言う事が正しいなら異能は制限時間がくれば解除される。そういった使用制限のかかる異能はすぐに再度使うことは出来ないはずだ。
 しかし、大地はなんでもないというように笑った。
「あいつの時間の計り間違えだろ。問題ねぇよ」
 ガシガシと頭をなで、廊下の怪我人を見に行った。落ち着いたことで看護師や見舞客が怪我人を運んでいる。
 幸い出血は派手だが死者はいないようだ。


「大丈夫じゃないよ……」
 機敏に動く大地を見ていた七瀬がぽつりと呟いた。
「え?」
「大地さんの異能は普段脳で制限されてる身体能力を100%使う能力でもあるの。けど普通あの能力で動こうとすれば筋繊維が痛んで身体が持たない。だから同時にある回復能力でそのダメージも受けた攻撃も相殺する。けどそんなこと長時間は出来ない。だから使用制限があるの。通常は5分を超えたら使えない」
「でも今__」
 、、、、
「通常なら。……代償をかける事で能力の持続時間を延長出来る」
「……代償?」
 七瀬はそこでいったん言葉を切る。迷いながらも口を開いた。

「寿命」
「……!」
 その言葉で桃矢は黙った。

「あんな人だから無茶ばっかり。香澄さんの時だって……」
 そこで七瀬は言葉を濁した。

「おぉい、七瀬ちゃん。こっち頼む」
 なんともないように呼ぶ大地に七瀬も表情を引き締める。思わずそんな彼女の頭をなでていた。

「お、俺も手伝うよ。当麻先生は____」
 そこまで言って桃矢は先ほどの当麻に突きつけられた言葉を思い出した。
 路佑に言われた言葉も。
「……」

 黙り込んで立ち止まっている桃矢のもとに心配そうに大地が近づいた。
「どうした?気分悪いのか?」
 心の底から心配しているその表情を見て、桃矢は心を決めた。



「大地さん、実は俺____」

 全て話した。
 【幽霊レムレース】に所属していた事も。そこで暗殺を行っていた双子である櫻の存在も。
 早口でまくしたてる桃矢の言葉を大地は黙って聞いていた。
 怖くなって逃げ出して。途方に暮れていたところに鷹人と出会い、ここなら隠れ蓑になるという打算もあって探偵社に潜り込んでいた。

「俺。騙すような事してて……ホント」
「だからなに?」
 言葉に詰まった桃矢に対して大地はあっさり言い放った。

「桃矢が【亡霊レムレース】だった事とか、過去なにしてたとか俺は、というか探偵社の連中は誰も気にしないと思うよ?」
「でも、俺殺人組織の一員なんですよ!?」
「桃矢はそれが嫌で抜けようとしたんだろ?」
 そう言って倒れている路佑を示す。

「それに、今は桃矢は【異能探偵社】の人間なんだから」
 桃矢の悩みなど真っ向から壊すような言葉と笑顔。
 いままでそんな言葉などかけられた事なんて無かった。

 無意識のうちに目から涙が零れ落ちる。
 黙ってしまった桃矢の肩を軽く叩くと大地は怪我人達の移動を手伝いに戻っていった。

「平気?」
 そばにいた七瀬が心配そうに下から桃矢の顔を覗き込んだ。
 桃矢はあわてて涙を拭くと顔を上げた。
「うん、大丈夫!俺も手伝うよ」
 その吹っ切れたような表情を見て七瀬もフッと顔をほころばせた。

「じゃあ、お願い! こんな時に先生ったら、どこいっちゃったのかな……」
 七瀬の言葉で周囲を見渡すと数人の看護師の姿はあるが確かに当麻の姿は無い。
 広いと言っても個人が経営する医院だ。騒ぎが始まってしばらくたつのにまだいないというのは確かに不思議だ。
「でも一緒だったよね」
「なんか病室から慌てて出てったんだけど、そのあとがわかんないの。雨が降って来たのを見て急に慌てて、ワタシは音がしたからこっちに来たんだけど、ここにもいないし……」


____雨


 その言葉に桃矢のうなじの毛が逆立った。
 外を見れば微かに夕日を反射した薄暗い雲がたちこめ、ガラスを水滴で濡らしている。
 日が傾いて来た事、先ほどの襲撃で廊下の電気がいくつか切れ、かなり薄暗くなっていた。

「影……」

 考えたのは一瞬だった。
「駄目だ、まだいる!____あの人が」
 廊下にいた人間が怪訝そうな表情で顔を上げるのと、廊下の”影”が人を”喰う”のが同時だった。


 影から立ち上がる黒い鬼____
 全ては一瞬。現状を理解する余裕も悲鳴を上げる間もなく。
 ”影”に”喰われた”人間の血が廊下中に飛び散った。
 四肢の一部を失い、あるいは全てを飲まれて。

