複雑・ファジー小説

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nameless world【名も無き世界】 祝!一周年!
日時: 2017/07/04 14:24
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

ある日、世界は誕生した。ある者によって……

ある日、宇宙は誕生した。ある者によって……

ある日、地球は誕生した。ある者によって……



ある日、全てが誕生した。ある者によって……



「世界は1つじゃない。別の世界に行って、無くしてしまえば良いが自分で創造するのも、悪くないな」





ある日、世界が終わった。

世界の名はネームレス。


普通の人間
何も能力を持たない人間。しかし彼らにも、強化人間や、サイボーグになれる道がある。

超能力者
普通の人間では不可能な能力を可能にする人間。遺伝により引き継がれる。

強化人間
元は普通の人間の体の部分の能力が飛躍的に強化される人間の事。人間が本来持つ機能を上げる事が出来る。人工によって強化人間になる。

サイボーグ
普通の人間の一部の体の個所をロボットに改造した人間の事。しかし、体の個所をサイボーグにしても良いと認められるのは、義足等の方々のみ。

アンドロイド
1から造られたロボットの事。何処から生まれたのか不明。普段は普通の人間のように過ごしている。人間側は、アンドロイドの能力に脅威を感じている。しかし、人間側もアンドロイドを制作している国も存在している。

未確認生命体
この世界が誕生してから、ずっと、存在している者。例:妖精等
人間に差別されてから、基本、人間の事をよく思っていない。人間側も未確認生命体の能力に恐れ撲滅を考えている。

オカルト
以上の点に属さない、まだ科学的にも証明不可の者

生物兵器
人間の手によって、造り出された兵器


この小説に出てくる様々な考えを持つ組織です。


大神型違法サイボーグ
この世界の混沌を目指している大神と言う者の部下。大神の裏切りは許されないが、裏切り者は実際に存在する。

名も無き教団
教祖と言う者が信仰している宗教。とは言っても、インチキである。信者と幹部がいる。インチキだと知る者は幹部と教祖。そして、創造主と言う生物兵器を創りだす事が出来る者のみ。しかし、信者にも、幹部に上り詰めて、信者を利用しようと言う者はいる。

神の元のアンドロイド
神と自ら名乗る者に従うアンドロイド達。此処に属しているアンドロイドは、人間を管理するべきだと考えている。例外も存在する。

神以外のアンドロイド
基本は人間にバレないように大人しくしている。しかし、中には、人間を撲滅する考えを持つ者や、組織を造ろうとするアンドロイドもいる。

暗殺部隊
政府により構成された部隊。しかし、一旦崩壊してしまうが、警視総監が再構成しようと言う事で暗殺部隊が復活。様々な考えを持つ人物がいるが、警察の言う事は基本聞く。勿論、聞かない者もいる。

刑務所・施設
刑務所は犯罪者が捕まって来る所である。施設は、強力な超能力者や極悪犯罪者、違法サイボーグ、アンドロイド、オカルト関連者、未確認生命体が入っている。

未確認生命体
人間の世界とは違い、結界に包まれた世界。王と呼ばれる者が、支配している。王としての考えは、弱者である人間を見守る事が未確認生命体である強者の役目と言う方針である。ゆえに、人間との交流を拒む。

人間の世界にいる未確認生命体
脱走して、人間の世界にいる未確認生命体。

ノーエスパー
インターネットで結成された超能力を持たない者の集団。最近は、今無き青い星と言うゲームの集会のようになっている。

名も無き高校その一
普通の高校。

名も無き高校その二
名も無き高校その一から少し遠い高校。

その他
これらに属さない者達。何でも、構いません。


目次は、>>522>>753です。>>522が文字オーバーの為、目次の続きは>>753になりました。


登場キャラは、>>535 です。



追記 siyarudenさんとモンブラン博士さんとバラバラさんが、名も無き世界のスピンオフを執筆してくれる事になりました。


モンブラン博士さん作:サディスクラブの離反者。

siyarudenさん作:名も無き世界【Nobody knows the stor】

バラバラさん作:暴走した愛は何を見る?【名も無き世界】

全て、複雑・ファジー小説にて連載されております。

この度は、この小説のスピンオフを執筆してくださりありがとうございます。

物語は完結しましたが此方の素晴らしい作品も是非ご覧ください。

これからも応援宜しくお願いします。

追記2 この度、6月30日にオリキャラ募集を終了します。今まで、オリキャラを提供して下さった方々、本当にありがとうございました。

オリキャラ募集を終了する理由としては、本編を終わらせる為です。(外伝等は執筆予定)


未熟な所もあったと思いますが、これまで応援して頂きありがとうございました。


追記3 6月30日で、この小説のオリキャラ募集は終了します。

未熟な私に今までオリキャラを提供してくださった皆様には本当に感謝しています。

これからも応援宜しくお願いします!

