二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
日時: 2017/02/04 21:50
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。

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Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.39 )
日時: 2017/01/27 21:38
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<いおな視点>

 土日が明け、月曜日になった。
 修学旅行の疲れが抜けていないのか、道を歩いている人の表情は、皆、疲れている様子だった。
 私は、元々空手で鍛えていたのもあってほとんど疲れてなかったので、いつもと変わらず登校した。
 教室には、すでに影野君がいた。

「おはよう。影野君」
「ん?あぁ、おはよう」

 影野君の返答を聴きながら、私は鞄から教科書と筆記用具を出して、鞄を机に掛ける。
 そして着席をしようとした時、影野君が机に掛けている鞄に、赤いモンスターのキーホルダーが付いているのが見えた。

「あ、それ、修学旅行の……」
「え?あぁ、うん。他に付ける場所無かったし。……お前は?」
「私は、キュアラインに」

 私が貰ったのはピンク色の方だったので、黒字にピンクのハート柄のあるキュアラインに付けると良い色合いになるのだ。
 そんな感じで影野君と世間話等をしているとチャイムが鳴り、担任の和泉先生が入ってきた。

「ハイ。それじゃあ注目。修学旅行で疲れていると思うけど、今日からまた授業が始まりますから頑張っていきましょう!」

 先生の言葉に、教室からはまばらに「はーい」という返事が聴こえた。
 それから出欠をとり、少し休憩を挟んでから、数学の授業が始まった。

「えー、早速ですが、修学旅行より前にしていた小テストを返したいと思います」

 その言葉に、クラスメイトの大半はざわつき、すでに落ち込んだ様子の生徒までいる(ちなみに、めぐみもその一人だ)。
 しかし、落ち込んでも未来は変わらない。
 先生の手によって、一枚ずつ、テストが生徒の手に渡される。
 やがて、私の番になる。

「はい、氷川さん。すごいわ。今回のテスト、学年であなたと相楽君だけが百点満点よ」
「本当ですか?やった……」

 そう言われて渡されたテストには、丸だけが書かれ、名前の横に『100』と大きく書かれていた。
 上機嫌で席に戻ると、影野君が、ジッと机の上にあるテストを見ていた。

「影野君。テストの結果、悪かったの?」

 私の問いに、彼は答えない。
 少しなら、と覗き込んだ私は「えっ!?」と声を漏らした。
 そこに書かれていたのは……『0』……。

「なんで……」
「こんな、数字や文字が混ざったもの、理解できない。なんだこれは?」

 そもそも数学を理解していない言葉に、私はポカンと口を開けた。

「それから、点数が50点未満の人は、来週追試をしてもらいます。それまで、しっかり復習をしておくように。では授業に……」

 それから数学の授業をして、チャイムが鳴って、終わった。
 それとほとんど同時に、めぐみが泣きついてきた。

「いおなちゃぁぁぁん!」
「はいはい。どうしたの?めぐみ」

 私が聞くと、めぐみは悲しそうな顔で小テストの紙を見せてきた。
 点数は『18』。これは……。

「どうしよう!追試やだよぉ……」
「まぁまぁ……でも、私は影野君に教えないとだから、めぐみは相楽君にでも……」
「えっ!?影野君も追試なの!?」

 めぐみは私を押しのけ、影野君の元に駆け寄る。
 唐突に自分に話が振られたため、影野君は少し驚きつつも、静かに椅子をずらしてめぐみから距離を取ろうとする。

「あ、あぁ……まぁね」
「そうなんだぁ。影野君って頭良さそうだけど、お互い頑張ろうね!」
「……おぉ」

 めぐみ!勝手にシンパシー感じないの!
 私は、影野君と手を取り笑うめぐみに呆れて、肩を落とした。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.40 )
日時: 2017/01/28 15:35
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

「だから、ここに代入して……」
「あぁ、ここでこうして……で、えっと……」
「だぁから、何度言ったら分かるんだよ。ここはXで括るんだろうが」
「うぅぅぅぅ……分からないよぉ……」

