複雑・ファジー小説

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××異能探偵社××   完結。
日時: 2014/12/11 19:32
名前: るみね (ID: kzWZEwhS)

____おやぁ、ここらでは見ない顔だね。



  ___昼間の事件?あぁ、”異能探偵社”の連中が片付けてたね



_______え、”異能探偵社”ってなんだってだって?








    _____あんたおのぼりさんかい。

          じゃあ、教えてあげるよ。この地区の”はぐれ者”たちの話をさ






              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞



 いらっしゃいませ♪
 不定期更新、長期逃亡の常習犯のるみねです。

 【GRIM】執筆中のくせに性懲りもなくまた立ち上げました。
 もう一つの【鬼語】の方向性に完璧につまって、おそらく【鬼語】よりもこっちを【GRIM】と同時進行にやっていく事になりそうです。


   ×××注意事項×××
■更新不定期。今度こそ続けるつもりですが保証出来ません。
■自己満足の塊。
■登場人物はかなり多い(予定)です。
■【鬼語】からキャラを流用してます。
■荒らし禁止!
■とある漫画の設定から触発されてやってます。
■こんな感じです。わかる人は元ネタ分かると思いますが、日本を舞台にした能力ファンタジー物を目指します!


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

■オリキャラ募集用紙 


■用語&登場人物 >>005 ←更新しました!

   ×異能探偵社×
篝火創平   >>008   根岸太一   >>009
暮葉紅魅   >>015   能登潤    >>018
赤嶺徹    >>019

     ×軍警×
白縫喜八郎  >>007   八千草雨季  >>010
零蝉路ヱン  >>026   相沢詩音   >>027

   ×亡霊レムレース×
伊田隈路佑  >>035   姫路彩    >>036
陣刀焔    >>039   瀬良悠真   >>044
輪状斑    >>053   水無月小夜  >>060


第壱話 [出会い]  >>002.>>004
第弐話 [異能探偵社] >>014
第参話 [初仕事]  >>023.>>029.>>031
第肆話 ["大鴉"]   >>033.>>042
第伍話 [真実]   >>048.>>051.>>055.>>057
第陸話 [櫻]    >>058.>>062
第七話 [___]  >>066
第釟話 [墓地]   >>070.>>073
第玖話 [セイギノミカタ] >>077
第拾話 [桃矢と櫻] >>081.>>082.>>083
+後日談     >>084

 エピローグ   >>085


              ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Re: ××異能探偵社×× 【7/20up】オリキャラ募集終了。 ( No.30 )
日時: 2014/07/28 07:16
名前: 雨 (ID: ak9ikTR3)

採用ありがとうございます。
大地さんかっこいいです。男らしくて素敵ですね。

あ、相沢の設定のことでひとつ。あとで読み返してみたら説明が分かりづらく感じたので補足します。
分かりやすく言えば、彼は基本マイナスな感情を表に出しません。感情を表に出さない代わりにいつも余裕ぶってへらへらしてます。普段はずっと猫をかぶって、怒った時なんかは激昂するのではなく冷徹になります。なので裏より表の猫かぶりの方が常です。
でももし違った方向でキャラのイメージをしてしまっていたらこのレスはスルーして構いません。

長文すみません。更新頑張ってください。

Re: ××異能探偵社×× 【7/20up】オリキャラ募集終了。 ( No.31 )
日時: 2014/11/30 17:03
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)

 第参話_参




「なんで、たかが喧嘩の仲裁に言って軍警が出てくるような乱闘騒ぎにまでするかな。お前ら」

「……すいません」
 病院の前で正座させられた桃矢と創平、鷹人は迎えに来た修兵を前に縮こまっていた。

 あのあと、あまりに騒ぎが大きくなったのか近くを通りがかった軍警がやってきて男達は一人が逃げたが残りは無事につかまった。
 それだけならまぁ、よかったのだが。

「器物破損に過剰防衛。犯罪者だからって逮捕するのにまず病院行かせなきゃいけないような怪我負わせるな」
「俺じゃないんですけど」
「テンションあがってやりすぎだ」
「俺は見てただけ何だけど」
「止めなきゃ同罪。わかってんだろ?」
 創平と鷹人の文句を一刀両断する。

