二次創作小説(新・総合)
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- 推しキャラの食卓
- 日時: 2021/04/19 17:06
- 名前: モンブラン博士 ◆HlTwbpva6k (ID: pRqGJiiJ)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
私の推しキャラが好物を食べまくる、ただ、それだけのお話です。
少しでも空腹になってくれましたら作者としてこれ以上嬉しいことはありません。
- Re: 推しキャラの食卓 ( No.56 )
- 日時: 2021/09/08 07:54
- 名前: モンブラン博士 (ID: UB7mX/Qq)
唇を噛みしめながらもダラダラと流れる汗が止まらない。
後ろでは苛立たしそうに中年の客が待っている。
このままではマズい。
苦肉の策としてミアは頭上に掲げられてある、看板メニューを指差した。
「スペシャルバーガー、お会計2500円になります」
「!?」
ミアはその値段の高さに目を丸くしながらも、お金を払って璃奈の席に戻る。
「注文、できた?」
「無問題さ」
なんだか鐘嵐珠に似てきたかなと思いながらも、ここはクールに誤魔化した。
しばらく雑談に花を咲かせていると、注文の品が運ばれてきた。
まるで座布団のように大きなハンバーガーを前に、さすがのミアも怯んだ。
- Re: 推しキャラの食卓 ( No.57 )
- 日時: 2021/09/08 08:00
- 名前: モンブラン博士 (ID: UB7mX/Qq)
一般的にサイズ的には日本よりも本場米国のバーガーの方がビックサイズと言われている。
それはアメリカにいた時からも耳に挟んでいた話だった。
しかし、この店は違った。
食べる人の口の大きさをまるで考慮していないとんでもないサイズなのだ。
どうやって作ったのか不明のバンズに、分厚いパティが12枚も重ねられている。
更に肉の上には山盛りのレタスが乗せられており、野菜もたっぷりの使用だ。
マヨネーズも全て使い切ったかのような豪快な塗りっぷりには、ミアも返す言葉が無かった。
いかにハンバーガーが好きとはいえ、大食いではないミアにはあまりにも荷が重い代物だ。
- Re: 推しキャラの食卓 ( No.58 )
- 日時: 2021/09/08 08:21
- 名前: モンブラン博士 (ID: UB7mX/Qq)
巨大なハンバーガーの城に躊躇っていると、璃奈が助け船を出してきた。
「一緒に食べてもいい?」
ボード無しの上目遣いで訊ねてくる。
疑問形ではあるが、有無を言わさぬ可愛さがあった。
「OK! そうしようか」
ミアは同意し、巨大なバーガーをナイフで分けてふたりで食べ始める。
ひとりでは食べられないものでも、ふたりで力を合わせれば攻略できる。
もしゃもしゃと口を動かしながら、ミアは璃奈から目を離さない。
璃奈もずっとミアから顔を離さずバーガーを食べている。
- Re: 推しキャラの食卓 ( No.59 )
- 日時: 2021/09/08 08:25
- 名前: モンブラン博士 (ID: UB7mX/Qq)
「顔、赤い」
「ボクが?」
「うん」
「熱でもあるの?」
「いいや。ただ、ちょっと璃奈が可愛いって思っただけさ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ミアと璃奈は互いに赤面し、その後は黙々とバーガーを食べ進めるのだった。
おわり。
- Re: 推しキャラの食卓 ( No.60 )
- 日時: 2021/09/08 08:42
- 名前: モンブラン博士 (ID: UB7mX/Qq)
嵐千砂都は大会に向けて、澁谷かのん達と別行動をとってひとりで練習をしていた。
練習自体はひとりでこなせるのだが、気になるのはやはりかのん達の様子だった。
団子状に結んだ髪を解いて、流れた汗をタオルで拭って一息ついていると、扉が開いた。
部屋へ入ってきたのは白髪と白髭を長く伸ばし、羽織袴姿の老人である。鷹のように鋭い眼光が、射るように千砂都に注がれた。
全身から漂う威厳に千砂都も脂汗をかながらも、老人が歩を進めるのを待つ。
目と鼻の先まで来た時、千砂都はゆっくりと口を開いた。
「ひいおじいちゃん!」
「久しぶりじゃの」
老人の名は嵐虎之介。嵐柔剣流の創設者にして千砂都の曽祖父だ。
噂では百歳を既に超えていると言われているが、本当の年齢はひ孫である千砂都にもわからない。
温かな曽祖父の胸元に抱かれその温もりに頬を緩めた後、千砂都は言った。
「お腹空いてない? 食事にしようよ!」
「わしも丁度小腹が空いていたのでな。良かろう」
久々に食べるふたりだけの食事。料理と言っても豪勢なものではなく、千砂都はたこ焼きで虎之介はカップ焼きそばという簡素なものである。
達人然とした虎之介がカップ焼きそばを食べている光景をシュールだなと思いながらも、千砂都はたこ焼きを食べ進める。
と、虎之介が言った。
「動きに迷いがある。迷いなく目標に向かい進んでいるようで、その実、深い葛藤が動きに出ておる」
「・・・・・・」
「千砂都はかのん君達と一緒に活動したいと思っているのだろう」
「本当はね。でも、言い出せないんだ。ダンスで結果を出してからでないと」
「君は以前、かのん君に『プレッシャーが歌えない原因である』と言ったそうだが、今のわしには君が同じ状態に陥っているように思える。
結果を残さなければという緊張、力み、心の動揺が動きに現れておる」
「・・・・・・」
曽祖父には嘘や誤魔化しは通用しない。
その目で相手の心の奥底を見据えてしまうのだ。
千砂都には曽祖父の言葉が圧倒的な正しさを持って伝わってきた。
「夏休みの終わりに、かのん君達にもう一度会ってみると良い。
君のいない間に彼女達は見違えるほど成長しているであろう」
「うん。そうであってほしいなあ」
「そして、君も自らの問いに答えを出すとわしは見ている」
「え?」
「これからの君の行動が曽祖父として実に楽しみだ。では、用は済んだことだし、わしは帰るとするかの」
「え!? もう帰っちゃうの? もっといてほしいよ」
「今の君に必要なのは孤独に物事を考える時間じゃ」
曽祖父は踵を返し、威風堂々とした足取りで部屋を出ていった。
その背中を見送りながら、千砂都は涙を浮かべて口を開いた。
「ありがとう、ひいおじいちゃん。私、自分と向き合ってみる」
おわり。
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