二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.44 )
- 日時: 2017/01/29 20:02
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
教室に戻ると、席に座った影野君が、数学の問題を解いていた。
本当は、疑いたくない。でも、疑うことしかできない。
彼が、シャドウである可能性を……。
「あ、おかえり。外やけに暗かったけど、もしかして、プリキュア関連の?」
そう聞いてくる彼に、私は「えぇ……」と曖昧に頷く。
もし、彼が本当にシャドウなら、今の言葉だって演技だということになる。
疑いたいわけじゃないのに……信じたいのに……。
よく考えれば、私は、彼とシャドウが同じ場所にいるのを見たことがない。
修学旅行の時だって、私が目を離していた隙にシャドウに変わってしまえば、戦闘に参加することは容易だ。
……と、そこまで考えて、修学旅行の時に、シャドウが私を守ったことを思い出した。
彼にとっては、私は最強のプリキュア。だから自分で倒したい。そんな意味だったのだろう。
それじゃあ、私と付き合っているのは?
きっと、弱点を探るためだ。
信じたい。それなのに、一度疑ってしまえば、底なし沼に引きずり込まれるように、思考は悪い方向へと沈んでいく。
でも、まだ確証があるわけじゃない。今は、まだ……。
放課後になり、私たちは、大使館に向かった。
主に、めぐみに勉強を教えるために。
大使館は広いし、集まるにはちょうどいいのだ。
しかし、いざ行ってみると、予想外の人物がいた。
「ブルー!」
ソファに座る神様に、めぐみがそう言って駆け寄る。
見た目的には元気そうだが、前より若干痩せたように感じるし、まだ顔色もあまりよくない。
「めぐみ、皆。よく来たね」
「神様。怪我はもう治ったの?」
ひめが聞くと、彼は「あぁ、ほとんどはね」と頷く。
それにホッとしつつ、私はソファに座る。
「それにしても……ちょうどよかったよ。君達に、早急に伝えたいことがあったからね」
神様の言葉に、私の脳裏に、影野君の姿が過る。
私は、ソッとカップを置き、口を開く。
「それは……影野君のこと?」
恐る恐る聞いてみると、彼は、しばらく間を置いた後で頷いた。
スカートの裾を握り締める力が強くなりながらも、私はさらに問い詰める。
「もしかしたらの話、なんですけど……影野君とシャドウが……同一人物、なんじゃ……」
震えた声で私が発した言葉に、何人かが息を呑んだのが分かった。
神様は、しばらく迷った様子だったが、やがて小さく、「そうだ」と言う。
自分で聞いたにも関わらず、精神的なショックは大きく、私はソファにへたり込んだ。
「どういうこと!?影野君と、シャドウが同じって……」
問い詰めるめぐみを宥めつつ、神様は、しばらく考え込む。
「……説明すると、色々長くなる。でも、前にいおなが連れてきた少年は、紛れもなくシャドウという少年だ」
神様の言葉に、私は唇を噛みしめた。
私のせいで……彼等に、この場所がバレた可能性がある。
私のせいで……神様が怪我をしたのかもしれない。
そう思っていて、気付いたら、私は外を走っていた。
私が呼んだ火種なら、私が始末をしなくちゃ。私が、ケリをつけなくちゃ。
そう思ったら、走る速度も上がり、私は真っ直ぐ、シャドウが壊した建物の跡地に向かった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.45 )
- 日時: 2017/01/30 20:22
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<シャドウ視点>
今日は、やけにキュアフォーチュンの態度がおかしかったように感じる。
よそよそしいというか、何かを隠している雰囲気だった。
「何かあると思うか?ブラック」
壁に背中を預けながら、僕は問う。
彼は、手に赤いバラを持って指先でクルクル回しながら、小さく呟くように言った。
「そりゃぁ、お前……正体がばれた、とかじゃないか?」
その言葉に、僕は息を呑んだ。
流石に、接近しすぎたか……?今まで何か疑っている素振りもあったし……。
彼は、少しずつバラを黒く染めながら、聞いてくる。
「今日、私の命令を聞かず、キュアフォーチュンと直接戦っていたじゃないか。その時に、顔でも見られたんじゃないか?」
「っ……」
黒く染まったバラの花びらの部分に手を添え、ブラックは握り締める。
ハラハラと舞い落ちる黒い花弁に、僕は唇を噛む。
「……今、彼女がこの辺りに近づいてきている」
その言葉に、僕は顔を上げた。
黒いバラから目を逸らさず、ブラックは続けた。
「この場所が彼女に勘付かれたのも、彼女に正体を気付かれたのも、全ては君のせい。だったらどうするべきか、分かっているな?」
