複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

××異能探偵社××   完結。
日時: 2014/12/11 19:32
名前: るみね (ID: kzWZEwhS)

____おやぁ、ここらでは見ない顔だね。



  ___昼間の事件?あぁ、”異能探偵社”の連中が片付けてたね



_______え、”異能探偵社”ってなんだってだって?








    _____あんたおのぼりさんかい。

          じゃあ、教えてあげるよ。この地区の”はぐれ者”たちの話をさ






              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞



 いらっしゃいませ♪
 不定期更新、長期逃亡の常習犯のるみねです。

 【GRIM】執筆中のくせに性懲りもなくまた立ち上げました。
 もう一つの【鬼語】の方向性に完璧につまって、おそらく【鬼語】よりもこっちを【GRIM】と同時進行にやっていく事になりそうです。


   ×××注意事項×××
■更新不定期。今度こそ続けるつもりですが保証出来ません。
■自己満足の塊。
■登場人物はかなり多い(予定)です。
■【鬼語】からキャラを流用してます。
■荒らし禁止!
■とある漫画の設定から触発されてやってます。
■こんな感じです。わかる人は元ネタ分かると思いますが、日本を舞台にした能力ファンタジー物を目指します!


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

■オリキャラ募集用紙 


■用語&登場人物 >>005 ←更新しました!

   ×異能探偵社×
篝火創平   >>008   根岸太一   >>009
暮葉紅魅   >>015   能登潤    >>018
赤嶺徹    >>019

     ×軍警×
白縫喜八郎  >>007   八千草雨季  >>010
零蝉路ヱン  >>026   相沢詩音   >>027

   ×亡霊レムレース×
伊田隈路佑  >>035   姫路彩    >>036
陣刀焔    >>039   瀬良悠真   >>044
輪状斑    >>053   水無月小夜  >>060


第壱話 [出会い]  >>002.>>004
第弐話 [異能探偵社] >>014
第参話 [初仕事]  >>023.>>029.>>031
第肆話 ["大鴉"]   >>033.>>042
第伍話 [真実]   >>048.>>051.>>055.>>057
第陸話 [櫻]    >>058.>>062
第七話 [___]  >>066
第釟話 [墓地]   >>070.>>073
第玖話 [セイギノミカタ] >>077
第拾話 [桃矢と櫻] >>081.>>082.>>083
+後日談     >>084

 エピローグ   >>085


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Re: ××異能探偵社×× 【8/10up】オリキャラ募集! ( No.48 )
日時: 2014/08/12 17:21
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)

  第伍話_壱  [真実]


「はい、到着♪」

 異能を解除し満面の笑みを浮かべる牡丹の横で青い顔で跪く桃矢。

「まだ五分もたってないから。早く言って用事すませな」

「ひ、ひゃい……あ、ありがひょうごじゃいました」
 吐き気を堪えながら頭を下げる。
 牡丹が届けたのは当麻医院の敷地の中庭のような場所で牡丹に気づいた病室の子供が手をふっていた。

「牡丹お姉ちゃん〜」
「久しぶりだね」
 笑顔で手をふりかえす。
「人気なんですね……」
「そりゃあ牡丹ちゃん美人だから」
 桃矢の疑問はわきから現れた白衣の男に答えられた。
 その声を聞いて牡丹が露骨に嫌な顔をする。

「いやぁ、そこの餓鬼をよんでまさか牡丹が来てくれるとは思わなかったよ」
「うせろ、変人!さらっと呼び捨てにしやがって」
 即座に変化させた鉤爪の足が当麻の顔面を蹴った。
「あいかわらずつれないなぁ」
 頭から大量に出血しながら平然と煙草をふかす。

「ち、ちょっと!縁さんなにやってんですか!」
「心配するな。こいつはこれぐらいじゃ死なない。もう一発やらせろ」
「駄目ですって!」
 さらに蹴ろうとする牡丹を羽交い締めにする。