「まぁ、初仕事の桃矢は仕方ないにしても」
「差別だ!」「格差だ!」
「黙れ!!!」
 わーわー喚く二人に一括する。
「一番暴れた問題児はてめぇだぞ!!」
 イライラした修兵の矛先がそばにたっている張本人に向かう。
「病院の周りでは静かにって言うだろ?」
 穏やかな声でサラッと言われてあまり悪びれている気配がない大地に修兵のこめかみに青筋が浮かんだ。
「お前……」

「けど、この界隈で暴れといて大地さん見て拳銃出してくるやつらが悪いっすよ」
 ヤバい空気を感じてあわてた創平のフォローに軽くため息をつく。
「まぁ、確かにな……」

「過程はどうあれ、俺はあいつらが帰ってくれれば問題ない」
 わきで聞いていた当麻が煙草の煙を纏いながら言う。
「じゃあ、さっさと帰れ!俺はハニーとの電話の時間だ」
 仏頂面に似合わない単語にとまどいながら桃矢は建物の中に消える当麻を見送った。

「ハニーって?」
 思わず創平に尋ねたが建物の開いた窓から漏れて来た声で納得した。

「もしもし、ハニー♪今昼休みだよねぇ……

 当麻の無愛想な声からは想像もつかない甘い声に呆気にとられる。
「当麻先生、ことあるたんびに彼女と甘すぎる電話してんだよ」
 驚いている桃矢に気づいた修兵が説明してくれる。
「けど、実際疑ってますけどね。俺。あの人と上手くやってける女の人がいるとも思えないっすよ。当麻先生の妄想の彼女ってのが有力説」
「かなしいですね……」

 なんだが空気が重くなったところへ制服を着た男が二人近づいて来た。

「相変わらず厄介事起こしやがって、お前らは……」

 呆れた声の主は五十代後半に見えるがたいの良い男だった。騒ぎを聞きつけてやって来た軍警の男の一人だ。
 その男を見て修兵の顔に露骨に嫌な表情が浮かんだ。

「よぉ、久しぶりだな」
「大貫……」
「大貫さんだ!年上に対して敬意みせろっての」
「あんたは敬意を示す程の人じゃないんで……」
「この……」
 軍警相手とも思えない挑発的な言葉に見ているこっちが不安になる。

「い、いいんですか。軍警相手に」
「あぁ、大丈夫。修ちゃん。元々軍警だから」
 鷹人の言葉に驚いたのは言うまでもない。
「は!?」
「まぁ、とりあえず今日の仕事はこれでおわり!初仕事帰りに【猫の目】で涼んでこうよ。奢るから」
「おぉ!賛成っ!」
「大地さんは?行きます」
「俺は今日非番だからな。静かになったし、行ってこいよ」
 勝手に話を進める鷹人の横で桃矢は今の重大発言についていけず、まだもめている修兵と大地に軽く会釈するとあわてて歩いていく二人の後をおった。









「で、あの。園村さん、軍警なんですか」
「元ね」

 喫茶店【猫の目】の窓際の席に腰掛けながら鷹人がいった。
 奥からウエイトレスの清子がスッと出てきて水を置いてくれる。
「ありがとう、清子ちゃん。珈琲2つとクリームソーダね」
 鷹人の言葉に軽い会釈で答えてカウンター裏に入る。

「でもなんで軍警の人が街の便利屋なんかに……」
「せめて探偵って言って。それだけでかわるから」
「は、はい」
「修ちゃんは社長がスカウトしたんだよ。うちの古参の大半は社長が気に入って引き抜いた人だからな。軍警でも優秀だったから」

「軍警の犯罪部ですか」
 軍警の主力であり犯罪者を取り締まる部をあげたが鷹人は首を振った。
「ううん。隠密部とかいういかがわしい部署」
「隠密部?」
 聞いたこと無い部署に首を傾げる。
「あんまり合ってる感じしないっすよね。園村さんなら現場でビシバシ犯罪者捕まえてそうなのに」
 創平の言葉に頷く。
 修兵が制服を着て犯罪者を連行している姿はすぐに想像出来る。