威圧的な語尾に、僕は表情を引き締める。
花弁を根元から引き千切り、じろりと、立っている僕に視線を向ける。
「キュアフォーチュンを倒せ」
−−−
<いおな視点>
「ハァッ……ハッ……」
荒くなる呼吸を整えながら、私は建物の跡地を見る。
きっと、この辺りに彼がいる。なぜか分からないけど、そんな気がしてならないのだ。
周囲を見渡していた時、突然、彼が空から降りてきた。
「……影野君……」
「……もう、僕の正体……知っているんだろ?」
その言葉に私は頷き、フォーチュンピアノを取り出す。
彼を倒したい……わけじゃ、ない……。
「なんで、こんなことをするの?」
「……お前に言う必要はない」
彼が言うのと同時に、風が辺りを吹き抜ける。
直後、彼の髪型や、服装が変化し、シャドウのものと同じになる。
フォーチュンピアノを奏で、私も変身する。
「もし、私が勝ったら……これ以上、ブラックに従うのは止めて」
「じゃあ、僕が勝ったら、無条件降伏をしろ。お前達の存在は、僕にとって邪魔だ」
そう言って、彼は自分の足元の影に手を触れる。
すると、影が真っ黒な絵の具のように変わり、彼の指先を汚す。
絵の具を弾くように手を横に振ると、弾けた黒い液体は空中に帯を描くように伸び、やがて、一本の剣へと変化する。
影から武器を作る能力、か……。
剣を構えるシャドウに、私も、フォーチュンタンバリンを構える。
私たち二人が共存する未来は、きっと、この世界には存在しない。
どちらかだけが生き延び、どちらかが……———。
それでも、私は戦わなければならない。
この世界を闇で染めないために。そして、シャドウを……影野君を、間違った悪の道から、引き戻すためにも。
私は、負けない。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.46 )
- 日時: 2017/01/31 17:05
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
「はぁぁぁ!」
声をあげながら、シャドウが黒い剣で切りかかってくる。
私は、咄嗟にフォーチュンタンバリンからバリアをだし、その剣を受け止める。
ギギギッと金属が擦れあうような音がして、剣から、僅かに火花が出てるのが分かった。
「なんで……貴方はブラックに従うの!?」
声を張りあげながら、彼の剣を弾き、フォーチュンタンバリンを叩く。
「プリキュア!スターライト・アセンション!」
掛け声と共に飛んでいく星屑と閃光波。
しかし、シャドウはそれをバックステップでギリギリの一定距離を保ちながら下がり、瓦礫の影に手を添える。
すると、一瞬で彼の体を黒いドームのようなものが包み込み、スターライト・アセンションを弾く。
そんなもの、計算の内だ。
私はフォーチュンタンバリンをしまい、そこに向かって駆ける。
スターライト・アセンションが止み、シャドウが出てきた瞬間、私は一気に速度を上げ、肘を入れた。
「ぐぅ……ッ!」
私のエルボーが入り、彼は悲痛な声を漏らしながらも腕で受け止める。
どちらからか、メキメキと、ギリギリと、何か音がする。
「貴方が敵なら……なんで、修学旅行の時に助けてくれたの!?」
問いかけながら、私は肘を離し、回し蹴りを放つ。
彼は、それをかわして私に正拳突きを放ってくるが、それをいなして彼の懐に入り拳を打ち込もうとする。
しかし、彼は私の手を掴み、いなす。
「それは、お前からの信用度を上げるためだ!」
叫びながら、彼は頭突きを喰らわせて来る。
視界に閃光が走り、私は一度離れて首を振って立て直す。
「じゃあ、告白してきたのは何なの!」
すぐに声を張り上げ、突進し彼にエルボーを決める。
今度は綺麗にみぞおちに入り、彼は「カハッ……」と息を漏らす。
「そ、れは……お前の信用度を上げるために、ブラックからの、命令で……」
「っ……だったら、貴方の本心は?貴方は、この世界で何か、思い出とか……」
「黙れ!」
その時、目の前を何かが過る。
咄嗟に私が体を反らしただけで、そこは、さっきまで私の頭があった場所だ。
紫色の糸が空中に舞い、ハラハラと、風に乗って飛んでいく。
見ると、彼の手には、黒いナイフが握られていた。
「……それが、貴方の答え……?」
「僕は……僕は、感情なんて、知ったらダメなんだ……」
そう言って、彼はナイフを消し、さらに、足元にある影などを使って大きくして薙刀を出す。
振る度に私の目と鼻の先を掠める。
「だから、お前を倒す……僕という存在を、守るために……」
「……もし、貴方が、感情すら忘れるような絶望の中にいるのなら……」
私はフォーチュンタンバリンを取り出し、微笑む。
「私が、貴方を照らす希望の星に、なってみせる」
彼を救いたい。だから、私に力をちょうだい……ッ!
