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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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第四話 【中間テスト】


*真奈side*

入学してから数日後、部活の入部届を出した私たち1年生。
最近は皆、部活にどっぷり浸かっている。
私はというと、バトミントン部に所属した。
バトミントン部は女子限定の競技なので、男子はいない。
ちなみに美樹は情報屋に部活は必要ない、と言って無所属…つまり帰宅部に属している。
逢坂くんと凛は男子バスケットボール部に所属。
1年生だというのに、既にレギュラーになるのではないかと噂されているほどの実力なんだとか。
そんな彼らを女子が放って置くわけがないので、連日男バスが練習を行っているところは女子の応援で埋め尽くされているらしい。
私はというと、そんな男子に囲まれる、なんてことはないので同じバトミントン部で同じクラスの岸本優那(きしもとゆうな)ちゃんと仲良く楽しく部活動をエンジョイしている。

そんなある日、LHRでの負の宣告が私たち1年生を襲った。
そう、5月中旬に中間テストがある、という知らせだった。

「えー、もう?てか、この学校、テスト早くね?」
「超難しかったらどうしよ!?」
「この時期、私ピアノのコンクールの前日とかそこら辺なんですけど」

不平不満の声で教室が埋め尽くされる。
そんな中、私と逢坂くんと凛はいつもの表情で、席についている。
美樹はというと、顔面蒼白だ。

「はいはい、皆さん落ち着いてくださーい。まだまだ日はあるんですよ?だって、今日は4月17日でしょ?ほら、あと1か月もあるじゃないですか!」
「もう、1か月しかないんだよ!」
「しかも高校に入ったら、テスト勉強の量、増えるんでしょー?」
「最悪」

昨年この学校に就任したばかり、という34歳の山本恵利先生のフォローもむなしく、生徒の不満は高まるばかり。
しかし、そんな時に、タイミングよくチャイムは鳴るものだ。
不満で一杯だった教室を切り裂くように、チャイムが校内中に鳴り響いた。
それを逃さん、と言わんばかりに山本先生は起立と叫んだ。
生徒はそれに従うしか選択肢は残されておらず、渋々席から立ち上がった。
そして、山本先生の元気な声で「礼!」と言われると、「さようなら」と元気のない声を返しながら、皆散って行った。

「いやー、もう中間テストか。早いね、綾川さん」
「逢坂くん!そうだねー」

私たちがそんな会話をしていると、それに割り込むように凛が入ってきた。

「なぁ、真奈?」
「何?」
「中間テスト前、俺の家で勉強するか?」
「えーっと、うん、そうしよっかな?そういうの、久しぶりだし」

私がそう答えると、逢坂くんが青い顔をしながら私の肩を揺らした。

「どうしてそうなるのさ、綾川さん!」
「え?どうしてって言われても…誘われたから?」
「誘われ…!?駄目だよ!絶対、襲われる!確実に襲われる。男女が1つ屋根の下にいるとか…駄目だよ!絶対に駄目!」

逢坂くんが必死な顔をしながら、ひたすら駄目だと言っている。
私は何が駄目なのかよくわからず、ただ首を傾げることしかできない。

「だから、襲われるんだよ、綾川さんが!」

というか、襲われるとか誘うとかよく分からない…。

「襲われるって誰に?」
「凜にだよ!」
「どうして?」
「そりゃあ…」

そう言って、口ごもる逢坂くん。

一体どうしたんだろう?

ますます疑問は深まるばかりだ。
そんな感じで、会話になっていない会話を聞きつけてか、美樹がやってきた。

「やあやあ。イケメンさん。真奈を取り合ってるの?困りますなぁ。真奈は私の彼女なんですが?」
「彼女だって!?」「彼女だと!?」
「真奈!いつからお前らはそういう関係になったんだ!?」
「綾川さん、ほら女子と付き合うのもいいけど、男子に目を向けてみるのも悪くないっていうか…」
「冗談に決まってるじゃない!」

そう言って、笑いだす美樹。
そんな彼女の様子を見て、安堵のため息を吐く逢坂くんと凛。
一体何をそんなに心配していたのだろうか?

「枝下、そういう冗談やめろよなー?通じねー」
「そうだよ、人の心をもてあそんではいけないよ、枝下さん」
「あらあらそんなに怒ちゃってー。まぁ、いいや。それよりさ、さっきの話だけど、あたしも浅井の家で勉強するー!」
「は!?てか、お前話聞いてたのか!?」
「そりゃあ、情報屋ですから、私の手下は山ほどいるもんでしてね」
「汚ねーなぁ?まぁ、いいけどよ。そんじゃあ、俺と真奈と枝下とで勉強会を…」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「どうしたんだ?徹」
「なんで俺がいないの?」
「なんで俺がいないの、って俺はお前を呼んでいないから?」
「何で最後疑問形なんだよ!…はぁ。仕方がないなぁ。俺もその勉強会に行かせてくれ。頼むよ」

そう言って頭を下げる逢坂くん。
そんな様子に驚いた凜は少し戸惑いながらも

「お、おう。いいけどよ、別に」

そう言って、立ち去って行った。

こうして私たちは勉強会を凛の家で行うことになった。

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