 放課後。教室には、私、影野君、相楽君、めぐみがいた。
 無論、追試に備えての勉強である。
 それにしても……。

「……ここで、Xに2を代入して」
「あぁ……あ、それでこの3Xと足して5Xにして、ってことは、このyを……」

 彼は、すごく頭が良い。
 吸収力が凄まじく、私が一教えれば、十や百は平然と覚えていく。

「……ねぇ」
「……なに?」
「貴方、ここ、前の学校で習わなかっただけ?」
「えっ?」

 つい好奇心から聞いてみると、彼は困った様子で固まり、シャーペンを机に落とした。
 しばらく迷った後で、「そ、そうなんだよ!」と慌てて答えた。

「僕のところ、授業ペースが遅くてさ……それで、転校してきてすぐにテストだったから」
「なるほどねぇ〜。影野君って物覚えすごく良いし、習っていればこれくらい簡単なハズだから、0点なんて取らないハズだもの。誰かさんと違ってねぇ〜?」

 あえてめぐみに聴こえる声で言うと、彼女はビクッと肩を震わせた。

「だ、だってぇ……」
「ハイハイ。分かってるから早く覚える。めぐみは物覚え悪いんだから」
「いおなちゃんのイジワル〜!」

 めぐみは、そう文句を言いながらも、机に向かい真剣な様子でシャーペンを持った。
 私はそれに苦笑しながら、影野君に目を向けた。
 彼は、解き方のコツを掴んだらしく、ペンはサラサラと数式を解いていた。
 これだけ解ければ、追試に関しては問題ないだろう。
 とはいえ、ここで放っておくのも心配だし、応用問題とかも教えておいた方が良いかもしれない。
 そう思って教科書を捲っていた時、教室の扉が開く。

「おや?君たちは……」

 それは、隣のクラスの山田先生だった。

「あ、山田先生……」
「もう教室を閉める時間だから、早く出なさい」
「はーい」

 仕方なく私たちは荷物を片付け、教室を出る。
 外を歩きながら、相楽君がため息をつく。

「めぐみ。お前物覚え悪すぎ」
「うッ……」
「今日はお前の家でとことん教えっから」
「えぇ〜!?家に帰ってまで勉強しなくても……」
「ダメだ」

 一刀両断。
 相楽君にバッサリ言い伏せられ、めぐみは悲しそうに俯いた。
 ずっとその様子を見つめていた影野君が、口を開く。

「僕達はああいうの、しなくていいの?」
「え?あぁ、影野君はめぐみと違ってすぐに覚えてくれるし、そんな、家に行ってまで勉強するほどではないわよ」
「……ふぅん」

 どこか不満そうな口ぶりで、彼は言う。
 少し考えて、彼がやりたかったことに気付き、私はハッとする。
 彼は……自分の家に来てほしかった?

「もしかして……」
「あ、それじゃあ僕こっちだから。また明日」

 聞こうとした時、彼はそう言って、別の道に走って行った。
 それを見送りながら、私はなんとなく考えた。

 あの方向って、シャドウが壊した建物があったような……?

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.41 )
日時: 2017/01/28 20:44
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

 翌日。ひめの迎えに大使館まで行くと、そこにはゆうこがいた。
 いつもは私が一番なのに……珍しいわね。

「おはよう、ゆうこ。早いわね」
「いおなちゃんおはよ。今日は早く目が覚めたからね」
「なるほど……」

 そう言った時、こちらにフラフラと歩いてくる人影が見えた。

「あっ……あれめぐみじゃない?」
「え、本当?」
「うん……でも……」

 ゆらゆらとマゼンダ色のポニーテールを揺らし、おぼつかない足取りで歩いてくるめぐみ。
 目の下には隈ができ、顔色も最悪だった。

「お……おはよう、めぐみ」
「めぐみちゃん……おはよう……」

 私とゆうこが挨拶しても、彼女は反応しない。
 何やらブツブツと何かを呟いていて、正直不気味。

「もしかしてこれ……」
「多分、追試の影響ね」

 私の言葉に、ゆうこは呆れた様子で懐から黄色の包み紙に包まれたものを取り出し、開いていく。
 中から黄色の強いオレンジ色の球体が出てきて、ゆうこはそれを親指と人差し指で摘み、めぐみの口に入れた。
 すると、先ほどの暗雲漂う陰鬱な空気とは一転、「あまぁ〜い!」と歓喜の声をあげる。

「どうしたの?すごく暗い嫌な感じだったけど」
「えっと……昨日誠司と勉強したんだけど、分からなさ過ぎて、そのまま徹夜で……」
「なるほどねぇ」
「この生活が追試までずっと続くなんて、あたし、それまで生きてるかな……」

 ……命の危機すら覚えるほどなの?追試、明日だよ?