私はフォーチュンタンバリンを握り締め、奏でる。
私の使いたい技を、私の想いを具現化してくれるなら……。
「プリキュア!スターライト・イノセントリゲイン!」
叫び、フォーチュンタンバリンから星型の光を放つ。
シャドウは、一瞬驚いた表情をしたが、すぐに薙刀で切ろうとする。
しかし、光を止めきることができず、そのまま光に飲み込まれる。
私は、その場に膝をつき、荒い呼吸を繰り返す。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.47 )
- 日時: 2017/01/31 21:48
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「ハァ……ハァ……」
煙が晴れるとそこには……こちらに右手を突き出し、肩で息をする、シャドウの姿があった。
嘘……効かなかった……?
いや、よく見ると、彼もかなり疲労しているようで、手応え自体はあった方だろう。
しかし、私の力不足。
「……星の力を、聖なる力に……フォーチュンタンバリン」
そう呟いて、私はタンバリンを構える。
恐らく、もう一度喰らわせられれば、彼を倒せるハズ。
今、彼に、反撃する術はない。
あと、一撃で……。
『そういう、友達とか、よく分からないけど、僕もお前とは、親しい関係にはなりたいとは思ってる。これから……よろしくな』
一撃で……。
『危なっ……怪我とかないか?』
彼を……。
『……僕と……———……付き合って下さい』
倒す……?
「……無理だよ……」
いつしか、私の頬を透明の雫が伝っていた。
フォーチュンタンバリンを下ろし、私は、肩を震わせる。
「グスッ……ヒグッ……そんなことできないよ……だって、こんなに好きなんだもん……」
今更になって、私は、彼を倒すのが怖くなった。
さっきまでは、彼がシャドウだって知って、少し興奮して物事を理解していなかった部分もある。
でも、攻撃を耐えられて、一度緊張の糸が切れて冷静になった瞬間、気付いた。
倒したら、もう会えないって。死んだ人間には、二度と会えないって。
突然泣き出した私に、彼は目を丸くした。
しかし、すぐに目つきを変え、一歩ずつ、近づいてくる。その手には、黒い薙刀が握られている。
私は、目を瞑った。
倒されるなら、それも良いかもしれない。
多分、私に彼を倒すことはできない。彼と共存できる未来は、もう残されていないのだから、彼が私を倒すしかない。
しかし、その時は訪れない。
ゆっくり目を見開くと、彼の顔が目の前にあった。
「僕にも……無理だよ……こんなこと、できない……」
そう言って、薙刀を落とした。それは、彼の足元の影に吸い込まれていく。
彼は、私の肩に手を置き、そっと自分に引き寄せる。
彼の肩の辺りに顔が近づき、そっと、彼の黒い服に顔を寄せる。
「お前を倒すなんて……できない……お前が、好きだから……ッ!」
その言葉に、私は息を呑んだ。
もし、私が彼の心を突き動かせたというのなら、すごく嬉しい。
顔を上げると、彼は目に、僅かに涙を浮かべていた。
「だから……僕を倒してくれ……キュアフォーチュン……。そうすれば全て……終われる……」
「そんなこと……ッ!」
「頼むから……ッ!お前が倒せなかったら、僕にはもう、居場所がない……だから……」
シャドウの言葉に、私は首を横に振る。
しかし、彼は自分の胸にタンバリンを押し付け、「大丈夫」と笑う。
だから、私は泣きながらも、覚悟を決めて、「プリキュア……スターダスト……アセンション」と言った。
紫色の閃光波が弾け、彼の体と、私の体を、引き離す。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.48 )
- 日時: 2017/02/01 18:17
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<ブラック視点>
「……あ?」
古びたソファに座りくつろいでいた時、微かに、体の中で何かが消える感覚がした。
しばらくして、それが、シャドウの気配が消えたことだということに気付く。
まさか……キュアフォーチュンに……?
