二次創作小説(新・総合)
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- 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達【完結】
- 日時: 2023/04/09 16:57
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
【俺、まだまだ全然知らないんだ、トレセン学園のトレーナーのこと】
原作【ウマ娘 〜プリティーダービー〜】
中央トレセン学園、波乱万丈個性豊かなウマ娘達をまとめる大きな存在があった。
中央トレセン学園生徒会、生徒ながら理事長達に次ぐ実力と権力を持つ特別なウマ娘達。
【皇帝】シンボリルドルフ
【女帝】エアグルーヴ
【怪物】ナリタブライアン
それを導く事を許された選ばれしトレーナー達。
そして、シンボリルドルフのトレーナー、たくっちスノーがある使命のため、トレセン学園のトレーナーを知っていく物語。
【注意】
後々、結構特殊なウマ娘が登場します。
ここに出てくるトレーナーは原作キャラを除きほぼオリジナルです。
この作品はMMオールスターの実質的続編です、その為『あの人達がトレーナー』の為サイレンススズカとハルウララのトレーナーのメイン回はありません。
また、作者が持ってないウマ娘は出る確率が低いです、ご了承ください。
- Re: 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達 ( No.36 )
- 日時: 2023/03/25 20:16
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
「………なら、単刀直入で聞くがなんでトレーナーになった?」
「当然、オレ達がお前を倒すためのライバルとして作られたからだ」
「エグゼ杯の時はお前がレースに出ると聞いて急遽参戦したが、トレーナーになってたらしいからな」
「そして模擬レースまで漕ぎ着けると来たか、プロジェクト・シンギュラー……何をどうやって理事長まで近付いたかは知らんしどうでもいいがコレだけは言っておく……絶対にお前には負けない」
「いいや、お前は絶対に負ける」
「分かるね、何せオレはネガイモノ……今はウマ娘達の願いを叶える為にここに居るんだからな」
「お前が願いを叶える時は悪意しか無い癖によく言うよ」
スターアベネスとたくっちスノーは睨み合いながら、互いに距離を詰めていく。
それを見たシンボリルドルフは、慌てて止めに入る。
しかし、たくっちスノーは止まらない。
スターアベネスも同じく、シンボリルドルフの言葉を無視して歩みを止めない。
だが、たくっちスノーはスターアベネスに近付き、そのまま通り過ぎていく。
「……目を見れば分かる、実際にトレーナーとして活動してんのはお前じゃない、ベルの方だな」
「……ちっ、」
スターアベネスは舌打ちをすると、その場から立ち去った。
その後ろ姿を、シンボリルドルフ達は見つめる。
……
たくっちスノー達はベルを探すために地方トレセン学園の敷地内を歩いていた。
そこで桐生院が口を開く。
「ところで……スターアベネスさんの片方のベルという方はどんな?」
「ああ…なんというか、テネに比べたらマシな方かな、善意で願いは叶えるが空回りする事はも多い」
「善意で願いを叶えるという事は、責任を負えないということでもある」
「それを分かっているのか、アイツの方は滅多に願いを叶えないんだがな……」
たくっちスノーは溜息をつく。
スターアベネスこと、ベル。
彼は地方トレセン学園の近くにある河川敷に居た。
そこでは、沢山のウマ娘達がトレーニングをしていた。
「話によるとアイツはあそこに……つってもトレーナーもウマ娘もいっぱいでどこにいるんだか…」
辺りを見渡していると、何かを見つけたのか桐生院が指を指す。
「あ…あれ見てください!あのウマ娘!」
「あれがログアサルトです!」
「何!?」
- Re: 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達 ( No.37 )
- 日時: 2023/03/25 20:38
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
桐生院が指を指した先を見るとそこには、褐色肌で黒髪の天然パーマで凸の模様がある少女がいた。
その体はがっしりと鍛え上げられており、腹筋が割れて筋肉質である事が伺える。
彼女はランニングシューズを履いて、走り込みをしているようだ。
(あ……あれがログアサルト、俺とは全然違うタイプのキャラじゃないか!!)