追記4 11月中で完全完結!&一周年!今後の予定は、リメイクや外伝を書く予定です。

Re: nameless world【名も無き世界】 祝!一周年! ( No.852 )
日時: 2017/01/10 15:44
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

翌日、虫朱と牛瀬は鉄塔の下で起きる。

「寒っ……いずれ凍死しちゃうよ。あー風邪引きそう」

「その時はその時だ。それにカイロがあるからギリギリ大丈夫だろ。後、頭痛薬と風邪薬」

「家出するなら少なくとも夏が良いね……」

二人は六道とラファエルがいない事に気付く。

「……え?」

虫朱と牛瀬は鉄塔の上に昇っていた六道を見る。

「良く登るよな……」

「……」

六道は鉄塔を降りて呟く。

「この天使の飼い主を見つけよう」

「……」

「猫の飼い主?なんで?保健所に行けば良いじゃん」

「それは駄目でしょ」

「天使を飼う主。それは何だと思う」

「どうした?」

「そう、神様だ」

「ちょっと待てよ……」

「猫の飼い主=神。俺達は神に会いに行こう。何故天使を捨てたのか」

「大丈夫か!?何だ!?お前、キリスト教徒だったっけ?」

「宗教なんて関係ない。神は全てを救う存在でありながら何故天使をあの教会に置いたのか。

奇跡を呼び起こす天使を置いたのか」

「……」

牛瀬は呟く。

「神とか天使とかどうでも良いけど、飼い主を探すのには賛成かも。

こんな寒い中ペットを捨てるなんてどうかしてる。

飼い主に説教したい!」

「……仮にそうしようとしても飼い主の場所は?名前は?何も分からないじゃないか」

六道は叫ぶ。

「天使が教えてくれるさ!奇跡の天使だからね!」

「……マジかよ。おいおい……」

彼等は猫の飼い主探しをする。

「普通なら猫を探しています!って言うポスターとかあるもんだけどな」

「……」

「全然、奇跡呼んでないじゃないか!猫が飼い主の元へ導くんだろ!」

「お腹空いてるのか?」

「そう言う問題じゃないだろ……」

「少なくともこの地域にはいるでしょ!ふふふーん。旅行気分〜」

「家出してるんだからな?俺達は……」

彼等はちょっと遠くの大きい公園へ向かう。

「通行人に聞いても臭いって言われるだけ……」

「シャンプーしたい……」

六道は猫で遊ぶ。

「猫も洗ってあげないと……」

「しかし此処まで進展が無いとはな……。神探し。当たり前か」

すると、一台の車が公園の階段に引っ掛かっていた。

六道達は車の傍に寄る。

「……」

「押すぞ!」

「嘘だろ……助ける義理無いだろ」

「流石に猫助けて人助けないのは駄目じゃね?」

六道達は階段の下まで押す。

車は何も言わずに走り出す。

「……」

「……何これ?」

虫朱は少し暗い表情をして猫と遊ぶ。

「……俺は昔、大手の車メーカーを整備する職業にバイトで雇って貰ってたんだ。高校の時な。今もだけど。

でも……ある日、上司のミスをまさかの俺のミスに変えられて……。濡れ衣を着せられた訳だ。

責任を負い借金抱えてホームレスに。親は蒸発。親戚は俺の引き取りを拒否」

虫朱は走り出した車のメーカーを思い出す。

「んで、孤児院に引き取られた。けど、俺に居場所は無かった。ペットだけが頼りだった。

懐かしいな」

「……」

Re: nameless world【名も無き世界】 祝!一周年! ( No.853 )
日時: 2017/01/12 20:18
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

