二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.29 )
- 日時: 2017/01/18 17:23
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
ぴかりが丘に戻ると、私たちは一度、学校に迎えに来た保護者に家まで送ってもらい、荷物を下ろしてから、神様たちへのお土産を片手に、大使館に向かった。
私のせいで、私たちがプリキュアであることを影野君に知られてしまったため、神様にも伝えるべく、影野君にも来てもらう。
学校の前で、私は影野君と合流し、二人で歩いて行く。
「それにしても、その……大使館?っていうのは、お前達プリキュアの本拠地か何かか?」
「んー……そう、なのかな?よくそこに集まったりするし、私たちにプリキュアの力をくれた神様とか、隣のクラスの白雪ひめとかが住んでいるの」
私の言葉に、彼は「ふーん……」と言った。
どこか、彼の目の奥の色が変わったような気がして、違和感を抱く。
「……じゃあ、例えばそこを敵に襲われたら、かなりピンチ?」
「それはどうなんだろう。でも、ひめや神様達の住む場所が無くなるわけだし、ピンチとはいかなくとも、困ることには変わりないわ」
「……そう」
やがて大使館に着くと、インターホンを鳴らした。
少しして、ひめが「はーい」と言ってドアを開けてくれる。
「いらっしゃい!いおなと……誰だっけ?」
「影野愁君。忘れたらダメでしょう?」
私がそう言いながらひめの頭を小突くと、彼女は「そうだった〜」と言って舌を出す。
「じゃあ、愁で良い?いらっしゃい。ゆうこはもう来てて、奥で待ってて、あとはめぐみと誠司が来るのを待つだけで良いよ」
「分かったわ。じゃあ、行きましょうか?」
「……あぁ」
影野君を促し、私たちは奥の部屋に行く。
そこでは、すでに来たゆうこと、神様、レッドさん、ミラージュさんが、向かい側に座って、皆でハニーキャンディを食べていた。
「ゆうこ。早いわね」
「いおなちゃん!私の家、ここから近いから。いおなちゃんこそ、遅かったね?」
「えぇ。ちょっと、影野君と合流してから行ったから。あ、神様。彼が、プリキュアの正体を知った、影野愁君です」
私が紹介すると、影野君はそれに、神様に視線を向け、少しだけ頭を下げた。
それに対し、神様は、特に自己紹介をする様子もなく、影野君の目を真っ直ぐ見つめていた。
普段なら、すでに「地球の神のブルーです。よろしくね、影野君」とか、挨拶してるところなのに……。
やがて、神様はゆっくりと口を開いた。
「影野……愁君?」
「はい。そうですが?」
影野君の言葉に、神様の目つきが少しだけ変わった。
「あっ、私は、この、隣にいるブルーの恋人のミラージュです」
「俺は、ブルーの兄のレッドだ。よろしく、影野君」
そこで、先に他二人が自己紹介をした。
しばらくして、ブルーも「地球の神、ブルーだ」と、少しだけ鋭い言い方で言い放つ。
その口調に、影野君は微かに目を細め、「……そうですか、貴方が……」と言う。
なんとなく、重い空気に耐えられなくなった私は、ソファに座って、一人で紅茶の量と砂糖の黄金比率を一人探っていたゆうこの隣に腰掛け、話しかける。
「どうしたのかしら、二人とも」
「さぁ……神様、なんか睨んでるように見えるわね……初対面の人に、あんな態度してるの、初めて見たわ」
ゆうこは、そう言って紅茶を啜り、「まだ何か違うわね……」と神妙な顔で言った。
うん。彼女は今は放っておいてあげよう。
そう思っていた時、「お邪魔しまーす!」という元気な声で入ってきためぐみと、その後ろから相楽君が入ってくるのが見えた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.30 )
- 日時: 2017/01/19 20:23
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
やがて、全員がソファに座り、私は改めて影野君の紹介をすることにした。
「じゃあ、改めて、彼が、修学旅行中にプリキュアの正体を知ってしまった、影野愁君」
「それは分かってる……。それで、彼とはどういう関係なんだい?」
ブルーの言葉に、私は少し戸惑いながら、続けた。
「私とめぐみのクラスメイトで、席が隣だから、彼とはよく話したりするんです。だよね?影野君」
「……あぁ。そうだ」
影野君が発言したり、影野君に関する話題になる度に、神様からどこか、不穏な気配を感じた。
他の二人からは、そんな様子は感じられない。
神様と影野君の間で、何か因縁でもあったのかしら?
