二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
- 日時: 2017/12/01 18:59
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。
あらすじはこちら
ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。
この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。
次回更新予定
・霊夢編
フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
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フェイズ2・幻想を越えた出会い
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おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42
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- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.13 )
- 日時: 2017/04/28 10:46
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: kXLxxwrM)
11・あてのない旅へ
永遠亭
迷いの竹林の奥深く、月からやってきた蓬莱人が隠れすむための館があった。そこの住人は朝から大忙し、薬の原料の薬草探しや人里に降りて訪問販売などクタクタな毎日を過ごしていた。
その主、輝夜は窓の外の風景を眺めながら永琳と話をしていた。
輝夜「なんだか外のほうが騒がしいわね。どうしたのかしら?」
永琳「今鈴仙達に確認させています。直にわかるかと。」
騒音を気にしつつも2人の帰りを待っていると、大慌てで帰って来た。息を切らし途切れ途切れで見たことをつげる。
鈴仙「師匠、大変です………し、侵略者です!」
てゐ「ば、化物が攻めてくるよー!」
鈴仙「なるほど、うるさかったのはこのためね。」
永遠亭に向かう敵の波はどんどん大きくなり竹を根こそぎ倒していく。怒濤の猛進で歩む敵の前に2つの影が現れた。先陣を切るダークマインドが足を止める。
影狼「ちょっと、なんなのよあんた達!こんなに竹林を踏み荒らして!」
妹紅「見かけない顔だな……どこから来た?」
マインド「なに………ちょっと持ってかれたものを返してもらいに来ただけだ。ったく、こんな奥深くに建てやがって……最短ルートを作ったほうがはやいと思ってな。」
妹紅「もしかして輝夜に用があるのか?なら帰ったほうがいい。どうせ取り合っちゃくれないさ。人違いじゃないか?」
マインド「そんなこと、本人に会えばわかることだ。さあ通せ、邪魔立てするなら女といえど容赦はしない。」
妹紅「ふーん……私を殺そうっての?面白い、輝夜に会う前に燃やし尽くしてやろうか。」
炎を出し臨戦状態になる妹紅、しかしダークマインドは恐れもせず妹紅の背後に鏡を呼び寄せた。妹紅は気づかず鏡に取り込まれてしまう。
妹紅「なっ………おい、出せ!」
マインド「無駄だ、そこは永久不変の鏡の牢獄。お前がそこで何をしようと出ることは出来ない。」
影狼「あんた……何者なの?」
マインド「悪心を操る者……ダークマインドだ。覚えておくといい。」
するとダークマインドは鏡で影狼を吹き飛ばし、歩みを進める。そしてとうとう永遠亭の前に来てしまった。外では鈴仙達が今まさにここを離れようとしていたのだった。
マインド「間に合ったようだな。さて不死身の姫様よ、ディメンションミラーを返してもらおう。」
