二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡
- 日時: 2013/05/02 18:00
- 名前: フレア (ID: Q.pGZPl6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=23009
この作品はドラゴンクエストⅧの二次創作です。
ドラクエ8をプレイしていない人でも分かるように書いています。
基本シリアス時々ギャグってな感じです。
自己満足のために書いているような小説ですが、生暖かい目で見守ってくれると幸いです。
あと、誤字脱字があったら教えてくれたら嬉しいです。
目次順に読んだ方が分かりやすいかと思います。
※注意
作者が小5です。
この作品はドラクエシリーズのネタバレ、オリジナルの部分多い、しかも駄文なので不快だと思う方は見ないでください。
最近中2病MAXになってきています。
また、荒らしは止めてください。
〜目次〜
登場人物 >>71
零章 動き出す二つの運命 >>59
序章 勇者と魔王 >>01-04
第一章 ドルマゲスの行方 >>06-13 >>15
第二章 リーザスの記憶 >>18 >>21-22 >>24 >>26
第三章 新たな大陸へ >>27-30 >>33-34 >>36
第四章 狙われた修道院 >>37-46 >>49-50
第五章 月の音色 >>51 >>53-56 >>78
第六章 荒野の船 >>79-81 >>101-103
第七章 時空の守護者 >>105-106 >>108-109 >>113-114 >>116-117 >>131-139
第八章 太陽の鏡 >>140-145 >>146 >>150-152 >>155 >>158
第九章 闇切り開く光 >>159-162 >>164
第十章 伝説の七賢者 >>165-166 >>247-249 >>254 >>259 >>256 >>272 >>275
>>278-280 >>283 >>288 >>291-192
第十一章 氷の波紋 >>193
番外編
短編 二人の出会い
>>173
翡翠の首飾り
>>242 >>244
紅蓮の追憶
>>262
紺碧の石
>>266
勇者と魔王の軌跡
>>192-194 >>217
コラボ 記憶喪失少女と魔王
>>60-66 >>69-70 >>72-74
失われた記憶
>>181-182 >>197 >>199-203 >>206-208 >>213 >>218 >>221
>>225-227 >>232-235
イベント 光と闇のバレンタイン
>>186-188
参照50突破記念 ルイーダの酒場にて
>>14-17 >>19-20 >>25
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- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第21話 ( No.29 )
- 日時: 2012/09/20 13:41
- 名前: フレア (ID: .9PiH9M2)
三人はアーチをくぐって町に入る。
例によってトロデ、ミーティアを外に残したまま。
「この町から定期船に乗れば、南の大陸にいけるでがす」
ヤンガスが言った。
「取りあえず、ゼシカさんを探そう」
少し疲れた様子のエイトが言う。
「その人、ドルマゲスを追いかけるつもりなら
定期船に乗るんじゃないかな?」
「そこに行ってみるか」
サフィラの意見に二人は賛同した。
港に行くなり聞き慣れた少女の怒鳴り声が聞こえた。
「もういい加減に待てないわよ!さあ、今から船を出して!!
私は急いでるんだから!!」
ゼシカは荒くれ男に詰め寄る。
「しかし・・・。今、海には危険な魔物が出没していて・・・」
「だから!そんなの私が退治するって言ってるでしょ!?」
何回もこのやり取りをしていたのかゼシカはイライラしていた。
「いやいや、お嬢様にそんなことさせたら
後でアルバート家からなんと言われるか・・・」
「う〜〜話の分からない男ね」
ゼシカはそう言うと辺りを見回し始めた。
すると、塔で見掛けた三人が目に入る。
「!あ、ちょうど良かった!!」
ゼシカは豊満な胸を揺らしながら三人の所に近づき、言った。
「リーザス塔で会った人よね。
リーザス村で待っててって言ったのに何で待っていてくれなかったの?」
「・・・そんなこと一言も」
「ちゃんと謝りたかったのに。
・・・でも、それは今はいいわ」
エイトの言葉を遮ってゼシカは
「ちょっと頼みたいことがあるの。一緒に来てくれる?」
踵を返し、荒くれ男の所に三人を連れて行く。
「ねえねえ、その魔物を倒すのに私が手を出さなきゃいいんでしょ?」
「へえ、そりゃあまあ・・・」
「だったら任せて。魔物退治はこの人達が引き受けてくれるわ。
ね?これならオーケーでしょ?」
「ちょっとちょっと!!勝手に話を進めないでよ!」
サフィラが二人の会話を遮る。
「あのドルマゲスは南の大陸へ渡ったらしいわ。
あなた達もこの船使えないとドルマゲスを追いかけられないでしょ?」
「う・・・」
サフィラはゼシカに返す言葉をなくす。
「じゃあ決まりね。
早速船を出してちょうだい」
「イエッサー!!」
荒くれ男は敬礼をして元気よく答えた。
定期船に乗った三人。
因みにトロデとミーティアはこのことを知らない。
「よーし、出発だーー!!
