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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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*95*

ガチャ

優那が帰ってきた!

そう思ったのは、就寝時間を3分ほど過ぎてからのことだった。

「ど、どうだった?」

涼香が帰ってきたばかりの優那に問う。
優那は顔を伏せたまま何も言おうとしない。
寧ろ肩が震えている。

だ、駄目だったってこと?

そんな不安が頭をよぎるが、それを掻き消すような優那の声が部屋中に響き渡った。

「キャー―!」
「え?何!?」

突然の叫び声に、優那のすぐ傍にいた涼香が驚く。

「だ、だってだって…」

そう言って今度は涙を流しながら崩れ落ちる優那。

「わ、私告白して…」
「うん」

涼香も優那と同じように座って真剣な眼差しで話を聞いている。
私は優那の次の言葉を息をのんで待っている。
美樹も少し険しい表情になっている。

優那。そんなに間をあけないで…。
私まで胸が苦しくなる。

私が胸の前で握り拳を握っていると、優那が次の言葉を発した。

「成功、したの…」
「…嘘!?本当に?」
「うん」
「うっそー!?やった!やったじゃん!優那!やったー!」

涼香が自分のことのように騒ぎ始める。
私と美樹もそんな様子を見てほっと息をつく。

「じゃあ、何?最終日の国際通りは2人で回るの!?」
「ま、まさか!そんなことできるはずないよ!」
「どうしてよー?2人で行けばいいじゃん」
「えっと、その私が成功したから…涼香も、ね?」
「…へ?」

一瞬涼香は優那の言葉ができなかったのだろう。
しかし、時が経つにつれて意味を理解したようだ。
頬が真っ赤に染まっている。

「い、いやいやいやいや!国際通りで告白とか無理でしょ!いや、無理無理!あたしにはできません!」
「そう言わないの!この私だって告白できたんだから!わたしより活発的な涼香が失敗するはずないよ!ね!?」

今日の優那は少し迫力がある。

いつもはおっとりしてて、優しいというイメージなのだが…。
恋って人をこんなに変えるものなのか。

と私が間違った認識をしていると、涼香が急に静かになった。

「どうしたのよ?」

美樹が少し心配そうに尋ねる。
しかし、涼香は顔を伏せて答えようとしない。

「え!?あの、私なんかまずいこと言った?」
「い、言ってないよ。優那は何も悪くない」
「じゃあどうして?」
「その、明日のことを想像してしまって…」

耳まで赤く染めながら呟くその姿はまさに恋する乙女そのものだった。

「だーいじょうぶよ!あたしがチャンス作るから」
「チャンスって?」
「ふふーん。あたしに秘策があるのよ」

そう言って自慢げに鼻を高くする美樹。
なんだか悪い予感もするが…今回は美樹の提案に乗るのが最善策なのかもしれない。

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