「んだよ、蹴られてるのに無抵抗に全てを受け止める俺ってのもいいと思ったのに」
「そういう変人プレイは彼女とでもやったら?」
 牡丹がそう言うと当麻は頬を緩めた。
「ハニーにそんなことさせられるわけないじゃないかぁ♪」
「気色悪いからその裏声やめろ」
 あわあわする桃矢の腕を振りほどくと牡丹は両腕を再び黒い翼に変化させた。

「じゃあ、桃矢。くれぐれも気をつけろ」
 心配しか残らない言葉を言い残して牡丹は飛んでいってしまった。
「残念だ……」
 惜しそうに牡丹を見送る当麻だったがすぐに桃矢に向き直った。

「まぁ、とりあえず中はいって」
 中庭から当麻の個室らしい簡素な部屋に案内された。

「で、話なんだけど……」

「すいませんでした!あ、あの器物破損の件ですよね。それなら壊した費用は探偵社で負担するらしいので請求書を、あ。あと、壊した張本人は少し遅れるみたいで」
 必死にまくしたてるが当麻は別段怒っているわけでもないらしい。
「まぁ、探偵社にはもちつもたれつだからそこはいいよ。基本俺のおたくへの依頼料はタダだから」
「へ、なんで」
「なんでって、お前らみたいな年中喧嘩してる馬鹿の怪我俺の他に誰が見てくれるってんだ」
 不敵な笑みに思わずのけぞる。

「こっちもお前らには安い治療費できっちり直してんだから感謝してほしいね」
「なるほど……」
 しばしの沈黙。

「あの、じゃあ今日はなんで——」
 もし、今のがいつもなら別に桃矢が呼び出される必要性が特にない。
 当麻は桃矢の質問に答えずおもむろに白衣の内ポケットから煙草を出して吸い始めた。
「あの、ここ病院……」
「ここは俺のプライベートルームだ」
「……」
 しばらくすっていたのだが唐突に口を開いた。

「桃矢っつったけ?」
「はい」
「バカヒトから聞いた。【帝都伍区】で使用人やってたんだって?」
「えぇ、兄と一緒に……」
 怪訝な顔をする桃矢とちがって当麻はなんの表情もみせずに煙を吐き出した。









「桃矢くんの事?」

 紅魅が聞き返した。
「なんでそんなこと調べてんの?」



「桃矢くん。恐がりだよね」

 紅魅の質問に答えず鷹人が呟いた。
「そうね。それに心配性だよね。反応オーバーだし。それに、初日から潤ちゃんに思いっきり制裁受けてたね」
「あぁ……」
 潤は思い出すように笑みを浮かべた。
「前の新人来た時は目の前で寸止めされてそこでその子辞めたわねぇ」
「そのせいで大地さんに怒られたけどね」
 そこまで思い出して笑みを消し去る。
「でも桃矢くん凄いよね。潤ちゃんの攻撃避けてたし」
 紅魅の言葉に潤はそっぽむいた。
「へぇ、そんな事あったんだ」
 現場にいなかった徹が聞き返した。余計に気を悪くしたのか潤は更にふてくされる。
「手加減してたからね!」
「でも、さっきだって襲撃者の警告してくれたし」
「警告?」
 徹が首を傾げた。
「うん。扉開ける前から、襲撃者だって分かってたみたい。なんでかしらないけど」
 黙ってそれらの事を聞いていた鷹人はぽつりと呟いた。

「最初からちょっと気にはなってたんだけどね……」









 煙草を吸い始めて終始無言だった当麻が口を開いた。
「君が使用人として働いていたと言う【帝都伍区】のお屋敷。小鳥遊家の事だね」
「え、ええ」
 頷く桃矢の姿を確認すると当麻はおもむろに腰を上げた。