「まぁ、その力はあるだろうけど、どっちかっていうと異能の方で選ばれたんじゃない」
「園村さんの異能ですか?」
「そ」
「そういえば。修兵さんってどんな能力なんすか?」
 創平がそんなことを聞いたので桃矢が驚いた。
「え、知らないの?」
「その話すると修兵さんすっごい不機嫌になるんだよ。仕事でも異能使う場面にあったこと無いし」
「異能なしでもそこらへんのチンピラ連中なら片付けられるからね。修ちゃん」
 ちょうど清子が持って来たクリームソーダを見て受け取りながら答える。
「修ちゃんの異能面白いと思うけどね」

「……狗木さんは知ってるんですか?」
 そろそろと尋ねる桃矢を鷹人は不思議な笑顔で見かえすともったいぶって口を開いた。



「知ってるけど、言わない」

「なんでっすか!」
 期待していたのか創平も抗議の声をあげる。

「話したってバレたらすっげぇ怒られるし、知らないままってのも面白いじゃん」
 完璧に楽しんでる声だ。

「ちょっと!」
 詰め寄ろうとしたが丁度良く鷹人の携帯電話がなった。
「おっと、電話だから失礼。   やっほ〜、空ちゃん。調べといてくれたぁ?」

 驚く程軽い声で席を外した鷹人を見送りながら桃矢と創平はあきらめて席に着いた。



「まぁ、とりあえず。初仕事お疲れ」

「お疲れって言われる程働けてないよ……」

「はじめはみんなそんな感じだよ。俺のときは喧嘩の仲裁って言われて抗争並みの銃撃戦になったから」
「おぉ……」

「はじめは先輩について仕事の慣れるのが新人の仕事みたいなもん」
「でも、俺。異能……」
「いったろ。園村さんだって異能使わないでやってるんだし。できない仕事じゃない」
 はげますような台詞に桃矢の表情も落ち着いた。

「にしても、今日の連中。大地さん見て拳銃出すとか。絶対ここらへんの奴らじゃネェな」
「当麻先生に用みたいだったけど……」
「なんだったんだろうな」

 そこにフッと影が落ちた。
 見上げると色素の薄い茶髪の青年が笑顔を向けていた。
「教えてやろうか?」
  











「で、俺に喧嘩ふっかけて来た本当の理由はなんですか」

「喧嘩ふっかけて来たのはどっちだ、このやろ」
 文句を言うが修兵が何も言わないのでため息をつく。

「今日お前らが捕まえた。あいつらだ」
「?」
「東郷の顔をみて喧嘩売るような奴、この地区にゃいない」
「知ってますよ」
 あまり快く思っていないが頷く。

「聞いたら、捕まえた奴らはどうやらあの病院で治療中のある人物を引き渡してもらおうとしたらしい」

「そいつはとある組織から逃げ出した構成員だ。三日前、逃げる途中で追っ手に殺されかけたらしくてな、全身大火傷。命は助かったが今は意識が無い」

「組織の情報を流そうとした裏切り者を殺そうとしたって訳ですか。なら闇討ちにでもしたほうが確実でしょうに」
「今日の奴らは独断で動いたらしいな。今はまだ捕まってない男の捜索中だ」
「で、それをなんで俺に?」

