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*117*
――――――ドドドドドドド!!!!
凄まじい影の鎌がすべての生物に襲い掛かる。
レオンがすべてのストライドを込めた、つまり命を捨てた総攻撃。
「行くぞ、草薙、麗!」
「はい!」
「ああ」
攻撃が当たるコンマ1秒。
瀬良は2人に向かって声を張った。
3人は体を寄せ合い、腕を前後左右に突き出した。
「「「総防御“フルバリア”!」」」
キュイン、と3人の両手からシールドのようなものが出現した。
―――――ズドドドドドドドド!!!!
シールドといっても、レオンの総攻撃は並みの攻撃ではない。
いつ、シールドを貫いて自らの体を貫くかわからないからだ。
「……お前ら、自分に負けんなよ」
「わかっているよ、草薙君。これは、敵の攻撃よりも精神との勝負……!」
「わかってるじゃねぇか、お前ら。さあ、あとひと踏ん張りだ!」
3人は歯を食いしばって攻撃を耐え続けた。
何秒、何分経っただろうか。
1秒が何時間にも感じられた。
ついに、シールドに罅が入る。
「くそ……」
瀬良が悔しそうな声を出す。
シールドが貫きそうになった瞬間。
攻撃は止まった。
「……勝った…のか?」
「まだ油断するな」
残骸となった攻撃の痕。
それを潜り抜けて麗はヒョコッと顔を出す。
そんな彼を草薙は諌めた。
警戒している草薙にかまわず瀬良はズンズン歩き出し、大の字になって伏しているレオンのもとへと向かった。
「おい隊長……」
「……見事だったよ。お前の忠誠心」
草薙の言葉を振り切るように瀬良はレオンの見下ろしながら言う。
だが、当のレオンの瞳は虚ろで、彼の言葉など耳には入っていないようだった。
「ふふふふふ……。やり……ましたよ…クローディア様……。敵を……殺し……」
それだけ言うと、彼は動かなくなった。
開いている瞳をそっと閉じると瀬良はレオンを壁へ寄りかからせた。
「……これがソウルブレイブの力か。もしもう1人でもいたら危なかったな……」
「そうだな。かぐやたちも無事だといいんだけどな」
息絶えたレオンを横目で見ながら先に行ったかぐやたちのことを気に掛ける麗と瀬良。
瀬良の眼差しは不安に満ちていた。
No24 不遇のラプソディ
「レオンがやられました〜。あーあ、アトラスの二の舞じゃないあのバカ」
「そう言うな。レオンはよくやってくれた……」
モニターを消しながら落胆した声音でテットはため息をついた。
慈しむような眼差しでクローディアは言う。
そして、彼の左右にいたリムとゴットフリートの顔を見る。
「ゴットフリート、リム。お前たちは日本へ迎え」
「承知した、我が主」
「……ですが」
「あの男がいるぞ」
いくら主の命でも、と言わんばかりにリムはうつむいた。
だが次のクローディアの言葉にバッと顔を上げた。
そして―――。
「……行きます。あの悪夢を消すためにも」
そう呟いた彼女の目は強い意志で満ちていた。