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*85*
「で!どうだったのお2人さん!」
その後、大分時間が経過し、部屋の出入り禁止ぎりぎりの時刻まで帰ってこなかった優那ちゃんと涼香ちゃん。
美樹が興味津々に聞くのは当然であろう。
「どうだったの、って言われても…」
「特には…」
「ね?」「ね?」
優那ちゃんと涼香ちゃんは声を揃えながら言う。
しかし、顔ほど物を言うものはほかにない。
そう、彼女らの頬は薄らと赤く染まっていたのだ。
美樹がそれを逃すはずがない。
「でも〜、お2人さんの顔、赤かったよ〜?」
「嘘!?」
優那ちゃんが慌てて顔を抑える。
「おっと、その反応は何かあるわね。白状なさい!」
…そんなわけで、優那ちゃんが白状し始めた。
あの後、優那ちゃんと涼香ちゃんは勇気を振り絞って、篠田くんと石島くんに話しかけた。
あまり喋ったことは無かったが、意外と話が合い、話し込むことに夢中になってしまうくらいに話が弾んだ。
その後、こんだけ仲良くなったんだからメーアド交換しようぜ?という石島くんに皆が賛同して、メーアド交換を行った。
そして、そのまま部屋に帰るためにエレベーターに乗った。
すると、エレベーターに乗っている最中に受信の知らせが来た。
何だろうとメールを開けてみると、篠田くんと石島くんからの、国際通りを一緒に回らないか?というデートのお誘いだった。
それがあまりにも嬉しすぎて、暫くエレベーターから降りることを忘れて、2人で喜び合っていた、というわけだそうだ。
「なるほどね〜!それ、完全に脈ありじゃん!」
「そう、かなぁ?」
優那ちゃんが心配そうに首を傾げる。
「大丈夫だよ、優那ちゃんなら。だって優那ちゃん可愛いもん」
私が思ったまんまのことを口にすると、優那ちゃんは口を尖らせながら不満を発した。
「そんなこと言われても信じられないよ〜。だって、天下の美少女に言われるんだよ?お世辞としか思えないじゃん。真奈ちゃん、お世辞はいいよ?」
「ううん、お世辞なんかじゃないよ。優那ちゃん」
「無理しなくていいよ、真奈ちゃん。…って、真奈ちゃんって言いにくいね。真奈でもいい?」
「うん、全然いいよ?」
「それじゃあ、これからは真奈でいきま〜す。私のことも優那でいいからね」
「うん!」
「よし、それじゃあここからは〜どうしてその人を好きになったか公言していこうじゃないか!」
「イェーイ!」
「待ってました〜」
夕食前までの2人が言っていたことと、今2人が言っていることの違いに私は驚きを隠せない。
しかし、すぐにその理由に気付いた。
沖縄と言う場の雰囲気が、修学旅行という言葉が、先程まであった出来事に脈ありを感じた2人のテンションを盛り上げたのだ、と。
「はぁ。最悪だ」
1人だけそのテンションに付いていけずに
「ちょっと飲み物買ってくる」
なんて嘘を吐いて部屋を出た。
とぼとぼと財布を持ちながら自動販売機が設置してある場所まで歩いて行くと、先客がいた。
その先客とは――
「あ!綾川さん?こんばんは!」
逢坂くんだった。