たくっちスノーはその迫力ある走りを見て、思わず感嘆の声を漏らす。
「強くなったんだよ、ベルさんのウマ娘」
「……あ!?」
気が付くと、たくっちスノー達の後ろに探していた人物……ベルの姿があった。
右手で菓子を咥えてだらしなく寝ているウマ娘を引っ張っている。
「お前ら揃いも揃って背後に回るの好きだな……」
「ごめんごめん、テネから君が来てるって聞いたから急いで来ちゃった」
「君たちの事も聞いてるよ、あの桐生院家の葵さんと、たくっちスノーの担当のシンボリルドルフ。」
「改めてベルさんがスターアベネスの片割れで、ログアサルトのトレーナーのベル、今走ってるのがログアサルトで…今ここに居るのがアサラナイト」
「は!?これが!?」
たくっちスノーは驚く。
目の前でベルに引っ張られて寝ている芦毛のウマ娘…アサラナイトはアサルトの同期と想像できないほどの怠惰に満ちており、引き締まった彼女と対照的に、まるで肉布団のように柔らかそうな体つきであったからだ。
「ナイトも弱いわけじゃないんだけど……中々やる気を出してくれないのが難点だなぁ…」
「……それで、用件は何かな、大方テネ辺りが願いの力でアサルトを強くしたと思った?」
「2割くらいはそう考えてたが、アサルトを見て…….それは無いなって思った、一瞬で強くなる形で備わった物じゃないだろ、アレは」
「見るだけで分かるって…本当にたくっちスノーもアスリートになったんだね」
ベルは少し嬉しそうだ。
一方でたくっちスノーは渋い顔をする。
そして、たくっちスノーはある事に気づく。
…覇気がある、いつも意識してなかったベルから、何かオーラのようなものを感じたのだ。
それは、ウマ娘がレース場や練習中の時に感じたモノと同じだった。
ベルはそれを察して、答えを言う。
「プロジェクト・シンギュラーを提案したのはベルさんだよ」
「その理由は単純に君に勝ちたいからだ」
「ベルさん達を作ったジルトー博士は、君を作ったカーレッジ・フレインと因縁があり、そのカーレッジを君が倒した……だから、開発者としてやつを超える為に、君を倒すためスターアベネスが生まれた。」
「それと同じだよ……君が育てたシンボリルドルフを、ベルさんが育てたアサルトとナイトで倒すことで君を超えたことを証明する」
「勿論、それ以外だって倒してみせる」
「……ボクだって『スターアベネス』なんだから」
ベルの言葉を聞いて、たくっちスノーはニヤリとする。
この勝負、受けない理由がない。
「帰ろう、ルドルフさん、桐生院先輩……改めてこれで分かったな」
「このプロジェクト……ガチでやらなきゃいけないし、俺は絶対に退けられない」
たくっちスノーは決意を新たにする。
こうして、たくっちスノーVSスターアベネスの戦いが、個人的に始まろうとしていた……
- Re: 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達 ( No.38 )
- 日時: 2023/03/25 20:43
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
【第八話】中央トレセン学園に戻ってきたシンボリルドルフとたくっちスノーは、すぐ生徒会に入って次の仕事に移る。
プロジェクト進行の為にトレーナー達へ再試験が行われることをあちこちに告知した。
それからトレーニングセンターや競技場など、色々な場所に行ったり来たりした。
そして、プロジェクトのメンバーを選抜して、テストを行った。
その途中でたくっちスノーは、ある事に気が付いた。
「ルドルフさん…」
「どうしたんだい?トレーナー君」
「いや、ちょっと今頭に入ったんだけど……もしかしたらと思って」
「ここに居るトレーナーは俺含めて大体別世界出身、今度の試験とかもそいつらのレベルに合わせた物になるんだけど……」
「逆にこの世界出身のトレーナーはどれだけいるのかなってな……」
二人は同時に同じ事を考え始めた。
それは、この世界の人間では今のレベルについてこれないのではないかと言うことだ。
もしそうなった場合、この世界でウマ娘たちと共に歩める存在が入れなくなるという本末転倒になりかねない…
「ということで、その内の例を見つけたので実際に会ってきます、そういうわけで」
「ああ」
……
「あそこか…」
