二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
日時: 2017/12/01 18:59
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。

あらすじはこちら

ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。


この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。

次回更新予定
・霊夢編

フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
>>06 >>07 >>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22
フェイズ2・幻想を越えた出会い
>>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>53 >>56
おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.38 )
日時: 2017/08/19 20:48
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)



夏レミリア偏


1・お嬢様のバカンス



紅魔館

『みんな!どこにいるの!返事して!』

紅魔館の屋根の上、主のレミリアはしきりに声を上げていた。空は雲に覆われており、地面は水の下に沈んでいる。流水に弱い主を守るためにメイドの咲夜が傘をさしている。
数分前、突如として霧の湖の水位が急上昇し洪水を始めたのだ。更に雲が集まり雨が降った。近くにある紅魔館もその被害を受け浸水する。咲夜の指導のもと水を外に出す作業をしたがそれでも追いつかず屋根へ避難することになった。ある程度の食料は運び出したがその食料も底を尽きようとしていた。さらに大きな波が屋根にあがった人々を押し流す。大きな流れに抗えず多くの人々が流されてしまい、残ったのはレミリア、咲夜、パチュリー、小悪魔、美鈴だけである。
パチュリーと小悪魔が魔法障壁で波を打ち消していたが24時間休みなくかけ続けた上飲まず食わずの結果魔力を使い果たし流されてしまったのだ。
美鈴においては食料を探す為に雨の中泳いでいった。レミリアと咲夜は必死に止めたが次第に痩せていく咲夜を放ってはおけず飛び込んでしまった。その後美鈴はまだ帰って来ていない。

レミリア「美鈴、帰ってこないわね………」
咲夜「美鈴のことです、きっとグルメなお嬢様の為に食材を選んでいるんですわ。」
レミリア「……そうね……………」
咲夜「…………お嬢様、美鈴を信じてあげて下さい。いつも寝ていてろくに門番の役目を果たしたことはありませんが………それでも、美鈴は立派な紅魔館の一員なんですから。」
レミリア「わかったわ。………にしてもここに避難してもう1ヶ月………私は吸血鬼だからまだ平気だけど……咲夜は大丈夫?」
咲夜「私は紅魔館のメイド長ですよ?これくらいどうってことありませんよ。」

とは言っても咲夜の体はさらに細くなり目は若干霞んでいる。傘を持っている手も震えている。しかし笑顔は最後まで絶やさない。最期まで主を支える誇り高きメイドになろうとしているのだろう。押し寄せる波に流されぬようしっかりと抱く咲夜の体はまだ温かく、レミリアの最後の拠り所となっていた。従者がこんなにも体を張っているのになにもできない自分を悔やんでいた。
また大きな波が来る。それもかなり大きな波だ。咲夜はレミリアを抱いて波から身を守る。ものすごい水圧に負けず咲夜はずっと耐え続ける。レミリアは震える体を押さえながら咲夜の体にしがみついていた。そしてレミリアは目を開ける。咲夜の笑顔がそこにある。咲夜はレミリアに微笑んだあと力なくレミリアにもたれかかった。レミリアがいくら声をかけても体を揺らしても咲夜が目覚めることは無かった。拠り所としていた温かさはもう無くなってしまったのだ。

『グオオオオォォォォ…………………』

目の前の水面が渦巻き、そこから大きな竜が現れた。怒りに包まれた赤いふたつの瞳はしっかりとレミリアを見据えている。雨に当たりすぎたのか槍も鎖も蝙蝠も出せない。竜はそのままレミリアを飲み込まんと襲いかかる。

レミリア「あぁ………これが私の最期…………咲夜………」












レミリア「……………はっ!!!」
咲夜「お嬢様……大丈夫ですか?酷くうなされていましたが……」
レミリア「咲夜………もう天国についたの……?」
メタナイト「レミリア殿、しっかりするのだ。ここは天国ではない。」
カービィ「ぽよぽよ!」

