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*115*
「ストライドの半分だぁ……!?冗談じゃねえよ」
瀬良は、ゴゥン……。とゆっくり、だが確かに近づいてくる漆黒の巨大なゴーレムを見上げた。
麗はゴクリと生唾を飲み込んだ。
百戦錬磨の草薙もこの事態は想定していなかったのか冷や汗を掻いていた。
タン、タンと軽い足取りでレオンはゴーレムの肩に飛び乗った。
「行け!クローディア様に害する3人を殺せ!」
「ウゴォォォォォォォォ!!!!」
ドオオオオオオン!!
ゴーレムのパンチが床を貫く。
3人はブレイブではよけきれないと判断し、飛ぶことで攻撃を回避した。
「腕を……斬る!」
「無駄ですよ」
ガキン!と草薙はゴーレムの腕を削るように切り刻んだ。
しかし、レオンの言葉通りゴーレムの腕には傷1ついていない。
麗はそっと瀬良に耳打ちする。
「どうします、瀬良さん。このままじゃあ……!」
「……」
「……瀬良さん?聞いてます?」
麗の言葉に返答しない瀬良。
そんな彼を怪訝に思った麗は瀬良の顔を覗き込む。
瀬良は何か考え込むようにうつむいていた。
「……草薙、麗。俺にちょっと考えがあるんだ。聞いてくれ」
「……考え…?」
草薙は横目でジッと瀬良を見る。
これは、麗も同様だった。
※
「……もう……やめてください……。神なんて……都市伝説だなんて……」
「はぁ〜?アンタ、クローディア様に向かってなんて口の聞き方なの!ぶっ殺すわよ……」
「やめろ、テット」
「はぁ〜い♪」
神殿。
そこで玉座に座るクローディアを睨むくじら。
当の彼女は神殿の柱の隣に設置されている四角い機械の管に繋がれていた。
その管は赤く染まっていた。
血を、吸い取られていることは一目瞭然だ。
血が無くなることで顔が蒼く染まるが、くじらの目には力があった。
「―――この城にお前の仲間が7人来た。これがどういうことだかわかるな?」
カツカツとクローディアはロングブーツの音を響かせ、管に繋がれているクジラのもとへ歩み寄った。
そして、彼女の頬を両手が乱暴に包み込むと顔を近づける。
「騎士と姫が来ている。お前の血をすべて奪い、姫の心臓を抜いて、騎士の肉体を神の憑代にできる絶好の機会だ。あちらから来てくれたんだからな――――!」
「……郡司……かぐやさん……!」
「テット。レオンの様子はどうだ?」
「アイツですかぁ〜?」
クローディアの言葉にテットは至極嫌そうにモニターを操作した。
彼女とレオンは顔を見合わせるたびにケンカをするのでお互い良い中とはお世辞にも言えないのだ。
「残念なことにぃ、今、レオンが善戦してますっ。このままアイツが勝つのも時間の問題かと♪」
「そうか。……これでわかったな。記憶なきドラゴンよ。神が復活するのも時間の問題だ」
死刑宣告を受けるかのようにくじらの瞳はビー玉のように光を失った。
(……お願いします。……どうか、どうか来ないで、みなさん……!)