二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 
日時: 2013/05/02 18:00
名前: フレア (ID: Q.pGZPl6)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=23009

この作品はドラゴンクエストⅧの二次創作です。
ドラクエ8をプレイしていない人でも分かるように書いています。
基本シリアス時々ギャグってな感じです。
自己満足のために書いているような小説ですが、生暖かい目で見守ってくれると幸いです。
あと、誤字脱字があったら教えてくれたら嬉しいです。
目次順に読んだ方が分かりやすいかと思います。

※注意 
作者が小5です。
この作品はドラクエシリーズのネタバレ、オリジナルの部分多い、しかも駄文なので不快だと思う方は見ないでください。
最近中2病MAXになってきています。
また、荒らしは止めてください。


〜目次〜

登場人物 >>71

零章   動き出す二つの運命 >>59

序章   勇者と魔王 >>01-04

第一章  ドルマゲスの行方 >>06-13 >>15

第二章  リーザスの記憶 >>18 >>21-22 >>24 >>26

第三章  新たな大陸へ >>27-30 >>33-34 >>36 

第四章  狙われた修道院 >>37-46 >>49-50

第五章  月の音色 >>51 >>53-56 >>78

第六章  荒野の船 >>79-81 >>101-103    

第七章  時空の守護者 >>105-106 >>108-109 >>113-114 >>116-117 >>131-139

第八章  太陽の鏡 >>140-145 >>146 >>150-152 >>155 >>158

第九章  闇切り開く光 >>159-162 >>164

第十章  伝説の七賢者 >>165-166 >>247-249 >>254 >>259 >>256 >>272 >>275 
              >>278-280 >>283 >>288 >>291-192

第十一章 氷の波紋 >>193


番外編
  短編       二人の出会い
                 >>173
           翡翠の首飾り
                 >>242 >>244
           紅蓮の追憶
                 >>262
           紺碧の石
                 >>266
           勇者と魔王の軌跡
                 >>192-194 >>217
  コラボ      記憶喪失少女と魔王
                 >>60-66 >>69-70 >>72-74
           失われた記憶
                 >>181-182 >>197 >>199-203 >>206-208 >>213 >>218 >>221
                  >>225-227 >>232-235
  イベント     光と闇のバレンタイン
                 >>186-188
  参照50突破記念  ルイーダの酒場にて 
                 >>14-17 >>19-20 >>25

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ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第85話  ( No.161 )
日時: 2012/12/28 10:41
名前: フレア (ID: A0pjLufI)

