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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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あたしは講堂に入ってすぐに2つ気付いたことがあった。
1つ目は上級生の女子、皆が逢坂くんと凜に熱い視線を送っているということだ。
そして、2つ目は上級生の男子、皆が真奈に熱い視線を送っているということだった。

そりゃそうだろう。
だって、一番目に付くところに、イケメンの2人と絶世の美少女がいるんだよ?
気付かないほうが逆におかしいくらいわ。

そんなことを思いつつ再び浅井へと視線を送ると、また真奈と話しているのが見えた。
しかし、今度は浅井にも真奈にも笑顔はなかった。
そして、会話の終わりごろには真奈は怒っているのか、ムスッとしたようなすまし顔をしていた。

「そのまま名簿順に横一列に椅子に座ってけー」

先生からの指示が出て、あたし達生徒はそれに従う。
そして、1年生全員が椅子に座り終えると、入学式が始まった。
恒例の長い長い校長先生の話を寝ずに聞き、PTA等のお偉いさんの話も真面目に聞き、いよいよ入学式の最後に差し掛かった頃、入試をトップで通過した人が読み上げる”式辞”がやってきた。

『新入生代表、式辞。新入生、起立!…礼』

あたし達は副校長先生がマイクから出す指示に従い、椅子から立ち上がって壇上に向かって礼をする。
そして、顔をあげて周りを確認する。
すると、1人だけ歩みを進めようとしている者がいた。

そう、それは…逢坂くんだった。

あたし達は逢坂くんが壇上に上がるのを見守った。
そして、逢坂くんが壇上に上がり、校長先生の前まで行くと、一礼をして、式辞を読み始めた。

『桜が咲き、菜の花が咲き乱れる今日この頃。僕たちは……これで式辞とさせていただきます。平成25年度新入生代表、逢坂徹』

『新入生、起立!礼』

再びあたし達新入生が壇上に向かって頭を下げていると、階段を下りる音がした。
そして、あたし達が頭をあげ、座るころには、階段を下り終えた逢坂くんは元の席へと戻っていた。

…どんどん時は流れて入学式も閉式を迎えた。

『…これで入学式を閉式とさせていただきます。一同起立!礼』

こうしてあたし達は再び頭をあげた後、それぞれの思いを胸に、式場を後にしたのだった。





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