二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.19 )
- 日時: 2017/01/11 21:57
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
奈良公園では、主に鹿と戯れることと、昼食が目的だ。
持ってきた弁当を食した私たちは、また、鹿を撫でたり、鹿せんべいをあげたりしていた。
その時、影野君が歩いてくるのが見えた。
「あっ、影野君だ」
めぐみの言葉に、私は鹿せんべいを握る力が強くなり、持っていたところが粉々になった。
先ほど彼に言った言葉を思い出し、罪悪感が湧いてくる。
私がどうしようかとか考えてる間にも、彼はスタスタとこちらに向かって歩いてくる。
「影野君!」
「ん?……何」
いつものように素っ気ない言い方だが、その目つきは、若干鋭いものに変わる。
しかし、ここでどもったりはしない。
私は一歩彼に近づき、頭を下げた。
「……えっ?」
「さっきは、ごめんなさい!酷いこと言って……そりゃぁ、確かに思ってたのも事実だけど、その……ごめんなさい」
私が謝ると、彼はしばらくキョトンとした後で、「あぁ……」と言って、うなじの辺りを掻いた。
それから、しばらく黙った後で、「こちらこそ……悪かったな」と言った。
予想外の言葉に、私はしばらく呆けた。
「僕だって、女に心配されるようなことしてたわけだし、その……これからは、もっと、クラスの奴と話したりとかも、したい」
彼の言葉に、いつの間にか私の近くまで来ていためぐみが、「おぉー!」と歓声をあげる。
「じゃあじゃあ!一緒に鹿せんべいをあげよう!はい!」
「鹿せんべい……?」
めぐみからせんべいを受け取った影野君は、物珍しそうにそれを匂った。
どこか好奇心旺盛な行為に、私は少し笑いつつ、近くにいた鹿に視線を向けた。
「この子にあげてみれば?影野君のせんべい、食べたそうだし」
「……そうか?」
訝しむような言い方に、少し笑いつつ、私は影野君の腕を掴んで、鹿に差し出した。
すると、鹿はしばらくせんべいを匂った後で、パリパリと食べ始めた。
「……食べた」
「ホラ、美味しそうに食べてる。きっとお腹が空いていたのよ」
私がそう言って笑ってみせると、彼は「ふぅん……」と言いながら、せんべいを頬張る鹿に目を向けた。
そこで、自分が彼の腕をまだ掴んでいたことに気付き、顔が熱くなるのを感じ、慌てて離した。
「ん?どうした?」
「い、いいいや!なんでもないっ……」
なぜか無性に恥ずかしくなって、私は俯いた。
顔を上げると、鹿せんべいがなくなった手をジッと見ている影野君の姿があった。
その横顔を見た瞬間、ドキッと、自分の鼓動の音が、やけに頭の中に響いた。
何、これ……こんなのまるで……———。
「いおなちゃんばっかりずるいー!私も影野君と話したい!」
隣から聴こえためぐみの言葉に、私は我に返る。
見ると、彼女は頬を膨らませ、影野君はいつもと変わらない無表情でこちらを見ていた。
「僕と?」
「うん!折角同じクラス、しかも同じ班になったんだよ?一緒に話したいよ!」
「めぐみだけじゃなくて、他の皆も、きっとそう思ってるわよ」
私の言葉を聞いた影野君は、「そうなんだ……」と、少し驚いた様子で言った。
それから少し俯いた後で、「お前は?」と聞いてくる。
「お前は、どうなんだ?」
「私?私も、影野君とは、友達になりたいわ」
友達、という単語を言う時、なぜか、僅かに言葉が詰まりそうになった。
そんなことに気付かない彼は、「そうか」と言った。
そして、しばらく間を置いた後で、ゆっくり口を開く。
「そういう、友達とか、よく分からないけど、僕もお前とは、親しい関係にはなりたいとは思ってる。これから……よろしくな」
彼は、そう言うと目を逸らした。
その言葉に、私は「えぇ、よろしく」と言い、頷いて見せた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.20 )