魔物達が人間を虐殺している壁画が刻まれた大部屋に、そいつは居た。
魔法陣の中心に片膝を付いているドルマゲスは、サフィラ達に気づき、顔を上げる。
「おやおや……。こんな所までやってくる者がいようとは……。なるほど。この私を倒し、主の呪いを解きにきたのですか」
そこまで言うとドルマゲスはまたあの不気味な笑いを口から漏らす。
「くっくっく……見上げた忠誠心だ……。しかし今の私には迷惑極まりない!身に余る魔力に身体が耐えきれなくなったのでここでこうして癒していたのに……。これも絶大な力を手に入れた代償なのでしょうかねぇ……」
ドルマゲスは立ち上がり、魔法陣から出た。
粘ついた殺気と邪悪な魔力が一気に溢れ出す。
「御託はいい。トロデーン城の人々を茨に封じ込めた罪……、ゼシカの兄ちゃん殺した罪……、院長さんを殺した罪、命で償って貰う!」
サフィラが剣を抜き、後ろにいた仲間達も構える。
「……まあいいでしょう。けれど……悲しい。悲しいなぁ。だって折角こんな所まで来たというのにその願いも叶わぬままに……みんな私に殺されてしまうのですから!!」
言葉と同時に杖から放たれた無数の茨が、六人に襲いかかる。
「させませんっ!」
ミーティアがいつの間に巨大な鎌を振り回して茨を引き裂いた。
「おやおや……たしか貴方はトロデーンの姫君……。私が呪いを掛けたはず……」
少々驚いた顔をするドルマゲス。
「よそ見してんじゃないわよ!メラミ!!」
「ベギラマ!!」
ゼシカとククールの連携技。
上空からの火球と地面からの業火がドルマゲスを容赦なく襲う。
詠唱無しで唱えたのはドルマゲスに隙を与えない為だ。
本来詠唱は呪文の効果を高めるものだが、ドルマゲスを相手取っている今はそんなもの使う余裕は無い。
「蒼天魔斬!!」
ヤンガスはドルマゲスに青い光を帯びた斧を叩き付ける。
「ギガスラッシュっっっ!!」
光を纏ったエイトの剣が、ドルマゲスを薙ぐ。
「とどめ!はぁぁぁぁっっ!!」
きぃんっ!!
サフィラがドルマゲスに振り下ろした剣は、杖に受け止められていた。
「まさか……生きてる?」
あれほど喰らって生きているとは、信じられなかった。
そして、それと共に胸を過ぎるのは不安と恐怖。
「魔族の王。貴方はなぜ強大な力があるのにもかかわらず、仲間などという《足枷》と共に行動しているのですか?《利用》するのならばもっと強い方がいいと思うのですが」
ドルマゲスの唐突なサフィラへの質問。
「足枷……?みんなは私の大切な仲間なんだ!!私なんていつも助けて貰ってる!!みんなを足手纏いみたいに言うな!!それに……!私は《利用》しているのではなく、私が魔王だって信じてくれて、それでいて恐れない仲間がずっと欲しかったんだ!!」
ドルマゲスの表情から笑みが消えた。
「つまらないですね……」
ドルマゲスが杖を振り払う動作をすると、サフィラはいとも簡単に壁に叩き付けられる。
「うぅ……」
全身の骨が折れたような感覚がした。
必死に起きあがろうとするが、身体が言うことを聞かない。
「もう少し私が面白くしてあげましょうかね……」
ドルマゲスの手から放たれたのは……杖。
「あああっ!!」
「サフィラ!」
それはサフィラの胸に突き刺さり、血のように紅い光が広がる。
ドルマゲスが招くような動作をすると、杖がドルマゲスの手に戻る。
「サフィラ……?」
「姐さん!?」
「おい!まじかよ!」
「返事して!」
「サフィラ!!」
ドルマゲスそっちのけで駆け寄る仲間達。
……刹那。
ぎぃんっ!!
不快な金属音が、部屋に響く。
「ちょっ……危ない!」
ミーティアの首筋に襲いかかろうとしたのは隼の剣。
エイトが間一髪それを剣で受け止めた。
「サフィラ………?」
様子が明らかに変だ。
サフィラは無表情で、ルビーの様な眼には輝きが無かった。
「少々貴方達の大切な仲間を操らせて頂きますよ?この非力な王が護りたかった大切な仲間を自らの手で殺め、私がこれを解いたら魔族の王はどんな表情を浮かべますかねぇ………」
「そんな……!」
再び剣の刃は仲間に襲いかかる。
的確に、急所を狙って。
やらなければこちらが殺られてしまう。
しかたなく、サフィラを傷つけないように襲いかかる剣を武器で弾き、当て身で眠らせようと隙を窺うが、一切隙の無い。
「サフィラ……!サフィラ!!」
剣を払いながら必死にエイトは呼びかけるが返事はない。
その紅の瞳には、何も映ってはいなかった。

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第86話  ( No.162 )
日時: 2012/12/28 11:47
名前: フレア (ID: A0pjLufI)

サフィラの意識はあった。
暗い闇の中にサフィラは佇み、自分の剣を必死に受け止めるエイトを眺める。
はらわたが煮えくり返るような想いだった。
自分を操っているドルマゲスへの怒りではなく、いとも簡単に操られ、仲間達を傷つけようとする自分自身への怒り。
これじゃあ人間を護るどころか仲間すら護れていない……。
私が想っていたのはこの程度だったの?
あの時の誓いは……。
『その程度だったんだよ』
魔王としての、もう一人の自分の声。
暗い闇の中からサフィラに瓜二つの少女が現れる。
『僕は心のどこかでまだ人間を疑っていた。所詮人間なんて愚かな生き物。護る価値なんて無いのさ』
「違う!確かに人間は愚かな生き物だけど、暖かい心だって持っている!」
『相変わらず頑固だなぁ。まあ僕も人のことは言えないけど』
魔王としてのサフィラはけらけらと笑う。
『……仲間達を救いたいんだったら僕に身を委ねてよ。僕なら君の身体を存分に生かせる』
もう一人のサフィラは手を差し伸べる。
「……君は何が目的なんだ?」
『何疑ってんの?だって君が精神崩壊したら僕だって消えるし困るもん』
真顔で魔王としてのサフィラは言った。
「信用出来ない」
『そっかぁ。僕も信用ないなー』
さほど残念じゃなさそうに魔王としてのサフィラは頭の後ろに腕を組む。
『ほら。仲間死んじゃうぜー?』
サフィラ本人が見てみると、満身創痍の仲間達が。
それをイオナズンでとどめを刺そうとしている自分。
「あっ……!!」
『まじで仲間死んじゃうな。早く……』
サフィラは差し伸べられた手を握る。
そして……。