ここは紅魔館の庭。復興の手伝いと避暑をかねて戻ってきたのである。幻想郷でも夏は暑い。その上キカイ化により鋼鉄化した道路や建物は太陽熱を反射するためさらに暑い。日光に弱いレミリアや地面のすぐそばにいるカービィは夏バテになってしまい急遽ここにやってきたのだ。カービィは凍った果物を食べてすぐに回復したがレミリアは悪夢の影響もあってすぐには回復しなかった。
レミリア達は事実上バカンスを楽しむということになっている。日差しがギンギンに差す霧の湖のほとり、パラソルの下ではメタナイトとパチュリー、レミリアが本を読んでいた。メタナイトに至ってはどんなに暑くても仮面は『脱がない』。湖ではカービィと美鈴、小悪魔が水をかけあって遊んでいる。咲夜はスイカを人数分に切り分けてやってきた。

咲夜「なるほど、そんな夢を………」
パチュリー「なんであろうと夢であることに変わりはないわ。それに霧の湖に竜なんていなかったはずだけど………」
美鈴「一回潜って探してみますか?暑いしちょうどいいかもしれませんよ。」
咲夜「そうね……それでお嬢様が安心するのなら。」

こうしてカービィ、メタナイト、美鈴、咲夜による湖底探索が始まった。しかし竜に関するものや遺跡などは見つからず、多少のゴミが見つかっただけだった。

レミリア「やっぱり夢は夢……ありがとうみんな。これでスッキリできたわ!さーて、思いっきり遊ぶわよー!!」
咲夜「……やっといつものお嬢様に戻ったわ。」
美鈴「お嬢様に暗い顔は似合いませんからねえ。」



こうしてレミリアの波乱万丈な夏休みが始まった。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.39 )
日時: 2017/08/22 19:51
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




2・紅魔館の休日



レミリア「夏休みといったらスイカ割りね!咲夜、スイカを用意してちょうだい。」
咲夜「スイカなら先ほど切ってお出ししましたが?」
レミリア「わかってないわね咲夜は。スイカ割りはスイカ割りなりの良さがあるのよ。不均等に割れるから得するし、何より割るまでの過程が楽しいんだから。とにかくはやく用意なさい!なるべく大きいの!」
咲夜「は、はい…………」

レミリアの言った通り咲夜は大きなスイカを用意した。カービィよりも少し大きな見事なスイカだ。レミリアは目隠しをして棒を持ち、その場をグルグルと回る。他のメンバーはレミリアに指示を出しスイカを割らせるのだ。

美鈴「まっすぐですよ!」
パチュリー「左に行きなさい。」
メタナイト「行き過ぎている。半歩右だ。」
カービィ「ぽよ、ぽーよ!!」
レミリア「何言ってるのかわからないけど、えいっ!!」

パカッと音を立ててスイカが割れた。一番大きなスイカのかけらをレミリアが取り、あとは皆で分けて食べる。スイカ割りは紅魔館のスイカが無くなるまで続いた。









ルナサ「楽しそうね、みんな。」
メルラン「あっスイカ割りー?懐かしいわー!」
リリカ「今日もお手伝いに来たよ!」
レミリア「あら、珍しいお客さんね。」

昼前にプリズムリバー姉妹がやってきた。妖夢の助けにより幻想郷のキカイ化のことを知った姉妹は幻想郷を元に戻すためにひとまず紅魔館の復興の手伝いをしていたのだ。手伝いが手伝いであるために、いつもの服ではなく作業着である。

美鈴「お、皆さんもどうですか?楽しいですよ!」
ルナサ「え……いいの……?」
レミリア「こういうのは人が多い方がいいのよ。さ、そんな服じゃ暑苦しくて仕方ないわ。さっさと着替えてきなさいな。」
パチュリー「ま、いつも手伝ってるお礼ね。」
メルラン「わー!このピンクだまかわいー!ぽよぽよー!ぷにぷにー!」
リリカ「ほらほらお姉ちゃん!行くよ!」

カービィの弾力が気に入ったのかいつまでも触っているメルランを引き剥がし、姉妹達は着替えに行った。しばらくすると大きな袋を抱えながら戻ってきた。中にはたくさんの野菜や肉が入っている。

ルナサ「お昼まだなら、バーベキューやらない?」
レミリア「あら、ちょうどやるとこだったの。」
咲夜「あれほどスイカを食べていらしたではありませんか。」
レミリア「あんなの食べたうちに入らないわ!あなたももっと食べたいでしょう、カービィ?」
カービィ「ぽよ!」
メタナイト「では食材を切り分けよう、厨房を借りるぞ。」
レミリア「咲夜もついていきなさい。2人でやれば早くできるでしょ。」
咲夜「はっ……」

