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*116*
「あははははっ。どうしましたみなさん?付け焼刃の攻撃じゃ僕は倒せませんよ」
「……っ!」
ゴーレムによる打撃を瀬良と麗は紙一重で交わしていた。
レオンの楽しそうな笑みとは対照的に瀬良・草薙・麗の顔は疲労が見えていた。
ドドドドド!
ゴーレムによる打撃は恐ろしく破壊力が大きい。
一発一発の攻撃で床が砕け、足場が無くなっていく。
このままでは瀬良隊に不利なのは一目瞭然だった。
「討ってください瀬良さん!その隙を俺が斬ります」
「ああ!」
――――ガガガガガガガガガガッ!
麗の声に合意した瀬良は弓を構えるとすぐにゴーレムに討ち放つ。
少しずつだが、瀬良が今まで以上にブレイブにストライドを込めたおかげでゴーレムの体に穴が開くようになったが、再起不能までとはいかない。
矢は命尽きた様に零れ落ちていく。
コォォォォ……。とサイクロンに麗はストライドを込めた。
(俺のストライドは確かに少ない……けど、ありったけを注げばあのゴーレムの足を切断することぐらいならできる!)
「ああああああああああああああああっ!」
――――ズバン!
ゴーレムの両足を斬った麗。
ストライドをすべて使い切った反動でガクッと膝をついてしまう。
「無駄ですよ。僕のストライドの半分で作ったんですからそんな斬撃……」
レオンが嘲笑した刹那。
パキン、と音がした。
そしてそのままゴーレムの足はバラバラに崩れ去っていった。
「……っ!どうして!?」
「もうお前は終わりだ」
「!」
ありえない出来事に目を見開くレオン。
そんな彼に追い打ちをかけるように草薙は彼の体を貫いた。
ゴーレムはバラバラに崩れ去り、ただの瓦礫と化した。
まだ息があるレオンの喉はヒューヒューと鳴っていた。
「どう……してですか……!?僕のソウルブレイブはクローディア様を除いて無敵のはずなのに!!」
「いいや、違うな」
レオンに絶叫に瀬良は反論する。
ギッと恐ろしいほど鋭い目つきでレオンは瀬良たちを睨みつける。
「……さっきのゴーレム、確かに攻撃・防御ともに恐ろしいものだった。だが、致命的な弱点がある」
「………」
ピッと血が付いた天羽を振り払う草薙を黙って睨むレオン。
続けて瀬良が言う。
「弱点ってのはゴーレムが起動している間その使用者に制限がかかる――お前の場合はゴーレムの操作以外できないことだな」
「……だから、ゴーレムの機動を封じてあなたを草薙君が貫いたんだ」
血に付すレオンを諭すように麗は言った。
だが、這いつくばりながらもレオンはあの不気味な笑みを再び浮かべるのだった。
「……僕をここまで追い込んだのは称賛に価します。……ですが…僕のストライドは【半分】しか使っていない……!!!!」
恨みを込めるように言うレオン。
紋章のついたブレスレットを地面に叩きつける。
そして、残りの力を込めて叫んだ。
「……全て虚無に返せ!すべては残像、幻に帰せ!!!!」
――――ゴゴゴゴゴ……!
何かが蠢くような音があちこちから聞こえてくる。
レオンは不敵な笑みを浮かべていた。
瀬良はレオンに手を差し伸べようとしていた。
「……やめろ、今すぐ戦いを辞めて降参すればその傷は致命傷じゃないから治る。だから……」
「僕はクローディア様にすべて捧げたんですよ!!それにね、あなたたちみたいな顔が整った人間が大嫌いなんですよぉ!情けなんて必要ありません。……なぜなら、ここで僕もあなたたちも死ぬのだから!!」
―――ズドン!
と、瀬良たちを含む360度死角なき場所を影が蠢いていた。
その影は鎌状に帯びており、少しでも触れば切れてしまいそうだ。
「これが僕の全てです。それでは、さようならみなさん。二度と会うこともないでしょう」
――――ドドドドドドド!!!
影の鎌が4人に襲い掛かる。
死を直感したレオンの頭には慕う彼の姿。
(……ごめんなさい、クローディア様。僕は……もうここまでのようです)