でも、何が……。
「そうか。ところで……愁君」
神様は、そう言って影野君に目を向ける。
その言葉に、影野君は少し驚きつつ、「はい……なんですか?」と言う。
「君は……ブラック、という人物を……知っているかな?」
「ブラックって……ッ!」
あの、闇の神様……ッ!?
驚く私たちに対し、影野君はあくまで無表情で、静かに腕を組んで目を瞑った。
「……さぁ、知りません」
そう言って目を開き、「すいません」と言って肩を竦めた。
「ブラック、という言葉は知っていますが、名前と言われると……」
「……そうか」
神様は、その言葉に吟味するように目を閉じ、しばらく黙りこくってしまう。
やがて、目を開き、「まぁいい」と言う。
どうやら、彼の中で結論が出たらしい。
「……とりあえず、歓迎するよ。今、プリキュアはとある敵と戦っている。もしかしたら、その敵に襲われることがあるかもしれない。でも……」
「えぇ。僕に出来ることがあれば、協力しますよ」
影野君は、そう言って微かに口角を上げた。
それに、神様は「それは良かった」と言い、微笑む。
二人の間だけ、まるで空気が冷めてしまったように冷え切り、私は落ち着かず、紅茶を啜った。
「ねぇ、なんか……二人の感じ、変じゃない?」
ずっと横でハニーキャンディを舐めていためぐみは、そう小声で言ってきた。
それに、私は「そうね」と同意し、皿に盛られたハニーキャンディに手を伸ばした。
黄色の包み紙に梱包された飴玉を一つ口に放り、しばらく、口の中で転がす。
「んん……私たちの気のせいかもしれないし、影野君って、よく無表情だったりするから、神様も警戒してるだけじゃないかしら」
「そうかなぁ……」
不安そうに呟くめぐみの頭を、私は「大丈夫、大丈夫」と言って、ポンポンと撫でた。
そして、視線を影野君の足元に向けた時、違和感を抱いた。
……やけに、黒くないか?彼の、影。
私は眼球だけ動かし、他の皆の影を確認する。
電灯の光があるとはいえ、当たり前の話だが、影を透かして絨毯が見える。
しかし、影野君の影は、何も見えず、まるで墨汁を零したかのように真っ黒だった。
「……」
「それじゃあ、修学旅行で疲れているだろうし、今日はもう帰りなさい」
神様の言葉に、私は、深く考えることをやめて立ち上がった。
多分……多分。気のせいだろう。
それこそ、修学旅行のせいで、少し疲れているのかもしれない。
今日は帰って休んだ方が良い。土日が明けたら、また学校が始まるし、この二日間は休養に使おう。
大使館の前で、ゆうこや、めぐみ、相楽君と分かれ、私と影野君は夕焼けに染まる道を歩いて行く。
「ねぇ、影野君……」
「何?」
「貴方……神様と、何かあったの?」
私が問うと、彼は微かに目を見開き、視線を逸らして前を見ながら「別に、何も」と言う。
「本当?」
「本当だよ。大体、彼とは初対面だし……」
「そっか……。じゃあ、例えば、ブラックと面識があるとか?」
「そんなわけないだろ。そんな変な名前の人間、会ったことない」
「人間、ではないけどね……」
私が苦笑しながら言うと、彼は、フッと息を吐くように微かに笑い、足元を見た。
彼の影は、今は、私の影と同じくらいの薄さになっていた。
やはり見間違いか。それなら、それで良いのだけれど。
「……僕と……———……付き合って下さい」
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.31 )
- 日時: 2017/01/20 21:40
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<ブラック視点>
シャドウの影を介して、私はずっと彼の動向を探っていた。
どうやら、彼がプリキュアの正体を知ったことにより、地球の神、ブルーと遭遇したらしい。
「……流石に、彼には気づかれたか。……まぁいい」
しかし、あくまで私はそう呟き、微かに笑う。
そして、ゆっくりとシャドウに通信を送る。
