二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【完結】ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜
- 日時: 2017/02/04 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
初めましてか何度目まして!ひのりです!
新年ですね!
今日からは、ハピネスチャージプリキュアの小説を書きたいと思います!
以前一度書いたことがありますが……あれは少し……黒歴史です←
今回のはそうならないようにしたいですねw
それでは、よろしくお願いします。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.14 )
- 日時: 2017/01/08 21:54
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「うわぁ〜!大きい〜!」
巨大な大仏を見上げながら、めぐみは歓声をあげた。
一日目は、奈良で、午前中に東大寺を。昼に奈良公園で弁当を食べた後、午後は法隆寺を見て、その後は京都にあるホテルまでバスで移動だ。
「大きな仏って書くから、そりゃ大きくて当然だろ。それより、あんま乗り出してると怒られるぞ〜」
学年でまとまって動くため、隣のクラスの相楽君とめぐみは、なぜか一緒に動いている。
いや、両想いなのは分かっているけどね。
とはいえ、相楽君だって、隣のクラスの委員長。私のクラスのめぐみまで気を使わせるわけにはいかない。
ここは、きちんと私が注意しないと。
「ちょっと、めぐ……」
「いおな〜。あっちでお守り買お〜」
その時、腕を掴まれたので見ると、ひめが、お守りやらおみくじが売っている場所を指さしていた。
「えっ、でも……」
「あぁ、ひめちゃんそれ良いね。いおなちゃんも、ほら、早く早く!」
否定しようとしていた時、いつの間にか後ろに来ていたゆうこに背中を押され、気付けば目の前には見本のお守りがあった。
「ちょ、ちょっと……私はめぐみを……」
「いおなだって分かってるでしょ?あの二人が両想いだってことはさ」
「そ、そりゃあ流石に……」
「だったら、邪魔せず見守るのが一番ですよっと……あっ、恋愛成就のお守りなんてどう?」
「おぉ!良いね!」
そういうものなのかなぁ……?
迷っていた時、めぐみと相楽君がこちらに歩いてくるのが見えたので、私は特に気にしないことにした。
「あれぇ?皆揃って何やってるの?」
「お守りを見ていたのよ。やっぱり、大きな寺だと、お守りの種類も豊富ね」
「へぇ〜。あたしも見たい!」
私の説明を聞いためぐみは、目を輝かせながらお守りを見る。
「やっぱり受験生だし、勉強のお守りは買っておいた方が良いかなぁ」
「それだったら、ここよりも、明日行く京都にある北野天満宮とかかなり有名よ。恋愛も、清水寺の近くにある地主神社とかね。確か、どっちも私たちの班のエキスカーションのコースに入っていたはずよ」
「そっかぁ。じゃあどうしようかなぁ」
そう言って、ジーッとお守りを見つつ、相楽君の様子を伺うめぐみ。
……あぁ、もしかして、これって……。
「相楽君はどうするの?」
なんとなくめぐみの意図に気付いた私は、相楽君に質問してみた。
彼は顎に手を当て、「そうだなぁ」と言う。
「俺は勝負に勝てるお守りとか欲しいな。今度の夏に空手の大会もあるし、中学最後の大会くらい、優勝したいからな」
「そっかぁ。じゃあ私もそうしようかな。空手だけじゃなくて、プリキュアもあるし。……めぐみも買ったら?」
私が聞くと、めぐみはパァッと顔を輝かせた。
そして、相楽君と楽しそうに話しながら、勝負のお守りのようなものを買っていった。もちろん、お揃いで。
私のプリキュアもあるし発言から、私たち三人も買うことにして、めぐみ達が買ったものとは色違いのものを、三人でお揃いにした。
「それにしても、いおなもやるねぇ。勝負祈願のお守りっていうのは少しロマンチックじゃないけど」
「どうせあの二人のことだから、どこかで別の物もお揃いにしてそうだけどねぇ……」
そう言いながらめぐみと相楽君を見ていた時、遠くに、一人で立っている影野君の姿を見つけた。