「いやぁ—————ッ!!」
 悲鳴を上げる七瀬。思わず駆け寄ろうとする。
「_____ッ!!!!」
 それを止めようと叫ぼうとした桃矢の口は背後から現れた小さな手で塞がれた。
「!?」
 驚いて頭を回すと桃矢に後ろから抱きついている少女と目が合った。
 淡い栗毛に深緑色の目の少女を見て桃矢の顔に恐怖が浮かんだ。

「久しぶりぃ♪」

 そんな少女を追いかけるように背後から乾いた下駄の音が響く。
 音に気づいた七瀬も振り返る。

__まさか……





「はぁ、ようやく動ける」


 その声に桃矢の全身の毛が逆立った。
 暗い廊下から現れたのは黒で統一された和装に外套を着込んだ男だった。
 180ほどの身長、中肉中背。少し伸びた髪。
 普段町を歩いていても見逃してしまうような男。しかし、桃矢は動けない。

「く……ろお……さん…………」


 絞り出すように言った言葉に男、黒尾禅十郎は首を傾げると三日月のように目を細めて笑った。






「よぉ……桃矢」







 いつものように何を考えているのか分からない笑み。
 桃矢は背中から抱きついていた少女を振り払うと数歩後ずさった。

「嫌われちゃった……」
「いきなり飛びついた花が悪い」
 そう言われむくれる花を気にせず、禅十郎は顔を強ばらせる桃矢を見て首を傾げた。

「なんだよ、せっかく迎えに来たってのに抱擁もなしかよ」

「……」
 また数歩下がる桃矢に禅十郎はポンと手を打った。

「そうか、やっぱ他に見物人がいるのはやりづらいか」
「!!」
 その言葉で桃矢はすぐ後ろにいた七瀬を抱えるとその場から飛び退いた。
 数秒遅れて七瀬のいた場所を”影”が遅い床を抉った。そのまま”影”は桃矢を追ったがその動きは桃矢と七瀬に追いつく前にとまった。

「おぉ、さっすが」
 感心したように言う禅十郎の横で花などは拍手までしている。

「……【亡霊レムレース】の……ボスまでお越しとはな」

 ”影”を砕いた大地が立ちふさがる。
「大地さ____ッ!」
 思わず叫んで大地の脇腹が大きく抉れていることに気づき言葉を無くした。脇腹の肉と一部の臓器まで損傷を受けているのか出血も酷く回復も追いつかないようだ。
 平然としているようだが七瀬の青い顔を見なくとも重症である事は分かる。

「大地さん……俺__」
 震える桃矢の言葉にも大地の表情はいつもの人を安心させる笑顔だった。
「大丈夫。……新人は見てろって」
「……」


 一方の禅十郎は残念そうに一人愚痴っていた。
「最初の攻撃で仕留められないのはやっぱ痛かったな。路佑を追いつめたんだからそれぐらい考えてやるべきだったか……」
「ぜんじゅーろー。ダサい」
「黙って、花」
 辛らつな言葉に一瞬くらっとしながらも再び余裕の表情を取り戻す。

「まぁ、いくら探偵社の武闘派で、”国士無双”の回復能力があるにしてもその怪我と路佑と戦った後の体力じゃ俺には勝てない」

「……っ」
 禅十郎の言葉は正しい。
 今も無理に異能を使っている事で重傷をどうにか回復している状態だ。

__くそっ……
 



「じゃあな____」


 大地に向かって手を出す。しかし、激しい殺気を感じ咄嗟にその手を引いた。
 その目の前を何かが通過し、禅十郎の腕の肉が裂けて血が飛び散った。
「!?」
 ビクッと身体を震わせる花の一方で、禅十郎は目を驚いたように開いて輝かせた。




「おいおい、聞いてねぇぜ……」






 驚く大地や禅十郎たちの視線の先には両手を変化させた桃矢が立っていた。

Re: ××異能探偵社×× 【執筆中。】オリキャラ募集! ( No.57 )
日時: 2014/08/19 07:22
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)


   第伍話_肆


 身体が勝手に動いた。

 大地に迫る禅十郎の手を見て、咄嗟の反応だった。
 立ち向かおうとしても結局守られてばかりでなにもできない自分に盾という利用価値でも与えようとしたのかもしれない。
 しかし、何かがその心理を止めた。