「少し、のんびりしすぎたか……」
悔やんでも、もう遅い。シャドウが消えた世界を闇に染めた所で……何も、意味など無いのだから。
それでも、彼を消したであろう人間は、まだ生きている。だったら、することは一つだ。
私は、拳を握り締めた。
−−−
<シャドウ視点>
不思議な浮遊感が、僕の体を襲う。
暖かい。温もりが……僕を包んでいる……?
「んんッ……あ……?」
目を覚ますと、そこは、四方を木で囲まれた一つの部屋だった。
体は、白く、柔らかいものが包んでおり、とても心地良い。
ここはどこだろう?
僕は、首だけ動かして辺りを見渡した。すると、ドアが開いた。
「ゆうこみたいには上手くできないけど……これで良いかしら」
そう呟きながら、僕の寝ているベッドの横にある棚のようなものに土鍋?を置くキュアフォーチュン。
ぼんやりとその様子を見ていると、それに気づいた彼女がこちらを見て、表情を輝かせた。
「良かった。目、覚ましたのね?」
「えっ……?あ、あぁ……」
「ちょうどお粥を作ってきたところだから、食べるかしら?」
……?話が見えてこない。
呆然としている僕を置いて、彼女は僕の体を起こす。
微かに体に鈍い痛みが走ったが、それ以外は特に何もない。
その時、口元に、湯気を放つ白い物体が持ってこられる。
は?
「あっ、熱いから、こういうのって冷ました方が良いのかしら?でも、どれくらい冷ませば良いのかなんて……」
そう呟くキュアフォーチュンを無視して、僕は、白い何かを口にする。
正直、彼女が毒を入れるとも思わなかったし。
口に含んだそれは、ベチャベチャしてるというか、変わった食感がした。
しかし、不味くはない。
「あ、熱くないの?」
「……いや、平気」
「そう……」
僕の反応に、キュアフォーチュンは少し首を傾げながらも、納得する。
……おかしい。記憶が正しければ、僕は先ほど、キュアフォーチュンの必殺技によって浄化され、この命は途絶えたハズ。
なぜ、こうして生きて、暖かい部屋で寝て、キュアフォーチュンから食事を貰っているのか。
ここは天国か何かか?もしくは夢?
僕は、目の前にいる彼女の髪を撫で、指で梳く。
紫色の綺麗な髪が、指の間から落ち、擦れながら重力に従って下がっていく。
「なっ……なに……?」
顔を真っ赤にするキュアフォーチュンを見ながら、とりあえず、これが幻ではないことを理解する。
そのまま手を彼女の頬に持って行き……思い切りつねった。
「いッ……!?」
「夢、でもないか」
「自分の頬でしないと意味ないじゃない!」
そう言って殴られた痛みで、夢でもないことに気付く。
だったら、尚更おかしい。
「なんで、僕は生きているんだ?」
僕が率直に聞くと、彼女は「あぁー……」と言って、困ったように頬を掻いた。
「多分……無意識に、私が手加減したんだと思う……。でも、やっぱり貴方の存在が闇だからか、重傷で、神様に頼み込んでここに寝かせてもらったの」
彼女の言葉に、僕はなるほど、と納得した。
その時、扉が開く。それは、ブルーだった。
「……ッ!」
彼の姿を見た瞬間、僕の体は硬直する。
怪我しているし、彼女の浄化の影響がどこまであるか分からない。下手したら、能力を消されている可能性もある。
キュアフォーチュンはともかく、僕と敵対していた彼が、そう安易に僕を許してくれるとは思わない。
僕は、キュッと目を瞑った。
「……君が、影野愁君だね?」
唐突な質問に、僕は目を開く。
目の前では、キュアフォーチュンより、少し後ろにある椅子に座ってこちらに問いかけるブルーの姿があった。
「えっ……?は、はい、そうですけど……」
「良かった。……君は、自分の過去を、どれくらいまで知っている?」
ブルーの言葉に、僕は記憶の奥底まで探っていく。
しかし、ブラックと出会ってからの記憶しかなかった。
「……ブラックと出会ってから、今までのは……でも、それより前は……」
「だと思ったよ。君の存在を知ってから、僕はとあることに勘付いていたからね」
彼は、そう言うと足を組み直し、そして、口を開く。
「後は貴方が話すべきでしょう?出てきてください。ブラックさん」
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