碇を上げろーー!!」
男の声が良く晴れた空に響く。
しばらく船が進んでいくと、ごぼごぼ・・・と水面が泡立つ。
勢いよく海から出てきたのは
たこのような、いかのような魔物だった。
「気に入らねぇなあ。
気に入らねぇ。
いつもいつも断り無くこのオセアーノンさまの頭上を通りやがって」
オセアーノンと言った魔物は自分の触手と会話する。
「海に生きる者としてこの俺様が人間喰っちまうか!!」
そう言うなりオセアーノンは火の息を噴く。
「くっ・・・」
いきなりの不意打ちを食らって三人はよろめく。
そして武器を抜いて構えた。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第21話 ( No.30 )
- 日時: 2012/09/21 14:44
- 名前: フレア (ID: Us9WpvjK)
「エイト、ヤンガス!!殺さない程度にがんばって!
この魔物、何か目の奥で必死にもがいているような・・・
うわっ!!」
サフィラは触手に叩き付けられる。
「サフィラ!!大丈夫!?」
エイトはホイミを唱え、サフィラの傷を回復させる。
「ありがと!!」
と礼を言ってから高く跳躍してオセアーノンの頭の上に乗り
サフィラは後頭部を突き刺そうとする。
・・・が。
「硬い・・・剣で貫けないなんて・・・!!」
エイトとヤンガスは下の方でゲソと戦っているようだった。
そちらの方に気を取られていたサフィラは、
後ろに迫ってくるゲソに気がつかなかった。
「うあっ!!」
足を絡め取られ、
何度も何度も甲板に叩き付けられサフィラは意識を失う。
「くっ・・・」
ゼシカはすぐにでも助けたかったが約束によりそれは出来なかった。
いや、それは言い訳なのかもしれない。
もしかして私、恐怖を感じている?とゼシカは思った。
「くそっ!!」
エイトはサフィラの自由を奪っているゲソを貫く。
オセアーノンは痛みでサフィラを放してしまう。
「おのれ・・・小癪な・・・!!」
オセアーノンが呻く。
その隙にヤンガスが
「おりゃあああ!!」
と言う声を上げて思いっきり斧を上段に構え、振り下げた。
「うぎゃぁぁぁぁあああ!!」
オセアーノンは悲鳴を上げる。
「さぁ、これ以上戦いを続けたら君もどうなるか分かってるだろう?」
エイトは静かに、しかしその目は怒りで燃えていた。
「いやぁ、お見それしました。いえホントホント」
先ほどとは180度態度を変えて、オセアーノンは言った。
「覚悟は出来てる?」
エイトはオセアーノンに問う。
「今回の件は私のせいじゃないんですよ!!
そうそう!あいつのせいなんです!!」
その言葉を聞いてエイトはサフィラが言ったことを思い出す。
『この魔物、何か目の奥で必死にもがいているような・・・』
「・・・どういう事?」
「こないだ、
道化師みたいな野郎が海の上をすいすい歩いていましてね、
生意気な奴だと睨んでいたら、睨み返されちまいまして・・・」
エイトとゼシカはハッとなった。
「ドルマゲス・・・!!」
「ドルマゲス?その野郎はドルマゲスというんですかい?
