二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
日時: 2017/02/04 21:50
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。

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Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.9 )
日時: 2017/01/06 21:47
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

「さて、集まってくれたようだね……」

 大使館のリビングでは、一つのソファに、めぐみ、ひめ、ゆうこ、私。向かい側に、神様、ミラージュさん、レッドさん。そして、一人掛け用のソファに、相楽君が座っていた。
 集まってから早々に発せられた神様の真剣な声色に、私たちも、謎の緊張をしている。

「それで、ブルー……緊急事態っていうのは?」

 めぐみも少し緊張した様子で言う。それに、神様は「あぁ……」と言い、続ける。

「兄さん……レッドと、僕がいる時点で分かることかもしれないが、この世界……いや、全ての世界や惑星には、様々な神が存在する」
「神と言っても、全員が全員、聖人君子ってわけじゃない。中には俺のように管理していた世界が滅んで闇に染まった神もいれば、元から性根の腐った神なんかも存在する」

 そこまで言うと、レッドさんは俯いた。
 出されたケーキを頬張っていたゆうこは、それを飲み込むと、「もしかして……」と言う。
 真面目な言い方なのにふざけているように見えているのはなぜだろう……。……頬にクリーム付いてるからだ。

「……ゆうこ、頬にクリーム付いてる」
「えっ?」

 私の指摘に、ゆうこは慌てて手鏡で自分の顔を確認して、慌ててティッシュで拭った。
 拭き終えたところで、神様が「んんッ」とわざとらしく咳をした。

「それで、ゆうこの意見が聞きたいんだが?」
「あっ、ごめんなさい。もしかして、私たちがさっき戦ったブラックが、その……神なんじゃないかなって」
「……ほとんどは正解ってところか」

 レッドさんの言葉に、私たちは首を傾げた。
 しばらく間を置いた後で、神様がゆっくりと口を開いた。

「……惑星レッドの復興活動をしていた時、ミラージュが突然、地球から嫌な気配がすると言ったんだ」
「レッドに一度操られてから、闇の気配に強くなったんです。元々、惑星レッドと地球は、神様同士が血縁だからか、たまに気配を感じたので。ですが、離れているにも関わらず、レッドより、凶悪で、黒い気配を感じました……」

 そう言って、自分の体を抱きしめ、俯くミラージュさん。
 彼女の背中を神様が撫で、ゆっくりと私たちに顔を向けた。

「ミラージュの言葉と、先ほどゆうこの言った言葉を聞いて、ひとまずは確信した。この地球にいる神、それは……神の中で、最も強く、絶望と闇を愛する者。暗黒の神、ブラックだ」

 その言葉に、私たちは息を呑んだ。
 神の中で最強の……ブラック……。

「……じゃあ、シャドウも神なのかな?」

 その時、ひめが考え込む様子で言った。
 彼女の言葉を聞いた神様達は、「シャドウ?」と聴き返す。

「う、うん……ブラックと一緒にね、男の子がいて、ブラックは、自分の部下のシャドウだって、言ってたんだけど……」
「ブルー。あたしたちと同じくらいの年の神様って、いる?」

 めぐみの問いに、神様は「ん〜……」と考え込む。

「いや……聞いたことない。一応、全ての神の存在は把握しているけれど、全ての神は、一定の年齢は越えている。君達と同じくらいの年齢の神なんて……」

 そう言って、神様は顎に手を当て、机を見た。

「まぁとりあえず!ブラックやシャドウの出すサイアークを倒して、最終的にはブラックを倒せば良いんだよね!」
「……まぁ、極論を言えば……」

 困惑した様子の神様に、めぐみはニカッと笑って、「任せといてよ!」と言った。

「うおぉぉぉぉぉ!燃えてきたぁ!皆!外に出て特訓だ!」
「えぇ!今から!?」
「もちろん!プリチェンミラーを使えばすぐに運動着になれるしね!いおなちゃん!ご指導お願いします!」
「わ、私……!?まぁ構わないけど……」

 ポンポンと話が進んでいくので、つい、私は困惑しつつも肯定してしまった。
 それにめぐみはさらに喜び、ひめとゆうこの腕を掴んで引っ張ろうとしている。
 相変わらずの暴走っぷりに、私はつい笑みを零した。