「そこに絡んでる奴が問題なんだよ」

 その言葉で察しがついたのか修兵の顔が曇った。











 笑顔の青年の顔に見覚えがあると感じて思い出す。

「さっき現場にいた」
「軍警犯罪部巡査の相沢詩音。よろしく、異能探偵社の方々」
 なんだか胡散臭く感じてしまう笑顔に桃矢と創平は会釈を返す。

「で、何を教えてくれるって」
 警戒しながら創平が聞いた。
「今日、君らが捕まえた襲撃者の黒幕だよ」



「【帝都】の【裏街】を仕切る最大組織____【亡霊レムレース】の首領__」




「……黒尾 禅十朗」

 いつのまに帰って来ていた鷹人が呟いた。

「あぁ、あなたは知ってるんですね」

「黒尾禅十朗って……」

「【帝都】の裏社会で幅を利かせている男だよ」

「軍警でも手を焼いてまして、先輩方も手に負えない」
「な、なんで捕まえられないんですか」
「そいつも俺らと同じ異能者だからな」

「だって、狗木さんとか大地さんとか……、軍警の人だって」
「それでも無理なんだよ」
 苛立たし気に詩音がいった。

「アイツの異能は殺人に特化した【S級】の異能だからね……」






「これから【帝都】で生き延びたいならその男には近づかない方がいい」


「特に夜にアイツとやり合うのは死ににいくのと同意語だ」















 そこから数キロ離れた【帝都拾参区 裏街】
 ところどころから屋根から漏れる光が差し込む路地に息を切らした男が跪いていた。


「で、もう一回言えよ」


 男の周囲にたっている数人の人間。その中の一人の声が薄暗がりから響いた。

「だ。だから。あんたが探してた男だよ。見つけた。当麻医院にいた」

「いやいや。そこじゃなくてさ。俺が言ってるのは」

「あ、え?」

 声の言っている意味が分からず当惑する。

「だから、俺が言いたいのは……なんで頼んでもいないのに動いてるのかってことな訳でさ」

 あくまで軽いノリ。しかし、男の背中に嫌な汗が噴き出した。

「勝手に動いた上に探偵社の奴らにこてんぱんにやられて軍警にまでやられて一人だけ逃げて来て」



____________ヤバい




「まぁ、いいや。わざわざそんな情報くれたんだしな。ホントに当麻医院にいたんだな?」
「あ、あぁ。間違いない」

「素敵な情報感謝するよ。えっと……君さ。もうちょっと前に出てくれない?」

 目の前は路地の屋根に遮られた暗がりだ。
 不思議な問いかけに戸惑いながらも数歩前に歩いた。
 さきほどまで日なたにいたので影に入って前に座っている男を見上げる。

「うん、それでいい」

 満足そうに笑った男の笑みにつられて笑った男は周囲にいた数人の人間の表情に気づいて凍り付いた。
 周囲にたっている面々に浮かぶのは自分に対する哀れみの顔。

______な、なんでこいつらはこんな顔をしている。


 困惑した男は周囲を見渡し、ふたたび恐怖に固まった。

「で、残念なお知らせだが____」




「やっぱ、仲間を見てるような愚図も探偵社に負けるような屑も存在してほしいとは思わないんだよ」











「や、やめ______________


 レコードが切れるように男の声が唐突に途切れた。

















「ぜんじゅーろー。終わった?」

 ひょこっという効果音がついてきそうな感じで一人の少女が現れた。



「おわったよ、花」

 さきほどまでとはまるで違う穏やかな声で少女の頭をなでる。
 されるがままにされながらほおづえをした少女は男__黒尾禅十朗を見上げるとフッと笑った。





「さて______迷子の迎えに行こうか」

Re: ××異能探偵社×× 【7/30up】 ( No.33 )
日時: 2014/08/10 12:23
名前: るみね (ID: 8hBaEaJR)

  第肆話_壱  [”大鴉”]




___おはようございます。八月一日のニュースをお伝えします。



____はじめに、今日未明に【拾参区】で男性の遺体で発見されました。
  遺体は損壊が激しくまだ身元が分かっていませんが、軍警は先週の金曜日に【帝都玖区】で事件を起こし、指名手配されていた容疑者の男性の可能性が高いとしています。
  軍警の犯罪部は殺人事件として調査を始めています。