まあ、とにかくそれ以来、身も心も奴に乗っ取られちまいまして。
船を襲ったのもそのせいなんですよ」
切れた足を痛そうに見ながらオセアーノンは言った。
「大丈夫、分かっていたよ」
いつの間にかサフィラが立っていた。
「サフィラ!傷は大丈夫!?」
大丈夫、と言った後、
足を引きずりながらオセアーノンと向かい合う。
「・・・ベホマ」
彼女は静かに唱えた。
すると、オセアーノンの斬られた触手が再生する。
そして、弱々しい笑みを浮かべながらサフィラは
「大丈夫、すべて悪いのはドルマゲスだから・・・。
誰も君を責めたりしないよ・・・・・・」
そう言って倒れた。
「サフィラ!」
「姐さん!!」
何回も叩き付けられて意識が飛ばない方がおかしいくらいだった。
エイトは彼女にホイミを唱えるが傷は深く、治らない。
「・・・流石魔王とエルフの王女の血を引いているだけありますな。
操られていたとはいえ、こんなに傷を負わせた敵を助けるだなんて・・・」
オセアーノンは言った。
「魔王!?嘘でしょ!?」
この発言にゼシカ、船員達は驚いた。
常人ならこの反応が普通だろう。
「そうだ!忘れていた!魔王の娘さんにこれ、渡しておいてください」
そう言って差し出されたのは黄金の腕輪。
邪悪な気配がするのはヤンガスにすら分かった。
これなに?と尋ねる間もなくオセアーノンは
「それじゃ、私はこの辺で退散しますね。
ではでは、皆さん良い旅をば〜」
水しぶきを上げてオセアーノンは帰って行った。
「これ何なんだろ・・・」
黄金の腕輪はとてつもない魔力を放っていたと同時に、
邪悪な物が眠っているような雰囲気だった。
「兄貴!
そんなことよりも早く姐さんをベッドに運んだ方がいいでがす!」
ヤンガスはあわてた声で言う。
「あ!そうだったね!」
腕輪を見ていたエイトは我に返ってサフィラを抱えた。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第23話 ( No.33 )
- 日時: 2012/09/21 13:51
- 名前: フレア (ID: Us9WpvjK)
サフィラが目覚めたのはポルトリンクの宿屋だった。
「う・・・」
体中に痛みを感じた。
オセアーノンに叩き付けられたからというのもあったが、
無理をしてホイミの最上級の呪文、ベホマを使ったからだ。
無理矢理使えない呪文を使うと体への負担は相当なものだ。
ベッドの傍らには、
イスに腰掛けながらうたた寝をしているエイトが居た。
「エイト・・・エイト・・・!」
声を出すのも辛い状態だったが、それでも仲間に呼びかけた。
「・・・はっ!サフィラ!いつ起きたの!?」
エイトはサフィラの声で目が覚めた。
「あの・・・魔物は・・・?」
「え?あ、あぁ。この腕輪を残して去っていったよ」
と言ってエイトは黄金の腕輪をサフィラに渡した。
「・・・!これ・・・!!」
「君に渡しておいてくれって頼まれた。
それ、何なんだろうね。
凄い魔力が秘められてる・・・」
「なんで・・・・・・・に!!」
サフィラが驚きの声を上げるが、
なんて言ったのかはエイトには聞き取れなかった。
「うん?」
「あ・・・いや・・・何でも・・・ない」
エイトが聞くがサフィラは答えなかった。
「体の方は?」
「所々が痛む・・・。でも、大丈夫だよ。
ところで・・・ヤンガスは?」
サフィラが先ほどから姿が見えない仲間の行方を聞く。
「・・・そこ」
エイトが指さした方向はベッド。
確かに掛け布団がこんもりしている。
「爆睡してるね・・・」
「いびきがうるさいから掛け布団かけたんだ」
あはは・・・、とサフィラが苦笑した後、
ゼシカが宿屋に入ってきた。
「あ!もう体の方は大丈夫なの!?」
「とりあえずはね」
「そう・・・。
いやぁ、貴方昨日はすごかったわね!!」
どうやらサフィラが気絶してから一日経っていたらしい。
「貴方をこんなにまで怪我負わせたのに
あの魔物の傷を治してあげるなんて・・・。
私には無理だわ!」
興奮した様子でゼシカは話す。
「ところで、貴方が魔王とエルフの血を引いてるって本当?」
ゼシカはサフィラに聞いた。
「ホントだけど、無理に信じなくて良いよ」
「凄いじゃない!」
ゼシカは信じることに決めたらしい。
「あ、自己紹介を忘れていたわね。
私はゼシカ。ゼシカ・アルバートよ。
あなた達はなんて言うの?」
「僕の名前はエイト。で、この眠ってるのがヤンガス」
「私はサフィラだよ」
それぞれ自分たちの名前を教えた。
「エイトにサフィラにヤンガスね?