永琳「なんて禍々しい穢れ………帰りなさい、あなたが探しているものは無いわよ。」
マインド「なに………ただでとは言わん、永久不変の世界をプレゼントしてやろう。」
輝夜「どんなものを貰おうと無いものは無いの、ごめんなさいね。」
マインド「まだ隠すつもりか………ならば連れていってやろう、鏡の牢獄へ。」
ダークマインドは指を鳴らし2つの鏡を呼び寄せ輝夜と永琳を取り込んだ。そこには妹紅もおり、完全なる牢獄であることを知らされた。時を幾つ重ねても決して変わることのない空間に。
マインド「よし………探せ!」
ウィズ「アイアイサー!」
ダークマインドの号令のもとに荒探しが始まった。部屋という部屋、あらゆる所を探し回ったがディメンションミラーは無かった。
マインド「ちゃんと探したんだろうな?」
ウィズ「探しましたよ!しかしあんなでっかい鏡を隠せる所なんてありゃしませんよ!嘘なんじゃないですかぁ?」
マインド「チッ………おい、そこの兎!お前達で俺のディメンションミラーを探してこい!」
鈴仙「はぁ!?どうして私達が!?」
マインド「この世界ではお前達のほうが詳しいだろうからな。持ってくることができればこいつらは解放してやろう。さらばだ。」
そう言い残すとダークマインドとその僕達は消えてしまった。後にはボロボロに散らかった永遠亭と強引に通ってできた道だけが残った。
鈴仙とてゐは部屋の片付けをしながら今後のことを考えた。ありもしないものを探すなんてどうすればよいのだろう………
てゐ「でも、あんなに本気になって探してるんだったら、きっと大事なものなんだろうね……」
鈴仙「そうね………ここには無いみたいだし、人里近くに行ってみたほうがいいかもね。」
てゐ「え!?行くの?危ないよやめようよ!」
鈴仙「そういう訳にもいかないでしょ……姫様と師匠を助けないと……」
てゐ「あてはあるの?」
鈴仙「………ない。でもやらないよりかはましだと思う。てゐはここで待ってて、留守にするわけにもいかないから。」
てゐ「うん………頑張ってね………」
いつも笑顔のてゐが涙をこらしながら片付けている。鈴仙は震えるてゐの肩をそっと抱き寄せながらいつまでも声をかけていた。そしててゐが泣き疲れて眠った時、鈴仙は持てる薬を全部詰め、あてのない姫様救出の旅に出た。
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.14 )
- 日時: 2017/04/28 10:43
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: kXLxxwrM)
12・墜ちた翼
とある山
誰も到達できないほど険しく高い山の頂上に1人、風を受ける仮面の戦士がいた。銀河最強の戦士になることを夢見て世界を駆ける戦士は誰よりも速くこの異変を察知していた。そしてその数分後、空から大きな要塞が現れる。戦士は急いで山を下り、戦艦ハルバードを起動させた。
アックス「メタナイト様、あれはなんですか!?」
メイス「でっかい要塞がこっちに向かってくるダス!」
メタナイトと呼ばれた戦士はコックピットに立ち、前方に見える大きな要塞を睨んだ。ハルバードが小さく見えるほどその要塞は巨大であり空を覆っていた。そこから大量のロボット兵や機械が降り注ぎプププランドをキカイ化させる。
メタナイト「このままではプププランドが危ない……目標、浮遊要塞!」
アックス「了解!」
バル「なんなのだあのロボット兵は?あんなものプププランドにあったか?」
メタナイト「あれはハルトマンワークスカンパニーが作ったロボット兵だ。軍事会社であるハルトマン社なら間違いはないが…………いや、いい。相手は戦争のプロだ、何をするかわからない。警戒しながら前進しろ。」
その後もハルバードは敵の攻撃をかいくぐりながら要塞に迫ろうとする。しかしその一瞬、要塞からのレーザーにハルバードは被弾した。右ウィングを損傷したハルバードはフラフラとコントロールを失いつつ下降していき、その衝撃はコックピットにも伝わった。