「影野君が意外と物覚えは良かったし、私も教えるようにするわ」
「私やひめちゃんも、できることがあれば手伝うよ」

 私とゆうこがそうフォローすると、隈のできた目に輝きが戻っていく。

「本当〜!?」
「え、えぇ……でも、できる限りで、ね?」
「ううん!だって、学年で一番頭が良いいおなちゃんが手伝ってくれるなんて!百人力だよ!」
「影野君にも教えないとだから、本当に微力だけどね」
「それでも充分充分!なんかできる気がしてきた!」
「フフッ。じゃあ、今日は夜食を持って行こうかしら」

 そう言って笑うゆうこに、めぐみはさらに目を輝かせる。
 その時、大使館の扉が開き、ひめが出てきた。

「ごめん!待たせた!?」
「いえ。大丈夫よ。じゃあ、行きましょうか」

 私が言うと、ひめは大きく頷いた。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.42 )
日時: 2017/01/29 11:13
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<シャドウ視点>

 今日は、朝からキュアフォーチュンに勉強を教えられていた。
 どうやら僕は頭が良い部類らしく、キュアフォーチュンがひたすら褒めていた。
 しかし、恐らく僕の頭ではなく、彼女の教え方が良いだけだと思う。
 と、そこまで考えて、自分が無意識にプリキュアを褒めていたことに気付き、嘆息した。

「それじゃあ、あとは自分で復習してね」

 自分自身に呆れていた僕を置いて、キュアフォーチュンはキュアラブリーの元に歩いて行く。
 キュアラブリーだけじゃない。彼女の勉強を教えている、誠司、とかいう男だっている。
 ……僕だけを、教えるんじゃないのか。彼女は、僕だけのものじゃないのか……。
 なぜかそんな疑問が溢れ、僕は胸の辺りを握り締めた。
 その時、心の奥で何かがざわついた。……この感覚は……。

『やぁ。シャドウ君』

 ……ブラック……。
 僕の手は止まり、シャーペンが机に倒れる。

『ふふっ。勉強、頑張っているようだねぇ。それにしても、プリキュアに教えられて勉強するなんて……恥ずかしくないのかい?』

 別に、僕が教えてくれと頼んだわけじゃない。

『そうかい。それにしても、流石に人間との生活を過ごしすぎだろう』

 ……分かった。

『良かった。それじゃあ、頑張って』

 そう言って、ブラックとの通信は途切れる。
 僕はそれにため息をついてから、席を立った。
 キュアフォーチュンは、キュアラブリーに勉強を教えることに夢中で、僕が席を立ったことに気づいていない。
 そのまま教室を出て、校舎を出る。

 ……何なんだろう。キュアフォーチュンが僕からキュアラブリーの相手をするようになってから感じる、この胸のざわつきは。
 いや、今はこんなことに構っている時間がない。
 僕は深呼吸して、変身を解く。
 そして、視線を動かし、車から出てきた一人の男に目を付ける。

「いやはや、道が混雑していて困ったよ全く……」

 そう言って鍵を閉める男。
 ……アイツで良いか。

「鏡に映る未来を……」

 僕は呟きながら、親指と中指を合わせる。
 男がこちらを見るのと、僕が「最悪にしろ」と言って、指を鳴らしたのは、ほとんど同時だった。

−−−

<いおな視点>

「わぁ、いおなちゃんすごく分かりやすい!」

 少し数式の解き方のコツを教えた瞬間、めぐみはそう言って目を輝かせた。
 そしてシャーペンを手に取り、スラスラと素早く解き始める。

「そ、そうかしら……?」
「うん!そうかぁ、そうやったら解けるのかぁ。誠司とは大違い!」

 めぐみは、そう言って相楽君の顔を見た。
 すると、彼は「うるせぇよ」と言って笑い、めぐみの頭を小突いた。

「にしても、お前すげぇな。俺もすごく分かりやすかったし」
「えっ……そ、そうかしら?」
「うんうん!いおなちゃん、まるで先生みたい!」
「それは大袈裟すぎよ」

 私がそう言うと、めぐみは「そんなことないよぉー」と言う。

「だって、この問題ずっと解けなかったのに、いおなちゃんに教えてもらった瞬間解けちゃうんだもん。去年の夏休みも勉強教えてくれたけど、その時もすごく分かりやすかったよ」