改めて魔物を倒してくれてありがと!おかげでドルマゲスを追えるわ!
お願いがあるんだけど・・・。
あなた達もドルマゲスを追ってるんでしょ?」
「・・・?うん」
エイトはゼシカがどういうつもりなのか分からなかった。
「旅の目的は一緒なんだし・・・。
あなた達の仲間にしてくれない?こう見えても魔法とか得意なの。
きっと役に立つわ」
「エイト、この人仲間にしようよ。
塔の時も炎の呪文とかすごかったし。
あと、一人で旅なんて危険すぎるからね」
サフィラは言った。
「うん、そうだね。じゃあよろしく」
エイトは手を差し出した。
「うん!これからよろしく!」
ゼシカはエイトの手を握った。
そして、ゼシカは手を放して言った。
「ねえ、南の大陸に出発すのは明日にしない?
サフィラがこんなに重傷だし」
「うん。無理をして死なれても困るしね」
エイトが言った。
「じゃあ、サフィラ。お大事にね〜」
そう言ってゼシカは宿屋を出ようとしたが、
途中何か思い出したのか二人の所に戻ってきた。
「そういえば、まだ謝ってなかったね」
ゼシカは言った。
「いや、気にしてないよ」
とエイトが言うが
「ううん、それじゃあ私の気が済まないの」
ゼシカは首を振った後
「すいまっせんしたーー!!」
頭を下げ、こう言い放つ。
「なんというか・・・エイトより男っぽいところもあるというか・・・」
「あはは・・・」
サフィラは思わずエイトを半眼で見つめ、エイトは笑うしかなかった。
「じゃっ。お大事にね」
そう言って今度こそ出て行った。
「・・・頼もしい仲間が増えたね」
「・・・うん・・・・・・」
「ぐがーーっぐがーーーっ」
静かになった宿屋にはヤンガスのいびきが響いた。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第24話 ( No.34 )
- 日時: 2012/09/21 14:39
- 名前: フレア (ID: Us9WpvjK)
「おはよー、みんな起きてる?」
朝一で来たゼシカは元気よく宿屋の扉を開けた。
「うぅーん・・・」
「すーっ・・・すーっ」
「ぐがーっぐがーっ」
「・・・・・・」
ゼシカは自分でもなぜだか分からないが恥ずかしくなった。
「ほらっ!起きなさいよ!!」
エイトを激しく揺さぶるゼシカ。
「・・・はっ!!」
「おはよう。目が覚めた?他の二人起こすの手伝って」
まだ眠気が覚めないエイト、ヤンガス、
そしてまだ体中に包帯を巻いた状態のサフィラは港へ向かった。
「あの緑色の人には伝えてあるわ。今頃船にいるはずよ」
ゼシカは言った。
「完全におっさんの事忘れていたでがす」
「・・・・・・」
定期船に乗り込んだ四人。
そこでいろいろな話をした。
「そういえば、ヤンガスってエイトのことを兄貴って呼んでるけど、
何でなの?