メイス「うわーっ!?」
アックス「右ウィングに被弾!大きくバランスを崩しています!」
メタナイト「ぐぅっ………セイル収縮!左ウィングの浮力を下げろ!」
バル「なんて威力だ……ハルバードの右ウィングをこうも簡単に傷つけるとは……」
アックス「収縮完了……まだ行けます!」
メタナイト「よし、続行しろ。ロボット兵は主砲と副砲で蹴散らしていけ!」
右ウィングの欠損によりだいぶゆっくりになってしまったがハルバードはまだ前進を続ける。そして要塞まであと少しの距離までいった途端、レーザーを左ウィングにくらってしまった。浮力を失ったハルバードは爆発しながら落下し始める。コントロールのきかないハルバードを落とそうとレーザーの本数はどんどん増えていく。
アックス「ひ、左ウィングも被弾しました!」
バル「ふ、フン、左右が壊れてちょうどいいわい。」
メイス「んなこと言ってる場合じゃないダス!落ちるダスよ!」
メタナイト「翼が無くては飛べないか……クルー全員に告ぐ!至急本艦より脱出せよ!」
メタナイト達は救命ポッドに乗り込み墜落するハルバードから脱出を試みた。メタナイトは途中ポッドから抜け出し飛びながら辺りを見回す。どうやらハルトマン社の軍事力は計り知れないらしい。変わりゆくプププランドを眺めていると、後ろから赤い槍がメタナイトを掠めた。目の前には紫のオーラに包まれた羽の生えた少女が立っていた。プププランドには存在しない不思議な威圧感を放ち、メタナイトを圧倒させる。
レプリカ「あら残念?もう少し遅ければ串刺しになってたのに。」
メタナイト「……誰だ貴様は?」
レプリカ「私は高貴なる吸血鬼の末裔、レミリア・スカーレット。あなたも私の世界に招待してあげるわ!」
レミリアのクローン、レプリカは次元をいじりメタナイトを引き込もうとする。メタナイトは必死に抵抗するも力が強く徐々に吸い込まれてしまう。
メタナイト「くっ………なんだこの力は………」
アックス「メタナイト様ー!」
メイス「お逃げ下さいメタナイト様!相手が悪すぎます!」
レプリカ「無駄よ、あなたは私のものになるんだから。さあとっとと楽になりなさい!」
レプリカが抵抗するメタナイトを蹴っ飛ばし、むりやり異次元の中に引き込んだ。次元の狭間はメタナイトを吸い込むと何事も無かったかのように静かに消え、辺りはキカイ化に包まれる音だけが響いていた。
スージー「あの戦士様のデータは取れまして?」
レプリカ「ああ、それなら幻想郷送りにしてやったわ。私あの人気に入ったもの。」
スージー「それでは意味がありませんわ!まったく……戦闘用アンドロイドのブレインにしようと思っていたのに………」
レプリカ「いいじゃない、あの人の腕が幻想郷でどこまで通じるか見物だわ。案外すんなり幻想郷最強になれるかもしれないわよ?」
スージー「それぐらいの実力が無ければ戦闘用アンドロイドとして機能しませんわ。さて……行きますわよ、まだ私達にはやることがたくさんあります。」
レプリカ「はいはい。」
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.15 )
- 日時: 2017/04/29 22:03
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
13・神に挑む者
妖怪の山
妖怪が住まう山にも容赦なく侵略者の手は迫っていた。木を切り倒し機械を植えつけ山を思うように変えていく。最初に気がついたのはこの山の警備をしている椛と念写の能力を持つはたてだった。
椛「侵略者がやってきました!ものすごい数で迫ってきます!」
はたて「空からも要塞が来てる……このままじゃ山が機械になっちゃうわ!」
文「あややや……それはマズいですね……どうにかして止めないと………」
にとり「なんてことないさ!私達は妖怪なんだぞ?侵略者なんかに負けるはずない!」