- 日時: 2017/01/12 20:56
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「うっはー!大きいー!」
京都の、これから二日間泊まることになるホテルに着いた途端、めぐみは歓声をあげた。
それに、ちょうど近くを歩いていたおばさん二人は微笑ましそうにクスクスと笑い、めぐみは顔を赤くした。
「私たちの部屋は、五階の502号室ね。早く行くわよ」
「あっ、ちょっと待ってよいおなちゃん!」
自分の荷物を持って歩き出した私に、慌ててめぐみが走って来る。
しかし、自分の鞄を持っていなかったので、それを注意すると、慌てて貰いに行った。
同室だけど、大丈夫かなぁ……。
「よっしゃ。部屋まで競争しようぜ!よいドン!」
「あっ、待てって」
そんな声が聴こえたので見ると、何人かの男子が、階段を駆け上がっていくのが見えた。
転んだら危ないし、注意しないと……。
そう思っていたら、案の定一人の男子が派手に転んだ。あーあ……。
「くだらないな」
その時、背後から声がしたので振り返ると、真っ黒な鞄を持った影野君が立っていた。
「わっ。びっくりした……」
後ろにいた彼に、ついそんな感想を零すと、彼は呆れた様子でため息をついた。
その様子に、私は「ごめん。つい驚いて」と言いながら、少しだけ距離をとる。
私のそんな動作を見た彼は、少し首を傾げつつ、私の横を通り過ぎて階段を上がっていった。
なぜか心臓はバクバクと音を立てて、しばらく動けなかった。
「ごめーん!遅くなっちゃった!」
やがて、薄いピンク色のエナメルバッグを持っためぐみが、こちらに向かって走ってくるのが見え、慌てて私は鞄を背負い直す。
「ううん。そんなに待ってないわよ。それじゃあ、行きましょうか」
誤魔化すように言って、私はめぐみを連れて階段を上がった。
−−−
<ブラック視点>
「へぇ……プリキュアが友達に……中々上手く溶け込んでいるじゃないか」
報告を聞いた私がそう褒めると、シャドウは『これくらい、造作のないことだ』と言う。
現在、私と彼は、私の闇の力を使って連絡をとっている。
「それじゃあ、これからもその調子で頑張ってね」
『分かってる』
そう言うと、彼は連絡を遮断した。
彼の方も順調のようだ。一時期は、自分の過去に興味を持ったりもしたが、まぁ、そのことに関しては忘れさせたし。
「それにしても……彼も頑張っているようだな……」
私は呟き、遠くを眺めた。
暗闇に、煌くネオン。プリキュアがいない、このぴかりが丘を支配することはたやすいだろう、が……。
「少し、私も遊んでみようか」
そんな呟きは、夜の深い闇に消えていった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.21 )
- 日時: 2017/01/12 23:02
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
「良い天気!いやぁ、絶好のエキスカーション日和ですなぁ!」
そう言って、額に手を当てるめぐみ。
それに私は笑いつつ、地図を眺める。
「えきすかあしょん……って、何だ?」
そう言って首を傾げる影野君に、私は苦笑しつつ、説明をする。
「エキスカーション。班ごとに、この京都を自由に歩き回って、観光したりするのよ」
「へぇ……」
「確か、最初はバスで清水寺に行くのよね?」
私が聞くと、班長である、男子の岡本君は「あぁ」と頷いた。
本当は私がするところなのかもしれないが、クラス委員長は班長ができないので、別の人がしている。
ちなみに、副班長はめぐみだ。
「確か、あのバスから行くんだろ?」
そう言って、一つのバス停を指さす。
バス停には、私たちの学校の他に他校の生徒も数多くおり、かなり混雑していた。
そのせいでかなりの人数を待たされたが、やがて、満員のバスに乗り込み、私たちは清水寺に向かった。
それから長い坂を上り、ようやく清水寺に着く。
「わぁ……ッ!」