          、、、、、、
__お前のやる事はそれじゃない

     
 その言葉で何かが外れた。





 
 桃矢が気がついたとき、目の前にあったのは腕から血を流し、目を輝かせる禅十郎と驚いている大地や七瀬の姿だった。

               、、
「おいおい、聞いてねぇぜ……桃矢」



「桃矢くん、それ……」
 やけに響く七瀬の言葉で自分の身に起きた変化に気づく。

 音が聞こえる。鼻が効く。いままで感じていた五感全ての感度が増したようだ。
 そして……

「なんだこれ……」
 変化した手に思わずそんな言葉が出た。普通の手とは違う。獣の手のようだが、鉤爪を足して二で割ったような特殊な形だ。

「なんだお前、自分の異能に驚いてんのか」
 唖然としている桃矢に禅十郎が声をかける。その言葉で我にかえった。
「俺の異能……」
「まぁ、なんにせよおめでとう、桃矢。これで桃矢も異能者だ」
 冷やかすような口調だがその表情には桃矢を侮っている様子は無く極めて冷静だった。



__異能者……

 軽く変化した手を握る。






「……大地さん。ありがとうございました」

 その言葉に何か言おうとしたが桃矢の表情を見てその言葉を飲み込んだ。
「七瀬ちゃんも。下がってて」


__今度は俺が、






「黒尾禅十郎____お前を倒す!」
 桃矢の言葉に禅十郎は馬鹿にするように首を傾げた。
「そんな目覚めたばっかのひよっこの異能で俺に勝てるとでも?」

「……やってみなきゃわかんない!」
 その力強い言葉に禅十郎は思わず吹き出した。

「はっ、いいぜ。のってやるよ。ただし相手は____」
 禅十郎だけでなく廊下の影という影が蠢くと無数の黒い塊となってゆっくり立ち上がった。

「____俺の”百鬼”だ」












 周囲に出現させた”影鬼”を操りながら桃矢に視線を向ける。
 もとの動きが嘘のように機動力が増している。”影鬼”の攻撃を避けながら時折接近して仕掛けてくる余裕さえ。しかし、接近にも”影鬼”を盾に使い決して近づけさせない。そうやって桃矢の動きを観察する。


__主体は変化した手での斬撃。

 盾にした”影鬼”を切り裂く姿に目を細める。
 すぐにその場に”影鬼”を仕掛けるがその前に逃げられた。


__力は東郷にも及ばない。が、

 フッと殺気を感じ咄嗟に背後の”影鬼”を盾にする。中心で切り裂かれ溶けるように消えた。



__スピードは東郷以上か。

 間違いなく大地や路佑と同じ身体能力を強化する異能。
 どちらかといえば身体構造を変化させ対応する路佑に近い能力のようだが、

__路佑の鬼とも東郷の人の動きとも違う。
   とらえどころのない俊敏で隙のない動き



「野生の獣だな……」








 禅十郎が分析する一方で桃矢も自分の動きに驚きつつも必死に頭を働かせていた。

__この人の異能、”百鬼夜行”は自分、周囲の影から”影鬼”を作り出し操り攻撃する能力。

 子供の遊びにある影踏みのように自分が踏んでいる領域の影は全て操る事が出来る。
 それ故に昼間に遮るような物の無い広い敷地では自分の影の面積しか操る事が出来ないため弱く、逆にこうした影の多い屋内や夜や暗い日、影の多い路地裏では全ての影を操り”鬼”に変化させる事が出来る。
 形状も自由自在で密集させる事で強度すら自由だ。

__でも、あの人の影に触れてない影は操れないし。なにより、





「自分以外の影を操ってる時は踏んでる影を逃がさないようにその場から一歩も動けない」



 迫って来た”影”を踏みつけると捕らえられる前にそれを足場に思いっきりの力で飛んだ。
 ほぼ水平に弾丸のような勢いで飛び出す。禅十郎が進行方向に”影鬼”を固めるが、その直前で勢いを殺すと姿勢を低くした体制のまま禅十郎を取り巻く”影”の隙間から懐に飛び込んだ。

____斬!

 桃矢の手が禅十郎の胸をかすめ外套を切り裂いた。とっさに半歩引いたために重傷は避けたが服にジワッと血のシミが広がる。


__いける!

 もう一歩踏み出そうとしたが背後からなにかに首根っこを掴まれると思いっきり投げ飛ばされた。
「っ!」
 どうにか体制を整えて壁激突は避けられたがそれでも足にはジンジンとした痛みが走っている。あわてて前を見るが”影”は禅十郎の周囲をうろうろするだけだった。どうやら”影”の一つに投げ飛ばされたらしいというのは分かったが、
 その中心に立つ禅十郎は傷の痛みなど感じていないようだった。その顔に張り付いているのは見る物を不安にさせる笑顔。