この世界出身のトレーナーでたくっちスノーが目をつけたのは、希水霧矢とその担当であるカワカミプリンセスだった。
希水霧矢は元サラリーマンだったが不況のあおりで仕事を失い、今はトレーナーとして第2の人生を歩んでいるらしい。
「よしっ、まずはあいつからだ」
たくっちスノーは霧矢の部屋に向かった。
「おーい、いるか?」
ドアの向こう側から声が聞こえた。
「はい、どなたですか?」
「俺、たくっちスノーっていうんだが、ちょっと大事な話あるから出てくれんか」
少し経ってから霧矢が出てきた。
「あっ、確かシンボリルドルフ会長のトレーナー……どうも」
「よっ」
「一体どうしたんですか?」
「実は大事な報告があってな……とは別に顔を見たかったというのもある」
- Re: 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達 ( No.39 )
- 日時: 2023/03/25 20:44
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
たくっちスノーは霧矢達に、プロジェクト・シンギュラーに向けてトレーナー再試験があることと、問題内容が大きく一新される事を説明した。
「えっと、つまりどういうことなんでしょうか?」
「簡単に言うと、前々から問題視されている別世界出身のトレーナー達の件で……試験を見直す必要があるって事だ」
「それで…何故僕のところに」
「いや…この世界限定の試験と比べると今回からのはレベルが高くてさ…時空基準を知らない奴には大変だろうなって思って」
「まぁ、確かにそうですね」
「でもまぁ、お前ならなんとかなるだろ」
「……つっても、さっきも言ったが難易度は格段に高くなるし、道徳性とかも問われる事になるらしいが……」
霧矢は少し考え込んだ。
そして、口を開いた。
「ええ、やりますよ……何が相手でも、どんなに難しくても」
「僕はあの子をプリンセスにする為にトレーナーをしてますから」
霧矢の瞳に決意の炎が宿っていた。
それを見てたくっちスノーは、自分の役目が終わったことを確信した。
そして、たくっちスノーは部屋から出ようとするが……
「あっ、ちょっと待ってください、貴方はこの後予定ってあります?」
「無いから気分でお前の所に来たよ」
「あ、そうですか…なら、ちょっといいです?」
「ええ?」
たくっちスノーは、霧矢に連れられてある場所に来ていた。
そこは、トレーニングセンターのグラウンドだった。
そこには、カワカミプリンセスの姿があった。
彼女はトレーニングウェアを着て、準備運動をしていた。
そこに霧矢とたくっちスノーが現れた。
カワカミプリンセスは二人を見るとすぐに駆け付けてきた。
「トレーナーさんっ!!」
カワカミプリンセスは嬉しさのあまり、霧矢に飛びついた。
「おわっ!?」
「会いたかったですわ~」
「ま、待って……腰が……」
「あら?そちらの方はどちら様でして?」
「よっ、カワカミプリンセス……俺は……そうだな、シンボリルドルフのトレーナーとでも」
カワカミプリンセスはたくっちスノーの顔を見るなり、目を輝かせた。
そして、たくっちスノーに抱き着いた。
たくっちスノーは少し驚いたものの、カワカミプリンセスを受け止め、頭を撫でた。
カワカミプリンセスは幸せそうな表情を浮かべていた。
「で、俺に何か?」
「あなたの事は色々聞いてます、時空でアスリートだったとか」
「ああ……つっても、トレーニング法はほぼここから学んだから、別世界の鍛え方なんて覚えてないぞ?」
「尚更いいです、プリンセスをもっと強くする上で参考にしたい」
「…………プリンセスは、あのなりと振る舞いですが、他の色んな方のように名家の出で立ちじゃありません」
「それでも、彼女は子供の頃に見た勇敢なプリンセスに憧れ、その存在に近付こうとしている」
「凡からのスタートは僕も同じ……だからこそ、あの子を本当のプリンセスにさせます、その為には……」
「僕も強くなるんです、トレーナーとして」
霧矢の瞳は真剣そのものだった。
たくっちスノーは霧矢の目を見て、彼もまたトレセン学園のトレーナーである事を実感した。
たくっちスノーは微笑み、口を開いた。
それは、初めてのトレーナーとしてのアドバイスでもあった。
たくっちスノーの助言を聞きながら、霧矢とカワカミプリンセスは練習に励んだ。
「トレーナーさんっ!!次はどうすれば良いんですの?」
