二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化
- 日時: 2017/12/01 18:59
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
皆様はじめまして、ハルトマン社新人秘書のピコパです。今回は東方とカービィの小説を書かせていただきます。理由はどっちも好きであることと意外に共通点が多いことですね。
あらすじはこちら
ハルトマン社のマザーコンピューター『星の夢』の時空間転移プログラムをリニューアルし幻想郷のデータを獲得。魔法や神といった科学とはかけ離れた常識や豊富な資源を手にいれる為にハルトマン社は幻想郷キカイ化プロジェクトに乗り出した。科学と魔法、相反する2つの戦いが今始まろうとしていた。
この小説を読むにあたって
・この小説には作者による独自解釈や設定が含まれています。基礎情報は確認済みですがご了承下さい。
・とにかく話が広がり中々先に進まない場合があります。
・この小説オリジナルの技やキャラクターが出てくる場合があります。
・作者はあまり文才がありません、完全に行き当たりばったりで書いています。なので不備が生じることがありますのでその時は指摘をお願いします。
・この小説への荒らしや誹謗中傷のコメントはご遠慮下さい。
次回更新予定
・霊夢編
フェイズ0・幻想郷の存在
>>01 >>04 >>05
フェイズ1・幻想大侵攻
>>06 >>07 >>08 >>09 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22
フェイズ2・幻想を越えた出会い
>>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>53 >>56
おまけ
>>31 >>37 >>49 >>50
レミリアの夏休み
>>38 >>39 >>40 >>41 >>42
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- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.33 )
- 日時: 2017/07/23 22:16
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: a0p/ia.h)
frontstory >>32 >>20
30・十人の庭師と悪夢の里
プリズムリバーの洋館を去り、おみやげまで貰った妖夢。しかし、同じ妖夢でも少し性格が違うことがあるらしいと考えた。本来の性格が1号とすると
2号は優柔不断で性格は穏やか
3号は表現や手先が不器用だが勇敢
4号は臆病だが手先が器用
5号は怒りっぽいが即断力がある
6号は寡黙だが能力がすべてにおいて優秀
7号は勝ち気だが精神的なサポートが得意
8号はおっちょこちょいだが戦いのセンスは抜群
9号は戦いが下手だが落ち着いていて頭が切れる
10号は何もできず塞ぎがちだが潜在能力は1号よりも高い
互いの欠点が互いの長所を支えあいそれを1号がうまくまとめることで時には10人に分断される前の状態よりも圧倒的に早く物事を終わらせることができる。同じ自分なので好きなものも一緒で起きる時間も一緒。まるで鏡を見ているようで当初は驚いていたが廃洋館の一件以来個人個人の性格をも見抜いた。しかし顔がそっくりなので誰かわかるように額に数字を書いておいているのである。
人里に情報を集めに行く時もとにかく賑やかで妖夢1号は残りの9人を連れ歩くのに必死だった。まるで先生のようである。面倒見がよいところは従者の性なのだろうか。
妖夢1号「8号!ちゃんとついてきてますね!」
妖夢8号「大丈夫ですよ、9号と手を繋げば離れませんから!」
妖夢7号「10号はいざとなったらちゃんとできる子なんですから、そんなに塞ぎこまないで下さい、同じ妖夢じゃありませんか。」
妖夢10号「7号……すみません、いつもこんな調子で……」
妖夢3号「そうですよ!10号は器用貧乏ですから!」
妖夢6号「…………フォローになってません。」
妖夢4号「このまま何もなく人里に着けますよね……?」
妖夢5号「何かあったら私と1号でバシーン!と行くんで大丈夫ですよ。」
妖夢2号「9号、私とも手を繋ぎましょー。」
妖夢9号「いざというときに剣が抜けませんよ………」