雛「そうですわねぇ………そうなるとよいのですが……」
結託して侵略者を迎え撃つ準備をする妖怪達。優れた技術力を誇る河童と屈指の移動能力を持つ天狗ならば侵略者とも互角と戦えるはず、と鷹をくくっていた妖怪達だったが、後にそれが仇となる。
山を切り開く侵略者と妖怪が対峙し、大きな戦闘が始まった。
ロボット兵「妖怪達を発見した。リストに書いてある通りに行動しろ、いいな?」
「「了解。」」
にとり「きたな!侵略者め!河童の技術力、見せてやる!」
文「私を捕まえようったってそうはいきませんよ!」
ロボット兵「よし、ミサイルを撃て。そっちは河童のほうを頼む。」
ロボット兵2「了解、さぁかかってくるがいい。ハルトマン社のほうが上であることを教えてやる!」
にとりの作ったロボットとロボット兵は戦闘を始めた。最初は互角の戦いをしていたが人数が増えるにつれてにとりのロボットはだんだんと壊れていき、ついに壊れてしまった。追尾するミサイルや追っ手を逃れる文とはたてだったが、空から降ってくる鳥もちネットで捕まってしまう。
椛と雛も抵抗していたが増えていく兵士に揉まれ捕らわれてしまった。
にとり「ウソだ!私のロボットが負けるなんて……」
はたて「何これ!ベタベタするー!」
文「こ、これでは空を飛べませんね………」
椛「くぉーん………」
雛「は、離しなさい!私のそばにいるとどうなっても知りませんわよ!」
ロボット兵「よし、ここまでくれば大丈夫だろう。妖怪の山、制圧完了。」
守矢神社
山の麓にある大きな神社、二柱の神を奉る神社にも要塞の影が見えた。山からのただならぬ雰囲気と見たことのない要塞の影に圧倒されたのか、社の主は外に出て空を眺めていた。
神奈子「なんだいあれは?あんなもの見たことないよ。」
諏訪子「なんかよくない気配を感じる……」
早苗「諏訪子様もですか?何なのでしょうあれは………」
心配していると空のかなたから魔法使いのような格好をした影がさっそうと現れた。3人の玉ねぎを引き連れ地面に着きそうな帽子を被りながらキラキラした目つきで早苗達を見つめていた。
???「うわー!神様なんて初めて見たー!こんな感じなんだねー!」
神奈子「な、なんだいお前は?いきなり現れて……あの要塞もお前の仕業か?」
グリル「ぼくちんはグリル!最強の魔法使いになることを夢見て旅をしてるんだけど………神様なら強いよね!強いよね!」
神奈子「愚かな………敵うと思ってるのか?」
諏訪子「あんまり祟り神をなめないほうがいいよ?ほら、引き上げさせたら見逃してあげるから帰りな?」
グリル「君達こそ……ぼくちんをなめてない?んじゃあ見せてあげるよ……ぼくちんのパズル力!」
グリルはほうきを天に掲げるとそこにはたくさんのブロックが現れた。慣れた手つきでブロックを並べると不思議な原理でブロックが消えていく。するとブロックが落ちて連鎖が起こり、ほうきに力がたまり輝いた。そして早苗の懐に入り込みそのほうきで叩きつけると早苗は奥まで吹っ飛んだ。
神奈子「早苗!」
グリル「取り合ってくれないときはこうすればいいって言われたからやってみたんだけど……3連鎖で吹っ飛んじゃうのはちょっとなぁ……所詮『アラヒトガミ』は神様じゃないってことか。」
その言葉が神の逆鱗に触れたのか二柱の神は武器を呼び出し怒りの視線をグリルにむけた。怒れる神の視線を受けるグリルはそれでも恐れることなくむしろ嬉しそうにふるまった。
神奈子「そんなにやりたきゃ相手になってやるさ………ただし、二度と帰れなくなるかもしれないがな!」
諏訪子「警告はしたからね……祟り神を怒らせた自分を呪え!」
グリル「いいねいいね!その目だよ………」
境内では神に挑んだ魔法使いの死闘が始まっていた。御柱の波動砲や蛇をものともせずグリルはブロックを消して連鎖を重ね神奈子に叩きつける。しかし5連鎖の威力をもってしても奥まで吹き飛ばすことはできない。小さい体を上手くいかして連鎖を起こして戦うグリルと圧倒的な力で辺りを薙ぎ払う神奈子と諏訪子だが、勢力は互角、熾烈な戦いを極めていた。