彼は、キョロキョロと辺りを見渡したりしつつも、特に何か買う様子もなく、ただ立っていた。
「いおなぁ。どうしたの?」
その時、ひめに声をかけられて、私は慌てて彼から目を逸らした。
見ると、彼女は不思議そうに首を傾げてこちらを見ていた。
「ひ、ひめ……」
「どうしたの?ボーっとしてたみたいだけど」
そう言って、私が見ていた方を見た。私も前を見ると、すでにそこに影野君の姿はなく、彼がいた場所を、人が歩いて通り過ぎて行く。
「あ、あれ……」
「いおな。さっきまで何見てたの?まさか……見えないものが見えてしまう病気……?」
「なんでそうなるのよ!」
私が怒ると、ひめはわざとらしく「ひぇ〜」と言って後ずさる。
それにしても、影野君……楽しんでるのかな、旅行……。
仲が良い人もいないみたいだし、もしかしたら、苦痛に感じてるんじゃ……。
「あっ、そろそろ集合時間だから、行かないと!」
そこで、集合時間のことを思い出し、声に出す。
とりあえず、後で彼に聞いてみよう。
そう決意しながら、私は二人を促し、集合場所に向かった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.15 )
- 日時: 2017/01/09 12:55
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
奈良公園には、鹿が何匹もいて、皆目を輝かせていた。
「うわぁ、すごいねぇ。鹿がひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ」
「めぐみ、なんで昔の数え方なのよ……。歌ったら、鹿が寄って来るかもよ?」
「そっか!よぉし!」
歌い始めためぐみを放置して、私は影野君の元に行った。
影野君は、やはり皆から離れた場所で、一人鹿を見つめていた。
「影野君」
私が声を掛けると、彼は一瞬、ピクッと体を震わせ、こちらに振り返った。
「……何」
「いや、その……修学旅行、楽しい?」
恐る恐る聞いてみると、彼は微かに、不思議そうな表情をした。
しかし、相変わらずの無表情で、「別に」と端的に答えた。
「そう……。さっきの東大寺でも、ずっと一人だったみたいだし、もしかしたら、楽しんでないんじゃないかなって思ったの」
「……」
「私はクラス委員長だし、同じ班だから、影野君には、少しでも楽しんでほしくて。だから……」
「……そんなに人の機嫌ばかり伺って……」
そこまで言うと、彼は立ち上がって、こちらを見て、「楽しい?」と聞いてくる。
「どういう……」
「僕は、別に、気にかけてくれ、と頼んだわけじゃない。それなのに、お前が僕の心配をするメリットなんて……」
ないじゃないか、と。言いながら、彼は顔を背けた。
私は、その言葉を頭の中で何度か反芻してから、ゆっくりと口を開く。
「……じゃあ心配されるようなことをしないでよ」
思っていたよりも、出た言葉は冷たかった。
しかし、私は我慢の限界だったので、さらに続ける。
「男のくせに、女の私に心配されるような行動、してんじゃないわよ!」
つい、言葉が荒くなる。
私の言葉を聞いた彼は、驚いた様子で私の目を見る。
「メリット?そんなもの知らないわ!私は私がしたいことをするの。それの何が悪いの?貴方にそれを咎められるつもりはない!私の生き方に口を出される筋合いはない!」
「それは……」
そこで、やっと我に返る。
しまった。少し怒ったからって、言いすぎた。
顔を上げると、彼は眉間に皺をよせ、少し不機嫌そうな表情で私を見ていた。
「あ、ご、ごめん……なさい……。言い過ぎた……」
昔から、私は何一つ成長なんてしていない。
自分でも何がしたいのか分からなくなって、行き場のない怒りをぶつけるだけになってしまう。
それでも、その行為を止めることなんてできなくて、口は暴言を吐いてしまう。いつも、私は誰かを傷つける。
「……いや、僕にだって、悪かったところはあるし……いいよ」
彼は、そう言うと静かに立ち上がり、どこかに歩いて行く。
私はしばらくそれを眺めた後で、ため息をついた。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.16 )