「ブルーには気づかれたかもしれない。彼の動向に気を付けろ」
『分かった』
「それと……少しでもプリキュアの信用を勝ち取っておいた方が良いな」
『どうすればいい?やり方なんて分からないぞ?』
「分かってる。そうだなぁ、恋人になるくらいが一番いいんだが……できそうか?」
『……やってみる。とりあえず、付き合ってくれとか言っておけばいいんだな?』
「あぁ。期待してるよ」
私は、そう言って一度通信を切る。
それにしても、彼の性格で、大使館に平気で入れてもらえるくらいの距離感に至るとは思わなかったな……。
これでさらに、誰かと恋人なんかになれた暁には、正直、都合が良すぎて不安になってしまう。
「それにしても……ブルーか……」
私は、座っていた古いソファから立ち上がり、ヒビの入った窓ガラスから外を眺める。
ブルーが関わってくると、少し……面倒だな……。
「……消すか」
そう呟き、私はゆっくりと、瞬きをした。
次の瞬間、ブルー達のいる大使館に着く。
目を開くと、そこでは、ブルーが、目を見開いて固まっていた。
「やぁ……ブルー。久しぶりだねぇ。今、君は一人かい?」
「なんで……貴方が……ッ!」
「神様ぁ〜。見て見て〜!クッキー上手く焼け……」
焼きたてのクッキーを持った、変身前のキュアプリンセスは、私の顔を見た瞬間固まる。
そして、トレイを机に置くと、すぐにピンク色の直方体の物質を持ち、変身する。
「天空に舞う、蒼き風!キュアプリンセス!」
そう言ってポーズを決めると、「やぁぁぁッ!」と掛け声を発しながら跳び蹴りを放ってきた。
私は、それを横に少し動くだけでかわし、彼女の手首を掴んで地面に叩き付けた。
「カハッ!」
吐息を漏らすキュアプリンセスの体を、私は冷静に、家具の影を動かして縫い付ける。
お前は、今は……どうでもいい。
私はキュアプリンセスの動きを封じたことを確認し、ゆっくり立ち上がる。
その時、突然背後から殺気を感じたので、私は振り返る。
すると、そこには白い拳が迫って来ていたので、私はそれをかわし、その腕を掴んで地面に組み伏せた。
「グッ……」
「レッド君……体が鈍ったんじゃないかい?昔は、もっといい勝負をしていたような気がするけれど。まぁいっか」
私はそう言ってから、彼の体も影で縫い付ける。
そして、ゆっくりと立ち上がり、奥にいる少女に話しかける。
「君も……彼等のようになるのかい?」
「ッ……」
「ミラージュ!来たらダメだ!」
ブルーの言葉に、ミラージュは視線を彷徨わせた。
まぁ、敵になるほどのことはないだろう。
私は振り返り、彼の首を掴んでソファに押し付けた。
「ガッ……」
「私は、元々……殺しとか、暴力とか、嫌いなんだ。そんな粗暴な行為はね」
「どの……口が言う……ッ!」
「ブルーに手を出さないで!」
その時、やっと駆け寄ってきたミラージュを、私は片手間に影で縫い付けた。
やっぱり、戦力にならなかったな。
床に仰向けで並んだ三人を一瞥してから、私は、再度ブルーに視線を向ける。
「でも、お前はどうやら、私の計画に邪魔な存在になりそうだ。だから、少しだけ釘を打っておこうと思ってね」
そう言いながら、私は手の中に、影で真っ黒な釘を作り上げる。
それを見た瞬間、ブルーの目は見開かれる。
「なッ……やめ……ッ!」
「さよならだ。地球の神、ブルー」
そして、私は、黒い釘を持った手を振り上げた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.32 )
- 日時: 2017/01/21 20:49
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<いおな視点>
「……僕と……———……付き合って下さい」
唐突に発せられた一言。
それに、私は固まり、影野君の顔を見た。
「えっと……?」
「僕と付き合ってほしい。その……恋人同士になってほしいんだ」
彼は、そう言って目を逸らした。
話が見えてこない。今までの流れで、どうして、そうなった?