____次のニュースです。昨日【陸区】で発生した暴行事件について軍警は聞き込みを続けていますがまだ犯人は———




 探偵社の黒いラジオから流れるニュースを聞いていた桃矢は動きを止めた。

「これって……」

「消されたわね」
「消されたな」
「消さ__!」

 そばで同じようにラジオを聞いていた潤と太一があっさり言うのを聞いて桃矢が固まる。

「【帝都】の【裏街】じゃ日常茶飯事じゃない?【亡霊レムレース】なんてデカい組織だと特に。裏切り者への報復、暴行、拷問、処刑……」
 頼りなそうな表情に釣り合わずに楽しそうに単語を並べる潤から少し離れる。
「ちょっと潤さん。あんま新人虐めないでくださいよ」
 隣で書類整理をしていた創平が助けに入る。
「あれ、これが私のスキンシップなんだけど」
「スキンシップって……」
「そういえば桃矢。この間の病院の外壁とか器物破損の事で三時に当麻先生が顔出せって言ってた」
「え、ちょっと太一さん。あれ俺じゃないですよ!大地さんで——」
 抗議の声をあげたがそれを大地が遮った。
「悪い、頼むよ。俺これから別の仕事でさ。出来るだけ行けるようにするから」
「出来るだけ……」
「一応桃矢の初仕事だから。先輩の後始末をするのも新入りの役目」
「理不尽です!」
 太一の説明に抗議するが意見は通らず、
「じゃあ、俺いってくる」
 大地が慌ただしく事務所を後にした。時計を見ると九時を過ぎている。それをみて創平もあわてて支度をした。
「やっべ。俺も今日仕事だ。いってきます!」
「俺もだ……」
 創平と太一も探偵社を出て行き、残ったのは桃矢と潤と紅魅だけだった。

「いってらっしゃぁい」
 明るく手を降る紅魅の影で桃矢はうなだれていた。

「修平さん、早く帰って来て……」
 思わず今ココにいない男を思い出す。

「ホントにそうよねぇ、修平先輩がいないと怒ってくれる人いないからつまんない」
 潤が同意するが若干ずれている。
「つまんないっていうより、収集つかないですよ。基本フリーダムな人たちだし。……というか、修兵さんはここ数日何処に行ってるんですか」
「長期の仕事回されたみたい。なんか軍警から直接仕事依頼されちゃったらしいの」
「長期なんてのもあるんだ」
「先輩は結構多いよ。潜入とか、スパイとか……。経験あるから」
「あぁ……」
 鷹人が言っていた事を思い出す。修兵は元は軍警の【隠密部】なんて怪しい名前の部署所属だ。
 潜入調査も仕事のうちにあっただろう。
「へぇ、探偵らしい事もしてるんですね」
「”異能探偵社”だからね♪」
「……その”探偵社”には買い出しとかの雑用も仕事にあるんですね」
「依頼がないときは仕事選べない。仕方ないでしょ」
 その言葉でジトッとした視線を送ったが潤に流される。

「もうホントにヤですよ。昨日の買い物の依頼。商人の人も怪しかったし、怖いし、帰り道になんか不良にまたかつあげされたんですよ!」
「桃矢くん。弱そうだからね〜」
 紅魅の遠慮のない言葉にくらっとしながらも聞かなかった事にする。
「でもちゃんと買って来たよな」
「全力で逃げましたよ。頭真っ白でもうどうやって逃げたのかも覚えてません」
「お疲れ」
 必死の訴えも二人に笑顔で片付けられた。

「まぁ、今みたいなドタバタは珍しいから」
「社長は出張、頼りの大地先輩も依頼続き。おまけに修兵先輩まで出払っちゃうもんだから」
 頼れる年長者がいない事になる。
「ここに常識があって仕切ってくれるまともな人はいないんですか……」
 桃矢にそう言われ潤と紅魅は顔をみ合わせた。

「ん〜……」
「縁さんぐらい」
 初めて聞く名前に首を傾げた。

「エニシさん?」

__なんだ。まだいるんだ。

 ちょっと安心する。

「どんな人なんです?」
「どんな……」
「探偵社で一番先輩で一番強い人」
「探偵社で、一番、強い……」
 この間、いったんではあるが垣間みた大地の戦闘能力はかなり高い。
 それよりも上……

「もしかして、その机の人ですか」
 桃矢が指差したのは窓際の一番端の机で、書類が散乱した上に鴉の入った鳥かごが置いてある机だ。
 ここに来て一週間以上たとうとしているがこの机の主とはまだ一度もあった事が無い。

「そうそう。縁さんも数日間仕事だったけど今日終わりでそろそろ帰ってくるはず……」

 噂をすれば。廊下から微かな足音が聞こえて来た。
「あ、帰って来たかな」
 紅魅がすくっと立ち上がると扉に手をかけた。
 しかし、紅魅が扉を開ける前にガバッと桃矢が顔を上げた。

