二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.34 )
- 日時: 2017/01/23 18:04
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
夜。お風呂から上がり、私は髪を櫛で梳かしながら部屋に置かれたテレビを見ていた。
元々、私の自室はお姉ちゃんと共有しており、このテレビもお姉ちゃんが置いたものだ。
しかし、その本人が長らく封印。解放されてからは、アメリカに行ってしまっているため、必然的にこの部屋は私の個室と貸していた。
とはいえ、私は家では基本勉強か空手をするだけなので、テレビを点けることはほとんどない。電気代も勿体ないし。
けど、今日は、ひめがキュアラインでテレビのニュースを見ろとうるさかったので、仕方がなく点けてみたのだが……。
「何よ、これ……」
テレビの画面には、誰かの手によって破壊された建物が写っており、惨状、としか言いようがない状態だった。
『本日未明、この一角が、何者かによって破壊されたらしく、警察は、現在犯人の行方を捜しています。近隣に住む住人の証言によると、なんと、これらは一人の少年によって行われたとのことです!』
ぼんやりと、アナウンサーの話を聞いていた時、最後に聴こえた一言に私は身を乗り出した。
少年……?まさか、シャドウ!?
脳裏に、以前私と戦った、黒い少年の姿が浮かぶ。まさか、彼が……?
驚愕に染まる私を、テレビのアナウンスが、さらに追い立てる。
『さらに、今入った情報によりますと、その少年は、『キュアフォーチュン。お前だけは僕が倒す』という発言を残したと言います。キュアフォーチュンとは、我らがぴかりが丘の誇る最強のプリキュアのことです。彼女と何か因縁が……』
それ以降のニュースの内容は、特に覚えていない。
ただ、『シャドウが自分を狙っている』という事実だけが、私の心の中でグルグルと渦を巻いていた。
彼に……こんな実力が?ということは、今まで私と戦った時の力は、すべて手加減……?
もし、次戦った時、こんな力を出されたら……。
そう思った瞬間、体に悪寒が走り、私は自分の体を抱きしめた。
「影野君……」
無意識に、私はその名前を呼んだ。
そこで、私は、彼との連絡手段が全くないことに気付き、俯いた。
とはいえ、すぐに倒せるなら、きっとシャドウはすでにそうしている。
彼自身、全力を出せない理由があるに違いない。
「その理由を見極めれば、なんとか……でも……」
私は、一人呟いて、ベッドに倒れた。
シャドウの情報など、知るわけがない。
本人に聞ければ一番早いが、そんなことを聞けば、一瞬で……———。
……そして、不安になればなるほど、影野君に会いたくなった。
好きな人、それも、恋人という存在は、こんなにも私の中で大きな柱になるものなのだろうか。分からない。
でも、彼の存在のおかげで、私の心は少しだけ安らいでいた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.35 )
- 日時: 2017/01/24 15:51
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
翌日。私たちは四人で、昨夜の現場を見に行っていた。
それは、元々がきちんとした建物だったことすら信じられなくて、私は静かに息を呑んだ。
「これを、昨日一晩でシャドウが……」
ゆうこは、そう言って眉を潜めた。
あれだけの凄まじい能力を持つシャドウが、なぜ、未だに私たちを倒さないのか。
そのことが気にかかり、私は唇を噛んだ。
「それにしても手がかりとかは無さそうだね……せめて、アイツ等の拠点とかが分かれば良いんだけど……」
「私たちに見つけられるなら、神様がとっくに見つけてるわよ。ひとまず、大使館に戻りましょうか」
不貞腐れるひめにそう言いつつ、私はほとんど崩れた建物をもう一度だけ見返し、微かにため息をついた。
ここにシャドウがいたとしても、きっと彼は、今は私を倒そうとしない。
できるなら、もっと早く、できているハズだ。
彼が全力を出していない内に、彼の秘密を少しでも探らなければ……。
そう決意し、私はその場を立ち去った。
−−−
<シャドウ視点>