山ほどある食材を手際よく切っていくメタナイトと咲夜。美鈴が釣った魚も含めて廃洋館の段ボールにあったバーベキューセットで焼いていく。モクモクと大きな煙の柱が青い空に向かって延びていた。

メルラン「美味しいわー!やっぱり外で食べるご飯っていいわねー。」
メタナイト「まだたくさんあるからどんどん食べるといい。」
レミリア「あんまりがっついてると立派なレディになれないわよ。」
パチュリー「カービィに言ってるのレミィ?」
ルナサ「焼くの変わろうか?ずっと食べてないんでしょ?」
咲夜「お客様にさせるわけにはいけませんわ。」

主にカービィの活躍により山のようにあった食材は無くなった。片づけをやる最中、ふとレミリアは悪夢を思い出した。湖の水面は静かで底が見えるほど澄んでいる。とても洪水なんて起きる雰囲気は無かった。過ぎたことは考えないほうがいいわね、とレミリアはまた片づけに勤しんだ。
そして太陽が真上に座し、気温がピークに達する頃にはレミリアはパラソルの中でじっとしていた。吸血鬼なので日光には弱いのだという。

レミリア「にしても暑いわね………パラソルだけじゃ心もとないわ……こういう時にはあの氷の妖精が恋しくなるわね………」
カービィ「………ぼよ!」

何か思い出したのかカービィはロボボアーマーに搭乗し、美鈴が割っていた氷をスキャンした。するとピンク色だったロボボアーマーが水色になり、アームの部分がファンになっている。『アイスモード』というらしい。

レミリア「あら、ちょうどいい扇風機じゃない。」
カービィ「スノーマンブリザード!!」
レミリア「えっ……?ちょっ……………」

ファンから送られてきた風は吹雪を思わせるほど寒く強かった。パラソルは吹き飛び水面は揺れ所々凍っている。一番近くで風を受けたレミリアはガチガチに凍ってしまった。

レミリア「す……涼しすぎるわよっ!!」
パチュリー「本が……凍ったわ……」
咲夜「今、毛布を用意しますね……美鈴、手伝ってちょうだい。」
美鈴「は……はひっ…………」
カービィ「ぽよ………」
リリカ「すごいね、大自然を操るエネルギッシュな感じ!作曲に使えるかも。」
メルラン「あーいいかもー。」
ルナサ「……………はっくしゅん。」

その時、紅魔館一帯は季節外れの吹雪に包まれた。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.40 )
日時: 2017/08/24 23:28
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)



3・夢想の光



霧の湖・夜

レミリア「花火よ花火!咲夜ー!」
咲夜「落ち着いて下さいお嬢様、花火は逃げませんので……今バケツを用意します。」
ルナサ「線香花火って落ち着くよね。」
メルラン「姉さんが言う落ち着くって鬱ってことだよね……」
パチュリー「私は図書館に寄ってから来るわ。くれぐれも本に近づけたりしないでね……ただでさえ古書で燃えやすいんだから………」

花火セット一式を用意し、早速火をつける。レミリアとメルラン、カービィは虹色の火花を放つ手持ち花火を持ってはしゃぎまわり、ねずみ花火を追いかけたりしている。ルナサはひとり静かに線香花火に勤しみ、メタナイトと咲夜は吹き出し花火をしていた。そして小悪魔とともにやってきたパチュリーは花火と月の光を明かりとして本を読み始めた。

小悪魔「竜に関する魔術書をたくさん集めましたけど……どうしたんですか?」
パチュリー「レミィの夢に出てきた洪水をもたらす竜について、なにかわかることがあればと思ったのよ。何もなければいいんだけど時空を歪めてまで侵略してきた輩がいるし……不思議じゃないわ。」
小悪魔「霧の湖の参考文献も調べてますけど……やはり出てきませんね。」
パチュリー「……私の杞憂だったようね。」
レミリア「パチェー!こあー!打ち上げ花火やるわよー!」
パチュリー「はいはい、今行くわよ。」