「うーん……そうだね、とりあえず今のままだとスタミナ不足だから、そこを重点的に鍛えようか」
「わかりましたわ!では、早速始めてきますわ!」カワカミプリンセスはダッシュで走り去った。
「……なぁ、本当に大丈夫なのかあいつで」
「心配ありません、才能はある、後は本人が努力できるかどうかだ」
「それに、今のプリンセスならきっとやれます」
「なるほど……聞くまでもなかったか」
- Re: 【ウマ娘】皇帝と女帝と怪物と俺達 ( No.40 )
- 日時: 2023/03/25 20:48
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
「あの……それと、もう1つ」
「今度は?」
「あの……『プリファイ』の事だけど」
「ああ……聞いたことはあるが」
『プリンセス・ファイター』略してプリファイ。
この世界で放映されているアニメシリーズで
、主に女児向けのアクション作品だ。
たくっちスノーは知っていた。
プリファイはウマ娘達にとって、特にカワカミプリンセスにとってとても重要な意味を持つものだと。
「貴方はアニメ作品などに詳しいと聞いていたので……」
「まぁ、アニメやゲームの設定の集合体から俺が生まれたわけだからな」
「実は…プリンセスの為に自分も何かしらプリファイ作品を必修しようと思っているんですが、シリーズが多くてどこから始めれば……」
「あ〜、あるよなそういうの、何年近くやってて長期化されてると掴み所が見当たらないんだよな」
たくっちスノーの言う通り、プリファイシリーズはどれもこれも長く続いている。
しかし、その中でも人気のあるものはやはり人気があるもので、どれから手をつければいいのかわからないという状態に陥ってしまうのだ。
「それであの……何から見ればいいですかね」
「いや……俺だって知ってるけど実際に見たわけじゃないし……」
………
翌日、生徒会用トレーナー室にて。
「やっぱこういうのって初代プリファイから勧めた方がいいのか……?いや、最新作を追わせるって手もあるが、でも……」
「……」
たくっちスノーは悩んでいた。
「あの人なんて女児アニメのDVDあんな並べてるんですか」
「カワカミのトレーナーに何から観ればいいか勧められたが、自分も一切観ていなかったらしくてな」
「あれから帰って徹夜して全シリーズ全話まとめて追ってきた」
「そこまでする必要あります?」
「ウマ娘の為になるならあるだろ」
たくっちスノーと西園寺は、学園内の廊下を歩いていた。
たくっちスノーは仕事で必要な資料を取りに、西園寺はトレーニングに必要な道具を受け取りに行っていた。
二人は並んで歩きながら会話をしていた。
西園寺はたくっちスノーの言葉を聞いてため息をつく。
そして、たくっちスノーか彼に尋ねた。
「お前ってさ、そういえばなんでSPになったの?」
「何故そんなこと聞くのですか?」
「エアグルーヴが気にしていたから……というよりは、霧矢の話を聞いてたら俺も興味が沸いてきた」
西園寺はたくっちスノーに聞かれて少し考えた後、口を開いた。
彼は昔を思い出していた。
「あまり人前では言えませんが、私の世界から見て学が無かったからですね」
「学が無い?頭が悪かったからSPになったのか?」
「というよりは護衛人にしかなれませんでした」
「馬鹿言え、SPといえばあらゆる試験に合格して人間性も問われる選ばれし人間しかなれないエリート中のエリートだ、それこそバカには絶対に出来ない仕事だよ」
「………それは、随分古い時代のイメージですね」
「SPは要は対象を守れればいいのですから、依頼人を傷付けようとする相手を力で止めるだけでいいんです」
「殺し屋も考えたりはしたのですが、死体の後始末は賢い人間じゃないと出来ませんからね」
「ほら、私ってリボンで人を拘束出来るでしょう?これで相手を縛るだけで人を守れるのですから、私にはうってつけですよ」
「………」
たくっちスノーは___困惑した。
その言葉を聞いた瞬間、西園寺に対して困惑した。
同時に、西園寺がどんな人生を歩んできたかを想像した。
西園寺が曲がり道で離れていったあと、気づかれずに背後を歩いていたエアグルーヴが近付いてきた。
「どう、エアグルーヴ」
「なるほどな……」
「あの様子では、時空を越えた人間によってあらゆる所で仕事の質が落ちたと言われるのも納得がいくな」