と、いつもこんな感じではたから見れば遠足のようである。そっくりなので10人姉妹と思われていても仕方がないほどに。
ビクビクしている4号の心配とは裏腹に、ちゃんと何もなく人里に着いたようだ。
人里
近代的なビルが建ち並ぶ人里を見て妖夢達は驚いた。平屋が無く大通りでは人ではなく車が通っている。道を歩いている人もいるが何やらとても疲れているようで無機質な顔をしていた。
妖夢1号「ここって……本当に人里ですかね?」
妖夢9号「なんだか別の世界に来たみたいですね………」
妖夢2号「あの乗り物、遠いところに行くときは疲れなくて便利ですね。」
妖夢8号「困りましたね……いつも行ってる八百屋さんがわからなくなりそう……」
妖夢5号「とりあえず情報を集めましょうか。」
妖夢達は手分けして情報を集めに行った。ちょうど人里の中心に大きな広場があるのでそこで落ち合うことにした。何しろこの人里、元の人里とは倍近くの面積があり手分けでなければ日が暮れてしまうからである。とりあえず2人ずつで集めることにしたが、8号は絶対に迷うのでしっかり者の9号と組むことにした。
妖夢1号「あの……あまり元気が無いようですが、何かありましたか?」
村人「あぁ…………悪夢だよ。俺達は侵略者共に働かされてんだ。それでノルマ通りに行かなけりゃその日の夜は悪夢を見させられる。俺の娘が捕まっちまってるから抵抗しようにもどうにもならねえんだよ………」
妖夢10号「酷い………なんてことを…………」
村人「抵抗したら恐ろしい悪夢を見させられるらしくて……私の友達がそうだったわ、怪物に追われて食べられる夢よ………それからもう喋らなくなっちゃって。」
妖夢2号「それじゃあお昼寝できないじゃないですか!」
妖夢5号「2号、ツッコむところはそこじゃありません。」
村人「慧音先生も働かされてるらしくてな………侵略者のボスも先生もどこにもいないんだ。寺子屋も探してみたがいなかったからなぁ………」
妖夢8号「あの慧音先生まで………」
妖夢9号「悪夢の侵略者………油断はできませんね。」
各々情報を集めて戻ってきた。どうやらここは悪夢の侵略者『ナイトメア』によって支配されたらしく抵抗しようにも子供達を人質に取っているようでどうしようもできない。大きな工場に集められ仕事をするがノルマを達成できなかった人達はその日は悪夢を見させられるのだという。しかし慧音だけはどこにも姿が見えないらしい。
妖夢7号「これは大変ね………なんとかしないと皆さんの健康が心配です。」
妖夢2号「でもどこにいるのか見当もつきませんよ………」
妖夢1号「しばらくはしらみ潰しに探していくしかありませんね………」
妖夢4号「あ…………すみません、お腹が鳴ってしまいました…………」
妖夢3号「たくさん歩きましたからね………どうやらここには自動で料理が出てくるお店があるみたいですよ。しかも無料で。」
妖夢5号「じゃあ今回はここまでにしましょうか。『ほてる』という宿も取れましたし。」
こうして妖夢達の情報集めは終わった。この夜空の下では悪夢に苦しんで寝られない人がいる。それを止めることができるのは私達しかいない。何一つ情報が無くともあせらず確実に皆で頑張れば出来ぬものなどあんまりない。そう思いながら妖夢1号は眠りについた。
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.34 )
- 日時: 2017/08/01 22:14
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
frontstory >>13 >>33
31・十人の庭師と反逆者達
住宅都市
翌朝、妖夢達は引き続き探索を始めた。しかし新しい手がかりは得られず慧音と悪夢の侵略者の居どころはわからないままだ。このままではらちがあかない。途方にくれていると向かいから見たことのある顔がやってきた。それはブレザーを来たウサギだった。
鈴仙「あ、妖夢さ………うわぁ!?なんでいっぱいいるの……?」
妖夢1号「あ、鈴仙さん。実は骸骨集団がやってきて襲われたんです。そしたら親玉の魔法によってこんな姿に……幽々子様に任せっきりなので戻らないといけないんですが……今行っても足手まといな気がして………」
鈴仙「そうなの……私も鏡を操る化け物に襲われて姫様や師匠が拐われてしまって……それで手がかりを探すためにここに来たんだけど……なんかいろいろ変わってるわね。こんなに大きな建物がズラリと並んでるし……車がブンブン走ってるし……」