わけが分からず、私は呆然と彼の顔を見つめた。
照れたり、赤面するわけでもない。ただ、真っ直ぐで真剣な目が、私を見つめていた。
「恋人って……私たち、会ったばかりでしょう?そういうの、まだ早いと思うし……」
「で……でも……」
返答に困っていた時、私の、制服のポケットに入っていたキュアラインがけたたましい音を立てた。
こんな時に……と思いつつ、私は、影野君に断りを入れ、電話に出る。
相手は、ひめだった。
「ひめ。どうしたの?急に」
『大変なの!さっき、あのブラックとかいう神様が出て!』
興奮した様子で語るひめに、私は「落ち着いて」と宥めつつ、先ほどの言葉を反芻する。
ブラック?……って、あの、最強の神様とかいう?
なんで……。
「それで、何があったの?」
『えっと、私と、レッドやミラージュさんが捕まって、身動きが取れない間に、ブラックがブルーを……』
そこまで言うと、ひめは顔を青ざめさせ、俯いた。
彼女の反応に、嫌な予感が募っていく。
「とにかく、すぐに影野君とそっちに向かうから!それまで、待っていて!」
「わ、分かった……」
ひめは、そう言うとキュアラインを切った。
私はポケットにしまうと、影野君に声を掛けた。
「影野君!大変なの!神様が、ブラックに襲われたって」
「ブラックに……ッ!?」
「えぇ。だから、今から大使館に戻りましょう?」
「あ、あぁ……」
告白の答えが引き伸ばしになったことが不満なのか、微かに不機嫌そうな雰囲気を漂わせる。
私は、その様子に少し可愛いなぁとか思いつつも、大使館に向かった。
そこには、すでにゆうことめぐみ、相楽君も揃っており、全員が不安そうに、水色の鏡のようなものを見つめていた。
「これは……」
その中では、神様が目を瞑り、胸の前で両手をクロスしていた。
よく見ると、彼の体の所々を光のようなものが包んでいる。
「ブラックのよく分からない術みたいなもので、私たちは動けなくされちゃって……。それで、神様はブラックに……」
そこまで言うと、ひめは唇を噛みしめ、俯いた。
後で聞いた話では、この鏡のようなものには、長期間休むことで傷を癒す力があるらしい。
こんなもの今まで見た事ないと言うと、この鏡は奥の手で、元々は、神様にも治癒能力はあるので時間を置けば治るのだが、ブラックにつけられた傷は、この鏡を使わないとダメらしい。
「大体、どれくらいの期間を置いたら治るの?」
「分かりません……ただ、かなりの重症で、神様ですら、生死の境を彷徨うほどの大怪我ですし、意識すら、未だに浮上しません」
「そう……」
私は呟きながら、なんとなく、視線を彷徨わせた。
近くにいた影野君を見ると、彼は、どこか驚いた様子で、神様の顔を見つめていた。
「影野君……」
私が声を掛けると、彼はチラッとこちらを見た。
「……これが、お前達が戦う相手の実力、か……?」
「えぇ……そうね」
私の答えに、彼は、しばらく迷う素振りを見せた後で、私の肩に手を置いた。
「こういう時、なんて言えば良いのか分からないけど、その……無理するな」
そう言って、目を逸らした。
不器用な優しさ。無愛想だけど、本当は優しい。
そんな彼の顔を見ていると、胸が、ドキドキと音を立てる。
あぁ……私、彼のことが……。
「ありがとう……影野君」
私が微笑んだ時、彼は、それを見て目を見開いた。
白目の中で黒目が震え、私の肩を掴む力が強くなる。
「か、影野君……?」
私が名前を呼ぶと、彼は、ハッと我に返った様子で、「ご、ごめん……」と言って、私の肩から手を離した。
彼に触れられた部分が熱い……。
掴まれていた方の肩に触れ、私は、フッと笑った。
後で返事しよう、と。心の中で思いながら。