 興奮した様子で言うめぐみに、私は少し照れながらも、「ホラ、ふざけてないで早く次の問題解きなさい」と言って窘める。
 それにしても、先生、かぁ……。
 今まで、先生になろうなんて、考えたこともなかった。
 ……悪くないかな。先生って……。
 そう思った瞬間、どこからか轟音が響く。

「これは!?」
「もしかして、サイアーク!?」

 めぐみは、そう言って立ち上がる。
 私は無意識に視線を巡らせ、影野君の席を見た。
 すると、そこには、誰も座っていなかった。

「……影野く……ッ!?」
「いおなちゃん!めぐみちゃん!」

 その時、教室の扉が開き、ゆうことひめが声をあげる。
 それに、めぐみは頷き、「いおなちゃん!行こう!」と言って、私に目を向ける。

「え、えぇ……」

 戸惑いながらも私は頷き、三人と一緒に外に出る。
 私は氷川いおなであるのと同時に、キュアフォーチュンなのだから。
 ……でも……。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.43 )
日時: 2017/01/29 14:14
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

 人気のないところで変身し、外に出ると、相変わらず外は夜以上に真っ暗で、サイアークの姿が見当たらない。
 しかし、私にとっては、それよりも影野君のことが心配で仕方が無かった。
 一体、どこに……。

「遅かったな、プリキュア!」

 その時、どこからか声が降ってくる。
 顔を上げても、何も見えない。
 すると、ラブリーがラブプリブレスを回した。

「ラブリー!ピンキーサーチライト!」

 そう言って拳を突きあげると、暗闇が桃色の灯りで瞬き、やがて、サイアークの体がぼんやりと発光する。
 今回のサイアークは、車のような形をしていた。

「ここは、一気にプリキュア・イノセントプリフィケーションで……」
「サイアーク!」

 私が指示を出そうとした瞬間、サイアークが完全な車の形状になり、こちらに向かって突進してくる。
 咄嗟に横に跳んでかわすが、全員が、バラバラな方向に跳んでしまった。
 これでは、すぐにイノセントプリフィケーションを放つことができない!
 しかも、サイアークと校舎の僅かな光以外光源が無いため、少し離れてしまうと、誰がどこにいるのかが分からない。

「クッ……皆っ……」

 全員を呼ぼうとした時、誰かが視界を遮った。
 直後、私の視界に閃光が走り、体が吹き飛ぶ。
 背中を打ち付け、なんとか目を開くと、そこには、校舎からの微光を受けて立つ、シャドウの姿があった。

「シャドウ……」
「キュアフォーチュン……死ね」

 そう言うのと同時に、彼の姿が膨張する。
 直後、彼の手元に刀のようなものが見え、咄嗟に身を屈めてかわす。
 目の前にあるシャドウの腹を両足で蹴り飛ばす、私はフォーチュンタンバリンを取り出す。
 彼はすぐに立て直し、手に持っている刀を構えた。
 暗くてよく見えないが、その刃は、なぜかとても黒く見えた。

「なんでこんなことをするの……?」
「なんでって、別に、お前達を倒すことに理由なんていらないだろう。僕とお前は敵同士なんだから」
「でもっ……」

 弁解しようとした時、首筋に寒気を感じた。
 私は咄嗟に首を横にずらしてかわす。
 彼と私の顔の距離が近くなり、息がかかる。
 校舎の微光によって、わずかにだが、彼の顔が至近距離で見える。
 それを見た瞬間、私は、目を見開いた。

「えっ……」
「プリンセス!弾丸マシンガン!」

 直後、キュアプリンセスによって放たれた大量の光弾が、私たちの元に降り注ぐ。
 シャドウは、軽く舌打ちをすると、私から距離を取り、それらをかわす。
 私もバックステップでかわしながら、先ほど至近距離で見えた顔について考える。
 気付いたら、サイアークは倒されていて、シャドウはその場にいなかった。

「ふぅ……どうしたの?フォーチュン。さっきからずっと無言だけど」

 変身を解きながら、ひめはそう言ってきた。
 その言葉を受けながらも、私は何も言う事ができなかった。

 シャドウが……影野君にそっくりだった、なんて……。


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