 細かいことなんて、いずれ分かるもの。
 今は、とにかく力をつけて、ブラックを倒す。それだけだ。

「ちょっと待ってよ!皆!」

 私は立ち上がり、三人の元に駆け寄った。
 神様の、「シャドウ……僕達にも何者か分からない、イレギュラー……」という言葉を、背中に受けながら。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.10 )
日時: 2017/01/07 15:48
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<シャドウ視点>

 柵の向こう側には、ぴかりが丘、とかいう町が広がっていた。
 しかし、そんな景色には目もくれず、僕は柵に凭れ掛かり、地面をぼんやりと眺めていた。
 どこかのビルの屋上。よく分からないが、ドアが一つだけある小さな箱のような建物の影に腰掛け、僕はただただ、ぼんやりしていた。

「……不機嫌そうだねぇ」

 その時、頭上から声が降ってきた。
 顔を上げると、そこには、ドアがついた小さな建物の上に立ち、こちらを見下ろすブラックの姿があった。

「ブラック……」
「そんなに、彼女らと戦いたかったのかい?」
「……お前には関係ない」

 目を逸らしながら言ってやると、彼は「ふぅん……」と、楽しむような言い方をした。
 すると、彼は立っていた場所から下り、僕の目の前までやって来る。

「っ……何だよ……」
「別に良いんだよ?勝手に戦っても……でも」

 彼は僕の目の前でしゃがみ、視線の高さを合わせる。
 そして、口元だけで笑った。

「それで負けて、また『あんな風』には、なりたくないよねぇ?」
「……ッ!」

 その言葉に、僕は唇を噛みしめた。
 彼は、それにニコッと笑い、僕の肩に手を置いた。

「君は……私の言うことを、黙って聞いていればいい」

 ブラックの言葉に、僕は何も言わずに俯いた。
 その様子を見た彼は満足そうに微笑み、二度、僕の肩を叩くと、去って行った。

「……クソッ」

 小さく息を吐くように言い、僕は地面を殴った。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.11 )
日時: 2017/01/07 20:57
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<いおな視点>

「氷川さん」

 朝。めぐみ達と分かれ、一人図書館に向かっていた時、背後から声を掛けられた。
 本当は、今鞄の中にある本の続きを早く借りたいところだけど、声を聴いた感じ先生みたいなので、どちらを優先するべきか、悩むまでもない。
 私は立ち止まり、振り返る。そこには、担任の和泉先生が立っていた。

「氷川さん。ちょっといいかしら?」
「なんですか?」
「貴方は確か……学級委員長、よね?」
「えぇ、まぁ……」
「ちょうどよかった。今度の修学旅行の班なんだけど、ホラ、影野君が来たでしょう?それで、彼の意見等も踏まえて、班の組み直しをしてほしいなって」

 そう言って、修学旅行の班が書かれた紙が渡された。
 ちなみに、私はめぐみと同じ班だ。
 女子が少ないので、基本的には男子3人、女子2人の5人班。いくつかは、男子4人の6人班もある。
 クラス全員で31人だったので、5人班×5と6人班×1だったんだけど、影野君が増えたから、また一つ班を増やさなければならない。

「分かりました」
「良かった。それじゃあ、今日の放課後までに、私のところまで持って来てね」
「はい」

 先生の言葉に私は頷き、貰った書類を鞄の中に入れた。
 そして、一度図書館に行って小説の貸し借りを終えると、私は教室に向かった。

 教室には、すでに影野君が登校してきており、机に座って、ぼんやりと窓の外を眺めていた。

「おはよう、影野君」

 私が声を掛けると、彼はチラッとこちらを見て、「……うん」と言って、また外を見る。
 その態度に少しムッとしつつ、私は鞄の中から書類を取り出し、影野君の前に置いた。