妖夢1号「とはいえ今は幻想郷全土に侵略者の影響があるようです。ここに住んでいる人もどんどん健康じゃなくなっていきます。とりあえず情報を整理しましょう。」
2人はひとまず情報を共有した。新しい手がかりは得られなかったがその中で不思議なものがあった。それはやけに警備の厳重な空き家のことだった。見た目は他の家と変わらないのにその一帯が立ち入り禁止になっていたり見張りの兵士が常駐しているのはおかしい、と噂になっていたのを聞いたのだ。試しに行ってみると確かに人気が無く見張りもいる、明らかに何かがありそうな雰囲気があった。2人は物影に隠れ潜入を試みる。
妖夢1号「どうします?こんなに死角が多ければ奇襲ができますけど……」
鈴仙「大丈夫よ、ここは私に任せて!…………はあぁぁぁ…………」
鈴仙は目に意識を集中させ兵士を凝視した。不気味にギラつく赤い瞳と目を合わせてしまった兵士は突然狂ったように奇声をあげて動かなくなった。それを確認すると鈴仙の目はゆっくりと元に戻っていく。
鈴仙「さ、これでもう大丈夫。」
妖夢1号「さすがは狂気を操る鈴仙さん………」
中に入るとそこにあったのは地下へと通じる階段だった。2人が降りようとするとどこかから視線と気配を感じ足を止める。それは押し入れの中から見つかった。赤い髪をした少女の生首だった。
蛮奇「やっと見つけてくれた……思いっきり凝視した甲斐があった。」
鈴仙「あ、あなたは………?」
蛮奇「私は赤蛮奇……今は顔だけだけどちゃんと体もあるから大丈夫。」
妖夢1号「な、なぜここにあなたが?」
蛮奇「なぜって……ここは私の家よ。突然奴らがやってきて勝手にここを改造したのよ。そして抵抗したら地下牢に入れられたってわけ。私は首を遠隔操作できるから1つだけ残して助けを求めたの、それが私。」
鈴仙「わかったわ、今すぐ救出してあげる。」
蛮奇「ありがと。」
地下牢
僅かなランプの灯りを頼りに進んでいくと大きな地下牢獄にたどり着いた。命令に背いたり悪夢を見せてもなお抵抗する者はここに運ばれる。一応最低限の食事は出るらしいが牢獄は牢獄、住み心地は最悪だった。2人は蛮奇の首の案内をもとに牢獄を進んでいく。無論、見張りの兵士をかいくぐりながら。
蛮奇「あとちょっとだよ、頑張って。」
鈴仙「本当に……いろんな人が捕まってるのね………」
妖夢1号「酷いです……」
蛮奇「あ、ここだよここ。」
そこにいたのは首に囲まれた少女だった。どうやら赤蛮奇は首を操ることができるらしい。
蛮奇「まさか助けが来るとは思ってなかった。あなただったらこの牢を切れるよね?」
妖夢1号「皆で頑張ればなんとかできるかと思います。」
10人の妖夢は力を合わせて牢を断ち切った。たとえ10人に分断されようと剣の切れ味は劣らないらしい。こうして赤蛮奇を引き連れ、妖夢は地下牢の奥深くまで進もうとしていた。
そしてそれを見ていた者が1人。
ナイトメア「ここまで気づく輩が現れるとはな。どれ、少し遊んでやろう。」
ナイトメアは魔獣を作り出しモニターに写る3人のもとに向かわせた。
ナイトメア「どうやら幻想郷の住人はとてつもないお人好しのようだな。」
慧音「…………………………」
ナイトメア「しかし、わが悪夢の支配を打ち破ることは敵わぬ。それはじきに奴らにもわかることだろう。フハハハ…………」
鈴仙「しっ…………何か来る………」
妖夢1号「何かとてつもなく悪い予感がします……」
蛮奇「たぶんそれ、当たるかも。」
そこに現れたのは悪夢によって複製された魔獣、ファイアーライオンだった。
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.35 )
- 日時: 2017/08/04 23:44
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
frontstory >>34
32・十人の庭師と灼熱の獅子
地下牢
炎のたてがみをゆらめかせる獅子、ファイアーライオンは喉元を引き裂こうと12人に襲いかかった。間一髪でよけたものの、高熱の空気が通りすぎ肌を焼く。陽炎をまとう獅子の体は更に燃え上がっていた。
蛮奇「熱っ!あっつっ!」
鈴仙「迂闊に近づけないわね、これじゃ……」
妖夢9号「近づけないなら近づかないように攻撃すればよいのです。」
妖夢8号「要するに衝撃波ですね!」