- 日時: 2017/01/09 17:11
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<シャドウ視点>
「クソッ!」
僕は吐き捨て、近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばした。
先ほどのキュアフォーチュンの言葉が、未だに頭の中に蘇る。
『男のくせに、女の私に心配されるような行動、してんじゃないわよ!』
「人間の分際で……ッ!」
そこまで呟いた時、気付いたら、足元に転がっているゴミ箱が粉々になっていることに気付いた。
人間に変身している間はこんな力出ないはずなのに、と思って、自分の姿を見ると、いつの間にか変身を無意識に解いていたようで、普段のシャドウとしての姿が出ていた。
幸い、周りに人はいない。鹿は数匹いるが。
「……鏡に映る未来を……」
僕は右手をだして、親指と中指を合わせる。
「……最悪にしろ……」
パチンッ、と、指を鳴らすと、一斉に周りにいた鹿が全て鏡に閉じ込められ、その絶望から、やっと一体のサイアークを作り出す。
周りは闇に包まれ、何も見えなくなる。
「……生意気な口を叩いたことを、後悔させてやる……」
−−−
<いおな視点>
「あっ!せんべい食べたよ!」
鹿に鹿せんべいをあげるめぐみを見ながら、私は先ほどのことを後悔していた。
流石に言い過ぎた。とはいえ、彼は今どこにいるか分からないし、謝ることもできない……。
その時、周りが真っ暗になったのが分かった。
「これは……」
「もしかして、シャドウが……」
めぐみの言葉に、私はすぐに他の生徒達に声を掛ける。
「危ないからできるだけ一つに固まって!……めぐみは、ひめとゆうこを呼んできて」
「わ、分かったっ」
小声で頼むとめぐみは頷き、走っていく音を聴いた。
その時、背後から何か風を切る音がしたので、私は咄嗟に横に転がった。
すると、地面に何かが当たる音が聴こえ、同時に、舌打ちが聴こえた。
私はフォーチュンピアノを取り出し、変身する。
「夜空に煌く希望の星!キュアフォーチュン!」
久しぶりにセリフを言うと、後ろからワァッと歓声が上がった。
あっ、つい変身したけど、まさか見られ……。
「ぴかりが丘最強のキュアフォーチュンじゃねぇか!」
「やべぇ、本物初めて見た!でもなんで奈良に……」
「どうでもいいじゃん!頑張れー!フォーチュン!」
……暗闇があってよかった。
そう安心しつつ、私はフォーチュンタンバリンを取り出し、技を放つ。
「フォーチュン!スターダストライト!」
叫びながら、タンバリンを叩くと、一瞬視界が瞬き、なんとか目がまた暗闇に慣れ始めると、サイアークの体を淡い紫の光が包んでいた。
私は、それに蹴りを入れ、さらに拳を打ち込む。
すると、サイアークの体は吹き飛んだ。
「……やっぱり、鹿から作ったサイアークじゃ力は足りないか」
その時、一瞬、鹿の体を黒いものが包んだ。
直後、その黒いものは弾け、世界は明るくなる。
「なっ……?」
「最強なんだって?キュアフォーチュン」
聴こえてきた声に、私は振り返る。
「だったら、僕と勝負してくれよ」
そこには、瞳孔の開いた目で笑う、シャドウの姿があった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.17 )
- 日時: 2017/01/09 20:58
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「っ……」
シャドウの姿に、私はタンバリンを構える。
彼は、どこか歪な笑みを浮かべ、ユラユラと私に近づいてくる。
彼の実力は未知数。私に、勝てるかどうか……。
そう思っていた時、突然、彼の姿が膨張した。
「ッ!?」
違う。彼が私に急接近してきたんだ。
そう気付くのと同時に、腹を蹴り飛ばされた。
「カハッ……」
口から息が零れ、地面を何度も跳ねた。
グッ……みぞおちに入ったな……今の攻撃……。
「キュアフォーチュンさん!」
その時、ずっと見ていた生徒たちの声がした。
見ると、かなり心配そうな様子で、こちらを見ていた。
「……へぇ……」
すると、シャドウは彼等の方をチラッと見て、微かに口角をピクリと動かした。
まさか……———ッ!