「想像以上だよ」


「まだ上手く扱えてないひよっこの異能で俺に傷を負わせるなんてな」

 ぺらぺら喋る禅十郎を黙って見つめる。
 長年下で働いて来たからこそわかる。こういう時の禅十郎は何か隠し球があるときだ。


__でも、この異能があれば……俺も

 強いまなざしで自分を見る桃矢を見て禅十郎はヘラッと笑った。


       、、、
「なるほど、"桃矢の"異能はこれってことか」



 その言葉に違和感を感じた。
 なにかを知っている言葉。

「??」
 桃矢の訝し気な表情に気づいたのか禅十郎は嬉しそうに話し始めた。
「言葉通りだよ。”桃矢としての”異能って意味」
「____どういう意味だ?」



「気づいてなかったのか?  てめぇは俺に始めてあった時から異能者だった」

 何を言っているのか。
 桃矢が禅十郎にあったのは桃矢がが九才のとき。その頃は異能どころか身体能力もなにもかも櫻に及ばなかった。

「そんなわけ__」
「異能の名は__”君子豹変”」

「な、なんでそんな事知って……」
 混乱する桃矢に禅十郎は真実を突きつけた。







                           、
「知ってるさ。お前から聞いたんだから。____なぁ、櫻」
「!?」

 禅十郎の言葉にバッと振り返るがそこには誰もいなかった。



「……櫻なんて」

「なに言ってんだ?」











「櫻はお前だよ。」

Re: ××異能探偵社×× 【5/19更新】オリキャラ募集! ( No.58 )
日時: 2014/08/20 21:49
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)


   第陸話  [櫻]




 唐突に突きつけられた言葉に桃矢の思考は完全にとまった。

「………は? どういう意味ですか?」

「言葉のまんまだよ」

「だから、なんで兄貴が」
「本気で分かってなかったんだな。まぁ、記憶は櫻が握ってるのか」

「??」

「お前の異能の”君子豹変”ってのは人格が変わる事で能力すら変わる異能だ」




「つまり、櫻はお前の中の別人格だ」






「_______は? だ、だって、お前らといた時櫻はずっと隣で」

「そう見えてたのはてめぇだけだ」



___嘘だ






____嘘だ




「嘘だ!兄貴は……櫻は俺と一緒に育って……」

「お前は両親が死んで櫻と二人で俺に拾われた。そして、すぐに櫻はお前をかばって死んだ」

「それ以来精神不安定になったお前は櫻を自分の中の別人格として持つ事で安定させようとした。その時に目覚めたのが”君子豹変”だ」





「この間、小鳥遊の家族をやったのもお前の中の”櫻”だ」









「今まで櫻がやってきた暗殺も抗争の戦闘もやったのは全部お前だ」




「わかるか? お前は傍観者なんかじゃねぇ、れっきとした殺人者なんだよ。」
 禅十郎は下駄をならしながらゆっくりと桃矢に歩み寄っていった。

__聞いてはいけない。こんな話でたらめだ。すぐに倒せ!
 そう思っても身体が動かせなかった。

「お前に平穏に暮らす権利も探偵社なんかでぬくぬくする権利もないんだよ!」
「桃矢!」
 わきにいた大地が禅十郎の声を遮るように叫んだ。
 しかし、桃矢の耳にその声は聞こえていなかった。

 桃矢が感じているのは背後に立っている気配。


          、、
__どうすんだよ、桃矢



____禅十郎の言ってる事は正しい。全てはオレがやってる事であり桃矢がやってきた事だ。




____どっちも嫌なら壊してやろうか?



_____ここにいる大地も禅十郎もあの七瀬って餓鬼も全員。




____オレなら出来るぜ?



  ……れ



_____殺人は嫌だって? なに言ってんだ。お前だってオレと同じ。



   …だ…れ



______現に三日前に絡んで来たチンピラどもの事だって、



         黙……


     、、、、、、、、、、、、、、、、、
_____お前無意識のうちに殺そうとしただろ?