「小鳥遊家は二週間程前。原因不明の火災にあった。火災で屋敷は全焼。軍警は放火を疑ったがそれらしい証言も見つからず、厨房の被害が大きかった事から調理中の不注意の火災ということになったらしい」
「なんですか、探偵みたいですよ」
 歩きながら話す当麻に笑って言う桃矢だが、気にせず当麻は続ける。

「軍警の報告ではその火事で小鳥遊家の家族、使用人を含め全員が死亡した」
「……」
「ただ妙なんだ。この屋敷で発見された遺体は、火災が夕方に起きた物であるにもかかわらず逃げようとした形跡が一切ない。……小鳥遊家は影でマフィアとつるんでるって噂もあったから今軍警では組織に逆らって家族、使用人ごと処刑されたって言われてるらしい」

「そして、少し前から俺がここでかくまってる男。【帝都陸区】のなんでもない路地裏で全身大火傷で発見された。軍警の八千草ちゃんが”潜って”引き出した情報によると、そいつは【亡霊】の構成員で、弟のために組織から逃げようとして、その途中で襲われたらしい。そいつが襲われたのはここに襲撃者が来た4日前」

「つまり、【帝都七区】でお前は探偵社に拾われた3日前」



 青い顔でうつむく桃矢の表情を一瞥しただけで当麻はまた滔々と続けた。

「さて、ここからが大事なとこだ」
「ま、まだなんかあるんですか?」
 顔を上げた桃矢はこちらを見る当麻の表情を見て固まった。
 いつもの気怠気で覇気のない表情とは違う。__鋭く冷たい表情。

「今言った小鳥遊家。軍警はそこの使用人名簿を把握しているわけだが……」

     、、、、、、、、、、、、
「その中に冬月桃矢という名前は無い」

「……」

「そして、大火傷の男を襲った犯人の容姿は君と共通点がありすぎる」


 そこまで言った当麻はグンと桃矢に顔を近づけた。



「君は何者なんだ」

 しばらくの沈黙。そして桃矢が口を開く。

「お、俺は……」





 しかし、桃矢の言葉は激しく開いた扉の音で遮られた。
 入って来たのは明るい茶髪の小柄な少女だった。
「せ、先生!」
「七瀬。ノックぐらいしなさい」
 先ほどまでの暗い表情が消えいつもの気怠気な雰囲気で返す。
「っていうか、煙草!一応病院なんですよ!?」
「ここは俺のプライベートルームだ」
「またそんな……」
 七瀬と呼ばれた少女は呆れたように言うがすぐにハッと我に帰った。

「じゃないです!あの人が……」
 ただ事ではない。
 当麻もそれが分かったのかすぐさま七瀬を連れて部屋を飛び出した。
「あの」
「君はそこにいろ!」
 桃矢もおもわず追いかけようとしたが当麻にそこにいろと叫ばれ廊下に一人立ち止まった。

「俺は……」











「悠馬さん!」
 七瀬が叫んだ相手はあの全身大火傷を負った男性だ。
 数日前に意識が戻って容態も安定していたはずなのだが……。

「さっき見回りに来たら様子が変で」
 今は悠馬は目を見開き喉をかきむしっている。呼吸が出来ないのだ。
「悠馬さん!」
 当麻が呼びかけるがなす術無く、
「数……馬……」
 切れ切れに呟いた言葉を最後にとうとう意識が消え、心拍も停止してしまった。 

「…………なんで、だって意識も回復して、容態だってよくなってたのに……」
 取り乱す七瀬の頭をなでながら当麻はぽつりと呟いた。

「……”生殺与奪”」

「え?」
 聞き返した七瀬はガラス窓に当たる水に気づいて外を見た。

「雨…………?」

 さきほどまで明るかったのに今は暗い雲が増え、ポツポツと雨が降り出してガラスを濡らしている。
 それを見た当麻の顔色が変わった。
「まずい——」
「せ、先生?」
 病室を飛び出していく当麻を慌てて七瀬が追った。