「待って!この足音は駄目です!!」

「え?」
 紅魅が聞き返すのと銃の発砲音がするのが同時だった。

 木製の扉の丁度紅魅がたっていた中心部分が吹き飛び複数の風穴があき、それは紅魅にまで達していた。

「紅魅さん!!!!」

 目の前で撃たれた紅魅を前に思わず叫び声をあげるが、倒れる紅魅にかけよる間もなく蹴破られた扉からマシンガンやら銃やら火気類を抱えた十人程度の男達がなだれ込んで来た。

「あぁ、なんだ襲撃か」
 期待はずれのようにあっさりという潤に逆に慌てる。

「し、襲撃かって……そんな軽く」
「【帝都】じゃ日常茶飯事。初日に修平先輩に説明されてたでしょ?」
「いや、だってこんなあからさまな」

「なにごちゃごちゃいってんだ」
 銃を向けられているにもかかわらずあまりの緊張感の無い会話に思わず男の一人が叫ぶ。
 しかし、潤はそんな男に向かって不敵な笑みを浮かべた。

「あんたたち。なんで今ここを襲撃したの?」

 黙っている男達に構わず潤は続ける。

「今の時間帯、探偵社は仕事がある人間はこぞって出かけるから事務所には人が少なくなる。あんた達もうちを襲撃するぐらいなんだから当然いろいろ調べたんでしょ? いつの時間に誰がいていなくなって。さっきあんた達にとって危険人物の大地さんが離れて、今ここにいるのは女二人に先週だかに駆け込んで来たヒョロい子が一人。私たち相手だったら簡単に人質にでも出来て探偵社相手に出来ると思っちゃった? いや。思っちゃったのよね?だからいまこうしているんだもんね」
 早口でまくしたてるように紡ぎ上げられる言葉に男は何も言う事が出来ない。
 潤もそれを楽しむように言葉を続けた。
「でも甘い。甘いのよ。女相手だろうと”異能者”相手にしようとするんだったら____


 そこで桃矢は倒れたはずの紅魅の姿が何処にも無い事に気づいた。



「____まずはちゃんと相手が死んだかどうか確認しないと」



 潤の言葉が終わる瞬間。
 一番はじにいた男が潰れた蛙のような悲鳴を上げて倒れた。
 見れば口から泡を吹いている。
 突然の事態に動揺する男達のそばで二人目が同じように身をよじらせて倒れた。
 その時桃矢が見たのは空中に浮かぶ一組の腕だった。

「おおかたなんかの依頼の報復だろうけど」
 今度は姿の見えない紅魅の声が部屋中から聞こえて来た。

「相手の異能も理解してないような一般人が銃だけで制圧出来るほどうちはやわじゃないの」
 その言葉に男達の銃口がふらふらと声の行方を追ったがはっきりと捕らえる前に金属のこすれるような軋むような音が響き拳銃が切断される。

「紅魅さんばっか相手にしないでよ。寂しいじゃない」
 鋭く伸びた爪をみせながら潤が言う。
「ほんと、骨が無いのね。鉄も柔過ぎて全然楽しくない」
 そう言って震った腕が一番近くにいた男の腕に触れ、鮮血が壁に飛び散った。
「ひっ!!!」
「あ、ごめん。血飛ばすと修平先輩に怒られるんだった」

「出来るだけ出血しないように攻撃するから許して♪」
 潤の言葉で男達の表情から完全に余裕が消えた。



「一方的過ぎて可哀想だ……」
 目の前の光景をみて思わず襲撃者に同情してしまう。

「ち、ちくしょう……話が違うじゃネェかよ……」
 持っていた銃口を切断され腰を抜かしていた男の一人が呟いた。
 それを聞いた桃矢は恐る恐る近づいた。
「話が違うってどういう意味だよ」
「てめぇらは探偵社でも下っ端だって情報だよ!だから襲撃するならこの時間だって!」

「まぁ、事実女とひょろい桃矢くんだけだから信じてもおかしくないか」
 紅魅が頷く。

 その時ぐぎゃっという悲鳴が背後から響く。

「とりあえず軍警連れて行ったらどうだい?」
 聞き慣れない声に振り向くと入り口に襲撃者の一人の手を踏みつけている女性がたっていた。堂々とした登場に驚くがそれも彼女の異常に気づくと消え失せた。