翌日、虫朱、牛瀬、六道は駅の広場にいた。

「電車賃は無いからな」

「猫が電車に乗れって言ってる」

「言うかよ!何にも発展しないじゃないか!何か手がかりとか無いの!」

「猫ちゃーん。大丈夫ですかー?と言うか周りの痛い目が気になるから……」

牛瀬は疲れたのか少し眠る。

そして夢を見る。

牛瀬は家にいた。其処には父親がいた。

「……おい、何をしてるんだ……」

「殺してやる!殺してやる!」

牛瀬は親の躾の厳しさに嫌気が刺していた。それも躾の内容は人格否定や、少なくとも娘の為の躾では無く自分の価値の為の躾だった。

親が一番。親が全て。親こそ正義。親だから許される。

牛瀬は発狂し、父親を刺す。

しかし、死ぬ事は無く一命を取り留める。また、自分の娘が父親を刺した等、自分の価値が下がると判断した為、裁判沙汰にはしなかった。

だが牛瀬は家族の縁を切られ孤児院に送り込まれる。

孤児院でも、犯罪者として見られ居場所は無かった。

「……」

しかし、家にいたのは六道と虫朱だった。しかし現実とはまったく性格が違う。

「この花の花言葉は……」

「いらっしゃいませ、幻想様」

牛瀬は起きる。

「……何の夢?」

虫朱は歌い出す。

「これって……」

「車を整備しながらよく歌ってたよ。別に想い出なんかじゃない。過去を居場所なんかと思っちゃいない。

……いや、別に今が楽しいなんて事も無いぞ?」

猫は餌を喰らう。

「飼い主を探す事が本当に懸命か?」

「神……」

「頑なにその天使とか使徒とか信じるんだな」

「……猫は奇跡を起こす!」

「……すまないがもう無理だ。俺は……」

「え?」

「……」

Re: nameless world【名も無き世界】 祝!一周年! ( No.854 )
日時: 2017/01/13 19:34
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

「もう……疲れちまったよ……」

牛瀬は怒る。

「そ、そんな薄情者とは思って無かったよ!」

「だって手がかりも進展も無いんだよ!猫は保健所連れて処分させるしか無いんだよ!じゃないと俺達がもう持たないんだよ!」

牛瀬は泣き始め、何処かに逃げる。六道は虫朱を連れようとする。

「もう疲れたよ……」

「俺達は家族だろ。猫も合わせて。良いのか?」

「ああ、家族だけどよ。俺達家出少年少女じゃ何も出来ないんだよ。もう……叶わない希望を持ちたく無いんだよ」

「……知るかよ!理屈より心だ!家族見捨てる奴がいるか!」

六道は叫び、猫を抱えながら牛瀬の方へ行く。

「猫め……とんだ疫病神だよ。俺達家族をバラバラにしやがって……」

虫朱は鼻歌を歌う。

「……」

すると、一人の男性が虫朱に向かって話す。

「……」

男性は酔っぱらっていた。男性は虫朱を持っていた傘で殴る。

「……お前……痛いだろうが!」

「……うるせえ!ホームレス!汚いんだよ。汚物が!今はエコの時代なんだよ。消えろ!」

「んだと!?それでもギリギリ生きてるんだよ!仕事頑張って探そうとしてんだよ!リストラの波高校生で受けてるんだよ!なめるな!」

しかし、男性に傘でボコボコにやられる。

「お掃除完了ー。凍死しろ、カス」

虫朱は呟く。

「疫病神な猫め……」

虫朱は過去を思い出す。

疫病神と言われてきた過去を。

「……」

「社会の汚物め!ハハハ!お前の家族も汚物なんだろうな!」

「……うるせえよ!家族だけはば、馬鹿にするなよ!」

虫朱は口がガタガタ揺らしながら立ちあがる。

「……あ?社会の縮図を教えてやるよ。ホームレス」

Re: nameless world【名も無き世界】 祝!一周年! ( No.855 )
日時: 2017/01/16 18:45
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