清水の舞台。11メートルほどの高さがある場所からの景色に、めぐみは歓声を零す。
しかし、高い高いと言われる割には、私が思っていたよりも低く感じた。
男子も少し見て飽きてしまった様子だし、影野君に関してはそもそも見ていない。
それから周りも一周して、その後は地主神社に行った。
恋愛の縁結びで有名な神社ということもあって、割と女子の人気があるように感じた。
「地主神社には、確か恋愛成就の石……みたいなのがあるのよね?」
「うん。確か……あ、あれじゃない?」
そう言ってめぐみが指さした場所には一つの岩があり、そこから離れた場所に、もう一個岩があった。
岩には、太い、しめ縄のようなものが巻かれ、木の板に黒墨で『恋占いの石』と書かれていた。
「確か……目を閉じたまま歩いて、石に辿り着くことができたら、恋が叶うっていう」
私がそう呟いた時、隣で、めぐみが目をタオルのようなもので塞いでいるのが分かった。
そして、私の方を見て、「方向とか言ってね!いおなちゃん!」と、喜々とした声で言う。
……やる気満々ね。
「俺達もやろうぜ!」
「そうだな!」
横では、同じ班の男子三名が、そう言って順番を決め始める。
皆好きな人いるんだ。私は、そもそも男友達とかが少ないからなぁ……。
そう思いながら、私はめぐみに指示を出していた。
その時、視界の隅で、一人立っている影野君に気付いた。
「影野君はやらないの?」
私は立ち止まり、そう聞いてみる。
すると、彼は少し目を丸くした後で、「いや……」と言う。
「好き、とか、そういうの……よく分からないし。良いよ」
「へぇ。影野君好きな人いないんだ?」
そう聞いてみると、彼は、「恋とかそういう感情、理解できない」と言った。
影野君って、なんていうか、浮世離れしてるというか、少し皆と感性がずれているように感じる。
と、そこまで考えたところで、私は、めぐみをすっかり忘れていたことに気付く。
「しまっ……」
慌てて探してみると、めぐみは、案の定人ごみにもみくちゃにされながら、岩とは関係のない場所に流されていた。
遠くから「いおなちゃぁ〜ん」と悲痛な声が聴こえる。タオル外せばいいのに……。
めぐみを助けに行こうかと思っていた時、「お前は……」と、影野君が言ったのが聴こえ、私は立ち止まった。
「お前は……好きな人、いないの?」
「……いないよ?」
そう答えると、影野君は、「なんだ」と言った。
「言い方的に、お前には好きな人とかそういうの、いると思ったのに」
「あ〜……あはは……私にもいないかな。そういう相手は」
「じゃあ、人のこと言えないじゃん」
僕と同じだ、と言って、彼はクスクスと笑った。
その笑顔に、私はしばらく固まってしまった。
「影野君……笑ってる……」
「え?」
私の言葉に、彼はすぐに無表情になった。
その時、人ごみからめぐみが飛び出してきて、「いおなちゃん!」と言う。
タオルはすでに外され、めぐみの格好は、かなり乱れていた。
「あら、お疲れ様」
「お疲れ様じゃないよぉ。いつの間にか、いおなちゃんはどこにもいないし、仕方ないからタオル外したら、神社の入り口くらいまで流されてるし、もう散々……」
「あら……それはごめんなさい」
私が謝ると、めぐみは「もぉ〜」と怒った。
その時、遠くから「よっしゃぁ!」と、同じ班の男子達の声が聴こえた。
恐らく、成功したのだろう。
「それじゃあ行きましょうか。この後の予定もあるし」
「えぇ〜?まだ話は終わってないよ!」
怒るめぐみを無視して、私は男子達にも「次行くわよ」と言って、ズンズン歩いて行く。
……なんで、こんなに心臓がドキドキするんだろう……。
鳴りやまない鼓動の音に、私は胸を押さえた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.22 )
- 日時: 2017/01/13 20:38
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