普通は逆だと思うけど」
ゼシカが疑問を口にした。
「そういえば・・・。
もうすっかり当たり前のことになっていて忘れてたけど」
サフィラも言った。
「よくぞ聞いてくれたでがす!」
なぜかテンションが高くなったヤンガスは言った。
「不肖ヤンガス、エイトの兄貴の旅のお供をしているのにゃあ、
聞くも涙、語るも涙の壮大な物語があるでげすよ」
「いや・・・聞くも涙って・・・・・・。
僕、そんなに大したことやってないけど・・・」
エイトは少々引き気味に言った。
「そう・・・あれは確か夏の盛り・・・。
遠くで蝉が鳴いていたでげすよ・・・」
ヤンガスの言葉を簡潔にまとめるとこうだった。
トロデーンから出たエイト、トロデ、ミーティアを橋で襲い、
斧でエイトを斬りつけようとしたところ、
橋に斧が刺さり抜けなくなる。
その隙に三人は橋を渡り、
そこで橋は切れてヤンガスは落ちそうになるが、エイトが助けた。
このとき、トロデとミーティアは見捨てようとしたらしい。
とにかく、そのとき命を救われてから
ヤンガスはエイトを兄貴と呼ぶようになったという・・・。
「へぇ、そんなことがあったのね。
で、それのどこが聞くも涙、語るも涙の壮大な物語なの?」
呆れた様子でゼシカは言う。
「エイトは優しいね」
「いや、あんなに怪我を負わせた魔物を君の方が凄いよ」
サフィラとエイトはお互いを褒めあう。
「私、ちょっと風にあたってくる。
サフィラ、ちょっと二人で話しない?」
「いいよ〜」
と言ってゼシカとサフィラは二人の前から去る。
「やっぱり兄貴とあっしの兄弟仁義はしょせん男同士にしか
理解できない話でがしたかね」
「・・・・・・ははっ・・・・・・・・・」
エイトは苦笑いした。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第25話 ( No.36 )
- 日時: 2012/09/23 18:22
- 名前: フレア (ID: M4UdAK/d)
「そう言えば、陛下はどこに?」
エイトがヤンガスに聞いた。
「おっさんなら船長室の所へ行ったでがす」
「心配だから行ってくる」
「ついに直ったわい!!」
船長室にトロデの声が響く。
傍らで船長と思われる人物は耳を押さえる。
「陛下!どうかしましたか!?」
思わずエイトはあわてて言った。
「む・・・?ちょうど良いところに来たのうエイト!!
たったいまこれが直った所じゃ!」
「直ったって・・・これのことですか?」
エイトは机の上の釜を指さす。
「いかにも。こいつは練金釜と言ってのう、
材料となる素材を入れると全く別の道具を生み出すという
魔法の釜なのじゃ!!」
少し興奮ぎみにトロデは言った。
「旅の大きな助けになりそうですね。
陛下、ありがとうございます」
頭を下げるエイト。
そのとき
「船長!もう間もなく船が南の大陸に到着します!」
と船員が言った。
「よし、分かった。マストの調整を頼む!」
「イエッサー!」
船長に命じられた男は敬礼をして部屋から出て行った。
定期船から船着き場に降りた一行。
トロデとミーティアは先に外へ出た。
「おー賑わってるねぇ」
サフィラは目を輝かす。
たしかに武器屋や道具屋など、
店は一通り揃っていてなかなか人が多い。
「ちょっと見物してくるね〜」
と言うなりサフィラは駆け出す。
「サラ〜!あんまり遠くに行っちゃだめよー!」
ゼシカは叫ぶ。
「保護者みたいだね。ってサラって・・・?」
人混みに消えるサフィラの後ろ姿を見ながらエイトは聞いた。
「サフィラって名前がちょっと言いにくいから
サラって名前で呼ばしてもらってるの」
「言いにくいでがすか?あっしはそう感じなかったがすけどなぁ〜」
「まあ、いいじゃない。感じ方は人それぞれだし」
ゼシカは言った。
(う〜ん・・・。取りあえず、薬草を買い込んでおくか。
練金釜って言うのも気になるし・・・)
人混みの中、サフィラは買う物を考えていた。
実は、船を降りた後にエイトはそれについて話してくれたため、
仲間達はそれの使い方をちゃんと理解している。
(あの練金釜なら呪いを解ける道具を作れるかも。
だったら呪われた物を清める聖者の灰と・・・)
そこまで考えていたとき、何者かと腕がぶつかった。
「あっ。ごめんなさい」
サフィラとぶつかったのはいかにも悪人って雰囲気の男。
「おい、ねーちゃん。
お前のおかげで大事な一張羅が汚れちまったじゃねえか」
「どうしたら許してくれますか?」
何となくその先の展開が読めたサフィラは心の準備をする。
「そりゃあもちろん俺と遊ん・・・」
「はぁ!!」
男の腹部に思いっきり蹴りを喰らわして
男は店の商品棚に叩き付けられる。
「この女ぁ・・・」
必要以上に危害を加えたくなかったサフィラはその場から立ち去った。
こうゆうことは何回も経験してるため、もうなれていた。
ただ、何となく怒りが沸いてきていた。
「・・・?どうしたのサフィラ」
イライラした様子でサフィラは言った。
「ここからすぐ立ち去ろう。すっごく不愉快」
いやだとは言わせない、と言う雰囲気を纏ったサフィラは
ズカズカと出口に向かった。
第4章 完
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