「昨日の君の暴走。巷では、中々大きな騒ぎになっているようだねぇ」
真っ黒なジグソーパズルを少しも迷うことなく組み立てながら、ブラックは言う。
それに、僕は何も言わずに、ただ座っていた。
黙っている僕に怒りが溜まったのか、唐突に、彼はパチッと大きな音を立てて、ピースをはめた。
「……余計なことをするなと、私は言ったハズだ。君の実力の一部が、彼女等に知られてしまったんだぞ?」
「……悪い」
小さく謝ると、また、パチッという音が響く。
「これ以上、私を手こずらせるな」
「……あぁ」
僕は頷き、俯いた。
その時、突然目の前に黒い欠片が舞った。
よく見ると、それはブラックの作りかけの黒いパズルだった。
「なっ……」
「この世の中はまだ、不完全だ」
僕の方を見ずに、ブラックは一人呟くように言った。
直後、ブラックの影が黒い絵の具のようになり、空中に霧散した。
ピースを一つずつ集め、テーブルの上に置いて、少しずつパズルが完成していく。
「だから、私たちがこの世界を、完全にしなければならない」
その言葉と同時に、黒い板が完成する。
「……最初からそうすればいいのに」
「私は、途中の過程も楽しみたい主義だからねぇ。途中で苦労した時ほど、成功した時の喜びは壮絶なものになるだろう」
「……それ、誰の入れ知恵?」
僕が聞くと、ブラックは微笑み、肩を竦めた。
それにしても、途中の過程を楽しむ、か……。
「我慢に我慢を重ねるほど、全力でプリキュアを倒したときの喜びは大きい、と?」
「ご名答」
ブラックの笑顔に、僕は俯いた。
その時、頭に誰かが頭を置いた。
まぁ、誰なのか、は、分かっているけれど。
「今は我慢の時期。今の君じゃ、プリキュアには圧勝できてしまう。でも、泳がせて強くなった奴等と戦えば、君の欲求だって満たされる」
「……なるほど」
僕は微笑を浮かべ、彼の手を弾いた。
それは、確かに面白そうだ。
もっと強くなって、本気で渡り合える奴等。
「……でも、お前は良いのか?早く、目的を達成したいんじゃ?」
なんとなく、不思議に思った。
コイツの持つ力は、計り知れない。
いざとなれば、地球の支配など容易いことであるハズなのに。
僕の問いに、ブラックはどこか悲しそうに微笑み、僕に背を向ける。
「今の私じゃ……目的を達成することはできない。今は、まだ……」
そう言って、彼は古いソファに座った。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.36 )
- 日時: 2017/01/24 22:28
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
「なるほどねぇ……」
私たちの説明を受けたレッドさんは、そう言って紅茶を啜った。
「残念だが、俺や……ここにいるミラージュは、そもそもこの地球に関しては詳しくないんだ。ミラージュはそもそも神とかじゃないし、俺も惑星レッドの神だから、地球に関してはあまり知らない」
「そう、なんですか……」
「あぁ。だから、情報面でも、ブルーが重傷を負ったのはかなり辛い……」
レッドさんは、そう言って顔をしかめた。
その様子に、私たちも言葉を紡ぐことができない。
なんとなく視線を逸らし、青い鏡の中で療養中の神様に目を向けた。
「ブルー……」
めぐみは、痛々しいものを見る目で、そう呟いた。
レッドさんは、その様子に、複雑そうに目を逸らす。
「あの、神様はいつ回復するんですか?」
私は、つい、そんな風に聞いた。
レッドさんは、それにカップを置き、「さぁな……」と言う。
「二、三日かもしれねぇし、一週間。下手したら、一ヶ月かもしれない」
「つまり……全く分からない、と?」
そう聞くと、レッドさんは重々しく頷いた。
私たちは顔を見合わせた。
「これじゃあ……どうしようもないよね?」
「そうね……でも、諦めずに私個人で、何か調べてみるわ。もしかしたら、何か分かるかもしれないし」
私が言うと、めぐみは頷き「あたしも、できることがあったら手伝うよ!」と言って、私の手を握った。
それに、ひめとゆうこも私の手を握り「皆で頑張ろう!」と言う。
「ありがとう。でも、シャドウが狙ってるのは私だし、私一人で頑張るわ。でも、無理そうだったら、頼らせてね」
私の言葉に、三人は大きく頷いた。
とはいえ、何を調べれば良いのか分からない。