グリル「へー!さすがは神様!やるねぇ。」
神奈子「フン、これぐらいどうってことないさ。」
グリル「んじゃあ、これはどうかな?」
グリルはいつもよりたくさんのブロックを呼び出し、猛烈な勢いでブロックの山を作り上げた。そして小さな隙間に小さなブロックを置いた時、山が崩れすさまじい連鎖が始まる。そして8連鎖を作り上げた時、その力は巨大なブロックとなって降ってきた。2人は即座に受け身を取ろうとしたが、その標的が倒れている早苗だということがわかると即座に身を翻し、早苗を守る盾となった。
神奈子「ぐぅっ…………」
諏訪子「早……苗…大丈夫?」
早苗「ど、どうして…………」
グリル「さすがの神様もこれは耐えられないか……ここにはぼくちんの求める最強の人はいないんだね……ほら、倒したから運んで運んで。」
グリルはつまらなさそうにロボット兵を誘導し、神奈子と諏訪子を回収した。帰ろうとした途端、倒れていた早苗が起き上がり、戦いの姿勢をとる。
早苗「まだ………私が…………」
グリル「いいよ、3連鎖で吹っ飛ぶ人なんて興味ないもん。君が未熟じゃなかったらこうはならなかったかもしれないよ?じゃ、バイバーイ。」
そう言うとグリルは空に向かって飛んでいってしまった。早苗は静かになった境内から変わりゆく妖怪の山を眺めることしかできなかった。
『妖怪の山、守矢神社、制圧』
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.16 )
- 日時: 2017/05/18 10:22
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: v2BiiJyf)
14・黒き虹奪う者
魔法の森
魔法使いが住むと言われる幻想郷の中でも深い森。その中にはこぢんまりとした小さな家があり、窓には色々な衣装を着ている人形が座っていた。まるですべての国境を取り払ってできた国のような窓の向こうでは家の主が人形作りに勤しんでいる。幻想郷でも随一の器用さを誇る彼女の作る人形はとても繊細でまるで本物の人間のように見えた。
『おーい!アリスー!』
アリスと呼ばれた彼女は手を止めてドアを開ける。外には魔理沙がおり、彼女は家の中に魔理沙を入れた。人形を操り紅茶とお菓子を用意し魔理沙を丁寧にもてなす。
アリス「どうしたの?」
魔理沙「いや、ちょっと相談したいことがあるんだ……」
魔理沙は紫に言われたことをそのまま話した。紫はとらえどころがなく胡散臭いのでアリスは信じられないような顔をしていたが、その紫すら原因不明という嫌な予感の話をした途端、アリスの顔は曇っていた。現実味を帯び信じる気になったのだろう。しかし、戦争が始まるかもしれないといきなり言われても困るとアリスは言った。
魔理沙「これが異変によるものだったら霊夢と私で解決できるんだがなぁ……」
アリス「今までのよりも酷くなるかもしれないってことでしょ……?どうしたらいいの?」
魔理沙「それをお前に聞きに来たんだ、何かないのか?」
アリス「あなたのことだから犯人を見つけてやめさせるぐらいのことはやるもんだと思ってたんだけど。」
魔理沙「そりゃそうしたいけど……なんかこう、確信が持てないからうかつには動けないんだ。」
アリス「あなたらしくもない………」
魔理沙「だって戦争レベルなんだぜ?慎重にもなるさ。」
アリス「ますますもってあなたらしくもない……」
魔理沙「悪かったな!」
話を続けていると突然地面が揺れた。人形が棚から崩れ落ちアリスと魔理沙はテーブルの下に隠れる。やっと揺れが収まった頃、戦争の心配をしていたからか急に心配になってきた。
アリス「地震?いや、なんか違和感を感じるわ……」
魔理沙「戦争の始まりだな……アリスはここに残っててくれ、私が片付けてやる!」
アリス「ちょ、ちょっと魔理沙!」