妖夢達は衝撃波を放ちファイアーライオンに攻撃する。四方八方から飛んでくる衝撃波を受けるもあまりダメージは通っていないようだった。怒ったファイアーライオンは妖夢達を灰にしようと高温の炎を吐き出す。鈴仙も弾丸で攻撃するも結果は同じだった。
鈴仙「あ、熱い………これじゃらちがあかないわ……」
蛮奇「クラクラしてきた………頭取り替えようかな………」
妖夢1号「10人だからできることが絶対にあるはず………私達の特徴を生かしたものが………!」
妖夢1号は何かを思いついたのか他の妖夢を見る。他の妖夢達もやることを察したのか頷きあった。
妖夢1号「2人にお願いがあります……隙を作ってください。一瞬で構いませんから。」
鈴仙「………さすがは剣豪、いい目つきだわ。」
妖夢1号「私は庭師なんですけどね………」
蛮奇「いいよ、隙を作るのは得意だから。」
鈴仙「んじゃ……行きますか!マインドシェイカー!!」
蛮奇「飛頭蛮の本領発揮よ!クローズアイショット!」
蛮奇が放つ閃光弾が警戒していたファイアーライオンの動きを止める。そしてその隙をつき鈴仙の狂気の瞳がしっかりと捕らえる。脳を揺さぶられ混乱気味になり足元がふらつく、そしてその隙を逃さず妖夢達が突撃する。
まずは2号と3号が暴れるファイアーライオンの動きを受け止める。マイペースな2号と勇敢な3号は臆する事無くその両足の猛攻を凌ぎきる。
次に5号と6号が炎や爪をよけてファイアーライオンを切り上げる。即断力に長ける5号と能力に長ける6号はスムーズに上空へ打ち上げた。
打ち上がったファイアーライオンを7号と8号が更に切る。戦いのセンスのある8号を7号が上手くサポートする。
4号と9号は弱点となった傷口を正確に狙い確実に動きを止める。器用な9号といつも冷静な9号にとって弱点をつくことは簡単なことだ。
妖夢10号「最後は私達で決めましょう!」
妖夢1号「これで………決めます!10人の心をひとつに!奥義、克己十天刃!」
1号と10号が体を突き刺し、ファイアーライオンは息絶えた。元々1人だったのか息もピッタリ合っている。
鈴仙「…………これで庭師なんだもん、疑っちゃうわ。」
蛮奇「これで熱さから解放される………先を急ごう、きっと悪夢の支配者もすぐ先。」
妖夢1号「ふぅ………さて、行きましょうか。」
少し開けた空間
ファイアーライオンを退け先に進むことにした一行。熱から解放され薄暗く開けた空間に出た。その奥には大きな扉がある。
鈴仙「いかにもって感じね。」
蛮奇「とっとと終わらせてしまおう。」
妖夢1号「悪夢はもう今日で終わり……行きましょう。」
『残念だけど、まだそうはいかないわ。』
突然暗闇から飛んできた深紅の槍が妖夢1号の頬を掠めた。現れたのは常闇の姫君、闇に溶け込む漆黒のカリスマ、レミリアのクローン、レプリカだった。
レプリカ「ハロハロー、皆様。ご機嫌いかが?」
妖夢1号「れ、レミリアさん………?」
レプリカ「まぁ半分合ってて半分外れ、私はレミリアお嬢様のクローンよ。」
鈴仙「それで?そのお嬢様がどうして私達の邪魔をするわけ?」
レプリカ「ここまですればさすがに誰かしら来るだろうとは思ってたわよ。もしかしたら仮面の騎士サマかなーと思ったけど………ま、今回は妥協してあげるわ。大人しく殺されなさい。」
蛮奇「いきなり死ねと………」
鈴仙「相変わらずね………そんなんじゃ友達できないわよ?」
レプリカ「ご心配なく。君主に友達なんて必要ないのよ。」
鈴仙「………こりゃ本人以上だわ。」
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.36 )
- 日時: 2017/08/11 17:48
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
frontstory >>35
33・十人の庭師と常闇の姫君
地下牢・最深部へ至る間
悪夢に包まれた人里を解放するため悪夢の支配者ナイトメアと行方不明になった慧音を探す妖夢達。途中ナイトメアの刺客ファイアーライオンに襲われるも見事に撃退。そのまま先に進むも今度はレミリアのクローン、レプリカが立ち塞がった。レプリカは玩具を見るような目で一行を見ていた。
レプリカ「言っとくけど、あなたの探してる人はもうここにはいないわ。」
鈴仙「ど、どういうこと?」
レプリカ「もう人里に用は無いし、あなた達みたいな反逆者が来ることぐらいわかってたしね。だからここまで来たのは全くの無駄足なのよ。ま、これから屍になる人に言ってもしょうがないか。」