「ブルーのことは、俺達に任せてくれ。ただ、ブラックが動き出した……。このことは、忘れるな」
レッドさんの言葉に、私たちは頷き、それから帰路についた。
夕陽に染まる道を歩きながら、私は深呼吸をして、影野君に顔を向ける。
「か、影野君っ……」
私が声を掛けると、彼はピクッと肩を震わせ、「何?」とこちらを見た。
「あ、えっと……さっきの、告白の返事なんだけど……」
「あ、あぁ……」
「その……こちらこそ、よろしくお願いします」
その言葉に、彼は驚いた様子で顔を上げ、しばらくポカンとしていた。
やがて、「はぁ……」と息を吐くような返事をした。
「えっと……あ、ありがとう……なのか?」
「さ、さぁ……?」
曖昧に返事をしながらも、不器用な彼の様子に、私は笑みを零した。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.33 )
- 日時: 2017/01/22 21:13
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<シャドウ視点>
「ただいま……」
廃ビルに戻ると、古びたソファに腰掛けたブラックが、こちらを見た。
その視線を受けながら、僕は変身を解き、近くにあった古い木の椅子に腰かける。
「おかえり」
「……ブルーを、殺そうとしたんだって?」
僕が聞くと、彼は微笑み、「あぁ」と言った。
「君の正体に気付いてるようだったからね。悪い芽は、早く摘んでおくに越したことはない」
「そうか……」
「それで……プリキュアと恋人関係になる、という件に関しては、どうなった?」
ブラックの言葉に、僕は一度呼吸が止まりそうになった。
そのことに関して聞かれるとは……。
「……キュアフォーチュンと、付き合うことになった」
正直に答えると、彼は「へぇ、彼女と……」と、驚いた様子で言った。
僕はそれを横目に見ながら、あの時のことを思い出す。
ブラックに言われて、僕はキュアフォーチュンに告白をした。
一番親しかったし、一緒にいて、一番気が楽だし。
彼女がOKしてくれるとは思っていなかったが、それは構わない。
ただ、ブルーがブラックに殺されかけて、不安そうにしている彼女を、なんとなく励ましたとき……。
『ありがとう……影野君』
あの、笑顔……。
心が乱されるような……僕が、僕じゃなくなるような感じ……。この感覚、前にも……。
無意識に、左手は僕の胸元に伸び、服を握り締めた。
「……ちょっと、外の空気に当たってくる」
僕の言葉に、ブラックは反応しない。別に、これくらいいつものことだ。
フラフラと歩いて、階段を上り、屋上に出る。
見渡せば、暗闇に広がる、闇。人工の手によって作られた光が、闇を照らす。
「幸せは、一瞬……愛は、幻……」
呟きながら、僕は足元の影に触れた。
すると、影はまるで黒い絵の具のようになり、ドロドロと僕の指先を染めていく。
そして、地面から指を離し、その絵の具を空中に伸ばしていく。
どす黒い絵の具は、どんどん長く、太くなり、やがてそれは、僕の身の丈ほどある太刀になる。
その柄を握り締め、僕は、屋上を囲う柵に飛び乗り、夜の街を見下ろした。
「愛なんて……僕は、知ってはいけない……」
呟くのと同時に、柵を蹴り、地面に落下していく。
そして、下にあった建物を太刀で破壊し、僕は着地する。
人々が騒ぐのを、眼球だけを動かして視認する。
別に、どうでもいい。僕は空を見上げ、太刀を掲げた。
「キュアフォーチュン……お前だけは、僕の手で、倒す……」
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