仕方がないので、図書館に行き、昔の新聞の切り抜きを集めたスクラップブックを見てみることにした。
「と言っても、シャドウの情報が新聞に載ってるわけないか……」
そう呟き、私はため息をついた。
ここに情報があるわけないし、これ以上いても時間の無駄かもしれない。
でも、他にどこに行けば……。
考え事をしながらフラフラと歩いていた時、私の手が、スクラップブックに当たり、それらはバサバサと音を立てて崩れ落ちた。
「あぁッ……」
私は声を漏らし、床に広がったスクラップブックを拾い集めた。
その時、床に広げられたスクラップブックの一ページに、見覚えのある名前があるのを見つけた。
「えっ?ちょっと待って……」
私はそのスクラップブックを拾い、机の上に広げた。
他の物を隣に置き、そのページを凝視する。
『———に住む影野愁君がマンションの屋上から飛び降り———』
影野……愁……。
影野愁……それって……。
「同姓同名の人間が……?いや、でも……」
私は混乱し、額に手を当て、前髪を掻き上げた。
なんで、影野君の名前がここに……?しかも、マンションの屋上から飛び降りて……死んだなんて……。
「どうなってるの……?」
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.37 )
- 日時: 2017/01/25 21:19
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
図書館を出た私は、どこに行けばいいのか分からないので、適当にベンチに腰掛けた。
影野君の……自殺……。
未だに頭の中で理解できない情報に、私は額に手を当てた。
「氷川……?」
その時、頭上から声が降ってきた。
顔を上げると、それは、相楽君だった。
「相楽君……ッ!?どうして、ここに?」
「真央に頼まれて絵本を借りに来たんだよ。ところで、お前はこんなところで何してるんだ?思いつめているみたいだけど……」
そう言って、隣に座る相楽君。
私は少し迷いつつも、影野君の死について書かれた記事を見つけたことを、話した。
結局はめぐみ達の前で話すことになるだろうし、遅いか早いかの差だった。
「……そうか。アイツが……」
「多分、同姓同名ってだけだと思うんだけど、影野って苗字も、愁って名前も、そう中々いるものじゃないと思って……」
「確かに……」
相楽君は、そう言って顎に手を当てて考える。
わざわざこんなことに付き合わせてることが悪くなり、私はすぐに立ち上がった。
「聞いてくれてありがとう。でも、この問題は……今はそこまで重要じゃないし、きっとただの偶然だと思う。だから、無理しなくても……」
「そうか?まぁ、良いか。でも、お前溜めこみやすいし、もし無理だったら、めぐみとかにも頼るんだぞ?」
「ありがとう。それじゃあ、絵本探し頑張って」
「おぉ」
そう言って私たちは別れた。
とはいえ、相楽君にはああ言ったものの、本心では、気になって仕方が無かった。
関係ない。心の底から、そう言い切ることができなかった。
「でも、皆に迷惑掛けれないし、私が一人で解決しなくちゃ……」
そう呟いて拳を握り締めた時、交差点から出てきた人影にぶつかった。
倒れかけた時、その人はすぐに私の手を掴み、体重を支えてくれる。
顔を見ると、それは、影野君だった。
「か、影野君!」
「危なっ……怪我とかないか?」
そう言って私を立て直す彼に、私は「大丈夫よ」と言って微笑んだ。
「それより、影野君こそ怪我ない?結構強くぶつかったけど……」
「あぁ、僕は大丈夫だよ」
彼は、そう言いながら私の手を離した。
先ほどまで私の手を握っていた彼の手は冷たくて、死体とかの冷たさは分からないが、正直、低体温とかよりも冷たいんじゃないかと思った。
「……影野君ってさ」
「ん?」
「今の、私たちの中学校に来る前、何してたの?」
私の問いに、彼は微かに目を見開いた。
僅かな表情の差に、私は身を乗り出す。
「さっき、図書館で、貴方と同じ名前の人が自殺したって記事を読んだの!もしかして、何か関係があるの!?」
つい言葉が強くなる。それでも、私は言った。
彼は、その言葉を受けた瞬間、先ほどの驚いた様子ではなく、少し、キョトンとした表情を浮かべた。
「……え?」
「あっ、えっと……」