「先生!!」


__勘違いであってくれよ










 一人で廊下にたたずんでいた桃矢。
 


「…………」




「俺は…………」




「俺は、ってなんだよ」
「!!」

 誰もいないはずの廊下で不意に声をかけられ桃矢は身体を震わせた。
 単に驚いただけではない。
 その声に聞き覚えがあったからだ。

 震える身体で振り返るとそこには群青色の髪のガタイの良い男がたっていた。

「…………よぉ、桃矢」







「伊田隈さん……」

Re: ××異能探偵社×× 【8/12up】オリキャラ募集! ( No.49 )
日時: 2014/08/12 18:17
名前: 通俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: 4RNL2PA4)

投稿したから少し間を開けての登場だと考えていたらすぐに来たー?!
そして何故の桃矢君、彼は一体……?
これからも楽しみにしています。

Re: ××異能探偵社×× 【8/12up】オリキャラ募集! ( No.51 )
日時: 2014/08/14 20:47
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)

 
  第伍話_弐


「……よぉ、桃矢」

「伊田隈さん……」
 そう言いつつ桃矢は離れるように数歩後ずさった。

「なんで、ここに……」
「……なんで?」
 男__伊田隈路佑は不思議そうに首を傾げた。

「……迎えに来た」
「迎え……」
「そうだ。【亡霊レムレース】の仲間として」
 その言葉を聞いて桃矢は唇を噛んだ。


「……あんたらが、あんたらが欲しいのは俺じゃなくて俺の双子の兄貴だろ。俺と違って異能もあって能力にも優れた」
「……そうかもな」
 路佑は軽く肩をすくめた。

「……とりあえず、黒尾さんが待ってる」
 腕を掴もうとのばした路佑の手を桃矢は弾いた。
 その様子に路佑はしばらく訝し気に桃矢を見かえす。

「……なんのつもりだ」




「俺はもうあそこには戻らない」
 自分よりも体格が勝る相手を前に身体が震えるが桃矢は声を絞り出した。

「櫻はここにはいない」
 その言葉に路佑の眉がピクッと動いた。
「何処にいるか分からない。黒尾さんに頼まれた小鳥遊さんの家族の暗殺。あの時、火が想定以上に広がって見張りだった俺のところにまで回った。必死で逃げて逃げてそこからしばらく覚えてない。とにかくそれ以来櫻とは会ってないし生きていてもどこにいるのかもわからない」
__ただ、ここにかくまわれている男をやったのが櫻なら……

 桃矢と同じように【伍区】から移動しているいるとすればこの近くにいても何ら不思議ではない。


「……」
 黙った桃矢を怪しむような視線を向けるが桃矢はキッと顔をあげると今度ははっきりと告げた。

「だから、もう櫻のおまけの俺はほっといてくれ!」

「もう嫌なんだ、両親が死んで浮浪児だった俺らを世話してくれた黒尾さんには感謝してるけど。もう、駄目なんだよ」
 桃矢の脳裏で恐怖に戦く人の顔がかすめた。
「俺は櫻のストッパー。櫻がやりすぎないよう抑えるためだけに連れ回されて……」


「やらないと居場所がなくなるから。だから女の人も、子供も……櫻も止めなかった。皆褒めてくれたけど……」

「どんなに仲間と言われていても……一つの失敗で簡単に切られる」



「でも探偵社の人は違う。こんな身元も知れないような俺を無条件に受け入れて仲間として扱ってくれた」

「生まれて初めて、櫻のおまけじゃなくて、冬月桃矢をみてくれた仲間……」





「だから俺は戻らない。俺が帰るのはそこじゃない」

 黙って桃矢の言葉を聞いていた路佑は深く息をはくと頭をかいた。
「仕方ない……な」

 一瞬。
 路佑が羽織っていた黒いローブがはためき、その下から取り出した金棒とモーニングスターが廊下の壁と窓をぶち割った。
 激しい亀裂と破壊音、ガラスの砕ける音が響き渡った。
「ッ!!」
 思わず耳を抑える桃矢の前で路佑はまた武器を振り回しガラスを砕いた。