虫朱は倒れる。

「……」

虫朱は昔を思い出す。

父親と母親は虫朱を探す。

「俺は絶対にレーサーになるんだよ。親父の会社なんて継ぎたくねえよ」

虫朱は有り金全部使い、東京へ行く。

「……俺は」

すると、虫朱の傍に警察が現れる。

「大丈夫か?君。交番で少し休もうか?」

「……はい」

「家出した虫朱さんを無事保護しました。かなりの重傷ですので救急を……」

一方、六道は牛瀬を追う。

牛瀬は止まり六道に向かって呟く。

「今日は冷えるね。

もう生きているのか死んでいるのか分からないくらい」

墓標の様なビルの下で牛瀬は泣き始める。

猫も鳴き始める。

「お腹空いたのかな?」

「……」

六道は話す。

「俺達は生きているよ。ギリギリでもう駄目かもしれないけど。

俺達は腹は減り冬の冷たさも感じられる。

まだこの空の下で生きているよ。

猫も天使も俺達も」

「……」

「……あまり気乗りはしないけど」

「……?」

六道は牛瀬と警察へ向かう。

「……警察?」

「そう、猫を保護してもらって俺達も帰る。多分、誰も心配してないけどね」

二人は交番に行くと其処には誰もいなかった。

「あれ?」

すると、全力で走る虫朱と後を追う警官が現れる。

「待て!」

「ぐあああああああ!!!」

虫朱は牛瀬と六道と共に走る。

「虫朱!なんでそんなにボロボロなの?」

「携帯のGPSで場所が特定出来たんだ。大丈夫だと思ったけど……痛っ……」

三人は警官を巻く。

「虫朱……傷薬は一応あるけど」

「傷はそれ程目立って無いが、打撲が多くてな。まあ問題ねえよ。もし傘で突かれたら終わりだったが酔っぱらってたからそれ程腕の力が弱ってたんだよ」

「何の話?」

猫は鳴く。

「しかしこいつは何も奇跡を起こさないモンだな」

「……まあね」

「可愛いさだけが取り柄だね」

虫朱は呟く。

「でも奇跡の為に飼ってた訳じゃねえよ。家族だから飼ってるんだよ。子供の様にな。育てると可愛いんだよ。

可愛くても傷は痛いけど」

六道は過去の事を話す。

「俺は捨て子なんだ。

それも不法投棄の場所に捨てられて。

そうゴミと一緒に捨てられた。

俺は一度も居場所なんてなかった。

いつ、捨てられるか。そんな事ばかり考えていた。

いっそ落ちた方が楽。

家出した日、あの時俺は自殺を考えていた」

「……!」

二人は驚く。

「親を人生を周りの奴等を恨みながら死ぬつもりだった。寒い孤児院の外で木に吊って」

けど、その時に君達二人が窓から見えた。

居場所が無い二人を。

そして家出を決行。頃合い時にこの事を話して死ぬつもりだった。

まあ止めて欲しかっただけかもしれないけど。

その時、教会に入って」

六道は猫を見る。

「そう、この東京に奇跡は起こらない。天使も神もどこにもいない。

だけど信じたいんだよ。この出会いだけは奇跡だって。

この猫がくれた居場所だって。

過去を話す事で本当の居場所が創れる気がして。

猫の飼い主探しはその為だ」

三人は気付く。

猫の飼い主を探す間、彼等は自分の飼い主、つまり親の事について考えていた。

子と親について家族について友達について考えていた。

これは何にも発展もアクションも感動も奇跡も起こらない普通の物語。

ただ、一つ奇跡が起こったのならばそれは一匹の猫により三人の居場所が出来た事。

三人と一匹は鉄塔に登る。

「この生活いつ抜けられるの?」

「ラファエル〜」

「現実逃避するな」

「この猫、奇跡起こす気ゼロだな。雪じゃなくて大金降って来ないかな」

「その日なら死んでも良いって気分になるな」

「なんとかなりゃ良いんだよ」

「うっせーな、家族じゃないんだから!もっと礼儀持てよ!」

「お前だってそうだろ!」

孤児院の人々は三人を必死に探す。

「虫朱!牛瀬!六道!」

猫の飼い主も猫を捨てた事を後悔し探す。

「タマ!タマ!確か、今は天使の名前だったっけ?覚えてねぇよ……」

「おい、鉄塔に誰かいるぞ!」

「あれは……」

虫朱は呟く。

「あ〜あ、後は死ぬくらいしかやる事ないな。金があれば別だけど」

牛瀬は呟く。

「消えたいな。もう……」

ラファエルは鳴く。

六道は呟く。

「お、天使のお告げだ。これも奇跡かな?いや違うか」

六道は手を広げる。

「もうこんなに生きたいと思った夜は無い。

もう一度、お前等とそんな夜を過ごすんだ。

だから……」

「……」

「……」

「……」

「せいぜい現実に苦しむんだな」

「えーっ?」

二人は驚きながら目を輝かせる。

どんなに綺麗な夜景よりもそれは醜く、煌めいていた。

もう一つの第六十六章 新世界ミラクルファンシーズ 完

Re: nameless world【名も無き世界】 祝!一周年! ( No.856 )
日時: 2017/01/18 19:17
名前: 翌檜 (ID: n1ZeCGPc)