咲夜とメタナイトが火をつける。光の玉が空へ舞い上がり色とりどりの花となって空を彩る。その光に照らされたレミリアの横顔は紅魔館の主たるオーラとはまた違った雰囲気に包まれていた。

レミリア「いい一日を過ごせたわ。」
リリカ「きれいだねー!」
メルラン「そうねー、なかなか見られないからねー。」
ルナサ「ずっと………ずっと、あの輝きが残っていればいいのに。」
咲夜「散るもまた、花の喜び……という言葉を聞いたことがあります。」
メタナイト「それもまた、花火の醍醐味というもの。」
カービィ「…………………」
美鈴「…………………」
ルナサ「寝てる……」
レミリア「もう遅いし、ここまでにしましょ。まだまだ紅魔館は使えないし、当分テント生活ねー。」









その夜

レミリア「んー………うぅ………?」

レミリアは不思議な気配を感じてむくりと起き、テントを出た。辺りは寝静まっており風が静かに吹いている。レミリアが湖に近づいていくとその中心地が光っていることに気がついた。月の光が反射しているのではない、空から何か光るものが落ちてきたのだ。

レミリア「な、何なの………?キャッ!?」

取ろうとした光の玉は湖に沈んでしまった。レミリアが落ちた水面を覗こうとすると、突然湖が光り始めた。湖の光はレミリアを包み込み、その強さを増していく。耐えかねたレミリアはそのまま気絶してしまった。





咲夜「…………お嬢様。」
レミリア「ん………咲夜、もう朝ぁ?」
咲夜「驚きましたよ……いないと思ったら外に倒れられていたんです。それほどまでに寝相が悪かったのですか?」
レミリア「違うわよ!えっと………」
リリカ「おはよー……どしたの?」

皆が起きだした頃、レミリアが夜見たことを説明した。

メタナイト「空から光が落ちてきた?」
レミリア「ええ、覗いてたら光が強くなって………」
美鈴「今度ばっかりは夢ではなさそうですね……調べてみる必要がありそうです。」
咲夜「そうね。」

レミリアが見た光の玉を探しに湖底探索をする一行。そして戻ってきたカービィが持っていたのは謎のタマゴだった。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.41 )
日時: 2017/08/26 20:54
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




4・無垢なる暴君



不思議なタマゴは星空から落ちた星のように儚く光っている。カービィと同じくらいの大きさのタマゴだ。

レミリア「タマゴが、光ってる………?」
パチュリー「なんでタマゴがこんなところに……もしかして、竜の?」
メタナイト「まずいな………それが本当なら親が黙ってないだろう。」
美鈴「じゃあ……幻想郷が湖に沈むってことですか!?」
咲夜「まだそうと決まったわけじゃないわ。ひとまず孵してみましょうか。」
メルラン「え……?食べないの……?」
ルナサ「光ってるタマゴなんて食べたらお腹壊すわよ。」






しかし、そこにある兵士がやってきた。

兵士「お前らが紅魔館を奪還した先住民どもか!警告する、そのタマゴは危険だ!地面に置いてすぐそこから離れなさい!」
レミリア「いきなり何言ってるのよ!」
兵士「そのタマゴはドラゴンのタマゴだ、我々が特殊改造を施して造ったものだ。お前らに勝てる相手ではない!さぁ、それを渡せ!でなければお前らの世界は海に沈むぞ!」
咲夜「お嬢様、いかがいたしましょう?」
レミリア「目上の人に対する言い方ってものを知らないようね……それにさんざんキカイ化しておいてその上脅迫?……愚かしいにもほどがあるわ!」
兵士「警告はしたぞ……では見せてやろう!プロダクトNo.O-3425『タイダリアス』!」

兵士の声と共にタマゴの輝きが増す。そしてその殻を破り天を突き破るほどの黒い竜が姿を表した。竜の荒々しさや神々しさ、人工物の無骨さや飾り気の無さを組み合わせた人造竜の放つ威圧感は今までに感じたことがないものだった。兵士はリモコンを使い竜を従えようとしているようだ。