「……黒尾さんに必ず連れてこいって言われてんだ」

「力ずくか」
「……それでもいいけど。自発的に来るっていってもらうのがいい」
 そういう路佑と桃矢のいる廊下の端や壁沿いの扉から何事かと入院患者や見舞客が現れた。

__まさか……

 嫌な考えが頭をよぎる。
 その表情の変化に気づいたのか路佑はあいもかわらぬ無表情で桃矢を見かえした。

「ご名答……」
 そう言った瞬間、路佑の体格に変化が訪れた。
 まるで身体そのものを膨らませたように、増強される力。

「逃げて!!!」
 叫ぶ桃矢を絶望にたたき落とすかのように、何のモーションもなしに無造作に投げた金棒が一番近くにいた患者の足を砕いた。
 阿鼻叫喚。
 廊下に飛び散った鮮血と目の前でおこった出来事を把握した患者や見舞客達は逃げようと身体を捻る。しかし、それすらも逃さぬとでも言うように人間離れした脚力で距離を詰め、確実に対象を破壊する。
 殺してはいない。
 しかし、それは情けでもなく苦痛と恐怖の悲鳴を上げる者達を桃矢に見せつけるためだ。
「どうする?」
 一瞬動きを止めた路佑はそう呟くと目の前で恐怖に声も出ない少女に向かって金棒を振り上げた。

「やめろ!!」
 叫んで飛び出した桃矢は金棒を持つ路佑の腕を捕らえた。
 しかし、桃矢の体重など感じてもいないように片腕で払われた。
「ぐっ、がッ!」
 壁に叩き付けられた衝撃で肺の空気がたたき出され、一瞬息が止まる。
 咳き込む前に路佑の手が桃矢の首を掴んで壁に叩き付けた。
「ッ!!!」

「どうする?このまま来るか……」

 そう言う路佑の攻撃範囲には先ほどの少女がいる。
 少女を助けたければ、選択肢は一つだけ。

「お、俺は……」

 震える声で息を吐き出そうとした時____路佑の持っていた武器が忽然と消えた。






「!?」
 路佑の一瞬の動揺。そのわずかな隙。桃矢を掴んでいた手の力が緩み、同時に誰かに身体を支えられ路佑からひきはなされた。
 思わず咳き込む桃矢の前に一人の男が立つ。
 その足下に先ほどまで路佑が持っていたモーニングスターが折れて転がった。

「よぉ、うちの新人に随分手荒な真似してくれてるな」

 突然現れた男に路佑はフッと目を細めた。


「…………探偵社の東郷大地か」


「だ、大地さん……」
 大地はいつもと変わらない穏やかな笑みを返した。
「大丈夫か?」
「あ、はい」
「じゃあ、ちょっとその子とか他の怪我人頼む」
 恐怖に震えている少女や怪我を負った患者達をしめす。

「俺はこいつを片付ける」
 そう言った大地の声に桃矢はビクッと身体を震わせた。
 表情はいつもとかわらない。だが、その声に含まれた怒りとはなつ殺気が冷たく突き刺さる。
「病院では暴れるな」





 対峙した二人。
 体格的には路佑の方が少し勝っているか。

 路佑はしゃがみこむと悲しそうに折れたモーニングスターを拾い上げた。
「ひでぇな、俺の相棒折りやがって……」
「ならそんなもん振り回すな」
 不意に大地の姿が消え、路佑の腕の関節を狙うが攻撃は躱され、かすめただけ。そこを狙ったカウンターの金棒が大地の腕を直撃した。