次の観光地に行くためにバス停に向かっていた時、めぐみは、「あっ!」と言った。
見ると、バス停にはすでにバスが停まっており、確認してみると、私たちが乗る予定のバスだった。
「なんでっ……」
めぐみがそう呟くのを感じながら、私は「とにかく急ぎましょう!」と言って走り出す。
理由なんかはどうでも良い。とにかく、急がなければ。
そう思って走っていた時、突如、視界が回転する。
転んだのだ、ということに気付いた時には、すでに私は体を打ち付けていた。
「ッ……」
「氷川っ……」
名前を呼ばれたので見ると、影野君が驚いた様子でこちらを見下ろしていた。
慌てて私は立ち上がり、バスの方に顔を向けると、どうやらめぐみ達はすでに乗ったようで、ドアが閉まっていくのが見えた。
「あっ!待ってっ!」
慌てて走ろうとした時、膝に痛みが走り、私は立ち止まる。
見ると、膝をどうやら擦りむいたようで、血が流れていた。
「ッつ……」
「……とりあえず、洗おう」
影野君は、そう言うと私の腕を掴んで、歩いて行く。
空手などで痛みには慣れている方なので、大丈夫なのではあるが、そんなこと構わず、彼は歩く。
やがて、自動販売機の前に着くと、彼は小銭を入れ、乱暴に水のペットボトルのボタンを押した。
どうするのかと様子を見ていると、「座れ」と彼は言った。
「え?」
「良いから、座れって!」
そう言うと、彼は私の肩に手を当て力を込めて座らせた。
こんな公道で、地面に直接座らされたことに恥ずかしく感じたが、それより前に、突然彼がペットボトルを開け、私の傷口に水をドバドバかけ始めた。
「なっ!何やってるの!?」
「何って……応急処置だよ。こういうのは、細菌を入れないようにしないとダメだからな。おい、絆創膏とかはねぇのか?」
「えっ?ある、けど……」
「貸せ」
恐らく、貼ってくれるつもりのようだ。
しかし、流石にそこまで甘えるのは悪いから、「いや、自分でできるから大丈夫」と断って、鞄から絆創膏を取り出して貼った。
まだ鈍い痛みは続くが、それは仕方がない。
私の傷の処置が終わったのを見ると、彼は立ち上がった。
「それで、これからどうすれば良いんだ?」
「とりあえず、次の観光地である、金閣寺に行きましょう?3人もそこにいるハズだし……」
私の言葉に、影野君は頷いた。
やがて、金閣寺に着いて、私たちはお金を払ってチケットを買うと、中に入る。
そこには、太陽の光を反射して輝く寺、金閣寺があった。
「わぁ……ッ!」
「金っていうより、黄色に見えるな」
影野君のコメントに、私は「ちょっと……」と窘める。
「おや?修学旅行かい?」
その時、同じように見学をしていたおばあさんが、そう言って微笑んだ。
影野君はすでに興味なさそうにしているし、まともに反応してくれるとは思わなかったので、代わりに私が応える。
「はい、そうです」
「まぁまぁ。どこから来たの?」
「東京のぴかりが丘から」
「あらまぁ、遠いところからわざわざどうも」
そう言って、おばあさんはにこやかに笑う。
私もそれに会釈をした。すると、そのおばあさんの知り合いらしき女性二人が、「敏子さん何してるの?」と言って歩いてくる。
「あら、今この子達と話してたのよ。東京から来たんですって」
「東京から!?修学旅行かしら……?それにしても、美男美女で、お似合いのカップルねぇ……」
そう言って、なぜかうっとりするおばあさんに、私は慌てて「違います!」と言う。
「同じ班で、今、他の子とはぐれちゃって探してるんです。あ、そうだ。マゼンダ色の髪をポニーテールにした女の子見ませんでしたか?同じ制服着てるんですが」
「その子なら、さっき池に落ちかけて、一緒にいた男の子に助けられてたわよ」
めぐみ……。
「そうですか……」
「あの子も可愛かったわねぇ。あっ、それで、とにかく何々ちゃん達を探さないと〜とか言いながら走って行ったわ」
「ありがとうございます」
めぐみも探してくれているのに、観光している暇なんてない。
私はお礼を言うと、影野君を促して、先に進んだ。
「僕達って、周りからは、カップルに見られているのか」