魔理沙は家を飛び出した。森の外から侵略者の姿が見えそこに向かって突進した。作業をしていたロボット兵が慌てて迎撃する。
兵士「な、なんだお前は!?」
魔理沙「うるさい!幻想郷の侵略者なんて私が消してやるぜ!マスタースパーク!!」
兵士「ぐ、ぐわあぁ!なんだこのパワーは!?」
ハルトニウム合金のインベードアーマーを吹き飛ばすほどの威力を持つマスタースパーク。魔理沙はこれを連発しロボット兵を次々と倒していく。
半分以上のロボット兵を倒すと、空が急に暗くなり、闇に覆われた。そして黒い霧のようなものが集まり、1つの形を作り上げた。それは冷徹な目付きで魔理沙をゆっくりと見下す。その様はまさに暗黒の物質『ダークマター』だった。
マター「こんな小娘ごときに何をしている。」
魔理沙「お前が黒幕だな!幻想郷をこんなにして、なんのつもりだ!」
マター「貴様には関係のないことだ。聞きたければ力ずくで来い。」
ダークマターは闇の剣の矛先を魔理沙に向けた。魔理沙は待ってましたと言わんばかりに八卦炉の口をダークマターに向ける。そして光をためてダークマターに放つ。まさに影も霞むほど凄まじい輝きがダークマターを襲うも、軽く剣で払われてしまった。
マター「……終いか?それなら……………」
魔理沙「な、何をやって………ぐっ!?」
ダークマターが姿を消すと急に頭が急に痛くなり声が入ってきた。魔理沙はダークマターに取りつかれたのだ。必死に抵抗するも拘束が強く中々意識を保つことができない。時間が経つと勝手に体が動いてしまうほどになってしまった。
『これ以上我々の邪魔をしないよう、少々痛い目に遭ってもらうとしよう。』
魔理沙が手にしたのは闇の剣だった。震える手はしっかりと柄を握りしめ、魔理沙の体を思いっきり突き刺した。激痛に耐えかねた魔理沙は横になり、喚く。白黒の衣装には鮮やかすぎるほどの赤が体を包み込む。
魔理沙「ぐっ………うっ…………………」
マター「……とどめだ。」
『やめなさい!』
横から人形が飛びダークマターを切りつける。そこにいたのはアリスだった。
魔理沙「アリス……待ってろって………」
アリス「あなただけじゃ不安だもの………さぁ、連れていくなら私を連れていきなさい。」
魔理沙「お、おい、お前…………」
アリス「そいつはパワーだけが頼りだけど、私はそいつよりもいいものをたくさん持っているわ。」
マター「自らを盾にそいつを守るつもりか………?いいだろう、ならばお前を連れていってやろう。」
ダークマターは次元を切り裂き裂け目を作った。アリスは魔理沙に少しだけ微笑んだあと裂け目とともに消えてしまった。アリスは自分を犠牲にして魔理沙を守ったのだ、それに気づいた魔理沙はただただ痛みに耐えることしかできなかった。
兵士「それで、こいつはどうします?」
マター「どうせすぐに絶命するだろうが……一応捨てておくか。」
またも次元を切り裂き裂け目を作ると動けない魔理沙をそのまま投げ込んだ。
マター「さて……ここを切り開き、新たな文明を築くとしよう。」
『魔法の森、制圧。』
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.17 )
- 日時: 2017/05/05 23:46
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
15・地底に広がる芸術
地霊殿
地面の奥深く、太陽の光すら届かない場所には大きな街があった。そこは『旧都』と呼ばれる街で鬼や妖怪達の住みかとなっている。怨念すら漂う都市の中心には旧都を治める主が住む地霊殿があり、すぐ真下にある灼熱地獄もここの主の管轄である。
地上での騒ぎの噂を耳にした主、さとりはここにも異変が起きてないかペットのお空とお燐に調査をさせた。今は心配そうに帰りを待っている。
お空「さとり様ー!調査終わりましたー!」
お燐「とくに変わったことは無いですよ。」