「……それは?」
「今度、この学校で修学旅行があるの。それでね、影野君も参加しないとだから、班決めをするんだけど」

 私の言葉に、影野君は退屈そうに班員が書かれた紙を眺める。
 それから何も言わないので、私は少し焦りつつも、一通り簡単な説明をする。

「それで、僕はどうすればいいの?」
「だ、だから……仲の良い人とかいたら、一緒の班になるとか……」
「……別に、仲良い人とかいないし」

 そう言って、少しだけ目を逸らす影野君。
 あぁ、なるほど。俗に言う『ぼっち』なわけね。
 私もめぐみ達に会うまでは割とそうだったなぁ。懐かしい。

「じゃあ、よく話す人は?多少面識がある人とかなら、少しは楽しめるんじゃない?」
「よく話す……」

 彼は、そう言って顎に手を置いてしばらく考える。
 その後で、私の顔を見た。

「……?」
「単純な会話数なら、お前が一番多い」
「わ、私!?」

 私が自分を指さしながら叫ぶと、彼は小さく頷いた。
 いやいや、流石にそれはなんか……ちょっと……。

「いや、私は流石に……」
「いおなちゃあああああああああんやっほおおおおおおおおお!!!」

 断ろうかと思った時、やけにハイテンションなめぐみが突進のような凄まじい勢いで、私に抱きついてきた。
 私はなんとかめぐみを引きはがし、「どうしたの!」と聞く。

「ん?いやぁ、さっきまでひめ達と一緒に隣のクラスで話してたんだけど、いおなちゃんが全然来ないからさ〜心配してたんだよ。ところで、何してるの?」
「えっ……あぁ、ちょっと修学旅行の……」
「あっ!影野君だぁ。おはよー!」
「……あぁ……」

 うわぁ、ずっと放置してたけど、影野君すごい煩わしそう。
 眉間に皺寄ってるし……私はすぐにめぐみを遠くに追いやろうとした。

「今私たち話してるから、後で話しましょうか」
「え〜。あっ、これって修学旅行の班のプリントじゃん!あーそっか。影野君の班決めないといけないもんね」
「えぇそうよ。だから、めぐみはあっちに……」
「だったらさ、あたし達の班に来れば?」
「「は?」」

 私と影野君の声がシンクロした。
 いや、めぐみ今なんて言った。

「だから、あたし達の班に入れれば良いじゃんって。あたしも影野君と友達になりたいし、いおなちゃんだって構わないよね?」
「いや、でも私は……」
「……二人、一緒の班なの?」

 影野君の言葉に、私が弁解するより先にめぐみが「うんっ!そうだよ!」と無邪気に答える。
 なんでばらすのよ!と視線で訴えるが、華麗に無視される。
 影野君は「……へぇ」と、少しだけ楽しそうな声を出して、プリントを見る。
 私は、その間にめぐみを強引に自分の席に追いやり、影野君の席に近づき、息をつく。

「お前……えっと、氷川、だっけ?」
「え?そうだけど」
「じゃあ、先生に、『影野君は氷川さんの班に入ります』って言っといて」
「分かっ……は?」

 私が聞き返すと、彼は私をチラッと見て、すぐに窓の外に目を向けた。
 正面切って断るのも気が引けるので、私はため息をつき、影野君の名前を記入して、先生のところに持って行った。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.12 )
日時: 2017/01/08 15:04
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<シャドウ視点>

「へぇ。修学旅行……」

 修学旅行、とやらに必要なものを書いた紙(担任の和泉とかいう奴が渡してきた)を見ながら、ブラックは微かに笑いながら言う。

 ここは、ぴかりが丘にある、古いビルの一室。
 基本的に、食事、入浴、睡眠をとる必要はない。
 しかし、一般人に見られるとまずいという理由で、ブラックが見つけたものだ。
 元々、人が出入りするようなものではなかったが、すぐに壊れるほど古かったわけでもないので、このビルだけ別空間にやり、一般人から見えないようにして、記憶からも消したらしい。

「一日目に奈良、二日目に京都、三日目に大阪……。人間にしては中々活動的に動くものだな」
「……そうだな」

 返事をしながら、僕はタオルを大きな鞄に入れる。
 変身も出来るし、風呂に入らなくても汚れることはない。
 だから、本当はこうして荷物を用意する必要はないのだが、何も持って行かないと逆に怪しまれる、とブラックが言うので、仕方なく用意する。

「それにしても、よくこんな人間の道具とかをすぐに用意できたな……」
「あぁ、それくらいはね。ところで、シャドウ……」

 そう言って立ち上がると、僕の後ろに立ち、ゆっくりとしゃがみ込む。

「……分かっているんだろうね?」
「……あぁ。プリキュアの弱点を探って、隙があれば、サイアークを出して戦い方を探る、だろ?それくらい分かってる」
「そうか。それなら良いんだ」