しばらく歩いた後で、影野君はそう言った。
それに、私は「さぁ」と言う。
「あのおばあさん達が、そう言って冷やかしたかっただけかもしれないし。そうだと言い切るのはどうなのかしら?」
「そうだな……」
そう言って、彼はスタスタと歩いて行く。
もしも、私たちがカップルだったら……———って、何考えてるんだろう。私。
……でも……———。
「なんか、変な感じ……」
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.23 )
- 日時: 2017/01/14 18:20
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「どこにもいないわねぇ〜」
辺りを見渡しながら、私は呟いた。
あれから、金閣寺の周辺にいなかったため、他も探しているのだが、相変わらず見つからない。
キュアラインで連絡をとるべきかと思ったが、神様に、あまり人前で使わないようにと言われているし、影野君がいるから使えない。
「……携帯とか、ないのか?」
影野君の言葉に、私はビクッと肩を震わせた。
「……えっ?」
「いや、携帯電話とかあったら、誰かと連絡とれるだろ?違うのか?」
「ぐっ……」
キュアラインは通信費もかからないし、元々、連絡を取る相手なんてめぐみ達しかいないから、普通のスマホなんて持ってないんだよねぇ……。
でも、まぁ、お揃いのスマホってことで誤魔化せば良いかな……?
そう悩んでいた時、突然、彼は立ち止まった。
「あれ?影野君?」
私が声をかけても、彼は反応しない。
目は見開かれ、微かに黒目の部分が震えているようにも感じる。
なんとなく、彼の視線を追うと、私は息を呑んだ。
そこには、ブラックがいた。
「京都……フフッ、綺麗な街じゃないか。闇に染めるには、ちょうどいい」
彼は、そう言うと微かに笑みを浮かべた。
なんで、アイツがここに……ッ!と、歯を食いしばった時、私は妙なことに気付いた。
「影野君……貴方、あの男のことを知っているの?」
私が聞くと、彼は、ピクッと肩を震わせた。
しかし、相変わらずの無表情で、「別に……」と言う。
「こんな季節に、ロングコートとか着てるから、驚いただけだ」
「……あっ、そっか……」
「……お前こそ、アレとはどういう関係なんだ?」
影野君の問いに、私は、しばらく悩んだ末に、「何の関係もないわよ」と言っておく。
その時、ブラックがこちらを見たのが分かった。
彼は、私と影野君を眺めると、微かに笑った気がした。
すると、突然彼は右手を出し、そこに、黒い炎のようなものを纏わせ始める。
「……ッ!」
私は、咄嗟に影野君の手を掴み、来た道を逆走する。
直後、私がいた場所に炎のようなものが当たるのが見えた。
とにかく、影野君を避難させて、変身しなくちゃ!
そう思いながら、私は細い道に入ったりして、とにかく走る。
「ハァ……ハァ……ここまで来れば大丈夫かしら……」
しばらく走って、薄暗い裏路地に入ったところで、立ち止まる。
ブラックが追って来ている気配はなく、恐らく、撒いたのだろう。
私は息をつき、影野君に目を向ける。
「なぁ……なんで、ここまで来たんだ?」
そこまで息切れもしていない彼が、そう聞いてくる。
「だって……危ないじゃない。アレは」
「だったら……」
そこまで言うと、彼は「あっ……」と言って、目を逸らした。
「だったら……何?」
「……なんでもない」
私が聞くと、彼はそう言って私に背を向けた。
しばらく静寂が訪れ、私は、ポケットの中のフォーチュンピアノを触った。
「影野君……私、ちょっと行ってくる」
「え?」
聞き返す影野君を無視して、私は、先ほど走ってきた道を戻って、ブラックがいた場所に向かう。
やがて、辿り着くと、そこではサイアークを暴れさせるブラックの姿があった。
私はフォーチュンピアノを取り出し、変身した。
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