そう思った時、彼が一気に生徒たちの方に向かって駆けだしたのが見えた。
「ダメぇッ!」
私は叫び、彼の体を突き飛ばし、そのまま彼諸共池に落下した。
プリキュアのコスチュームはビショビショに濡れ、少し臭くなった気もする。
でも、それを気にせず私は立ち上がり、真っ直ぐシャドウを見下ろす。
「……ハハッ、おもしれぇ……」
彼はそう呟くと、ニヤリと笑い、私を見た。
「やっぱり強い奴と戦うのは楽しいなぁ!」
そう言うと、いきなり拳を打ち込んできた。
咄嗟に腕で庇うが、その腕に拳がめり込み、鈍い痛みが走る。
「クッ……」
「ぴかりが丘最強なんだろう!?だったらもっと楽しませてくれよ!」
そう言うと、さらに2,3度も拳のラッシュを喰らわせて来る。
私はそれを全て受け止め、彼の体に回し蹴りを放った。しかし、それも受け止められる。
「そんなに強い人と戦いたいの?」
「あぁ、そうさ!」
そう言うと、私の足を掴んだまま投げ飛ばそうとする。
私はすぐに彼の体を掴んで空中に体を放り、彼の顔面に狙いを定め、両足で蹴りを放とうとした。
しかし、彼は首を横にずらすだけでそれをかわし、私の手を掴んで地面に打ち付け、そのまま組み伏せる。
何かの関節技を使っていることは分かるが、技の名前までは把握できない。
「弱い奴と戦ってもつまらない。弱いオモチャはすぐに壊れる。だから、強い奴と戦いたいんだ」
「つッ……貴方はなんで、そんなに強い人と戦いたいの?なんで、弱い人が嫌いなの?」
「……は?」
一瞬、呆けたような声が聴こえた時、微かに彼の力が弱まった隙を見計らって、私は彼の関節技から逃げ、池の中を転がった。
腰ほどまである池の中、私と彼は見つめ合う。
「そんなに弱い人を嫌うのには、何か……理由があるんじゃないの?」
「そ、んな……僕は……」
彼は、何やら狼狽した様子で頭に手を当てる。
「フォーチュン!」
その時、すでに変身したラブリー達が、こちらに飛んでくるのが見えた。
シャドウはそれを見た瞬間、一度私を忌々しそうに見た後で、どこかに消えていった。
「フォーチュン!大丈夫?」
「え、えぇ……私は平気」
「ごめんね、遅くなって。それにしても、かなり慌てた様子で消えたけど、どうしたのかしら?」
ハニーの言葉に、私は「さぁ……」と答える。
本当に、唐突に現れて、唐突に消えていったし……。
あと、なんだか少し……苦しそうだった。
「彼にも何か……あるのかしらね」
私は、小さく呟いた。
その声は、誰にも届かずに、消えていった。
- Re: ハピネスチャージプリキュア!〜最悪バッドな始まりを〜 ( No.18 )
- 日時: 2017/01/10 20:40
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<シャドウ視点>
「ハァ……ハァ……」
木に凭れ掛かって、僕は息を整える。
なんだろう、この感じ。
キュアフォーチュンの言葉を聞いた瞬間、頭が痛くなって、それで……。
『貴方はなんで、そんなに強い人と戦いたいの?なんで、弱い人が嫌いなの?』
「知るかよ……そんなこと……」
歯ぎしりをして、地面に拳を打ち付けた時だった。
「負けたようだねぇ……シャドウ」
その言葉に、僕は顔を上げた。
そして、一気に背筋を寒気が走る。
「……ブラック……」
「敵前逃亡、ねぇ……。まぁ、彼女達に浄化されるだけマシか」
彼は、そう言うとどこかで買った鹿せんべいの袋を開け、近くに来ていた鹿にあげた。
僕はその様子を眺め、また俯いた。
「……なぁ、ブラック……」
「なんだ?」
「……僕ってさぁ、アンタと出会う前、何があったんだっけ……」
僕の言葉に、ブラックの目が大きく見開かれたのが分かった。
コイツは、何かを隠している?
「おい、何か……」
言及しようとした瞬間、目の前に、手が差し出されたのが分かった。
直後、脳の奥が痺れるような感覚があって、僕はその場に膝をつく。
「ぁ……ぁぁ……」
「……今まで、そんなこと気にしていなかったのに……いや、プリキュアのせいか……悪い芽は、早く摘まないとな……」
ブラックの声が、遠く感じる。僕はそれを聴きながら、ゆっくりと意識が闇に沈んでいくのを感じた。
「今はおやすみ、シャドウ……。私の大事な……———」
その言葉を聞きながら、僕の意識は完全に途絶えた。
−−−
「……ッ!」
目を覚ますと、目の前には、鹿の顔があった。
僕は、それを慌てて振り払い、フラフラと立ち上がる。
えっと、なんでこんなところで……あぁ、そうだ。僕は……キュアフォーチュンと戦っていて、関節技をかけたけどかわされて、浄化されそうになったから、逃げたんだ……。その後で、倒れて……。
あの戦闘の後の記憶が少し曖昧だが、まぁ……気にする必要はないだろう。それよりも……。
「なんでちゃんと変身してんだ?」
いつの間にか、自分の格好は、影野愁の姿になっていた。
目が覚めてから、無意識に変身した?いや、でも……。
そう考えていた時、手に、鹿がすり寄ってきた。
僕は、鹿の頭を撫でながら、なんとなく考える。
「……キュアフォーチュンって、意外と……柔らかかったな……」
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