妖夢1号「なんと言われようと私達は死ぬわけにはいかないんです!」
鈴仙「囚われた姫様達の為にもね!」
レプリカは無数の紅い槍を作り出し妖夢達に向けて一斉に打ち出した。攻撃の量は凄まじくまるで激流のようだ。その流れに揉まれつつも上手くいなしレプリカに攻撃する。体が小さい分避けやすいのかすんなりとレプリカにたどり着くことができた。傷を受けつつも余裕の表情を崩さないレプリカは尚も面白そうに笑っている。
レプリカ「なるほど、10人に分断されようと曲者ねぇ。なら、これでどうかしら?」
レプリカは鎖を妖夢達に巻きつけ縛り上げた。すごい力で縛りつけているし、個々の力は弱いので抜け出すことは容易ではない。
妖夢2号「うぅっ………」
妖夢9号「捕まってしまいました………」
鈴仙「大丈夫よ、今助けてあげるわ。」
蛮奇「どうやるの?」
鈴仙「私の射撃の腕前を甘く見ないことね。」
そう言うと鈴仙は鎖を狙って引き金を引いた。放たれた弾丸は鎖を撃ち抜き妖夢は脱出に成功した。レプリカもさすがに黙って見ている訳にもいかず、グングニルで貫かんと襲いかかった。深紅の軌跡を描く槍の攻撃を避けながら妖夢2人は鎖を切りつける。傷がついた程度だったが、何度も切りつけていくうちにまたひとつ鎖が切れた。これで妖夢は3人になり少しずつ戦力を取り戻していった。
しかしその後は簡単には鎖を断つことはできなかった。レプリカのオーラが激しく沸き立っているのだ。それが怒りか悦びかは知らないが圧倒する力を放っていることに変わりはない。しばらく様子を見ているとレプリカは高く飛び上がった。
レプリカ「もっと私を楽しませてよ………スカーレットピアース!!」
妖夢1号「3人でもっ…………六根清浄斬!!」
禍々しいオーラをまとった槍が猛烈な勢いで飛んでいく。妖夢はそれを避けもせず真っ向から受け止める。いつもだったら攻撃のエネルギーをそのまま剣に乗せて反撃するのだが、今回は3人なので自爆覚悟で槍を跳ね返した。槍はそのまま反応に遅れたレプリカの体に突き刺さり、フラフラと地面に落ちていった。一瞬意識が揺らいだのか妖夢達を捕らえていた鎖が緩み脱出を果たした。立ち上がろうとするレプリカの体がボコボコと泡立ち沸騰していく。
レプリカ「ま、まダ………耐えルのよ………私ノ………からダァ………!!」
鈴仙「な、なんなの………?」
蛮奇「不気味だわ…………」
レプリカは必死にこらえ沸騰する体をなだめる。そして沸騰が収まると体は完全に再生し、いつものレプリカに戻っていた。そして持っていたグングニルを消し満足げに妖夢達を眺めた。
レプリカ「ふぅ………ま、楽しめたわ。今日の所はここまでにしといてあげる。せいぜい残った人生を楽しむことね。」
レプリカは闇に溶け込み姿をくらました。
地下牢・最深部
扉の向こうは何も無かった。ナイトメアの姿も慧音の姿も無かった。あるのはただ広がっている空間だけ。
妖夢1号「本当に、何もないですね………」
蛮奇「ホントは何かあったんだろうけど………もぬけの殻ね。」
鈴仙「でもまぁ、これで村の人達は悪夢から解放されるわ。ひとまず帰りましょうか。」
妖夢1号「………はい………………」
人里
人里を支配していた兵士達はいなくなり悪夢も見なくなったことでようやくここだけ平和を取り戻した。しかしキカイ化された里が戻ることはなくしばらく生活に苦労するだろう、とのことだった。
妖夢1号「ふぅ、ひとまずなんとかなりましたね。」
鈴仙「それはいいんだけど……ダークマインドの情報を聞き損ねちゃったわ。」
蛮奇「どこもこんな感じでキカイ化が進んでるから情報集めは上手く行かないかもしれないよ。」
鈴仙「そうねぇ………」
蛮奇「私はここに残ることにするよ。もともと人里を救えればそれで十分だったからね。いい旅だったよ、ありがと。」
妖夢1号「はい……またいつか。」
悪夢の支配から人里を救うことに成功した妖夢達。一行は変わり果ててしまった人里の更なる復興を祈り、また旅を続けていく。
『人里、奪還』
- Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.37 )
- 日時: 2017/08/14 07:12
- 名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)
おまけ
移動店舗香霖堂
1・苦労人店主
香霖堂