____黒い___羽根?

 桃矢の目にとまったのは腕や首筋から無数に生える黒い羽根だった。が、見る間に腕から生えていた羽根は存在を消し白い腕が現れた。

「あぁ、縁さん。おかえりなさい」


_____縁って、さっき言ってた


「ただいま」
 そういって笑うのは肩程までの黒髪に深い赤色の瞳の女性だった。
 黒を基調にしたシンプルなワンピースにタイツ、白い肌に赤い口紅が生える美人だ。

「ったく、なんだい?仕事も終わってのんびりしようと思ったのに、来て早々襲撃?」

「もう片付きましたよ」

「こうだってわかってたらもうちょっとのんびりしてたのに。徹、なんで教えないんだい!」
「理不尽ですよ。いくら俺でも想定してない人間まで読めませんよ」
 背後から現れた男がふてくされる。
 桃矢と同じか少し上程で茶髪に黒の和服を着込んでいた。

「とりあえず、こいつらどうします?」
「気絶させて一階に捨ててきな」
 サラッと酷い事を言っているが潤も紅魅もつっこむ訳でもなく、テキパキと襲撃者を片付けにいった。

「えっと……で、あんたは?」
 一瞬何の事だか分からなかったがそれが自分に向けられた言葉だと気づく。

「あ、えっと……」
「先週からうちで働いてる冬月桃矢だって。年齢18歳。両親なし。チンピラに絡まれてたところを鷹人さんが助けた事でうちで働く事になったみたいだね」
 桃矢が言おうとした言葉をそっくりそのまま攫われた。
 意味深な笑みをみせる男は手を差し出す。
「赤嶺徹。驚くのもわかるけどとりあえず君の事を見張ってたわけじゃないから。一応」
 再び驚く桃矢を見て彼女が助け舟を出した。
「徹の能力は”以心伝心”。相手の心を読む能力だからな」
「ちょっと変な印象植え付けないでくださいよ」
 抗議するが徹の言葉など気にせず女性も手を差し出した。

「縁牡丹。よろしくね。なんか困った事あったら遠慮なくいいな?わかった?」
「は、はい。よろしくお願いします」

 はきはきした牡丹の物言いに飲まれそうになりながらも会釈する。

「さってと。桃矢だっけ?」
「は、はい……」
「今日暇?」
「え、あぁ……午前中なら」
「十分よ」
 牡丹がすくっと立ち上がった。

「今日は仕事終わりだし久しぶりの非番だから買い物行きたいの。桃矢と……徹はいないのね」
「あ、れ?」
 さっきまでそばにいたはずの徹の姿が消えている。
「まぁ、いいや。今日暇?」
「え、あぁ……午前中なら」
「つきあって!」
「は、はい」
 断る間もなく強制連行に近い形で桃矢は連れ出された。





 襲撃者を片付けて部屋に戻って来た潤と紅魅が見つけたのは部屋の隅のソファーで寝転がっている徹だけだった。

「縁さんは?」
「あの新人と買い物」
「縁さんと買い物か……」
「荷物もちよねぇ」
「徹は行かなかったの?」
「駄目。あの人は苦手。俺が読んでるって分かってる上で突っ込んでくるから」
「なるほどね」
「で、紅魅と潤以外は皆仕事なの?」
 潤が皆の仕事の説明をする。

「こんな感じ」

「ふぅん……」
 しばらく黙った後でふと徹は顔を上げる。

「一人忘れてない?」
「え?」





「あのバカヒトは?」

Re: ××異能探偵社×× 【8/5up】オリキャラ募集! ( No.35 )
日時: 2014/08/10 16:30
名前: 通俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: 4RNL2PA4)