兵士「さぁ、反逆者を食らうがいい!」

しかし、竜は生みの親である兵士を食べようとしている。

兵士「お、おいやめろ……よせ………よせ!ぎゃああぁぁぁ!!」
咲夜「うそ…………」
メタナイト「おそらく無理矢理孵化させた為に理性がうまく働いていないのだろう。あの竜はまだ赤子同然だ、善も悪もわからない。だが自分が竜であり強大な存在であることを学んだようだ。これほど厄介な相手はないぞ……」
美鈴「まさか伝説の竜に会えるとは………感激です!」
パチュリー「あなた幻想郷が沈んだあとでも同じ事が言える?」
リリカ「わ、私達戦えないから隠れてるね……」
ルナサ「力が無くてごめんなさい……」
メルラン「みんな、がんばって!」

タイダリアスは湖に飛び込んだ。すると渦巻きを作りながら湖の水位が上昇していく。どうやらタイダリアスは水を操る程度の能力を持っているようだ。

レミリア「やるわよみんな!幻想郷が沈む前に!」
全員「「おー!!」」



タイダリアスは水しぶきをあげ飛びだしレミリアを飲み込まんと突進してきた。難なくかわしグングニルを突き刺したが鎧のような鱗に弾かれてしまった。長い胴体を翻し突進攻撃を繰り返すも全く当たらない。すると今度は湖の水で大きな水泡と水槍を作った。水泡はゆっくりと、水槍は一直線に進んでくる。水泡の中は渦を巻いていて泳いで出ることはできず、水槍は水でできているといえど地面を軽く穿つ威力をもつ。

メタナイト「あの泡と槍が厄介だ………カービィ!アイスモードで凍らせるんだ!」
カービィ「ぽよ!」
美鈴「となると相応の氷塊ができるはず………ここは私の出番ですね!」

ロボボアーマーのファンが冷たい風を送り出すと、水泡と水槍は凍りつき地面に落ちてきた。するとできた氷の塊を美鈴が思いっきり蹴り返しタイダリアスの顔に当てた。タイダリアスは一瞬怯んだがまだ倒れはしなかった。むしろ体に赤い線が通るほど怒り狂い攻撃が激化する。
怒り狂ったタイダリアスは水のブレスを吐き辺りを凪ぎ払う。そして湖の水が渦を巻き高く舞い上がり、増やし、大きな波を作り上げた。それは幻想郷の全てを押し流すには申し分ない水量だった。

パチュリー「まずいわね………こあ、カービィ!全力で凍らせるわよ!」
小悪魔「わかりました!」
カービィ「ぽよぽよ!」
パチュリー「合体魔法……グレイシャーストーム!!」

カービィの冷気をパチュリーの風魔法で増大させ、小悪魔の補助的魔力でさらに効果は増していく。全ての生を殺す氷河期をもたらすかのごとく荒れ狂う吹雪の嵐は波が押し通る前に凍らせた。レミリア達はなんとかこらえたがタイダリアスは浮いていた上に体も大きい。冷気の嵐にもまれ疲弊しきっていた。湖も凍りつき水泡も水槍も作れない。そんなことは知ったことかと何度も突進やブレスを繰り返す。親もおらず何もわからない、兵器として造られた命を持って暴れ狂うその姿は哀れな運命に抗っているようにも見えた。

レミリア「哀れな子ね…………せめて安らかに逝けるようにしてあげるわ。」
メタナイト「竜は追い詰められた時こそ本領を発揮する。気をつけなければ。」
咲夜「確かに……何か様子が変ですわ。」

タイダリアスの赤い線が白くなっていき、狂暴さが更に増していく。強烈な寒さに耐える為か体中のエネルギーをフル回転しているようだ。そしてすぐに無くなるエネルギーを確保する為にレミリア達を食べようとしている。

美鈴「つまり、耐えしのげばそのうちエネルギーが無くなって………」
咲夜「死ぬ……ということですね。」
メタナイト「ああ……だがこれは至難の業だ。なにしろ向こうは生死をかけた戦いだ、そう簡単に耐えさせてはくれないだろう。」
レミリア「それでもやらなきゃならないのよ、この世界の為にも!」


命をかけた竜は全ての存在を凌駕する。しかしやらなければならないのだ、脆く儚いこの世界を守る為に。


Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.42 )
日時: 2017/09/01 09:04
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)