それから、私は図書館での出来事を、彼に語った。
無言で聞いていた彼は、やがて、困った様子で首の後ろの辺りを掻く。
「悪いけど……僕にはよく分からない。同じ名前ってだけだと、思う」
その言葉に、私は肩から力が抜けるのが分かった。
「そ……っか……良かった……」
「それにしても……自殺、か……」
影野君は、そう呟くと顎に手を当て、唸るように声を漏らす。
その真剣な様子が、少しだけ嬉しくて、私は彼の腕に手を回した。
「とりあえず、さ。影野君が、ただの人間だって分かって、良かった」
私が言うと、彼は不思議そうに私を見た。
そして、少しだけ暗い表情をして、目を逸らす。
「じゃあ、例えば僕が……人間じゃなかったら、嫌いになるのか?」
「え?……そんなわけないじゃない。影野君が、たとえ悪人だとしても、化け物だとしても、私は影野君のことが……」
その先は恥ずかしくなって、私は口を閉ざした。
すると、彼は「そう……」と言って、少しだけ早く歩く。
「どうしたの?」
「別に。ただ、少しだけ……嬉しかった」
彼は、そう言って私に顔を向け、微かにだけど、口角を上げた。
その表情に私も微笑み、彼を追いかけた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.38 )
- 日時: 2017/01/26 18:47
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<シャドウ視点>
『さっき、図書館で、貴方と同じ名前の人が自殺したって記事を読んだの!もしかして、何か関係があるの!?』
自殺……僕と、同じ名前……。
その言葉が、グルグルと僕の頭の中を回り、グチャグチャに混ざり合う。
どういうことだ?影野愁が、自殺……?そもそも、この名前は偽名で、そんな名前の人間いるわけ……。
『今の、私たちの中学校に来る前、何してたの?』
そんな質問を思い出し、僕は壁に拳を打ち付けた。
思い出せない……ブラックと出会うまでの記憶が、ない……。
「そもそも……僕とブラックは、どういう知り合いだ?」
そこで、今まで全く気にしなかった謎に、直面した。
僕とブラックの関わり。
気付いたら、目の前に彼はいた。
優しく彼は笑い、僕に言った。
『おはよう』
その言葉に、僕はしばらくポカンとしていた。
呆然としている僕に、彼は笑顔で手を差し出した。
『私は、君の味方さ。私と君は、共通の目的を持っている。忘れてしまったのかい?』
彼の問いに、僕は頷いた。
すると、彼は優しく笑い、僕の頭を撫でた。
『君の名前はシャドウ。そして、私はブラック。覚えてないなら……仕方ない。よろしくね、シャドウ君』
そこで、僕は気付く。
シャドウとは、あの男が与えた名前。
僕の名前は別にあるのでは……?
「おや、そんなところで何をしているんだい?」
そこで、背後から声がした。
振り返ると、そこには、ブラックがいた。
「あっ……ブラック……」
あくまで平静を装い、僕は応える。
彼は微笑み、僕の肩に手を置いた。
「どうしたんだい?何か、悩みでもありそうだけど」
「なんでもない……ちょっと、考え事をしていただけだ」
そう呟きながら、僕は考える。
影野愁が自殺……そして、僕のシャドウという名前への信憑性……。
ブラックにどんな力があるのか、分からない。
彼が僕を傍に置いておく理由……。そんなもの、普通に考えて存在しない。
でも、きっと何かあるハズだ。何か……理由が……。
「ブラック……」
「なんだい?」
「僕は……何なんだ?」
僕が聞くと、彼は立ち止まる。
やっぱり……何かがある?
「なぁ……」
「今はまだ、言えない」
「やっぱり何かあるのか!」
僕が叫んだ時、額に人差し指を当てられた。
直後、意識が霞み、僕は地面に膝をつく。
「ぁ……」
「まだ……その時じゃない。まだ……」
その言葉を聞きながら、僕の意識は闇に落ちていった。
−−−
<ブラック視点>
倒れるシャドウの体を抱き止め、私は息をつく。
しかし、プリキュアと関わるようになって、彼が勘付くのも時間の問題になってきたな……。
「もう少し……待ってくれ……愁……」
そう呟いて、腕の中の少年の頬を撫でた。
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