モンハン4gのために最近買いなおした通俺です。
今回もオリキャラ一人、投稿させていただきます。

    ××オリキャラ募集用紙(【亡霊】)××

■名前/フリガナ 伊田隈 路佑/いたくま ろすけ
■性別/年齢 男/25
■容姿 群青色の髪で基本的に単発で、髪が後ろ向きになっており生え際が見えている。肌の色は少し白っぽく、全体的な不気味さを際立てる要因の一つ。ホリが深く、背が高く(187)ガタイがいい。
普段より少し大きめの鎧を身に着けておりそれを隠す為、黒いローブを着用し顔もフードで隠している。
■性格 感情を表向きには出さないで心のうちにため込む性格。その為か、偶に一人でうじうじと考え込むこともあるが、結局悩みすぎて何に悩んでいたかを忘れるタイプである。
そんなことからか、用心棒的な扱いを受けることに慣れており命令とあらば子供でも殺す残虐性を垣間見せる。
人と話すのは苦手としており態度で示す。
ちなみに好物は牛鍋である。
■一人称/二人称 俺/お前
■異能名 牛頭馬頭
■異能  体を強化し地獄の鬼の力を手に入れる。その際体が少し大きくなる。単なる強化だとみると痛い目を見るほど上がり幅が大きい。柔らかい銅などを握ればその跡がくっきりと残るほどだ。
■代償  徐々に人間としての倫理観を失っている、40過ぎるころには恐らく"人間の姿を持つ化け物"になるだろう。
■人物関係 と、とりあえず亡霊メンバーのなかでは戦闘担当で
■その他 過去とかその他好きな設定 拾われた浮浪児、お蔭か学もなっていない。亡霊を裏切る気はもとより内容だが能力の副作用により段々と自分を無くしている。
武器は鋼製の金棒とモーニングスターを使用、ぶん回す。
■SV
「……ん」
「……いいな、それ」
「(ん?俺ってこんな……)」

と、とりあえず亡霊の情報が少ないのでこんなもんですすみません。
後々追加していきたいと思います。
「やっぱりか……」
「興味はない……!」
■死傷表現がありますが…… [もち  ]
■作者の好みで準レギュラーorモブになる可能性が…… [もち  ]
■不採用の可能性になるかも…… [もち  ]

※追記なんか見逃してましたすみません。

Re: ××異能探偵社×× 【8/5up】オリキャラ募集! ( No.36 )
日時: 2014/08/15 14:13
名前: リグル (ID: FX8aUA2f)

■名前/フリガナ 姫路彩/ひめじ さい
■性別/年齢 女/19
■容姿 癖のある腰近くまである茶色の髪、おっとりとした深紅の目。いつも髪は縛らずにしている、大切な用があったりすると結んでいる(勝負事も含まれる)
■性格 見た目の天然感とは裏腹に中身はかなりえげつない、精神的に人を追い詰めるのが楽しくて仕方が無い。意外と適当でがさつだったりする。
■一人称/二人称 私/あなた、お嬢さん、貴方達
■異能名 酔生夢死
■異能 簡単に言ってしまえば夢に関してのエキスパート、人の夢から情報を引き出したりトラウマ(思い起こしたりして精神的に揺さぶりをかけることができる。また夢から夢へと移動も出来たりする、また夢を踏み台にして離れた場所に出ることもできる(人を連れていくことも一応可能)
■代償 情報を引き出すのは簡単だがそのほかのことを連続で休みなくやると3、4日眠り続ける。
また寝ても覚めても仕事をしているような物なのでたまに睡眠不足で倒れる
■人物関係
情報戦等のサポート系ですね、詳しいものは任せます
■その他 過去とかその他好きな設定
現実よりも夢の方が好き過ぎて色々試すうちにかなりの幅があることに気づいた、それ以降は内緒でやんちゃしていたりする。

能力はあくまでサポート系のため戦闘には全く向いていない、一応の護身術はあるものの「せいぜい逃げるので精一杯」ていどの力しかない。

■SV
「ええっとー、私は彩っていいます」
「そうそう、その顔ですよ。その顔が私の癒しですよ」
「眠り姫ですか......あながち間違いではないですね」
「眠いですよぉ..........あ、ねっねてないですよ!?」
■死傷表現がありますが…… [大丈夫です!]
■作者の好みで準レギュラーorモブになる可能性が…… [問題ありません]
■不採用の可能性になるかも…… [大丈夫です!]


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