複雑・ファジー小説
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- チャイルド・デーモン
- 日時: 2015/02/16 20:27
- 名前: カトマナ (ID: uWCnjyP1)
「た、たずげ、て…くれ…!」
月が、妖しく輝くこの世界。
…その世界の月に乗って笑う
『え〜?オッサン何言ったんだ?俺、聞こえなかったわ』
二十歳にもならない、銀色の髪をした少年
- Re: チャイルド・デーモン ( No.12 )
- 日時: 2015/05/10 13:40
- 名前: カトマナ (ID: rRbNISg3)
『おいおい、こんなところまで出てくるなよ♪』
背後から声が聞こえたと同時に目の前の人の頭にナイフが刺さる
「っ…!?」
ナイフが刺さってなお、蠢くその姿は、手足をもがれた虫のようだ。
「何で、何で私がこんな目に…!?」
(怖い…!怖い怖い怖い…!)
『何で…?そりゃあんた自身がわかっているだろ?♪』
目の前に現れたグリードの服は何かを殺したかのようにところどころ赤く染まっている。目は獲物を狩る猛獣のようだ。
『ほら命乞いでもしたら?それくらいの時間はやるからさ』
その笑顔も、もはや恐ろしさしかわかない。
「やだやだやだ…!助け…!」
「待ちなサーーい!!」
- Re: チャイルド・デーモン ( No.13 )
- 日時: 2015/05/11 17:15
- 名前: カトマナ (ID: aAxL6dTk)
耳をつんざくような叫びのした方に顔を向ける。
その先にいたのは、
『おいおい、何であんたがいんだよ。サーナちゃんよぉ』
「そんなことどうでもいいわ!それよりあんた、何しようとしているの?」
声を荒くし、グリードに向けて指を指す。
そんなサーナを嘲笑うような笑顔でグリードは口を開いた。
『何って、罪人の処刑、だよ。』
「罪人って、この人が何を『この女の罪状〜♪』」
サーナの言葉を遮って、罪状を述べ始める。
『自らの利益の為に男を殺害31件、子供を誘拐して脅し、拷問54件、これでも何か言えんの?』
「そんな、う、嘘でしょ…!?」
- Re: チャイルド・デーモン ( No.14 )
- 日時: 2015/05/12 20:19
- 名前: カトマナ (ID: Ib5HX0ru)
(嘘でしょ…?こんな人が他人を殺し…?)
ザシュ…!
「あああああアアアアああ…!」
意識が朦朧としている時、何かが刺さる音と異常な叫びが響いた。
「っ…!?うっぐ…!」
女の人の目、口、腹に深々と刺さる艶やかに光るナイフ。それを楽しげに見ているグリードを見て、吐き気がこみ上げる。
『これは天罰だ。罪を犯した者がただ死ぬだけなんてそんなこと許されるわけない…!』
つかつかと女の人のそばに歩み寄り、手の中にナイフが現れる。
『犯した罪の分だけ、あんたは苦しみを味わなければいけないんだよ。』
ザクッ…!
「がアアぁぁぁアアア…!」
「もう、やめて…!!」
『あははっはは…!』
妖しく月の光る世界で、三人の声が不協和音を奏でた。
- Re: チャイルド・デーモン ( No.15 )
- 日時: 2015/05/15 20:40
- 名前: カトマナ (ID: Ib5HX0ru)
〜in現実世界〜
「うっぐ、う、…っ!」
もとの世界に戻って来て、サーナは嗚咽混じりに泣き続けていた。
「…あー、とりあえず泣き止んでくれねーかな?」
頭をガシガシとかき、グリードはサーナのそばに近づいた。
「…!これ…」
グリードはサーナのうなじにある焼き印に気がつく。
(こいつがこの印があるってことは…!)
やっぱり、こいつは…!
「お前、あの『施設』にいたサーナなんだろ…?」
「あの、施設…?…あ」
何かに気づいたと同時にサーナの頭の中に記憶が走った。
- Re: チャイルド・デーモン ( No.16 )
- 日時: 2015/05/16 19:36
- 名前: カトマナ (ID: EP9rvI.Z)
人の寄り付かない暗い森、奥深くにある建物。
充満する血と死の匂い、そこには16人の子供たちがいた。
親に捨てられた子、金で売られた子、嘘の噂に騙され送られた子…。
彼らはその研究所で変えられた。
体を無理矢理開かされ、無理矢理力を入れ込まれ、もはや人ではない。
そして彼らは『仕事』を与えられた。
その内容は子供にとっても、大人にとっても目を背けたくなるものだった。
人の暗殺、夜の営み、拷問…、その内に彼らの心は、くすんで、壊れそうだった。もう嫌だ。こんなの…怖い。…そうだ、こんなところ
【壊しちゃえ】
そして彼らはそこにいた人、物、すべてを壊した。
苦しげに、楽しげに、……悲しげに。
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