「サフィラ……?」
エイトは困惑していた。
目の前のサフィラが身につけている黄金の腕輪が輝き、彼女を闇の光で包んだからだ。
そして、その光が晴れた時には彼女は手に禍々しくも美しい剣、身体には漆黒の鎧を纏っていた。
「あー、何とか間に合ったみたいだなー」
とどめを刺そうと掌に集結していた光が、すぅと消える。
「サフィラ……?」
「あー。糞重いな胸が。あの野郎よく耐えてんなー」
サフィラの、普通なら発しない言葉に仲間達の目は点になった。
「なっ……操れないだと……?」
ドルマゲスも動揺していた。

『ちっ。先に僕を妨害しに来たかあの兄貴。邪魔さえ入らなければ今頃サフィラの身体を乗っ取れたのになー』
「ちょっ、やっぱ乗っ取るつもりだったんだ!」
暗闇の中で未だ会話をしているサフィラ達。
「でも何で兄ちゃんが……?」
『さーな』
「サティラでも知らないの!?」
『お、初めて僕を名前で呼んでくれたじゃん』
「うるさい!」
挑発するようににやけるもう一人のサフィラことサティラと、少し照れて顔を赤くしているサフィラ。
『兄貴って人の身体に干渉することが出来るけど、そんな異世界の人間にまで出来るほど魔力あったっけな』
「さぁ……」
サティラの言葉にサフィラは首を傾げた。

空気が変わった。
圧倒的な魔力に反応してか、部屋の空気がピンと張りつめる。
サフィラの纏う空気が明らかに違う。
サフィラの姿をした、サフィラではない人物だ。
「ほら、テメーら立て。ドルマゲスを倒すんだろ?」
サフィラの姿をした者は最大回復呪文、ベホマズンを唱えた。
仲間達の、切り傷や打撲、骨折した箇所まで全ての傷を癒した。
「あの……貴方は………」
エイトが訊く。
「俺か?俺はロウェン・ラズルシェーナ。サフィラの兄だ」
ロウェン、と名乗ったその者は、不敵な笑みを浮かべた。

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 あけおめ!  ( No.163 )
日時: 2013/01/04 09:52
名前: フレア (ID: 3nachYIa)