ここは珍しい道具を取り扱う店、香霖堂。人里からは少し離れた場所にあるためなかなか客がこないらしい。しかしここも例外なくキカイ化されたのだが、ここの店主が最後まで抵抗したことにより爆破されてしまったのだ。なのでここに残っているのはかつて香霖堂だったものの残骸である。
そしてその残骸の山から眼鏡をかけた男が飛び出した。この男こそが香霖堂店主、森近霖之助だった。
霖之助「ぶはぁっ!はぁ……はぁ…………全く、いくらなんでもここを爆破するなんてやりすぎだ……とにかくまだ使えるものを探さないと………」
瓦礫をどかして使えるものを探す。しかし壺や陶器は粉々になり、機械類も破損により動かない。あるのはやかん、偶然残った空の薬ビン、動かないガラケーなどのガラクタ、そして古びた刀だけである。霖之助は悩みに悩み、そして考えた。
霖之助「せっかく異星人が侵略にきたんだ。こんなガラクタでも使えるかもしれないし、途中で珍しい道具が手にはいるかもしれない。そうと決まれば準備しなければ。」
すると霖之助はボロボロになった服を縫い合わせそれはそれは大きな鞄を作り上げた。シャツ、ドレス、ジャージ、ワンピースなどを合わせたハデなものだった。そしてその中に売り物を突っ込み歩く。
霖之助「おっと、これを忘れていたな。」
霖之助は落ちていた板に愛用の筆ペンに『移動店舗香霖堂』と書き首に引っ提げた。
紅魔館
ハルトマン社の支配を退けた紅魔館。しかしまだまだ工場っぽさはあちらこちらに残っており、カービィのロボボアーマーが無理矢理作った道の修繕はまだかかりそうだった。力仕事は美鈴と何人かの妖精メイドがやっているのだが、ぶっちゃけ美鈴だけのほうが捗りそうな気がしてきた。それにしてもあたり一面が知らないもので覆われている、あの機械の残骸はもともとは何に使うものなのだろう、と考えていると気づいたのか美鈴がやってきた。
美鈴「随分とハデな鞄ですが……行商人ですか?」
霖之助「まあね。店が(物理的に)潰れてしまってね、ガラクタをかき集めてこうして売り歩いているんだ。」
美鈴「はぁ………とりあえず中に入って下さい。かなり散らかってますけど。」
パチュリー「あら、来客とは珍しい。………今そんな柄の鞄が流行っているのかしら。」
霖之助「そんなことはないよ。有り合わせのもので作っただけさ。何か使えるものがあれば売ってあげるよ。」
そう言うと霖之助は鞄からガラクタを引っ張り出し、床に並べた。どれも珍しいことには珍しいが、使えたり役に立つかというとそうでもないものばかりだった。そんな中、パチュリーがひとつのガラクタに手をかける。
パチュリー「これは何かしら?」
霖之助「それはやかんだね。中に水を入れて下から火で炙るとお湯を作ることができるそうだよ。」
美鈴「いいですねー!……実はお嬢様御用達のティーセットが全滅してまして……」
パチュリー「私もお湯は作れるけど入れ物が無くて困ってたのよ。まだまだ野ざらしの状態だから温かい飲み物が飲めるのはありがたいわ、いただいてもいいかしら?」
霖之助「もちろん。」
霖之助は驚いた。まさかこんなガラクタが売れるとは思わなかった。やはり出かけて正解だったようである。しかしこの状況ではお金を出すことは難しいだろう。という事で霖之助は物々交換ということで応じた。
パチュリー「そうね………今はこれしかないのだけれど、それでもいいなら。」
パチュリーが渡したのはランプだった。薄暗い図書館の中でも本が読めるように使っていたものだったが、長く使ってきて油もれするようになったので使わなくなったのだという。
パチュリー「今は炎の賢者の石でなんとかなるのよ。それは直せばまだ使えると思うわ。」
霖之助「そうだね……直してみよう。」
霖之助は工具を取りだしランプを直した。すると見事に油もれは直っていた。ついでに持ち手のぐらつきなども直しておいた。
パチュリー「………ついでに炎の賢者の石のかけらを分けてあげるわ。燃料には困らないはずよ。」
霖之助「ありがたい!ずっと使い続けることができるランプか………これはいい買い物だ。」
美鈴「もう行かれるんですか?」
霖之助「行商人は足と時間が命だからね。ありがとうパチュリー、このランプは大事に使わせてもらうよ。」
パチュリー「ええ、またいつでもどうぞ。」
美鈴「さよならー!」
霖之助はふたたび歩き出した。やはりガラクタでも使い道はちゃんとある。キチンと手入れをしてやれば貰ってくれる人がいるかもしれない。願わくば僕の持っているものが全て売れることを夢見ながら、歩みを進めた。
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