 ブラックの言葉を聞きながら、僕は鞄のチャックをしめる。
 さて、と……あとは特にすることはないか。
 それにしても……修学旅行、ねぇ……。

『———……へぇ、九州か……———』

 その時、一瞬脳裏に、誰かの顔が浮かんでは消えた。
 一瞬浮かんだその顔に、僕は手を止める
 ……なんだ、今の……。

「ん?どうした、シャドウ」

 ブラックの言葉に、僕は我に返る。
 まぁ、今まで忘れていて、不自由していないのだから、きっといらない過去だ。
 それに、ほんの少し、昔のことを忘れただけで……———僕にはそもそも、ブラックと出会う以前の過去などないのだから。

Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.13 )
日時: 2017/01/08 19:08
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

<いおな視点>

「ら〜らら〜♪今日は〜楽しい〜修学旅行〜♪」

 バスに揺られながら、めぐみは上機嫌に歌う。
 私は隣でそれを聴きながら、腕を組んで窓の外を眺める。

「おい愛乃うるせぇぞ〜」

 どこからか聴こえた男子の野次に、めぐみは「えぇー!」と不満気な声をあげる。
 それに、野次を飛ばした男子の隣の席であり、副クラス委員長である富永君が「まぁまぁ」と宥める。
 ちなみに、以前シャドウにサイアークにされたのも、彼だ。

「愛乃さん。そんなに歌いたいなら、カラオケつける?このバス、カラオケついてるし」
「カラオケ大会?面白そう!」

 富永君の言葉に、めぐみ以外の生徒も賛成する。
 早速曲目とマイクがめぐみに渡され、彼女の機嫌は急上昇だ。

「じゃあ、虹色ハピネスで!」

 しばらく曲目を見た後で、めぐみはそう言った。
 すぐに、天井に設置されたブラウン管テレビの画面に、『虹色ハピネス』という文字が現れた。
 鈴のような音と少しの前奏と共に、めぐみは歌い始める。

「ゆ〜めと〜きぼ〜うが〜♪」

 メロディがあると変わるものなのか、めぐみの歌は思いのほかうまく、皆、しばらく聞き入っていた。
 やがて、彼女が歌い終わると、拍手が巻き起こった。
 めぐみは、それにペコペコと頭を下げながら、自然な流れで曲目とマイクを渡してきた。ん?

「めぐみ?」
「次はいおなちゃんだよね?頑張って!」
「いや、私は……」
「へぇ、氷川が歌うのか」
「おぉ。これは見物だなぁ」
「氷川さんって声が少し低くてカッコいいから、ちょっと楽しみかも」

 なんだか私の知らない場所で、どんどん後には退けない状態になっている。
 仕方がないので、ページを捲り、しばらく悩んだ末に「スターライトで」と端的に言った。
 すると、すぐに画面に『スターライト』という文字が表示され、前奏のギターが流れ始めた。
 元々、音楽とかには興味が無い。これは、たまたまテレビで何度かやっていたのを聴いた程度だ。

「じ〜ぶん〜以外し〜ん〜じ〜ら〜れな〜くて〜♪」

 たどたどしくではあったが、私は全てを歌い切った。
 すると、皆はまた拍手をしてくれて、私はホッと息をつく。

「良かったよ!いおなちゃん!すごく歌上手いね!」
「お、大袈裟よ……それで、次は誰が歌うの?」
「あっ、じゃあ俺が」

 私の前に座っていた男子が、そう言って私からマイク等を受け取り、歌い始める。
 その歌を聴きながら、私はなんとなく目を瞑った。
 特にすることもないし、奈良の見学ではクラス委員長として皆をまとめないといけない。今のうちに軽く眠って、体力を蓄えておこう。
 そう思っている内に、すぐに眠気は訪れて、意識は少しずつ、闇に落ちていく……。

「はぁーッ!歌った歌った!次は……そうだ、影野歌えよ」

 男子の言葉に私は目を開いた。
 そうだ……バスの席順は、班ごとになっているから……。前の席には、確か……。

「いや、僕は良いよ……」

 しかし、前からは、そんな冷静な声が聴こえた。

「えー歌えよ〜」
「やだよ……そういうの、興味ないし」

 ほとんどの生徒が期待する中でも、あくまで冷静に言い切る彼。
 私も、こうして断れば良かった……。

「影野君歌わないんだぁ〜。残念だなぁ」

 隣にいるめぐみは、そう言ってガックリと肩を落とした。
 私はそれを横目に見ながら、背もたれに体重を預けた。


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