サフィラ 「Happy new year!!」
エイト  「明けましておめでとう!」
フレア  「去年もガキつか面白かったですね〜」
ミーティア「全く関係ない話題ぶっ込んできやがりましたね」
フレア  「ミーティアさん、なんか言葉遣い汚くなってきたような……まあいいや。
      突然ですが今年の抱負を短歌と共に言いませんか?ちなみにNoと言ったらサフィラの存在抹消する」
サフィラ 「いやなんで!」
フレア  「冗談です。では、先に出来た人から言ってください」
ゼシカ  「はい!」
フレア  「早いですね……。ゼシカさん」
ゼシカ  「『ドルマゲス 今年は必ず ぶっ殺す』」
ククール 「ゼシカこえー……こえーよー……」
サフィラ 「だったら私も!『今年こそ マスタードラゴン 倒します』」
エイト  「いやなんで!どんだけ君は、恨んでる!?」
フレア  「そのつっこみ、なんで短歌にしたのかな?」
ククール 「お前もだろ。何コレ?短歌で会話しなくちゃだめなんか?」
ヤンガス 「ぐだぐだでがすな。次はあっしが!」
フレア  「ヤンガスさん、どういう短歌、作ったの?」
ククール 「もうつっこまない……もうつっこまない……」
ヤンガス 「『来年も 付いていきやす エイト兄貴!』」
ゼシカ  「あーはいはい。兄貴ラブってわけね。しかももう来年にむけての短歌作ってるし」
サフィラ 「ククールはどういう短歌作った?」
ククール 「『結局は エイトとあの娘は 両思い』」
サフィラ 「何それ……。エイト好きな人居るの!?」
フレア  「………」ニヤニヤ
エイト  「ククールぅぅぅぅ!?君って奴はーーーーーっ!!」
ククール 「おいぃぃぃ!?ライデインぶちかますなぁぁっ!」
ゼシカ  「あのバカ共はほっといて。ミーティアは何て書いたの?」
ミーティア「恥ずかしくて見せられません……」
フレア  「ちなみにミーティアが書いた短歌は『今年中 気になる人に 告白だ』」ニヤニヤ
サフィラ 「………」ニヤニヤ
ゼシカ  「………」ニヤニヤ
ミーティア「いや皆さん!なんでみんなでにやにやしてんですか!?」
サフィラ 「可愛いなぁ……」
エルニス 「おや皆さん。ここで何を、しているの?」
サフィラ 「エルニス!こっちも短歌か!」
エルニス 「……いや、収集つかないからってフレアに寄越された……」
サフィラ 「君も大変だねぇ」
エルニス 「えっと……でも、放っておいても大丈夫。見ているの、楽しい」
ゼシカ  「あぁ……宿舎がぁぁぁ……」
サフィラ 「ダークドレアムのやつ、また家賃割り増ししたって……」
フレア  「俺しーらね♪後は任せます!アデュー!」
ミーティア「逃げ足だけは速いのですね……」
サフィラ 「取り敢えず締めるよ。皆さん!よいお年を!」
エルニス 「いや、それ年末に言う言葉……」

フレア  「……あ、エイトの短歌、忘れてた」
サフィラ 「でも内容ミーティアと同じだったよ?」
フレア  「両思いなんだなぁ……。ククールは結構こういうのには敏感なんだね」ニヤニヤ

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第87話  ( No.164 )
日時: 2013/04/06 09:11
名前: フレア (ID: nA.Y1kcV)