「黙れ!!!」

 桃矢の叫び声で背後の気配がフッと消えた。
 その様子を見た禅十郎はニヤニヤと笑いかけて来た。

「さってと。櫻の殺人罪も全てお前の罪。そんな大罪人を軍警がほっとく訳ない」

「軍警と探偵社を敵対させる気か?」

「桃矢!俺たちは____」

「いいとこなんだから怪我人は引っ込んでろ」
 ズアッと動いた”影”が大地と七瀬に向けられた。
 殺気のこもった目だったが、横にいた花に服の袖を引っ張られて顔をしかめた。

「……次から次へと」



 そういった瞬間空気が震えた。
 桃矢と禅十郎の反対側の廊下から飛んで来た突風が大地と七瀬の前にいた”影”に打ち当たると弾き飛ばした。


「おおっし、命中!」


「馬鹿。異能者じゃない、”影”にあててどうすんだい」
「馬鹿」
「太一さん。二度言わないで!」
「馬鹿だよね」
「バカヒトには言われたくないだろ」
「縁姐さんキツいッ!」
「あぁあー、当麻医院こんなに壊して、当麻先生にキレられるよ」
「紅魅さんはお世話にならないじゃないですか」



 目の前に現れた探偵社の面々を見て禅十郎は顔をしかめた。

「ゾロゾロゾロゾロ……探偵社ってのは暇なのか?」

「優秀なの。おたくと違って。皆今日の依頼は全部片付いたらしいからねぇ。まだ終わらずにぐずぐずしてるうちの新人と筋肉馬鹿迎えに来ただけだよ」
 禅十郎の言葉を挑発するように牡丹が返した。

「姐さん。刺激しないで!」
「相手【亡霊レムレース】のボスですよ!?」
 怖いもの知らずの発言に創平と太一がさすがに注意するが二人もそこまで本気で止める様子は無い。
「ビビってんじゃないよ」
 牡丹の声はすっかり黙ってしまっている桃矢にも向けられた言葉かもしれない。

「とりあえず、桃矢!こんな馬鹿相手にしないで帰るよ!」







 牡丹の良く通る声。
 さきほどからずっと沈黙していた桃矢はゆっくり顔を上げた。

「……」


「……俺、帰ります」





  、、、、、、、、、
 「黒尾さんのところに」

Re: ××異能探偵社×× 【5/20更新】オリキャラ募集。アト1人 ( No.59 )
日時: 2014/08/20 23:50
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 7PvwHkUC)

あぁ、やはりそうですか。最近になって夫に勧められたから読んだのですが、面白かったです♪
と、それはさておき、もしかして私の発言のせいでオリキャラ募集先延ばししてたりします(汗
ということで、感想などは次の機会に。

    ××オリキャラ募集用紙(【亡霊】)××

■名前/フリガナ 逢坂 竜餓/あいさか りゅうが
■性別/年齢  男/17
■容姿 脱色しきったような白髪で耳が隠れる程度の長さのボサボサ頭。眼の色はダークグレイで、タレ気味。全てを諦めきったような疲れきった感じ。顔立ちは整っていて中性的。肌の色は白く、体つきは華奢だが長身。無精髭が生えている。囚人服のような上着をノースリーブにして着ている。
■性格 常に冷静沈着というか、何も感じずタダ淡々と黙々と人生を生きている、振りをしている。生気の欠片も見えないその瞳の裡には、出身国の闇に対する怒りとそれを断罪せんとする強い意志が宿る。卓越した頭脳と力をどこまでも多者のために使おうと誓った人物。本質的には思慮深く、優しく真面目。傀儡のような昼行灯を演じる。
■一人称/二人称 私/○○さん
■異能名 風林火山
■異能  世界のあらゆる自然現象を操り、小規模で実現する力。風の力と火の力の併用などはそれが現実にある現象でない限り起こせない。例えば風なら台風、林なら植物の以上促進、火なら自然発火現象、山(地と例え)なら地震を起こすなど。
■代償  能力を1分使うごとに、自分の人生の2周間分を失っている。今まで能力を行使した総量は60年分以上になるらしいが、本人は自分の命を安く感じているため、力を使うことにためらいはない。
■人物関係 誰とも関係を遠ざけたがる。故に誰との関係もほとんどない。
■その他 昔、父を軍警の間違った調査の末に失っている。その時から国の本質を疑うようになっている。結局は亡霊にいるのも復讐のために力を手にするため。誰とも関係を持たない代わりに、誰にも借りは作っている。
■SV
「私は皆様がくやしがる姿を見るのがたまらなく嫌なのです。なぜなら、私達は家族なのですから」
「そこがお前の墓標だ……上等だろう」
「いいえ、私は遠慮させてもらいます。私にはそれ以上に大事な用事が今ありますから」
「そうかよ。そんなに貴様ら死にてぇか……塵1つ残さず消してやる犬どもが」
■死傷表現がありますが…… [OK]
■作者の好みで準レギュラーorモブになる可能性が…… [Yes]
■不採用の可能性になるかも…… [Yes]


強すぎるかなぁ、能力……それと、勝手に軍警が悪者扱いに(汗



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