「ッ!」
「大地さん!」
 軽く顔を歪めた大地に叫ぶが大地はなんでもないというように手を振った。
 見る間に裂けた皮膚が修復される。

「……」
 その様子を見ていた路佑が口を開いた。

「知ってる。その異能……」
「そりゃどうも」

 そう軽く言って腰から取り出したのは小振りな変わった形状のナイフだった。メリケンサックとナイフを合わせたような形状で、握る事で打撃と斬撃の両方に対応出来る。
「簡単には終わらない……」
 金棒を無造作に拾い上げる。
 それを見計らったかのように大地が動き、それに応戦する形で路佑も動いた。

 お互い攻撃が与えても決定打にはならない。
 力は路佑の方が上。ただ機動力と戦闘経験を加味すれば大地の方が上だ。
 しかし、ほぼ同等の近距離戦闘を得意とする者同士。そうそう簡単には決まらない。
 ただ……

「落ちてる……」
 不意に桃矢のすぐ横からそんな声がして見下ろすと当麻の助手である七瀬と呼ばれた少女が不安そうにたっていた。走って来たのか少し息があがっている。
「あ……」
「……大地さん。いつから使ってるの?」
 桃矢の動揺を気にせず必死で冷静さを見せながら七瀬が聞いた。しかし、その声には動揺が見える。
「もう、五分近いと思うけど」
「……駄目」
「え?」

「大地さんの異能、”国士無双”——能力は人間離れした身体、戦闘能力。けどただの強化能力は異常に上がる運動速度に身体がついていかなくて使用後のダメージが大きい。けど大地さんの異能は同時にある高い回復能力で破壊される筋繊維をすぐに修復して身体への負担を最小限にし、最大限の攻撃力を得られるの」


 路佑が攻撃を仕掛けるがお互い攻撃を防御し合いまた距離をとった。


「けどその特異性故、異能が使えるのは__極限られた時間のみ」
「限られた……」
 七瀬の言葉に呟く桃矢に答えるように路佑が続けた。

「…………5分。」

「まいったな、随分俺の異能の事調べてるんだな」
 余裕そうに笑う大地だが先ほどに比べて明らかに傷の直りが遅い。

「タイムオーバー……」
 金棒を一回転させると手に持つ。

「ったく、時間限定の正義の味方かよって能力だよな」
 大地は自虐的に笑った。傷の回復が完全にとまった。
「異能が切れたら、いくらあんたでも無理だ……」
 残念そうに路佑が言うと驚異的な脚力で一気に距離を詰めた。


 伊田隈路佑の異能、”牛頭馬頭”は単なる身体能力の強化ではない。
 それでは七瀬が言うように使用後のダメージで動く事も出来なくなる。彼が有するのは地獄の鬼の力。多大な体力と理性を代償に、身体の筋繊維などを強靭な鬼のそれに変化させることで体格も力も常人とは全く違う能力を得る事が出来る。
 彼の力であればただの金棒の一撃すらひん死の重傷を負わせる事になる。
 その凶器が大地の頭に迫る。

 普段の相手ならばそれで終わる。
 頭をスイカのように破裂させ、糸の切れた操り人形のように倒れるのみ。
 しかし、金棒を大地に振り下ろそうとした路佑が感じたのは目の前の男に対する明確な恐怖だった。

                  、、、、、、、、、、、、、
 すぐ目の前にせまるこの凶器を見て、なぜこの男は笑っていられる。








「ただ————」


 小さな呟き。
 しかし、その言葉を聞いた路佑の全身の毛が逆立った。

__ヤバい。




「俺はそんな正義の味方ゴメンだ」



 再び大地の目に輝きが戻る。

 動いたようには見えなかった。
 ただ、路佑が振り下ろしたはずの金棒は空を切り目の前にいたはずの大地の姿も消えていた。
 身体を縮めて自分の懐に飛び込んで来たのだと把握した時にはみぞおちにハンマーで殴られたような衝撃が走り、気づけば首筋に冷たい刃が押し当てられていた。

「……ッ」

「悪い。お前の任務。失敗だ」



 冷たい言葉を最後に路佑の意識は暗転した。

Re: ××異能探偵社×× 【8/14up】オリキャラ募集! ( No.52 )
日時: 2014/08/14 23:39
名前: 通俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: 4RNL2PA4)