ロウェンは握りしめている剣を振るう。
ドガガガガッッッッ!!
間一髪、ドルマゲスが避けた。
壁が破壊され、土煙が舞う。
驚くことに、ロウェンはその場に居ながらそれを破壊した。
真空波というやつだ。
「くっ……面倒だがどうやら全力を出さなければならないようだな」
ドルマゲスが持っている杖が不気味に輝く。
「何……?」
エイトは少し身を引き締める。
ドルマゲスは黒い靄に包まれ……
怪鳥のような、青い魔人の姿となった。
手元から杖は消えていた。
「あっひゃ!あっひゃ!あーっひゃひゃひゃひゃひゃ!」
エイト達はその笑い声に、背筋が凍る。
「この虫螻共め!二度とうろちょろ出来ないようバラバラに引き裂いてくれるわっ!!」
「ふん……。じゃあ俺も本気を出さないとなー」
唯一ロウェンだけは動じなかった。
剣が青い炎を上げる。
その直後、ロウェンが地を蹴った。
高く跳躍し、ドルマゲスに斬りかかる。
ドルマゲスは翼を動かし、宙へ逃れる。
「ククール!私達もやるわよ!」
「応!」
ゼシカとククールは頷き、唱えた。
「「メドローア!!」」
炎の宝玉と氷の刃は確かにドルマゲスに命中した。
不意をつかれ、ドルマゲスは無様に地面に落ちる。
「森羅万象斬!」
ヤンガスが振り上げた斧の周りに紋章が刻まれ、斧は炎を上げてドルマゲスを叩き付ける。
「はぁっ!」
ミーティアは思いっきり鎌を投げる。
鎌はドルマゲスの翼を斬り、弧を描いて手元に戻った。
「貴様らぁぁぁっ!」
地獄の底からのような声にもう彼らは躊躇しない。
ドルマゲスの唱えた最強氷呪文のマヒャドの刃はロウェンに襲いかかる。
宙へ逃れたロウェンは身体を捻りながらかわす。
その姿は、さながら人魚のように美しい。
「な……かわした、だと?」
「俺はサフィラほど甘くはないんでな。容赦はしないぜ……?」
ロウェンの掌には光が集う。
「4練イオナズン!!」
爆破呪文はドルマゲスの体制を崩した。
「エイト!」
ロウェンが叫んだ。
「全てを終わらせろ!テメー自身の手で!!」
その言葉に、コクリと頷いてから剣を構え、ドルマゲスへと一直線に走った。
剣に光が帯び始める。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」
エイトは剣を振り下ろした。
ゼシカの悲しみ、ククールの怒り、そして何よりトロデやトロデーンの人々の苦しみを刃に載せて。
「ぐああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!」
絹を引き裂いたような叫びが、遺跡中に響き渡った。
「……にはまだ足りぬぅっ…………」
ドルマゲスは血を吐きながら呻いた。
「……こんな場所で………朽ち果てるわけにはぁ………」
ドルマゲスの身体は灰と化し、崩れ落ちた。
その中心には杖が横たわっていた。
「やった………?」
「……ええ。やったみたいです………」
信じられないような表情をしていたエイト達は、すぐに笑みを浮かべた。
「兄貴!やったでがすよ!あっし達、遂にドルマゲスを倒したでがす!」
「これで晴れて自由の身ってわけだな」
「兄さん……!私、兄さんの敵を討てたよ……!」
「これでお父様も……!」
「うん。トロデーンの国民達も茨から解き放たれただろうね」
「おーい!!」
どこからか、声が聞こえてきた。
あの聞き慣れた、トロデ王の声だ。
「おっさん!遂に人間の姿に戻ったでがすな!!」
しかし出てきたのは相変わらず緑が眩しいトロデ王。
「お父様……?呪いは解けたはずでは……?」
「何を言っておるんじゃ?ミーティア。冗談を言うでない」
「冗談じゃなくて俺達はドルマゲスを倒したんだ。奴が死ねばあんたの呪いは解けるって……」
エイトの胸に、小さな不安が過ぎった。
バタッ
その時、何かが倒れる音がした。
音がした方を見ると、ロウェンが……。
「ロウェンさん!?」
慌てて抱きかかえると、それはもういつもの少女へと戻っていた。
今はすぅ……と寝息を立てている。
剣と鎧もいつも身につけている物に戻っていた。
「結局……あの人は誰だったんだろう……?」
「サフィラの兄だって言っていましたが……」
「何を言っておるんじゃ?お主ら」
「早くここからでやしょうや」
ヤンガスに言われ、エイトがリレミトを唱えようとする。
「あ!杖を忘れていた!」
「杖ってこれのことかな?」
ゼシカがドルマゲスの居た場所に横たわっている杖を拾い上げる。
「おお、それじゃ!その杖じゃ!」
「じゃあみんな、行くよ。リレミト!!」

「ふぅん……。まさかあの道化師を倒しちゃうなんてなー」
一部始終を陰から見ていた者達がいた。
二人の陰は先程までドルマゲスだった灰を見下ろす。
「ドルマゲスを買い被り過ぎていたのかな?」
「いえ……。あの者達のまぐれだと私は思います」
「そうかもね。でもドルマゲスが破れたところで何も変わらない。もう時の歯車は動き始めたんだ。全てを闇へと葬るまでもう止まらない……」
その声の主は、中性的な顔立ちの10歳位の子供だった。
そしてその子供に敬語で話しているのはまだ少女のあどけなさを残した娘。
「……次はあの女だ」
「左様でございますね。魔王様」
少年は壁画へと振り返った。
「もう少しです……。もう少しでこの世界を我々のものに……」
少年は残虐な笑みを浮かべ、言った。
「暗黒神ラプソーン様」

サフィラ達はサザンビークの宿屋に泊まった。
もうエイトの残りの魔力が残り少なく、近くにしかルーラ出来なかったからだ。
そして朝……。
「大変です皆さん!!」
エイト、ヤンガス、ククールはミーティアのけたたましい叫び声で目覚めた。
男と女で部屋を分けているからドアを思い切り開けてミーティアは入ってきた。
「ゼシカさんがいないのです!!」


やっとの想いで倒したドルマゲス──しかし呪いは解けなかった。

ドルマゲスを共に倒してくれたロウェンと名乗る者は?