さとり「そう……それならよいのですが………お空、その手に持っているのはなんですか?」
さとりはそう尋ねるとお空はまるで宝物を見つけたこどものように満足げに掲げて見せた。それは魔女を描いた絵画だった。描かれた魔女は哀しみに満ちた瞳をしていたが、まるで本物のようなその瞳にさとりはすくんだ。
お空「それで、この絵画をエントランスに飾りたいんですけど……どうですかね?」
さとり「……やめなさいお空、その絵画は……何だか見ていて気味が悪いです。まるで生きているように私を見つめているようで…………」
お空「そうですかねぇ?まぁ確かにリアルな感じがしますけど………」
さとり「この絵画の作者には申し訳ありませんが……燃やしてしまいましょう。地上に異変が起きている今、その絵画にもからくりが無いとは言えませんし……呪われそうな感じがして………」
お空「はぁ……さとり様がそう言うのなら……」
『…………どい…………………』
お空が絵画を燃やそうと腕の砲口を向けた途端、どこからか呻き声が聞こえた。どうやらこの絵画から聞こえてくる。
『………ひどいわ…………あなたも…………そうやって…………私を……………!!!』
絵画からの呻き声はどんどん大きくなっていき、オーラがわき出てきた。そのオーラは額縁を包み込み宙に浮かせると、絵画そっくりの魔女が飛び出した。古びたローブの奥から覗かせる瞳に光は灯っておらず深い哀しみを湛えている。
ドロシア「誰も………『ドロシア』を見てくれない……人が作った作品を人が捨てる………当たり前のことだけど、それはとっても悲しいこと…………」
さとり「ま、魔女が飛び出した!」
お空「さとり様、ここは私が!」
お空が炎をドロシアに放つも、それは見えない壁のようなものによって阻まれる。ドロシアは何事もなかったかのように更に話を続ける。
ドロシア「私は呪いの絵画として潰れた美術館の倉庫にしまわれたわ。誰も私を怖がって見てくれない。新しい主が来たかと思えば狂って死んで流れての繰り返し………人は弱い生き物ね。」
さとり「なんて絵画なの………あなたが全てやっているのではないの?」
ドロシア「私を生み出したのは私の作者。その作者も狂って死んだわ、まだ名もない新人だったけど心が病んでいた。私は悪くないのにみんな私のせいにする。誰も見てくれないなら…………あなた達が私を燃やすというのなら………
こんな世界、消えてしまえばいい。」
ドロシアは禍々しい煙を吹き出すと地霊殿の壁が変色した。絵の具をぐちゃぐちゃにかき混ぜたように濁った色が地霊殿を覆い尽くすが、これだけでは魔女の復讐は終わらない。
お空「あ、あれ?体が動かないよー!」
お燐「お、お空!私達絵画になってるよ!」
さっきまでそばにいたお空とお燐が絵画となって額縁に閉じ込められてしまった。しかしさとりだけはなぜか絵画にならずに済んだようだ。
さとり「あなたの心は………寂しさでいっぱいですね………」
ドロシア「私の心を覗くあなたには……これがお似合いよ。」
ドロシアは異次元から蛇の目が描かれた絵画を取りだしさとりに掲げた。するとさとりの体がだんだんと石に変わっていく。気づいた時にはすでに足が動かなくなっていた。
さとり「な、か、体が…………動かな…………」
お空&お燐「「さとり様!?」」
足元からどんどん石になり、それが頭まで達した時にはさとりは物言わぬ石像と化していた。ドロシアは芸術品となった住人を飾ると今度は地霊殿の外に目をつけた。そして今度はもっと多くの煙を出し、旧都全てを芸術に変えようとする。
煙が晴れた時、さっきまで賑わっていた旧都は静かになった。鬼も妖怪も怨念も、全てが絵画や芸術品となってしまい、旧都自体も濁った世界となってしまった。誰もいない世界の真ん中、ドロシアは地霊殿を芸術品となった住人達を飾る美術館にした。絵画に描かれた住人達はみんな悲しい顔や苦しい顔でいっぱいだった。
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