外伝 ナルシスは静かに時間を砕く

むかしむかし、数百億年前、ナルシスと言う救いようが無い悪党がいました。

白のシルクハットにツリ目がちの紫色の瞳、黒のスリーピーススーツを着こなした紳士風の美男子。身長185cm。
飄々としており冷静沈着。静寂を好み騒がしい環境を嫌っており「静寂こそが正義」と語りその目的達成の為ならば狡猾で非情な手段も辞さないなど悪辣な人物。

不老不死。いかなる攻撃を受けても原子分解されてもすぐに復活する上、病気にさえなったことがない。能力を他人に分け与えることも可能であるが、最大で10人までという制限がある。

彼は全ての人類を手駒として扱い世界の暗躍者として活躍していました。

彼は一人でした。

けれども、皆は彼には気付きません。

彼はそれを望んでいました。

誰も自分を知らない静寂。

死人に口無し。それこそ正義。死人は欲を出さないから。

彼は満たされていた。だが違和感を少し覚えていた。

裏で暗躍し続け、現代までにも影響を及ぼす。

有能な人類にアメを与え都合が良い手駒とし、世界を静寂に包ませようとしていた。

しかし、その手駒達の説得により彼は変わっていた。

彼が感じた違和感は彼の感情の全てになる。

数百年生きた歪み壊れた時間は悪党と共に存在を消す。

ナルシスは静かに時間を砕く。

そして時間は再生する。

誰もいない世界でナルシスは現れる。

「静寂は相変わらず好きですが虚無と静寂は違います」

其処に椅子に座る人間がいた。

「ナルシスよ。お前は神に逆らい過ぎた」

「誰ですか?」

「ネームレスにおいての天罰の役目を行っている。

我が名はダムネイション。

神が宿るビルから全て見ていた」

ダムネイション。進堂が創った天罰システム。進堂の会社の名前にもなっている。

「此処はネームレス、地球とはまた別の小さな世界。

人が人を裁くのでは無く、システムが人を裁く。無慈悲に裁くのでは無く何が正しいのか何が違うのかを見極め、天罰を下す。ただのアンドロイドと同じではないと言う事だ。

ネームレスでは人に創られたが、この世界ではどうでも良い」

「この世界はどこですかね?昔の私なら歓喜しそうな世界ですが」

「この小さな世界は存在を消されて直、心に残る弟子達がお前に受け継がれた正義で出来ている。

お前はこれから天罰を執行する。

辛く厳しいが弟子達との約束を果たすが良い。

それで晴れて砕くが良い。

お前の全ての人生と時間を」

「貴方は何故此処に来たのですか?」

「私は天罰。悪党を裁くのが仕事だからだ。

全てに耐えて見せろ。悪党」

ナルシスはどこかへワープされる。

「お前の刑罰は己でやってきた悪事を己に向けられる事だ。

つまり今までの悪事をお前は全て受けるのだ。

そして自身に芽生えた正義を手に入れる」

ナルシスは天罰を受け続ける。

静寂しか好まないナルシスが誰かの為に初めて罪を背負い全てを砕こうとする。

数百年と言う他者を利用して生きて来た道を利用されて死んで行く。

レーザーガンに両親を撃たれる。

手駒の人生を滅茶苦茶にしたナルシスの人生が滅茶苦茶になる。

ナルシスは全てを受ける。

「これでようやく弟子たちの声が居心地良くなりましたかね。それだけで私は」

しかし、ダムネイションは憤怒する。

「……全てを奪った悪党が天罰に勝つとは笑止。お前は私の手のひらでくたばれば良かったものの。

お前は救えぬ悪党よ。正義は我にあり。

全ての天罰は更生でもお前を成長させるモノでも無い。

無価値な虚無と同じお前を砕く為に罰を行っただけ。

絶望しろ。お前の行為は全て無駄。悪党は存在が消えても悪党なのだ。

全てを奪われた弟子達もお前に殺されず永遠よりも辛い静寂を過ごしているんだろうな。親を失ったまま生きるなんて」

ナルシスは呟く。

「誰が素敵で無駄に数が多い正義のヒーローになりたいと?

私がなるなら大悪党ですよ。

私は天罰ごときで罪を捨てるつもりはありません。罪を嘆くつもりもありません。罪に溺れるつもりもありません。

ただそんな私を許してくれた馬鹿で使えない弟子達を誰も邪魔出来ない静寂へ向かう事を祈る。それこそ今やれるべき事です。

私は飽く迄も悪党として天罰に抗います。

絶望なんかしませんよ。

私は存在を消されても改心出来ない大悪党。

この程度で絶望するくらいなら私は大衆に支持される正義のヒーローをやっていた方がまだマシでしたよ」


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