戦いを傍観していた二人は何者なのか?

──そしてゼシカの失踪。

空白だらけの解けないパズル。

そのピースが集う日は来るのだろうか。

そして……彼らの旅の終わりは──


第9章 完

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第88話  ( No.165 )
日時: 2013/01/07 09:50
名前: フレア (ID: 5lF/2wvj)

「ゼシカー!!いるんなら返事してー!」
エイト達は宿の中にゼシカがいないか確認していた。
ちなみにエイトは女性陣が泊まっていた部屋を調べている。
まさか……と思いつつベッドの下とかクローゼットの中とか調べるが、もちろん居るわけがない。
そして風呂場のドアへと手を掛ける。
「………………」
居た。
「………………」
浴槽に浸かっているサフィラが。
「………………」
何とも言えない沈黙が降り、双方言葉を発せないまま顔を徐々に朱色に変化させていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
サフィラの悲鳴と共に放たれたのは手近な場所にあった桶。
「あっ…………………」
それは見事に顔面に当たり、エイトは小さく悲鳴を漏らすと倒れ、気を失った。
「サフィラ!?どうなさいまし……え?」
サフィラの悲鳴を聞きつけ、部屋の入口からミーティアは顔を覗かせる。
浴槽に浸かっているサフィラと入口に倒れているエイト、そしてエイトの近くに転がっている桶を見るとすぐ状況は分かった。
「どうしたんでがすか!?」
「サフィラの悲鳴が聞こえたんだが……」
悲鳴を聞きつけたヤンガス、ククールも駆けつける。
「あ、ちょっと!」
ミーティアは慌ててドアを閉める。
「えっと……ゼシカは見つかりました?」
ミーティアは無理に笑いを作って全く別の質問を投げかける。
ヤンガスとククールは顔を見合わせると、言った。
「どこにも居なかったでがす……」
「あ、でも一つ収穫はあった。宿屋の女将に訊いてみたところ、杖を持ったゼシカがリブルアーチに行くって言っていたらしい」

「ごめんなさい。不可抗力だったんです………」
「……………………」
五人は泊まった宿の個室に集まっていた。
エイトはひたすらサフィラに謝っている。
サフィラは鎧の下に着るインナーのみ着ていてエイトをどぎまぎさせるがそうも言ってられない。
当のサフィラは若干目を潤んでいる様な気がする。
今「くすっ……女の子らしいね」なんて言ったら今度は気絶させられるどころか三途の川のほとりに立つはめになりそうな雰囲気だ。
「サフィラの気持ちも分かりますが、今はゼシカを探すことが先決ですよ?」
ミーティアはサフィラをたしなめる。
「……何でゼシカはリブルアーチに………?」
ククールは一人で何やらぶつぶつ言っている。
「……何が目的なんだ?それに何で杖を……」
「分からない」
急にククールに言ったのはサフィラだ。
「……ドルマゲスを倒したとき、時空の扉は閉まらなかった。そしてあの杖……。……何か嫌な予感がする」
ひたすら謝罪の言葉を言っている……というか、もうそれはサフィラに対する謝罪と言うより自分に対する呪詛に近い……エイトから視線を外す。
「それって……何か別のものに原因があるということですか?」
「ご名答。時空の扉は強大で邪悪な力に反応して開いちゃうんだ。原因がドルマゲスでないとすると……」
部屋に沈黙が降りる。
「……考えていても埒があかないでがす!!取り敢えずそのリブルアーチにいきやしょう!!」
「……うん。そうだね」
ヤンガスの意見に四人は頷く。
「エイト、リブルアーチの場所は?」
サフィラはもう先程の怒りは消えているのかエイトにいつもの調子で尋ねる。
「えっと……王家の山から北西に進んでいくとリブルアーチの関所があって……そこから後は一本道だね」
エイトは地図を見ながら答える。
「じゃあみんな!早く支度を調えて行くよ!」

数分後、五人は宿の朝食も食べずに急いでサザンビークを出た。
「何……?ゼシカが失踪したと……?」
トロデはもちろん驚愕した。
「しかも家宝の杖まで持って行ってしまったと……」
「うん。まあ取り敢えずリブルアーチに行こう。ゼシカはそこに居るはずだから」


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