5・天に抗う者



グレイシャーストームの急速な冷気によりエネルギーをかなり消費したタイダリアスはレミリア達を食べようとしている。人が多い所へ行かないのはこの地をよく知らないことと一刻も早くエネルギーを獲たいことの表れか。攻撃も激しくなる一方でありレミリア達は必死でいつか来る滅びの時を待っていた。

美鈴「ひゃー!!どんどん激しくなってきますよ!!」
咲夜「しっかりなさい!耐えろっっつったのはあんたでしょ!」
メタナイト「また来るぞ!構えろ!」
レミリア「全く……とんでもない子ね。」

タイダリアスは長い体躯を生かし空中を凪ぎ払い体をしならせ襲いかかる。爪や牙を使っての攻撃や水泡と水槍の攻撃も激しくなっていく。水での攻撃は凍らせればなんとかなるが体を使った攻撃はどうしても避けるしか対処できない。なにしろ鱗が固くほとばしる白いエネルギーで覆われておりとてもじゃないが受けきれるものではないのだ。しかし確実にタイダリアスの生命力は落ちてきているのだが、どうしようもないときに隠された力を解放するのが竜なのだ。

美鈴「とてつもない程の気があの竜に向かってます、用心してください!」
メタナイト「空気が変わった………やつは次で完全に仕留める気だ。」
パチュリー「私の障壁や結界でなんとかなるかしら……」
咲夜「来ます!」

タイダリアスは目が眩むほどの閃光を放った。超新星爆発を思わせるほどの光と熱量を持ったブレスがレミリア達に向かい大地を抉る。

パチュリー「エメラルドメガロポリス!!ぐっ……押し戻されるわ、カービィ!私を支えなさい!!」
カービィ「ぽよよ!!」
レミリア「頑張ってパチェ!今はあなただけが頼りよ!」

ビルのような大きさのエメラルドを召喚しブレスの衝撃を抑えるもあまりの威力に押し戻されるパチュリー。そこにロボボアーマーの支えが加わり安定した守りを得た。エメラルドが押し破られたらまた次のエメラルドを呼び出す、威力と守りの真っ向勝負が続く。ブレスがだんだん弱くなってきているがパチュリーの魔力も底をつきそうだ。どちらかが力尽きるまでのデスレースの勝者は決まった。



『グオオオオオォォォォォォォォ…………………』



生命力を全て使い果たし、タイダリアスは力尽きた。それと同時にパチュリーも倒れこむ。

レミリア「パチェ、大丈夫!?」
美鈴「大丈夫ですか!?」
パチュリー「なんとかね………うぅ……グレイシャーストームといいエメラルドメガロポリスといい今日は魔力を使いすぎたわ…………」
メタナイト「どうやらエネルギーを全て使い果たしたようだな。」
咲夜「終わった……ようですわ。」

タイダリアスとの激闘の跡は凄まじいものだった。抉れた大地、凍った波、改めてタイダリアスの脅威を目の当たりにしたのである。そして紅魔館の瓦礫の下から三姉妹がひょっこりと顔を出した。どうやらブレスの予兆に気づき急いで穴を掘って隠れたらしい。

ルナサ「………終わっ………た?終わったの?」
レミリア「ええ、終わったわよ。」
メルラン「やったー!お疲れ様ー!!」
リリカ「うわ………すごいね………」
咲夜「避けるのに必死であなた達のことすっかり忘れていましたが……まさか穴を掘って生き延びるとは。」
メルラン「力仕事はすっかり慣れちゃった!これからはリフォームも仕事にいれちゃおうかしら。」
レミリア「そのうち無人島とか開拓したりしてね。」







その日の翌日、グレイシャーストームの冷気の影響か、なんと雪が降ってきたのだ。昨日までは薄着だった一同は冬服を引っ張り出して修復にあたる。やかんひとつだけでもなかなか温かい。

レミリア「まさか雪が降るなんて……今度は冬休みね。」
パチュリー「もう十分休んだでしょ?そろそろ出発すればいいのに。」
美鈴「そうですよ、ルナサさん達もいますしここは私達に任せて安心して世界を救って下さい!」
レミリア「………それもそうね、じゃあとっとと準備するわよ!」
リリカ「お気をつけてー!」


波瀾万丈の夏休み、十二分に羽を伸ばしきったレミリア達は再び幻想郷を救う旅に出発した。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



この掲示板は過去ログ化されています。