路佑が早速逝ったと聞いて←
いやー、牛頭馬頭による身体能力強化はかませにされたなぁ(涙)
モーニングスターがおられた時点で薄々嫌な予感はしたんですが。
なみに、フレイル系武器って武器の反動が使用者に来ない反面少し殺傷力が落ちるんですよね。だからモーニングスターで転がした後金棒でつぶすスタイルにしたんですが。

Re: ××異能探偵社×× 【8/14up】オリキャラ募集! ( No.53 )
日時: 2014/08/14 23:58
名前: 秋雨 (ID: nrbjfzgl)  

初めまして、秋雨と申しますヾ(´ω`=´ω`)ノ
題名に釣られてのそりと拝見させてもらっておりました。毎度毎度ワクテカしてます。

なんだか暗雲漂いますが、頑張れ皆さん…。
陰ながら応援しておりまする。

ついでにオリキャラをば投下しついきます。完全に私得ですが、不備が御座いましたらどうぞご指摘を。

××オリキャラ募集用紙(亡霊)××

■名前/フリガナ 輪状 斑 / リンショウ マダラ
■性別/年齢 女/19歳(見た目年齢。実年齢は本人も知らない)

■容姿 若干色素の薄い灰色の髪を肩までに揃え、死んだ魚の目をしている。
女の割りに背が高く、180代前半。
何故か年がら年中厚着。本人曰く「寒いから」らしいが、真偽は彼女のみが知る。

■性格 冷静沈着の一言に尽きる。あまり物を言わないが、口を開けば結構フレンドリー。
「自分より他」なので周りからは「お人好しな不死身」で通っている。

どんな状況でも全く焦らず、むしろ落ち着いていく。そういう意味ではなんとも頼もしいが、本人は普通にしているだけなので、油断するとボケる。

が、こんなんでも芯はしっかりしている(らしい)。

■一人称/二人称 私/あんた
■異能名 輪廻転生
■異能 簡単に言えば死んでもすぐに生き返る異能。焼こうが潰そうが首をはねようが、殺した直後に傷ひとつなく隣に立っている。何をしても死なない不死身。

また厄介なことに、殺されて生き返るたびにその凶器や相手の行動パターン、身体能力、異能など、全てに対して耐性を強化してくるので次は自分の番、ということがしょっちゅう。

■代償 身体能力が皆無で、何度殺されても身体能力だけは強化されない。軽く押されたりしただけで倒れ、少し走っただけで息切れを起こす。

また殺されるときちゃんと痛覚が働くため、殺されるたびに激しい痛みに襲われる。
生き返ったあと、軽い記憶障害が起こる。

■人物関係 基本的に良好。だが、新たな殺陣のために実験台にされたりと苦悩も多く……。

■その他 元々は一般人だったが、異能に目をつけられて亡霊の1人にさらわれ現在に至る。生き返ったあとの記憶障害を利用して記憶を捏造されており、それを信じ込んでしまった。

身体能力を補うために体のあちこちに武器を隠し持っており、厚着しているのはこのため。

■SV
「……あー……今の結構痛かったわぁ………出会い頭にハンマーで頭叩くとか、あんたの母ちゃんどんな教育してたの?」
「さて問題です。あなたの目の前に敵が現れました。どうやれば殺せるでしょう?…………正解は、“どうやっても殺せますが、どうやっても殺せません”。ざぁんねん、不正解!」
「…………ヤバい、腹減ってきた。なんかくれ」
「泥沼試合が私の戦闘スタイルだからなー。ここであんたがへばっちゃダメなんよ」

■死傷表現がありますが……
[ばっち恋]
■作者の好みでモブor準レギュラーになりますが……
[大丈夫です]
■不採用になる可能性があるかも……
[覚悟の上です]


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。